JP4217996B2 - 建物における多方位住宅 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本願発明は、建物、特に搭状高層建物、超高層建物における集合住宅の各住宅が、少なくとも2方位以上の面を向くように形成した多方位住宅に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の建物、特に矩形形状の搭状高層建物における集合住宅の基準階の平面形状は、その4隅に位置する住宅が2方位面を向くように形成され、2面および2方向からの採光と眺望を享受することができたが、当該隅住宅に挟まれた「中住宅」は、1面からのみの採光と眺望とに制限されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、矩形形状の搭状高層建物、超高層建物における集合住宅の基準階の平面形状において、4隅以外の「中住宅」においても少なくとも2面からの採光、2方向への眺望を実現するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するために、建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間は、その下層を出入口とした下・上層とのメゾネット形式の2階建住宅とし、その上層の4隅の空間間隙の中住宅空間は、共用廊下に隣接する空間を連絡部とした方位の異なる中住宅空間とを相互に一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできる建物における多方位住宅を特徴とするものである。
【0005】
また、建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間及び上層の4隅の空間は、各々下層及び上層に出入口を設けて各々一戸の住宅が形成され、下層の4隅の空間間隙の中住宅空間は下層とは方位の異なる上層の4隅の空間間隙の中住宅空間とを共用廊下に隣接する空間を連絡部とし、下層又は/及び上層を出入口とした相互に一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできる建物における多方位住宅を特徴とするものである。
【0006】
更に、建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間は、その下層を出入口とした下・上層とのメゾネット形式の2階建住宅とし、その下層の4隅の空間間隙の中住宅空間及び上層の4隅の空間間隙の中住宅空間は、共用廊下に隣接する空間を連絡部とし、下層又は/及び上層を出入口とした方位の異なる中住宅空間相互を一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできる建物における多方位住宅を特徴とするものである。
【0007】
また、上記多方位住宅において、下層の空間形状と上層の空間形状とを逆にした建物における多方位住宅を特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
矩形形状の搭状高層建物における集合住宅の基準階の平面形状において、その上下に位置する2層を使用することにより、少なくとも2面および2方向からの採光と眺望を得るようにしたものである。
【0009】
図1は、実施例1の概略を示した平面図で、下層の4隅の空間A1、A2、A3、A4と、その上層の4隅の空間B1、B2、B3、B4とを連絡し、その下層を出入口とした下層・上層とのメゾネット形式等の2階建住宅とする。したがって、空間A1とB1、空間A2とB2,空間A3とB3、空間A4とB4とは各々1個の住宅空間が完成する。
【0010】
また、上層の4隅の空間B1、B2、B3、B4は、共同コア1側となる内面側の空間を欠いた形状とする。上記上層の4隅空間間隙の「中住宅空間」はその略中間部で仕切られ、空間C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8が形成される。
【0011】
上記空間B1〜B4の切欠部が中住宅空間相互の通路等の連絡部2となり、方位の異なる空間C1とC8、空間C2とC3、空間C4とC5、空間C6とC7とを相互に一体化させる。これにより2面および2方向からの採光、眺望を得ることのできる1個の住宅が形成されることになる。
【0012】
他方、下層の4隅空間間隙の「中住宅空間」の空間D1、D2、D3、D4は、従来と同様の1面からの採光と眺望を得る標準階高の住宅を得ることができる。
その際、4隅の住宅は、上・下層に亘って使用できるので、その1層における床面積を小面積とすることができるので、その間の「中住宅空間」の空間D1、D2、D3、D4の面積を大きく取ることも可能である。
【0013】
また、上記空間C1とC8に他の空間C6とC7とを連結することにより、3面および3方向からの採光と眺望とが得られる大空間の1個の住宅を得ることができる。
更に、空間C2とC3に他の空間C4とC5とを連結することにより、上記同様に3面および3方向からの採光と眺望とが得られる大空間の1個の住宅を得ることができる。それらC1〜C8の組合せは隣接および連絡部2を介して自由に組み合わせることが可能であり、3面以上、3方以上の採光と眺望を実現することも可能である。
【0014】
上記下層の4隅の空間A1、A2、A3、A4は、その一部或いは全部を吹き抜け等の天井高空間とした1個の住宅とすることも可能である。
上記のように、「中住宅空間」を連絡部2を介して連結することにより、パブリック空間とプライベ−ト空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。
また、住宅部分とワ−クスペ−スや教室等のアネックス空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。更に、2世帯住宅の形状も容易にできることになる。
【0015】
上記実施例では、空間Aタイプの住宅の出入口と空間Dタイプの住宅の出入口を下層とし、空間Cタイプの住宅の出入口を上層とした態様の平面形状をしているが、空間Cタイプの住宅を下層に設けることにより、その出入口を下層と上層とで逆にすることも可能である。
【0016】
【実施例2】
上記同様、矩形形状の搭状高層建物における集合住宅の基準階の平面形状において、その上下に位置する2層を使用することにより少なくとも2面および2方向からの採光と眺望を得るようにしたものである。
図2は、実施例2の概略を示した平面図で、下層の4隅の空間A1、A2、A3、A4および上層の4隅の空間B1、B2、B3、B4は各々下層、上層に出入口を設けた2面および2方向からの採光、眺望を得ることのできる従来と同様の各々別個の1個の住宅が形成されている。
【0017】
他方、下層の4隅の空間間隙の「中住宅空間」の空間C1、C2、C3、C4と上層の4隅空間間隙の「中住宅空間」の空間D1、D2、D3、D4は、空間C1とD4、空間C2とD1、空間C3とD2、空間C4とD3とで、その下層又は/及び上層を出入口とした下層・上層とを階段等の連絡部4で連絡するメゾネット形式等の2階建住宅とする。
【0018】
この場合、下層と上層とを連結する階段等の連絡部4は、共用コア1側の共用廊下3に沿った位置で形成するので、上下で方位の異なる1個の住宅となる。したがって、2面および2方向からの採光と眺望を得ることのできる住宅となる。
【0019】
図3は、上記実施例2の立体図を示したもので、下層の「中住宅空間」の空間C2と上層の「中住宅空間」の空間D1とを、連絡部4となる階段で連絡したメゾネット形式の2層を利用した1個の住宅を示している。階段により下層と上層とが連絡され、下層と上層に各々別個に出入口が形成されている。また、下層と上層とは異なる方向に外部と面する開口部が形成されるので2面および2方向からの採光と眺望を得る住宅となる。
【0020】
上記のように、上下の「中住宅空間」を階段等の連絡部4で連絡することにより、上記実施例1と同様にパブリック空間とプライベ−ト空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。また、住宅部分とワ−クスペ−スや教室等のアネックス空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。更に、2世帯住宅の平面形状も容易にできることになる。
【0021】
上記実施例2の下層のCタイプの空間と上層のDタイプの空間との空間形状を上下逆にすることも可能である。この実施例2のものにあっては、全ての住宅を2面採光、2方向眺望として実現することが可能である。
【0022】
【実施例3】
上記同様、矩形形状の搭状高層建物における集合住宅の基準階の平面形状において、その上下に位置する2層を使用することにより、少なくとも2面および2方向からの採光と眺望を得るようにしたものである。
図4は、実施例3の概略を示した平面図で、下層の4隅の空間A1、A2、A3、A4および上層の4隅の空間B1、B2、B3、B4は下層に出入口を設けた2面および2方向からの採光、眺望を得ることのできる上下2層に亘るメゾネット形式等の1個の住宅が形成されている。
【0023】
他方、下層の4隅の空間間隙の「中住宅空間」はその略中間部で仕切られ、空間C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8を形成している。また、上層の4隅の空間間隙の「中住宅空間」も上記同様に略中間部で仕切られ、空間D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8が形成される。
【0024】
上記上下層の空間C1とD8、空間C2とD3、空間C3とD2、空間C4とD5、空間C5とD4、空間C6とD7、空間C7とD6、空間C8とD1とを、その下層又は/及び上層を出入口とした下層・上層を階段等の連絡部4で連絡するメゾネット形式等の1個の2階建住宅とする。この場合、下層と上層とを連結する階段等の連絡部4は、共用コア1側の共用廊下3に沿った位置で形成するので、上下で方位の異なる1個の住宅となる。したがって、2面および2方向からの採光と眺望を得ることのできる住宅となる。
【0025】
上記のように、上下の「中住宅空間」を階段等の連絡部4で連結することにより、上記実施例1、2と同様にパブリック空間とプライベ−ト空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。また、住宅部分とワ−クスペ−スや教室等のアネックス空間とを分離する平面形状が容易にできることになる。更に、2世帯住宅の平面形状も容易にできることになる。
【0026】
上記実施例3の下層のCタイプの空間と上層のDタイプの空間との上下を逆にすることも可能である。
この実施例3のものにあっては、全ての住宅が2面採光、2方向眺望として実現することが可能である。
上記実施例3にあっては、比較的小規模の床面積においても2面採光、2方向眺望を得ることができる。
【0027】
上記各実施例1〜3では、矩形形状の搭状高層建物における集合住宅をその対象として説明したが、矩形形状に限定することなく、様々な平面形状のものにも適用することができる。更に、3層、4層の複数層に渡る実施例1〜3の様な組合せは無限に適用することができる。また、高層建物としたが、低層、中層の建物にも適用できることは言うまでもない。更に、集合住宅に限定することなく、眺望や景観が求められるリゾ−トマンションやリゾ−トホテル等の施設にも採用することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
本願発明は、特に、矩形形状等の搭状高層建物における集合住宅の基準階の平面形状において、隅に位置する住宅以外にも多方面、多方向の採光、眺望を得ることが可能となり、住宅の居住性、中・高層建物における眺望を最大限に取り入れることのできる住宅を得ることが可能となった。
【0029】
また、従来の1面採光の住宅に比べ、2面以上の採光面を有する住宅は、通風、自然換気に優れ、省エネ住宅が得られ、地球環境に好ましい結果をもたらすものである。
更に、各住宅への出入口を異なる位置に設けたり、上下に分けて設けたりすることができること、同一住宅内において、2つ以上の独立性の高い空間とすることができたり、動線を明確に分離できるなど、その空間を様々な利用形態とすることが可能となった。例えば、ワ−クスペ−スを持った住宅、2世帯住宅、シルバ−コミュニティ−対応の住宅等として利用することが合理的に行うことが可能となった。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の建物における多方位住宅の基準階を示す平面図である。
【図2】本願発明の建物における多方位住宅の基準階を示す他の実施例の平面図である。
【図3】本願発明の建物における多方位住宅の上下2層を示す他の実施例の立体斜視図である。
【図4】本願発明の建物における多方位住宅の基準階を示す他の実施例の平面図である。
【符号の説明】
1 共用コア
2 連絡部
3 共用廊下
4 連絡部
Claims (4)
- 建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間は、その下層を出入口とした下・上層とのメゾネット形式の2階建住宅とし、その上層の4隅の空間間隙の中住宅空間は、共用廊下に隣接する空間を連絡部とした方位の異なる中住宅空間とを相互に一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできることを特徴とする建物における多方位住宅。
- 建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間及び上層の4隅の空間は、各々下層及び上層に出入口を設けて各々一戸の住宅が形成され、下層の4隅の空間間隙の中住宅空間は下層とは方位の異なる上層の4隅の空間間隙の中住宅空間とを共用廊下に隣接する空間を連絡部とし、下層又は/及び上層を出入口とした相互に一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできることを特徴とする建物における多方位住宅。
- 建物の中心に共有コア部を有し、各階には該共有コア部を囲む共用廊下と該共用廊下の外周にいくつかの住宅を配した塔状建物の隣接する下・上層の基準階の平面形状において、下層の4隅の空間は、その下層を出入口とした下・上層とのメゾネット形式の2階建住宅とし、その下層の4隅の空間間隙の中住宅空間及び上層の4隅の空間間隙の中住宅空間は、共用廊下に隣接する空間を連絡部とし、下層又は/及び上層を出入口とした方位の異なる中住宅空間相互を一体化させて一戸の住宅空間とすることにより、複数面及び複数方向からの採光、眺望を得ることのできることを特徴とする建物における多方位住宅。
- 請求項1乃至4記載の下層を上層とし、上層を下層としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1に記載の建物における多方位住宅。
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