JP4209689B2 - 超音波探傷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は超音波探傷装置に関し、特に、固体中の音響的不連続部(以下、きずと呼ぶ。)を非破壊で検査する超音波探傷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の超音波探傷法として、例えば、端部エコー法、散乱波法(TOFD法)、周波数分析法などがある。ここでは、この3つの従来法についてそれぞれ説明する。なお、本明細書においては、試験体中に発生する音響的不連続部を全て「きず」として示している。
【0003】
【非特許文献1】
「新非破壊検査便覧」、日刊工業新聞社、1992年初版1刷発行、第328頁〜第333頁
【0004】
まず、端部エコー法について説明する。上記非特許文献1(図2.427参照)に示されるように、試験体に対して送信と受信を兼用する探触子を載置して、斜めに超音波を入射させると、きずの端部からのエコーが得られる。このエコーのピークが得られたときのビーム路程と使用した探触子の屈折角から、きずの高さを得る方法である。
【0005】
次に、端部エコー法におけるきずの高さHの測定方法について説明する。図示はしていないが、探触子には探触子ケーブルを介して探傷器が接続されている。探傷器からは励振用の電気信号が探触子に送られ、探触子では電気信号を超音波に変換する。探触子で発生した超音波は屈折角θで試験体中を斜めに伝搬し、きずに到達する。きずに到達した超音波は、きずの端部で散乱され、探触子の方向へ戻り、探触子で電気信号に変換され、端部エコーとして受信される。
【0006】
一方、探触子を試験体の表面上で走査すると、試験体の底面ときずで反射され、探触子の方向へ戻り、探触子で電気信号に変換され受信されるエコーも存在する。このエコーを、ここでは「コーナーエコー」と称する。すなわち、探触子では端部エコーとコーナーエコーが受信され、そのエコー高さは、探触子の位置(文献の図中では、移動距離としている)によって異なる。なお、実際の探傷では、多くの場合、コーナーエコーの方が端部エコーよりも遥かに大きなレベルで受信される。
【0007】
試験体の表面上で探触子を走査し、端部エコーがピークを示す探触子位置におけるビーム路程W1を読み取り、式(1)を用いてきずの高さHを求める方法が、従来から知られている端部エコー法である。
H=T−W1cosθ (1)
ここで、Tは試験体2の厚さ、θは探触子の屈折角である。
【0008】
続いて、従来のTOFD法について説明する。上記非特許文献1(図2.431参照)に示されるように、送信用探触子と受信用探触子とを一定距離だけ隔てて対向させ、表面に伝搬してくる信号と、底面に当たって反射してくる信号とを同時に受信する。もし、試験体内部にきずがあれば、きずの端部での散乱波も同時に受信される。これらの信号の伝搬時間差から、コンピュータを利用してBスコープ表示を行い、きずの位置と高さを求める方法である。
【0009】
次に、TOFD法におけるきず3の高さHの測定方法について説明する。図示はしていないが、送信用探触子には探触子ケーブルを介して探傷器が接続されている。探傷器からは励振用の電気信号が送信用探触子に送られ、送信用探触子では電気信号を超音波に変換する。送信用探触子で発生した超音波は試験体中を伝搬していく。
【0010】
試験体中を伝搬し、受信用探触子まで到達する超音波には、幾つかの異なる伝搬経路がある。試験体の表面を伝搬し、受信用探触子まで到達する超音波がクリーピング波、きずの上端部および下端部で散乱され、受信用探触子まで到達する超音波が散乱波、そして試験体の底面で反射されて受信用探触子まで到達する超音波が底面反射波である。これらの超音波は、受信用探触子に到達した後、受信用探触子内で電気信号に変換される。図示はしていないが、受信用探触子には探触子ケーブルを介して探傷器が接続されており、受信用探触子からの電気信号を探傷器の表示器上に表示する。
【0011】
横軸を時間または距離、縦軸をエコー高さとしたAスコープ表示でエコーを表示すると、クリーピング波、上端部からの散乱波、下端部からの散乱波、底面反射波という順番で受信される。これらのエコーの伝搬時間差から、きずの高さを求める方法が、TOFD法である。
【0012】
最後に、従来の周波数分析法について説明する。Aスコープ表示のパルス反射式超音波探傷器を用いて得られる探傷図形は、上述したように、時間領域だけの情報しか得られない。しかしながら、パルス波には周波数に関する重要な情報が含まれているため、最近では得られた信号について周波数分析を行うことにより、周波数領域での情報を有効利用することが多くなりつつある。
【0013】
次に、周波数分析法におけるきずの高さHの測定方法について説明する。なお、上記文献ではきずの高さをdとしているが、ここではきず3の高さをHとする。図示はしていないが探触子には探触子ケーブルを介して探傷器が接続されている。探傷器からは励振用の電気信号が探触子に送られ、探触子では電気信号を超音波に変換する。探触子で発生した超音波は試験体中を斜めに伝搬し、きずに到達する。きずに到達した超音波は、きずの上端部および下端部で散乱され、探触子の方向へ戻り、探触子で電気信号に変換され、端部エコーとして受信される。
【0014】
きずの上下端部から得られた2つのエコーにはきずの高さHに対応したビーム路程差が存在する。このため、これら2つのエコーを合わせて周波数分析すると、間隔Δfの凸凹を持つスペクトラムが得られる。試験体2中を伝搬する超音波の音速をC、きずに対する入射角をθとすると、式(2)を用いてきず3の高さHを求めるのが周波数分析法である。
H=C/2Δfsinθ (2)
【0015】
以上、非特許文献1に示されている従来のきず高さを求める方法について説明したが、これらの方法には、適用範囲があると考えられる。まず、端部エコー法は、きずの端部からのエコーを受信してそのビーム路程を読み取る必要があるが、きずの高さHが探傷周波数における波長を同じ程度である場合、端部エコーとコーナーエコーとのビーム路程差が非常に小さくなるので、これらのエコーを探傷器の表示器上で分離することが困難となる。このため、きずの高さHが波長と同じ程度である場合、ビーム路程W1を読み取ることは難しい。また、屈折角θが大きくなると、端部エコーの高さは非常に小さくなるので、ビーム路程W1を読み取ることが非常に困難となる。すなわち、きず3の高さHが波長と同じ程度と予想され、屈折角θを大きくする必要がある場合には、端部エコー法できずの高さHを推定することは難しい。
【0016】
次に、TODF法は、送信用探触子と受信用探触子とを用いる必要があるので、複雑な構造物の探傷には適さないと考えられる。例えば、送信用探触子と受信用探触子を同一の探傷面に設置できない場合、すなわち、片側からしか探傷できない場合には、TOFD法を適用してきずの高さHを求めることはできない。また、複雑な構造であるためクリーピング波や底面反射波が受信できない場合、TOFD法を適用してきずの高さHを求めることは難しいと考えられる。
【0017】
最後に、周波数分析法は、きずの高さHが小さくなると上記Δfが大きくなり、探傷に用いている探触子の周波数特性にも依るがΔfの読み取り誤差が大きくなることが考えられる。また、きずが試験体の底面に対して開口している場合には(図17参照)、下端部からのエコーはコーナーエコーとなる。この場合には、2つのエコーの高さが大幅に異なるので、Δfの読み取り誤差が大きくなることが考えられる。
【0018】
以上、非特許文献1に示されている従来のきず高さを求める方法の適用範囲について説明したが、他の文献にもエコーの周波数スペクトラムからきず高さを求める方法が考案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0019】
【特許文献1】
特開昭57−8445号公報
【特許文献2】
特開昭57−64161号公報
【特許文献3】
特開昭61−184455号公報
【特許文献4】
特開昭61−184457号公報
【0020】
特許文献1では、非特許文献1の周波数分析法におけるΔfを平均値で求める方法である。このため、特許文献1に示されている方法の適用範囲は、非特許文献1の周波数分析法の適用範囲と同様である。
【0021】
特許文献2は、きずが小さくなればエコーの最大周波数が一様に小さくなっていく現象を利用して、きずの大きさを推定する方法である。しかし、探触子の特性によっては、最大周波数が一様に小さくならず、極大値や極小値を持つ特性となる。このため、特許文献2の適用範囲は、きずが小さくなればエコーの最大周波数が一様に小さくなるような場合に限定される。
【0022】
特許文献3は、試験体の表面で反射されて受信される表面エコーと、試験体中のきずで反射されて受信されるきずエコーの時間差を、周波数分析法で精度良く求め、表面からきずまでの距離を測定するというものである。この方法は、表面エコーがきずエコー近傍で受信されるという前提が必要であり、斜角探傷法における直接接触法やギャップ法には適用困難であると考えられる。また、きずの端部からのエコーを用いているため、適用範囲は端部エコー法と同様と考えられる。
【0023】
特許文献4は、上記特許文献3における表面エコーの代わりに基準エコーを設け、この基準エコーときずエコーとの時間差を周波数分析法で精度良く求めることにより、きずの高さを測定するというものである。しかし、きずの端部からのエコーを用いているため、適用範囲は端部エコー法と同様と考えられる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、屈折角をある程度大きくする必要があり、きずの大きさが波長と同じ程度の場合には端部エコー法の適用は困難である。また、試験体の構造が複雑で片側だけから探傷できない場合や、クリーピング波および底面反射波が受信できないような場合は、TOFD法の適用は困難である。さらに、きずが小さくてΔfが探触子の周波数特性に比べて大きい場合や、きずが試験体の底面に対して開口しているような場合には、周波数分析法の適用は困難である。すなわち、従来の方法においては、以下のような場合には、きずの高さを精度良く測定することは難しいという問題点があった。
(i) きずの大きさが波長程度の大きさであると予想される場合。
(ii) ある程度屈折角の大きい探触子を用いる必要がある場合。
(iii) 片側からしか探傷できない場合。
(iv) クリーピング波や底面反射波が受信できない場合。
(v) きずが試験体底面に開口している場合。
【0025】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、従来の方法において測定することが困難であった上記のような制約条件がある場合においても、固体中のきずの高さを非破壊で精度良く測定する超音波探傷装置を得ることを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明は、超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置とを備えた超音波探傷装置であって、前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、前記送受信装置は、時間的にスパイク状に変化する広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極小値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、前記探触子の屈折角は、前記極小値が明確に表れる屈折角が選択されている超音波探傷装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置の構成を示す図である。図2は、送信信号を説明するための図である。図3は、周波数とエコー高さとの関係を説明するための図である。図4は、実施の形態1に係わる超音波探傷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0028】
まず、図1に示した超音波探傷装置の構成について説明する。図1に示すように、送信と受信とを兼用する探触子1が試験体2上に載置され、試験体2中のきず3の探傷を行う。ここでは、きず3として、試験体2の底面に対して開口しているきずを想定しており、きず3の高さをHで表している。また、探触子1は、送受信器8に接続されている。このように、超音波探傷装置は、試験体2に載置された探触子1と、探触子1に接続された送受信装置8とから構成されている。送受信装置8は、制御部81と、任意波形発生部82と、送信部83と、受信部84と、信号処理部85とを含む。図1に示すように、任意波形発生部82は、送信部83に接続されている。送信部83は任意波形発生部82および探触子1に接続されている。探触子1は送信部83及び受信部84に接続されている。受信部84は信号処理部85に接続されている。制御部81は、任意波形発生部82、送信部83、受信部84、信号処理部85に接続されている。なお、図示はしないが、信号処理部85には内部にA/D変換部およびメモリを有する。このメモリには、信号処理部85において演算・算出された種々の結果が適宜記憶されるとともに、信号処理部85に対して入力された入力信号が適宜記憶される。また、A/D変換部は、信号処理部に入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。また、信号処理部85からは、処理状況を示す信号が適宜、制御部81に入力される。その入力信号に基づき、制御部81は、任意波形発生部82、送信部83、受信部84、信号処理部85に対し、制御信号を出力して、それらの制御を司る。
【0029】
次に、図1に示した超音波探傷装置の動作について説明する。図1において、制御部81からの制御信号により、任意波形発生部82から信号が発生される。この信号は、図2に示すようにf0をキャリア周波数としたバースト信号である。図2では、信号の立ち上がり部分および立ち下がり部分に変調を掛けた波形を示しており、この信号をここでは簡単のため「変調バースト信号」と呼ぶことにする。
【0030】
任意波形発生部82で発生した変調バースト信号は、送信部83で増幅され、探触子1を励振するための励振信号となる。この励振信号によって探触子1が電気的に励振され、探触子1内で電気信号が超音波に変換され、この超音波が試験体2中へ伝搬していく。試験体2中を伝搬した超音波は、きず3で散乱され、散乱波の一部は探触子1の方向へ伝搬していき、エコーとして受信される。
【0031】
探触子1で受信されたエコーは、受信部84で増幅された後、信号処理部85に送られる。信号処理部85に含まれているA/D変換部において、当該エコーはディジタル信号に変換される。変換されたディジタル信号は、信号処理部85内のメモリに記憶される。
【0032】
これらの動作を、変調バースト信号のキャリア周波数を変えて繰り返し行う。キャリア周波数を変える範囲および繰り返しの回数などは、探触子1の周波数特性に基づいて、予め決めておく。繰り返し行った動作の後には、信号処理部85内のメモリには、キャリア周波数ごとの受信エコー信号がディジタル信号として記憶される。これらの受信エコー信号から、きず3の高さHを求める処理方法を、次に述べる。
【0033】
図1に示すような底面に開口したきず3を探傷して受信したエコーの高さと、探傷周波数との間には、ある相関関係がある。探傷周波数を変えることによりエコー高さが変化し、その変化の様子はきず3の高さによって異なる。この現象をシミュレーションにより確かめた。シミュレーションでは、横波の屈折角60°の探触子を仮定し、鋼試験体中にあるきず3の高さHが1.6mmの場合と2.0mmの場合について、周波数を変えてエコー高さを計算した。周波数とエコー高さとの関係をまとめた結果を、図3に示す。図3において、横軸は探傷周波数であり、縦軸は相対エコー高さである。図3に示すように、エコー高さは周波数によって変化するが、その変化の様子はきず3の高さHによって異なる。例えば、H=1.6mmの場合には周波数2.4MHz近傍で極小値を示すが、H=2.0mmの場合には2.0MHz近傍で極小値を示す。また、横波の音速を3240m/sとしてシミュレーションしているので、周波数2.4MHzおよび2.0MHzにおける波長は、それぞれ、1.35mmおよび1.62mmである。したがって、きず3の高さHが波長の約1.2倍程度になった場合に、それぞれ、エコー高さが極小値を示すことになる。この現象を利用すれば、次のような処理により、きず3の高さHの値を求めることができる。
【0034】
すなわち、信号処理部85内のメモリから受信エコー信号を読み出し、エコー高さを求める。エコー高さが極小値を示すキャリア周波数(以降、極小周波数と称する)を求め、その周波数からきず3の高さHを推定する。図3に示すように、きず3の高さHが1.2倍程度になった場合に極小周波数を示すので、この方法を用いれば、きず3の高さHが波長と同じ程度の大きさであっても高精度にきず3の高さHの値を求めることができる。
【0035】
図4に、これらの処理をまとめたフローチャートを示す。以下、図4のフローチャートを参照しながら、きず3の高さHを求める処理方法をステップごとに改めて詳細に示す。
【0036】
ステップS1では、探傷を開始するキャリア周波数を設定する。この時の周波数は、所要の周波数範囲内であれば良く、所要の周波数の下限や上限である必要はない。
【0037】
ステップS2では、キャリア周波数に基づいて任意波形発生部82において変調バースト信号を作成し、送信部83に送信する。
【0038】
ステップS3では、送信部83で探触子1を励振する。その結果、超音波ビームが試験体2中へ伝搬していく。
【0039】
ステップS4では、試験体2中のきず3で散乱されて探触子1で受信したエコーを、受信部84で増幅し、信号処理部85に送る。
【0040】
ステップS5では、信号処理部85に送られてきたエコーをA/D変換し、ディジタル信号に変換してメモリに記憶する。この際には、ステップS2で作成した変調バースト信号のキャリア周波数と併せて記憶する。
【0041】
ステップS6では、予め決めていたキャリア周波数全てを用いて探傷したかどうか、判断する。全てのキャリア周波数を用いて探傷した場合には、ステップS8へ進む。ステップS8以降は、信号処理部85内の処理だけとなり、送信部83、受信部84は処理に関与しない。一方、予め決めていたキャリア周波数全て用いて探傷していない場合には、ステップS7へ進む。なお、予め決めていたキャリア周波数とは、探触子1の周波数特性に基づいて決めるものであり、公称周波数2MHzの探触子の場合では、例えばf0=1MHz,f0=1.1MHz,f0=1.2MHz,f0=1.3MHz,・・・,f0=2.8MHz,f0=2.9MHz,f0=3.0MHzのように決める。キャリア周波数の決め方は場合によって様々であるが、変化をさせる範囲およびその周波数間隔は、図3に示したような特性が明らかに表れるように選択する。
【0042】
ステップS7では、キャリア周波数を変化させる。そして、ステップS2に戻り、ステップS2からステップS6までの処理を繰り返し行う。
【0043】
ステップS8では、ステップS5でメモリ内に記憶したキャリア周波数および受信エコー信号を読み出す。
【0044】
ステップS9では、各キャリア周波数に対応したエコー高さを求める。エコー高さとは、エコーの振幅の絶対値の最大値を意味する。
【0045】
ステップS10では、キャリア周波数に対するエコー高さの変化を計算し、極小周波数を求める。
【0046】
ステップS11では、予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係から、きず3の高さHを推定する。
【0047】
以上が、本発明の実施の形態1に係わる超音波探傷方法および超音波探傷装置であるが、ここで説明を補足する。まず、ステップS2で作成する変調バースト信号であるが、どの程度変調をかける必要があるのかは場合によって異なるので、適宜決める必要がある。場合によっては、変調をかけない信号を用いても、構わないものとする。
【0048】
次に、ステップS7のキャリア周波数の変え方であるが、所要周波数の範囲であれば一様増加や一様減少に変える必要はない。キャリア周波数をランダムに変化させても構わない。勿論、一様増加や一様減少に変化させても良い。また、周波数間隔も等間隔であっても等間隔でなくても構わない。
【0049】
次に、ステップS11の「予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係」であるが、これはシミュレーションによって求めた関係を用いても良いし、周波数およびきずの高さを変えて実験を行い、その実験結果から求めた関係を用いても良い。
【0050】
また、以上の説明では極小周波数ときずの高さとの関係を用いてきず3の高さHを推定する方法について述べたが、図3に示すように、エコー高さが極大値を示すキャリア周波数(以降、極大周波数と称する)もきずの高さによって異なる。したがって、図4に示したフローチャートにおいて、ステップS10およびステップS11の「極小周波数」を「極大周波数」としても良い。勿論、極小周波数や極大周波数だけに捕われず、キャリア周波数に対するエコー高さの変動全体を評価して、きず3の高さHを推定しても構わない。
【0051】
最後に探触子の屈折角について説明する。図3に示したシミュレーション結果は、横波の屈折角が60°の場合でおける結果であるが、屈折角が60°である必要はない。試験体の状況に応じて、極小周波数や極大周波数が明確に表れる屈折角や、キャリア周波数に対するエコー高さの変動が図3に示すような特徴を示す屈折角を選んで探傷すれば良い。また、きずが試験体2の表面や底面に対して傾斜していることが予め分かっている場合には、きずの傾斜角を考慮して屈折角を決めて探傷すれば良い。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態においては、キャリア周波数を変えた変調バースト信号を用いて探傷を行い、キャリア周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHを高精度に測定できるという効果がある。また、きず3を探傷して受信した受信エコー信号のエコー高さが極小値および極大値を示す周波数からきず3の高さが一意に決まるので、きず3の高さが波長と同じ程度の大きさであっても高精度にきず3の高さを求めることができる。
【0053】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5は、探触子の周波数特性を説明するための図である。図6、図7および図8は、実施の形態2に係わる超音波探傷装置の動作を説明するためのフローチャートである。なお、装置の構成は図1と同じであるので省略し、動作について以下に説明する。
【0054】
実施の形態1では、探触子1の周波数特性が受信エコー信号に及ぼす影響を無視してきず3の高さHの推定を行うものであるが、実際の探触子は例えば図5に示すように有限の周波数帯域を持つので、この特性が受信エコー信号に影響を及ぼすことが十分考えられる。すなわち、図3に示した周波数とエコー高さとの関係は、探触子1の周波数特性を無限に広いとしたシミュレーション結果であり、実際に得られるキャリア周波数とエコー高さとの関係は、図3に示した特性に探触子1の周波数特性を乗じた結果となることが予想される。図3に示した特性に探触子1の周波数特性を乗じた場合でも、極小周波数や極大周波数の値が不変であり、なおかつ明確に得られるのであれば問題はない。しかしその逆に、探触子1の周波数特性を乗じたことで、極小周波数や極大周波数の値が変わり、またこれらの値が明確に得られない場合も考えられる。このような場合には、実際に得られたキャリア周波数とエコー高さとの関係から探触子1の周波数特性を補正する必要がある。
【0055】
探触子1の周波数特性は、次のようにして補正することができる。予め探触子1の周波数特性を測定しておき、測定結果を信号処理部85内のメモリに記憶させておく。そして、実際に探傷を行った後に得られたキャリア周波数とエコー高さとの関係を、探触子1の周波数特性で割るという処理を行うことで、探触子1の周波数特性を補正することができる。
【0056】
他にも、探触子1の周波数特性を補正する方法はある。例えは、探触子1の周波数特性を逆フーリエ変換し、時間領域の波形(以降、時間特性と称する)として信号処理部85内のメモリに記憶させておく。そして、信号処理部85で受信エコー信号をA/D変換した直後に、受信エコー信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理を行い、探触子1の周波数特性を補正したエコーを、キャリア周波数と併せてメモリ内に記憶しておく方法もある。
【0057】
また、送信波形そのものをデコンボリューションさせて探触子1の周波数特性を補正する方法もある。すなわち、図2に示した変調バースト信号を、探触子1の時間特性でデコンボリューション処理をしたような波形を任意波形発生部82で作り、これを送信部83に送信して探触子1を励振すれば、探触子1の周波数特性が補正された受信エコー信号を得ることができる。
【0058】
これらの探触子1の周波数特性を補正してきず3の高さHを求める処理をフローチャートに示したものを、図6〜図8に示す。図6は、キャリア周波数とエコー高さとの関係を探触子1の周波数特性で割ることにより、探触子1の周波数特性を補正する処理方法を示したフローチャートである。図7は、受信エコー信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理を行うことにより、探触子1の周波数特性を補正する処理方法を示したフローチャートである。図8は、任意波形発生部から送信部83に送る変調バースト信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理を行うことにより、探触子1の周波数特性を補正する処理方法を示したフローチャートである。以下、各フローチャートを参照しながら、きず3の高さHを求めるための処理方法について説明する。
【0059】
図6のフローチャートにおいて、ステップS1からステップS9までは図4に示した処理と同様であるので、説明は省略する。図6のステップS20において、キャリア周波数に対応するエコー高さの関係を探触子1の周波数特性で割ることにより、探触子1の周波数特性を補正する。
【0060】
ステップS21では、探触子1の周波数特性を補正したキャリア周波数に対するエコー高さの関係から、極小周波数を求める。
【0061】
ステップS22では、予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係から、きず3の高さHを推定する。
【0062】
また、図7のフローチャートにおいて、ステップS1からステップS4までは図4に示したフローチャートと同じであるので、説明は省略する。図7のステップS30では、信号処理部85においてA/D変換された直後に、受信エコー信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理を行う。
【0063】
ステップS5からステップS11までは、図4に示した処理のステップS5からステップS11までの処理と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
さらに、図8のフローチャートにおいて、ステップS1は図4に示した処理と同様である。図8のステップS40では、任意波形発生部82で変調バースト信号を作成する。
【0065】
ステップS41では、任意波形発生部82において、変調バースト信号を探触子の時間特性でデコンボリューション処理を行い、送信部83に送信する。
【0066】
ステップS3からステップS11までは、図4に示した処理のステップS3からステップS11までの処理と同様であるので説明を省略する。
【0067】
以上が、本発明の実施の形態2に係わる超音波探傷方法および超音波探傷装置である。実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、変調バースト信号に対してどの程度変調をかける必要がるのかは場合によって異なるので、適宜決める必要がある。場合によっては、変調をかけない信号を用いても、構わない。
【0068】
キャリア周波数の変え方も実施の形態1と同様に、所要周波数の範囲であれば一様増加や一様減少に変える必要はない。キャリア周波数をランダムに変化させても構わない。勿論、一様増加や一様減少に変化させても良い。また、周波数間隔も等間隔であっても等間隔でなくても構わない。
【0069】
予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係も実施の形態1と同様に、シミュレーションによって求めた関係を用いても良いし、周波数およびきずの高さを変えて実験を行い、その実験結果から求めた関係を用いても良い。
【0070】
また、実施の形態1と同様に、極小周波数を用いずに極大周波数を用いてきず3の高さHを推定しても良い。勿論、極小周波数や極大周波数だけに捕われず、キャリア周波数に対するエコー高さの変動全体を評価して、きず3の高さHを推定しても構わない。
【0071】
探触子の屈折角についても実施の形態1と同様に、60°である必要はない。試験体の状況に応じて、極小周波数や極大周波数が明確に表れる屈折角や、キャリア周波数に対するエコー高さの変動が図3に示すような特徴を示す屈折角を選んで探傷すれば良い。また、きずが試験体2の表面や底面に対して傾斜していることが予め分かっている場合には、きずの傾斜角を考慮して屈折角を決めて探傷すれば良い。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態においては、キャリア周波数を変えた変調バースト信号を用いて探傷を行い、探触子1の周波数特性を補正しながら、キャリア周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHを高精度に測定できるという効果がある。
【0073】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は、送信信号を説明するための図である。図10は、実施の形態3に係わる超音波探傷装置の動作を説明するためのフローチャートである。なお、装置の構成は図1と同じであるので省略し、動作について以下に説明する。
【0074】
実施の形態1および2では、信号処理部85において変調バースト信号を発生し、この変調バースト信号のキャリア周波数を変えて探傷し、キャリア周波数とエコー高さとの関係からきず3の高さHの推定を行うものである。この場合には、キャリア周波数を変えて探傷するので、きず3の高さHを推定するまでに時間が掛かる。一方、広い周波数帯域を持った信号で探触子1を励振し、きず3で散乱されて受信されたエコーの周波数スペクトラムを求め、この周波数スペクトラムからきず3の高さHを推定すれば、変調バースト信号のキャリア周波数を変えて探傷を行う方法よりも、短時間で結果が得られる。
【0075】
広い周波数帯域を持つ信号とは、図9に示すようなスパイク状の信号である。実施の形態3では、変調バースト信号のキャリア周波数を変えて探傷する代わりに、図9に示すようなスパイク状の信号で探触子1を励振することで、きず3の高さHを推定するものである。図9に示すようなスパイク状の信号を用いてきず3の高さHを推定する処理をまとめたフローチャートを、図10に示す。以下、図10のフローチャートにおける各ステップについて、説明する。
【0076】
ステップS51では、任意波形発生部82でスパイク状の信号を発生する。スパイク状の信号とは、図9に示したような振幅が負の信号だけでなく、振幅が正であるような信号も含む。また、インパルス状の信号も、スパイク状の信号に含まれるとする。
【0077】
ステップS52では、任意波形発生部82で発生したスパイク状の信号を送信部83で増幅し、探触子1を励振する。
【0078】
ステップS53では、探触子1で受信したエコーを受信部84で増幅し、信号処理部85に送る。
【0079】
ステップS54では、受信部84からの信号を直接A/D変換した後、信号処理部85内のメモリにディジタル信号として受信エコー信号を記憶する。なお、ステップS54までの処理は、通常のディジタル超音波探傷器の処理とほぼ同様である。
【0080】
ステップS55では、信号処理部85内のメモリにおいて、受信エコー信号を読み出す。
【0081】
ステップS56では、受信エコー信号の周波数スペクトラムを求める。周波数スペクトラムを求める方法として高速フーリエ変換があるが、高速フーリエ変換を用いなくても、他の方法で求めることができるのであれば、他の方法を用いても構わない。また、高速フーリエ変換の場合、受信エコー信号に種々の窓関数(例えば、矩形、ハミング、ハニング、カイザー、など)を掛けることがしばしば行われるが、どのような窓関数を用いるかは、試験体2の状況や探触子1の周波数特性等によって適宜決める。
【0082】
ステップS57では、ステップS56で求めた周波数スペクトラムの極小周波数を求める。
【0083】
ステップS58では、予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係から、きず3の高さHを推定する。
【0084】
以上が、本発明の実施の形態3に係わる超音波探傷方法および超音波探傷装置であるが、ここで説明を補足する。実施の形態3では、スパイク状の信号を任意波形発生部で発生するが、これは広い周波数帯域の信号を探触子1で受信する必要があるためである。すなわち、探触子1から試験体2へ伝搬していく超音波の周波数スペクトラムが広帯域であればスパイク状の信号のこだわる必要はない。例えば、階段状の信号でも構わない。
【0085】
予め求めておいた極小周波数ときずの高さとの関係は、実施の形態1および2と同様に、シミュレーションによって求めた関係を用いても良いし、周波数およびきずの高さを変えて実験を行い、その実験結果から求めた関係を用いても良い。
【0086】
また、実施の形態1および2と同様に、極小周波数を用いずに極大周波数を用いてきず3の高さHを推定しても良い。勿論、極小周波数や極大周波数だけに捕われず、キャリア周波数に対するエコー高さの変動全体を評価して、きず3の高さHを推定しても構わない。
【0087】
探触子の屈折角についても実施の形態1および2と同様に、60°である必要はない。試験体の状況に応じて、極小周波数や極大周波数が明確に表れる屈折角や、キャリア周波数に対するエコー高さの変動が図3に示すような特徴を示す屈折角を選んで探傷すれば良い。また、きずが試験体2の表面や底面に対して傾斜していることが予め分かっている場合には、きずの傾斜角を考慮して屈折角を決めて探傷すれば良い。
【0088】
また、実施の形態2と同様に、探触子1の周波数特性を補正する必要がある場合も考えられる。図10のフローチャートでは探触子1の周波数特性の補正については何も言及していないが、探触子1の周波数特性を補正する必要がある場合は、以下の方法で補正する。
【0089】
探触子1の時間特性を信号処理部85内のメモリに記憶させておく。そして、信号処理部85で受信エコー信号をA/D変換した直後に、受信エコー信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理を行い、探触子1の周波数特性を補正したエコーをメモリ内に記憶しておく。この処理を、図10のフローチャートのステップS53とステップS54との間に入れる。
【0090】
また、送信波形そのものをデコンボリューションさせて探触子1の周波数特性を補正する方法もある。すなわち、スパイク状の信号を探触子1の時間特性でデコンボリューション処理をしたような波形を任意波形発生部82で作り、これを送信部83に送信して探触子1を励振すれば、探触子1の周波数特性が補正された受信エコー信号を得ることができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態においては、広い周波数帯域を持った信号で探触子1を励振し、きず3で散乱されて受信された受信エコー信号の周波数スペクトラムを用い、周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHを高精度にかつ短時間で測定できるという効果がある。また、本実施の形態においても、また、きず3を探傷して受信した受信エコー信号の周波数スペクトラムが極小値および極大値を示す周波数からきず3の高さが一意に決まるので、きず3の高さが波長と同じ程度の大きさであっても高精度にきず3の高さを求めることができる。
【0092】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図11〜図13を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置の構成を示す図である。図12は、探触子1で受信されるエコーの高さとビーム路程との関係を説明するための図である。図13は、実施の形態4に係わる超音波探傷装置の動作を説明するためのフローチャートである。図11に示すように、装置の構成は図1とほぼ同じであるが、探触子1を試験体2の表面に沿って走査させるための走査機構部86を備えている。走査機構部86は、制御部81に接続されている。また、本実施の形態においても、図示はしないが、信号処理部85内には、A/D変換部およびメモリが設けられている。
【0093】
次に、図11に示した超音波探傷装置の動作について説明する。図11において、制御部81からの制御信号により、任意波形発生部82から信号が発生される。
【0094】
任意波形発生部82で発生した信号は、送信部83で増幅され、探触子1を励振するための励振信号となる。この励振信号によって探触子1が電気的に励振され、探触子1内で電気信号が超音波に変換され、この超音波が試験体2中へ伝搬していく。試験体2中を伝搬した超音波は、きず3で散乱され、散乱波の一部は探触子1の方向へ伝搬していき、探触子1でエコーとして受信される。
【0095】
探触子1で受信されたエコーは、受信部84で増幅された後、信号処理部85に送られる。信号処理部85に含まれているA/D変換部において、受信されたエコーはディジタル信号に変換される。また、ディジタル信号に変換された受信エコー信号から、探触子1からきず3までのビーム路程を計算する。受信エコー信号は、ビーム路程と併せて信号処理部85内のメモリに記憶される。
【0096】
走査機構部86を用いて、試験体2の表面上において探触子1をきず3に対して前後に走査しながら、上記の動作を行う。探触子1をきず3に対して前後に走査するとビーム路程が変化し、信号処理部85内のメモリには、ビーム路程ごとに受信エコー信号が記憶されるので、図12に示すようなグラフを作成することができる。このグラフがピークを示すときのビーム路程(以下、ピーク路程とする)は、探触子1の特性にもよるが、きず3の高さHに係わらず不変となる場合がある。また、きず3の高さHによってピーク路程が変わるとしても、微小な変化である場合がある。すなわち、探触子1の特性が決まれば、予め図12に示したピーク路程を推定することが可能な場合がある。
【0097】
一方、図3に示した周波数とエコー高さとの関係は、探触子1ときず3との相対的な位置関係によって異なり、極小値や極大値が大きく現れることもあれば、小さく現れることもある。したがって、探触子1を、極小値や極大値が大きく現れるような位置に設置し、実施の形態1〜3に示したきず3の高さH測定を行えば、精度を向上させることが可能となる。
【0098】
極小値や極大値が大きく現れるような探触子1ときず3との相対的な位置関係とは、図12に示すピーク路程における位置関係とは限らない。ピーク路程(A1)よりもビーム路程が短いところで、極小値や極大値が大きく現れるような場合もある。また、ピーク路程(A1)よりもビーム路程が長いところ(B1)で、極小値や極大値が大きく現れるような場合もある。これらは、探触子1の特性が分かれば、予測できる。例えば、「ピーク路程よりもビーム路程が2mm短い場所で極小値や極大値が大きく現れる」、あるいは「ピーク路程よりもビーム路程が3mm長い場所で極小値や極大値が大きく現れる」、というような情報は、探触子1の特性が分かれば探傷を行う前に予め予測できる。このようなピーク路程からのずれ量を、ここでは簡単のため、「偏距離」(符号C1)として以下説明する。前述の例では、「偏距離−2mm」、「偏距離+3mm」として表す。図12には、偏距離の例を併せて示している。
【0099】
走査機構部86で探触子1を走査し、図12に示すようなグラフを作成してピークを検出し、ビーム路程がピーク路程+偏距離となる位置に探触子1を移動させることにより、極小値や極大値が大きく現れるような相対的な位置関係を実現することができる。この処理をまとめて、図13にフローチャートで示す。以下、図13のフローチャートを、各ステップごとに説明する。
【0100】
ステップS60では、キャリア周波数を設定する。このときの値は、探触子1の周波数特性における中心周波数付近であっても、そうでなくも、構わない。きず3の高さを求めるための周波数領域内であれば良い。
【0101】
ステップS61では、任意波形発生部82で変調バースト信号作成し、送信部83に送信する。
【0102】
ステップS62では、送信部83で探触子1を励振する。
【0103】
ステップS63では、探触子1からのエコーを受信部84で増幅し、信号処理部85に送る。
【0104】
ステップS64では、受信部84からの信号を直接A/D変換した後、信号処理部85内のメモリにディジタル信号としてビーム路程と併せて受信エコー信号を記憶する。
【0105】
ステップS65では、予め決められていた走査範囲を探傷したかどうか、判定する。探傷した場合、ステップS67へ進む。探傷していない場合、ステップS66に進む。なお、走査範囲は、探触子1の特性や試験体2の形状によって異なるので、適宜決める必要がある。
【0106】
ステップS66では、走査機構部86で探触子1を走査する。走査ピッチは、ピーク路程が明確になる程度に設定する。
【0107】
ステップS66の後は、ステップS62の処理を行う。この処理を、予め決めていた走査範囲を走査し終えるまで続行する。
【0108】
ステップS67では、信号処理部85内もメモリから、ビーム路程と受信エコー信号を読み出す。
【0109】
ステップS68では、各ビーム路程毎の受信エコー信号からエコー高さを計算し、ビーム路程に対するエコー高さの関係を求め、この関係からピーク路程を求める。
【0110】
ステップS69では、走査機構部86で、ビーム路程がピーク路程+偏距離となる位置に探触子1を移動させる。
【0111】
図13に示したフローチャートは、ステップS69で終了となっているが、これは、探触子1の設置までの処理であり、きず3の高さHを推定するための処理は、実施の形態1〜3で示した処理を適用する。すなわち実際の探傷では、図13のステップS69の後には、図4、図6、図7、図8および図10のステップS1およびS51がくる。
【0112】
以上が、本発明の実施の形態4に係わる超音波探傷方法および超音波探傷装置であるが、ここで説明を補足する。図13のステップS61では変調バースト信号を用いたが、探触子1の設置位置を決めるための動作であるので、変調バースト信号でなくてもスパイク状の信号や階段状の信号のような広帯域な信号でも構わない。この場合、ステップS60は省略できる。
【0113】
また、予め求めておく偏距離は、シミュレーションによって求めた関係を用いても良いし、実験を行って実験結果から求めた関係を用いても良い。なお、きずの高さHを推定する処理においては、実施の形態1〜3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0114】
以上説明したように、本実施の形態においては、走査機構部86を設けて、探触子1を試験体2の表面に沿って走査させ、周波数に対するエコー高さの変化が顕著に現れるような位置に探触子1を設置し、周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHを高精度に測定できるという効果がある。
【0115】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図14〜図16を参照しながら説明する。図14は、この発明の実施の形態5に係わる超音波探傷装置の構成を示す図である。図15は、探触子1のきず3との横方向距離と、エコー高さとの関係を説明するための図である。図16は、実施の形態5に係わる超音波探傷装置の動作を説明するためのフローチャートである。図14に示すように、装置の構成は図11と同じであるが、試験体2の形状が異なる。図14において、6は溶接部を表しており、きず3は溶接部の溶け込み不良のようなきずを仮定している。また、探触子1ときず3との横方向の距離をyとして示している(以下、探触子1ときず3との横方向の距離を、y距離として説明する)。すなわち、実施の形態5では、きず3が発生している位置が既知であるような状況を仮定する。また、本実施の形態においても、図示はしないが、信号処理部85内には、A/D変換部およびメモリが設けられている。
【0116】
次に、図14に示した超音波探傷装置の動作について説明する。図14において、制御部81からの制御信号により、任意波形発生部82から信号が発生される。
【0117】
任意波形発生部82で発生した信号は、送信部83で増幅され、探触子1を励振するための励振信号となる。この励振信号によって探触子1が電気的に励振され、探触子1内で電気信号が超音波に変換され、この超音波が試験体2中へ伝搬していく。試験体2中を伝搬した超音波は、きず3で散乱され、散乱波の一部は探触子1の方向へ伝搬していき、探触子1でエコーとして受信される。
【0118】
探触子1で受信されたエコーは、受信部84で増幅された後、信号処理部85に送られる。信号処理部85に含まれているA/D変換部において、受信されたエコーはディジタル信号に変換される。また、図14に示すように、きず3が存在する位置が既知ある場合には、探触子1の位置さえ分かれば、y距離を求めることができる。受信エコー信号は、y距離と併せて信号処理部85内のメモリに記憶される。
【0119】
走査機構部86を用いて、試験体2の表面上において探触子1をきず3に対して前後に走査しながら、上記の動作を行う。その結果、信号処理部85内のメモリには、y距離ごとに受信エコー信号が記憶されるので、図15に示すようなグラフを作成することができる。また、実施の形態4と同様に、探触子1の特性が決まれば、予め図15に示したピーク位置を推定することが可能な場合がある。
【0120】
実施の形態4と同様に、横軸をy距離とした場合の偏距離も、予め求めることができる場合がある。なお、実施の形態4における偏距離はビーム路程であるのに対し、実施の形態5の偏距離C2はy距離である。同じ「偏距離」という文言を用いるが、意味は異なる。
【0121】
走査機構部86で探触子1を走査し、図15に示すようなグラフを作成してピークを検出し、y距離がピーク位置+偏距離となる位置に探触子1を移動させることにより、極小値や極大値が大きく現れるような相対的な位置関係を実現することができる。この処理をまとめて、図16にフローチャートで示す。以下、図16のフローチャートを、各ステップごとに説明する。
【0122】
ステップS70では、キャリア周波数を設定する。このときの値は、探触子1の周波数特性における中心周波数付近であっても、そうでなくも、構わない。きず3の高さを求めるための周波数領域内であれば良い。
【0123】
ステップS71では、任意波形発生部82で変調バースト信号作成し、送信部83に送信する。
【0124】
ステップS72では、送信部83で探触子1を励振する。
【0125】
ステップS73では、探触子1からのエコーを受信部84で増幅し、信号処理部85に送る。
【0126】
ステップS74では、受信部84からの信号を直接A/D変換した後、信号処理部85内のメモリにディジタル信号としてy距離と併せて受信エコー信号を記憶する。
【0127】
ステップS75では、予め決められていた走査範囲を探傷したかどうか、判定する。探傷した場合、ステップS77へ進む。探傷していない場合、ステップS76に進む。なお、走査範囲は、探触子1の特性や試験体2の形状によって異なるので、適宜決める必要がある。
【0128】
ステップS76では、走査機構部86で探触子1を走査する。走査ピッチは、ピーク路程が明確になる程度に設定する。
【0129】
ステップS76の後は、ステップS72の処理を行う。この処理を、予め決めていた走査範囲を走査し終えるまで続行する。
【0130】
ステップS77では、信号処理部85内もメモリから、y距離と受信エコー信号を読み出す。
【0131】
ステップS78では、各y距離毎の受信エコー信号からエコー高さを計算し、y距離に対するエコー高さの関係を求め、この関係からピーク位置を求める。
【0132】
ステップS79では、走査機構部86で、y距離がピーク位置+偏距離となる位置に探触子1を移動させる。
【0133】
図16に示したフローチャートは、ステップS79で終了となっているが、実施の形態4と同様に、探触子1の設置までの処理であり、きず3の高さHを推定するための処理は、実施の形態1〜3で示した処理を適用する。すなわち実際の探傷では、図16のステップS79の後には、図4、図6、図7、図8および図10のステップS1およびS51がくる。
【0134】
以上が、本発明の実施の形態5に係わる超音波探傷方法および超音波探傷装置であるが、ここで説明を補足する。図16のステップS71では変調バースト信号を用いたが、探触子1の設置位置を決めるための動作であるので、変調バースト信号でなくてもスパイク状の信号や階段状の信号のような広帯域な信号でも構わない。この場合、ステップS70は省略できる。
【0135】
また、予め求めておく偏距離は、シミュレーションによって求めた関係を用いても良いし、実験を行って実験結果から求めた関係を用いても良い。なお、きずの高さHを推定する処理においては、実施の形態1〜3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0136】
さらに、きず3を溶接部の溶け込み不良のようなきずとして説明したが、溶接部の溶け込み不良に限らず、発生する位置が既知であれば、実施の形態5で示した方法および装置で、きず3の高さHを測定することができる。
【0137】
以上説明したように、本実施の携帯においては、周波数に対するエコー高さの変化が顕著に現れるような位置に探触子1を設置し、周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHを高精度に測定できるという効果がある。
【0138】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る超音波探傷方法および超音波探傷装置について、図17および図18を参照しながら説明する。図17は、この発明の実施の形態6に係わる超音波探傷装置の構成を示す図である。図18は、探触子1の走査距離ときず3の高さHとの関係を示す図である。図17には、試験体2を横から見た図(a)と上から見た図(b)とを併せて示している。上から見た場合にはきず3は見えないので、図中では点線で示している。図に示すように、装置の構成は図11と同じであるが、探触子1の走査方向が実施の形態4および5とは異なる。また、本実施の形態においても、図示はしないが、信号処理部85内には、A/D変換部およびメモリが設けられている。
【0139】
次に、図17に示した超音波探傷装置の動作について説明する。きず3の高さHを求める処理までは、実施の形態1〜5と同様である。すなわち、周波数とエコー高さとの関係からきず3の高さHを推定する。実施の形態6では、きず3の高さHの推定に加えて、きず3の長さLを推定する方法および装置について示す。
【0140】
実施の形態1〜5で、きず3の高さHは推定できる。きず3の高さHを推定した後、走査機構部86を用いて、探触子1をきず3に対して左右に走査する(以下、探触子1を左右に走査した距離を、x距離として説明する)。また、走査する範囲は、探触子1の特性や試験体2の形状などから予め決めておく。
【0141】
信号処理部85では、きず3の高さHと併せてx距離が記憶される。すなわち、予め決めていた範囲を走査し終えると、図18に示すようなグラフが作成できる。このグラフを用いれば、例えば、「グラフの−6dB幅をきず3の長さLとする」のように、きず3の長さLを推定することができる。
【0142】
以上説明したように、本実施の形態においては、探触子1を左右に走査しながら周波数に対するエコー高さの関係を用いて試験体2中のきず3の高さHの値を求めるので、きず3の高さHだけでなく、きず3の長さLを高精度に測定できるという効果がある。
【0143】
【発明の効果】
この発明は、超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置とを備えた超音波探傷装置であって、前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、前記送受信装置は、時間的にスパイク状に変化する広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極小値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、前記探触子の屈折角は、前記極小値が明確に表れる屈折角が選択されている超音波探傷装置であるので、試験体中のきずの高さを非破壊で精度良く測定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置の構成を示した構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置における送信信号を示した説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る超音波探傷装置における周波数とエコー高さとの関係を説明するための説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図5】 本発明の実施の形態2に係る超音波探傷装置における探触子の周波数特性を説明する説明図である。
【図6】 本発明の実施の形態2に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図7】 本発明の実施の形態2に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図8】 本発明の実施の形態2に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図9】 本発明の実施の形態3に係る超音波探傷装置における送信信号を示した説明図である。
【図10】 本発明の実施の形態3に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図11】 本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置の構成を示した構成図である。
【図12】 本発明の実施の形態4に係る超音波探傷装置における探触子で受信されるエコーの高さとビーム路程との関係を示す説明図である。
【図13】 本発明の実施の形態4に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図14】 本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置の構成を示した構成図である。
【図15】 本発明の実施の形態5に係る超音波探傷装置における探触子のきずとの横方向距離とエコー高さとの関係を説明するための説明図である。
【図16】 本発明の実施の形態5に係る超音波探傷方法の処理の流れを示す流れ図である。
【図17】 本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置の構成を示した構成図である。
【図18】 本発明の実施の形態6に係る超音波探傷装置における探触子の走査距離ときずの高さとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 探触子、2 試験体、3 きず、8 送受信器、81 制御部、82 任意波形発生部、83 送信部、84 受信部、85 信号処理部、86 走査機構部。

Claims (5)

  1. 超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、
    前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置と
    を備えた超音波探傷装置であって、
    前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、
    前記送受信装置は、
    時間的にスパイク状に変化する広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、
    前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、
    前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、
    前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、
    前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、
    前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、
    前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極小値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、
    前記探触子の屈折角は、前記極小値が明確に表れる屈折角が選択されていることを特徴とする超音波探傷装置。
  2. 超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、
    前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置と
    を備えた超音波探傷装置であって、
    前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、
    前記送受信装置は、
    時間的にスパイク状に変化する広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、
    前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、
    前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、
    前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、
    前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、
    前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、
    前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極大値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、
    前記探触子の屈折角は、前記極大値が明確に表れる屈折角が選択されている
    ことを特徴とする超音波探傷装置。
  3. 超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続 部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、
    前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置と
    を備えた超音波探傷装置であって、
    前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、
    前記送受信装置は、
    広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、
    前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、
    前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、
    前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、
    前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、
    前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、
    前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極小値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、
    前記探触子の屈折角は、前記極小値が明確に表れる屈折角が選択されていることを特徴とする超音波探傷装置。
  4. 超音波を試験体中に送信するとともに、前記試験体中の音響的不連続部によって散乱された超音波を電気信号として受信する探触子と、
    前記探触子を駆動するとともに、前記探触子により受信された前記電気信号に基づいて前記音響的不連続部の大きさを推定する送受信装置と
    を備えた超音波探傷装置であって、
    前記探触子は、前記試験体に対して斜めに横波を送信し、かつ、前記試験体の底面付近に存在する音響的不連続部で散乱された横波を受信する横波斜角探触子であり、
    前記送受信装置は、
    広い周波数特性を有する信号を送信信号として発生する任意波形発生部と、
    前記送信信号に基づいて前記探触子を駆動するための電気信号を発生し送信する送信部と、
    前記探触子により受信された広い周波数帯域の電気信号を増幅する受信部と、
    前記増幅された広い周波数帯域の電気信号を受信エコー信号として記憶するメモリ部と、
    前記メモリ部に記憶されている前記受信エコー信号の周波数スペクトラムを計算する周波数スペクトラム計算部と、
    前記受信エコー信号の周波数スペクトラムの変化から、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定する大きさ推定部とを備え、
    前記大きさ推定部は、前記広い周波数帯域の各受信エコー信号のうちの周波数スペクトラムが極大値を示す周波数の値に基づいて、前記音響的不連続部の試験体底面からの高さを推定するものであって、
    前記探触子の屈折角は、前記極大値が明確に表れる屈折角が選択されていることを特徴とする超音波探傷装置。
  5. 前記探触子を前記試験体の表面に沿って走査する走査機構部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
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