JP4214863B2 - 圧電発振回路 - Google Patents
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Description
図5の(a)は典型的なコルピッツ型発振回路の電気回路図を、(b)、(c)は前記コルピッツ型発振回路の等価回路を示す。
図5(a)において、抵抗R A 、RBはトランジスタQ1の固定バイアス用抵抗であり、コンデンサC1及びC2は、水晶振動子Y両端の信号を分圧し、一方をトランジスタQ1の入力側へ、他方を出力側へ印加する。
抵抗RCはトランジスタQ1のコレクタに接続された負荷抵抗であり、抵抗REはトランジスタQ1のエミッタに接続された負帰還抵抗である。
このコルピッツ型発振回路は、図5(b)に示すように、定電流源を有する等価回路で表わされ、トランジスタQ1の小信号時の入力電圧をVb'eとすると、前記定電流源はgmVb'eで表わされる。容量Cπ、抵抗RπはトランジスタQ1の入力インピーダンスである。
図5(b)は、さらに、図5(c)に示すように、水晶振動子Yの端子(1−2)からみた発振回路側は等価的に等価入力容量Ciと等価入力抵抗Riの直列回路で表わされ、水晶振動子Y側は等価的に、実効インダクタンスLeと実効抵抗Reの直列回路で表わされる。
ωLe−1/ωCi=0 (1)
Re≦|Ri| (2)
ただし、 Riは負性抵抗
式(1)で与えられる位相条件は、発振周波数を決定し、式(2)で与えられる振幅条件は、発振の立ち上りと定常発振持続条件である。
式(2)の等価入力抵抗(負性抵抗)Riは、前記図5(b)の発振回路のC1、C2のリアクタンスが並列抵抗素子より比較的小さい高周波数帯では、周知の式(3)となる。
|Ri|=gm/ω2C1'C2 (3)
ここで、 C1'=C1+Cπであり、また、gmはコレクタ電流ICOと次の関係を有する。即ち、
gm=(q/κT)× ICO
ただし、q:電子の電荷量、κ:ボルツマン定数、T:絶対温度
そして、この回路の負性抵抗の絶対値|Ri|は、発振周波数近傍及び立ち上り時の小信号時において、水晶振動子Yの実効抵抗Reよりも十分に大きな値(通常3〜10倍)に設定される必要がある。
同図に示されるように、本発振回路は、共振周波数が155.55MHzの水晶振動子Yと、利得帯域幅積fTが8GHz(typ.)、直流電流増幅率hFEが80〜160のシリコン型のトランジスタQ1とで構成されるコルピッツ型水晶発振回路の出力を、トランジスタQ3による増幅回路で増幅し、該トランジスタQ3のコレクタより出力を取出すものである。
同図7示されるように、本発振回路の負性抵抗は700MHzでは−140Ωを示しており、このような高周波帯で、更に大きな負性抵抗値を実現するためには、通常、以下に述べる4手段のうちのいずれかによって発振回路を構成する。
(1)コンデンサC1の容量値を小さくする
(2)コンデンサC2の容量値を小さくする
(3)抵抗R4の抵抗値を小さくする
(4)トランジスタQ1を利得帯域幅積fTが高く、直流電流増幅率hFEの大きいトランジスタに変更する。
上記(4)の、トランジスタQ1をより利得帯域幅積fTが高く、直流電流増幅率hFEの大きいトランジスタにすることは最も有効な手段であるが、そのため、例えばシリコン・ゲルマントランジスタを使用する場合は高価格であり、且つ該シリコン・ゲルマントランジスタは従来のシリコントランジスタより大型であるので発振器が大型になってしまうおそれがある。
日本水晶デバイス工業会技術委員会編「水晶デバイスの解説と応用」 株式会社テクノ 1996年
また、請求項2においては、請求項1に記載の圧電発振回路において、前記圧電発振回路の出力を前記第1のトランジスタのコレクタより取出したことを特徴とする。
また、請求項3においては、請求項1に記載の圧電発振回路において、前記圧電発振回路の出力を前記第2のトランジスタのエミッタより取出したことを特徴とする。
また、請求項4においては、請求項3に記載の圧電発振回路において、前記第1のトランジスタのコレクタが、コレクタ抵抗を介さずに電源に接続されていることを特徴とする。
更に、請求項5においては、請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4のいずれかに記載の圧電発振回路において、前記圧電振動子は水晶振動子またはSAW共振子であることを特徴とする。
そのため、従来のシリコントランジスタによって、負性抵抗値の大きな600MHzの高周波帯の水晶発振器を構成することができる。したがって、本発明の水晶発振回路は、高周波帯の優れた水晶発振器を低コストで提供する上で大いに貢献することができる。
同図に示すように、本発振回路のトランジスタQ1(第1のトランジスタ)で構成される発振部は、図5に示す従来のコルピッツ型水晶発振回路の発振部と全く同じ回路構成及び回路定数である。本発振回路においては、前記発振部トランジスタQ1のエミツタ回路出力を次段のトランジスタQ2(第2のトランジスタ)で構成されるコレクタ接地回路で電流増幅し、そのエミッタ出力を前記発振部トランジスタQ1のコレクタ回路へ電流帰還を行っている。本回路の負性抵抗を測定した結果、図2に示されるように、700MHzで負性抵抗値は−170Ωとなり、目標(−150Ω)を達成できた。これは、発振部のトランジスタQ1のエミツタ出力電流が、次段のコレタタ接地回路のトランジスタQ2のべースに入力され、該トランジスタQ2のエミッタ出力が発振部のトランジスタQ1のコレクタに帰還されることにより、発振部のトランジスタQ1の見かけの直流電流増幅率hFEが増加し、負性抵抗絶対値を増大させたものである。
(1)SAW共振子のドライブレベルは、2.3 mAで、通常のレベルである。
(2)スプリアス特性は、図3(a)に示す通りである。電流帰還形水晶発振回路の特徴として、3及び4倍波の成分が大きく出ている。なお、本発振回路は、L1と、C8及びC9とから成る共振回路を有しており、共振回路を増やすことによって高調波は更に低減可能である。
(3)電源変動特性は、図3(b)に示す通りで、電源電圧+3.3V時の周波数を基準としたときの周波数変化率を示している。発振回路の負荷容量を変更することで周波数変化率を低減できると思われる。
(4)図3(c)に、電源電圧に対する消費電流特性を示す。電源電圧0〜+5Vの範囲において、消費電流が電源電圧に対して比例関係であることから、発振回路が正常に動作していると考えられる。
図3(d)に、電源電圧に対する出力レベル特性を示す。同図より、電源電圧+3.5V以上で、発振回路出力が飽和していることがわかる。
図1の電流帰還型水晶発振回路の発振出力は、1段目のコルピッツ型発振回路のトランジスタQ1のコレクタより取出されている。そして、2段目のコレタタ接地回路は、前段のコルピッツ型発振回路に正帰還をかけてトランジスタQ1の負性抵抗を増大させると共に、交流的にトランジスタQ1のコレクタと2段目のコレクタ接地トランジスタQ2のエミツタとをコンデンサC5によってショ−トしていることがわかる。
そこで、図4(a)に示すように、コルピッツ型発振回路の発振部に図1と同様に2段目のコレクタ接地回路より正帰還をかけると共に、発振出力を2段目のコレタタ接地回路のエミツタより取出すことが可能である。
本来、図1、図4(a)のコルピッツ型発振回路はコレクタ接地の増幅回路であるにも関わらず、増幅率の高いコレクタより出力を得るためにコレクタ抵抗を接続していたものである。しかるに、図4(b)に示す電流帰還型の発振回路とすることによって、従来のコルピッツ型発振回路を本来のコレクタ接地回路とすることができ、位相雑音等の特性の向上を図ることができる。
Cπ・・トランジスタベース・エミッタ間容量、 L1・・インダクタ、
Le・・振動子の実効インダクタンス、 Q1〜Q3・・トランジスタ、
R1〜R10、RA、RB、RC、RE・・抵抗、 Re・・振動子の実効抵抗、
Ri・・発振回路の等価入力抵抗(負性抵抗)、 Rπ・・トランジスタ入力抵抗、
Y、Y1・・水晶振動子、 gmVb'e・・定電流源
Claims (5)
- トランジスタ2段によるコルピッツ型の圧電発振回路であって、圧電振動子と第1のトランジスタとを有し発振信号を出力する発振部と、第2のトランジスタを有し前記第1のトランジスタのエミッタから出力される発振信号を電流増幅するコレクタ接地回路とを備え、前記第2のトランジスタのエミッタから出力される信号を前記第1のトランジスタのコレクタに正帰還したことを特徴とする圧電発振回路。
- 前記圧電発振回路の出力を前記第1のトランジスタのコレクタより取出したことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振回路。
- 前記圧電発振回路の出力を前記第2のトランジスタのエミッタより取出したことを特徴とする請求項1記載の圧電発振回路。
- 前記第1のトランジスタのコレクタが、コレクタ抵抗を介さずに電源に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の圧電発振回路。
- 前記圧電振動子を水晶振動子またはSAW共振子としたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4のいずれかに記載の圧電発振回路。
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