JP4211487B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の制御装置に関し、フリクショントルクを推定する内燃機関に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の図示トルクを求めるため、フリクショントルクを算出することが知られている。例えば、特開平11−294213号公報には、エンジン回転数と水温のマップからフリクショントルクを算出することが記載されている。
【特許文献1】
特開平11−294213号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フリクショントルクは機関の経時変化、環境の変化などの要因によりその値が変化する。同公報に記載された方法では、フリクショントルクの経時変化などを考慮していないため、算出したフリクショントルクに誤差が含まれることがある。
【0004】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、内燃機関のフリクショントルクを高い精度で求め、内燃機関の燃焼状態、出力を高い精度で推定することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
所定パラメータと機関のフリクショントルクとの関係を定めた標準フリクション特性を記憶した記憶手段と、
クランク角加速度を求める角加速度算出手段と、
前記フリクショントルクと前記クランク角加速度を用いて推定図示トルクを算出する推定図示トルク算出手段と、
筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
前記筒内圧に基づいて実測図示トルクを算出する実測図示トルク算出手段と、
前記推定図示トルクと前記実測図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正するフリクショントルク補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記フリクショントルク補正手段は、
前記推定図示トルクと前記実測図示トルクとの偏差に基づいて、前記標準フリクション特性を補正する手段と、
補正された標準フリクション特性に基づいて、補正されたフリクショントルクを取得する手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記内燃機関は、複数気筒を有し、
前記筒内圧取得手段は、前記複数気筒の中の一部の気筒の筒内圧を取得することを特徴とする。
【0006】
の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、
前記推定図示トルクの算出区間の爆発行程と前記実測図示トルクの算出区間の爆発行程とを同一の行程としたことを特徴とする。
【0007】
の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、
前記推定図示トルクをクランク軸がn回転(nは自然数)する区間の平均値として算出することを特徴とする。
【0008】
の発明は、第の発明において、前記筒内圧取得手段を(全気筒数/2)個の気筒に設け、かつ連続して爆発行程が行われる気筒に設けたことを特徴とする。
【0009】
の発明は、上記の目的を達成するため、
所定パラメータと機関のフリクショントルクとの関係を定めた標準フリクション特性を記憶した第1の記憶手段と、
機関運転状態を取得する機関運転状態取得手段と、
前記機関運転状態と図示トルクとの関係を記憶した第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段から前記機関運転状態に対応した前記図示トルクを取得する図示トルク取得手段と、
クランク角加速度を求める角加速度算出手段と、
前記フリクショントルクと前記クランク角加速度とを用いて推定図示トルクを算出する推定図示トルク算出手段と、
前記推定図示トルクと前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正するフリクショントルク補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、第8の発明は、第7の発明において、
前記フリクショントルク補正手段は、
前記推定図示トルクと前記図示トルクとの偏差に基づいて、前記標準フリクション特性を補正する手段と、
補正された標準フリクション特性に基づいて、補正されたフリクショントルクを取得する手段と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
の発明は、第7または第8の発明において、
前記推定図示トルクが算出される前に、前記機関運転状態に基づいて、点火時期を最大トルクが発生される所定の点火時期に設定する点火時期設定手段を更に備え、
前記第2の記憶手段は、最大トルクが発生される所定の点火時期での前記機関運転状態と前記図示トルクとの関係を記憶し、
前記所定の点火時期で算出された前記推定図示トルクと、前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正することを特徴とする。
【0011】
10の発明は、第7乃至第9の何れか1つの発明において、
前記推定図示トルク算出手段は、始動後から機関出力が定常状態に達する過程で前記推定図示トルクを算出し、
機関出力が定常状態に達する過程で算出した前記推定図示トルクと、前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1〜3にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。以下の各実施形態では4気筒の内燃機関を例示する。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。また、排気通路14には排気浄化触媒32が配置されている。
【0014】
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
【0015】
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。サージタンク28の近傍には、吸気通路12の圧力(吸気管圧力)を検出する吸気管圧センサ29が設けられている。また、サージタンク28の更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁30が配置されている。
【0016】
内燃機関10の各気筒はピストン34を備えている。ピストン34には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸36が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36の回転角を検出するためのクランク角センサ38が取り付けられている。また、内燃機関10のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ42が取り付けられている。また、内燃機関10が有する4つの気筒のうちの1気筒には、筒内の圧力(筒内圧)を検出するための筒内圧センサ44が設けられている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の燃焼状態推定装置はECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサおよび燃料噴射弁30などが接続されている。
【0018】
次に、図1のシステムにより内燃機関10の図示トルクTを推定する方法を具体的に説明する。最初に、図示トルクTの推定に用いる数式について説明する。本実施形態では、以下の(1)式、(2)式を用いて燃焼状態の推定を行う。
【0019】
【数1】
Figure 0004211487
【0020】
(1)式、(2)式において、図示トルクT(推定図示トルクT)は、エンジンの燃焼によってクランク軸36に発生するトルクである。ここで、(2)式の右辺は図示トルクTを発生させるトルクを示しており、(1)式の右辺は図示トルクTを消費するトルクを示している。
【0021】
(1)式の右辺において、Jは混合気の燃焼等によって駆動される駆動部材の慣性モーメント、dω/dtはクランク軸36の角加速度、Tは駆動部のフリクショントルク、Tは走行時に路面から受ける負荷トルク、を示している。ここで、J×(dω/dt)はクランク軸36の角加速度に起因する動的な損失トルク(=Tac)である。フリクショントルクTは、ピストン34とシリンダ内壁の摩擦など各嵌合部の機械的な摩擦によるトルクであって、補機類の機械的な摩擦によるトルクを含むものである。負荷トルクTは、走行時の路面状態などの外乱によるトルクである。本実施形態では、シフトギヤをニュートラルの状態にして燃焼状態を推定するため、以下の説明ではT=0とする。
【0022】
また、(2)式の右辺において、Tgasはシリンダの筒内ガス圧によるトルク、Tinertiaはピストン34などの往復慣性質量による慣性トルクを示している。筒内ガス圧によるトルクTgasは、シリンダ内の混合気の燃焼によって発生するトルクである。燃焼状態を正確に推定するためには、筒内ガス圧によるトルクTgasを求める必要がある。
【0023】
(1)式に示されるように、図示トルクTは、角加速度に起因する動的な損失トルクJ×(dω/dt)、フリクショントルクT、及び負荷トルクTの和として求めることができる。しかし、(2)式に示されるように、図示トルクTと筒内ガス圧によるトルクTgasは一致しないため、図示トルクTから燃焼状態を正確に推定することはできない。
【0024】
図2は、(2)式の各トルクとクランク角との関係を示す特性図である。図2において、縦軸は各トルクの大きさを、横軸はクランク角を示しており、図2中の一点鎖線は図示トルクTを、実線は筒内ガス圧によるトルクTgasを、破線は往復慣性質量による慣性トルクTinertiaをそれぞれ示している。ここで、図2は4気筒の場合の特性を示したものであり、図2中のTDC、BDCは、4気筒のうちの1気筒のピストン34が上死点(TDC)、または下死点(BDC)の位置にある場合のクランク角(0°,180°)を示している。内燃機関10が4気筒の場合、クランク軸36が180°回転する度に1気筒づつ爆発(膨張)行程が行われ、1回の爆発毎に図2中のTDCからBDCまでのトルク特性が繰り返し現れる。
【0025】
図2中の実線に示すように、筒内ガス圧によるトルクTgasは、TDCからBDCの間で急激に増加し、減少する。ここで、Tgasの急激な増加は、爆発工程で燃焼室内の混合気が爆発するためである。爆発後、Tgasは減少し、他の圧縮行程あるいは排気行程にある気筒の影響により、負の値を取る。そのクランク角がBDCに達するとシリンダの容積変化が0となり、これによってTgasは0の値を取る。
【0026】
一方、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaは、筒内ガス圧によるトルクTgasとはほとんどあるいは無視できるほど無関係に、ピストン34など往復運動する部材の慣性質量によって発生する慣性トルクである。往復運動する部材は加減速を繰り返しており、Tinertiaはクランクが回転していれば角速度一定の場合であっても常に発生する。図2中の破線に示すように、クランク角がTDCの位置では往復運動する部材は停止しており、Tinertia=0である。クランク角がTDCからBDCに向かって進むと、往復運動する部材が停止状態から運動し始める。この際、これらの部材の慣性によってTinertiaは負の方向に増加する。クランク角が90°近傍に達した時点では、往復運動する部材が所定の速度で運動しているため、これらの部材の慣性によってクランク軸36が回転する。従って、TinertiaはTDCとBDCの間で負の値から正の値へ変わる。その後、クランク角がBDCまで到達すると往復運動する部材は停止し、Tinertia=0となる。
【0027】
(2)式に示されるように、図示トルクTは筒内ガス圧によるトルクTgasと往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの和である。このため、図2の一点鎖線に示されるように、TDCとBDCの間では、図示トルクTは混合気の爆発によるTgasの増加によって増加し、一旦減少した後、Tinertiaによって再び増加するという複雑な挙動を示している。
【0028】
しかし、TDCからBDCまでのクランク角180°の区間に着目すると、この区間での往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値は0となる。これは、往復慣性質量を有する部材が、クランク角0°〜90°近傍とクランク角90°近傍〜180°で反対の動きをするためである。従って、(1)式および(2)式の各トルクをTDCからBDCまでの平均値として算出すると、往復慣性質量による慣性トルクTinertia=0として計算することができる。これにより、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaが図示トルクTに与える影響を排除することができ、正確に図示トルクTを推定することが可能となる。従って、図示トルクTに基づいて正確な燃焼状態を簡単に推定することが可能となる。
【0029】
そして、TDCからBDCまでの区間において各トルクの平均値を求めると、Tinertiaの平均値が0となるため、(2)式から、図示トルクTの平均値と筒内ガス圧によるトルクTgasの平均値とが等しくなる。このため、図示トルクTに基づいて正確に燃焼状態を推定することができる。
【0030】
更に、TDCからBDCまでの区間でクランク軸36の角加速度の平均値を求めると、この区間でのTinertiaの平均値は0であるため、往復慣性質量が角加速度に与える影響を排除して角加速度を求めることができる。従って、燃焼状態のみに起因する角加速度を算出することができ、角加速度に基づいて正確に燃焼状態を推定することが可能となる。
【0031】
次に、(1)式の右辺の各トルクを算出して、左辺の図示トルクTを求める方法を説明する。最初に、角加速度に起因する動的な損失トルクTac=J×(dω/dt)の算出方法を説明する。図3は、クランク軸36の角加速度を求める方法を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態では、クランク軸36の回転の10°毎にクランク角センサ38からクランク角信号が検出される。
【0032】
本実施形態の燃焼状態推定装置は、角加速度に起因する動的な損失トルクT を、TDCからBDCまでのクランク角180°の区間の平均値として算出する。このために、本実施形態の装置は、TDCとBDCの2ヶ所のクランク角位置で角速度ω(k),ω(k+1)をそれぞれ求め、同時にクランク軸36がTDCからBDCまで回転する時間Δt(k)を求める。
【0033】
角速度ω(k)を求める際には、例えば図3に示すように、クランク角がTDCの位置から前後10°づつ回転している間の時間Δt(k),Δt10(k)をクランク角センサ38から検出する。そして、時間Δt(k)+Δt10(k)の間にクランク軸36が20°回転しているため、ω(k)=(20/(Δt(k)+Δt10(k)))×(π/180)を演算することによってω(k)[rad/s]を算出できる。同様に、ω(k+1)を算出する際は、クランク角がBDCの位置から前後10°づつ回転している間の時間Δt(k+1),Δt10(k+1)を検出する。そして、ω(k+1)=(20/(Δt(k+1)+Δt10(k+1)))×(π/180)を演算することによってω(k+1)[rad/s]を算出できる。
【0034】
角速度ω(k),ω(k+1)を求めた後は、(ω(k+1)−ω(k))/Δt(k)を演算し、TDCからBDCまでクランク軸36が回転する間の角加速度の平均値を算出する。
【0035】
そして、角加速度の平均値を求めた後は、(1)式の右辺に従って、角加速度の平均値と慣性モーメントJを乗算する。これにより、クランク軸36がTDCからBDCまで回転する間の動的な損失トルクJ×(dω/dt)の平均値を算出できる。なお、駆動部の慣性モーメントJは、駆動部品の慣性質量から予め求めておく。
【0036】
なお、上述した例では、TDCとBDCにおける角速度から角加速度による動的な損失トルクTacを求めたが、TDCからBDCまでの区間を更に複数の区間に分割し、分割した各区間毎に角加速度による動的な損失トルクを求め、これらの損失トルクを平均して180°毎の損失トルクTacを求めても良い。例えば、TDCからBDCまでのクランク角を30°毎に6等分し、30°毎に動的な損失トルクを求めて平均化処理することで、TDC−BDC間の動的な損失トルクTacの平均値を求めても良い。これにより、クランク角速度の検出箇所をより多くすることができ、クランク角検出誤差を最小限に抑えることが可能となる。
【0037】
次にフリクショントルクTの算出方法を説明する。図4はフリクショントルクTと内燃機関10の機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)との関係を表したマップである。図4において、フリクショントルクT、機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)は、TDCからBDCまでクランク軸36が180°回転した場合の平均値である。また、冷却水温は、thw1→thw2→thw3の順に高温になる。図4に示すように、フリクショントルクTは機関回転数(Ne)が増えると増加し、また冷却水温(thw)が低くなると増加する傾向にある。図4のマップは、機関回転数(Ne)、冷却水温(thw)をパラメータとして可変し、TDCからBDCまでクランク軸36を回転させた際に発生するフリクショントルクTを測定し、その平均値を算出することで予め作成しておく。そして、燃焼状態を推定する際には、TDCからBDCまでの区間における冷却水温の平均値、機関回転数の平均値を図4のマップに当てはめて、フリクショントルクTの平均値を求める。この際、冷却水温は水温センサ42から、機関回転数はクランク角センサ38からそれぞれ検出する。
【0038】
クランク角の変動に伴うフリクショントルクTの挙動は非常に複雑であり、バラツキも大きい。しかし、フリクショントルクTの挙動は主としてピストン34の速度に依存しているため、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間毎のフリクショントルクTの平均値はほぼ一定している。従って、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となるクランク角180°の区間(TDC→BDC)毎にフリクショントルクTの平均値を求めることで、複雑な瞬時挙動を示すフリクショントルクTを精度良く求めることができる。また、フリクショントルクTをこの区間毎の平均値とすることで、図4に示すマップを正確に作成することができる。
【0039】
また、上述したようにフリクショントルクTには補機類の摩擦によるトルクが含まれる。ここで、補機類の摩擦によるトルクは、補機類が動作しているか否かによって値が異なる。例えば、補機の1つであるエアコンのコンプレッサには、エンジンの回転がベルト等によって伝達されており、エアコンが実際に動作していない状態であっても摩擦によるトルクが発生している。
【0040】
一方、補機類を動作させた場合、例えばエアコンのスイッチをオン(ON)した場合は、エアコンを動作させていない状態に比べてコンプレッサで消費されるトルクは大きくなる。このため、補機類の摩擦によるトルクが大きくなり、フリクショントルクTの値も増大する。従って、フリクショントルクTを正確に求めるためには、補機類の動作状態を検出し、補機類のスイッチがオン(ON)している場合には、図4のマップから求めたフリクショントルクTの値を補正することが望ましい。
【0041】
なお、極冷間始動時などにおいては、実際にフリクショントルクTが発生している部位の温度と冷却水温との差を考慮して、フリクショントルクTを補正することがより好適である。この場合、冷間始動後の機関始動時間、筒内流入燃料量等を考慮して補正を行うことが望ましい。
【0042】
角加速度に起因する動的な損失トルクTacとフリクショントルクTが求まった後、TacとTを加算することで(1)式の左辺の推定図示トルクTが算出される。本実施形態の装置では、推定図示トルクTの算出精度をより高めるため、筒内圧センサ44の検出値から実測図示トルクTi_cpsを算出し、実測図示トルクTi_cpsに基づいて(1)式から求められた推定図示トルクTを補正する。実測図示トルクTi_cpsは以下の(3)式から算出することができる。
【0043】
【数2】
Figure 0004211487
【0044】
(3)式において、Ti_cpsは1サイクル(クランク角720°)で平均した実測図示トルク(実測平均図示トルク)を720°CA/気筒数の区間で換算したものである。また、P#1(θ)はクランク角θ毎に算出される筒内圧であって、筒内圧センサ44の検出値から得られる。V#1(θ)はクランク角θ毎に算出される筒内容積であって、内燃機関の諸元(ボア×ストローク、燃焼室容積など)とクランク角センサ38から検出したクランク角から求められる。
【0045】
実測平均図示トルクTi_cpsは、1サイクルにおける筒内ガスの仕事(720°CA/気筒数の区間で換算したもの)として求められ、(3)式に示されるように、クランク角θ毎にP#1(θ)とdV#1(θ)/dθの積を求め、1サイクルの区間でその平均値(Average)を算出し、気筒数Nを乗ずることで求められる。
【0046】
図5は、算出した推定図示トルクT(k)(=Tgas(k))および実測図示トルクTi_cpsと、各気筒の各行程との関係を示す模式図である。図5に示すように、内燃機関10が#1〜#4の4気筒で構成される場合、クランク軸36の180°回転毎に#1、#3、#4、#2の順で爆発行程が行われる。爆発行程毎、すなわちクランク角180°毎に推定図示トルクTを順次算出していくと、図5に示すように、推定図示トルクT(k)は#1の気筒の爆発に対応する。同様に、推定図示トルクT(k−2)は#4の気筒の爆発に、推定図示トルクT(k−1)は#2の気筒の爆発に、推定図示トルクT(k+1)は#3の気筒の爆発に、推定図示トルクT(k+2)は#4の気筒の爆発に、それぞれ対応する。
【0047】
ここで、推定図示トルクT(k)が発生した行程に着目すると、#1は爆発行程、#3は圧縮行程、#4は吸気行程、#2は排気行程となっている。ここで、圧縮、吸気、排気行程のトルクは、爆発行程で発生する筒内ガス圧によるトルクに比べて非常に小さいため、推定図示トルクT(k)は#1の爆発により発生した筒内ガス圧によるトルクTgasとみなすことができる。従って、推定図示トルクをT(k−2),T(k−1),T,T(k+1),T(k+2)の順に算出することで、#4、#2、#1、#3、#4の順に各気筒の爆発による筒内ガス圧によるトルクTgasを算出することができる。これにより、各気筒の燃焼状態を推定することができる。
【0048】
一方、筒内圧センサ44を#1の気筒に取り付けた場合、#1の吸気、圧縮、爆発、排気の4行程(1サイクル)から実測図示トルクTi_cpsが求まる。図5では、推定図示トルクT(k)を算出した行程を点線で囲んだ領域Aとして示し、実測図示トルクTi_cpsを算出した行程を一点鎖線で囲んだ領域Bとして示している。定常運転時においては、領域Aの吸気行程で発生するトルクと、領域Bの吸気行程で発生するトルクは略同一とみなすことができる。同様に、領域Aの圧縮、排気行程で発生するトルクと、領域Bの圧縮、排気行程で発生するトルクもそれぞれ略同一とみなすことができる。更に、領域Aの爆発行程と領域Bの爆発行程は共通である。
【0049】
従って、推定図示トルクT(k)及び実測図示トルクTi_cpsが正確に求められていれば、推定図示トルクTと実測図示トルクTi_cpsとは略等しい値となる。推定図示トルクT(k)と実測図示トルクTi_cpsの算出値が相違する場合には、いずれかの算出値に誤差が含まれているものと想定できるが、実測図示トルクTi_cpsは筒内圧センサ44から検出した実際の筒内圧を用いて算出された値であるため、その誤差要因は小さいと考えられる。一方、推定図示トルクT(k)は、上述したように図のマップから求めたフリクショントルクTを用いて算出されるが、フリクショントルクTは機械的な摩擦によるトルクであるため、摺動部の経時変化等によりその値が変動する場合がある。
【0050】
従って、本実施形態の装置では、定常運転(機関回転数一定)時に取得した推定図示トルクT(k)と実測図示トルクTi_cpsの算出値が相違する場合は、フリクショントルクTに経時変化等に起因する変動が生じたものとして、フリクショントルクTを補正するようにしている。すなわち、図のフリクション特性は経時変化による変動要因を含めた特性ではないため、本実施形態の装置では、経時変化によりフリクション特性が変動した場合は、図の特性を補正することにより、以降の推定図示トルクTを精度良く求めるようにしている。
【0051】
実測図示トルクTi_cpsは筒内圧センサ44が設けられた気筒(#1)の吸気、圧縮、爆発、排気の4行程から算出され、推定図示トルクT(k)はクランク角180°の回転角毎に算出することができる。実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクT(k)を比較する場合は、実測図示トルクTi_cpsを算出した際に爆発行程が行われた気筒と、推定図示トルクT(k)を算出した際に爆発行程が行われた気筒が同一となるようにする。すなわち、図5に示すように、領域Aの爆発行程と領域Bの爆発行程が共通となるように、実測図示トルクTi_cpsおよび推定図示トルクT(k)の算出区間を設定する。
【0052】
上述したようにトルク発生に寄与するのは主として爆発行程である。このため、実測図示トルクTi_cps算出時の爆発行程と推定図示トルクT(k)算出時の爆発行程を共通に設定しておくことで、燃焼にバラツキが生じている場合であっても、燃焼バラツキによるトルク変動は実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTの双方の算出値に反映されることとなる。従って、燃焼バラツキの影響を殆ど受けることなく、実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTの比較を精度良く行うことができる。
【0053】
次に、図6〜図8のフローチャートに基づいて、本実施形態の装置における処理の手順を説明する。ここで、図6のフローチャートは、推定図示トルクTを算出する処理手順を、図7のフローチャートは実測図示トルクTi_cpsを算出する処理手順を、図8のフローチャートはフリクショントルクTを補正する処理手順をそれぞれ示している。
【0054】
最初に、推定図示トルクTを算出する処理手順を図6のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS1では、フリクション補正を実施するための運転条件が成立しているか否かを判別する。ここでは、運転条件が定常状態であり、かつ無負荷の状態であるか否かを判別する。補正を実施するための運転条件が成立している場合はステップS2へ進み、成立していない場合は終了する(END)。
【0055】
次のステップS2では、クランク角位置が推定図示トルクTの算出タイミングであるか否かを判定する。具体的には、クランク角がΔt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)を検出する位置であるか否かを判定する。ここで、Δt(k),Δt10(k)は、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)から前後10°づつクランク角が回転している間の時間である。また、Δt(k+1),Δt10(k+1)は、#1の爆発行程が完了したクランク角位置(BDC)から前後10°づつクランク角が回転している間の時間である。トルク算出タイミングである場合はステップS3へ進み、トルク算出タイミングでない場合は終了する(END)。
【0056】
次のステップS3では、トルク算出に必要なパラメータを取得する。具体的には、機関回転数(Ne(k)),冷却水温(thw(k)),角速度(ω(k),ω(k+1))、時間(Δt)などの各パラメータを取得する。
【0057】
次のステップS4では、フリクショントルクT(k)を算出する。上述のように、フリクショントルクT(k)は機関回転数(Ne(k))と冷却水温(thw(k))の関数であり、図4のマップからTDCからBDCまでの区間における平均値を求める。
【0058】
次の、ステップS5では、補機類のスイッチがオン(ON)しているか否かを判定する。スイッチがオン(ON)している場合はステップS6へ進み、ステップS4で求めたフリクショントルクT(k)を補正する。具体的には、T(k)に所定の補正係数を乗算したり、T(k)に所定の補正値を加算するなどの方法で補正を行う。ステップS5でスイッチがオフ(OFF)の場合はステップS7へ進む。
【0059】
ステップS7では、角加速度に起因する動的な損失トルクTac(k)を算出する。ここでは、Tac(k)=J×((ω(k+1)−ω(k))/Δt)を演算して、TDCからBDCまでの区間における動的な損失トルクの平均値Tac(k)を算出する。
【0060】
次のステップS8では、推定図示トルクT(k)を算出する。ここでは、T(k)=Tac(k)+T(k)を演算してT(k)を算出する。なお、ステップS6でT(k)を補正している場合は、補正後のT(k)を用いて演算を行う。ここで得られた推定図示トルクT(k)は、TDCからBDCまでの区間の平均値である。
【0061】
そして、TDCからBDCまでの区間では、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値=0であるため、式(2)より、求めた推定図示トルクT(k)は筒内ガス圧によるトルクTgas(k)となる。
【0062】
次に、実測図示トルクTi_cpsを算出する処理について図7のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS11では、フリクション補正を実施するための運転条件が成立しているか否かを判別する。ここでは、運転条件が定常状態であり、かつ無負荷の状態であるか否かを判別する。補正を実施するための運転条件が成立している場合はステップS12へ進み、成立していない場合は終了する(END)。
【0063】
次のステップS12では、実測図示トルクTi_cpsの算出タイミングであるか否かを判定する。具体的には、筒内圧センサ44が設けられた気筒が吸気行程開始時のTDCのクランク角位置にあるか否かを判定する。トルク算出タイミングである場合はステップS13へ進み、トルク算出タイミングでない場合は終了する(END)。
【0064】
次のステップS13では、実測図示トルク算出に必要なパラメータを取得していく。具体的には、クランク角センサ38から検出される所定のクランク角θ毎にdV#1(θ)/dθを算出し、また、クランク角θ毎に筒内圧センサ44から筒内圧P#1(θ)を検出する。dV#1(θ)/dθ、P#1(θ)は、筒内圧センサ44が設けられた気筒の排気行程が終了する時点まで取得する。
【0065】
次のステップS14では、実測図示トルクTi_cpsを算出する。ここでは、ステップS13で取得したP#1(θ)、dV#1(θ)/dθを用い、(3)式に基づいて1サイクルで平均した値の実測図示トルクTi_cpsを算出する。
【0066】
次に、フリクショントルクTを補正する処理について図8のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS21では、図6の処理で求めた推定図示トルクTと、図7の処理で求めた実測図示トルクTi_cpsとの差ΔTを算出する。次のステップS22では、ΔTに基づいてフリクション補正ロジックを実施する。ここでは、ΔTに基づいて図のフリクション特性を補正する。
【0067】
図9及び図10は、図のマップを補正する方法を示す模式図である。図9は、1つのΔTの値を用いてマップを補正する方法を示している。また、図10は、2つのΔTの値を用いてマップを補正する方法を示している。
【0068】
図9の方法では、1つのΔTを補正係数としてマップのTの値を補正する。すなわち、T(補正後)=function(ΔT,Map(Ne,thw))とする。例えば、
(補正後)=Map(Ne,thw)+C・ΔT
のように、補正前のTと、ΔTを所定の係数C倍して得られた値とを加算して、補正後のTを求める。また、
(補正後)=C・ΔT・Map(Ne,thw)
のように、補正前のTと、ΔTを所定の係数C倍して得られた値とを乗算して、補正後のTを求めても良い。図9の方法によれば、ΔTに基づいて、マップのTの絶対値を補正することができる。
【0069】
図10の方法は、異なる運転状態から2つのΔT(ΔTf1およびΔTf2)を求め、ΔTf1,ΔTf2を補正係数としてマップのTの値を補正する。すなわち、T(補正後)=function(ΔTf1,ΔTf2,Map(Ne,thw))とする。例えば下式に基づいて、マップから得られたTと、Tfw1及びTfw2の平均値を所定の係数C倍して得られた値とを加算して、補正後のTを求める。
(補正後)=Map(Ne,thw)+C・((ΔTf1+ΔTf2)/2)
【0070】
図10の方法によれば、2つのΔTに基づいて、マップのTの絶対値とともに、Tの傾きをも補正することができる。
【0071】
以上説明したように本実施形態によれば、実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTとを比較し、比較の結果に基づいて図のマップのフリクション特性を補正するようにしたため、フリクショントルクTに経時変化が発生した場合であっても、正確に推定図示トルクTを算出することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態の燃焼状態推定装置によれば、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間でクランク軸36の角加速度の平均値を算出するようにしたため、Tinertiaが角加速度に与える影響を排除することができ、燃焼状態に対応した情報のみから角加速度、及び角加速度による動的な損失トルクTacを求めることができる。また、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間においてフリクショントルクの平均値を求めるようにしたため、瞬間的なフリクション挙動に影響を受けることなく、正確にフリクショントルクTを求めることができる。従って、燃焼状態に対応した推定図示トルクTの絶対値を高い精度で求めることができ、推定図示トルクTに基づいて燃焼状態を正確に推定することが可能となる。
【0073】
なお、上述した例では、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間を180°に設定したが、Tinertiaの平均値が0となる区間をより広く設定しても良い。4気筒の内燃機関の場合、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間の最少単位が180°であるため、180°の整数倍でTinertiaの平均値が0となる区間を設定することができる。例えば推定したトルクによってトルク制御を行う場合など、推定図示トルクTを推定する頻度が低くても構わない場合には、360°、720°などの、より広い角度範囲に設定しても構わない。
【0074】
なお、上述した例では、4気筒の内燃機関に本発明を適用したが、4気筒以外の内燃機関であっても往復慣性質量によるトルクTinertiaの平均値が0となる区間を求めることで、4気筒の場合と同様に図示トルクTを算出することができ、図示トルクTに基づいて燃焼状態を推定することができる。図11は、4気筒以外の内燃機関におけるトルク特性を示す図であって、図2と同様に(2)式の各トルクとクランク角との関係を示す特性図である。ここで、図11(A)は単気筒の場合を、図11(B)は6気筒の場合をそれぞれ示している。
【0075】
図11(A)に示すように、単気筒の場合はクランク角720°毎に1回の爆発行程が行われ、筒内ガス圧によるトルクTgasは1回の爆発毎に増加、減少を繰り返す。そして、クランク角360°〜540°の区間で往復慣性質量によるトルクTinertia(点線)の平均値は0となる。従って、この区間毎に角加速度を求めることで、推定図示トルクTを正確に算出することができ、推定図示トルクTに基づいて燃焼状態を正確に推定することができる。そして、実測図示トルクTi_cpsを1サイクルの区間で求め、推定図示トルクTと比較することで、フリクショントルクTの経時変化を求めることが可能となる。
【0076】
図11(B)に示す6気筒の場合も同様である。6気筒の場合は、クランク角720°毎に6回の爆発行程が行われるため、筒内ガス圧によるトルクTgasはクランク角120°毎に増加、減少を繰り返す。そして、クランク角0°〜120°の区間で往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値は0となる。従って、クランク角120°毎に角加速度を求めることで往復慣性質量による影響を排除することができ、推定図示トルクTを正確に求めて燃焼状態を推定することができる。そして、実測図示トルクTi_cpsを1サイクルの区間で求め、推定図示トルクTと比較することで、フリクショントルクTの経時変化を求めることが可能となる。なお、1サイクルのクランク回転角は720°であるため、特に多気筒の内燃機関の場合、(720°/気筒数)を演算して得られた角度範囲をTinertiaの平均値が0となる区間の最少単位とすることができる。
【0077】
なお、上述した例では、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値が0となる区間で、クランク角加速度、損失トルク、フリクショントルクの平均値を算出したが、平均値以外の情報、例えばトルクの積算値をこの区間で算出しても良い。この区間ではTinertiaの影響が排除されているため、積算値などの他のパラメータを用いても燃焼状態を正確に推定することができる。
【0078】
また、上述した例では、負荷トルクTl=0として燃焼状態を推定したが、傾きセンサなどの情報に基づいて負荷トルクTを求め、推定図示トルクTの推定に用いることで、車両走行時の全運転領域で推定図示トルクTを求めることが可能となる。これにより、例えば冷間始動時に負荷変化に起因する冷間ヘジテーション(始動時のもたつき)が発生した場合であっても、燃焼状態を確実に推定することが可能となる。
【0079】
また、上述した例では、爆発行程による燃焼が発生している状態で実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTを算出したが、燃焼によるトルクが発生していない状態で実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTを算出してフリクション補正を行っても良い。例えば、点火を行わずにクランキングを実施した場合、または機関運転中にフューエルカットを実施した場合などに実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTを算出してフリクション補正を行っても良い。この場合、燃焼によるトルクのバラツキは生じないため、実測図示トルクTi_cpsを算出する爆発行程と推定図示トルクTを算出する爆発行程とを同一行程としなくても良い。
【0080】
また、実施の形態1では1つの気筒に筒内圧センサ44を設けて実測図示トルクTi_cpsを算出したが、複数の気筒に筒内圧センサ44を設けて実測図示トルクTi_cpsを算出し、平均値を算出することで実測図示トルクTi_cpsの算出精度を高めても良い。
【0081】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、機関運転状態に基づいてマップから図示トルクを算出し、推定図示トルクTとマップ算出した図示トルクを比較してフリクション補正を行うものである。実施の形態2の装置の構成は図1に示した構成と同様であるが、実施の形態2では、筒内圧センサ44を設ける必要がない点で実施の形態1と相違する。
【0082】
内燃機関10から出力される図示トルクは、主として機関運転状態(吸気管圧、機関回転数、点火時期など)によって定まる。従って、機関運転状態に応じた図示トルクを予め取得してマップを作成しておくことで、各運転状態に応じた図示トルクをマップから取得することができる。
【0083】
特に、機関の始動直後においては、冷却水温、筒内温度、筒内圧、バルブタイミングなどトルク変動の要因となるパラメータはほぼ一定しているため、始動直後からアイドリングの定常状態に達するまでのトルクの立ち上がり特性はほぼ一定している。従って、例えば始動開始からアイドリングの定常状態に達するまでの時間が長くなり、筒内トルクの立ち上がりが鈍くなった場合は、図のフリクション特性に経時変化が生じたものと判断できる。このため、実施の形態2では、始動直後からトルクが定常状態に達するまでのトルクの立ち上がり過程において、推定図示トルクTとマップから算出した図示トルクを比較する。これにより、フリクショントルクTの変動に起因する推定図示トルクTの変動を精度良く求めることができる。
【0084】
この際、実施の形態2の装置では、点火時期をMBT(Minimum Spark Advance for Best Torque)に設定した場合の、各運転状態(吸気管圧力Pm、機関回転数Ne)における図示トルクをマップで記憶している。そして、点火時期をMBTに設定して推定図示トルクTを算出し、マップから求めた図示トルクと比較することによりフリクション補正を行う。この際、吸気管圧力Pmは、吸気通路12に設けた吸気圧センサ29から検出する。吸気圧センサ29を用いない場合は、エアフロメータ20で検出した吸入空気量(Ga)から推定する方法、スロットル開度と機関回転数から推定する方法等から吸気管圧力Pmを取得しても良い。
【0085】
点火時期をMBTに設定した状態では、その時点での機関運転状態に応じた最大トルクが出力される。従って、この状態で推定図示トルクTを算出し、推定図示トルクTが最大トルクに達していない場合は、フリクショントルクTが経時変化等により変動したものとして図のフリクション特性を補正する。点火時期をMBTに固定した状態で機関運転状態と図示トルクとの関係を定めたマップを作成することで、点火時期の変動に起因する筒内トルクの変動要因をマップから除外することができ、マップの次元を減らしてマップを簡素に構成することができる。
【0086】
推定図示トルクTの算出方法は、実施の形態1と同様である。4気筒の機関の場合、推定図示トルクTはクランク角180°の区間毎に算出されるため、推定図示トルクTと比較されるマップ算出による図示トルクもクランク角180°区間での平均値として求める必要がある。従って、各運転状態に対応した図示トルクをクランク角180°の区間毎の平均値として求めることでマップを作成しておく。例えば、内燃機関10の4気筒のそれぞれに筒内圧センサ44を取り付け、クランク角180°の区間における各気筒の図示トルクの平均値を(3)式から求め、各気筒の図示トルクを合計することにより、クランク角180°毎の各気筒の図示トルクの平均値を算出することができる。そして、運転状態を変更してクランク角180°毎の図示トルクの平均値を算出することにより、各運転状態と図示トルクの関係を規定したマップを作成することができる。
【0087】
以下、図12のフローチャートに基づいて実施の形態2にかかる装置の処理手順について説明する。先ず、ステップS31では、始動後であって完全な爆発行程(完爆)が行われた直後であるか否かを判定する。完爆判定は、機関回転数または推定図示トルクTが所定のしきい値を超えたか否かによって行う。完爆直後の場合はステップS32へ進み、未だ完爆が行われていない場合は終了する(END)。
【0088】
次のステップS32では、現時点での運転状態(吸気管圧力Pm、機関回転数Ne)を取得する。より詳細には、吸気行程が終了した気筒においてクランク角がBDCの位置にある時点での運転状態を取得する。次のステップS33では、ステップS32で求めた吸気管圧力Pm、機関回転数Neに基づいてMBTを求める。また、ステップS33では、ステップS32で求めた吸気管圧力Pm、機関回転数Neに基づいて、点火時期がMBTの場合の図示トルクTMBT(k)をマップ算出する。
【0089】
次のステップS34では、点火時期をステップS33で求めたMBTに設定する。これにより、ステップS32の時点で吸気行程が終了した気筒において、圧縮行程が完了すると、MBTに設定された点火時期で点火が行われる。従って、この気筒の次の爆発行程では、MBTに設定された点火時期によって最大トルクを発生させる状態となる。
【0090】
次のステップS35では、クランク角位置がトルク算出タイミングであるか否かを判定する。具体的には、クランク角がΔt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)を検出する位置であるか否かを判定する。トルク算出タイミングである場合はステップS36へ進み、トルク算出タイミングでない場合は終了する(END)。
【0091】
ステップS35でトルク算出タイミングと判定された場合は、ステップS36で推定図示トルクTを算出する。ここでは、図6のステップS2〜ステップS7と同様の処理を行い、推定図示トルクTを算出する。これにより、ステップS32の時点で吸気行程が完了した気筒で次の爆発行程が行われた際の推定図示トルクTが算出される。ここで算出された推定図示トルクTは点火時期がMBTに設定された状態で発生した筒内トルクに対応した値である。
【0092】
次のステップS37では、ステップS36で求めた推定図示トルクTと、ステップS33でマップから求めた図示トルクTMBT(k)とを比較し、両トルクの差分からフリクショントルクの変化分ΔTを求める。
【0093】
次のステップS38では、ステップS37で求めたΔTに基づいてフリクショントルク補正ロジックを実施する。ここでは、図8で説明した処理と同様の処理を行うことによりフリクショントルクを補正する。
【0094】
図12の処理によれば、ステップS32で吸気行程が終了した気筒のクランク角位置がBDCの位置にある時点で運転状態を取得し、ステップS33でこの運転状態に基づいて点火時期をMBTに設定するため、次の爆発行程で使われる吸入空気の量に応じて点火時期をMBTに設定することができる。そして、点火時期がMBTに設定された次の爆発行程で推定図示トルクTを算出するため、マップ算出した図示トルクTMBT(k)と推定図示トルクTの双方がMBTに対応した値として求められる。従って、図示TMBT(k)と算出した推定図示トルクTとを比較することにより、フリクショントルクTの経時変化を精度良く求めることが可能となる。
【0095】
また、始動後の完爆直後においては、トルクがアイドリングの定常状態に達する過程であるため、冷却水温、筒内温度、筒内圧、バルブタイミングなどトルク変動の要因となるパラメータはほぼ一定している。従って、図12の処理によれば、完爆直後にフリクショントルクの変化分ΔTを算出することで、トルク変動の要因となるパラメータによる影響を最小限に抑えた状態でフリクショントルクの変化分ΔTを算出することができる。従って、高精度にフリクション補正を行うことが可能となる。
【0096】
なお、図12の処理を実施している際に、NDシフト、レーシング等の外乱が生じた場合は、点火時期を最適な時期に設定してフリクション補正ロジックを中止しても良い。
【0097】
また、エアフロメータ20から検出される吸入空気量と、燃料噴射弁30からの燃料噴射量に基づいて筒内の空燃比(A/F)を推定し、空燃比に基づいてTMBT(k)を補正するようにしても良い。
【0098】
以上説明したように実施の形態2によれば、点火時期をMBTに設定して推定図示トルクTを求め、マップから取得したMBTにおける図示トルクTMBT(k)と推定図示トルクTとに基づいてフリクション特性を補正することが可能となる。従って、煩雑な演算を行うことなく、フリクション特性を補正することができ、結果として推定図示トルクTを高い精度で算出することが可能となる。
【0099】
なお、上述のように実施の形態2では機関に筒内圧センサ44を実装する必要はないが、実施の形態1による筒内圧センサ44を用いたフリクション補正と組み合わせて補正精度を向上させても良い。
【0100】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、クランク軸36の回転角を検出するためのローターに製造上の誤差が生じていて、算出した角加速度に誤差が含まれる場合であっても、推定図示トルクTを正確に算出し、フリクション補正を精度良く行うものである。
【0101】
クランク軸36には、クランク角センサ38がその角度位置を検出するためのローター39が取り付けられている。図13は、クランク軸36、クランク角センサ38、およびローター39の位置関係を示す模式図である。図13に示すように、ローター39の外周には複数の凹凸が設けられている。そして、クランク角センサ38によってローター39の凹凸のエッジを検出することにより、ローター39すなわちクランク軸36の角度位置が検出される。
【0102】
実施の形態1で説明したように、角加速度に起因する動的な損失トルクを求める際には、クランク角がTDC、またはBDCの位置から前後10°づつ回転している間の時間Δt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)を、クランク角センサ38から得られる角度信号に基づいて検出する。そして、時間Δt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)に基づいて角速度ω(k),ω(k+1)を求め、TDCからBDCまでクランク軸36が回転する間の角加速度の平均値を算出する。
【0103】
時間Δt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)を求める際に、ローター39のエッジの角度位置が設計値通りに形成されていれば、Δt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)の正しい値を検出することができ、これに基づいてクランク軸36の角加速度を精度良く求めることができる。
【0104】
しかし、ローター39のエッジの角度位置に誤差が含まれている場合は、Δt(k),Δt10(k),Δt(k+1),Δt10(k+1)の値にその誤差分が含まれることとなり、この結果、算出したクランク軸36の角加速度に誤差が含まれることとなる。より詳細には、ローター39のエッジが設計値の公差内で形成されている場合であっても、設計値の中心から外れている場合は、算出した角加速度に誤差が含まれることとなる。
【0105】
図14は、ローター39のエッジの角度位置に誤差が含まれる場合に、その誤差が角加速度に与える影響を説明するための模式図である。図14に示すように、2つのエッジの角度位置の間隔が設計値でθ(例えば20°)であり、実際の(出来栄えの)エッジの角度位置間隔がθ+Δeである場合を想定する。この場合に、ローター39が2つのエッジ間を回転している間の時間がΔtとして検出されるた場合、設計値のエッジの角度位置間隔がθであるため、設計値に基づいて算出した角速度ω’は以下の(4)式で示される。
ω’=(θ/Δt)・(π/180) ・・・(4)
【0106】
一方、実際のローター39のエッジ位置間隔はθ+Δeであるため、クランク軸36の角速度の真の値ωは、以下の(5)式で示される。
ω=((θ+Δe)/Δt)・(π/180) ・・・(5)
実際のローター39のエッジ位置間隔(θ+Δe)は、ローター39の出来栄えを測定することにより求めることはできるが、個々のローター39、個々のエッジ毎に測定することは困難が伴う。
【0107】
従って、設計値に基づいて算出した角速度ω’は誤差を含むものとなり、真の角加度ωとの差Δωは、以下の(6)式で示される。
Δω=ω−ω’=(Δe/Δt)・(π/180) ・・・(6)
そして、角速度ω’から求めた角加速度、推定図示トルクTにはΔωに起因する誤差が含まれることとなる。
【0108】
実施の形態3は、ローター39のエッジに製造上の誤差(Δe)が含まれている場合であっても、推定図示トルクTを正確に算出し、これに基づいて図のフリクション特性を高い精度で補正するものである。
【0109】
実施の形態3では、図1の筒内圧センサ44を2つの気筒に設けている。そして、実施の形態1と同様に、筒内圧センサ44の検出値から実測図示トルクTi_cpsを算出し、推定図示トルクTと比較することによりフリクション補正を行う。この際、実施の形態3では、クランク角360°の区間で2回の爆発行程に対応した推定図示トルクTの平均値を求めるとともに、この2回の爆発行程で発生した実測図示トルクTi_cpsを求め、推定図示トルクTと実測図示トルクTi_cpsを比較する。
【0110】
図15は、算出した推定図示トルクT(k)(=Tgas(k))および実測図示トルクTi_cpsと、各気筒の各行程との関係を示す模式図である。図15において、Δe1は#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)で、クランク角センサ38によって検出されるローター39のエッジの該当箇所の角度誤差を示している。また、Δe2は、#1の爆発行程が終了するクランク角位置(BDC)、すなわち#3の爆発行程が開始するクランク角位置で、クランク角センサ44によって検出されるローター39のエッジの該当箇所の角度誤差を示している。#1が爆発行程となるクランク角180°の区間で推定図示トルクT(k)を算出する場合は、角速度ω(k)及び角速度ω(k+1)を用いてクランク角180°の区間における角加速度の平均値を算出する。この際、角速度ω(k)はΔe1による誤差を含み、角速度ω(k+1)はΔe2による誤差を含むこととなる。
【0111】
これに対して、クランク角360°毎に推定図示トルクTを算出する場合は、角速度ω(k)と角速度ω(k+2)を用いてクランク角360°の区間での角加速度の平均値を求める。この区間ではクランク軸36が1回転するため、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)でクランク角センサ38によって検出されるローター39のエッジの該当箇所と、#3の爆発行程が終了するクランク角位置(BDC)でクランク角センサ38によって検出されるローター39のエッジの該当箇所とは同一のエッジ部分である。従って、角速度ω(k)と角速度ω(k+2)の誤差要因となるローター39の誤差はともにΔe1となる。このため、ω(k)とω(k+2)の双方にΔe1の誤差が含まれることとなるが、この区間における角加速度の平均値はω(k+2)とω(k)との差分から算出されるため、誤差Δe1が角加速度の算出値の誤差要因となることはない。
【0112】
従って、クランク角360°毎に推定図示トルクTを算出することにより、ローター39のエッジの角度位置の誤差に影響を受けることなく、推定図示トルクTを正確に求めることが可能となる。
【0113】
図15の例では、#1と#3の気筒に筒内圧センサ44を設けている。そして、#1の気筒の吸気、圧縮、爆発、排気の4行程から実測図示トルクTi_cps(k)を算出し、また、#3の気筒の吸気、圧縮、爆発、排気の4行程から実測図示トルクTi_cps(k+1)を算出する。
【0114】
そして、2回の爆発による実測図示トルクTi_cpsの平均値と、クランク角360°の区間で算出した推定図示トルクTの平均値とを比較する。図15では、推定図示トルクT(k)を算出した行程を点線で囲んだ領域Cとして示し、実測図示トルクTi_cpsを算出した行程を一点鎖線で囲んだ領域Bとして示している。実施の形態1で説明したように、定常運転時においては、領域Cの吸気、圧縮、爆発、排気の行程で発生するトルクと、領域Dの吸気、圧縮、爆発、排気の行程で発生するトルクはそれぞれ等しい。従って、推定図示トルクT(k)及び実測図示トルクTi_cpsが正確に求められていれば、クランク角360°の区間における推定図示トルクTの平均値と、2回の爆発による実測図示トルクTi_cpsの平均値とは略等しい値となる。
【0115】
ここで、クランク角360°毎に算出した推定図示トルクTにおいては、ローター39のエッジの角度位置誤差による変動要因が排除されている。また、実施の形態1で説明したように、実測図示トルクTi_cpsは筒内圧センサ44から検出した実際の筒内圧を用いて算出された値であるため、その誤差要因は小さい。従って、2回の爆発による実測図示トルクTi_cpsの平均値と、クランク角360°の区間における推定図示トルクTの平均値とを比較した結果、両者が相違する場合は推定図示トルクTを算出する際に用いたフリクショントルクTに変動が生じているものと推定できる。従って、実測図示トルクTi_cpsと、推定図示トルクTとに基づいて、フリクショントルクの変動分ΔTを算出することができ、ローター39のエッジの角度位置に誤差が含まれている場合であっても、フリクション補正を正確に行うことが可能となる。
【0116】
推定図示トルクTは連続する2回の爆発行程に対応したクランク角360°の区間で算出されるため、この推定図示トルクTと比較するためには、点火(爆発行程)が連続して行われる2つの気筒に筒内圧センサ44を設けて実測図示トルクTi_cpsを算出する必要がある。すなわち、4気筒の機関では爆発行程は#1、#3、#4、#2の順に行われるため、筒内圧センサ44は、爆発行程が連続する#1及び#3、#3及び#4、#4及び#2、または#2及び#1に設ける必要がある。実施の形態1で説明したように、推定図示トルクTを算出する際の2回の爆発行程と、実測図示トルクTi_cpsを算出する2回の爆発行程を同一の行程とすることにより、燃焼バラツキによるトルク変動を実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTの双方の算出値に反映させることができる。従って、燃焼バラツキの影響を最小限に抑えた状態で、実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTの比較を精度良く行うことができる。
【0117】
また、4気筒以外の機関を含めた場合を考慮すると、クランク軸36が720°回転する間に気筒数に相当する回数の爆発行程が行われるため、クランク軸36が360°回転する間には(気筒数/2)回の爆発行程が行われる。従って、クランク角360°の区間で推定図示トルクTを算出してローター39の誤差の影響を排除した場合、クランク角360°の推定図示トルクTと比較する実測図示トルクTi_cpsは、(気筒数/2)回の爆発行程に対応したトルクとなる。従って、実測図示トルクTi_cpsを算出するための筒内圧センサ44は、(気筒数/2)に相当する数の気筒に設け、かつ、筒内圧センサ44を設けた気筒は連続して爆発行程が行われる気筒であることが好適である。
【0118】
次に、数式を用いて、ローター39のエッジ角度位置誤差の要因を排除してフリクショントルクの変動分ΔT(k)を算出する方法を説明する。
【0119】
上述したようにローター39にΔe1,Δe2のエッジ角度位置誤差が生じている場合、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)で算出される角速度ω’(k)はΔe1による誤差分を含むものとなる。同様に、#3の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)で算出される角速度ω’(k+1)もΔe2による誤差分を含むものとなる。
【0120】
#1と#3の爆発行程によるクランク角360°区間の推定図示トルクTは、角速度ω’(k+2)及び角速度ω’(k)に基づいて算出される。この際、角加速度に起因する動的な損失トルクTacは、以下の(7)式で示される。(7)式において、t’(i)はΔe1のエッジ角度位置誤差が生じているローター39の該当箇所が360°回転する際に要する時間である。
【0121】
【数3】
Figure 0004211487
【0122】
そして、#1と#3の爆発行程に対応するクランク角360°の区間において、図のマップから求められたフリクショントルクをTとし、フリクショントルクTの変動分をΔT(k)とすると、この区間における推定図示トルクT(k〜k+1)は以下の(8)式で示される。
【0123】
【数4】
Figure 0004211487
【0124】
一方、実測図示トルクTi_cpsはクランク角720°(2回転)毎に算出されるため、ローター39のエッジ位置誤差による影響を受けることはない。また、実測図示トルクTi_cpsは、フリクションの経時変化による変動分(ΔT(k))を含んだ状態で算出される。従って、実測図示トルクTi_cpsは、ローター39にエッジ角度位置誤差が生じておらず、かつ図のマップによるフリクショントルクTの値が経時変化による変動分(ΔT(k))を含んだ正しい値である場合に算出された推定図示トルクTと等しいとみなすことができる。従って、ローター39にエッジ角度位置誤差が生じていない場合に、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)で算出される角速度をω(k)、#3の爆発行程が終了するクランク角位置(BDC)で算出される角速度をω(k+2)とすると、#1と#3の爆発行程に対応する実測図示トルクTi_cps(k〜k+1)は以下の(9)式から求められる。
【0125】
【数5】
Figure 0004211487
【0126】
ここで、t(i)は、エッジ位置誤差が発生していないローター39が360°回転する際に要する時間である。
【0127】
(9)式から(8)式を減算すると以下の(10)式が得られる。
【0128】
【数6】
Figure 0004211487
【0129】
(10)式の右辺における、ω(k+2)−ω’(k+2)をΔω(k+2)とおき、#3の爆発行程が終了したクランク角位置(BDC)でθの角度だけローター39が回転する際に要した時間をΔt(k+2)とすると、#3がBDCの位置にあるときのローター39の誤差はΔe1であるため、(6)式と同様の演算によりΔω(k+2)は以下の(11)式で表すことができる。
【0130】
【数7】
Figure 0004211487
【0131】
また、(10)式の右辺における、ω(k)−ω’(k)をΔω(k)とおき、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)でθの角度だけローター39が回転する際に要した時間をΔt(k)とすると、#1がTDCの位置にあるときのローター39の誤差はΔe1であるため、(6)式と同様の演算によりΔω(k)は以下の(12)式で表すことができる。
【0132】
【数8】
Figure 0004211487
【0133】
そして、(11)式、(12)式を用いて、Δω(k+2)−Δω(k)は以下の(13)式から算出することができる。
【0134】
【数9】
Figure 0004211487
【0135】
Δe1の誤差を有するローター39の該当箇所がθの回転角だけ回転する時間は、定常運転時においてはほぼ一定している。すなわち、(13)式において、Δt(k+2)とΔt(k)は略等しい値となり、Δω(k+2)−Δω(k)=0とみなすことができる。従って、(10)式の右辺において、ω(k+2)−ω’(k+2)−(ω(k)−ω’(k))=0とすることができ、以下の(10’)式が得られる。
i_cps−T=ΔT(k) ・・・(10’)
従って、(10’)式によれば、実測図示トルクTi_cpsと推定図示トルクTとの差からフリクショントルクTの変動分ΔTを算出することが可能となる。
【0136】
次に、図16のフローチャートに基づいて、本実施形態の装置における処理の手順を説明する。図16のフローチャートは、クランク角360°の区間で推定図示トルクTを算出する処理手順を示している。
【0137】
先ず、ステップS41では、フリクション補正を実施するための運転条件が成立しているか否かを判別する。ここでは、運転条件が定常状態であり、かつ無負荷の状態であるか否かを判別する。補正を実施するための運転条件が成立している場合はステップS42へ進み、成立していない場合は終了する(END)。
【0138】
次のステップS42では、クランク角位置がトルク算出タイミングであるか否かを判定する。具体的には、クランク角がΔt(k),Δt10(k),Δt(k+2),Δt10(k+2)を検出する位置であるか否かを判定する。こkで、Δt(k),Δt10(k)は、#1の爆発行程が開始するクランク角位置(TDC)から前後10°づつクランク角が回転している間の時間である。また、Δt(k+2),Δt10(k+2)は、#3の爆発行程が完了したクランク角位置(BDC)から前後10°づつクランク角が回転している間の時間である。トルク算出タイミングである場合はステップS43へ進み、トルク算出タイミングでない場合は終了する(END)。
【0139】
次のステップS43では、トルク算出に必要なパラメータを取得する。具体的には、機関回転数(Ne(k)),冷却水温(thw(k)),角速度(ω’(k),ω’(k+2))、時間t(i)などの各パラメータを取得する。
【0140】
次のステップS44では、フリクショントルクT(k)を算出する。フリクショントルクT(k)は機関回転数(Ne(k))と冷却水温(thw(k))の関数であり、図4のマップからクランク角180°(TDCからBDCまで)の区間における平均値を求める。
【0141】
次の、ステップS45では、補機類のスイッチがオン(ON)しているか否かを判定する。スイッチがオン(ON)している場合はステップS46へ進み、ステップS44で求めたフリクショントルクT(k)を補正する。具体的には、T(k)に所定の補正係数を乗算したり、T(k)に所定の補正値を加算するなどの方法で補正を行う。ステップS45でスイッチがオフ(OFF)の場合はステップS47へ進む。
【0142】
ステップS47では、角加速度に起因する動的な損失トルクTac(k)を算出する。ここでは、Tac(k〜k+1)=J×((ω’(k+2)−ω’(k))/Δt)を演算して、クランク角360°の区間における動的な損失トルクの平均値Tac(k〜k+1)を算出する。
【0143】
次のステップS48では、クランク角360°の区間における推定図示トルクT(k〜k+1)を算出する。ここでは、T(k〜k+1)=Tac(k〜k+1)+T(k)を演算してT(k)を算出する。なお、ステップS46でT(k)を補正している場合は、補正後のT(k)を用いて演算を行う。ここで得られた推定図示トルクT(k〜k+1)は、クランク角360°の区間の平均値である。クランク角360°の区間では、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値=0であるため、式(2)より、求めた推定図示トルクT(k)は筒内ガス圧によるトルクTgas(k)となる。
【0144】
実測図示トルクTi_cpsを算出する処理は、図7のフローチャートの処理と同様に行う。この際、実施の形態3では2つの気筒(#1、#3)の実測図示トルクTi_cpsを算出するため、図7の処理を2回行ってTi_cps(k)、Ti_cps(k+1)を算出し、その平均値(=Ti_cps(k〜k+1))を算出する。
【0145】
そして、フリクショントルクTを補正する処理は、図8のフローチャートの処理と同様に行う。この際、図8のステップS21では、図16の処理で求めた推定図示トルクTと、2回の爆発行程による実測図示トルクの平均値との差ΔT(k)を算出し、ステップS22では、ΔT(k)に基づいてフリクション補正ロジックを実施する。
【0146】
以上説明したように実施の形態3によれば、クランク角360°の区間で推定図示トルクTを算出するようにしたため、クランク角を検出するためのローター39に角度位置の誤差が生じている場合であっても、推定図示トルクTを高い精度で算出することが可能となる。そして、推定図示トルクTと実測図示トルクTi_cpsとの比較の結果からフリクション特性を正確に補正することが可能となる。従って、フリクション特性に変化が生じた場合であっても、図示トルクTを正確に算出することが可能となる。
【0147】
なお、実施の形態3では、クランク軸36が1回転する区間で推定図示トルクTの平均値を算出することにより、ローター39のエッジの角度誤差が推定図示トルクTの算出値に与える誤差を排除することとしたが、クランク軸36がn(nは自然数)回転する区間で推定図示トルクTの平均値を算出するようにしても良い。クランク角センサ38によって検出されるローター39のエッジは、クランク軸36がn回転する区間の両端では同一のエッジであるため、この両端のエッジに基づいて角加速度の平均値を算出することで、エッジの角度誤差の要因を排除して推定図示トルクTを算出することができる。
【0148】
なお、上述した各実施の形態においては、走行距離や機関経過年数等のフリクション変化を示すパラメータから実行条件を定めておき、実行条件が満たされた場合のみフリクション補正を行うようにしても良い。
【0149】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0150】
第1〜第3の発明によれば、推定図示トルクと実測図示トルクとに基づいてフリクショントルクを補正するようにしたため、経時変化などの要因から標準フリクショントルク特性に変動が生じた場合であっても、補正されたフリクショントルクを正確に求めることが可能となる。
【0151】
の発明によれば、推定図示トルクの算出区間の爆発行程と実測図示トルクの算出区間の爆発行程とを同一の行程としたため、1回の爆発行程毎に燃焼バラツキが生じている場合であっても、補正されたフリクショントルクを正確に求めることが可能となる。
【0152】
の発明によれば、推定図示トルクをクランク軸がn回転(nは自然数)する区間の平均値として算出するようにしたため、クランク軸の回転角を検出するためのローターに角度位置誤差が生じている場合であっても、正確に補正されたフリクショントルクを求めることが可能となる。
【0153】
の発明によれば、筒内圧取得手段を(全気筒数/2)個の気筒に設け、かつ連続して爆発行程が行われる気筒に設けたため、クランク軸が1回転する区間で算出された推定図示トルクの爆発行程に対応する気筒で実測図示トルクを算出することができる。従って、1回の爆発毎に燃焼バラツキが生じている場合であっても、補正されたフリクショントルクを正確に求めることが可能となる。
【0154】
第7または第8の発明によれば、推定図示トルクと、第2の記憶手段が記憶している運転状態に応じた図示トルクとに基づいてフリクショントルクを補正するようにしたため、経時変化などの要因から標準フリクショントルクに誤差が生じた場合であっても、補正されたフリクショントルクを正確に求めることが可能となる。
【0155】
の発明によれば、第2の記憶手段に最大トルクが発生される所定の点火時期での機関運転状態と図示トルクとの関係を記憶させ、最大トルクが発生される所定の点火時期で算出した推定図示トルクと、図示トルク取得手段が第2の記憶手段から取得した図示トルクとに基づいて補正フリクショントルクを取得するようにしたため、算出した推定図示トルクが最大トルクに達してない場合は、フリクショントルクに変化が生じたものと判断でき、正確に補正されたフリクショントルクを求めることが可能となる。
【0156】
10の発明によれば、始動後から機関出力が定常状態に達する過程で推定図示トルクを算出し、補正フリクショントルクを取得するようにしたため、トルク変動の要因となるパラメータが推定図示トルクに与える変動要因を最小限に抑えることができる。従って、補正されたフリクショントルクを精度良く求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。
【図2】 図示トルク、筒内ガス圧によるトルク及び往復慣性質量による慣性トルクと、クランク角との関係を示す特性図である。
【図3】 クランク軸の角加速度を求める方法を示す模式図である。
【図4】 フリクショントルクと機関回転数及び冷却水温との関係を表すマップを示す模式図である。
【図5】 実施の形態1において、算出した推定図示トルクTおよび実測図示トルクTi_cpsと、各気筒の各行程との関係を示す模式図である。
【図6】 推定図示トルクTを算出する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 実測図示トルクTi_cpsを算出する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 フリクショントルクTを補正する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 フリクショントルクTの補正方法を示す模式図である。
【図10】 フリクショントルクTの補正方法を示す模式図である。
【図11】 単気筒、6気筒の場合のトルク特性を示す特性図である。
【図12】 実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】 クランク軸、クランク角センサ、およびローターの位置関係を示す模式図である。
【図14】 ローターのエッジの角度位置に誤差が含まれる場合に、その誤差が角加速度に与える影響を説明するための模式図である。
【図15】 実施の形態3において、算出した推定図示トルクTおよび実測図示トルクTi_cpsと、各気筒の各行程との関係を示す模式図である。
【図16】 実施の形態3にかかる内燃機関の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
29 吸気圧センサ
36 クランク軸
38 クランク角センサ
40 ECU
44 筒内圧センサ

Claims (10)

  1. 所定パラメータと機関のフリクショントルクとの関係を定めた標準フリクション特性を記憶した記憶手段と、
    クランク角加速度を求める角加速度算出手段と、
    前記フリクショントルクと前記クランク角加速度を用いて推定図示トルクを算出する推定図示トルク算出手段と、
    筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
    前記筒内圧に基づいて実測図示トルクを算出する実測図示トルク算出手段と、
    前記推定図示トルクと前記実測図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正するフリクショントルク補正手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記フリクショントルク補正手段は、
    前記推定図示トルクと前記実測図示トルクとの偏差に基づいて、前記標準フリクション特性を補正する手段と、
    補正された標準フリクション特性に基づいて、補正されたフリクショントルクを取得する手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関は、複数気筒を有し、
    前記筒内圧取得手段は、前記複数気筒の中の一部の気筒の筒内圧を取得することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記推定図示トルクの算出区間の爆発行程と前記実測図示トルクの算出区間の爆発行程とを同一の行程としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記推定図示トルクをクランク軸がn回転(nは自然数)する区間の平均値として算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記筒内圧取得手段を(全気筒数/2)個の気筒に設け、かつ連続して爆発行程が行われる気筒に設けたことを特徴とする請求項記載の内燃機関の制御装置。
  7. 所定パラメータと機関のフリクショントルクとの関係を定めた標準フリクション特性を記憶した第1の記憶手段と、
    機関運転状態を取得する機関運転状態取得手段と、
    前記機関運転状態と図示トルクとの関係を記憶した第2の記憶手段と、
    前記第2の記憶手段から前記機関運転状態に対応した前記図示トルクを取得する図示トルク取得手段と、
    クランク角加速度を求める角加速度算出手段と、
    前記フリクショントルクと前記クランク角加速度とを用いて推定図示トルクを算出する推定図示トルク算出手段と、
    前記推定図示トルクと前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正するフリクショントルク補正手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 前記フリクショントルク補正手段は、
    前記推定図示トルクと前記図示トルクとの偏差に基づいて、前記標準フリクション特性を補正する手段と、
    補正された標準フリクション特性に基づいて、補正されたフリクショントルクを取得する手段と、
    を含むことを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記推定図示トルクが算出される前に、前記機関運転状態に基づいて、点火時期を最大トルクが発生される所定の点火時期に設定する点火時期設定手段を更に備え、
    前記第2の記憶手段は、最大トルクが発生される所定の点火時期での前記機関運転状態と前記図示トルクとの関係を記憶し、
    前記所定の点火時期で算出された前記推定図示トルクと、前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正することを特徴とする請求項7または8記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記推定図示トルク算出手段は、始動後から機関出力が定常状態に達する過程で前記推定図示トルクを算出し、
    機関出力が定常状態に達する過程で算出した前記推定図示トルクと、前記図示トルク取得手段が取得した前記図示トルクとに基づいて、前記フリクショントルクを補正することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
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