JP4215181B2 - 航空機牽引車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機牽引車に関する。
【0002】
【従来の技術】
牽引棒を有しない航空機牽引車にあっては、航空機の前部着陸輪を把持して持ち上げる構造を有するものが一般的である。ここでは図6〜8を参照して従来技術を詳細に説明する。
上記構造の牽引車としては、図6に示すような特表平2−502001号公報に記載の牽引車が知られている。牽引車のシャシ105が、後部を二股に分けた形状によってもたらされる受容スペース108を有する。受容スペース108内には持ち上げ装置103,104と、及びこれと共働する繰り出し及び引き入れ可能な把持引き入れ装置128が配置されている。これらの装置103、104、128によって航空機の前部着陸輪(図示せず)がそれぞれ把持され、引き入れられ、持ち上げられる。図6の上半分は把持引き入れ装置128を繰り出した状態、下半分は把持引き入れ装置128を引き入れた状態を示す。
把持引き入れ装置128の繰り出しは、受容スペース108の長さまでに制限されている。この装置はシャシ105に関して上下動され得るただ1つのホルダ114を有し、ホルダ114上に前部着陸輪を引き上げて乗せることで、前部着陸輪荷重を支持する。
【0003】
図6のA−A断面図である図7を参照して詳細に説明する。水平シャフト111が車両左右方向にシャシ105に固設され、垂直に揺動し得る揺動アーム113の一端が、水平シャフト111に回動自在に連結されている。この揺動アーム113にホルダ114が固定されており、ホルダ114は揺動アーム113の揺動によって上昇下降するようになっている。そのためのアクチュエータとして、昇降(油圧)シリンダ137がシャシ105と揺動アーム113との間に取着されている。
揺動アーム113は長手方向に伸縮可能なスライド式の構造をとっており、伸縮動作によって着陸輪の繰り出し及び引き入れを行う。揺動アーム113の伸縮動作は、基端部材113aに挿入された先端部材113bが引き入れ(油圧)シリンダ120に駆動されて長手軸線方向に摺動することで行なわれる。
【0004】
揺動アーム113の先端部材113bの先端には、水平に揺動し得る把持アーム123が取着されている。把持アーム123は図示しないアクチュエータで揺動し、受容スペース108の後部を開閉する。
揺動アーム113の基端部材113aの上には長手軸線方向に摺動自在に押し出しア−ム143が取付けられ、揺動アーム113上に一端を取着された押し出し(油圧)シリンダ131の他端が押し出しア−ム143に結合されている。押し出しシリンダ131によって押し出しア−ム143は、揺動アーム113上を長手軸線方向に摺動駆動される。
【0005】
航空機を牽引状態にするときには、まず図6の上半分に示すように、シリンダ120が伸びて揺動アーム113が伸長し把持アーム123が開いた状態で車両を後退させて、図示しない航空機の着陸輪を受容スペース108に導入する。
その後図8に示すように、昇降シリンダ137が縮み揺動アーム113と共にホルダ114が下方へ傾斜して、ホルダ114の後端114aが地面に接する。そして把持アーム123を閉じておいて引き入れシリンダ120を縮ませると、揺動アーム113が収縮し、把持アーム123が着陸輪140の中心軸線140aより後上方の外周部140cを把持しつつ着陸輪140を引き入れる。このとき着陸輪140はホルダ114の底面に沿って引き上げられる。着陸輪140がホルダ114上に完全に乗り上げたのち、押し出しシリンダ137を伸ばすと、ホルダ114は揺動アーム113と共に上方へ揺動して地面から持ち上がり、機体牽引が可能となる。このとき押し出しア−ム143は着陸輪140にその中心軸線140aより前上方となる外周部140bで当接して着陸輪140を押さえている。
【0006】
航空機を分離するときには、まず昇降シリンダ137を縮め揺動アーム113と共にホルダ114を下方へ傾斜させて、ホルダ114の後端114aを接地させる。そして引き入れシリンダ120によって揺動アーム113を伸ばして、把持アーム123を着陸輪140から離したのち、外側へ開く。その上で押し出しシリンダ131によって押し出しア−ム143を伸ばして着陸輪140をホルダ114上から押し出す。着陸輪140がホルダ114上から地面に降りたら、車両を前進させて着陸輪140を抜き去る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来構造によれば、以下に示す3つの問題がある。
第1には引き入れ装置の構造による、メンテナンスの煩雑化である。
図6〜8によれば、引き入れ装置128の揺動アーム113は、クレーンやパワーショベルの伸縮スライド式ブームと同じ構造である。
この構造では、先端部材113aと基端部材113bの間にガタが生じ、着陸輪の把持が不安定になりやすく、また伸縮の際に異音や振動を発しやすい。先端部材113aと基端部材113bの間にスライドパッドを取着してガタを抑える方法もあるが、スライドパッドは使用経過に従って摩耗が進むので定期的にスライドパッドのすきま調整及びスライドパッド交換をしなければならない。
またスライドパッドの有無に関わらず、摺動抵抗を小さくするため摺動面に定期的にグリースを塗布しなければならない。
スライドパッドの調整・交換あるいはグリース塗布といったこれらの作業は、自動化が困難であるため作業者の多大の時間と労力を要し、ユーザのメンテナンスに対する負担を重くしている。
【0008】
第2には、引き入れ装置128の大きさとコストの問題である。
従来構造では、引き入れ装置128によって、着陸輪140を引き入れ、ホルダ114に乗り上げさせねばならない。この動作のために引き入れシリンダ120は、航空機の乗り上げ抵抗及び登坂抵抗に打ち勝つだけの引き入れ力を発生させる必要がある。具体的には引き入れシリンダ120の径を太くして受圧面積を大きくとることになるので、引き入れ装置128の大型化とコストアップは避けられない。
【0009】
第3には、操作性の問題がある。
従来構造では、着陸輪の引き入れ時に2つの動作を必要とする。
つまり、把持アーム123の揺動動作すなわち受容スペースの後端部閉鎖動作と、揺動アーム113の収縮動作すなわち着陸輪引き入れ動作とである。
把持アーム123の揺動動作と揺動アーム113の収縮動作とは、一般にそれぞれ個別のアクチュエータで行われるため、それぞれに独立した操作手段が必要である。これら2つの動作を同一のアクチュエータで行わせる構成も可能ではあるが、その場合2つの動作を切替えるためには、2つの動作のうちいずれかを選択する切替手段を別に要する。いずれにせよ、把持アーム123の揺動動作から揺動アーム113の収縮動作に移るには、レバーの持替またはスイッチの切替等が必要となり、操作の複雑化による誤操作の可能性が増す。
【0010】
本発明はこのような点に鑑み、コンパクトで低コスト、かつメンテナンスも操作も容易な車輪把持装置及び引き入れ装置を備えた航空機牽引車の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、シャシ後部に配された同軸上の左右車輪の間に形成された二股の形状がもたらす受容スペース内に、航空機の前部着陸輪を引き入れ、把持し、昇降可能な航空機牽引車において、受容スペース内に車両の略左右方向に配設され、かつシャシに垂直平行リンクを介して上下動可能に取着されたフロントメインフレームと、フロントメインフレームを上下動させる第1アクチュエータと、車両の略左右方向に配された前部部材、及び前部部材の左右両端部に後方に向けて設けられた1対の左右部材を有し、かつフロントメインフレームの後部に前部部材が、車両前後方向のピンを介して回転可能に取着されたリアメインフレームと、リアメインフレームの前部部材の後部に固着され、引き入れ時に航空機の前部着陸輪の中心軸線より下側でかつ前側に当接する当接面を有するフロントホルダと、リアメインフレームの左右部材の後部にそれぞれ水平平行リンクを介して揺動可能に、かつ受容スペースの後部を開閉可能に取着され、閉時に航空機の前部着陸輪の中心軸線より下側でかつ後側に当接する当接面を有する左右一対のリアホルダと、リアホルダを、リアメインフレームに対して水平平行リンクを介して揺動させる第2アクチュエータとを備えたことを特徴とする。
【0012】
第1の発明によると、リアホルダは平行リンク機構を介して水平に揺動し、受容スペースの後端部の閉鎖動作(左右動)とこの閉鎖動作の最後の前部着陸輪引き入れ動作(前後動)とを行なう。
したがって、前部着陸輪引き入れ動作(前後動)のために伸縮スライド式構造の部分を設ける必要はなくなる。このため、従来構造では多大の時間と労力を要していた作業、すなわち伸縮スライド部の摺動面へのグリス塗布及びスライドパッドの調整・交換といった作業を省くことができ、メンテナンスが容易となる。また、オペレータはレバーの持替やスイッチの切替を必要とせず、受容スペースの後端部閉鎖動作と前部着陸輪の引き入れ動作とを同時に行える。よって操作が単純となり、誤操作の可能性は減少する。
【0014】
また、フロントホルダとリアホルダとは両方で着陸輪の下方へ回り込み、輪重を前後から分担して支えるようになる。このため、フロントホルダとリアホルダとが両方とも着陸輪に当接すれば、着陸輪を持ち上げることが可能になる。従来構造のように着陸輪がホルダに乗り上げるまで着陸輪を引き入れる必要はない。したがって、引き入れ動作はフロントホルダとリアホルダとが着陸輪に当接するまで着陸輪を引き入れるだけの力があれば可能となる。このため、引き入れ動作の際に要求される力は、従来構造よりも着陸輪のホルダへの乗り上げ抵抗分小さくてすむ。したがって、従来構造と引き入れ装置の構造が異なるため単純には比較できないが、リアホルダを回動させ着陸輪を引き入れる第2アクチュエータ(シリンダ)を小型化して装置全体の大きさとコストを大幅に抑えられる。
【0015】
の発明は、第の発明において、リアメインフレームをフロントメインフレームに対して車両前後方向のピン周りに揺動させる第3アクチュエータを備えたことを特徴とする。
【0016】
の発明によると、リアメインフレームを車両前後方向のピン周りに揺動させることで、フロントホルダとリアホルダとを路面に対し任意の角度に揺動させることが可能になる。これによって着陸輪の持ち上げ時、着陸輪の路面に対する傾斜角度(舵取り操作で変化する)に合わせてフロントホルダとリアホルダとを揺動させ、フロントホルダとリアホルダそれぞれの当接面を着陸輪の中心軸線に平行に当接させて把持し、かつ平行を保ったまま持ち上げることで、ホルダの片当りによる着陸輪及びその支柱へのストレスを低減させ、着陸輪及びその支柱の寿命を延ばすことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態について図1〜4を参照して説明する。
図2は、本発明による航空機牽引車の平面図であり、図3は本発明による航空機牽引車の側面図である。図1は図2、図3に示した航空機牽引車の着陸輪把持装置、引き入れ装置及び持ち上げ装置の詳細斜視図である。
図2、図3を参照して、図1に基づいて説明する。航空機牽引車においてシャシ20の後部が同軸上の左右車輪の間で二股に分かれて、その二股の間に受容スペース18を形成している。受容スペース18内に、車両の略左右方向に配されたフロントメインフレーム2が、シャシ20に対して上下動可能に左右それぞれ平行リンク9(2本),平行リンク10(2本)を介して取着されている。シャシ20とフロントメインフレーム2との間には、フロントメインフレーム2を上下に動かす第1アクチュエータとして昇降油圧シリンダ13,昇降油圧シリンダ14が左右それぞれに取着されている。フロントメインフレーム2の後方には、車両の略左右方向に配された前部部材、及び前部部材の左右両端部に後方に向けて設けられた1対の左右部材を有するリアメインフレーム1が配され、リアメインフレーム1の前部部材がフロントメインフレーム2の後部に車両前後方向のピン16を介して回転可能に取着されている。このため、フロントメインフレーム2が上下動すると、リアメインフレーム1も一緒に上下動する。
【0018】
リアメインフレーム1の前部部材には、航空機の着陸輪30の前側下部に当接する当接面を有するフロントホルダ17が固着される。フロントホルダ17は別部品としてリアメインフレーム1に固着されているが、リアメインフレーム1と一体に成形されていてもよい。
リアメインフレーム1の左右部材の後部には、航空機の着陸輪30の後側下部に当接する当接面を有する左右一対のリアホルダ3,リアホルダ4がそれぞれ水平平行リンク5,6,水平平行リンク7,8を介して取着される。リアホルダ3,リアホルダ4は、それぞれ水平平行リンク6とリアメインフレーム1の間,水平平行リンク8とリアメインフレーム1の間に第2アクチュエータとして取着された左右一対の引き入れ油圧シリンダ11,引き入れ油圧シリンダ12の伸縮により、リアメインフレーム1に対して水平方向に揺動自在とする。引き入れシリンダ11,12が伸長すると、リアホルダ3,4は車両の後方外側にはみだして左右に開き、受容スペース18の後端を開放する。引き入れシリンダ11,12が収縮すると、リアホルダ3,4は車両の前方内側に向かってたたみ込まれ、受容スペース18の後端を閉鎖する。
【0019】
リアメインフレーム1はフロントメインフレーム2に対してピン16周りに回転可能であるが、その回転角度を調整する第3アクチュエータとして傾動油圧シリンダ15が取着されている。傾動油圧シリンダ15のロッド側はリアメインフレーム1に連結され、ボトム側はフロントメインフレーム2に連結される。一般に航空機の前部着陸輪はキャスタ角度を有し、路面に対する傾斜角度は舵取り操作に応じて変化する。そこで着陸輪30を引き入れる際には、傾動油圧シリンダ15に圧油を送って伸縮させることでリアメインフレーム1の回転角度を調整することで、フロントホルダ17及びリアホルダ3,4が着陸輪30に対し片当りしないように、フロントホルダ17及びリアホルダ3,4の当接面が着陸輪30の中心軸線に対して平行になるように着陸輪30を引き入れることができる。通常は、シリンダボトム側もシリンダヘッド側も共にタンクに開放され、傾動油圧シリンダ15は外力で自由に動く状態になっている。したがってリアメインフレーム1は、着陸輪30の路面に対する傾斜角度の変化に合せてピン16周りに自在に揺動する。被牽引時には、着陸輪30の舵角は牽引車の向きに従って変化し、同時に路面に対する傾斜角度も変化する。しかし以上の作動により、フロントホルダ17及びリアホルダ3,4の当接面は着陸輪30の中心軸線に対し常に平行に保たれる。そのため、着陸輪30と牽引車との間にピン16周りのモーメントを発生させることなくスムーズな走行・舵取り操作が可能になる。
【0020】
航空機を牽引状態にするときの作動について図1,4により説明する。まず引き入れ油圧シリンダ11,12を伸長させ図1の2点鎖線で示すようにリアホルダ3,4を外側へ揺動させ、図4の(a)に示すように受容スペース18の後端部を開いておく。つぎに昇降油圧シリンダ13,14を伸長させフロントメインフレーム2を図4の(b)に示すように下方位置にする。そうしておいて車両を後退させながら、受容スペース18内に着陸輪30を導入する。このとき、着陸輪30の中心軸線30aがリアホルダ3,4の当接面に平行になるようリアメインフレーム1の回転角度を、傾動油圧シリンダ15を用いて予め調整しておく。
フロントホルダ17が着陸輪30の前側に当接したら車両の後退をやめる。引き入れ油圧シリンダ11,12を縮め、図4(b)に示すようにリアホルダ3,4を内側へ揺動させ、受容スペース18の後端を閉じ、なおも揺動させ、着陸輪30の後側に当接したら揺動をやめ、油圧シリンダ11,12をその位置でロックする。このとき図示しない押え部材が着陸輪30の中心軸線30aより上側に回り込んで当接し、上から押さえつける。しかるのち、傾動油圧シリンダ15のシリンダボトム側もシリンダヘッド側も共にタンクに開放し、油圧シリンダ15が外力で自由に伸縮するように、したがってリアメインフレーム1が外力で自由に揺動するようにしておく。
次に図4(c)に示すように油圧シリンダ13,14を縮め、フロントメインフレーム2を上昇させるとフロントホルダ17とリアホルダ3,4も共に上昇する。フロントホルダ17とリアホルダ3,4は着陸輪30の中心軸線30aより下側に回り込んでいるので、着陸輪30が地面から持ち上がり航空機は牽引可能になる。このとき着陸輪30が地面から持ち上がることで路面に対する傾斜角度が変化しても、リアメインフレーム1が外力で自由に揺動するので、フロントホルダ1及びリアホルダ3,4の当接面と、着陸輪30の中心軸線30aとの平行は保たれる。
【0021】
航空機を分離するときの作動について説明する。まず図示しない押え部材を動かして着陸輪から離す。次に図4(c)の状態から(b)の状態になるよう油圧シリンダ13,14を伸長させフロントメインフレーム2を下降させる。するとフロントホルダ17とリアホルダ3,4も共に下降して着陸輪30は接地する。次に油圧シリンダ11,12を伸長しリアホルダ3,4を外側へ揺動させて受容スペース18の後端を開放する。車両を前進させて着陸輪30を抜き去ってから図4(a)のように油圧シリンダ13,14を縮め、フロントメインフレーム2を上昇させる。
【0022】
本発明の第2の実施形態について、図5を参照して説明する。図5は第2の実施形態による航空機牽引車の着陸輪把持装置、引き入れ装置及び持ち上げ装置の詳細斜視図である。第1の実施形態とは、以下に述べる2点で異なっている。
【0023】
第1の相違点は引き入れ油圧シリンダ11,12のロッド側の取付位置である。第1実施形態では、油圧シリンダ11(12)のロッド側は、水平平行リンク6(7)の支点を基準にして、リアホルダ3(4)と同じ側に取着されている。したがって油圧シリンダ11(12)は、ロッド側に加圧されて収縮することで、リアホルダ3(4)を内側へ揺動させて着陸輪30を引き入れる作動を行う。これに対し第2の実施形態では、油圧シリンダ11(12)のロッド側は、水平平行リンク6(7)の支点を基準にして、リアホルダ3(4)と反対側に取着されている。したがって油圧シリンダ11(12)は、ボトム側に加圧されて伸長することで、リアホルダ3(4)を内側へ揺動させて着陸輪30を引き入れる作動を行う。
【0024】
第2の相違点は昇降油圧シリンダ13,14の取付方向である。第1、第2のいずれの実施形態においても、昇降油圧シリンダ13,14はそのロッド側をシャシ20に取着され、かつそのボトム側をフロントメインフレーム2に取着されている。しかし、油圧シリンダ13,14のロッド側、ボトム側の上下関係は、第1実施形態と第2実施形態とでそれぞれ逆になる。第1実施形態では油圧シリンダ13,14はロッド側を上方にして取着されている。したがって油圧シリンダ13,14は、ロッド側に加圧されて収縮することで、フロントメインフレーム2を引き上げて着陸輪30を持ち上げる作動を行う。第2実施形態では油圧シリンダ13,14はボトム側を上方にして取着されている。したがって油圧シリンダ13,14は、ボトム側に加圧されて伸長することで、フロントメインフレーム2を押し上げて着陸輪30を持ち上げる作動を行う。
【0025】
上記2つの相違点により、第2実施形態は第1実施形態に比して油圧シリンダ11,12,13,14を小型化できる。なぜなら、着陸輪30の引き入れ・持ち上げといった負荷の高い作業をシリンダのボトム側に加圧して伸長する側で行うため、シリンダ径を小さくできるからである。油圧シリンダは一般的にボトム側に加圧する方がロッド側に加圧する方より大きな力を発生させる。したがって、同じ力を発生させるならボトム側に加圧する方がシリンダ径を小さくできる。
【0026】
以上本発明の第1、第2実施形態について図1〜5を参照して説明してきたが、本第1、第2実施形態は従来形態に対し、以下5つの点で優れた効果を得られる。
第1はメンテナンスが容易になることである。なぜなら、リアホルダ3,4は、平行リンク5,6,7,8によって揺動させられることになり、伸縮スライド部がなくなるので、伸縮スライド部の摺動面へのグリス塗布及びスライドパッドの調整・交換といった作業が不要になるからである。
【0027】
第2は操作が簡単になり、誤操作の可能性が減少することである。なぜなら、受容スペース18の後端部閉鎖動作と着陸輪30の引き入れ動作とはリアホルダ3,4の連続動作で行われるため、レバーの持替もスイッチの切替も必要なく2つの動作が同時にできるからである。
【0028】
第3はリアホルダ3,4を回動させる引き入れシリンダ11,12を小型化して装置全体の大きさとコストを大幅に抑えられることである。なぜなら、フロントホルダ17とリアホルダ3,4とが両方とも着陸輪30の下側に当接すれば、着陸輪30を持ち上げることが可能になるので、従来構造のように着陸輪がホルダに乗り上げるまで着陸輪を引き入れる必要はない。したがって、引き入れ動作はフロントホルダ17とリアホルダ3,4とが着陸輪30に当接するまで着陸輪30を引き入れるだけの力があれば可能になる。このため、引き入れ動作に要求される力は、着陸輪のホルダへの乗り上げ抵抗分だけ従来構造よりも小さくてすむ。
【0029】
第4は着陸輪持ち上げ時、着陸輪30とフロントホルダ17とリアホルダ3,4との片当りによる着陸輪30及びその支柱へのストレスを低減し、着陸輪30及びその支柱の寿命を延ばすことができることである。なぜなら、着陸輪30を引き入れる際に傾動油圧シリンダ15に圧油を送って伸縮させることでリアメインフレーム1の回転角度を調整し、フロントホルダ17及びリアホルダ3,4の当接面が着陸輪30に対し片当りせず、当接面が着陸輪30の中心軸線30aに平行になるよう傾斜角度を調整できるうえ、着陸輪30を引き入れ把持した後は、リアメインフレーム1を外力により自由に揺動させることで、着陸輪30の傾斜角度の変化に対してフロントホルダ17及びリアホルダ3,4を追従させられるからである。
【0030】
第5は、車両の全長を短くできることである。なぜなら本形態はリアホルダ3,4を車両後方外側へ、はみださせる構造を有するからである。従来形態において、本形態のリアホルダ3,4に相当する把持アーム123の後方への移動は、受容スペース108の長さすなわち車両の長さ内に限られている。よって、本形態のリアホルダ3,4と従来形態の把持アーム123とが等しい前後方向のストロークを有すると仮定すれば、本形態の方がリアホルダ3,4のはみだし長さ分だけ車両の全長を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による航空機牽引車の、第1実施形態による着陸輪把持装置及び引き入れ装置の斜視図である。
【図2】本発明による航空機牽引車の、第1実施形態による上面図である。
【図3】本発明による航空機牽引車の側面図である。
【図4】本発明による航空機牽引車の着陸輪把持装置及び引き入れ装置の作動図である。
【図5】本発明による航空機牽引車の、第2実施形態による着陸輪把持装置及び引き入れ装置の斜視図である。
【図6】従来形態による航空機牽引車の上面図である。
【図7】図5のA−A断面図である。
【図8】従来形態による航空機牽引車の、着陸輪把持装置及び引き入れ装置の側面図である。
【符号の説明】
1…リアメインフレーム、2…フロントメインフレーム、3…リアホルダ(左)、4…リアホルダ(右)、5…水平平行リンク(左下)、6…水平平行リンク(左上)、7…水平平行リンク(右下)、8…水平平行リンク(右上)、9…垂直平行リンク(左)、10…垂直平行リンク(右)、11…引き入れ油圧シリンダ(左)、12…引き入れ油圧シリンダ(右)、13…昇降油圧シリンダ(左)14…昇降油圧シリンダ(右)、15…傾動油圧シリンダ、16…メインフレーム係合ピン、17…フロントホルダ、18…受容スペース、20…シャシ、30…着陸輪

Claims (2)

  1. シャシ後部に配された同軸上の左右車輪の間に形成された二股の形状がもたらす受容スペース内に、航空機の前部着陸輪を引き入れ、把持し、昇降可能な航空機牽引車において、
    受容スペース(18)内に車両の略左右方向に配設され、かつシャシ(20)に垂直平行リンク(9,9,10,10)を介して上下動可能に取着されたフロントメインフレーム(2)と、
    フロントメインフレーム(2)を上下動させる第1アクチュエータ(13,14)と、
    車両の略左右方向に配された前部部材、及び前部部材の左右両端部に後方に向けて設けられた1対の左右部材を有し、かつフロントメインフレーム(2)の後部に前部部材が、車両前後方向のピン(16)を介して回転可能に取着されたリアメインフレーム(1)と、
    リアメインフレーム(1)の前部部材の後部に固着され、引き入れ時に航空機の前部着陸輪の中心軸線より下側でかつ前側に当接する当接面を有するフロントホルダ(17)と、
    リアメインフレーム(1)の左右部材の後部にそれぞれ水平平行リンク(5,6,7,8)を介して揺動可能に、かつ受容スペース(18)の後部を開閉可能に取着され、閉時に航空機の前部着陸輪の中心軸線より下側でかつ後側に当接する当接面を有する左右一対のリアホルダ(3,4)と、
    リアホルダ(3,4)を、リアメインフレーム(1)に対して水平平行リンク(5,6,7,8)を介して揺動させる第2アクチュエータ(11,12)とを備えたことを特徴とする航空機牽引車。
  2. 請求項記載の航空機牽引車において、
    リアメインフレーム(1)をフロントメインフレーム(2)に対して車両前後方向のピン(16)周りに揺動させる第3アクチュエータ(15)を備えたことを特徴とする航空機牽引車。
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