JP4212084B2 - 排熱投入型一二重効用吸収冷温水機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排熱投入型一二重効用吸収冷温水機に係り、特に、ガスタービン、エンジン等の外部からの排熱を吸収冷温水機の熱源として、一二重効用サイクルで運転する排熱駆動吸収冷温水機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、排熱高温再生器及び排熱低温再生器に外部の排熱を投入し、冷房を一二重効用サイクルで行う冷凍機で、さらに暖房サイクルも行えるものが、次のように提案されている。
(1)特公昭57−20543号公報では、排ガス駆動一二重効用で、暖房時、排熱高温再生器とこれに接続された温水器を、冷暖切替弁で他の機器から切り離し、排熱低温再生器には熱源を投入しないで、排熱高温再生器のみに熱源を投入して、温水器から温水を取出す方式である。この方式では、排熱低温再生器で、本来なら利用できるはずの排熱を利用しないで、排出してしまう欠点があり、また多くの冷暖切替弁(内部系に3弁、排ガス系に2弁)及び温水器が必要になっている。ただし、下記に示す蒸発器温水取り出し方式の場合の溶液循環ポンプの運転は必要ない。
(2)特公昭60−2589号公報では、排ガス駆動一二重効用で、暖房時、排熱高温再生器とこれに接続された温水器及び排熱低温再生器とこれに接続された温水器とを、他の機器から冷暖切替弁で切り離し、排熱高温再生器及び排熱低温再生器に熱源を投入して、両温水器から温水を取出す方式である。多くの冷暖切替弁(内部系に6弁)及び温水器2器が必要になっている。ただし、下記に示す蒸発器温水取り出し方式の場合の溶液循環ポンプの運転は必要ない。
【0003】
(3)特開平4−257668号公報では、一二重効用吸収冷温水機で、温水熱交換器を省略して、暖房モード時に温水を蒸発器から取出す方式が説明されている。高温再生器から、冷媒蒸気及び吸収溶液を直接吸収器に導入し、蒸発器で冷媒蒸気を凝縮させている。排熱低温再生器の熱は、蒸発器を出た温水を、該排熱低温再生器と組になる凝縮器に導いて該温水に与えている。凝縮器が温水器を兼用しており、特に温水器を追加する必要はないが、切替弁が多いという問題がある。
その他、二重効用吸収冷温水機における温水蒸発器取出方式として、高温再生器の冷媒蒸気を蒸発器に導き、蒸発器にてこの冷媒蒸気を凝縮させる方式がよく知られている。この方式では、各機器を循環する溶液の温度が上昇し、例えば、蒸発器で60℃程度の温水を得ようとすると、吸収器出口の溶液温度は85〜95℃にもなり、溶液循環を行うキャンドポンプのモーターの絶縁グレードが高く高価なものとなり、さらにポンプがキャビテーションを起こし易くなる。また、火傷防止のため、吸収器にも保温をする必要がでる等の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、高価な温水器が不要な温水蒸発器取出し方式にすると共に、冷暖切替を簡易に行うことができる排熱高温再生器及び排熱低温再生器に外部の排熱を投入し一二重効用サイクルを行う吸収冷温水機を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、排熱高温再生器、排熱低温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備え、冷房モードで蒸発器から冷水を取出す状態と、暖房モードで蒸発器から温水を取出す状態とを切替え可能に構成した排熱投入型一二重効用吸収冷温水機において、前記低温再生器で発生した冷媒蒸気が凝縮器に流れる通路を有すると共に前記排熱高温再生器の冷媒蒸気を前記低温再生器の加熱側に導く構成とし、暖房モード時に前記低温再生器及び前記排熱低温再生器の蒸気を蒸発器又は吸収器に導く配管と、暖房モード時に前記吸収溶液の循環系統から蒸発器に溶液を導く配管とを設けたことを特徴とする排熱投入型一二重効用吸収冷温水機としたものである。
前記吸収冷温水機において、前記低温再生器及び前記排熱低温再生器の蒸気は、暖房モ ード時に開く弁を介して蒸発器又は吸収器に導く配管が接続されており、前記蒸発器には 、該蒸発器下部と吸収器又は吸収器につながる配管とを結ぶ弁を有する配管を設けることができ、該蒸発器下部と吸収器又は吸収器につながる配管とを結ぶ前記配管中の弁は、暖房モード時に開とし、冷房モード時には、希釈弁(吸収溶液循環系の溶液濃度を希釈する弁)として使用することができ、また、前記排熱高温再生器には、追焚き用の高温再生器を付設することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、冷媒に水、吸収溶液に無機塩類水溶液を用いた吸収冷温水機を対象とする。
本発明の暖房サイクルでは、排熱低温再生器及び低温再生器で発生する冷媒蒸気を蒸発器に導き、蒸発器伝熱面に吸収溶液を散布して、前記冷媒蒸気を吸収させて、温水を加熱する。
蒸発器で冷媒蒸気を凝縮させ、温水を蒸発器から取出す暖房方式では、温水取出し温度をThとすると、凝縮温度(蒸発器露点)は、△Teだけ高くなり、Th+△Teとなり、これに平衡する吸収器の溶液温度は、溶液の沸点上昇△Tsだけ高くなり、Th+△Te+△Tsとなる。
Th=60℃の場合、概略値を当てはめ△Te=2℃(伝熱面積などで数値は変化)とし、吸収溶液にLiBr水溶液を用い、暖房時の濃度を約48wt%とすると△Ts=25℃であり、吸収器出口、溶液循環ポンプ部の温度は87℃程度になる。
【0007】
本発明では、蒸発器に吸収溶液を散布して温水を加熱しており、蒸発器の散布溶液温度は、温水取出温度をThとすると、Th+△Teとなり、この溶液の沸点上昇を△Tsとすると、蒸発器の蒸気の露点(飽和温度)は、Th+△Te−△Tsとなる。溶液循環ポンプを流れる温度は、Th+△Teであり、蒸発器に溶液を散布することで、前述の蒸発器冷媒凝縮方式に比し、溶液の沸点上昇分△Tsだけ低くできる。Th=60℃の場合、概略値を当てはめ△Te=2℃とすると、約62℃である。一方、吸収器、蒸発器への冷媒蒸気は、排熱で加熱される排熱低温再生器及び内部冷媒蒸気で加熱される低温再生器の両低温再生器にて発生している。両低温再生器から吸収器、蒸発器の間には弁を有する冷媒蒸気配管があり、暖房時に開とするが、この弁及び配管前後で、流動のための差圧が必要で、これを飽和蒸気温度に換算して△Tvとすると、両低温再生器の発生冷媒蒸気の露点(飽和温度)は、Th+△Te−△Ts+△Tv、溶液の温度は、沸点上昇分だけ高く、サイクルの濃度幅を無視すれば、概略、Th+△Te+△Tvとなる。実際にはサイクルに濃度幅があり、低温再生器の出口溶液温度はTh+△Te+△Tv+αとなる。αはサイクル濃度幅により変化するが概略α=2〜10℃程度である。
【0008】
この溶液を加熱する低温再生器の加熱側冷媒蒸気露点(高温再生器の露点)は、伝熱のために△Tg高くなり、Th+△Te+△Tv+α+△Tgとなる。冷媒に水、吸収溶液に無機塩類水溶液を用いた吸収冷温水機は、一般に大気圧以下で運転するよう設計し、圧力容器にならない設計を目指している。
伝熱面積、配管サイズなどで数値は変化するが、温水出口温度Th=60℃に対し概略値を当てはめると、△Te=2℃、△Tv=5℃、△Tg=5℃程度であり、高温再生器の露点は72℃+αとなり、大気圧以下の設計が可能である。
前述の蒸発器で冷媒蒸気を凝縮させ、温水を蒸発器から取出す暖房方式に同様の計算を当てはめると、蒸発器の露点(冷媒蒸気飽和温度):Th+△Te、低温再生器の露点:Th+△Te+△Tv、低温再生器の溶液温度:Th+△Te+△Tv+α+△Ts、低温再生器の加熱側冷媒蒸気露点(高温再生器の露点):Th+△Te+△Tv+α+△Ts+△Tgとなる。
吸収溶液にLiBr水溶液を用い、暖房時の濃度を約48wt%とすると△Ts=25℃であり、高温再生器の露点は97℃+αとなる。蒸発器に溜まる冷媒を極力減らし、溶液濃度を低下させれば、大気圧以下の運転も可能となるが、溶液循環ポンプ部の温度が高いという欠点が残る。
即ち、高温再生器の冷媒蒸気を直接、吸収器あるいは蒸発器に導かなくとも、暖房運転が可能である。
【0009】
次に、本発明を、図1〜図3に示す本発明の吸収冷温水機のフロー構成図を
用いて説明する。
図において、Aは吸収器、Gは低温再生器、GHは排熱高温再生器、GRは排熱低温再生器、GHAは高温再生器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、Xは低温熱交換器、XHは高温熱交換器、SPは溶液ポンプ、RPは冷媒ポンプ、V1〜V4は弁、1と2は冷媒蒸気通路、3と4は冷却水、5は高温排ガス、6は冷温水通路、11〜17は溶液流路、18〜24は冷媒流路である。
このように、本発明では、吸収器A、蒸発器E、低温再生器G、凝縮器Cを
、一つの角型缶胴に収め、該缶胴の下部に吸収器Aを、また吸収器Aの斜め上部に蒸発器E、吸収器A上部に凝縮器Cを配置し、さらに、凝縮器C上部に低温再Gを配置し、吸収器A、蒸発器Eの低圧側と、低温再生器G、凝縮器Cの高圧側とを、斜め隔壁で分け、この斜め隔壁の上側に低温再生器Gから凝縮器Cへの冷媒蒸気が流れる通路1を配し、斜め隔壁の下側には蒸発器Eから吸収器Aへの冷媒蒸気が流れる通路2配した構造としている。
【0010】
また、この缶胴とは別に、高温排ガス5を熱源とす排熱高温再生器GHと排熱低温再生器GR、及び高温再生器GHAと溶液熱交換器X、XHが配備されている。そして、この缶胴の吸収器A及び低温再生器Gと、排熱高温再生器GH及び排熱低温再生器GR、高温再生器GHAとは、溶液流路11〜17及び冷媒流路20〜24でそれぞれ接続されている。
排熱として、ガスタービン、ガスエンジンなどからの排ガスを、先ず排熱高温再生器GH、次いで排熱低温再生器GRに導いて熱源としている。
次に、図1について説明すると、図1は、吸収溶液が、吸収器Aから高温再生器GH−低温再生器Gと、排熱低温再生器GRとを経由して吸収器Aに循環するシリーズフローの例である。
【0011】
図1の吸収冷温水機の冷房運転においては、弁V1、V2を閉止、ポンプSP、RPを運転として、冷房サイクルを行う。
吸収器Aからの希溶液の一部を、流路11から分岐して流路13により排熱低温再生器GRに導いて、排熱で加熱濃縮し、濃縮液を流路15から流路16に合流して吸収器Aに戻す。発生した冷媒蒸気は、低温再生器Gを経由あるいは直接凝縮器Cに導く。吸収器Aからの希溶液の大部分は、流路11から排熱高温再生器GHに導き、排熱で加熱濃縮し、次で流路12から低温再生器Gに導き、排熱高温再生器GHで発生した冷媒蒸気で加熱濃縮する。排熱高温再生器GHからの冷媒蒸気は、低温再生器Gの加熱側で冷媒液となり、凝縮器Cに導かれる。両低温再生器G、GRで発生する冷媒蒸気は、凝縮器Cにて冷却され冷媒液となる。凝縮器Cの冷媒液は、流路18により蒸発器Eに導かれる。蒸発器Eで、冷媒液は冷水6から熱を奪い、冷凍効果を出すと共に自らは蒸発して、吸収器Aの溶液に吸収される。吸収器A、凝縮器Cは、冷却水3、4で冷却される。
【0012】
また、暖房運転においては、弁V1、V2を開として、冷暖を切替える。冷却水3、4は流さない。溶液を循環させるため、溶液ポンプSPは運転する。低温再生器Gの圧力レベルの機器(低温再生器G、排熱低温再生器GR、凝縮器C)と吸収器A又は蒸発器Eとを結ぶ配管22中の弁V1を開き、冷媒蒸気を蒸発器Eに導き、ここで吸収させる。
低温再生器G及び排熱低温再生器GRからの溶液を、流路16から低温熱交換器Xの加熱側を経由して、弁V2を開として流路17から蒸発器Eに導く。暖房時に弁V2を開にすることで、溶液は吸収器A散布装置には行かずに、蒸発器E底部あるいは冷媒ポンプRPの吸込み側に導かれ、ポンプRPを運転して蒸発器Eに散布する。蒸発器Eで冷媒蒸気を吸収した溶液は、蒸発器E液溜めのオーバーフロー管から吸収器Aに戻る。
【0013】
蒸発器Eのオーバーフロー管から溶液を戻すと、蒸発器Eの液保有量が最大となり、一方吸収器Aに保有する吸収溶液は最小となる。暖房時は溶液温度が高く、ポンプSPのキャビテーションが発生し易いので、吸収器Aの液保有量が少なく、ポンプSPヘの押込みヘッドが低下するのは好ましくはない。従って、蒸発器E下部に新たに、吸収器Aへの配管と弁V3を設けて、暖房時開として、蒸発器Eの液保有量を減らし、吸収器Aの液保有量を増やすのがよい。この弁V3としては、冷房時に希釈弁として用いている弁を兼用すれば、暖房のために新たに追加することは避けられる。
【0014】
図2は、吸収器Aからの溶液を、低温熱交換器Xの被加熱側を出た後、分岐し、一部を流路13から低温再生器Gに、残りの部分を高温熱交換器XHの被加熱側を経由して、流路11から排熱高温再生器GHに導いているパラレルフローの例である。
低温再生器Gで加熱濃縮された溶液は、流路14から排熱低温再生器GRに導かれ、排熱で加熱濃縮された後、流路15を通り低温熱交換器Xの加熱側に接続されている。排熱高温再生器GHで加熱濃縮された溶液は、流路12から高温熱交換器XHの加熱側を経由して、前記の流路15と合流して低温熱交換器Xの加熱側に接続されている。
【0015】
低温熱交換器Xの加熱側を出た溶液は、流路16から冷房時は吸収器Aに散布され、暖房時は流路17から弁V2を経由して蒸発器Eに散布される。弁V1は、冷房時閉、暖房時開とする。
図2では、溶液フローが、図1と異なるのみで、冷暖切替の弁動作、機器動作は同じである。
図1及び図2では、溶液のフローを、パラレルフロー、シリーズフローをベースにしたもので説明しているが、リバースフロー、あるいはこれらの混合したサイクルフロー等各種のものに適用できる。
冷暖切替の弁動作、機器動作は同様にできる。
【0016】
図3では、負荷に対して、排熱が充分にないとき、高温再生器GHAで追焚きをする例を示している。
追焚きをしても、暖房出力が、排熱単独運転の全出力程度であれば、弁V1と弁V2で冷暖切替が可能である。追焚きをして、出力を大幅に増加させる場合には、高温再生器GHAから冷媒蒸気を、流路23から流路24の弁V4を開として蒸発器E系に直接導いて、高温再生器GHAの内圧及び温度を抑えても差支えない。
弁V1の大幅なサイズアップをせずに、圧力の高い冷媒蒸気を弁サイズの小さな弁V4の追加でカバーすることになる。
【0017】
【発明の効果】
前記のように、本発明においては、暖房サイクルでは、排熱低温再生器及び低温再生器で発生する冷媒蒸気を、蒸発器に導き、冷媒蒸気を凝縮させて温水を加熱するため、高価な温水器が不要な温水蒸発器取出し方式にすると共に、冷房切替を簡易に行うことができる排熱投入型一二重効用サイクルを行う冷吸収冷温水機を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収冷温水機の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明の吸収冷温水機の他の例を示すフロー構成図。
【図3】本発明の吸収冷温水機の他の例を示すフロー構成図。
【符号の説明】
A:吸収器、G:低温再生器、GH:排熱高温再生器、GR:排熱低温再生器、GHA:高温再生器、C:凝縮器、E:蒸発器、X:低温熱交換器、XH:高温熱交換器、SP:溶液ポンプ、RP:冷媒ポンプ、V1〜V4:弁、1、2:冷媒蒸気通路、3、4:冷却水、5:高温排ガス、6:冷温水通路、11〜17:溶液流路、18〜24:冷媒流路
Claims (4)
- 排熱高温再生器、排熱低温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備え、冷房モードで蒸発器から冷水を取出す状態と、暖房モードで蒸発器から温水を取出す状態とを切替え可能に構成した排熱投入型一二重効用吸収冷温水機において、前記低温再生器で発生した冷媒蒸気が凝縮器に流れる通路を有すると共に、前記排熱高温再生器の冷媒蒸気を前記低温再生器の加熱側に導く構成とし、暖房モード時に前記低温再生器及び前記排熱低温再生器の蒸気を蒸発器又は吸収器に導く配管と、暖房モード時に前記吸収溶液の循環系統から蒸発器に溶液を導く配管とを設けたことを特徴とする排熱投入型一二重効用吸収冷温水機。
- 前記低温再生器及び前記排熱低温再生器の蒸気は、暖房モード時に開く弁を介して蒸発器又は吸収器に導く配管が接続されていることを特徴とする請求項1記載の排熱投入型一二重効用吸収冷温水機。
- 前記蒸発器には、該蒸発器の下部と吸収器又は吸収器につながる配管とを結ぶ弁を有する配管を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の排熱投入型一二重効用吸収冷温水機。
- 前記排熱高温再生器には、追焚き用の高温再生器を付設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の排熱投入型一二重効用吸収冷温水機。
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