JP2004095701A - 基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理装置のクリーニング方法 - Google Patents

基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理装置のクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排出系の詰まりを低減させることができる基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理装置のクリーニング方法を提供する。
【解決手段】成膜装置1は、ウェハWが収容されるチャンバ2と、TiClを供給するTiCl供給系20と、NHを供給するNH供給系30と、TiCl及びNH等のガスを排出する排出系40を備えている。排出系40は排出配管42、ターボ分子ポンプ44、及びドライポンプ48が備えている。ドライポンプ48より上流側の排出配管42には、微粒子の合成ゼオライト46dが収容された捕捉器46が介在している。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に処理を施す基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理装置のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの製造においては、さらなる高速化及び高集積化が要請されている。それに伴い、ホールの径が一段と小さくなってきており、アスペクト比が高くなってきている。
【0003】
ところが、アスペクト比が高くなると、ホールに形成されるTiN膜及びTiSiN膜等のような薄膜のステップカバレージが低下し易くなる。このようなことから、現在、ステップカバレージに優れた薄膜を形成するために処理ガスを交互に供給しながら成膜を行う成膜装置が注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような成膜装置でTiClとNHとを使用して、TiN膜を形成すると、トラップを設置した場合であっても、トラップより下流の排出配管内壁、具体的には内部の圧力が大気圧に維持されている排出配管内壁に黄色い粉末が多量に付着する。なお、このトラップは反応副生成物であるNHClを捕捉するものである。また、TiClとNHとSiHClを使用して、TiSiN膜を形成すると、排出配管内壁に黄色い粉末の他に白い粉末が付着する。これらの粉末は、成膜を繰り返す毎に堆積していくので、排出配管が詰まる原因となる。このため、排出配管を開けて、排出配管内壁に付着した粉末を取り除くメンテナンスを頻繁に行わなければならないという問題がある。なお、この問題は、同時に処理ガスを供給しながら成膜を行う成膜装置でも起こり得る。
【0005】
本発明は上記問題を解決するためになされたものである。即ち、排出系の詰まりを低減させることができる基板処理装置及び基板処理方法、基板処理装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】
本発明の基板処理装置は、基板を収容する処理室と、処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、処理室から処理ガスを排出する、ポンプを備えた排出系と、処理室とポンプとの間に介在し、かつ微粒子が収容された、微粒子により処理室から排出された少なくとも1種の処理ガスを捕捉する捕捉器と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置によれば、捕捉器で多量の処理ガスを捕捉することができる。その結果、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0007】
上記捕捉器に収容された微粒子は、ゼオライトであることが好ましい。ゼオライトは、合成ゼオライト或いは天然ゼオライトのいずれであってもよい。ゼオライトを使用することにより、ゼオライトに捕捉された処理ガスと他の処理ガスとの反応を抑制することができる。
【0008】
上記捕捉器は、常温かつ常圧で、液体又は固体になる処理ガスを捕捉することが好ましい。このような処理ガスを捕捉することにより、排気系内で発生する液体又は固体を抑制することができる。
【0009】
上記捕捉器により捕捉される処理ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH(TEMAT)、Ti[N(CH(TDMAT)、Ti[N(C(TDEAT)、TaF、TaCl、TaBr、TaI、Ta(NC(CH)(N(C(TBTDET)、Ta(OC、Al(CH、Zr(O−t(C))、ZrCl、SiH、Si、SiHCl、及びSiClの少なくともいずれかであることが好ましい。これらの処理ガスを捕捉することにより、排気系内での粉末の発生を抑制することができる。
【0010】
本発明の他の基板処理装置は、基板を収容する処理室と、処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、処理室から処理ガスを排出する、ポンプを備えた排出系と、処理室とポンプとの間に介在した、化学的な作用により処理室から排出された少なくとも1種の処理ガスを捕捉する捕捉器と、を具備することを特徴としている。「化学的な作用」とは、化学反応を伴うものである。「化学的な作用」には、化学吸着が含まれる。本発明の基板処理装置によれば、捕捉器で多量の処理ガスを捕捉することができる。その結果、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0011】
上記捕捉器は、処理ガスを捕捉する金属酸化物を備えていることが好ましい。金属酸化物を使用することにより、処理ガスを確実に捕捉することができる。上記金属酸化物は、Alであることが好ましい。Alを使用することにより、減圧下であっても多量の処理ガスを捕捉することができる。
【0012】
本発明の他の基板処理装置は、基板を収容する処理室と、処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、処理室から処理ガスを排出する、少なくとも1つのポンプを備えた排出系と、最後段のポンプより下流の排出系内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給系と、を具備することを特徴としている。不活性ガスは、処理ガスに対して不活性なガスである。本発明の基板処理装置によれば、処理ガスの液化を抑制することができる。その結果、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0013】
上記不活性ガスは、Ar、He、及びNの少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。これらのガスを使用することにより、確実に処理ガスの液化を抑制することができる。
【0014】
本発明の他の基板処理装置は、基板を収容する処理室と、処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、処理室から処理ガスを排出する、少なくとも1つのポンプを備えた排出系と、最後段のポンプより下流の排出系を加熱する加熱器と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置によれば、処理ガスの液化を抑制することができる。その結果、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0015】
上記処理ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、Ta(NC(CH)(N(C、Ta(OC、Al(CH、Zr(O−t(C))、ZrCl、SiH、Si、SiHCl、及びSiClの少なくともいずれかを含んでいてもよい。これらのガスは、排出系を詰まらせる原因となり得るガスであるが、本発明の基板処理装置によれば、排出系の詰まりを低減させることができるので、これらのガスを使用することが可能である。
【0016】
上記基板処理装置は、交互に前記処理ガスが供給されるように前記供給系を制御する供給制御器をさらに備えていることが好ましい。供給制御器を備えることにより、高品質の膜を形成することができる。
【0017】
本発明の基板処理方法は、基板が処理室に収容されている状態で、処理室内に第1の流量で金属含有ガスを供給する金属含有ガス供給工程と、排出系を介して処理室から金属含有ガスを排出する金属含有ガス排出工程と、処理室内に第1の流量に対して10倍以上の第2の流量で窒化剤ガスを供給する窒化剤ガス供給工程と、排出系を介して処理室内から窒化剤ガスを排出する窒化剤排出工程と、を具備することを特徴としている。金属含有ガス排出工程は、金属含有ガス供給工程後及び金属含有ガス供給工程中のいずれに行われてもよい。窒化剤ガス供給工程は、金属含有ガス供給工程後及び金属含有ガス供給工程中に行われてもよい。窒化剤排出工程は、窒化剤ガス供給工程後及び窒化剤供給工程中に行われてもよい。本発明の基板処理方法によれば、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0018】
上記窒化剤ガスは、300〜1000sccmの流量で供給されることが好ましい。このような流量で窒化剤ガスを供給することにより、確実に排出系の詰まりを低減させることができる。
【0019】
上記金属含有ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、及びTa(NC(CH)(N(Cの少なくともいずれかを含んでいてもよい。これらのガスは、排出系を詰まらせる原因となり得るガスであるが、本発明の基板処理方法によれば、排出系の詰まりを低減させることができるので、これらのガスを使用することが可能である。
【0020】
上記窒化剤ガスは、NHを含んでいることが好ましい。NHを含ませることにより、排出系の詰まりをより確実に低減させることができる。
【0021】
本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、金属含有ガスと窒化剤ガスとを供給して基板に処理を施す基板処理装置の排出系内に、前記基板が前記基板処理装置内に収容されていない状態で窒化剤ガスを供給する窒化剤ガス供給工程を備えることを特徴としている。本発明の基板処理装置のクリーニング方法によれば、排出系の詰まりを低減させることができる。
【0022】
上記窒化剤ガス供給工程で供給される窒化剤ガスは、処理の際に供給される窒化剤ガスの流量より大きい流量で供給されることが好ましい。このような流量で窒化剤ガスを供給することにより、確実に排出系の詰まりを低減させることができる。
【0023】
上記窒化剤ガス供給工程で供給される窒化剤ガスは、300〜1000sccmの流量で供給されることが好ましい。このような流量で窒化剤ガスを供給することにより、排出系の詰まりをより確実に低減させることができる。
【0024】
上記金属含有ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、及びTa(NC(CH)(N(Cの少なくともいずれかを含んでいてもよい。これらのガスは、排出系を詰まらせる原因となり得るガスであるが、本発明の基板処理装置のクリーニング方法によれば、排出系の詰まりを低減させることができるので、これらのガスを使用することが可能である。
【0025】
上記窒化剤ガスは、NHを含んでいることが好ましい。NHを含ませることにより、排出系の詰まりをより確実に低減させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置について説明する。図1は本実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。
【0027】
図1に示されるように、成膜装置1は、例えばアルミニウムやステンレス鋼により形成されたチャンバ2を備えている。なお、チャンバ2は、アルマイト処理等の表面処理が施されていてもよい。チャンバ2の側部には開口2aが形成されており、開口2a付近には、半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)Wをチャンバ2内に搬入或いは搬出するためのゲートバルブ3が取り付けられている。
【0028】
チャンバ2内には、ウェハWを載置する略円板状のサセプタ4が配設されている。サセプタ4は、例えばAlNやAl等のセラミックスから形成されている。サセプタ4内には、サセプタ4を所定の温度に加熱するヒータ5が配設されている。ヒータ5でサセプタ4を所定の温度に加熱することにより、サセプタ4に載置されたウェハWが所定の温度に加熱される。
【0029】
サセプタ4の3箇所には、ウェハWを昇降させるための孔4aが上下方向に形成されている。孔4aの下方には、孔4aに挿入可能なウェハ昇降ピン6がそれぞれ配設されている。ウェハ昇降ピン6は、ウェハ昇降ピン6が立設するようにウェハ昇降ピン支持台7に固定されている。ウェハ昇降ピン支持台7には、エアシリンダ8が固定されている。エアシリンダ8の駆動でエアシリンダ8のロッド8aが縮退することにより、ウェハ昇降ピン6が下降して、ウェハWがサセプタ4に載置される。また、エアシリンダ8の駆動でロッド8aが伸長することにより、ウェハ昇降ピン6が上昇して、ウェハWがサセプタ4から離れる。チャンバ2内部には、ロッド8aを覆う伸縮自在なベローズ9が配設されている。ベローズ9でロッド8aを覆うことにより、チャンバ2内の気密性が保持される。
【0030】
チャンバ2の上部には、開口が形成されている。開口には、TiCl及びNHをサセプタ4に向けて吐出するシャワーヘッド10が挿入されている。シャワーヘッド10は、TiClを吐出するTiCl吐出部10aと、NHを吐出するNH吐出部10bとに分かれた構造になっている。TiCl吐出部10aには、TiClを吐出する多数のTiCl吐出孔が形成されている。また、同様にNH供給部10bには、NHを吐出する多数のNH吐出孔が形成されている。
【0031】
シャワーヘッド10のTiCl吐出部10aには、TiCl吐出部10aにTiClを供給するTiCl供給系20が接続されている。また、NH吐出部10bには、NH吐出部10bにNHを供給するNH供給系30が接続されている。
【0032】
TiCl供給系20は、TiClを収容したTiCl供給源21を備えている。TiCl供給源21には、一端がTiCl吐出部10aに接続されたTiCl供給配管22が接続されている。TiCl供給配管22には、バルブ23及びTiClの流量を調節するマスフローコントローラ(MFC)24が介在している。マスフローコントローラ24が調節された状態で、バルブ23が開かれることにより、TiCl供給源21から所定の流量でTiClがTiCl吐出部10aに供給される。
【0033】
NH供給系30は、NHを収容したNH供給源31を備えている。NH供給源31には、一端がNH吐出部10bに接続されたNH供給配管32が接続されている。NH供給配管32には、バルブ33及びNHの流量を調節するマスフローコントローラ34が介在している。マスフローコントローラ34が調節された状態で、バルブ33が開かれることにより、NH供給源31から所定の流量でNHがシャワーヘッド10に供給される。
【0034】
バルブ23、33には、バルブ23、33が交互に開かれるようにバルブ23、33を制御するバルブ制御器35が電気的に接続されている。バルブ制御器35でこのようなバルブ23、33の制御を行うことにより、ウェハWにステップカバレージに優れたTiN膜が形成される。
【0035】
チャンバ2の底部には、TiCl及びNH等のガスを排出する排出系40が接続されている。排出系40は、チャンバ2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)41を備えている。オートプレッシャコントローラ41でコンダクタンスを調節することにより、チャンバ2内の圧力が所定の圧力に制御される。
【0036】
オートプレッシャコントローラ41には、排出配管42が接続されている。排出配管42の他端は、大気に開放されている。排出配管42には、上流側から下流にかけて、メインバルブ43、ターボ分子ポンプ44、トラップ45、捕捉器46、バルブ47、ドライポンプ48、及び捕捉器49がこの順番で介在している。
【0037】
ターボ分子ポンプ44は、精密引きを行うものである。ターボ分子ポンプ44で精密引きを行うことにより、チャンバ2内の圧力が所定の圧力に維持される。また、チャンバ2内から余分なTiCl、NH、TiN、及びNHCl等を排出するためのものである。
【0038】
トラップ45は、排ガスに含まれているNHClを捕捉して、排ガスからNHClを取り除くためのものである。トラップ45は、排ガスが流入する流入口及び排ガスが流出する流出口が形成されたハウジング45aを備えている。ハウジング45a内には、板体45bが配設されており、板体45bは図示しない冷却器により冷却される。冷却された板体45bにNHClの粉体が接触すると、NHClの粉体が物理吸着により板体45bに吸着されて、排ガスからNHClが取り除かれる。
【0039】
ドライポンプ48は、ターボ分子ポンプ44を補助するためのものである。また、チャンバ2内の粗引きを行うものである。ドライポンプ48でターボ分子ポンプ44の後段の圧力を小さくすることにより、ターボ分子ポンプ44の排気速度を大きくすることができる。
【0040】
バルブ47とドライポンプ48との間の排出配管42には、ドライポンプ48で粗引きするための粗引き配管50が接続されている。粗引き配管50の他端は、オートプレッシャコントローラ41とメインバルブ43との間の排出配管42に接続されている。粗引き配管50には、バルブ51が介在している。
【0041】
捕捉器46、49は、排ガスに含まれているTiClを捕捉して、排ガスからTiClを取り除くためのものである。以下、捕捉器46について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る捕捉器46の模式的な垂直断面図である。
【0042】
図2に示されるように、捕捉器46は、排ガスが流入する流入口46a及び排ガスが流出する流出口46bが形成されたハウジング46cを備えている。ハウジング46c内には、微粒子の合成ゼオライト46dが収容されている。合成ゼオライト46dに排ガスに含まれているTiClが接触すると、物理吸着により合成ゼオライト46dにTiClが吸着されて、排ガスからTiClが取り除かれる。
【0043】
以下、成膜装置1で行われる処理のフローについて図3〜図5に沿って説明する。図3は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、図4(a)〜図5(b)は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理を模式的に示した図である。
【0044】
まず、メインバルブ43及びバルブ47が閉られ、かつバルブ51が開かれた状態で、ドライポンプ48が作動して、チャンバ2内の粗引きが行われる。その後、チャンバ2内がある程度減圧になったところで、バルブ51が閉じられるとともにメインバルブ43及びバルブ47が開かれ、ドライポンプ48の粗引きからターボ分子ポンプ44の精密引きに切り換えられる(ステップ1a)。なお、切り換えられた後もドライポンプ48は作動している。
【0045】
チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、ゲートバルブ3が開かれ、ウェハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ2内にウェハWが搬入される(ステップ2a)。
【0046】
その後、搬送アームが縮退して、ウェハWがウェハ昇降ピン6に載置される。ウェハWがウェハ昇降ピン6に載置された後、エアシリンダ8の駆動で、ウェハ昇降ピン6が下降し、ウェハWが約300〜450℃に加熱されたサセプタ4に載置される(ステップ3a)。
【0047】
ウェハWが昇温した後、チャンバ2内の圧力が約50〜400Paに維持された状態で、バルブ23が開かれて、図4(a)に示されるようにTiCl吐出部10aからウェハWに向けてTiClが約30sccmの流量で吐出される(ステップ4a)。吐出されたTiClがウェハWに接触すると、ウェハW表面にTiClが吸着される。
【0048】
所定時間経過後、バルブ23が閉じられて、図4(b)に示されるようにTiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5a)。なお、排出の際、チャンバ2内の圧力は、6.67×10−2Pa以下になる。
【0049】
所定時間経過後、バルブ33が開かれて、図5(a)に示されるようにNH吐出部10bからウェハWに向けてNHが約100sccmの流量で吐出される(ステップ6a)。吐出されたNHがウェハWに吸着されたTiClに接触すると、TiClとNHとが反応して、TiN膜がウェハW上に形成される。
【0050】
所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、図5(b)に示されるようにNHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ7a)。なお、排出の際、チャンバ2内の圧力は、6.67×10−2Pa以下になる。
【0051】
所定時間経過後、ステップ4a〜ステップ7aの工程を1サイクルとして、図示しない中央制御器により処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ8a)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4a〜ステップ7aの工程が再び行われる。
【0052】
処理が200サイクル行われたと判断されると、エアシリンダ8の駆動で、ウェハ昇降ピン6が上昇し、ウェハWがサセプタ4から離れる(ステップ9a)。なお、処理が200サイクル行われると、ウェハW上には、約10nmのTiN膜が形成される。
【0053】
その後、ゲートバルブ3が開かれた後、図示しない搬送アームが伸長して、搬送アームにウェハWが保持される。最後に、搬送アームが縮退して、ウェハWがチャンバ2から搬出される(ステップ10a)。
【0054】
本実施の形態では、チャンバ2とドライポンプ48との間に微粒子を収容した捕捉器46を設置しているので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。即ち、排出配管内壁に付着する黄色い粉末は、チャンバ内から排出されたTiClとNHとが反応して、発生するものである。具体的には、黄色い粉末は、TiCl・nNH(n=2,4)であり、TiClとNHとが約150℃以下で反応することにより発生するものである。また、黄色い粉末が大気圧に維持されている排出配管内壁に多量に付着するのは、TiClの液化或いはTiClの排出配管内壁への多量の吸着によるものと考えられる。具体的には、TiClの液化に関しては、TiClが液化すると、液化したTiClは移動し難くなる。そこに、NHが流れ込んでくると、次々とTiClとNHとが反応してしまう。このことにより、大気圧に維持されている排出配管内壁に黄色い粉末が多量に付着してしまうものと考えられる。また、TiClの排出配管内壁への多量の吸着に関しては、大気圧下では、減圧下に比べてTiClが排出配管内壁に吸着され易いとともに吸着されたTiClが離脱し難い。従って、排出配管内壁に対するTiClの吸着量が増える。そこに、NHが流れ込んでくると、次々とTiClとNHとが反応してしまう。このことにより、大気圧に維持されている排出配管42内壁に黄色い粉末が多量に付着してしまうものと考えられる。これらのことから、減圧下でTiClを捕捉すれば、黄色い粉末の発生が抑制され、大気圧に維持されている排出配管内壁への黄色い粉末の付着が抑制される。ここで、従来の成膜装置に備えられたトラップは、減圧下に設置されているので、このトラップでもTiClが捕捉されていると考えることができるが、トラップは表面積が小さい。このため、トラップで捕捉されるTiClは非常に少なく、黄色い粉末の発生を有効に抑制することができないものであったと考えられる。これに対し、本実施の形態では、微粒子によりTiClを捕捉するので、表面積が大きく、多量のTiClを捕捉することができる。よって、排出配管42内壁に付着する黄色い粉末を大幅に低減させることができ、排出配管42の詰まりを低減させることができる。その結果、メンテナンスを行う頻度を低下させることができる。
【0055】
本実施の形態では、合成ゼオライト46dが使用されているので、合成ゼオライト46dに吸着されたTiClとその後に流入するNHとが反応し難い。その結果、確実に黄色い粉末の発生を抑制することができる。
【0056】
TiClとNHとが交互に供給される場合であっても、確実に黄色い粉末の発生を抑制することができる。即ち、TiClとNHとが交互に供給される場合と、TiClとNHとが同時に供給される場合を比べると、チャンバ2から排出されるTiClの量は、交互に供給される場合の方が多い。このことから、交互に供給される場合の方が、同時に供給される場合に比べて、黄色い粉末の発生量が多くなる。本実施の形態では、TiClを確実に捕捉できるので、TiClとNHとが交互に供給される場合であっても、確実に黄色い粉末の発生を抑制することができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下本実施の形態以降の実施の形態のうち先行する実施の形態と重複する内容については説明を省略することもある。本実施の形態では、捕捉器に合成ゼオライトの他、酸化アルミニウム(Al)を収容した例について説明する。
【0058】
図6は本実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。図6に示されるように、成膜装置1は、SiHCl供給系60を備えている。SiHCl供給系60は、SiHClを収容したSiHCl供給源61を備えている。SiHCl供給源61には、一端がTiCl供給管22に接続されたSiHCl供給配管62が接続されている。SiHCl供給配管62には、バルブ63及びSiHClの流量を調節するマスフローコントローラ64が介在している。バルブ23が閉じられ、かつマスフローコントローラ64が調節された状態で、バルブ63が開かれることにより、SiHCl供給源61から所定の流量でSiHClがTiCl吐出部10aに供給される。
【0059】
バルブ63には、バルブ23、33、63が交互に開かれるようにバルブ23、33、63を制御するバルブ制御器35が電気的に接続されている。バルブ制御器35でこのようなバルブ23、33、63の制御を行うことにより、ウェハW上にステップカバレージに優れたTiSiN膜が形成される。
【0060】
次に、本実施の形態の捕捉器46について説明する。図7は本実施の形態に係る捕捉器46の模式的な垂直断面図である。図7に示されるように、捕捉器46内には、微粒子の合成ゼオライト45dと微粒子の酸化アルミニウム46eとが層状に交互に収容されている。排ガスに含まれているSiHClが酸化アルミニウム46eに接触すると、化学吸着によりSiHClが酸化アルミニウム46eに吸着されて、排ガスからSiHClが取り除かれる。
【0061】
以下、成膜装置1で行われる処理のフローについて図8及び図9に沿って説明する。図8は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、図9(a)及び図9(b)は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理を模式的に示した図である。
【0062】
ドライポンプ48が作動して、チャンバ2内の粗引きが行われる。その後、ドライポンプ48の粗引きからターボ分子ポンプ44の精密引きに切り換えられる(ステップ1b)。
【0063】
チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、ウェハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ2内にウェハWが搬入される(ステップ2b)。その後、ウェハ昇降ピン6が下降し、ウェハWがサセプタ4に載置される(ステップ3b)。
【0064】
ウェハWが昇温した後、チャンバ2内の圧力が約50〜400Paに維持された状態で、バルブ23が開かれて、TiCl吐出部10aからTiClが吐出される(ステップ4b)。所定時間経過後、バルブ23が閉じられて、TiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5b)。
【0065】
所定時間経過後、バルブ63が開かれて、図9(a)に示されるようにTiCl吐出部10aからSiHClが約30sccmの流量で吐出される(ステップ6b)。吐出されたSiHClがウェハWに吸着されたTiClに接触すると、TiClとSiHClとが反応して、TiとSiが結合した膜がウェハW上に形成される。所定時間経過後、バルブ61が閉じられて、図9(b)に示されるようにSiHClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているSiHCl等がチャンバ2内から排出される(ステップ7b)。
【0066】
所定時間経過後、バルブ33が開かれて、NH吐出部10bからNHが吐出される(ステップ8b)。吐出されたNHがウェハW上のTiとSiが結合した膜に接触すると、TiとSiが結合した膜とNHが反応して、TiSiN膜がウェハW上に形成される。所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、NHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ9b)。
【0067】
所定時間経過後、ステップ4b〜ステップ9bの工程を1サイクルとして、処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ10b)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4b〜ステップ9bの工程が再び行われる。
【0068】
処理が200サイクル行われたと判断されると、ウェハ昇降ピン6が上昇し、ウェハWがサセプタ4から離れる(ステップ11b)。最後に、図示しない搬送アームによりウェハWがチャンバ2から搬出される(ステップ12b)。
【0069】
本実施の形態では、チャンバ2とドライポンプ48との間に酸化アルミニウム46eを収容した捕捉器46を設置しているので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。即ち、排出配管内壁面に付着する白い粉末は、チャンバ内から排出されたSiHClとNHとが反応して、発生するものである。具体的には、白い粉末は、NHClである。また、白い粉末が大気圧に維持されている排出配管内壁に多量に付着するのは、SiHClの排出配管内壁面への多量の吸着量によるものと考えられる。具体的には、上述したように大気圧下では、減圧下に比べてSiHClが排出配管内壁に吸着され易いとともに吸着されたSiHClが離脱し難い。従って、排出配管内壁に対するSiHClの吸着量が増える。そこに、NHが流れ込んでくると、次々とSiHClとNHとが反応してしまう。このことより、大気圧に維持されている排出配管内壁に白い粉末が多量に付着するものと考えられる。ここで、従来の成膜装置に備えられたトラップでもNHClが捕捉されているが、このトラップで捕捉できるNHClは、主にチャンバ内で発生したNHClであり、大気圧下で発生するNHClは捕捉できない。そのため、白い粉末の発生を有効に抑制することができないものであったと考えられる。これに対し、本実施の形態では、NHClの発生源であるSiHClを予め減圧下で捕捉するので、排出配管42内壁に付着する白い粉末を大幅に低減させることができ、排出配管42の詰まりを低減させることができる。その結果、メンテナンスを行う頻度を低下させることができる。
【0070】
本実施の形態では、酸化アルミニウム46eは、SiHClを化学吸着により捕捉する。ここで、化学吸着は化学反応により吸着させるものであるので、ガスであっても確実に吸着させることができる。従って、物理吸着でSiHClを捕捉するよりも多量のSiHClを捕捉することができる。
【0071】
本実施の形態では、酸化アルミニウム46eが微粒子状で収容されているので、表面積が大きい。従って、より多量のSiHClを捕捉することができる。
【0072】
TiClとSiHClとNHとが交互に供給される場合であっても、確実に白い粉末の発生を抑制することができる。即ち、TiClとSiHClとNHとが交互に供給される場合と、TiClとSiHClとNHとが同時に供給される場合を比べると、チャンバ2から排出されるSiHClの量は、交互に供給される場合の方が多い。このことから、交互に供給される場合の方が、同時に供給される場合に比べて、白い粉末の発生量が多くなる。本実施の形態では、SiHClを確実に捕捉できるので、TiClとSiHClとNHとが交互に供給される場合であっても、確実に白い粉末の発生を抑制することができる。なお、捕捉器46eには、合成ゼオライト46dも収容されているので、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0073】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ドライポンプより下流の排出配管内にNを供給するN供給系を備えた例について説明する。
【0074】
図10は本実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。図10に示されるように、ドライポンプ48より下流の排出配管42には、排出配管42内にNを供給するN供給系70が接続されている。N供給系70は、Nを収容したN供給源71を備えている。N供給源71には、一端がドライポンプ48より下流の排出配管42に接続されたN供給配管72が接続されている。N供給配管72には、バルブ73及びNの流量を調節するマスフローコントローラ74が介在している。マスフローコントローラ74が調節された状態で、バルブ73が開かれることにより、N供給源71から所定の流量でNが排出配管42内に供給される。
【0075】
以下、成膜装置1で行われる処理のフローについて図11及び図12に沿って説明する。図11は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、図12は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理を模式的に示した図である。
【0076】
ドライポンプ48が作動して、チャンバ2内の粗引きが行われる。その後、ドライポンプ48の粗引きからターボ分子ポンプ44の精密引きに切り換えられる(ステップ1c)。
【0077】
チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、ウェハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ2内にウェハWが搬入される(ステップ2c)。その後、ウェハ昇降ピン6が下降し、ウェハWがサセプタ4に載置される(ステップ3c)。
【0078】
ウェハWが昇温した後、チャンバ2内の圧力が約50〜400Paに維持された状態で、バルブ23が開かれて、TiCl吐出部10aからTiClが吐出される。また、このとき、図12に示されるようにNが約1〜50L/minの流量で排出配管42内に供給される(ステップ4c)。所定時間経過後、バルブ23が閉じられて、TiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5c)。
【0079】
所定時間経過後、バルブ33が開かれて、NH吐出部10bからNHが吐出される(ステップ6c)。所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、NHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ7c)。
【0080】
所定時間経過後、処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ8c)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4c〜ステップ7cの工程が再び行われる。
【0081】
処理が200サイクル行われたと判断されると、バルブ73が閉じられて、排出配管42へのNの供給が停止される(ステップ9c)。その後、ウェハ昇降ピン6が上昇し、ウェハWがサセプタ4から離れる(ステップ10c)。最後に、図示しない搬送アームによりウェハWがチャンバ2から搬出される(ステップ11c)。
【0082】
本実施の形態では、ドライポンプ48より下流の排出配管42内にNを供給するN供給系が配設されているので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。即ち、ドライポンプ48より下流の排出配管42内は、大気圧に維持されている。従って、ドライポンプ48より下流の排出配管42内にNを供給すると、TiClの圧力が低下し、液体のTiClが低減する。また、Nの供給により、TiClが押し出されるので、TiClが排出配管42内壁に吸着され難くなるとともに排出配管42内壁に吸着されたTiClが離脱し易くなる。よって、排出配管42内壁に付着する黄色い粉末を大幅に低減させることができ、排出配管42の詰まりを低減させることができる。その結果、メンテナンスを行う頻度を低下させることができる。
【0083】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ドライポンプより下流の排出配管を加熱するテープヒータを備えた例について説明する。
【0084】
図13は本実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。図13に示されるように、ドライポンプ48より下流の排出配管42外壁には、排出配管42を加熱するテープヒータ80が巻回されている。テープヒータ80には、テープヒータ80に流す電流を調節することによりテープヒータ80の加熱温度を制御するテープヒータ制御器81が電気的に接続されている。
【0085】
以下、成膜装置1で行われる処理のフローについて図14及び図15に沿って説明する。図14は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、図15は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理を模式的に示した図である。
【0086】
ドライポンプ48が作動して、チャンバ2内の粗引きが行われる。その後、ドライポンプ48の粗引きからターボ分子ポンプ44の精密引きに切り換えられる(ステップ1d)。
【0087】
チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、ウェハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ2内にウェハWが搬入される(ステップ2d)。その後、ウェハ昇降ピン6が下降し、ウェハWがサセプタ4に載置される。また、テープヒータ80により排出配管42が約60〜100℃に加熱される(ステップ3d)。
【0088】
ウェハWが昇温し、かつ排出配管42の温度が60〜100℃に安定した後、チャンバ2内の圧力が約50〜400Paに維持された状態で、バルブ23が開かれて、図15に示されるようにTiCl吐出部10aからTiClが吐出される。(ステップ4d)。所定時間経過後、バルブ23が閉じられて、TiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5d)。
【0089】
所定時間経過後、バルブ33が開かれて、NH吐出部10bからNHが吐出される(ステップ6d)。所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、NHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ7d)。
【0090】
所定時間経過後、処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ8d)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4d〜ステップ7dの工程が再び行われる。
【0091】
処理が200サイクル行われたと判断されると、テープヒータ80による排出配管42の加熱が停止される(ステップ9d)。その後、ウェハ昇降ピン6が上昇し、ウェハWがサセプタ4から離れる(ステップ10d)。最後に、図示しない搬送アームによりウェハWがチャンバ2から搬出される(ステップ11d)。
【0092】
本実施の形態では、ドライポンプ48より下流の排出配管42を加熱するテープヒータ80が配設されているので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。即ち、ドライポンプ48より下流の排出配管42を加熱すると、TiClが液化し難くなるとともに液体のTiClが再びガスになり易くなる。従って、液体のTiClが低減する。また、ドライポンプ48より下流の排出配管42を加熱すると、排出配管42内壁に吸着されているTiClは、排出配管42内壁から離脱し易くなる。従って、排出配管42内壁に対するTiClの吸着量が減少する。よって、排出配管42内壁に付着する黄色い粉末を大幅に低減させることができ、排出配管42の詰まりを低減させることができる。その結果、メンテナンスを行う頻度を低下させることができる。
【0093】
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態では、NHをTiCl流量の約10倍以上の流量で供給する例について説明する。
【0094】
図16は本実施の形態に係る成膜装置1で行われる処理のフローを示したフローチャートである。なお、本実施の形態の成膜装置は、第1の実施の形態の成膜装置と同様のものであるが、捕捉器46は設置されていない。
【0095】
ドライポンプ48が作動して、チャンバ2内の粗引きが行われる。その後、ドライポンプ48の粗引きからターボ分子ポンプ44の精密引きに切り換えられる(ステップ1e)。
【0096】
チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、ウェハWを保持した図示しない搬送アームが伸長して、チャンバ2内にウェハWが搬入される(ステップ2e)。その後、ウェハ昇降ピン6が下降し、ウェハWがサセプタ4に載置される(ステップ3e)。
【0097】
ウェハWが昇温した後、チャンバ2内の圧力が約50〜400Paに維持された状態で、バルブ23が開かれて、TiCl吐出部10aからTiClが約30sccmの流量で吐出される(ステップ4e)。所定時間経過後、バルブ23が閉じられて、TiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5e)。
【0098】
所定時間経過後、バルブ33が開かれて、NH吐出部10bからNHが約300〜1000sccmの流量で吐出される(ステップ6e)。所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、NHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ7e)。
【0099】
所定時間経過後、処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ8e)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4e〜ステップ7eの工程が再び行われる。
【0100】
処理が200サイクル行われたと判断されると、ウェハ昇降ピン6が上昇し、ウェハWがサセプタ4から離れる(ステップ9e)。最後に、図示しない搬送アームによりウェハWがチャンバ2から搬出される(ステップ10e)。
【0101】
本実施の形態では、NHをTiCl流量の約10倍以上の流量で供給するので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。その結果、メンテナンスを行う頻度を低下させることができる。
【0102】
(実施例)
以下、実施例について説明する。本実施例では、第5の実施の形態に係る成膜装置を使用して、排出配管の詰まり具合を観察した。
【0103】
測定条件について説明する。本実施例では、第5の形態に係る成膜装置を使用してウェハ上にTiN膜に形成した。なお、ウェハ1枚に対して約10nmのTiN膜を形成した。また、TiClを約30sccmの流量で供給し、NHを約800sccmの流量で供給した。さらに、本実施例と比較するためにTiClを約30sccmの流量で供給し、NHを約100sccmの流量で供給した場合についても、排出配管42の詰まり具合を観察した。
【0104】
測定結果について述べる。TiClを約30sccmの流量で供給し、NHを約100sccmの流量で供給した場合には、30枚のウェハにTiN膜を形成したところで、排出配管が詰まってしまい、メンテナンスを行わなければならない状況であった。これに対し、TiClを約30sccmの流量で供給し、NHを約800sccmの流量で供給した場合には、100枚のウェハにTiN膜を形成した場合でも、排出配管は詰まらず、メンテナンスを行わなくてもよい状況であった。この結果から、NHをTiCl流量の約10倍以上の流量で供給すると、排出配管の詰まりが低減し、メンテナンスの行う頻度が低下することが確認された。
【0105】
(第6の実施の形態)
以下、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ウェハが成膜装置に搬入されていない状態で、定期的にNHを排出配管内に供給する例について説明する。
【0106】
図17は本実施の形態に係る成膜装置で行われる全体の処理のフローを示したフローチャートであり、図18は本実施の形態に係る成膜装置で行われるウェハ1枚についての処理のフローを示したフローチャートであり、図19は本実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。なお、本実施の形態の成膜装置は、第1の実施の形態の成膜装置と同様のものであるが、捕捉器46は設置されていない。
【0107】
まず、1枚目のウェハWにTiN膜を形成する(ステップ1F)。具体的には、まず、ターボ分子ポンプ44により精密引きが行われる(ステップ1f)。チャンバ2内の圧力が例えば1.33×10−2Pa以下まで低下した後、1枚目のウェハWがチャンバ2内に搬入され、その後、サセプタ4に載置される(ステップ2f、ステップ3f)。ウェハWが昇温した後、TiCl吐出部10aからTiClが約30sccmの流量で吐出される(ステップ4f)。その後、TiClの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているTiClがチャンバ2内から排出される(ステップ5f)。所定時間経過後、NHが約100sccmの流量で吐出される(ステップ6f)。その後、NHの供給が停止されるとともに、チャンバ2内に残留しているNH等がチャンバ2内から排出される(ステップ7f)。所定時間経過後、処理が200サイクル行われたか否かが判断される(ステップ8f)。処理が200サイクル行われていないと判断されると、ステップ4f〜ステップ7fの工程が再び行われる。処理が200サイクル行われたと判断されると、ウェハWがサセプタ4から離れ、その後、図示しない搬送アームにより1枚目のウェハWチャンバ2から搬出される(ステップ9f、ステップ10f)。
【0108】
その後、2枚目、3枚目、……、25枚目のウェハWについても、ステップ1f〜ステップ10fの工程がそれぞれ行われる(ステップ2F〜ステップ25F)。
【0109】
25枚目のウェハWがチャンバ2から搬出された後に、ターボ分子ポンプ44及びドライポンプ48が作動している状態で、バルブ33が開かれて、図19に示されるようにNH吐出部10bからNHが約300〜1000sccmの流量で吐出される(ステップ26F)。吐出されたNHは、チャンバ2を介してドライポンプ48の下流の排出配管42内に供給される。ウェハWが成膜装置1に搬入されていない状態でのNHの供給は、定期的に行われる。具体的には、例えば1ロッド(ウェハ25枚)毎に行われる。所定時間経過後、バルブ33が閉じられて、NHの供給が停止される(ステップ27F)。
【0110】
本実施の形態では、ウェハWが成膜装置1に搬入されていない状態で、NHを排出配管42内に供給するので、排出配管42の詰まりを低減させることができる。従って、排出配管42を開けて黄色い粉末を取り除く頻度を低下させることができる。
【0111】
なお、本発明は、上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。表1は、膜種及びこれらの膜を形成する処理ガスを例示したものである。第1、第3〜第6の実施の形態では、TiClとNHを使用しており、第2の実施の形態では、TiClとSiHClとNHを使用しているが、表1に示されるような処理ガスも使用することが可能である。
【表1】
Figure 2004095701
【0112】
上記第1、第3〜第6の実施の形態では、TiClとNHをTiCl、NHの順序で供給しており、第2の実施の形態では、TiCl、SiHCl、NHをTiCl、SiHCl、NHの順序で供給しているが、このような順序で供給しなくてもよい。また、上記表1に示されている処理ガスについても同様である。
【0113】
第3の実施の形態では、捕捉器46が設置されているが、捕捉器46を設置しなくともよい。また、第4の実施の形態のようにテープヒータ80を巻回してもよい。また、排出配管42内にNを供給しているが、その他の不活性ガスを供給してもよい。さらに、TiClの供給時に排出配管42内にNを供給しているが、TiClの供給前から排出配管42内にNを供給することも可能である。
【0114】
第4の実施の形態では、排出配管42を60℃〜100℃に加熱しているが、加熱温度は金属含有ガスが気化する温度であれば、特に限定されない。例えば、金属含有ガスが、TaF、或いはTaClである場合には、排出配管42を80〜200℃に加熱する。金属含有ガスが、Al(CH、Zr(O−t(C))、或いはTa(OCである場合には、排出配管42を80〜150℃に加熱する。また、ウェハWの搬入後に排出配管42を加熱しているが、ウェハWの搬送前から、或いはウェハWの搬送中から排出配管42を加熱することも可能である。
【0115】
第4の実施の形態では、捕捉器46が設置されているが、捕捉器46を設置しなくともよい。また、排出配管42にテープヒータ80を巻回しているが、加熱することができるものであれば、その他のものも使用可能である。
【0116】
第5〜第6の実施の形態では、捕捉器46、N供給系70、及びテープヒータ80が配設されていないが、これらのうち少なくとも1つを配設することも可能である。これらの場合には、より多量のTiClを捕捉することができる。
【0117】
第1〜第6の実施の形態では、ウェハWを使用しているが、ガラス基板であってもよい。また、TiClとNHを交互に供給して、或いはTiClとSiHClとNHを交互に供給して成膜を行う成膜装置1について説明しているが、これらのガスを同時に供給して成膜を行う成膜装置に適用することも可能である。
【0118】
第1〜第6の実施の形態では、チャンバ2内から排気してTiCl等を排出しているが、排気の際にNのようなパージガスをチャンバ2内に供給することも可能である。また、パージガスの供給と真空引きとを繰り返すことも可能である。さらに、成膜装置に限らず、エッチング装置にも適用することが可能である。この場合、少なくとも2種のエッチングガスを、交互に供給しても、或いは同時に供給してもよい。
【0119】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理装置のクリーニング方法によれば、排出系の詰まりを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1の実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。
【図2】図2は第1の実施の形態に係る捕捉器の模式的な垂直断面図である。
【図3】図3は第1の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、
【図4】図4(a)及び図4(b)は第1の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は第1の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【図6】図6は第2の実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。
【図7】図7は第2の実施の形態に係る捕捉器の模式的な垂直断面図である。
【図8】図8は第2の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理のフローを示したフローチャートである。
【図9】図9(a)及び図8(b)は第2の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【図10】図10は第3の実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。
【図11】図11は第3の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理のフローを示したフローチャートである。
【図12】図12は第3の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【図13】図13は第4の実施の形態に係る成膜装置の模式的な構成図である。
【図14】図14は第4の本実施の形態に係る成膜装置で行われる処理のフローを示したフローチャートであり、
【図15】図15は第4の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【図16】図16は第5の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理のフローを示したフローチャートである。
【図17】図17は第6の実施の形態に係る成膜装置で行われる全体の処理のフローを示したフローチャートであり、
【図18】図18は第6の実施の形態に係る成膜装置で行われるウェハ1枚についての処理のフローを示したフローチャートである。
【図19】図19は第6の実施の形態に係る成膜装置で行われる処理を模式的に示した図である。
【符号の説明】
W…ウェハ
1…成膜装置
2…チャンバ
20…TiCl供給系
30…NH供給系
40…排出系
42…排出配管
46、49…捕捉器
46d…合成ゼオライト
46e…酸化アルミニウム
48…ドライポンプ
60…SiHCl供給系
70…N供給系
80…テープヒータ

Claims (21)

  1. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、
    前記処理室から前記処理ガスを排出する、ポンプを備えた排出系と、
    前記処理室と前記ポンプとの間に介在し、かつ微粒子が収容された、前記微粒子により前記処理室から排出された少なくとも1種の前記処理ガスを捕捉する捕捉器と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1記載の基板処理装置であって、前記捕捉器に収容された微粒子は、ゼオライトであることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1又は2記載の基板処理装置であって、前記捕捉器は、常温かつ常圧で、液体又は固体になる前記処理ガスを捕捉することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1又は2記載の基板処理装置であって、前記捕捉器により捕捉される前記処理ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、Ta(NC(CH)(N(C、Ta(OC、Al(CH、Zr(O−t(C))、ZrCl、SiH、Si、SiHCl、及びSiClの少なくともいずれかであることを特徴とする基板処理装置。
  5. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、
    前記処理室から前記処理ガスを排出する、ポンプを備えた排出系と、
    前記処理室と前記ポンプとの間に介在した、化学的な作用により前記処理室から排出された少なくとも1種の前記処理ガスを捕捉する捕捉器と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項5記載の基板処理装置であって、前記捕捉器は、前記処理ガスを捕捉する金属酸化物を備えていることを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項6記載の基板処理装置であって、前記金属酸化物は、Alであることを特徴とする基板処理装置。
  8. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、
    前記処理室から前記処理ガスを排出する、少なくとも1つのポンプを備えた排出系と、
    最後段の前記ポンプより下流の前記排出系内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給系と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置。
  9. 請求項8記載の基板処理装置であって、前記不活性ガスは、Ar、He、及びNの少なくともいずれかを含んでいることを特徴とする基板処理装置。
  10. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に少なくとも2種の処理ガスを供給する供給系と、
    前記処理室から前記処理ガスを排出する、少なくとも1つのポンプを備えた排出系と、
    最後段の前記ポンプより下流の前記排出系を加熱する加熱器と、
    を具備することを特徴とする基板処理装置。
  11. 請求項8乃至10のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、前記処理ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、Ta(NC(CH)(N(C、Ta(OC、Al(CH、Zr(O−t(C))、ZrCl、SiH、Si、SiHCl、及びSiClの少なくともいずれかを含んでいることを特徴とする基板処理装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、交互に前記処理ガスが供給されるように前記供給系を制御する供給制御器をさらに備えていることを特徴とする基板処理装置。
  13. 基板が処理室に収容されている状態で、前記処理室内に第1の流量で金属含有ガスを供給する金属含有ガス供給工程と、
    排出系を介して前記処理室から前記金属含有ガスを排出する金属含有ガス排出工程と、
    前記処理室内に前記第1の流量に対して10倍以上の第2の流量で窒化剤ガスを供給する窒化剤ガス供給工程と、
    前記排出系を介して前記処理室内から前記窒化剤ガスを排出する窒化剤排出工程と、
    を具備することを特徴とする基板処理方法。
  14. 請求項13記載の基板処理方法であって、前記窒化剤ガスは、300〜1000sccmの流量で供給されることを特徴とする基板処理方法。
  15. 請求項13又は14記載の基板処理方法であって、前記金属含有ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、及びTa(NC(CH)(N(Cの少なくともいずれかを含んでいることを特徴とする基板処理方法。
  16. 請求項13乃至15のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、前記窒化剤ガスは、NHを含んでいることを特徴とする基板処理方法。
  17. 金属含有ガスと窒化剤ガスとを供給して基板に処理を施す基板処理装置の排出系内に、前記基板が前記基板処理装置内に収容されていない状態で窒化剤ガスを供給する窒化剤ガス供給工程を備えることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  18. 請求項17記載の基板処理装置のクリーニング方法であって、前記窒化剤ガス供給工程で供給される前記窒化剤ガスは、前記処理の際に供給される前記窒化剤ガスの流量より大きい流量で供給されることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  19. 請求項17又は18記載の基板処理装置のクリーニング方法であって、前記窒化剤ガス供給工程で供給される前記窒化剤ガスは、300〜1000sccmの流量で供給されることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  20. 請求項17乃至19のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法であって、前記金属含有ガスは、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Ti[N(CCH、Ti[N(CH、Ti[N(C、TaF、TaCl、TaBr、TaI、及びTa(NC(CH)(N(Cの少なくともいずれかを含んでいることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
  21. 請求項17乃至20のいずれか1項に記載の基板処理装置のクリーニング方法であって、前記窒化剤ガスは、NHを含んでいることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
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