JP4211387B2 - 吸着支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材を吸着して移載する吸着移載装置(ホイスト)に対して適用することができる吸着支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気・電子材料等のプリント配線板等の製造工程において、両面銅張積層板等の基材を移載する場合には、基材を負圧にて吸着して支持した状態で移載を行う吸着移載装置(ホイスト)が使用されている。
【0003】
このホイストは、通常は基材を負圧によって吸着して支持する吸着支持装置と、吸着支持装置を支持すると共に電動機等の動力により吸着支持装置を水平方向に移動させる水平移動機構と、吸着支持装置を上下方向に移動させるシリンダ機構等のような垂直移動機構とから構成される。
【0004】
従来、両面銅張積層板等のようなシート状や板状の基材140を移載するためのホイストにおける吸着支持装置1′としては、図15に示すようなものが用いられていた。この吸着支持装置1′は、下面が平面状の吸着面111として形成されており、この吸着面111には吸着支持装置1′の内部に連通する多数の通孔115が形成されている。また吸着支持装置1′にはその内部に連通する吸気ダクトが接続されており、吸気ダクトを介してエアーポンプ等により吸着支持装置1′内を減圧することにより、吸着面111に負圧をかけて、銅箔等の基材140を吸着面111に吸着させるものである。また基材140の吸着支持の解除は、吸着面111にかけられていた負圧を解除することにより行われる。
【0005】
しかし、特に、平面視寸法が1m×1mや1m×3mといった大面積の基材140を移載する際などには、基材140に反りやうねりが生じていたり、基材140の上面に傾斜が生じたりしやすくなり、この場合には、従来の吸着支持装置1では基材140を確実に吸着支持することが困難な場合があった。すなわち、表面に反り等が生じていると、吸着支持装置1′の吸着面111と基材140の上面との間に隙間が生じ、この隙間にて気体のリークが生じて、基材140を吸着支持することができないものであり、特に加熱加圧成形後に周縁部(耳部)の切断加工を施していない耳付き両面銅張積層板のような基材140が多数枚積載された積載物から、最上面の基材140を順次移載する工程においては、上面側に積載されている基材140ほど表面にうねりが生じると共に端部に反り返りが生じやすくなり、吸着支持することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明者は、図16に示すように、吸着支持装置1′の吸着面111の周囲に、弾性体からなるスカート状の弾接片113を設けることを提案している(特許文献1参照)。このような弾接片113を設けると、弾接片113が吸着面111の周囲において基材140に弾接することで、吸着面111と基材140との間への気体のリークが防止され、これにより、吸着面111からの吸引力が基材140に対して強く働いて、基材140を確実に吸着できるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−321181号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術では、吸着面111と基材140との間への気体のリークを防止するためには、弾接片113の下端が吸着面111よりも下方に突出している必要があるが、吸着支持装置1′による基材140の吸着支持を繰り返し行うと、弾接片113が塑性変形を起こして反り返り、遂には弾接片113の下端が吸着面111よりも上方に位置するまでになって、気体のリークが発生してしまうものであり、このため弾接片113を2週間程度の短いサイクルで交換する必要があった。またこのような弾接片113の塑性変形を防止するために、弾接片113を弾性の高い材質で形成しようとすると、吸着面111に基材140を密接した状態では弾接片113が基材140を強く押圧することとなって、基材140の変形を招くおそれがあった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、表面に反りやうねり等が生じている基材を吸着支持するにあたり、気体のリークの発生を防止して基材を確実に吸着支持することができ、且つ部品の交換等を行わずに長期間に亘って気体のリークを防止すると共に基材の吸着支持の際に基材の変形を抑制することができ、特に基材を吸着支持した状態で移載する吸着移載装置(ホイスト)に対して適用することができる吸着支持装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る吸着支持装置は、下面に形成された吸着面111において基材140を負圧により吸着支持する吸着体110に、吸着面111の周囲を囲む弾接体200を配設し、前記弾接体200を弾性材又は可撓性材にて中空の筒状に形成すると共にその内部に正圧がかけられた際に膨張してその下端が吸着面111よりも低い位置に突出する状態となるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0011】
また、吸気側にて負圧を発生すると共に排気側で正圧を発生させる吸排気装置413の吸気側を吸着体110に接続すると共に排気側を弾接体200に接続して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また、吸排気装置413の吸気側と吸着体110とを接続する経路に、この経路における気流の圧力が所定の圧力以上である場合に、吸排気装置413の吸気側を吸着体110に接続すると共に排気側を弾接体200に接続した状態とし、前記経路における気体の圧力が所定の圧力に満たなくなった場合に、吸排気装置413の吸気側を吸着体110と弾接体200とに接続する吸排気経路切替手段を具備することを特徴とするものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、吸排気装置413の吸気側と吸着体110とを接続する経路に真空スイッチ274を設けると共にこの真空スイッチ274により作動して吸排気装置413からの吸排気経路の切替制御を行うシーケンサ270を設け、前記シーケンサ270は、真空スイッチ274によって前記経路内が真空又は所定の減圧雰囲気となったことが検知された場合に、吸排気装置413の吸気側を吸着体110に接続すると共に排気側を弾接体200に接続した状態から、吸排気装置413の吸気側を吸着体110と弾接体200とに接続した状態へと切り替えるように制御を行うものであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、弾接体200を、膨張時、収縮時のいずれにおいても、吸着体110側に配置される部位の外面が外側方に向けて湾曲した形状となるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、弾接体200を、弾性体のシート材からなる内層200aと、耐摩耗性のシート材からなる外層200bとから構成されるシート状の部材を、外層が外面側に配置されるように成形することにより形成して成ることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、実施形態を挙げて説明する。
【0017】
まず、吸着支持装置1の全体構成の一例について説明する。
【0018】
この吸着支持装置1は、吸着体110と、弾接体200とで構成され、また必要に応じて吸着体110を支持する支持フレーム120が設けられる。
【0019】
図1乃至3は吸着体110の構成を示すものである。図示の例では、吸着体110は略直方体状に形成されており、その内部は中空に形成されている。吸着体110は下面が開放された略直方体状の中空の本体部114と、本体部114の下面開口を閉塞する弾性を有する多孔質材112にて構成されている。この多孔質材112は、独立気泡を有する発泡ゴム等から形成することができ、またこの多孔質材112には、上面側と下面側とを連通する複数の通孔115が形成されている。また多孔質材112は本体部114の下面開口よりも下方に突出するように形成されている。この多孔質材112の下面は吸着面111として形成されており、吸着体110内が減圧されている場合には吸着面111に密接された基材140に対して通孔115を介して負圧をかけることにより基材140を吸着面111に吸着することができる。このとき、多孔質材112は本体部114よりも下方に突出しているので、基材140に不陸やうねり等が存在しても多孔質材112が基材140の形状に追随して弾性変形し、基材140が確実に吸着される。また上記のように独立気泡を有する多孔質材112を用いている場合には外部に露出する多孔質材112の側周面における気体のリークは起こらず、気体のリークによる吸着力の低下が生じないようになっている。
【0020】
また吸着体110の上面には二つの連通管116が上方に突出するように形成されており、連通管116の上端開口は吸着体110内部に連通している。この二つの連通管116は吸着体110の長手方向に沿って並ぶように形成されている。
【0021】
この吸着体110には、支持体150と昇降体160とが設けられている。支持体150は、吸着体110の上方に配置されて吸着体110の長手方向の一側方から他側方に亘る取着片151の両端部から軸支片152を延出し、また取着片151の略中央部から両側方に向けて被軸支片153を延出して構成されている。軸支片152は取着片151の両端部から下方に向けて突出するように形成されており、各軸支片152は吸着体110の長手方向の両端面とそれぞれ対向するように配置される。また被軸支片153は取着片151の略中央部から両側方に向けて突出すると共にその先端側を下方に向けて屈曲するように形成されており、この各被軸支片153は吸着体110の両側面とそれぞれ対向するように配置される。
【0022】
吸着体110は、その両端面において、各軸支片152に対してビス等の軸支具155にて軸支されており、これにより吸着体110は支持体150に対して吸着体110の長手方向に沿った略水平方向の回動軸を中心に回動自在に支持されている。
【0023】
また取着片151には吸着体110から上方に突出する連通管116がそれぞれ挿通される二つの挿通口154が形成されている。この挿通口154は連通管116の管径よりも大径に形成されており、このため吸着体110の支持体150に対する回動移動が確保されている。
【0024】
また昇降体160は支持体150を支持する支持部161と、支持部161から上方に突出するロッド部162とから構成されている。支持部161は吸着体110の長手方向に対して直交する方向に長い取着片165の両端から軸支片163を延出して形成されており、各軸支片163は取着片165の両端から下方に突出するように形成され、支持体150の各被軸支片153の外側方において各被軸支片153とそれぞれ対向するように配置される。支持体150は、その各被軸支片153において、昇降体160の各軸支片163に対してビス等の軸支具166にて軸支されており、これにより吸着体110は支持体150を介し、昇降体160に対して、吸着体110の長手方向と直交する方向の略水平方向の回動軸を中心に回動自在に支持されている。またロッド部162は上方に突出する円棒状に形成されており、その上端と下端には外径が下方側よりも大径に形成された鍔部164が設けられている。
【0025】
そして、本発明では、吸着体110に、吸着面111の周囲を囲むように弾接体200を設けるものである。この弾接体200は、ゴム等の弾性材料や可撓性材料などで形成され、且つ膨張収縮自在に形成される。この弾接体200は、膨張時には弾接体の下端が吸着面111よりも低い位置まで突出し、収縮時には弾接体200の下端が好ましくは吸着面111と同じ高さの位置又はそれよりも高い位置に配置されるように形成する。
【0026】
弾接体200は、中空の筒体に形成される。このとき弾接体200のみで筒体に構成しても良く、また弾接体200の一部を他の部材で閉塞することにより筒体を構成しても良い。また弾接体200の膨張収縮時に、弾接体200が吸着面111と基材140との間に引き込まれないような形状に形成することが好ましい。
【0027】
図4に、弾接体200の具体的構成の一例を示す。
【0028】
図示の弾接体200はシート状の部材を屈曲成形して形成されている。シート状の部材は一側縁から下方に垂下した後に他側縁側を上方に折り返すように成形され、一側縁と他側縁との間に溝状の開口が形成されるようにする。図示の例では、弾接体200は、一側端縁から下方に垂下された一側固定体201と、この一側固定体201から下方に垂下すると共に外面が凸曲面となるように湾曲成形された一側湾曲部203と、この一側湾曲部203の先端から他側側に鋭角状に折り返されて前記の折り返し位置から外面が凹曲面となるように湾曲成形された他側湾曲部204と、この他側湾曲部204の上端から上方に向けて折り返されて上方に延出された他側固定体202とから形成されている。このとき弾接体200は、内面が上方に開口する溝状に形成されており、また一側湾曲部203と他側湾曲部204との間が、先端側に行くに従ってその間隔が狭くなると共に、この一側湾曲部203と他側湾曲部204からなる弾接体200の湾曲部分が外側方(他側方)に向けて反り返るように形成されている。
【0029】
この弾接体200は、支持器210によって吸着体110の本体部114に支持されている。支持器210は、本体部114の外側面に添設される支持プレート211と、支持プレート211に取着される支持具212と、二つの押さえ板213,214とから構成されている。
【0030】
支持プレート211は長尺帯状の板材で構成され、本体部114の外側面に全周に亘って設けられており、図示はしないが螺子止め、溶接等の適宜の方法で設けられる。
【0031】
支持具212は、支持プレート211の外側面に沿って配設される取着片212aと、取着片212aの下端から外側方に向けて延出された横片212bと、横片212bの外側端から下方に向けて延出された縦片212cとから構成される。
【0032】
支持プレート211の下部の外側面には、押さえ板213が配設されており、この支持プレート211と押さえ板213とは、ビス等の固着具216により、その間に隙間があいた状態で固定されている。弾接体200の一側固定体201は、この支持プレート211の下部の外面と押さえ板213とに挟持されて固定されている。
【0033】
支持プレート211の、前記押さえ板213の上方には、支持具212の取着片212aが、ビス等の固着具215にて固定されている。この支持具212の縦片212cの外側面には、別の押さえ板214が配設されており、この縦片212cと押さえ板214とは、ビス等の固着具217により、その間に隙間があいた状態で固定されている。弾接体200の他側固定体202は、この支持具212の縦片212cと押さえ板214とに挟持して固定されている。
【0034】
このとき、弾接体200は、吸着体110の本体部114に固定されると共に、その一側端部と他側端部との間の開口が支持具212によって閉塞されて、筒状に形成されている。
【0035】
また、上記横片212bには、その上方と下方とを連通する連通管218が設けられており、この連通管218により、弾接体200の内部と外部とが連通されている。連通管218は横片212bの一又は複数箇所に設けられる。
【0036】
上記連通管218には、後述するようにブロワ等の吸排気装置413に接続されて、弾接体200の内部への気体の供給と排気とを行うことができるようになっている。このとき連通管218から弾接体200の内部へ気体が供給されて、弾接体200の内部が加圧される(正圧がかけられる)と、弾接体200の湾曲部分が膨張することにより、一側湾曲部203と他側湾曲部204との間の間隔が大きくなり、これに伴って弾接体200の湾曲部分が下方に引き延ばされて、弾接体200が下方に突出することとなる。このとき弾接体200の下端が吸着体110の吸着面よりも低い位置に配置されるようにすることが好ましく、またこのとき弾接体200の一側湾曲部203は、下方側ほど吸着体110から離れるようにすることが好ましい。また逆に連通管218から弾接体200の内部の気体が吸引される(負圧がかけられる)と、弾接体200の湾曲部分が収縮することにより、一側湾曲部203と他側湾曲部204との間の間隔が狭くなり、これに伴って弾接体200の湾曲部分の外側方に向かう反りが大きくなって、弾接体200の下方への突出寸法が小さくなる。このとき弾接体200の下端が吸着体110の吸着面と同一高さの位置又はそれよりも高い位置に配置されるようにすることが好ましい。
【0037】
また、図5に示す例では、弾接体200はシート状の部材を屈曲成形して形成され、シート状の部材は一側縁から下方に垂下した後に他側縁側を上方に折り返すように成形され、一側縁と他側縁との間に溝状の開口が形成されるようにする。図示の例では、弾接体200は、一側端縁から下方に垂下された一側固定体201と、この一側固定体201から下方に垂下すると共に外面がなだらかな凸曲面となるように湾曲成形された一側湾曲部205と、この一側湾曲部205の先端から外面が凸曲面となるように湾曲されて、外側方(他側方)に向けて延出された下側平坦部206と、下側平坦部206の先端から外面が凸曲面となるように湾曲して折り返されて、内側方(一側方)に向けて延出された上側平坦部207と、上側平坦部207の先端から外面が凹曲面となるように湾曲して折り返されて、外側方(他側方)に向けて延出された折返平坦部208と、折返平坦部208の先端から外面が凸曲面となるように上方に向けて湾曲されて上方に延出された他側固定体202とから形成されている。このとき弾接体200の内側の空間は、上方に開口する溝状に形成されており、この開口から内方にいくに従って、まず上側平坦部207と折返平坦部208との間の湾曲部分と、一側湾曲部205との間で狭くなった後に、上側平坦部207と下側平坦部206の間の空間が外側方に向けて膨出するように形成されている。
【0038】
この弾接体200は、図4に示すものと同様にして、支持器210によって吸着体110の本体部114に支持されている。
【0039】
このような弾接体200では、連通管218から弾接体200の内部へ気体が供給されて、弾接体200の内部が加圧される(正圧がかけられる)と、弾接体200の内部が膨張することにより、折返平坦部208と上側平坦部207との間の間隔と、上側平坦部207と下側平坦部206との間の間隔が大きくなり、これに伴って弾接体200が全体的に下方に引き延ばされて、弾接体200が下方に突出することとなる。このとき弾接体200の下端(下側平坦部206)が吸着体110の吸着面よりも低い位置に配置されるようにすることが好ましく、また弾接体200の一側湾曲部205は、下方側ほど吸着体110から離れるように湾曲していることが好ましい。また逆に連通管218から弾接体200の内部の気体が吸引される(負圧がかけられる)と、弾接体200が収縮することにより、折返平坦部208と上側平坦部207との間の間隔と、上側平坦部207と下側平坦部206との間の間隔が狭くなり、これに伴って弾接体200が全体的に上下に縮められて、弾接体200の下方への突出寸法が小さくなる。このとき弾接体200の下端(下側平坦部206)が吸着体110の吸着面と同一高さの位置又はそれよりも高い位置に配置されるようにすることが好ましい。
【0040】
弾接体200の構成は上記のようなものに限られないが、正圧がかけられることにより膨張して弾接体200の下端が吸着体110の吸着面111よりも低い位置に配置された状態と、負圧がかけられることにより収縮して弾接体200の下端が吸着体110の吸着面111と同一高さの位置又はそれよりも高い位置に配置される状態とに切り替わるように形成することが好ましい。また上記のように弾接体200が、膨張時、収縮時のいずれにおいても、吸着体110側に配置される部位(一側湾曲部203,205)の外面が外側方に向けて湾曲しているなどのように、吸着体110と基材140との隙間に引き込まれないような形状に形成することが好ましい。
【0041】
弾接体200を吸着体110に設ける場合には、吸着体110の吸着面111の全周囲を弾接体200にて囲むように形成することが好ましい。このとき、例えば図13に示すように、平面視矩形状の吸着体110の周囲の各辺に、それぞれ弾接体200を支持器210等にて取着することにより、全体として弾接体200が吸着面111の全周囲を囲むように形成することができる。また弾接体200の一端と他端とを連結して無端状に形成したものを、吸着体110に対して吸着面111を囲むように設けても良い。
【0042】
また、上記のようにシート状の部材にて弾接体200を形成するにあたり、その長手方向の端部を閉塞する場合は、その形態は特に制限されないが、次の図6及び図7に示す例を挙げることができる。
【0043】
図6に示す例では、図6(a)に示すようにシート状の部材を屈曲形成したものに対して、図6(b)乃至(d)に示すようにその長手方向の端部209を接着、溶着その他適宜の方法で密着させて閉塞し、弾接体200を形成したものである。図示の例では図4に示すような形状の弾接体200を形成する場合を挙げているが、このような形状の弾接体200を形成する場合に限られない。
【0044】
また図7に示す弾接体200では、シート状の部材を屈曲形成した形状の弾接体200の長手方向の端部から更にシート状の部材を延出して、この長手方向の端部を閉塞した形状を有している。ここで図7(a)は弾接体200を構成するシート状の部材の長手方向の端部を閉塞する部位を、外方に突出する凸曲面状に形成したものであり、また図7(b)はこの端部を閉塞する部位を平坦面状に形成したものである。図示の例では図5に示すような形状の弾接体200を形成する場合を挙げているが、このような形状の弾接体200を形成する場合に限られない。
【0045】
また上記のようにシート状の部材にて弾接体200を形成する場合には、弾性又は可撓性を有するシート状の部材を用いることが好ましいが、特に弾接体200は、その内側に配置される内層200aをゴムシート等のような弾性体のシート材にて形成し、外面側に配置される外層200bは耐摩耗性のシート材、例えばテフロン(R)等から形成される積層構造のシート状の部材にて形成することが好ましい。この場合、弾性体からなる内層200aにより弾接体200の柔軟性が維持されて良好な膨張収縮性を確保し、且つ外層200bにより弾接体200を繰り返し使用した場合の摩耗を抑制することができるものである。
【0046】
このように弾接体200を吸着体110に設けた場合、吸着体110にて基材140を吸着支持するにあたり、まず基材140の上方に吸着体110を配置して、吸着体110内に負圧をかけると共に、弾接体200に正圧をかけて弾接体200を膨張させると、吸着面111から通孔115を介して吸引力が基材140にかけられると共に、膨張した弾接体200が吸着体110の吸着面111よりも下方に突出した状態で吸着面111の周囲を取り囲みながら、基材140の上面に弾接し、これにより吸着面111と基材140の上面との間に外気が流入することが防止される。これにより、吸着面111からの吸引力が基材140に対して強く働いて、吸着体110にて基材140を確実に吸着できる。
【0047】
またこのように吸着体110に対する基材140の吸着がなされた場合には、弾接体200内へ正圧をかけることを停止し、あるいは逆に弾接体200内に負圧をかけるなどして、弾接体200を収縮させることが好ましい。この場合、弾接体200が吸着面111よりも下方に突出しなくなり、基材140が吸着面111に密接された状態で弾接体200が基材140を押圧することを防いで、基材140の湾曲を防止することができる。
【0048】
次に、図8乃至10を挙げて、上記のような吸着支持装置1を支持フレーム120にて支持した構成、及び吸着支持装置1を備える吸着移載装置の構成について説明する。
【0049】
支持フレーム120は、固定フレーム170と、固定フレーム170に対してスライド移動する可動フレーム180とから構成されている。
【0050】
固定フレーム170は、平板状の固定体171を備えている。この固定体171の上面の略中心部には後述する垂直移動機構を構成するシリンダ417が有する上下方向に昇降駆動自在なプランジャー418の下端部が接続される接続部172が形成され、またこの接続部172の両側には一対のガイドロッド173が上方に向けて突設されている。固定体171の両側部からは、各外側方に向けて平板状の支持板191が延出されており、支持板191にはその下面側に直動レール192が設けられている。直動レール192は支持板191の下方において支持板191の延出方向に沿って略水平方向に形成されており、各支持板191につき二本ずつ、平行並列に配設されている。各直動レール192の両端は、支持板191の下面から突設された支持部193において支持されている。
【0051】
また固定体171にはその下面側に支持板191の延出方向と略直交する方向に長い支持枠174が設けられている。この支持枠174は両端が固定体171の端部から外方に突出するように形成されており、またこの支持枠174は中空筒状に形成されて、通気管175としての機能を有している。またこの通気管175(支持枠174)の下面には、通気管175の長手方向に並んで四個の連通管176が下方に突出しており、この連通管176の下端開口は通気管175内部に連通している。尚、ここでは支持枠174と通気管175とを同一部材で形成しているが、支持枠174と通気管175とを別体に形成して、支持枠174にて通気管175を支持するようにしても良い。
【0052】
可動フレーム180は二つ設けられており、固定フレーム170の各支持板191の下方に、直動レール192に沿って固定フレーム170に対してスライド移動自在に設けられる。可動フレーム180は固定フレーム170の支持枠174と略平行並列な支持枠184を備え、この支持枠184は、固定フレーム170の場合と同様に中空筒状に形成されて通気管185としての機能を有し、また通気管185(支持枠184)の下面には、通気管185の長手方向に並んで四個の連通管186が下方に突出し、この連通管186の下端開口は通気管185内部に連通している。尚、ここでは支持枠184と通気管185とを同一部材で形成しているが、支持枠184と通気管185とを別体に形成して、支持枠184にて通気管185を支持するようにしても良い。
【0053】
この支持枠184の上面側には、支持枠184の長手方向に沿って二つの直動ブロック194が設けられている。各直動ブロック194は二つの直動レール192に対して取着されることにより各直動ブロック194が直動レール192に対してスライド自在に支持されるものであり、これにより可動フレーム180が固定フレーム170に対して直動レール192の長手方向にスライド移動自在に設けられている。
【0054】
また固定フレーム170と可動フレーム180のそれぞれの支持枠174,184には、それぞれ保持体177,187が各支持枠174,184の長手方向に並んで二つずつ設けられている。各保持体177,187は、支持枠174,184の一端側及び他端側の下面に、側方に突出するように設けられている。この各保持体177,187には上下に開口する二つのガイド孔179,189が支持枠174,184の長手方向に並んで形成されている。
【0055】
また、固定フレーム170の固定体171の下方にはシリンダ195が吊下げ支持されている。このシリンダ195は支持板191の延出方向に沿って平行並列に二本設けられており、一方のシリンダ195にはその一端側に向けて突出するプランジャー196を備えると共に、他方のシリンダ195には前記の一方のシリンダ195とは逆側の他端側に向けて突出するプランジャー196を備えている。この各シリンダ195のプランジャー196の端部は二つの可動フレーム180にそれぞれ接続されており、このため、各シリンダ195を駆動させることにより可動フレーム180を固定フレーム170に対して直動レール192の長手方向にスライド移動させることができる。
【0056】
複数の吸着体110は、固定フレーム170と可動フレーム180の各保持体177,187にそれぞれ取り付けられることにより支持フレーム120に支持される。吸着体110は保持体177,187の下方に配置されると共に吸着体110の二つのロッド部162は保持体177,187の二つのガイド孔179,189にそれぞれ挿通されることにより、吸着体110が支持板191に取り付けられている。ロッド部162はガイド孔179,189の上方と下方とにそれぞれ突出するように配置され、上方と下方の各突出部分においてはそれぞれロッド部162の外周には弾性体130としてコイルばね131,132がロッド部162の外周を取り巻くように配設されている。このときロッド部162の上方への突出部分に配設されたコイルばね131はその上端がロッド部162の上端の鍔部164に係止されると共に下端が支持板191の上面に係止されており、このコイルばね131の弾性力によって吸着体110が上方に向けて付勢されている。またロッド部162の下方への突出部分に配設されたコイルばね132はその上端が支持板191の下面に係止されると共に下端がロッド部162の下端の鍔部164に係止されており、このコイルばね132の弾性力によって吸着体110が下方に向けて付勢されている。このため、吸着体110はロッド部162の上方への突出部分のコイルばね131及び下方への突出部分のコイルばね132の弾性力と、吸着体110からこれらの弾性体130にかかる荷重とが釣り合う位置に支持されるものである。
【0057】
このようにして支持フレーム120に対して複数の吸着体110を取り付けると、各吸着体110は長手方向が支持枠174,184の長手方向に沿った方向に配設されるものであり、このとき各吸着体110を支持する弾性体130であるコイルばね131,132の弾性力を調節することにより各吸着体110は吸着面111が略同一平面状に配置されるように配設される。
【0058】
このように構成される吸着支持装置1は、吸着支持装置1を支持すると共に水平方向に移動させる水平移動機構と、吸着支持装置1を上下方向に移動させる垂直移動機構とを備えた支持機構に取り付けられることにより、吸着移載装置(ホイスト)を構成するものである。
【0059】
水平移動機構は床面から立設されたフレーム410に設けられた水平方向のレール411にスライド支持体412を設けて構成されており、このスライド支持体412は電動機等の駆動力によりレール411に沿って水平移動するように形成される。また垂直移動機構はスライド支持体412に設けられたシリンダ417にて構成されており、このシリンダ417は下方に突出するプランジャー418を備えている。またスライド支持体412にはシリンダ417の両側方に、上下に開口する一対のロッドガイド419が設けられている。
【0060】
吸着支持装置1は、固定フレーム170の固定体171上面に形成された支持部161を上記垂直移動機構に設けられたプランジャー418の下端に接続すると共に、固定体171の一対のガイドロッド173をそれぞれ一対のロッドガイド419に挿通することにより、スライド支持体412に対して支持されるものであり、このときスライド支持体412を水平方向に移動させることにより吸着支持装置1は水平移動し、また垂直移動機構のシリンダ417を駆動することにより吸着支持装置1は上下昇降移動する。
【0061】
また、上記のスライド支持体412にはブロワ等から構成される吸排気装置413が設けられており、この吸排気装置413には、上下方向の主通気管414が設けられている。この主通気管414の下端は横方向の分岐管415の配管途中に連通接続されており、この分岐管415の下面には分岐管415の長手方向に並ぶ三箇所の各位置において、周面が蛇腹状に形成された伸縮自在の接続管416が連通接続されている。この各接続管416の下端部は、吸着支持装置1の固定フレーム170及び可動フレーム180の支持枠174,184(通気管175,185)に連通接続されており、この支持枠174,184に形成された連通管176,186の下端開口と、各吸着体110の上面の連通管116の上端開口とが、周面が蛇腹状に形成された伸縮自在な接続配管117にて接続されている。
【0062】
このような通気機構を構成すると、吸排気装置413を作動させることにより、上記の主通気管414、分岐管415、接続管416、支持枠174,184(通気管175,185)、連通管176,186、接続配管117、連通管116を順次介して吸着体110の内部に負圧をかけて減圧し、これにより吸着面111に密接された基材140表面に対して通孔115を介して負圧をかけ、基材140を吸着面111に吸着することができる。
【0063】
図11は、吸排気装置413と、吸着体110及び弾接体200との間の吸排気系統の一例を示す。
【0064】
図示の例では、吸排気装置413の吸気口232に接続された経路221は、外気と連通する経路222と、吸着体110に連通する経路223とに接続されている。ここで経路221、経路222及び経路223は、三方弁241を介して接続されており、三方弁241を切り替えることにより、経路221が経路223と連通すると共に経路222とは連通していない状態と、経路221が経路222と連通すると共に経路223とは連通していない状態とに切り替えられるようになっている。また経路221には、外気に連通した分岐経路224が接続され、この分岐経路224には圧調整用の調整弁242が設けられている。
【0065】
また吸排気装置413の排気口233に接続された経路225は、外気と連通する経路226と、吸着体110に連通する経路227とに接続されている。ここで経路225、経路226及び経路227は、三方弁243を介して接続されており、三方弁243を切り替えることにより、経路225が経路226と連通すると共に経路227とは連通していない状態と、経路225が経路227と連通すると共に経路226とは連通していない状態とに切り替えられるようになっている。上記の経路226には、圧調整用の調整弁245が設けられている。また経路225には、外気に連通した分岐経路228が接続され、この分岐経路228には圧調整用の調整弁244が設けられている。
【0066】
前記の経路223と経路227は、共に吸着体110の各連通管116に設けられた流路切替器300(吸排気経路切替手段)に連通している。この経路223及び経路227と、連通管116とを接続する経路229が、上記の主通気管414等から連通管116に至る経路に該当する。
【0067】
また、経路226には、調整弁245と三方弁243との間から、経路230が分岐して設けられ、この経路230は分岐して連通管116に設けられた流路切替器300に接続されている。
【0068】
また流路切替器300には経路231が接続されており、この経路231が弾接体200に接続されている。
【0069】
上記の流路切替器300は、吸着体110内部から経路229に向けて一定以上の圧力の気流が発生している場合には、吸着体110内部と経路229との間の連通を維持すると共に、経路230と経路231との間の連通を維持し、且つ経路230及び経路231と、吸着体110内部及び経路229との間の気流の流通を遮断し、また吸着体110内部から経路229に向けた気流が一定の圧力に満たない場合、あるいは気流が経路229から吸着体110の内部に向けて発生している場合には、吸着体110内部と経路229との間の連通を維持すると共に、経路229と経路231とを連通させ、且つ経路230は経路229、経路231及び吸着体110内部のいずれにも連通しないように、経路間の連通状態を切り替えるものである。
【0070】
すなわち、この流路切替器300は、吸排気装置413の吸気側と吸着体110とを接続する経路における気流の圧力が所定の圧力以上である場合に、吸排気装置413の吸気側を吸着体110に接続すると共に排気側を弾接体200に接続した状態とし、前記経路における気体の圧力が所定の圧力に満たなくなった場合に、吸排気装置413の吸気側を吸着体110と弾接体200とに接続する吸排気経路切替手段を構成している。
【0071】
流路切替器300の構造の一例を図12に示す。図示の流路切替器300は固定体310と移動体320とから構成される。
【0072】
固定体310は連通管116の内部に固定して設けられた、上下に貫通する筒状体であり、その中空部は、中空な分岐領域311と、この分岐領域311と固定体310の上端とを連通するガイド孔313と、分岐領域311と固定体310の下端とを連通するガイド孔312とで構成され、分岐領域311の内径は各ガイド孔312,313よりも大きく形成されている。
【0073】
この固定体310には、通気管315と通気管314とが接続される。通気管315及び通気管314は、連通管116の内外を貫通すると共に、固定体310の外壁を貫通して分岐領域311に連通するように形成されており、通気管315よりも通気管314の方が上方で分岐領域311に連通するように形成されている。ここで通気管315は上記の経路230を構成するものであり、上記の三方弁243に接続されている。また通気管314は、通気管219に連通すると共にこの通気管219は上記の弾接体200に連通する連通管218に接続されており、通気管314と通気管219とは、上記の経路231を構成するようになっている。
【0074】
ここで、一つの吸着体110に複数の弾接体200が設けられる場合などのように、一つの吸着体110に対して、弾接体200に連通する連通管218が複数設けられている場合には、各連通管218と、前記通気管314とを連通させる。図13に示す例では、平面視矩形状に形成された吸着体110の周囲の四つの各辺に沿って、それぞれ弾接体200が設けられることにより、弾接体200が吸着体110の全周囲を囲むように設けられており、また四つに分離した各弾接体200のうち、吸着体110の短辺に沿って設けられたものには、それぞれ一つの連通管218が連通され、長辺に沿って設けられたものには、それぞれ二つの連通管218が連通されて、一つの吸着体110に対して、計六個の連通管218が設けられている。これに対し、一つの吸着体110には、二つの連通管116が設けられると共に、そのそれぞれに流路切替装置300が設けられており、このため各流路切替装置300からはそれぞれ三つの通気管314が設けられて、そのそれぞれが連通管218に連通されている。
【0075】
一方、移動体320は、全体として上下方向の柱状に形成されており、上下方向の柱状に形成されたガイド部321の上端に、ガイド部321の外径よりも大径に形成された切替部322を設け、この切替部322の上端から切替部322の外径よりも小径の流通部323を設け、更に流通部323の上端に流通部323の外径よりも大径に形成された感圧部324を設けている。
【0076】
ガイド部321は、その外径が下側のガイド孔312の内径に合致するように形成されており、ガイド孔312に対して上下にスライド可能であると共にガイド孔312の内面とガイド部321の外周面との間における気体の流通が阻止されるように形成されている。
【0077】
また切替部322は、その外径が分岐領域311の内径と合致すると共に上下方向の寸法が分岐領域311の上下方向の寸法よりも小さくなるように形成されており、分岐領域311の内部で上下にスライド可能であると共に分岐領域311の内面と切替部322の外周面との間における気体の流通が阻止されるように形成されている。
【0078】
また流通部323は、その外径が上側のガイド孔313の内径に合致するように形成されており、ガイド孔313に対して上下にスライド可能であると共にガイド孔313の内面と流通部323の外周面との間における気体の流通が阻止されるように形成されている。またこの流通部322には、上下方向の中空の流通孔325が形成されている。この流通孔325の下端は閉塞されており、上端は流通部323の上端面で開放されている。また流通部323の外周壁には、流通部323の外部と流通孔325内とを連通する通孔326が形成されている。
【0079】
また感圧部324は、平板状に形成されており、常に固定体310の上方に配置されている。この感圧部324の外径は連通管116の内径よりも小さくなるように形成されている。また感圧部324はその下面の略中心部が流通部323の上端面に取着されており、この感圧部324の略中心部には、流通部323の流通孔325に連通する上下方向の通孔330が形成されている。またこの感圧部324には、流通部323との取着部位よりも外周側に、上下に貫通する一又は複数の通孔327が形成されていると共に、この通孔327を連通管116の内部の気体の流通方向及びその圧力に応動して開閉する感圧開閉体328が設けられている。感圧開閉体328は感圧部324の下面側において、水平方向の回動軸を中心に、感圧開閉体328の上面が感圧部324の下面に密接して通孔327の下端開口を閉塞した状態と、この状態から回動軸を中心に下方に回動して斜めに傾いた状態となって通孔327を開放している状態との間で、回動自在に形成されている。このとき、連通管116内において、下側から上側に向けた気流(すなわち吸着体110側から経路229側に向かう気流)が発生すると共にこの気流の圧力が一定以上である場合には、感圧開閉体328が気流に押圧されて自重に抗して上方に回動し、その上面が感圧部324の下面に密接して通孔327の下端開口を閉塞するものであり、また連通管116内において、下側から上側に向けた気流(すなわち吸着体110側から経路229側に向かう気流)の圧力が一定の圧力に満たない場合、あるいは上側から下側に向けた気流(すなわち経路229側から吸着体110側に向かう気流)が発生している場合には、感圧開閉体328は自重により下方に回動し、斜めに傾いた状態となって通孔327を開放するものである。
【0080】
また、上記の移動体320は、固定体310に対する上下方向の移動可能範囲が規制されている。図示の例では、移動体320の移動範囲の上限は、切替部322が分岐領域311の上端の開口縁に当接して係止されることにより規制されている。また連通管116の内面からは、係止片329が内方に向けて突設されており、移動体320の移動範囲の下限は、感圧部324の下面の外縁部が係止片329に当接して係止されることにより規制されている。また、図示のように固定体310にガイド孔312の内面で開口する上下方向の溝状又はスリット状のガイド開口316を設けると共に、ガイド部321の外周面にガイド開口316に配置されるガイド突部317を突設することもできる。この場合は、移動体320が固定体310に対して上下に移動するに伴ってガイド突部317がガイド開口316に対して上下に移動する際に、ガイド突部317がガイド開口の内面の上端面及び下端面に当接して係止されることにより、移動体320の固定体310に対する移動範囲の上限と下限とが規制される。
【0081】
また、移動体320が固定体310に対する上限位置に配置されている場合は、上記通気管315と通気管314との、分岐領域311の内面における開口が、切替部322の配置位置よりも下方となるよう配置されている。このとき、通気管315と通気管314とが分岐領域311を介して連通され、これにより、図11における経路230と経路231とが連通される。またこのとき通孔326は切替部322に対して通気管314の開口よりも上方に配置されると共に図示の例では通孔326の開口はガイド孔313の内面に閉塞されて、通気管314と通気管315とが、連通管116の内部には連通しない状態となっており、これにより、図11における経路230及び経路231と、吸着体110内部及び経路229との間が連通しない状態となっている。
【0082】
また、移動体320が固定体310に対して下限位置に配置されている場合は、切替部321は、分岐領域311内において、通気管314の開口と通気管315の開口との間に配置されて、分岐領域311内を、通気管314の開口が存在する領域と通気管315の開口が存在する領域とに分割し、通気管315と通気管314との間の連通を遮蔽するように形成されており、これにより、図11における経路230が、経路229、経路231及び吸着体110内部のいずれにも連通しない状態となっている。また分岐領域311内における切替部322の上方には、通孔326が配置されて、通気管314が分岐領域311、通孔326及び流通孔325を介して連通管116内と連通するように形成されており、これにより、図11における経路229と経路231とが連通した状態となっている。
【0083】
以上のような吸排気系統においては、基材140の移載を行うにあたって、基材140の上方に吸着体110を配置し、まず三方弁241を、経路221が経路223と連通すると共に経路222とは連通していない状態とすると共に、三方弁243を経路225が経路226と連通すると共に経路227とは連通していない状態とし、この状態で吸排気装置413を作動させる。
【0084】
このとき、連通管116内には、経路221、経路223及び経路229を介して上方への負圧がかかるものである。このとき負圧は分岐経路224を介して外気にもかけられるものであり、調整弁242の開度を調整することにより分岐経路224から外気にかけられる負圧と通気管116内にかけられる負圧との割合が調整され、これにより通気管116内にかけられる負圧(すなわち吸着体110にかけられる負圧)が調整される。
【0085】
このとき、流路切替器300では、図12(a)に示すように、多孔質材112の通孔115を介して、吸着体110内に気流が流入して、連通管116内に下方から上方への気流(吸着体110側から経路229側に向かう気流)が発生し、この気流による圧力を感圧部324が受けることにより、移動体320が上方へその上限位置まで移動する。このとき、感圧開閉体328は気流に押圧されて上方に回動することにより感圧部324の下面に密接して通孔327を閉塞し、これにより、感圧部324の風受け面積が増大し、気流の圧力に敏感に応動するようになっている。またこのとき、経路229と吸着体110との間の連通状態は、感圧部324と連通管116の内面との間に気流が流通することにより維持されている。
【0086】
また同時に、吸排気装置413からは、経路225、経路226、経路230、を介して、流路切替器300に正圧がかけられる。このとき正圧は分岐経路228及び経路226を介して外気にもかけられるものであり、調整弁244及び調整弁245の開度を調整することにより分岐経路228及び経路226から外気にかけられる正圧と流路切替器300にかけられる正圧との割合が調整され、これにより流路切替器300にかけられる正圧(すなわち弾接体200にかけられる正圧)が調整される。
【0087】
このとき流路切替器300には、通気管315を介して正圧がかけられるが、流路切替器300では、図12(a)に示すように、通気管315、通気管314、通気管219、弾接体200が順次連通された状態となっており、このため弾接体200内に正圧がかけられ、気流が流入することにより膨張する。
【0088】
このような状態では、吸着面111から通孔115を介して吸引力が基材140にかけられると共に、このとき膨張した弾接体200が吸着体110の吸着面111よりも下方に突出した状態で吸着面111の周囲を取り囲みながら、基材140の上面に弾接し、これにより吸着面111と基材140の上面との間に外気が流入することが防止される。これにより、吸着面111からの吸引力が基材140に対して強く働いて、吸着体110にて基材140を確実に吸着できる。
【0089】
そして、吸着体110に対する基材140の吸着がなされると、通孔115を介した吸着体110内への気流の流入が停止されることから、連通管116内における気流の流入が停止する。このとき、感圧体324に対する気流の押圧力が存在しなくなることから、図12(b)に示すように移動体320が固定体310に対して下限位置まで下動する。
【0090】
このとき、通気管315と通気管314との間の連通が遮蔽されて、経路230が、経路229、経路231及び吸着体110内部のいずれにも連通しない状態となることから、経路230を介した正圧が弾接体200に働かなくなり、正圧は全て分岐経路228及び経路226を介して外気にかけられるようになる。また、通気管314が分岐領域311、通孔326及び流通孔325を介して連通管116内と連通して、経路229と経路231とが連通した状態となることから、経路229からの負圧は、連通管116、通孔330、流通孔325、通気管314、通気管219を介して弾接体200にかけられ、これより弾接体200内が吸引されて、弾接体200が収縮する。このため弾接体200が吸着面111よりも下方に突出しなくなり、基材140が吸着面111に密接された状態で弾接体200が基材140を押圧することを防ぎ、基材140の湾曲が防止される。またこの状態では、感圧開閉体328は自重により下動して通孔327を開放していることから、吸着体110と経路229との連通は維持されており、このため吸着体110には負圧がかけられた状態となって、基材140が吸着面111に密接された状態が維持される。
【0091】
また、上記のように基材140が吸着面111に一旦密接した後に基材140と吸着面111との間にリークが発生しても、移動体320が上動して図12(a)に示す状態となり、上記の動作が繰り返されて、再び基材140が吸着面111に密接されて、吸着体110に吸着された状態に復帰するものである。
【0092】
次いで、吸着体110による基材140の吸着を解除する場合には、三方弁241を切り替えることにより経路221が経路222と連通すると共に経路223とは連通していない状態とすると共に、三方弁243を切り替えることにより経路225が経路227と連通すると共に経路226とは連通していない状態とする。
【0093】
この状態では、経路229を介した連通管116への負圧が遮断されて、負圧は経路222を介して外気にかけられる。
【0094】
また経路230を介した流路切替器300への正圧が遮断され、正圧は経路227、経路229を介して、吸着体110にかけられる。
【0095】
このとき正圧は分岐経路228を介して外気にもかけられるものであり、調整弁244の開度を調整することにより分岐経路228から外気にかけられる正圧と経路229を介して、吸着体110にかけられる正圧との割合が調整され、これにより吸着体110にかけられる正圧が調整される。
【0096】
このとき、流路切替器300では、図12(b)に示すように移動体320が下限位置に配置されており、経路227、経路229を介した正圧は、開放されている通孔327を介して吸着体110内にかけられるものである。
【0097】
このため、吸着体110からの基材140への吸引力が存在しなくなると共に、吸着体110にかけられた正圧により通孔115を介して吸着体110から基材140に向けて気流が噴出し、これにより基材140が吸着面111から速やかに脱離するものである。
【0098】
次に、図14に、吸排気装置413と、吸着体110及び弾接体200との間の吸排気系統の他例を示す。
【0099】
図示の例では、吸排気装置413の吸気口232に接続された経路251は、経路252と経路253とに接続されている。ここで経路251、経路252及び経路253は、三方弁261を介して接続されており、三方弁261を切り替えることにより、経路251が経路253と連通すると共に経路252とは連通していない状態と、経路251が経路252と連通すると共に経路253とは連通していない状態とに切り替えられるようになっている。
【0100】
上記の経路252は外気に連通されている。また経路253は、経路257に接続され、更にこの経路257は連通管116を介して吸着体110に接続されている。
【0101】
また吸排気装置413の排気口233に接続された経路260は、経路256と経路255とに接続されている。ここで、経路260、経路256及び経路255は、三方弁263を介して接続されており、三方弁263を切り替えることにより、経路260が経路256と連通すると共に経路255とは連通していない状態と、経路260が経路255と連通すると共に経路256とは連通していない状態とに切り替えられるようになっている。
【0102】
上記の上記の経路260には、外気に連通した分岐経路258が接続され、この分岐経路258には圧調整用の調整弁264が設けられている。また経路256には、圧調整用の調整弁265が設けられている。
【0103】
また上記の経路256は外気に連通されると共に、圧調整用の調整弁265が設けられている。また経路255は、上記の経路253と同様に経路257に接続され、更にこの経路257は連通管116を介して吸着体110に接続されている。
【0104】
上記の経路251には、外気に連通した分岐経路254が接続され、この分岐経路254には圧調整用の調整弁262が設けられている。また、経路251には、経路254との分岐点と三方弁261との間から分岐する経路259が接続され、この経路259には、圧調整用の調整弁266が設けられている。また経路260には、分岐経路258との分岐点と三方弁263との間から分岐する経路250が接続されている。そしてこの経路259及び経路250と、経路280とが、三方弁267を介して接続されており、更に経路280は、弾接体200の内部に接続されている。またこの三方弁267は、経路280が経路250と連通すると共に経路259とは連通していない状態と、経路280が経路259と連通すると共に経路250とは連通していない状態とに切り替えられるようになっている。
【0105】
上記の経路257には、経路257における気圧の変化によって作動する真空スイッチ274が設けられている。また上記の三方弁261、三方弁263及び三方弁267は電磁弁にて構成されており、この各三方弁261,263,267には、これら各三方弁261,263,267の切替動作の駆動を行う駆動装置271,272,273がそれぞれ設けられている。
【0106】
また各駆動装置271,272,273には、各三方弁261,263,267の切替動作のための制御信号を出力するシーケンサ270が接続されている。このシーケンサ270は、外部からの入力操作、水平移動機構及び垂直移動機構による吸着支持装置1の動作状態、真空スイッチ274からの入力信号、タイマー等によるタイミング制御などに基づき、所定の順序及びタイミングで各駆動装置271,272,273に対して各三方弁261,263,267の切替動作のための制御信号を出力する。
【0107】
ここで、上記のシーケンサ270は、三方弁261が経路251を経路253と連通させると共に経路252と連通させず、三方弁263が経路260を経路256と連通させると共に経路255と連通させず、三方弁267が経路280を経路250と連通させると共に経路259と連通させない状態(吸着前状態)から、三方弁261が経路251を経路253と連通させると共に経路252と連通させず、三方弁263が経路260を経路256と連通させると共に経路255と連通させず、三方弁267が経路280を経路259と連通させると共に経路250と連通させない状態(吸着後状態)へと切り替え、次いで三方弁261が経路251を経路252と連通させると共に経路253と連通させず、三方弁263が経路260を経路255と連通させると共に経路256と連通させず、三方弁267が経路280を経路259と連通させると共に経路250と連通させない状態(脱離状態)へと切り替えるように、各駆動装置271,272,273に対して制御信号を出力する。
【0108】
特に上記のシーケンサ270による吸着前状態から吸着後状態への切り替えの制御は、真空スイッチ274によって経路257内が真空又は所定の減圧雰囲気となったことが検知されて、その検知信号がシーケンサ270に入力された際に行われる。
【0109】
以上のような吸排気系統においては、基材140の移載を行うにあたって、基材140の上方に吸着体110を配置すると共に、シーケンサ270は各三方弁261,263,267を制御して吸着前状態とし、この状態で吸排気装置413を作動させる。
【0110】
このとき、吸着体110には、経路251、経路253、経路257及び連通管116を介して負圧がかかる。このとき負圧は経路254を介して外気にもかけられるものであり、調整弁262の開度を調整することにより経路254から外気にかけられる負圧と吸着体110にかけられる負圧とが調整される。
【0111】
また同時に、吸排気装置413からは、経路260、経路250、経路280を介して弾接体200内に正圧がかけられ、この弾接体200が内部に気流が流入することにより膨張する。このとき正圧は分岐経路258及び経路256を介して外気にもかけられるものであり、調整弁264及び調整弁265の開度を調整することにより分岐経路258及び経路256から外気にかけられる正圧と弾接体200にかけられる正圧とが調整される。
【0112】
このような状態では、吸着面111から通孔115を介して吸引力が基材140にかけられると共に、このとき膨張した弾接体200が吸着体110の吸着面111よりも下方に突出した状態で吸着面111の周囲を取り囲みながら、基材140の上面に弾接し、これにより吸着面111と基材140の上面との間に外気が流入することが防止される。これにより、吸着面111からの吸引力が基材140に対して強く働いて、吸着体110にて基材140を確実に吸着できる。
【0113】
そして、吸着体110に対する基材140の吸着がなされると、通孔115を介した吸着体110内への気流の流入が停止されることから、経路257内が減圧される。そしてこの経路257内が真空又は所定の減圧雰囲気となったときに、真空スイッチ274が作動してシーケンサ270に検知信号を出力する。シーケンサ270はこの検知信号が入力されると、吸着前状態から吸着後状態への切り替えの制御を行う。
【0114】
このように吸着前状態から吸着後状態へ切り替えられると、弾接体200への正圧が遮断されると共に、弾接体200の内部へは、経路251、経路259、経路280を介して負圧がかけられ、これより弾接体200内が吸引されて、弾接体200が収縮する。このため弾接体200が吸着面111よりも下方に突出しなくなり、基材140が吸着面111に密接された状態で弾接体200が基材140を押圧することを防ぎ、基材140の湾曲が防止される。このとき経路251、経路253、経路257及び連通管116を介した吸着体110への負圧は維持されており、このため、吸着体110による基材140の吸着が維持される。
【0115】
また、このとき負圧は経路254を介して外気にもかけられるものであり、調整弁262の開度を調整することにより経路254から外気にかけられる負圧と吸着体110及び弾接体200とにかけられる負圧とが調整される。更に経路259に設けられた調整弁266の開度を調整することにより、吸着体110にかけられる負圧と、弾接体200にかけられる負圧とが調整される。
【0116】
ここで、吸排気装置413からの正圧は経路260、分岐経路258を介して外気にかけられ、気流が外気に放出されるものである。
【0117】
次いで、吸着体110による基材140の吸着を解除する場合には、シーケンサ270は所定のタイミングで吸着後状態から脱離状態への切り替えの制御を行う。
【0118】
この状態では、経路253を介した吸着体110への負圧が遮断され、負圧は経路254と経路252を介して外気にかけられるとともに、経路251、経路経路259、経路280を介して弾接体200にかけられる。このとき調整弁262及び調整弁266の開度を調整することにより、外気にかけられる負圧と弾接体200にかけられる負圧とが調整される。
【0119】
また、正圧は経路260、経路255、経路257及び連通管116を介して吸着体110にかけられる。このとき正圧は分岐経路258を介して外気にもかけられており、調整弁264の開度を調整することにより、外気及び吸着体110にかけられる正圧が調整される。
【0120】
このため、吸着体110からの基材140への吸引力が存在しなくなると共に、吸着体110にかけられた正圧により通孔115を介して吸着体110から基材140に向けて気流が噴出し、これにより基材140が吸着面111から速やかに脱離するものである。
【0121】
このようにして構成される吸着支持装置1を備える吸着移載装置を用いて、基材140を移載するにあたっては、まず支持機構の水平移動機構を駆動させて吸着支持装置1を支持しているスライド支持体412を水平移動させることにより吸着支持装置1をテーブル421上の積層板等の基材140の上方に配置する。このとき、基材140の平面視寸法に応じて支持フレーム120の固定体171下方に設けられたシリンダ195を駆動して可動フレーム180を支持フレーム120に対して水平移動させて、固定フレーム170に支持されている吸着体110と可動フレーム180に支持されている吸着体110との間の間隔を近接あるいは離間させ、これにより吸着支持装置1にて吸着支持する領域を変更する。すなわち基材140の平面視寸法が大きい場合には各可動フレーム180を固定フレーム170の外側方に向けて移動させることにより隣り合う吸着体110同士を離間して吸着支持する領域を増大し、基材140の平面視寸法が小さい場合には各可動フレーム180を固定フレーム170側の内側方に向けて移動させることにより隣り合う吸着体110同士を近接させて吸着支持する領域を低減して、基材140の寸法に応じて吸着体110同士の間隔を変更するものである。
【0122】
この状態で垂直移動機構のシリンダ417を駆動させることにより吸着支持装置1を下降させて、各吸着体110の吸着面111を基材140の上面に当接させる。このとき吸着体110を支持するコイルばね131,132の弾性力によって基材140と吸着体110とが当接した際の衝撃が吸収され、基材140の損傷発生防止がなされる。この状態で基材140を吸着面111に吸着する。
【0123】
このように吸着支持装置1にて基材140を吸着する際に、基材140に反りやうねりが発生している場合は、各吸着体110が略直交する水平方向の二軸の回動軸を中心に支持フレーム120に対して回動すると共に昇降体160のロッド部162がコイルばね131,132の弾性力に抗して保持体177,187に対して上下方向に移動することにより各吸着体110が上下昇降移動して、複数の各吸着体110の吸着面111の配置状態が別個独立に変位し、各吸着体110の吸着面111が基材140の表面形状に追随して基材140表面に密着する。このため反りやうねり等の変形が生じている基材140であっても容易に吸着されるものである。
【0124】
このように吸着支持装置1にて基材140を吸着支持したら、垂直移動機構を駆動させることにより吸着支持装置1を基材140を吸着支持した状態で上昇させて、基材140をテーブル421から持ち上げ、更に水平移動機構を駆動させて基材140を移載先である他のテーブル422の上方まで移動させる。そして更に垂直移動機構を駆動させて吸着支持装置1を下降させることにより基材140をテーブル422上面に載置し、この状態で吸着支持装置1による基材140の吸着支持を解除して、基材140の移載を完了するものである。
【0125】
【発明の効果】
上記のように請求項1に係る吸着支持装置は、下面に形成された吸着面において基材を負圧により吸着支持する吸着体に、吸着面の周囲を囲む弾接体を配設し、前記弾接体を弾性材又は可撓性材にて中空の筒状に形成すると共にその内部に正圧がかけられた際に膨張してその下端が吸着面よりも低い位置に突出する状態となるように形成するため、吸着体にて基材を吸着支持するにあたり、まず基材の上方に吸着体を配置して、吸着体内に負圧をかけると共に、弾接体に正圧をかけて弾接体を膨張させることにより、吸着面から吸引力が基材にかけられると共に、膨張した弾接体が吸着体の吸着面よりも下方に突出した状態で吸着面の周囲を取り囲みながら、基材の上面に弾接し、これにより吸着面と基材の上面との間に外気が流入することが防止されるものであり、これにより、吸着面からの吸引力が基材に対して強く働いて、吸着体にて基材を確実に吸着することができるものである。
【0126】
またこのとき、弾接体は吸着体で基材を吸着するごとに膨張させて基材に確実に弾接させることができ、繰り返し使用した場合でも塑性変形等により基材に弾接しない箇所が生じることを防止することができて、長期間に亘って部品交換等を行うことなく、基材の確実な吸着支持が可能となるものである。
【0127】
更に、吸着体に対する基材の吸着がなされた場合には、弾接体内へ正圧をかけることを停止し、あるいは逆に弾接体内に負圧をかけるなどして、弾接体を収縮させることにより、基材が吸着面に密接された状態で弾接体が基材を押圧することを防いで、基材の湾曲を防止することができるものである。
【0128】
また、吸気側にて負圧を発生すると共に排気側で正圧を発生させる吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続したものであるため、一つの吸排気装置により吸着体へ負圧をかけて基材を吸着すると共に、弾接体に正圧をかけて基材に弾接されることができ、弾接体のために別途に吸排気装置を設ける必要がないものである。
【0129】
しかも、吸排気装置の吸気側と吸着体とを接続する経路に、この経路における気流の圧力が所定の圧力以上である場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続した状態とし、前記経路における気体の圧力が所定の圧力に満たなくなった場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体と弾接体とに接続する吸排気経路切替手段を具備するため、吸着体に対する基材の吸着がなされた場合には、弾接体内に負圧をかけて弾接体を収縮させることにより、基材が吸着面に密接された状態で弾接体が基材を押圧することを防いで、基材の湾曲を防止することができるものであり、且つこの弾接体にかける正圧と負圧との切り替えを、吸着面に対する基材の吸着状態に応じて自動的に行わせることができるものである。
【0130】
請求項2の発明は、請求項1において、吸排気装置の吸気側と吸着体とを接続する経路に真空スイッチを設けると共にこの真空スイッチにより作動して吸排気装置からの吸排気経路の切替制御を行うシーケンサを設け、前記シーケンサは、真空スイッチによって前記経路内が真空又は所定の減圧雰囲気となったことが検知された場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続した状態から、吸排気装置の吸気側を吸着体と弾接体とに接続した状態へと切り替えるように制御を行うものであるため、吸着体に対する基材の吸着がなされた場合には、弾接体内に負圧をかけて弾接体を収縮させることにより、基材が吸着面に密接された状態で弾接体が基材を押圧することを防いで、基材の湾曲を防止することができるものであり、且つこの弾接体にかける正圧と負圧との切り替えを、吸着面に対する基材の吸着状態に応じて自動的に行わせることができるものである。
【0131】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、弾接体を、膨張時、収縮時のいずれにおいても、吸着体側に配置される部位の外面が外側方に向けて湾曲した形状となるように形成するため、基材と吸着面との間に弾接体が引き込まれることを防止して、吸着面への基材の吸着を確実に行わしめることができるものである。
【0132】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、弾接体を、弾性体のシート材からなる内層と、耐摩耗性のシート材からなる外層とから構成されるシート状の部材を、外層が外面側に配置されるように成形することにより形成するため、内層により弾接体の柔軟性を維持して良好な膨張収縮性を確保すると共に、外層により弾接体を繰り返し使用した場合の摩耗を抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す一部破断した正面図である。
【図2】同上の一部破断した側面図である。
【図3】同上の一部省略した底面図である。
【図4】(a)(b)は弾接体の構成の一例を示す断面図である。
【図5】(a)(b)は弾接体の構成の他例を示す断面図である。
【図6】図4に示す弾接体の端部の構成の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は一部の斜視図、(c)は一部の平面図、(d)は一部の正面図である。
【図7】図5に示す弾接体の端部の構成の一例を示すものであり、(a)(b)は一部の斜視図である。
【図8】同上の実施の形態の全体構成を示す正面図である。
【図9】同上の平面図である。
【図10】同上の一部省略した側面図である。
【図11】同上の実施の形態における、吸排気系統の一例を示す系統図である。
【図12】(a)(b)は、図11における流路切替器の構成の一例を示す断面図である。
【図13】吸着体に対する弾接体の配置状態の一例を示す平面図である。
【図14】同上の実施の形態における、吸排気系統の他例を示す系統図である。
【図15】従来技術の一例を示す概略図である。
【図16】従来技術の他例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 吸着支持装置
110 吸着体
111 吸着面
140 基材
200 弾接体
200a 内層
200b 外層
270 シーケンサ
274 真空スイッチ
413 吸排気装置
Claims (4)
- 下面に形成された吸着面において基材を負圧により吸着支持する吸着体に、吸着面の周囲を囲む弾接体を配設し、前記弾接体を弾性材又は可撓性材にて中空の筒状に形成すると共にその内部に正圧がかけられた際に膨張してその下端が吸着面よりも低い位置に突出する状態となるように形成し、吸気側にて負圧を発生すると共に排気側で正圧を発生させる吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続し、吸排気装置の吸気側と吸着体とを接続する経路に、この経路における気流の圧力が所定の圧力以上である場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続した状態とし、前記経路における気体の圧力が所定の圧力に満たなくなった場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体と弾接体とに接続する吸排気経路切替手段を具備して成ることを特徴とする吸着支持装置。
- 吸排気装置の吸気側と吸着体とを接続する経路に真空スイッチを設けると共にこの真空スイッチにより作動して吸排気装置からの吸排気経路の切替制御を行うシーケンサを設け、前記シーケンサは、真空スイッチによって前記経路内が真空又は所定の減圧雰囲気となったことが検知された場合に、吸排気装置の吸気側を吸着体に接続すると共に排気側を弾接体に接続した状態から、吸排気装置の吸気側を吸着体と弾接体とに接続した状態へと切り替えるように制御を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の吸着支持装置。
- 弾接体を、膨張時、収縮時のいずれにおいても、吸着体側に配置される部位の外面が外側方に向けて湾曲した形状となるように形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸着支持装置。
- 弾接体を、弾性体のシート材からなる内層と、耐摩耗性のシート材からなる外層とから構成されるシート状の部材を、外層が外面側に配置されるように成形することにより形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の吸着支持装置。
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