JP4211379B2 - 車輌用制動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌の制動制御装置に係り、更に詳細には車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう制動力を制御する制動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の制動制御装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、先行車輌との車間距離を保ちながら追従走行するよう車輌の制動力を自動的に制御する制動制御装置であって、先行車輌に対する相対速度及び相対距離に基づき車輌の目標減速度を演算し、目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧をフィードバック制御する制動制御装置が従来より知られている。
【0003】
尚下記の特許文献2には、先行車輌に対する車輌の追従制御時に於いて、目標減速度と実減速度の差に基づき制動圧をフィードバック制御することにより車輌の減速度を制御する制動制御装置が記載されている。
【特許文献1】
特開平5−319235号公報
【特許文献2】
特開2000−38048号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、上述の如き従来の制動制御装置に於いては、先行車輌に対する自車の相対速度及び相対距離に基づき自動制動による減速の必要性が判定され、自動制動による減速の必要性があると判定された直後より目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧がフィードバック制御される。各車輪の制動装置や制動圧制御装置のバラツキや経時変化、車輌重量や路面状況の如き車輌の走行状況等に起因して、目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧がフィードバック制御されても減速度の応答遅れやオーバーシュートが発生し、車輌の乗員が違和感を感じることがある。
【0005】
特に自動制動による減速の必要性があると判定された段階で油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプの吐出圧を圧力源として各車輪の制動圧が制御される制動制御装置の如く、圧力源の圧力の立ち上がりが遅れる制動制御装置の場合には、制動圧の増圧に応答遅れが生じ易く車輌の減速度が速やかには上昇しないため、自動制動による減速の必要性があると判定された直後より目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧がフィードバック制御されると、目標減速度と実際の減速度との偏差が大きくなった段階で圧力源の圧力が立ち上がり制動圧が急峻に上昇することに起因して減速度のオーバーシュートが発生し易い。
【0006】
本発明は、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御するよう構成された従来の制動制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、目標減速度と実際の減速度との偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って制動圧を一時的に増圧することにより、各車輪の制動装置及び制動圧制御装置のバラツキや経時変化に起因する制動圧制御時の減速度の応答遅れやオーバーシュートの発生の虞れを低減し、車輌の乗員が違和感を感じる虞れを低減することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の増圧時間が長くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の増圧時間を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置によって達成される。
また上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項2の構成、即ち前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の増圧圧力が高くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の増圧圧力を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置によって達成される。
また上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項3の構成、即ち前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の減圧時間が長くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の減圧時間を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置によって達成される。
また上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項4の構成、即ち前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の減圧圧力が高くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の減圧圧力を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置によって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前方障害物に対する自車の相対速度及び相対距離に基づき車輌の減速の必要性を判定し、減速の必要があると判定したときには、目標減速度の増加率を所定の増加率制限勾配以内に制限し、増加率が制限された目標減速度と実際の減速度との偏差が制限変更基準値以下になったときには、それ以降の目標減速度の増加率の制限を解除するよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、減速の必要があると判定したときの目標減速度が高いほど前記増加率制限勾配が大きくなるよう、減速の必要があると判定したときの目標減速度に応じて前記増加率制限勾配を可変設定するよう構成される(請求項6の構成)。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始前に、前記減速度の偏差の大きさが基準値以上になった場合、前記増圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が前記所定の増圧圧力を越えた場合、前記減圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が前記所定の減圧圧力を越えた場合の何れかの場合には、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御へ移行するよう構成される(請求項7の構成)。
【0010】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1乃至4の構成によれば、目標減速度と実際の減速度との偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り減速度の偏差に関係なく制動圧が所定の増圧圧力に増圧され、次いで所定の減圧時間に亘り減速度の偏差に関係なく制動圧が所定の減圧圧力に減圧され、これにより各車輪の制動装置や制動圧制御装置のバラツキや経時変化に起因する制動圧制御による減速度の応答のバラツキの影響が低減され、しかる後減速度の偏差に基づき制動圧が制御されるので、目標減速度と実際の減速度との偏差に基づく制動圧制御時の減速度の応答遅れやオーバーシュートの発生の虞れを低減し、車輌の乗員が違和感を感じる虞れを低減することができる。
【0011】
また上記請求項1乃至4の構成によれば、減速度偏差に基づく制動圧制御時の減速度の応答遅れやオーバーシュートの発生の虞れを低減しつつ、制動圧の一時的な増圧に起因して車輌の減速度が不必要に高くなること及び減速度偏差に基づく制動圧制御への移行時に於ける車輌の減速度の急激な減少を防止し、これらに起因して車輌の乗員が違和感を感じることを効果的に防止することができる。
特に上記請求項1の構成によれば、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど所定の増圧時間が長くなるよう、相対距離及び前記相対速度に基づき所定の増圧時間が可変設定されるので、相対距離及び相対速度に関係なく所定の増圧時間が一定である場合に比して、相対距離及び相対速度に応じて、換言すれば前方障害物に対する自車の関係に応じて最適に制動圧の増圧制御を行うことができる。
また上記請求項2の構成によれば、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど所定の増圧圧力が高くなるよう、相対距離及び相対速度に基づき所定の増圧圧力が可変設定されるので、相対距離及び相対速度に関係なく所定の増圧圧力が一定である場合に比して、相対距離及び相対速度に応じて、換言すれば前方障害物に対する自車の関係に応じて最適に制動圧の増圧制御を行うことができる。
また上記請求項3の構成によれば、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど所定の減圧時間が長くなるよう、相対距離及び相対速度に基づき所定の減圧時間が可変設定されるので、相対距離及び相対速度に関係なく所定の減圧時間が一定である場合に比して、相対距離及び相対速度に応じて、換言すれば前方障害物に対する自車の関係に応じて最適に制動圧の減圧制御を行うことができる。
また上記請求項4の構成によれば、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど所定の減圧圧力が高くなるよう、相対距離及び相対速度に基づき所定の減圧圧力が可変設定されるので、相対距離及び相対速度に関係なく所定の減圧圧力が一定である場合に比して、相対距離及び相対速度に応じて、換言すれば前方障害物に対する自車の関係に応じて最適に制動圧の減圧制御を行うことができる。
また上記請求項5の構成によれば、減速の必要があると判定されたときには、目標減速度の増加率が所定の増加率制限勾配以内に制限され、増加率が制限された目標減速度と実際の減速度との偏差が制限変更基準値以下になったときには、それ以降の目標減速度の増加率の制限が解除されるので、減速制御の開始時に減速度が急激に高くなることに起因して乗員が違和感を感じることを効果的に防止しつつ、目標減速度の増加率が不必要に制限されることを防止することができる。
また上記請求項6の構成によれば、減速の必要があると判定したときの目標減速度が高いほど増加率制限勾配が大きくなるよう、減速の必要があると判定したときの目標減速度に応じて増加率制限勾配が可変設定されるので、増加率制限勾配が一定である場合に比して、実際の減速度が目標減速度に対しオーバーシュートしたり乗員が違和感を感じたりすることを効果的に防止しつつ、前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度を確保するために必要な減速度に応じて実際の減速度の増加を適正に制御することができる。
【0012】
また上記請求項7の構成によれば、減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始前に、減速度の偏差の大きさが基準値以上になった場合、増圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が所定の増圧圧力を越えた場合、減圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が所定の減圧圧力を越えた場合の何れかの場合には、減速度の偏差に基づく制動圧制御へ移行するので、車輌の減速度を目標減速度にするための制動圧の増圧の必要性が高い状況に於いて制動圧の一時的な増圧又は一時的な減圧が不必要に継続されることを防止し、制動圧の一時的な増圧又は一時的な減圧に起因して車輌の減速度の目標減速度への到達が遅れることを効果的に防止することができる。
【0013】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の何れかの構成に於いて、前方障害物に対する自車の相対速度及び相対距離に基づき車輌の減速の必要性を判定し、減速の必要があるときに前方障害物に対する自車の相対速度及び相対距離に基づき車輌の目標減速度を決定するよう構成される(好ましい態様1)。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明による車輌用制動制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図、図2は図1に示された実施形態の制動装置を示す概略構成図、図3は図2に示された前輪用の制御弁を示す解図的断面図である。尚図2に於いては、電磁的に駆動される各弁のソレノイドの図示は省略されている。
【0023】
図1に於て、100FL及び100FRはそれぞれ車輌102の左右の前輪を示し、100RL及び100RRはそれぞれ車輌の駆動輪である左右の後輪を示している。従動輪であり操舵輪でもある左右の前輪100FL及び100FRは図1には示されていないが運転者によるステアリングホイールの転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置によりタイロッドを介して操舵される。
【0024】
各車輪の制動力は制動装置120の油圧回路122によりホイールシリンダ124FR、124FL、124RR、124RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。制動装置120は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。図3に示されている如く、マスタシリンダ14はその両側の圧縮コイルばねにより所定の位置に付勢されたフリーピストン16により画成された第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有している。
【0025】
第一のマスタシリンダ室14Aには前輪用のブレーキ油圧制御導管18Fの一端が接続され、ブレーキ油圧制御導管18Fの他端には左前輪用のブレーキ油圧制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20FRの一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18Fの途中には常開型の電磁開閉弁である前輪用の制御弁22Fが設けられている。制御弁22Fの両側のブレーキ油圧制御導管18Fには第一のマスタシリンダ室14Aよりブレーキ油圧制御導管20FL又はブレーキ油圧制御導管20FRへ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管24Fが接続されている。
【0026】
図3に解図的に図示されている如く、制御弁22Fは内部に弁室70を郭定するハウジング72を有し、弁室70には弁要素74が往復動可能に配置されている。弁室70にはブレーキ油圧制御導管18Fのマスタシリンダ14の側の部分18FAが内部通路76を介して常時連通接続され、またブレーキ油圧制御導管18Fのマスタシリンダ14とは反対側の部分18FBが内部通路78及びポート80を介して連通接続されている。
【0027】
図示の如く、弁要素74の周りにはソレノイド82が配設されており、弁要素74は圧縮コイルばね84により図3に示された開弁位置へ付勢されている。弁要素74はソレノイド82に駆動電圧が印加されると、圧縮コイルばね84のばね力に抗してポート80に対し付勢され、これによりポート80を閉ざすことによって閉弁する。
【0028】
また制御弁22Fが閉弁位置にある状況に於いて、ブレーキ油圧制御導管18Fのマスタシリンダ14とは反対側の部分18FB内の圧力による力と圧縮コイルばね84のばね力との合計がソレノイド82による電磁力よりも高くなると、弁要素74はポート80より離れて該ポートを開き、部分18FB内のオイルが内部通路78、ポート80、弁室70、内部通路76を経てブレーキ油圧制御導管18Fの部分18FAへ流れる。そしてこのオイルの流動により部分18FB内のオイルの圧力が低下すると、その圧力による力と圧縮コイルばね84のばね力との合計がソレノイド82による電磁力よりも低くなり、弁要素74はポート80を再度閉ざす。
【0029】
かくして制御弁22Fはそのソレノイド82に対する印加電圧に応じてブレーキ油圧制御導管18Fの部分18FB内の圧力を制御するので、ソレノイド82に対する駆動電圧を制御することによって制御弁22Fにより部分18FB内の圧力を所望の圧力に制御することができる。尚図示の実施形態に於いては、図1に示された逆止バイパス導管24Fは制御弁22Fに内蔵されており、内部通路86と、該内部通路の途中に設けられ弁室70より部分18FBへ向かうオイルの流れのみを許す逆止弁88とよりなっている。
【0030】
左前輪用のブレーキ油圧制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20FRの他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ124FL及び124FRが接続されており、左前輪用のブレーキ油圧制御導管20FL及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20FRの途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁28FL及び28FRが設けられている。電磁開閉弁28FL及び28FRの両側のブレーキ油圧制御導管20FL及び20FRにはそれぞれホイールシリンダ124FL及び124FRよりブレーキ油圧制御導管18Fへ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管30FL及び30FRが接続されている。
【0031】
電磁開閉弁28FLとホイールシリンダ124FLとの間のブレーキ油圧制御導管20FLにはオイル排出導管32FLの一端が接続され、電磁開閉弁28FRとホイールシリンダ124FRとの間のブレーキ油圧制御導管20FRにはオイル排出導管32FRの一端が接続されている。オイル排出導管32FL及び32FRの途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁34FL及び34FRが設けられており、オイル排出導管32FL及び32FRの他端は接続導管36Fにより前輪用のバッファリザーバ38Fに接続されている。
【0032】
以上の説明より解る如く、電磁開閉弁28FL及び28FRはそれぞれホイールシリンダ124FL及び124FR内の圧力を増圧又は保持するための増圧弁であり、電磁開閉弁34FL及び34FRはそれぞれホイールシリンダ124FL及び124FR内の圧力を減圧するための減圧弁であり、従って電磁開閉弁28FL及び34FLは互いに共働して左前輪のホイールシリンダ124FL内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を郭定しており、電磁開閉弁28FR及び34FRは互いに共働して右前輪のホイールシリンダ124FR内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を郭定している。
【0033】
接続導管36Fは接続導管40Fによりポンプ42Fの吸入側に接続されており、接続導管40Fの途中には接続導管36Fよりポンプ42Fへ向かうオイルの流れのみを許す二つの逆止弁44F及び46Fが設けられている。ポンプ42Fの吐出側は途中にダンパ48Fを有する接続導管50Fによりブレーキ油圧制御導管18Fに接続されている。ポンプ42Fとダンパ48Fとの間の接続導管50Fにはポンプ42Fよりダンパ48Fへ向かうオイルの流れのみを許す逆止弁52Fが設けられている。
【0034】
二つの逆止弁44F及び46Fの間の接続導管40Fには接続導管54Fの一端が接続されており、接続導管54Fの他端は第一のマスタシリンダ室14Aと制御弁22Fとの間のブレーキ油圧制御導管18Fに接続されている。接続導管54Fの途中には常閉型の電磁開閉弁60Fが設けられている。この電磁開閉弁60Fはマスタシリンダ14と制御弁22Fとの間のブレーキ油圧制御導管18Fとポンプ42Fの吸入側との連通を制御するポンプ吸入弁として機能する。
【0035】
かくして制御弁22Fは電磁開閉弁60F等と共働して間接的に左右前輪のホイールシリンダ124FL、124FR内の圧力を増減することにより左右前輪の制動力を制御する左右前輪に共通の第一の制動力制御手段を構成しており、電磁開閉弁28FL等の増減圧制御弁は左右前輪のホイールシリンダ124FL、124FR内の圧力を増減することにより左右前輪の制動力を個別に制御する左前輪用及び右前輪用の第二の制動力制御手段を構成しており、第二の制動力制御手段による制動圧制御の応答性は第一の制動力制御手段による制動圧制御の応答性よりも高い。
【0036】
同様に、第二のマスタシリンダ室14Bには後輪用のブレーキ油圧制御導管18Rの一端が接続され、ブレーキ油圧制御導管18Rの他端には左後輪用のブレーキ油圧制御導管20RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管20RRの一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18Rの途中には常開型の電磁開閉弁である後輪用の制御弁22Rが設けられている。
【0037】
制御弁22Rは前輪用の制御弁22Fについて図3に示された構造と同一の構造を有しており、従って図には示されていないソレノイドに対する駆動電圧を制御することにより、制御弁22Rより下流側のブレーキ油圧制御導管18R内の圧力(上流圧)を所望の圧力に制御することができる。更に制御弁22Rの両側のブレーキ油圧制御導管18Rには第二のマスタシリンダ室14Bよりブレーキ油圧制御導管20RL又はブレーキ油圧制御導管20RRへ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管24Rが接続されている。
【0038】
左後輪用のブレーキ油圧制御導管20RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管20RRの他端にはそれぞれ左後輪及び右後輪の制動力を制御するホイールシリンダ124RL及び124RRが接続されており、左後輪用のブレーキ油圧制御導管20RL及び右後輪用のブレーキ油圧制御導管20RRの途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁28RL及び28RRが設けられている。電磁開閉弁28RL及び28RRの両側のブレーキ油圧制御導管20RL及び20RRにはそれぞれホイールシリンダ124RL及び124RRよりブレーキ油圧制御導管18Rへ向かうオイルの流れのみを許す逆止バイパス導管30RL及び30RRが接続されている。
【0039】
電磁開閉弁28RLとホイールシリンダ124RLとの間のブレーキ油圧制御導管20RLにはオイル排出導管32RLの一端が接続され、電磁開閉弁28RRとホイールシリンダ124RRとの間のブレーキ油圧制御導管20RRにはオイル排出導管32RRの一端が接続されている。オイル排出導管32RL及び32RRの途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁34RL及び34RRが設けられており、オイル排出導管32RL及び32RRの他端は接続導管36Rにより後輪用のバッファリザーバ38Rに接続されている。
【0040】
前輪側の場合と同様、電磁開閉弁28RL及び28RRはそれぞれホイールシリンダ124RL及び124RR内の圧力を増圧又は保持するための増圧弁であり、電磁開閉弁34RL及び34RRはそれぞれホイールシリンダ124RL及び124RR内の圧力を減圧するための減圧弁であり、従って電磁開閉弁28RL及び34RLは互いに共働して左後輪のホイールシリンダ124RL内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を郭定しており、電磁開閉弁28RR及び34RRは互いに共働して右後輪のホイールシリンダ124RR内の圧力を増減し保持するための増減圧弁を郭定している。
【0041】
接続導管36Rは接続導管40Rによりポンプ42Rの吸入側に接続されており、接続導管40Rの途中には接続導管36Rよりポンプ42Rへ向かうオイルの流れのみを許す二つの逆止弁44R及び46Rが設けられている。ポンプ42Rの吐出側は途中にダンパ48Rを有する接続導管50Rによりブレーキ油圧制御導管18Rに接続されている。ポンプ42Rとダンパ48Rとの間の接続導管50Rにはポンプ42Rよりダンパ48Rへ向かうオイルの流れのみを許す逆止弁52Rが設けられている。尚ポンプ42F及び42Rは図1には示されていない共通の電動機により駆動される。
【0042】
二つの逆止弁44R及び46Rの間の接続導管40Rには接続導管54Rの一端が接続されており、接続導管54Rの他端は第二のマスタシリンダ室14Bと制御弁22Rとの間のブレーキ油圧制御導管18Rに接続されている。接続導管54Rの途中には常閉型の電磁開閉弁60Rが設けられている。この電磁開閉弁60Rもマスタシリンダ14と制御弁22Rとの間のブレーキ油圧制御導管18Rとポンプ42Rの吸入側との連通を制御するポンプ吸入弁として機能する。
【0043】
かくして制御弁22Rは電磁開閉弁60R等と共働して間接的に左右後輪のホイールシリンダ124RL、124RR内の圧力を増減することにより左右後輪の制動力を制御する左右後輪に共通の第一の制動力制御手段を構成しており、電磁開閉弁28RL等の増減圧制御弁は左右後輪のホイールシリンダ124RL、124RR内の圧力を増減することにより左右後輪の制動力を個別に制御する左後輪輪用及び右後輪用の第二の制動力制御手段を構成しており、第二の制動力制御手段による制動圧制御の応答性は第一の制動力制御手段による制動圧制御の応答性よりも高い。
【0044】
図示の実施形態に於いては、各制御弁及び各開閉弁は対応するソレノイドに駆動電流が通電されていないときには図2に示された非制御位置に設定され、これによりホイールシリンダ124FL及び124FRには第一のマスタシリンダ室14A内の圧力が供給され、ホイールシリンダ124RL及び124RRには第二のマスタシリンダ室14B内の圧力が供給される。従って通常時には各車輪のホイールシリンダ内の圧力、即ち制動力はブレーキペダル12の踏力に応じて増減される。
【0045】
これに対し制御弁22F、22Rが閉弁位置に切り換えられ、開閉弁60F、60Rが開弁され、各車輪の開閉弁が図2に示された位置にある状態にてポンプ42F、42Rが駆動されると、マスタシリンダ14内のオイルがポンプによって汲み上げられ、ホイールシリンダ124FL、124FRにはポンプ42Fによりポンプアップされた圧力が供給され、ホイールシリンダ124RL、124RRにはポンプ42Rによりポンプアップされた圧力が供給されるようになるので、各車輪の制動圧はブレーキペダル12の踏力に関係なく制御弁22F、22R及び各車輪の開閉弁(増減圧弁)の開閉により増減される。
【0046】
この場合、ホイールシリンダ内の圧力は、開閉弁28FL〜28RR及び開閉弁34FL〜34RRが図2に示された非制御位置にあるときには増圧され(増圧モード)、開閉弁28FL〜28RRが閉弁位置に切り換えられ且つ開閉弁34FL〜34RRが図2に示された非制御位置にあるときには保持され(保持モード)、開閉弁28FL〜28RR及び開閉弁34FL〜34RRが開弁位置に切り換えられると減圧される(減圧モード)。
【0047】
制御弁22F及び22R、開閉弁28FL〜28RR、開閉弁34FL〜34RR、開閉弁60F及び60Rは、後に説明する如く電子制御装置130により制御される。図には詳細に示されていないが、電子制御装置130はマイクロコンピュータと駆動回路とよりなっており、マイクロコンピュータは当技術分野に於いて周知の一般的な構成のものであってよい。
【0048】
車輌102には例えばレーザ光や電波を利用して先行車輌の如き前方障害物までの距離Lre及び前方障害物に対する自車の相対速度Vreを検出するレーダーセンサ134が設けられ、また車輌の前後加速度Gxを検出する加速度センサ136及び車速Vを検出する車速センサ138が設けられている。各ホイールシリンダ124FR〜124RLにはその圧力Pbi(i=fl、fr、rl、rr)を各車輪の制動圧として検出する圧力センサ140FR〜140RLが設けられている。
【0049】
図示の如く、レーダーセンサ134により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreを示す信号、加速度センサ136により検出された車輌の加速度Gxを示す信号、車速センサ138により検出された車速Vを示す信号、圧力センサ140FR〜140RLにより検出された各車輪の制動圧Pbiを示す信号は電子制御装置130に入力される。尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置130は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。
【0050】
電子制御装置130は、図4に示されたフローチャートに従い、レーダーセンサ34により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する自車の相対速度Vreに基づき前方障害物に対し安全な相対距離及び相対速度を確保するために自動制動による減速の必要性があるか否かを判定し、減速の必要性があると判定されたときには相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtを演算し、目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxb(=−Gx)との偏差に基づき各車輪の目標制動圧Pbtiを演算し、各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制動装置120の油圧回路122を制御することにより、車輌の減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌を自動制動により減速させる。
【0051】
また電子制御装置130は、減速の必要性があると判定されたときには、目標減速度Gxbtが大きく変化しないようその増加率を所定の制限勾配以下に制限し、自動制動による減速により目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差が制限変更基準値A(正の定数)以下になると、目標減速度Gxbtの増加率の制限を解除する。
【0052】
また電子制御装置130は、減速の必要性があると判定されたときには、目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差に基づく各車輪の制動圧のフィードバック制御に先立ち、フィルアップ制御時間Tfに亘り各車輪の制動圧Pbiをフィルアップ制御の目標制動圧Pfiに一時的に増圧し、次いで移行制御時間Ttに亘り各車輪の制動圧Pbiを移行制御の目標制動圧Ptiに一時的に減圧し、しかる後目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差に基づく各車輪の制動圧のフィードバック制御へ移行する。
【0053】
尚一般に、ホイールシリンダの圧力を増大させる指令を発しても、車輪の制動力はすぐには発生せず、車輪の制動力が発生するようになるまでに消費されるオイル(無効消費油量)が存在するので、フィルアップ制御は少なくとも無効消費油量のオイルを効率的にホイールシリンダへ供給し、車輪の制動力がバラツキなく発生し得る状態にするための制御である。
【0054】
またフィルアップ制御が過剰な圧力若しくは過剰な時間に亘り実行されると、車輌の実際の減速度が過剰になったり、フィードバック制御への移行が遅れたりするという問題が生じるので、移行制御はフィルアップ制御の目的を達成しつつフィルアップ制御に起因して車輌の実際の減速度が過剰になったりフィードバック制御への移行が遅れたりすることを防止するための制御である。
【0055】
また電子制御装置130は、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほどフィルアップ制御時間Tfが長くなりフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが高くなるよう、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づきフィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfiを可変設定し、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほど移行制御時間Ttが長く移行制御の目標制動圧Ptiが高くなるよう相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Ptiを可変設定する。
【0056】
更に電子制御装置130は、フィルアップ制御中又は移行制御中であっても、目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差の大きさが基準値以上になった場合や、目標減速度Gxbtに基づくフィードフォワード制御の目標制動圧がフィルアップ制御の目標制動圧Pfi又は移行制御の目標制動圧Ptiを越えた場合には、フィルアップ制御又は移行制御を中断し、目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差に基づく各車輪の制動圧のフィードバック制御へ移行する。
【0057】
次に図4及び図5に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける自動制動による減速制御ルーチンについて説明する。尚図4に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0058】
まずステップ10に於いてはレーダーセンサ34により検出された前方障害物までの相対距離Lre及び前方障害物に対する相対速度Vreを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき自動制動による減速が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま図4に示されたルーチンによる制御を一旦終了し、肯定判別が行われたときにはステップ30に於いてαを正の係数として相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき下記の式1に従って車輌の目標減速度Gxbtが演算される。
Gxbt=α(Lre/Vre) …(1)
【0059】
この場合、自動制動による減速が必要であるか否かの判別は当技術分野に於いて公知の任意の態様にて行われてよく、例えばレーダーセンサ34により自車の前方に先行車輌が検出された場合に於いて、先行車輌に対する自車の相対速度Vreが大きいほど小さい基準値Loが演算され、先行車輌までの距離Lreが基準値Lo以下であるときに自動制動による減速が必要であると判定されてよい。
【0060】
ステップ40に於いては自動制動による減速制御の開始時であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ80へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
【0061】
ステップ50に於いては相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほどフィルアップ制御時間Tfが長くなりフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが高くなるよう、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づきフィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfi(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0062】
ステップ60に於いては相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほど移行制御時間Ttが長く移行制御の目標制動圧Ptiが高くなるよう相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。尚この場合目標制動圧Pfi及びPtiはそれぞれ全ての車輪について同一の値であってよい。
【0063】
ステップ70に於いては目標減速度Gxbtが高いほど大きくなるよう、目標減速度Gxbtに応じて目標減速度の増加制限量R(正の値)が演算されると共に、車速Vが高く相対距離Lreが小さいほど大きくなるよう車速V及び相対距離Lreに応じてフィードバックゲインβ(正の係数)が演算される。
【0064】
ステップ80に於いてはフラグFが1であるか否かの判別、即ち後述の目標減速度の増加勾配の制限が完了したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ140へ進み、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0065】
ステップ90に於いては前回の車輌の目標減速度GxbtをGxbtfとして、車輌の目標減速度Gxbtとその前回値Gxbtfとの偏差が増加制限量Rよりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ110へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いて車輌の目標減速度GxbtがGxbtf+R(増加率が制限された値)に設定される。
【0066】
ステップ110に於いては目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差が制限解除基準値A以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ120に於いてフラグFが1にセットされた後ステップ140へ進み、否定判別が行われたときにはステップ130に於いてフラグFが0にリセットされた後ステップ140へ進む。
【0067】
ステップ140に於いてはフィルアップ制御中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ180へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ150へ進む。
【0068】
ステップ150に於いてはフィードバック制御へ移行する必要があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ210へ進み、否定判別が行われたときにはステップ160へ進む。
【0069】
尚フィードバック制御へ移行する必要があるか否かの判別は、例えば車輌の目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差が基準値B(上記Aよりも大きい正の定数)よりも大きくなったか否かの判別、及びKfi(i=fl、fr、rl、rr)を各車輪についてのフィードフォワード制御ゲインとしてフィードフォワード制御の目標制動圧Pbffti(=KfiGxbt)が演算されると共に、目標制動圧Pbfftiの少なくとも何れかが対応するフィルアップ制御の目標制動圧Pfiよりも大きくなったか否かの判別により行われ、何れかの判別が肯定判別であるときにフィードバック制御へ移行する必要があると判定されてよい。
【0070】
ステップ160に於いてはフィルアップ制御が開始された時点よりフィルアップ制御時間Tfが経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ200へ進み、否定判別が行われたときにはステップ170に於いて各車輪の目標制動圧Pbtiがフィルアップ制御の目標制動圧Pfiに設定される。
【0071】
ステップ180に於いては移行制御が開始された時点より移行制御時間Ttが経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ210へ進み、否定判別が行われたときにはステップ190へ進む。
【0072】
ステップ190に於いてはステップ150の場合と同様、フィードフォワード制御の目標制動圧P bffti の少なくとも何れかが対応する移行制御の目標制動圧P ti よりも大きくなったか否かの判別によりフィードバック制御へ移行する必要があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ210へ進み、否定判別が行われたときにはステップ200に於いて各車輪の目標制動圧Pbtiが移行制御の目標制動圧Ptiに設定される。
【0073】
ステップ210に於いては目標減速度Gxbt及び実減速度Gxbに基づき下記の式2に従って車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtが演算され、ステップ220に於いては各車輪の係数Kiと車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtとの積として各車輪の目標増減制動圧ΔPbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、下記の式3に従って各車輪のフィードバック制御の目標制動圧Pbtiが演算される。
ΔPbt=β(Gxbt−Gxb) …(2)
Pbti=Pbi+ΔPbti …(3)
【0074】
かくして図示の実施形態によれば、例えば車輌が先行車輌に接近することにより自動制動による減速が必要になると、ステップ20に於いて肯定判別が行われ、ステップ30に於いて相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき車輌の目標減速度Gxbtが演算され、また自動制動による減速制御の開始時であるので、ステップ40に於いて肯定判別が行われ、ステップ50に於いてフィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが演算され、ステップ60に於いて移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Ptiが演算され、ステップ70に於いて目標減速度Gxbtに応じて目標減速度の増加制限量R(正の値)が演算されると共に、車速V及び相対距離Lreに応じてフィードバックゲインβが演算される。
【0075】
そしてステップ140に於いて肯定判別が行われると共に、ステップ150及び160に於いて否定判別が行われ、ステップ170に於いて車輪の目標制動圧Pbtiがフィルアップ制御の目標制動圧Pfiに設定され、フィルアップ制御時間Tfが経過しステップ160に於いて肯定判別が行われるまでステップ170及び230が実行され、これにより各車輪の制動圧Pbtiがフィルアップ制御時間Tfに亘りフィルアップ制御の目標制動圧Pfiに一時的に増圧される。
【0076】
フィルアップ制御時間Tfが経過すると、ステップ160に於いて肯定判別が行われ、ステップ200に於いて各車輪の目標制動圧Pbtiが移行制御の目標制動圧Ptiに設定され、移行制御時間Ttが経過しステップ180に於いて肯定判別が行われるまでステップ200及び230が実行され、これにより各車輪の制動圧Pbtiが移行制御時間Ttに亘り移行制御の目標制動圧Ptiに一時的に減圧される。
【0077】
移行制御時間Ttが経過すると、ステップ180に於いて肯定判別が行われ、ステップ210に於いて目標減速度Gxbtと実減速度Gxbとの偏差に基づいて車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtが演算され、ステップ220に於いて各車輪の係数Kiと車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtとの積として各車輪の目標増減制動圧ΔPbti(i=fl、fr、rl、rr)が演算されると共に、下記の式3に従って各車輪の目標制動圧Pbtiが演算され、ステップ230に於いて各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制動装置20が制御され、これにより実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌が自動制動により減速される。
【0078】
従って図示の実施形態によれば、自動制動による減速が必要になるとすぐに目標減速度Gxbtと実減速度Gxbとの偏差に基づくフィードバック制御が開始されるのではなく、まず各車輪の制動圧Pbiがフィルアップ制御時間Tfに亘り一時的にフィルアップ制御の目標制動圧Pfiになるよう増圧指令が発せられ、次いで各車輪の制動圧Pbiが移行制御時間Ttに亘り一時的に移行制御の目標制動圧Ptiになるよう減圧指令が発せられ、しかる後目標減速度Gxbtと実減速度Gxbとの偏差に基づくフィードバック制御が開始されるので、各車輪の制動装置の無効消費油量に相当するオイルが迅速に各車輪の制動装置へ供給され、これにより各車輪の制動装置のバラツキや経時変化に起因してフィードバック制御開始時に各車輪の実際の制動力が目標制動圧Pbtiにならないこと、及びこれに起因して車輌の減速度の応答遅れやオーバーシュートが発生する虞れを効果的に低減することができる。
【0079】
例えば図6は車輌が一定の減速度にて走行している際に自動制動による減速が必要になった場合に於ける図示の実施形態の作動の一例を示すグラフである。尚図6に於いて、減速度の実線は車輌の実際の減速度Gxbを示し、一点鎖線は増加率制限後の目標減速度Gxbtを示している。また制動圧の太い実線は実際の制動圧(ホイールシリンダ圧力)Pbiを示し、太い一点鎖線は目標制動圧Pbti(制御電流の制動圧換算値)を示し、太い二点鎖線はフィードフォワード制御の目標制動圧Pbfftiを示している。
【0080】
図6に於いて、時点t1に於いて自動制動による減速が必要である判定されると共にフィルアップ制御が開始され、時点t2に於いてフィルアップ制御より移行制御へ移行し、時点t3に於いて移行制御よりフィードバック制御へ移行するとすると、時点t1より時点t2までのフィルアップ制御時間Tfに亘り各車輪の目標制動圧Pbtiがフィルアップ制御の目標制動圧Pfiになるよう制御され、時点t2より時点t3までの移行制御時間Ttに亘り各車輪の目標制動圧Pbtiが移行制御の目標制動圧Ptiになるよう制御され、時点t3に於いてフィードバック制御が開始される。
【0081】
特に図示の実施形態によれば、フィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfiは、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほどフィルアップ制御時間Tfが長くなりフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが高くなるよう、ステップ50に於いて相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき可変設定され、また移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Ptiは、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほど移行制御時間Ttが長く移行制御の目標制動圧Ptiが高くなるよう、ステップ60に於いて相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき可変設定される。
【0082】
従ってフィルアップ制御時間Tf若しくはフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが一定である場合や移行制御時間Tt若しくは移行制御の目標制動圧Ptiが一定である場合に比して、相対距離Lre及び相対速度Vreに応じて、換言すれば先行車輌に対する自車の関係に応じて最適にフィルアップ制御及び移行制御を行うことができる。
【0083】
また図示の実施形態によれば、フィルアップ制御中又は移行制御中であっても、車輌の目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差が基準値Bよりも大きくなったり、フィードフォワード制御の目標制動圧Pbfftiの少なくとも何れかが対応する移行制御の目標制動圧Ptiよりも大きくなったりすることにより、フィードバック制御へ移行する必要が生じると、ステップ150又は190に於いて肯定判別が行われ、これによりフィードバック制御へ移行するので、ステップ150、190の判別が行われない場合に比して、フィルアップ制御や移行制御に起因してフィードバック制御への移行が遅れることを防止し、車輌の減速の必要性が高い状況に於いて確実にフィードバック制御へ移行し、車輌を効果的に減速させることができる。
【0084】
例えば図7は車輌が減速度を増大させつつ走行している際に自動制動による減速が必要になった場合に於ける図示の実施形態の作動の一例を示す図6と同様のグラフである。尚図7に於いて、太い破線は比較的急激に増大する車輌の目標減速度Gxbt及びフィードフォワード制御の目標制動圧Pbtiを示している。
【0085】
図7に示されている如く、時点t2と時点t3との間の時点t4に於いてフィードフォワード制御の目標制動圧Pbtiが移行制御の目標制動圧Ptiよりも大きくなったとすると、時点t4に於いて移行制御よりフィードバック制御へ移行し、フィードバック制御が遅れなく開始されることにより、車輌の減速度の増大が移行制御に起因して遅れることなく開始される。
【0086】
また図示の実施形態によれば、自動制動による減速開始時より増加量が制限された目標減速度Gxbtと減速度Gxbとの偏差が制限変更基準値A以下になるまで、ステップ80〜130に於いて目標減速度Gxbtの増加量が制限量Rに制限されることにより、図4及び図5に示されたフローチャートのサイクルタイムをΔTとすると、目標減速度Gxbtの増加率が制限量Rに対応する制限勾配R/ΔT以下に制限される。
【0087】
従って減速制御の開始時に目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差が急激に増大することを防止することができ、これにより減速制御の開始時に減速度が急激に高くなることに起因して乗員が違和感を感じることを防止することができる。
【0088】
この場合、目標減速度の増加制限量Rはステップ70に於いて減速制御が開始される際の目標減速度Gxbtが高いほど大きくなるよう目標減速度Gxbtに応じて可変設定されるので、この制限量が一定である場合に比して、実際の減速度Gxbが目標減速度Gxbtに対しオーバーシュートしたり乗員が違和感を感じたりすることを効果的に防止しつつ、前方障害物に対し安全走行に必要な相対距離及び相対速度を確保するために必要な減速度に応じて実際の減速度Gxbの増加を適正に制御することができる。
【0089】
また図示の実施形態によれば、ステップ70に於いてフィードバックゲインβは車速Vが高く相対距離Lreが小さいほど大きくなるよう車速V及び相対距離Lreに応じて可変設定されるので、車速が高く若しくは前方障害物に対する相対距離が小さいほど、換言すれば、自車が高い減速度にて減速される必要性が高いほど、目標減速度Gxbtと実際の減速度Gxbとの偏差に対する制動力の比を高くし、これにより制動による車輌の減速効果を高くすることができる。
【0090】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0091】
例えば上述の実施形態に於いては、フィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfiは、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほどフィルアップ制御時間Tfが長くなりフィルアップ制御の目標制動圧Pfiが高くなるよう、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき可変設定されるようになっているが、フィルアップ制御時間Tf及びフィルアップ制御の目標制動圧Pfiの少なくとも一方が定数に設定されてもよい。
【0092】
同様に、移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Ptiは、相対距離Lreが短く相対速度Vreが高いほど移行制御時間Ttが長く移行制御の目標制動圧Ptiが高くなるよう、相対距離Lre及び相対速度Vreに基づき可変設定されるようになっているが、移行制御時間Tt及び移行制御の目標制動圧Ptiの少なくとも一方が定数に設定されてもよい。
【0093】
また上述の実施形態に於いては、フィルアップ制御中にもステップ150が実行されることによりフィードバック制御へ移行する必要があるか否かが判定されるようになっているが、フィルアップ制御中にフィードバック制御へ移行する必要が生じることは稀であるので、ステップ150が省略されてもよい。
【0094】
また上述の実施形態に於いては、目標減速度の増加制限量Rは減速制御が開始される際の目標減速度Gxbtが高いほど大きくなるよう目標減速度Gxbtに応じて可変設定されるようになっているが、増加制限量Rは定数であってもよく、またその時々の目標減速度Gxbtに応じて可変設定されてもよく、またフィードバックゲインβと同様車速Vが高いほど大きくなるよう車速Vにも応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
【0095】
また上述の実施形態に於いては、基準値A及びBは定数であるが、基準値Aは例えば目標減速度Gxbtが高いほど大きくなり若しくは車速Vが高いほど大きくなるよう目標減速度Gxbt若しくは車速Vに応じて可変設定されるよう修正され、基準値Bは車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
【0096】
また上述の実施形態に於いては、車輌の実際の減速度Gxbは加速度センサ136により検出される車輌の前後加速度Gxに基づいて求められるようになっているが、車輌の実際の減速度Gxbは車速センサ138により検出される車速Vの微分値に基づいて求められてもよく、また図には示されていない車輪速度センサの検出値に基づいて演算されてもよい。
【0097】
更に上述の実施形態に於いては、目標減速度Gxbtに対応する車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtが演算され、車輌全体の目標増減制動圧ΔPbtに基づき各車輪の目標増減制動圧ΔPbtiが演算され、目標増減制動圧ΔPbtiに基づき各車輪の目標制動圧Pbtiが演算され、各車輪の制動圧Pbiが目標制動圧Pbtiになるよう制動装置20が制御され、これにより実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう車輌が自動制動が行われるようになっているが、実減速度Gxbが目標減速度Gxbtになるよう自動的に制動が行われる限り、制動力の制御自体は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよく、例えば各車輪の目標増減制動圧ΔPbtiに応じて各車輪の増減圧制御弁の目標デューティ比が演算され、目標デューティ比に基づき各車輪の増減圧制御弁が制御されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌用制動制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示された実施形態の制動装置を示す概略構成図である。
【図3】図2に示された前輪用の制御弁を示す解図的断面図である。
【図4】図示の実施形態に於ける自動制動による減速制御ルーチンの前半を示すフローチャートである。
【図5】図示の実施形態に於ける自動制動による減速制御ルーチンの後半を示すフローチャートである。
【図6】車輌が一定の減速度にて走行している際に自動制動による減速が必要になった場合に於ける図示の実施形態の作動の一例を示すグラフである。
【図7】車輌が減速度を増大させつつ走行している際に自動制動による減速が必要になった場合に於ける図示の実施形態の作動の一例を示す図6と同様のグラフある。
【符号の説明】
12…ブレーキペダル
14…マスタシリンダ
90…電子制御装置
120…制動装置
134…レーダーセンサ
136…加速度センサ
138…車速センサ
140FR〜140RL…圧力センサ
Claims (7)
- 前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の増圧時間が長くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の増圧時間を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置。
- 前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の増圧圧力が高くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の増圧圧力を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置。
- 前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の減圧時間が長くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の減圧時間を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置。
- 前方障害物に対する自車の関係に基づき車輌の目標減速度を決定し、車輌の実際の減速度が目標減速度になるよう目標減速度と実際の減速度との偏差に基づき制動圧を制御する車輌用制動制御装置に於いて、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始に先立って所定の増圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の増圧圧力に増圧し、次いで所定の減圧時間に亘り前記減速度の偏差に関係なく制動圧を所定の減圧圧力に減圧し、しかる後前記減速度の偏差に基づき制動圧を制御し、前方障害物に対する自車の相対距離が短く相対速度が高いほど前記所定の減圧圧力が高くなるよう、前記相対距離及び前記相対速度に基づき前記所定の減圧圧力を可変設定することを特徴とする車輌用制動制御装置。
- 前方障害物に対する自車の相対速度及び相対距離に基づき車輌の減速の必要性を判定し、減速の必要があると判定したときには、目標減速度の増加率を所定の増加率制限勾配以内に制限し、増加率が制限された目標減速度と実際の減速度との偏差が制限変更基準値以下になったときには、それ以降の目標減速度の増加率の制限を解除することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の車輌用制動制御装置。
- 減速の必要があると判定したときの目標減速度が高いほど前記増加率制限勾配が大きくなるよう、減速の必要があると判定したときの目標減速度に応じて前記増加率制限勾配を 可変設定することを特徴とする請求項5に記載の車輌用制動制御装置。
- 前記減速度の偏差に基づく制動圧制御の開始前に、前記減速度の偏差の大きさが基準値以上になった場合、前記増圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が前記所定の増圧圧力を越えた場合、前記減圧制御中に目標減速度に基づく目標制動圧が前記所定の減圧圧力を越えた場合の何れかの場合には、前記減速度の偏差に基づく制動圧制御へ移行することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車輌用制動制御装置。
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