JP4213241B2 - 特に時計式の単相電気機械変換器およびこのような変換器を少なくとも一つ備えた電気機械的装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、その固定子が平面状構造を有し、その回転子が一つの永久磁石、特に二極性磁石を備えている単相電気機械変換器に関する。特に、本発明は、小寸法の、特に時計用途に応用される電気機械変換器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
当業者には、特に時計の分野で、固定子が平面状構造を有し、回転子が永久磁石を備えている様々な電気機械的モータが公知である。単相電気機械的モータに関しては、時計の電気機械技術の分野における専門家は、「Ｌａｖｅｔ」式ステッピングモータを知っている。このモータは、向き合った二つの固定子磁極で固定子穴を形成している固定子板を備えている。その固定子穴には回転子のシャフトに取付けられた二極性永久磁石が配置される。二つの固定子磁極はそれぞれ、固定子板の二つの端となる二つの磁気接触耳を形成している。コイルを支持し且つ二つの端に、二つの接触耳を有するコアは、コアのその二つの耳が固定子板の二つのそれぞれの耳に重なるように固定されている。この種のモータでは、供給コイルを支持するコアは、常に固定子板の周辺に設置されている。スイス特許第６３９ ５２５号は、図１に今まさに説明した「Ｌａｖｅｔ」式の単相ステッピングモータを図示している。この特許文書の図１および図２で見ることができるように、二つの固定子磁極を形成する固定子板を時計のムーブメントの少なくとも部分的に種々な要素を取付けるための台板として使用することができる。
【０００３】
スイス特許第６４８ ９８４号は、先に説明した「Ｌａｖｅｔ」式の単相ステッピングモータを備えた時計を開示している。この特許文書は、特に、時計ムーブメント用台板として単相モータの固定子を使用することを開示している。数個の機械的および／または電気的要素がムーブメント用板として使用されている固定子板上に組立られている。スイス特許第６４８ ９８４号の図１で、時計ムーブメントの周辺に コイルを支持しているコア装置には板上に色々な要素を配置することが制限されるという欠点があり、これは時計の設計者にとって制約になっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
時計設計者が、単相モータのコイルがムーブメントの板の周辺に設置されていないムーブメントに「Ｌａｖｅｔ」式モータを設置すると、前述の固定子板は、スイス特許第６４３ ７０４号の図１に見られるように、ムーブメントの台板とは材料的に 異なる部分を形成する。スイス特許第６４３ ７０４号に開示されている構成では、単相モータの固定子および時計ムーブメントの台板は、材料的に別個の二つの部分を形成するので、これにより製造コストが増加し、時計ムーブメントの微小化が制限される。生ずる所要空間に関する前述の問題は、時計のムーブメントが数個の単相モータを備えているとき更に強調される。
【０００５】
本発明の目的は、装置の組立用板として使用できる固定子を備えている単相電気機械変換器であって、作りやすく、廉価で、且つ設計者に、装置の配置、特にこの単相変換器の回転子およびコイルの設置に関して完全な自由度を残しておく単相電気機械変換器を提供することである。
【０００６】
本発明の他の目的は、その少なくとも一つが前述の第１の目的に関連して提案したものと同じ特徴および長所を有する単相変換器である複数の電気機械変換器を備えている電気機械的装置を提供することである。
【０００７】
本発明の他の目的は、装置をコンパクトに且つ廉価な構成になし得る複数の単相変換器を備えた装置を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特に時計式の、単相電気機械変換器に関しており、
磁性材料から作られた固定子、
永久磁石を備えた回転子、
コイル、
を備えている。固定子は、平面状構造およびコイルが取付けられるコアを備えており、その平面状構造は、それぞれの極拡大部が回転子が通過する穴を形成している二つの固定子磁極を形成している。回転子の永久磁石は、二つの極拡大部と磁気的に結合する。コアの第１および第２の端は、それぞれ二つの固定子磁極に接続されている。本変換器は、コイルが平板状構造に設けられた開口内に設置され、その開口の縁はそれ自身で閉じている。第２の固定子磁極を形成する平面状構造の部分は、第１の固定子磁極を形成する部分とコイルとを囲むような形状とされている。
【０００９】
特に、小寸法の、特に「婦人」用腕時計の、クロノグラフ時計ムーブメントの製造に本発明を使用することを提案する。
【００１０】
【発明の実施の態様】
本発明を以下に、非限定的例を用いて示す付図を参照して更に詳細に説明することにする。
【００１１】
図１は、その内の二極性永久磁石６だけで図示した回転子４、平面状構造を形成する軟磁性体の板１０により形成された固定子８、および供給コイル１４を支持するコア１２から形成されている単相電気機械変換器２を示す。
【００１２】
回転子４は、単一片から形成されている板１０に設けられた穴１６を貫通するように、二極性永久磁石６が穴１６の中に設置されている。この板１０は、それぞれ二つの極拡大部２２および２４を有する二つの固定子磁極１８および２０を形成しており、これら拡大部が穴１６を形成している。二つの磁極１８および２０は、二つの頸２５および２６により互いに分離されており、特にステッピングモータ用に、二つの位置決めノッチ２７および２８が設けられている。永久磁石６の磁気軸３０は、磁石が二つの最小エネルギ位置の一方にあるときノッチ２７および２８により規定される方向に実質上垂直である。
【００１３】
コア１２の二つの端３２および３３は、それぞれ固定子磁極１８および２０に磁気的および機械的に接続され、それら磁極の上に重ねられて小ねじまたは同様の固定手段により直接固定されている。
【００１４】
本実施形態によれば、コア１２に取付けられたコイル１４は板１０に設けられた固定子開口３５の中に設置されている。固定子開口３５の縁３６は、それ自身で閉じており、部分的に磁極１８を形成している。磁極２０は、磁極１８と板１０の平面内から突出しているコイル１４を囲んでいる。したがって、単相変換器２の磁気回路を閉じるのに使用されている第２の磁極２０は、穴１６および固定子開口３５を囲んでいる。したがって、本発明による変換器を使用する設計者は、板１０をどんな寸法にしてもよく、回転子４およびコア１２に取付けられたコイル１４を板の何処に配置しても良い。
【００１５】
電気機械的装置に上記のように任意に変換器を配置できる長所および、このような変換器の機械的安定性の長所の他に、固定子板１０の磁極２０を形成する部分は、外部磁束の伝播の方向にかかわらず、平面状構造１０の平面で伝播する外部磁束が永久磁石６と結合されずに磁極２０により駆動されるので、変換器に対する磁気遮蔽を形成する。
【００１６】
単相変換器２の電気機械的動作は当業者に既知であり、このような変換器を供給することは、この説明の前文で記した「Ｌａｖｅｔ」式の単相ステッピング変換器のものと同じである。
【００１７】
図２は、図１を参照して説明した第１の実施形態の代わりの構成を示す。先に既に記した実施形態の要素と同じ要素はここに再び詳細には説明しない。図２の代案は、頸２５、２６およびノッチ２７、２８がコア１２の軸に対して違う向きにあるという点で図１の構成とは異なっている。その上、二つの回転輪４０および４１が概略図示されているが、これら回転輪の各々の端は、協同してたとえば時計ムーブメントの固定子および板として働く板１０に設置された軸受に取付けられている。図示しない様々な要素を固定するための様々な穴４２も板１０に設けられている。これらの穴４２にはねじ山があってもなくてもよい。板１０の外部輪郭はどんなでもよく、単に図面を簡単にするためにのみ長方形表現としていることに注意されたい。
【００１８】
したがって、図２に示す実施形態による単相電気機械変換器は、どんな形式および大きさでもよい台板１０、および二つの開口、すなわちそれ自身で閉じ且つ固定子磁極１８および２０に磁気的に結合している回転子の永久磁石６のための空間を形成する縁を有する穴１６、およびやはりそれ自身で閉じている縁３６を有する固定子開口３５を備えている。二つの固定子磁極を磁気的に分離している頸２５および２６は、協同して第１の磁極１８と第２の磁極２０との間の機械的接続を確保している。したがって、固定子は、二つの平面状片、すなわち板１０およびコア１２だけを備えている。しかし、別の形状および、特に板１０に関して、異なる厚さを有する構造、および例えば、任意のタイプのぎざぎざまたは凹みおよび／または突起を本発明の範囲から逸脱せずに設けることができる。板１０は、少なくとも部分的に板１０に取付けられた機構に適応する凹凸を有する平面状構造である。
【００１９】
図３を参照して、先に図１および図２を参照して説明したもののような、本発明による二つの単相電気機械変換器を備えた電気機械的装置を以下に説明することにする。
【００２０】
図３に示した装置は、種々の回転輪５４、５５、および５６、時計ムーブメントの種々の要素を取付けるのに使用される穴５８、および蓄電池を入れるために設けられた円形開口６０が設置される平面状構造を形成する軟磁性体から作られた板５２を備えた時計ムーブメント５０である。
【００２１】
時計ムーブメント５０は、図１および図２を参照して説明した単相変換器と同様の構成の第１および第２の単相変換器６２および６４を備えている。二つの変換器６２および６４の二つのそれぞれの回転子（図示せず）はそれぞれ、板５２に加工された二つの穴６６および６７に入っている。第１および第２の固定子開口は、それぞれ二つの変換器６２および６４の第１の固定子磁極７０および７１を部分的に形成するよう設けられている。第１の変換器６２の第２の固定子磁極および第２の変換器６４の第２の固定子磁極は、第１の固定子磁極７０および７１を形成するこの板５２の二つの部分に対して板５２の残りの部分により形成される共通の磁極７２である。もちろん、板５２は、二つの変換器６２および６４の固定子を形成する磁気材料から形成されている。第２の共通板７２は、したがってそれぞれ第１および第２の変換器６２および６４を形成し、且つそれぞれ供給コイル７６および７７を支持しているコア７４および７５を通過する磁束の戻りに使用される。しかし、二つの変換器６２および６４は磁気的に互いに分離している。
【００２２】
コイル７６は固定子開口６８内にあるが、コイル７７は固定子開口６９内にある。固定子開口６８、６９の縁は、それら自身で閉じている。二つの変換器６２および６４の回転子は、それぞれ時計ムーブメントの回転輪５４および５５に機械的に結合されている。図３で明瞭に見られるように、二つの変換器６２および６４を時計の設計者の好みのままに、板５２により形成される表面にどんな仕方によってでも配置することができる。特に、コイル７６および７７は、従来技術のように板５２の周辺にではなく、板５２の内部領域に設置される。
【００２３】
図４を参照して、本発明による複数の単相電気機械変換器を備えた電気機械的内の第２の実施形態を次に説明することにする。
【００２４】
時計ムーブメント８０は、磁気材料から形成されて四つの単相変換器８４、８５、８６、および８７に共通の固定子板として働く板８２を備えている。四つの変換器８４〜８７は、時計ムーブメント８０の種々の回転輪８９を駆動するのに使用される。種々の運動連鎖が鎖線９０により図示されている。変換器８４、８５、８６、および８７は、図２を参照して説明したものと同様の構成の、本発明に従う単相変換器である。したがって、これら変換器の種々の要素および部品をここに再び詳細には説明しない。図４の実施形態は、それぞれ板８２に設けられている固定子開口９２、９４がそれぞれ二つの単相変換器８４、および８５、８６および８７に共通であるという点で図３の実施形態とは特に違っている。二つの固定子開口９２、９４の縁９６および９８は、それら自身で閉じている。
【００２５】
開口９２は、板８２の平面内で重なって、二つの変換器８４および８５のコイル１００および１０２、および二つの変換器８６および８７のコイル１０４および１０６をそれぞれ囲んでいる。固定子開口９４は二つの変換器８４および８５の第１の固定子磁極１１０および１１２を形成している。同様に、固定子開口９４は二つの変換器８６および８７の二つの第１の固定子磁極１１４および１１６を形成している。
【００２６】
第１の固定子磁極１１０、１１２、１１４、１１６は、板８２の内部で、変換器の回転子（図示せず）の設置のために設けられた穴１２０、１２１、１２２、および１２３の周辺にその目的のために設けられた頸により変換器８４、８５、８６、および８７からの磁束を閉じるために使用される、第２の共通固定子磁極１１８から磁気的に絶縁されている。位置決めノッチおよび回転子の永久磁石は、図面を複雑にしないために図４には図示してないことに注目する。しかし、当業者にはこのような位置決めノッチを前に説明した図１および図２のものと同等の仕方で設ける仕方は公知である。
【００２７】
本発明は、これまでに説明した実施形態だけに限定されるものではなく、当業者は、その職業の正常のおよび普通の慣例以内で代案を計画することができる。特に、コイルの配置およびコアの構成を変えることができる。特に、コアを曲げることができる。
【００２８】
最後に、本発明は、時計の分野にばかりでなく、小寸法のモータが必要な、すなわち必要な空間が小さく、このようなモータにより作動される機構に容易に組み込み得るどんな用途にでも、特に測定装置、アナログカウンタ、および小寸法のオーデオおよび／またはビデオ装置にも適用されることが注目される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による単相変換器の第１の実施形態の上面図を示す。
【図２】 図１の第１の実施形態の代案の上面図である。
【図３】 本発明による二つの単相変換器を備えた電気機械的装置の上面図である。
【図４】 中心針の他に、三つのカウンタを備えているクロノグラフ時計ムーブメントの概略上面図である。
【符号の説明】
２ 単相電気機械変換器
４ 回転子
６ 永久磁石
８ 固定子
１０ 平面状構造
１２ コア
１４ コイル
１６ 穴
１８ 固定子磁極
２４ 極拡大部
２５、２６ 頸
３５ 開口
３６ 開口の縁

Claims (8)

1. 特に時計式の小寸法の単相電気機械変換器（２；６２、６４；８４、８５、８６、８７）であって、
   磁気材料から作られた固定子（８）、
   永久磁石（６）を備えた回転子（４）、
   コイル（１４；７６、７７；１００、１０２、１０４ 、１０６）、
   を備え、固定子は、平面状構造（１０；５２；８２）およびコイルが取付けられているコア（１２；７４、７５）を備えており、前記平面状構造は、二つのそれぞれの極拡大部（２２、２４）が回転子が通過する穴（１６；６６、６７；１２０、１２１、１２２、１２３）を形成している二つの固定子磁極（１８、２０；７０、７１；１１０ 、１１２、１１４、１１６、１１８）を形成しており、回転子の永久磁石は、二つの極拡大部と磁気的に結合しており、コアの第１および第２の端は、それぞれ二つの固定子磁極に接続されている変換器であって、前記回転子が通過する穴がそれ自身で閉じた縁を有し、前記平面状構造が２つの磁極を形成して一体に形成され、コイルが前記平面状構造に設けられた開口（３５；６８、６９；９２、９４）内に設置され、前記開口の縁（３６；９６、９８）はそれ自身で閉じていて、前記平面状構造の第２の固定子磁極を形成する部分が、前記平面状構造の第１の固定子磁極を形成する部分と前記平面状構造の平面から突出しているコイルとを囲むようになっていることを特徴とする電気機械変換器。
2. 前記固定子は、それに電気機械式装置の要素（４０、４１；５４、５５、５６；８９）が少なくとも部分的に取付けられている台板（１０；５２；８２）を形成しており、その要素の少なくとも一つは、電気機械変換器の回転子に機械的に結合されていることを特徴とする請求項１に記載の電気機械変換器。
3. 複数の前記固定子が、複数の電気機械変換器の複数の前記回転子をそれぞれ通過させる複数の穴を形成している共通の前記平面状構造（５２；８２）により部分的に形成されている複数の電気機械変換器（６２、６４；８４、８５、８６、８７）を備えている電気機械的装置（５０；８０）であって、複数の変換器の少なくとも一つが請求項１に従って作られていることを特徴とする電気機械的装置（５０；８０）。
4. 共通の前記平面状構造（５２；８２）は、電気機械的装置の要素（５４、５５、５６；８９）が少なくとも部分的に取付けられる台板として使用されることを特徴とする請求項３記載の電気機械的装置。
5. 複数の前記回転子の各回転子は、電気機械的装置の要素（５４、５５、５６；８９）の一つに機械的に結合されていることを特徴とする請求項４記載の電気機械的装置。
6. 複数の変換器は、請求項１または３のいずれかに従って作られた少なくとも二つの変換器（８４、８５；８６、８７）を備えていること、および二つのそれぞれのコイル（１００、１０２；１０４、１０６）は、前記平板状構造の平面から突出しており、それら二つの変換器に共通の前記平面状構造（８２）の同じ固定子開口（９２、９４）内に設置されていることを特徴とする請求項３〜５のいずれかに記載の電気機械的装置（８０）。
7. 電気機械的装置は、少なくとも一つの所定変数の値を表示するアナログ指示器を形成していることを特徴とする上記請求項のいずれかに記載の電気機械的装置。
8. 電気機械的装置は、時計のムーブメントを形成しており、前記少なくとも一つの表示変数は時間であることを特徴とする請求項７記載の電気機械的装置。

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