JP4209025B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は精密部品成形用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。詳しくは、光ファイバーコネクターフェルール等の光通信用部品や光学ピックアップ部品等に好適な精密部品成形用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信の分野で、光ファイバー用コネクターフェルール等の精密部品には、シリカの充填されたエポキシ樹脂組成物が用いられていた。
しかし、このエポキシ樹脂組成物は成形サイクルが長くてリサイクルが困難といった熱硬化性樹脂特有の問題点を有していた。
【0003】
これに対し、熱可塑性樹脂のポリアリーレンスルフィド(PAS)樹脂組成物が提案されている。例えば、特開昭57−196208号公報にはPASに球状シリカを充填した樹脂組成物が提案されており、特開平6−299072号公報にはPASにシランカップリング剤により表面処理されたシリカを充填した樹脂組成物が提案されている。再公表特許WO95/25770号公報にはPASにウイスカーと球状シリカを充填した樹脂組成物が提案されている。
【0004】
しかし、これらの提案をもってしても、なお寸法精度と機械的強度のバランスが充分とはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、寸法精度及び機械的強度の物性バランスがとれ、成形性も良好であってしかも光ファイバー用コネクターフェルール等の精密部品成形用に好適なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、寸法精度、機械的強度、成形性のバランスのとれたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を特に寸法精度に重点をおいて追求する中で、補強効果に優れるが寸法精度が充分にでないウイスカーの配合量を減らし、それに代わって特定の溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドと特定粒径の球状シリカの配合量を増やすことにより、所期の目標を達成できることを見い出し、以下に示す本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
(1)(A)樹脂温度300℃、せん断速度500sec-1における溶融粘度が150〜800ポイズであるポリアリーレンスルフィド20〜34重量%、(B)平均粒径が0.3〜10μmである球状シリカ66〜80重量%、(C)ウイスカー0〜12重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が66〜80重量%である。
(2)(A)樹脂温度300℃、せん断速度500sec-1における溶融粘度が150〜800ポイズであるポリアリーレンスルフィド22〜28重量%、(B)平均粒径が0.3〜10μmである球状シリカ72〜78重量%、(C)ウイスカー0〜6重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が72〜78重量%である。
(3)断面に貫通孔を有する板状成形品としたときの貫通孔の真円度が1.8μm以下であり、線膨張係数(MD、TD両方向とも)が1.8×10-5/K以下であり、且つ曲げ強度が120MPa以上であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
〔(A)ポリアリーレンスルフィド〕
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドは、構造式〔−Ar−S−〕(ただし、Arはアリーレン基、Sはイオウである)で示される繰り返し単位を70モル%以上含有する重合体で、その代表的例は、下記構造式(I)
【0009】
【化1】
Figure 0004209025
(式中、R1 は炭素数6以下のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、カルボン酸もしくはその金属塩、アミノ基、ニトロ基、及びフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数である。また、nは平均重合度を示し、1.3〜30の範囲である。)で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポリアリーレンスルフィドである。
【0010】
当該繰り返し単位が70モル%未満だと結晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶成分が少なく、機械的強度が不充分となる場合がある。
さらに、単独重合体のほか共重合体も用いることができる。
その共重合構成単位として、メタフェニレンスルフィド単位、オルソフェニレンスルフィド単位、p−p’−ジフェニレンケトンスルフィド単位、p−p’−ジフェニレンスルホンスルフィド、p−p’−ビフェニレンスルフィド単位、p−p’−ジフェニレンメチレンスルフィド単位、p−p’−ジフェニレンクメニルスルフィド単位、ナフチルスルフィド単位などが挙げられる。
【0011】
また、その分子構造は、線状構造、分岐構造、あるいは架橋構造のいずれでもよいが、好ましくは線状構造のものがよい。
すなわち、本発明のポリアリーレンスルフィドとしては、実質線状構造を有するポリマーの他に、モノマーの一部分として3個以上の官能基を有するモノマーを少量使用して重合した分岐構造、あるいは架橋構造を有するポリマーも使用することができる。また、これを前記の実質線状構造を有するポリマーにブレンドして用いてもよい。
【0012】
さらに、本発明に用いるポリアリーレンスルフィドとして、比較的低分子量の実質線状構造を有するポリマーを酸化架橋又は熱架橋によって溶融粘度を上昇させ、成形性を改良したポリマーも使用することができる。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドは、公知の方法で製造することができる。例えばジハロ芳香族化合物と硫黄源とを有機極性溶媒中で、重縮合反応させ、洗浄、乾燥して得ることが出来る。
【0013】
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドは、樹脂温度300℃、せん断速度500sec-1における溶融粘度が150〜800ポイズ、好ましくは200〜700ポイズ、より好ましくは200〜600ポイズであることが必要である。
800ポイズより大きければ、成形時の流動性が低下し、成形品の寸法精度が悪化したり、造粒が困難になる。また、150ポイズより小さければ機械的強度の低下が大きい。
【0014】
なお、本発明の樹脂組成物を構成するウイスカーを添加する場合は、好ましくは150〜700ポイズ、より好ましくは150〜600ポイズ、更に好ましくは200〜500ポイズである。
また、溶融粘度の測定法は、後述する。
【0015】
〔(B)球状シリカ〕
本発明に用いる球状シリカは、溶融シリカ(非晶質二酸化珪素)、結晶シリカ(石英、トリジマイト、クリストバライトほか)のいずれであってもよく、その両方を混合したものであってよい。
なお、シリカの中でも球状であることが必要であり、破砕した不定形なシリカでは流動性の低下が大きく、物性のバランスをとりにくい。
平均粒径が0.3〜10μm、好ましくは0.4〜8μm、より好ましくは1〜8μmである。なお、平均粒径が当範囲内であれば、平均粒径の異なる2種以上の球状シリカを用いてもよい。平均粒径が0.3μmより小さいと樹脂組成物にしたとき溶融粘度が上昇し、成形時の流動性が低下し、成形品の寸法精度が悪化する。一方、平均粒径が10μmより大きいと機械的強度が低下する。
【0016】
更に、本発明に用いる球状シリカとしては、カップリング剤、好ましくはアミノシラン、ビニルシラン、フェニルシラン、エポキシシランその他シラン系カップリング剤等シラン化合物で表面処理したものが好ましい。中でも耐湿性にすぐれるビニルシランカップリング剤が特に好ましい。
表面処理したものは、成形品の機械的強度が改善され、吸湿性が改善される結果寸法安定性を増す効果が期待される。
【0017】
〔(C)ウイスカー〕
本発明に用いるウイスカーとしては、チタン酸カリウムウイスカー、硼酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、炭酸カルシウムウイスカー、酸化チタンウイスカー、アルミナウイスカー、ケイ酸カルシウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、窒化珪素ウイスカー、ケイ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウムパイロボレートウイスカー、マグネシアウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、二硼化チタンウイスカー等を用いることができるが、中でも好ましくは補強効果と成形性の観点からケイ酸カルシウムウイスカーを、より好ましくはメタケイ酸カルシウムウイスカーを用いることができる。
【0018】
また、本発明に用いるウイスカーとしては、カップリング剤、好ましくはアミノシラン、ビニルシラン、フェニルシラン、エポキシシランその他シラン系カップリング剤等シラン化合物で表面処理したものが好ましい。
【0019】
〔配合〕
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記(A)ポリアリーレンスルフィド20〜34重量%、(B)球状シリカ66〜80重量%、(C)ウイスカー0〜12重量%(ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が66〜80重量%である)を配合して、好ましくは(A)ポリアリーレンスルフィド22〜28重量%、(B)球状シリカ72〜78重量%、(C)ウイスカー0〜6重量%(ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が72〜78重量%である)を配合して製造する。
【0020】
上記配合比において、(A)ポリアリーレンスルフィドが20重量%より少なければ溶融粘度が上昇し、成形性が低下する。34重量%を超えると成形品の寸法精度が低下し、不充分となる。また、(B)球状シリカが66重量%より少なければ成形品の寸法精度が低下し、80重量%を超えると溶融粘度が上昇し、成形性が低下する。なお、(C)ウイスカーが12重量%を超えると溶融粘度が上昇し、成形品の異方性も大きくなり、寸法精度、成形性が低下する。更に、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が66重量%より少なければ成形品の寸法精度が低下し、80重量%を超えると溶融粘度が上昇し、成形性が低下する。
【0021】
また、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる樹脂組成物に、更にカップリング剤、好ましくはアミノシラン、ビニルシラン、フェニルシラン、エポキシシランその他シラン系カップリング剤等シラン化合物を(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100重量部あたり、好ましくは0.3〜3.0重量部、より好ましくは 0.5〜1.5重量部を添加して用いることができる。特に(B)成分、(C)成分が予めシランコートしていない場合は、後添加することに意義がある。
【0022】
従って、上記シラン化合物が0.3重量部より少なければ成形品の機械的強度の向上が期待できないし、3.0重量部を超えると溶融粘度の上昇により、成形性が低下する場合がある。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物には、前記各成分のほかに必要に応じてこの発明の効果を阻害しない範囲で、その他成分を添加し、配合してもよい。その他成分としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤等の各種添加剤、ポリアミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂、水素添加SBS、水素添加NBR、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム類、顔料等を挙げることができる。
【0023】
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分に必要に応じて、シラン化合物ほか各種添加剤等を配合し、ヘンシェルミキサー、二軸押出機ほかで、通常280〜350℃で溶融混練することにより得ることが出来る。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、極めて高い寸法精度と機械的強度を有する。その寸法精度の測定方法は後述するが、光通信用の光コネクターフェルールに適用することを想定して、断面に貫通孔を有する板状成形品としたときの貫通孔の真円度を評価するもので1.8μm以下である。更に、線膨張係数がMD、TD方向とも1.8×10-5/K以下である。また、機械的強度としては、曲げ強度が120MPa以上である。
【0024】
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、極めて高い寸法精度と機械的強度を有することから、その用途は各種精密機械部品に好適に用いられ、特に光通信分野における光ファイバーのコネクターフェルール、光学ピックアップ部品、マイクロレンズを光ファイバーの先端に埋め込んだ内視鏡先端部ハウジング、レーザーダイオードやホトセンサーの部材等に用いることができる。
【0025】
【実施例】
本発明について、更に、実施例を用いて詳細に説明する。
なお、実施例で用いる試験方法は、以下のとおりである。
(1)溶融粘度の測定
キャピログラフ(東洋精機(株)製)を用い、樹脂温度300℃で剪断速度500sec-1の条件で溶融粘度(ポイズ) を測定する。
(2)機械的強度の測定
50t射出成形機(日本製綱所製)を用い、樹脂温度330℃、金型温度135℃で試験片(127×12.7×3.2mmt)を作成し、ASTMに準拠して測定する。
曲げ強度:ASTM790に準拠して測定する。
(3)スパイラルフローの測定
30t射出成形機(東芝機械製)を用い、厚み1mmのスパイラルフロー金型を用いて、樹脂温度320℃、金型135℃、射出圧力1000kg/cm2 での流動長(mm)を測定する。
【0026】
(4)線膨張係数の測定
平板(80×80×3.2mmt)を射出成形し、平板中央部から12×8×3.2mmtのサンプル片を流動方向(MD)およびその直角方向(TD)にそれぞれ切り出し、TMA法(TMA−120C セイコー電子工業製)により測定温度範囲0〜50℃の線膨張係数(10-5/K) を測定する。
(5)寸法精度の測定
図1に示す板状成形品(8×7×2mmt、貫通孔の孔径0.7mmφ)を脂温度330℃、金型温度135℃で射出成形し、室温で24時間放置後、貫通孔の真円度(μm)を光学式測長機(IDM−30 第一測範製)で測定し、画像処理して算出する。
【0027】
更に、実施例で用いる(a)ポリアリーレンスルフィド、(b)球状シリカ、(c)ウイスカーの種類、性状については以下の通りである。
(a)ポリアリーレンスルフィド
PPS−1:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度100ポイズ)
PPS−2:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度170ポイズ)
PPS−3:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度250ポイズ)
PPS−4:ポリフェニレンスルフィド(トープレン社製、T−1、セミリニアー型、溶融粘度290ポイズ)
PPS−5:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度450ポイズ)
PPS−6:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度600ポイズ)
PPS−7:ポリフェニレンスルフィド(出光石油化学(株)製、リニアー型、溶融粘度730ポイズ)
PPS−8:ポリフェニレンスルフィド((トープレン社製、LN−2、リニアー型、溶融粘度900ポイズ)
【0028】
(b)球状シリカ
シリカ−1:球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C2、平均粒径0.5μm)
シリカ−2:表面処理球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C2ビニルシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SZ6300)処理品、平均粒径0.5μm)
シリカ−3:表面処理球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C3ビニルシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SZ6300)処理品、平均粒径1.0μm)
シリカ−4:球状シリカ(龍森社製、TSS−6、平均粒径0.5μm)
シリカ−5:表面処理球状シリカ(龍森社製、TSS−6ビニルシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SZ6300)処理品、平均粒径5.0μm)
シリカ−6:表面処理球状シリカ(電気化学工業社製 FB−6Dエポキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SH6040)処理品、平均粒径6.0μm)
シリカ−7:表面処理球状シリカ(電気化学工業社製 FB−35エポキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SH6040)処理品、平均粒径12.0μm)
シリカ−8:表面処理破砕不定形シリカ(電気化学工業社製 FS−74Cエポキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SH6040)処理品、平均粒径15.0μm)
シリカ−9:表面処理球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C1ビニルシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SZ6300)処理品、平均粒径0.2μm)
シリカ−10:表面処理球状シリカ(電気化学工業社製 FB−74ビニルシラン(東レ・ダウコーニング・シリコン社製 SZ6300)処理品、平均粒径31.5μm)
【0029】
(c)ウイスカー
ウイスカー1:メタケイ酸カルシウムウイスカー(NYCO社製 NYGLOS繊維径1〜7μm、L/D5〜20、比重2.9)
ウイスカー2:チタン酸カリウムウイスカー(大塚化学社製 ティスモD 繊維径0.1〜0.6μm、L/D15〜60、比重3.3)
ウイスカー3:ホウ酸アルミニウムウイスカー(四国化成工業社製 アルボレックスYS2A 繊維径0.5〜1.0μm、L/D10〜60、比重3.0)
ウイスカー4:酸化亜鉛ウイスカー(松下アムテック社製 パナテトラ 繊維 径0.1〜10.0μm、L/D5〜100、比重5.8)
【0030】
参考例1〕
前記した(a)成分、(b)成分、(c)成分を表1に示す配合比で、すなわち(a)成分としてPPS−5を28重量%、(b)成分としてシリカ−1を72重量%および(c)成分なしでヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、二軸押出機(TEM 35B)にて樹脂温度300〜350℃で溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、スパイラルフロー長さ、機械的強度、線膨張係数、寸法精度および総合評価をした。評価結果は表1に示した。
【0031】
実施例1〜9、参考例2〜7、比較例1〜11〕
参考例1と同様に前記した(a)成分、(b)成分、(c)成分を表1〜3に示す配合比でヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、二軸押出機(TEM 35B)にて樹脂温度300〜350℃で溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、スパイラルフロー長さ、機械的強度、線膨張係数、寸法精度および総合評価をした。評価結果は表1〜3に示した。
【0032】
【表1】
Figure 0004209025
【0033】
【表2】
Figure 0004209025
【0034】
【表3】
Figure 0004209025
【0035】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、実施例、比較例が示すように成形性が良好で、寸法精度が高く、線膨張係数およびその異方性が小さく、併せて機械的強度に優れたバランスのとれた物性を有している。なお、ウイスカーの所定量を越える添加は比較例9及び10が示すように、曲げ強度は大きいが寸法精度(真円度)が低下して不適格である。これに対し、実施例9、7、6が示すように、ウイスカーの無添加でも特定の粘度のPPSと粒状シリカとの配合により、曲げ強度をほぼ同等に維持しつつも他の物性に優れている。
【0036】
また、本発明の樹脂組成物を用いて得られた成形品は、特に図1に示す貫通孔の有する高い寸法精度が光ファイバーの接合にとって重要な要素であり、その他その優れた物性を有していることから光コネクター用フェルール等光学部品精密成形品に好適である。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】真円度測定用板状成形品の斜視図
【符号の説明】
1:縦(8mm)
2:横(7mm)
3:厚さ(2mm)
4:貫通孔(0.7mmφ)

Claims (2)

  1. (A)樹脂温度300℃、せん断速度500sec-1における溶融粘度が150〜800ポイズであるポリアリーレンスルフィド20〜29重量%、(B)平均粒径が0.3〜10μmである球状シリカ66〜80重量%、(C)ウイスカー〜12重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
    ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が71〜80重量%である。
  2. (A)樹脂温度300℃、せん断速度500sec-1における溶融粘度が150〜800ポイズであるポリアリーレンスルフィド22〜24重量%、(B)平均粒径が0.3〜10μmである球状シリカ76〜78重量%、(C)ウイスカー0〜6重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
    ただし、(B)球状シリカと(C)ウイスカーの合計量が76〜78重量%である。
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