JP4209520B2 - 引張装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量物等を吊り下げて引っ張り上げるとき等に使用され、特に、回転工具を使用することによって引っ張り動作させることが可能な引張装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の引張装置は、ドラム軸に巻き取られたベルト状の張線部を引っ張り込む機構としてドラム本体に一体に取付けられた駆動モータが使用されていた。
【0003】
そして、この駆動モータを回転駆動することにより、ドラム軸を回転してベルト状の張線部を引っ張り込むようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の引張装置には、駆動モータが一体に取付けられていたために、装置が大きなものとなり、その重量も重くて扱い難いという問題があった。
【0005】
また、従来の引張装置を吊り上げ装置として用いる場合には、この引張装置を持ち上げて、現場における所定の箇所に吊りさげられたワイヤー等の下端にセットしなくてはならず、引張装置が重いためにこの作業が行い難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解消し、装置全体の小型化を図れ、しかも軽量なものとすることができ、駆動するときには、充電式ドリルドライバー等の回転工具の軸部を連結して回転するだけでドラム軸にベルト状の張線部を引っ張り込むことができてこの作業が簡単にできる引張装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、外部の回転工具の軸部が連結されることにより回転駆動される入力軸と、入力軸の回転を減速する減速機構と、減速機構の出力軸と、入力軸、出力軸を支持すると共に減速機構を内蔵するギヤケースとを備えた減速ユニットを有すると共に、枠体と、この枠体に支持され一端部が枠体より側方に突出するドラム軸と、このドラム軸に巻設され重量物等に引っ掛ける引っ掛け部を具備すると共にドラム軸の回転により前記引っ掛け部を引き込むように構成されたベルト状の張線部と、枠体に設けられて前記引っ掛け部に対しベルト状の張線部を挟んで対称位置にある引っ掛け部とを備えた張線ユニットを有し、前記ドラム軸の突出端部は、前記ギヤケースを貫通し、その先端に、ギヤケースに着脱するための着脱機構が設けられ、かつ前記出力軸からの回転を受けるように構成され、前記入力軸の軸方向は、前記出力軸の軸方向に対し側方となるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、前記減速機構は、前記出力軸に連結されたウオームホイールと、このウオームホイールに噛合され、前記入力軸が連結されるウオームギヤとで構成されていると好適である。
【0009】
更に、前記ウオームギヤには、ギヤケースの外面に配設されたブレーキギヤが連結され、前記ギヤケースの外面には、前記ブレーキギヤに係合離脱可能な逆転防止用の止爪が配設されていることが好ましい。
【0010】
【0011】
更に、前記着脱機構は、前記ドラム軸の先端に嵌合された偏心リングとギヤケースに穿設されて前記偏心リングを係脱するための孔部とで構成され、この偏心リングの回転位置の違いによって、ドラム軸をギヤケースから抜け止めあるいは取り外し可能とし、前記減速ユニットと前記張線ユニットとに分解可能とすると好ましい。
【0012】
本発明によると、ドラム軸を回転駆動するための駆動手段として回転工具を用い、この回転工具の軸部をギヤケース内の減速機構に連結して、この減速機構を介してドラム軸を回転駆動するようにしたことにより、駆動モータ等の回転駆動部をギヤケースに一体に取り付ける必要がないので、装置の小型化を図れ、且つ装置を軽量なものとすることができる。また、ドラム軸の先端にギヤケースに着脱するための着脱機構が設けられているので、ドラム軸とギヤケースとに分解できて運搬、収納が行い易い。
【0013】
更に、減速機構を介してドラム軸を回転駆動するための操作が、減速機構に回転工具の軸部を連結して、この回転工具を回転駆動するだけでよいので、この操作が行い易い。
【0014】
また、減速機構がウオームホイールとウオームギヤとで構成されているので、その構造が簡単であり、しかもこの減速機構に軸部を連結する回転工具の回転をドラム軸に確実に伝達できる。
【0015】
更に、ギヤケースの外面にブレーキギヤと、このブレーキギヤに係合離脱可能な逆転防止用の止爪とを配設しているので、ドラム軸に巻設されるベルト状の張線部を適宜な位置で固定できるので、重量物を吊り下げるときには、この重量物を適宜な高さ位置で固定することができる。また、重量物の不用意な落下を防ぐことができて安全である。
【0016】
【0017】
更に、着脱機構は、ドラム軸の先端に嵌合された偏心リングとギヤケースに穿設れた孔部とで構成されているので、その構造が簡単であり、この偏心リングを回転するだけで、偏心リングをギヤケースの孔部に対して抜け止めあるいは取り外しできてので、ドラム軸とギヤケースの分解作業を簡単に行うことができる。しかも、偏心リングの回転位置を抜け止め位置とするだけで、ドラム軸とギヤケースとを一体化することができるので、その作業を簡単に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る引張装置の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の引張装置1は、重量物Gを引っ張り上げるときに使用される。
【0020】
この引張装置1は、充電式ドリルドライバー等の回転工具10を用いて、ギヤケース2内の減速機構3(図6、図7参照)を回転駆動してドラム軸4(図4〜図7参照)を回転して、ドラム軸4にベルト状の張線部5を巻取って引っ張り込むようにしたものである。
【0021】
このベルト状の張線部5の先端には、重量物Gを吊り下げるための吊り具(引っ掛け部)6が取付けられており、ドラム軸4を囲む枠体4A(後述する)の上部は、天井等に吊り下げるための吊りベルト7の下端に取付け具7aを介して取付けられている。
【0022】
図2(a)(b)に示すように、ギヤケース2内の減速機構3のケース外に突出した軸3aには、ギヤケース2の外面に配設されたブレーキギヤ8Aが連結されており、このギヤケース8の外面には、軸8bで軸支された止爪8Bがブレーキギヤ8Aに係合離脱可能に配設されていて、この止爪8Bがブレーキギヤ8Aが係合されているときに、減速機構3の軸3aが逆転することを阻止され、この減速機構3に連結されたドラム軸4の逆転が阻止されるようになっている。
【0023】
また、図2(a)(b)に示すように、ベルト状の張線部5の一端は、ギヤケース2の外面に取り付けられた枠体4Aのボルト4s(後述する)の軸部に取付けられており、他端はドラム軸4に巻設されて、下向きに垂れた部分に吊り具6の上端の軸部6aが嵌め入れられて上下移動可能に吊り下げられている。
【0024】
また、図3に示すように、ドラム軸4はギヤケース2に対して着脱機構9(図8参照)によって着脱可能に取付けられて、ギヤケース2とドラム軸4とを分解できるようになっている。
【0025】
図4と図5は引張装置1の外観を示しており、図6と図7はその内部構造を示している。
【0026】
図6、図7に示すように、減速機構3は、ドラム軸4に連結されたウオームホイール3Aと、このウオームホイール3Aに噛合されたウオームギヤ3Bとで構成されている。
【0027】
そして、このウオームギヤ3Bの一端は、ギヤケース2の外面に突出しており、その先端に六角孔3bが形成され、この六角孔3bに電気ドリル等の回転工具10の回転軸の先端に形成された六角先端部(図示略)を嵌め込むように構成されている。
【0028】
ウオームギヤ3Bとウオームホイール3Aは、図6、図7に示すように、その軸部をギヤケース2にベアリング2x、2y、2zでそれぞれ回転可能に軸支されている。
【0029】
また、ウオームホイール3Aは、ドラム軸4に連結されていて、このドラム軸4は、ギャケース2の外面に取付けられた枠体4Aに回転可能に軸支されている。
【0030】
この枠体4Aは、ギヤケース2の外面に2つのボルト4x、4yで取付け固定された内側枠4aと、この内側枠4aの外側にそれぞれ2つのボルト、ナット4s、4t、4u、4vで取付けられた外側枠4bと、内側枠4aと外側枠4bの間にボルト、ナット4t、4vで一体に取付け固定された上部吊り枠4cとで構成されており、ドラム軸4は内側枠4aと外側枠4bの間に配設された状態で回転可能に軸支されている。
【0031】
そして、上部吊り枠4cには、天井等に吊り下げるための吊りベルト7の下端に取付けられる取付け具7aが取付けられている。
【0032】
着脱機構9は、図8に示すように、ドラム軸4の先端に嵌合された複数の偏心リング9a、9b、9cとギヤケース2に穿設された孔部2kとで構成されており、偏心リング9a、9cが図8に示すように一方側に偏心した状態にあるときに抜け止めした状態となり、偏心リング9a、9b、9cが孔部2kに合致した正規な状態(図示略)にあるときに取り外し可能な状態となる。
【0033】
そして、偏心リング9a、9b、9cが取り外し可能な状態であるときに、ギヤケース2とドラム軸4とに分解できるようになっている。
【0034】
上記のように構成された引張装置1によって、重量物Gを引っ張り上げるときには、図1に示すように、作業員Sが充電式ドリルドライバー等の回転工具10を用いて、この回転工具10の先端をギヤケース2の外面に突出したウオームギヤ3Bの一端に連結し、この回転工具10を回転駆動させることにより、ウオームギヤ3Bを回転してウオームホイール3Aを減速回転し、ウオームホイール3Aに連結されたドラム軸4をこのウオームホイール3Aの減速回転で回転して、このドラム軸4にベルト状の張線部5を巻き取って引っ張り込むことによってこのベルト状の張線部5の下端に取付けられた重量物Gを引っ張り上げるようにする。
【0035】
そして、重量物Gを適宜な高さ位置に固定する場合には、ブレーキギヤ8Aに止爪8Bを係合させて、ウオームホイール3Aとウオームギヤ3Bからなる減速機構3を介してドラム軸4の回転を阻止すればよい。
【0036】
本実施形態の引張装置1によれば、ドラム軸4を回転駆動するための駆動装置として充電式ドリルドライバー等の回転工具10を用い、この回転工具10の軸部をギヤケース2内の減速機構3に連結して、この減速機構3を介してドラム軸4を回転駆動するようにしたことにより、駆動モータ等の回転駆動部をギヤケース2に一体に取り付ける必要がないので、装置の小型化を図れ、且つ装置を軽量なものとすることができる。
【0037】
更に、減速機構3を介してドラム軸4を回転駆動するための操作が、減速機構3に回転工具10の軸部を連結して、この回転工具10を回転駆動するだけでよいので、この操作が行い易い。
【0038】
また、減速機構3がウオームホイール3Aとウオームギヤ3Bとで構成されているので、その構造が簡単であり、しかもこの減速機構3に軸部を連結する回転工具10の回転をドラム軸4に確実に伝達できる。
【0039】
更に、ギヤケース2の外面にブレーキギヤ8Aと、このブレーキギヤ8Aに係合離脱可能な逆転防止用の止爪8Bとを配設しているので、ドラム軸4に巻設されるベルト状の張線部5を適宜な位置で固定できるので、重量物Gを吊り下げるときには、この重量物Gを適宜な高さ位置で固定することができる。また、重量物Gの不用意な落下を防ぐことができて安全である。
【0040】
また、ドラム軸4の先端にギヤケース2に着脱するための着脱機構9が設けられているので、ドラム軸4とギヤケース2とに分解できて運搬、収納が行い易い。
【0041】
更に、着脱機構9は、ドラム軸4の先端に嵌合された偏心リング9a、9b、9cとギヤケース2に穿設された孔部2kとで構成されているので、その構造が簡単であり、この偏心リング9a、9b、9cを回転するだけで、偏心リング9a、9b、9cをギヤケース2の孔部2kに対して抜け止めあるいは取り外しできるので、ドラム軸4とギヤケース2の分解作業を簡単に行うことができる。しかも、偏心リング9a、9b、9cの回転位置を抜け止め位置とするだけで、ドラム軸4とギヤケース2とを一体化することができるので、その作業を簡単に行うことができる。
【0042】
尚、上記実施形態では、引張装置1として、重量物Gを引っ張り上げるものについて説明したが、これに限らず、例えば、建造物を横方向に移動するときに、ギヤケース2側を支柱等に固定し、この建造物にベルト状の張線部5の先端を連結して、回転工具10を回転駆動し減速機構3を介してドラム軸4を回転してベルト状の張線部5をドラム軸4に巻き込むことによって、建造物を支柱側に引き寄せて横方向に移動するとき等にも使用できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドラム軸を回転駆動するための駆動手段として充電式ドリルドライバー等の回転工具を用い、この回転工具の軸部をギヤケース内の減速機構に連結して、この減速機構を介してドラム軸を回転駆動するようにしたことにより、駆動モータ等の回転駆動部をギヤケースに一体に取り付ける必要がないので、装置の小型化を図れ、且つ装置を軽量なものとすることができる。
【0044】
更に、減速機構を介してドラム軸を回転駆動するための操作が、減速機構に回転工具の軸部を連結して、この回転工具を回転駆動するだけでよいので、この操作が行い易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の引張装置の使用状態を示す説明図である。
【図2】 実施形態の引張装置の斜視図であり、(a)は逆転防止用の止爪がブレーキギヤに係合した状態を示し、(b)は逆転防止用の止爪をブレーキギヤから離脱した状態を示している。
【図3】 実施形態の引張装置の分解斜視図である。
【図4】 実施形態の引張装置の正面図である。
【図5】 実施形態の引張装置の側面図である。
【図6】 実施形態の引張装置の内部構造を示す側面断面図である。
【図7】 実施形態の引張装置の内部構造を示す正面断面図である。
【図8】 実施形態の引張装置の着脱機構を示す一部切欠した側面図である。
【符号の説明】
1 引張装置
2 ギヤケース
2k 孔部
3 減速機構
3A ウオームホイール
3B ウオームギヤ
4 ドラム軸
5 ベルト状の張線部
6 吊り具(引っ掛け部)
8A ブレーキギヤ
8B 止爪
9 着脱機構
9a、9b 9c 偏心リング
10 回転工具
G 重量物

Claims (4)

  1. 外部の回転工具の軸部が連結されることにより回転駆動される入力軸と、入力軸の回転を減速する減速機構と、減速機構の出力軸と、入力軸、出力軸を支持すると共に減速機構を内蔵するギヤケースとを備えた減速ユニットを有すると共に、
    枠体と、この枠体に支持され一端部が枠体より側方に突出するドラム軸と、このドラム軸に巻設され重量物等に引っ掛ける引っ掛け部を具備すると共にドラム軸の回転により前記引っ掛け部を引き込むように構成されたベルト状の張線部と、枠体に設けられて前記引っ掛け部に対しベルト状の張線部を挟んで対称位置にある引っ掛け部とを備えた張線ユニットを有し、
    前記ドラム軸の突出端部は、前記ギヤケースを貫通し、その先端に、ギヤケースに着脱するための着脱機構が設けられ、かつ前記出力軸からの回転を受けるように構成され、
    前記入力軸の軸方向は、前記出力軸の軸方向に対し側方となるように構成されていることを特徴とする引張装置。
  2. 前記減速機構は、前記出力軸に連結されたウオームホイールと、このウオームホイールに噛合され、前記入力軸が連結されるウオームギヤとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の引張装置。
  3. 前記ウオームギヤには、ギヤケースの外面に配設されたブレーキギヤが連結され、前記ギヤケースの外面には、前記ブレーキギヤに係合離脱可能な逆転防止用の止爪が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の引張装置。
  4. 前記着脱機構は、前記ドラム軸の先端に嵌合された偏心リングとギヤケースに穿設されて前記偏心リングを係脱するための孔部とで構成され、この偏心リングの回転位置の違いによって、ドラム軸をギヤケースから抜け止めあるいは取り外し可能とし、前記減速ユニットと前記張線ユニットとに分解可能としたことを特徴とする請求項に記載の引張装置。
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