JP4217339B2 - 基板の搬送装置及び処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を処理する際に搬送するための搬送装置及びその搬送装置が用いられた処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、液晶用ガラス基板や半導体ウエハなどの基板に回路パタ−ンを形成する成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスにおいては、上記基板を洗浄液で洗浄処理した後、加圧気体を噴射して乾燥処理し、さらに基板に付着した水分などを確実に除去するために上記基板を加熱して乾燥処理するということが行われている。
【0003】
上記基板を加熱して乾燥処理する乾燥処理部は搬入口と搬出口とが形成された処理槽を有し、この処理槽内には上記搬入口から搬入された基板を搬出口へ搬送する搬送装置およびこの搬送装置によって搬送される基板を加熱して乾燥させるヒータが設けられている。
【0004】
上記搬送装置は回転軸及びこの回転軸に装着された搬送ローラを有し、上記基板は回転軸とともに回転される搬送ローラに接触して搬送されるようになっている。
【0005】
上記乾燥処理部で処理される基板はサイズが変更されることがある。そのため、上記搬送装置は基板サイズの変更に対応できるようになっている。つまり、回転軸に設けられる搬送ローラを2つに分割し、この一対の搬送ローラを上記回転軸に接離する方向に移動できるように設け、これら一対の搬送ローラの間隔を設定することで、サイズの異なる基板に対応できるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回転軸に設けられる一対の搬送ローラを所定の間隔で離間させた場合、基板の搬送ローラに接触する部分と接触しない部分とでは温度差が生じることになる。つまり、基板の搬送ローラに接触する部分は接触しない部分に比べて温度上昇が遅い。そのため、基板は温度上昇にむらが生じることになるから、乾燥も均一に行われないということがあるばかりか、搬送ローラに全く接触しない部分は加熱され過ぎる虞もある。
【0007】
この発明は、回転軸に一対の搬送ローラを設けて基板を搬送する場合、その基板を均一に加熱できるようにした搬送装置及びその搬送装置が用いられた処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板を処理するための搬送装置において、
一端側に上記基板の搬入口、他端側に搬出口が形成された処理槽と、
この処理槽内に上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の回転軸と、
各回転軸に接離方向にスライド可能に装着され上記基板の幅寸法に応じてスライドさせて位置決めされるそれぞれ一対の筒状の搬送ローラと、
上記回転軸を回転駆動することで上記基板に転接する上記搬送ローラによって上記基板を搬送させる駆動手段と
を具備し、
上記基板の幅寸法が各一対の搬送ローラの長さ寸法よりも大きいときに、各一対の搬送ローラを離間させて上記回転軸に設けるとともに、各一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置を、上記基板と上記搬送ローラとの接触度合が基板の幅方向のどの位置でもほぼ均一になるよう、上記基板の搬送方向と交差する方向にずらしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記回転軸は複数のグループに分けられており、各グループの回転軸に設けられた一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置は、グループ毎に上記基板の搬送方向と交差する方向にずらしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、基板を洗浄してから乾燥する処理装置において、
上記基板を洗浄処理する洗浄処理部と、
この洗浄処理部で洗浄処理されることで上記基板に付着した洗浄液を加圧気体によって除去する第1の乾燥処理部と、
この第1の乾燥処理部で処理された基板を加熱して乾燥処理する第2の乾燥処理部とを具備し、
上記第2の乾燥処理部には基板を搬送するための搬送装置が設けられ、この搬送装置は請求項1に記載された構成であることを特徴とする。
【0011】
このように、回転軸に設けられる各一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置を、上記基板の搬送方向に対して交差する方向にずらすことで、搬送される基板に対して上記搬送ローラが接触しない部分が基板の幅方向においてほぼ均一に分布することになるから、基板が部分的に加熱され過ぎたり、加熱むらが発生するのを防止することができる。
【0012】
【実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図5を参照して説明する。
【0013】
図5は液晶用ガラス基板や半導体ウエハなどの基板を洗浄してから乾燥処理するこの発明の処理装置を示す。この処理装置は洗浄処理部1と乾燥処理部2とを備えている。
【0014】
上記洗浄処理部1は、順次直列に配置されたブラシ洗浄部3、第1の純水シャワー部4、キャビティション・ジェット部5及び第2の純水シャワー部6を有し、上記ブラシ洗浄部3の上流側には紫外線照射部7が配置されている。したがって、処理装置で処理される基板Wは上記紫外線照射部で紫外線が照射され、その表面に付着した有機物が分解されてから上記洗浄処理部1のブラシ洗浄部3に搬入されるようになっている。
【0015】
上記洗浄処理部1のブラシ洗浄部3、第1の純水シャワー部4、キャビティーション・ジェット部5及び第2の純水シャワー部6で順次洗浄処理された基板Wは上記乾燥処理部2で乾燥処理されるようになっている。
【0016】
この乾燥処理部2は、上記洗浄処理部1で洗浄処理された基板に付着した洗浄液を加圧気体で除去するエアナイフ処理部8と、このエアナイフ処理部8での処理によって洗浄液が除去された基板を加熱乾燥する加熱処理部9からなる。そして、加熱処理部9で加熱処理された基板は冷却装置11によって冷却された後、この冷却装置11から搬出されて次工程へ受け渡されるようになっている。
【0017】
上記加熱処理部9は、図1と図2に示すように一端面に搬入口12、他端面に搬出口13が形成された処理槽14を有する。この処理槽14内には基板Wを同図に矢印方向、つまり搬入口12から搬出口13方向へ搬送する搬送装置15が設けられている。この搬送装置15は上記基板Wの搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の回転軸16を備えている。
【0018】
各回転軸16の両端部は上記処理槽14の両側壁に設けられた軸受20に回転自在に支持されている。回転軸16の一端部は処理槽14の一方の側壁から外部へ突出し、その突出端には従動プーリ17が嵌着されている。各回転軸16に設けられた従動プーリ17は2つのセクションに分けられ、各セクションの従動プーリ17にはそれぞれ回転が伝達されるようにベルト18が張設されている。
【0019】
つまり、一方のセクションの回転軸に16は2本のベルト18によって回転が伝達されるようになっており、他方のセクションの回転軸16は1本のベルト18によって回転が伝達されるようになっている。
【0020】
2つのグループの従動プーリ17はそれぞれ駆動源19a,19bによって回転駆動されるようになっている。それによって、従動プーリ17が嵌着された各回転軸16が同方向に回転駆動されるようになっている。
【0021】
各回転軸16の両端部にはそれぞれ筒状のストッパ21がねじ21a(図3に示す)によって固定され、一対のストッパ21の軸方向内側には筒状の一対の搬送ローラ22a,22bが移動可能に外嵌されている。一対の搬送ローラ22a,22bの長さ寸法は一対のストッパ21間の寸法よりも短く設定されている。また、搬送ローラ22a,22bの一端部には鍔23が形成され、この鍔23によって後述するごとく搬送される基板Wが搬送方向と交差する幅方向に振れるのを防止するようになっている。
【0022】
各搬送ローラ22a,22bの一端面をそれぞれ上記ストッパ21に当接させると、これら搬送ローラ22a,22bの他端面間には所定寸法の隙間24が形成されるようになっている。
【0023】
図4(a)に示すように一対の搬送ローラ22a,22b間に隙間24が形成された状態と、図4(b)に示すように一対の搬送ローラ22の他端面を接合させた状態とでは一対の鍔23の間隔が異なるから、その間隔に応じたサイズの基板W1 ,W2 を搬送できることになる。つまり、隙間24が形成されるように一対の搬送ローラ22を位置決めすれば、隙間24が形成されていない場合に比べて幅寸法の大きな基板W1 を搬送できることになる。
【0024】
上記回転軸16に対する一対の搬送ローラ22a,22bの位置決めは、図3に示すように各搬送ローラ22a,22bの鍔23の部分に設けられたロックねじ25及び回転軸16に形成されロックねじ25を捩じ込むことでその先端部が係合する凹部26とによって行われる。
【0025】
なお、一対の搬送ローラ22の位置決めは、これらをストッパ21に当接させた状態と、端面を接合させた状態との2段階に限られず、その途中の状態で位置決め可能な構造としても差し支えないこと勿論である。
【0026】
一対の搬送ローラ22a,22bを、図4(a)に示すようにこれらの一端面をストッパ21に当接させ、対向する他端面間に隙間24を形成した状態で位置決めした場合、その隙間24は後述するように、基板Wの搬送方向に対してその搬送方向と交差する基板Wの幅方向に位置をずらして形成されるようになっている。
【0027】
すなわち、複数の回転軸16は図1に示すように複数のグループ、この実施の形態では第1乃至第5の5つのグループG1〜G5に分けられ、第1のグループG1と第5のグループG4は4本の回転軸16からなり、第2乃至第4のグループG2〜G4は6本の回転軸16からなる。そして、各グループの回転軸16の軸方向一端側に位置する一方の搬送ローラ22aは基板Wの搬送方向に沿って長さ寸法が順次短く設定され、他方の搬送ローラ22bは基板Wの搬送方向に沿って長さ寸法が順次長く設定されている。
【0028】
それによって、一対の搬送ローラ22間の隙間24は、図1に示すようにそれぞれの回転軸16の各グループG1〜G5において、基板Wの搬送方向に対してその搬送方向と交差する幅方向の位置を順次ずらしている。そのため、基板Wが搬送ローラと接触しない部分は、基板Wが搬送されることで、その幅方向に沿って順次移動することになる。
【0029】
上記処理槽14内には、図2に示すように搬送装置15の上方と下方とにそれぞれたとえば遠赤外線ヒータなどのヒータ31が配設されている。したがって、上記処理槽14内を搬送される基板Wは上記ヒータ31によって加熱乾燥されるようになっている。
【0030】
つぎに、上記構成の処理装置によって基板Wを洗浄して乾燥処理する場合の手順について説明する。
【0031】
まず、処理される基板Wのサイズが加熱処理部9の一対の搬送ローラ22a,22bの長さ寸法よりも大きな場合には、各回転軸16に装着された一対の搬送ローラ22a,22bを一端面がそれぞれストッパ21に当たる位置まで移動させて固定する。それによって、各回転軸16に装着された一対の搬送ローラ22a,22bの他端面間には隙間24が形成され、その隙間24は、図1に示すようにその位置を、基板Wの搬送方向に対し、その搬送方向と交差する方向に順次ずらすことになる。
【0032】
基板Wが処理装置の紫外線照射部7に供給されると、ここで基板Wに紫外線が照射されることで、その基板Wに付着した有機物が分解される。基板Wは紫外線照射部7からブラシ洗浄部3に搬送されてブラシ洗浄された後、第1の純水シャワー部4、キャビティーション・ジェット部5及び第2の純水シャワー部6で順次洗浄処理されてエアナイフ処理部8に搬入される。
【0033】
上記エアナイフ処理部8では基板Wの上下面に向けて加圧気体が噴射される。それによって、洗浄処理部1で処理されることによって基板Wに付着した洗浄液が除去される。
【0034】
エアナイフ処理部8で洗浄液が除去された基板Wは加熱処理部9の搬入口12からその内部に搬入され、搬出口13から搬出される。基板Wはその搬送過程で処理槽14内に設けられたヒータ31によって加熱乾燥される。つまり、エアナイフ処理部8で洗浄液を除去しただけでは確実に乾燥されずに水分などが残留するため、加熱処理することで確実に乾燥させるようになっている。
【0035】
上記加熱処理部9に設けられた基板Wを搬送するための搬送装置15は、各回転軸16の一対の搬送ローラ22a,22bの端面間に形成された隙間24が、基板Wの搬送方向に対してその搬送方向と交差する幅方向に順次位置をずらしている。
【0036】
そのため、基板Wが搬送されることで、その基板Wが搬送ローラ22a,22bと接触しない部分は、各回転軸16に形成された隙間24の位置が基板Wの搬送方向と交差する幅方向にずれていることで、そのずれに対応して搬送される基板Wの幅方向に順次ずれることになる。
【0037】
したがって、基板Wと搬送ローラ22a,22bとの接触度合は、基板Wの幅方向のどの位置でもほぼ均一になるから、その接触度合に応じて基板Wはほぼ均一に加熱されて乾燥処理される。つまり、一対の搬送ローラ22a,22b間に隙間24を形成して基板Wを搬送するようにしても、その隙間24は基板Wの幅方向に変化し、一定位置にならないから、基板Wが部分的に加熱され過ぎるのを防止することができる。
【0038】
しかも、回転軸15を5つのグループG1〜G5に分け、一対の搬送ローラ22a,22b間の隙間24の位置を、各グループ毎で繰り返してずらしたので、基板Wの搬送ローラ22a,22bと接触しない部分は、基板Wがそれぞれのグループに移行する毎にその幅方向において繰り返されることになる。
【0039】
そのため、基板Wの搬送ローラ22a,22bと接触しない部分がその搬送方向と交差する方向に対して変化する度合が高くなるから、回転軸15をグループ分けしない場合に比べて基板Wが部分的に加熱されにくくなる。つまり、基板Wをほぼ均一に加熱することができる。
【0040】
このようにして加熱処理部9で乾燥処理された基板Wは、冷却装置11に搬入され、ここで冷却されたのち、図示しない次工程に受け渡されることになる。
【0041】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、種々変形可能である。たとえば、上記一実施の形態では回転軸を5つのグループに分け、それぞれのグループ毎に一対の搬送ローラの対向面間の隙間を基板の搬送方向と交差する方向に順次ずらすようにしたが、回転軸のグループ分けは5つに限られず、4つ以下あるいは6つ以上であってもよく、要は搬送される基板の一部が他の部分に比べて加熱され過ぎることがないよう、一対の搬送ローラと接触しない部分が基板の幅方向にずれるようにしてあればよい。
【0042】
【発明の効果】
請求項1と請求項3の発明によれば、回転軸に設けられる各一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置を、上記基板の搬送方向に対して交差する方向にずらすようにした。
【0043】
そのため、搬送される基板に対して上記搬送ローラが接触しない部分が基板の幅方向においてほぼ均一に分布することになるから、基板が部分的に加熱され過ぎたり、加熱むらが発生するのを防止することができる。
【0044】
請求項2の発明によれば、回転軸を複数のグループに分け、グループ毎に一対の搬送ローラの対向面間の隙間を順次繰り返してずらすようにした。
【0045】
そのため、基板の搬送ローラと接触しない部分がその搬送方向と交差する方向に対して変化する度合が高くなるから、基板が部分的に加熱されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の乾燥処理部を示す横断面図。
【図2】同じく乾燥処理部の一部を示す縦断面図。
【図3】同じく回転軸と搬送ローラとの結合状態を説明するための拡大断面図。
【図4】(a)は一対の搬送ローラ間に隙間を形成した状態の説明図、(b)は同じく隙間を形成しない状態の説明図。
【図5】同じく処理装置の概略的構成を示す平面図。
【符号の説明】
1…洗浄処理部
2…乾燥処理部
8…エアナイフ部(第1の乾燥処理部)
9…加熱処理部(第2の乾燥処理部)
12…搬入口
13…搬出口
14…処理槽
15…搬送装置
16…回転軸
19a,19b…駆動源(駆動手段)
22a,22b…搬送ローラ
W…基板(被処理物)
Claims (3)
- 基板を処理するための搬送装置において、
一端側に上記基板の搬入口、他端側に搬出口が形成された処理槽と、
この処理槽内に上記基板の搬送方向に沿って所定間隔で配置された複数の回転軸と、
各回転軸に接離方向にスライド可能に装着され上記基板の幅寸法に応じてスライドさせて位置決めされるそれぞれ一対の筒状の搬送ローラと、
上記回転軸を回転駆動することで上記基板に転接する上記搬送ローラによって上記基板を搬送させる駆動手段と
を具備し、
上記基板の幅寸法が各一対の搬送ローラの長さ寸法よりも大きいときに、各一対の搬送ローラを離間させて上記回転軸に設けるとともに、各一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置を、上記基板と上記搬送ローラとの接触度合が基板の幅方向のどの位置でもほぼ均一になるよう、上記基板の搬送方向と交差する方向にずらしたことを特徴とする基板の搬送装置。 - 上記回転軸は複数のグループに分けられており、各グループの回転軸に設けられた一対の搬送ローラの対向する端面間の隙間の位置は、グループ毎に上記基板の搬送方向と交差する方向に順次ずらしたことを特徴とする請求項1記載の基板の搬送装置。
- 基板を洗浄してから乾燥する処理装置において、
上記基板を洗浄処理する洗浄処理部と、
この洗浄処理部で洗浄処理されることで上記基板に付着した洗浄液を加圧気体によって除去する第1の乾燥処理部と、
この第1の乾燥処理部で処理された基板を加熱して乾燥処理する第2の乾燥処理部とを具備し、
上記第2の乾燥処理部には基板を搬送するための搬送装置が設けられ、この搬送装置は請求項1に記載された構成であることを特徴とする基板の処理装置。
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