JP4004741B2 - 耐トラッキング性が良好な強化ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

耐トラッキング性が良好な強化ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐トラッキング性が良好な強化ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物に関する。本発明の樹脂組成物からなる成形品は電気・電子部品あるいは自動車電装部品等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す場合がある)樹脂に代表されるポリアリーレンサルファイド(以下PASと略す場合がある)樹脂は、高い耐熱性、機械的物性、耐化学薬品性、寸法安定性、難燃性を有していることから、電気・電子機器部品材料、自動車機器部品材料、化学機器部品材料等に広く使用されている。しかしながら、PAS樹脂はポリアミド樹脂等の他のエンジニアリングプラスチックに比べ、耐トラッキング性が大きく劣るという欠点を有している。そのため、PAS樹脂は高い耐熱性、機械的物性、寸法安定性、難燃性といった電気部品材料として優れた特性を持っているにもかかわらず、比較的高い電圧下にさらされるような用途への適用は制限されているのが実情である。
【0003】
PAS樹脂の耐トラッキング性改良の試みはこれまでにもなされているが、PAS樹脂に水酸化マグネシウムを配合した系では、溶融混練時のシリンダー温度が高い場合に水酸化マグネシウムが分解してしまい、十分な耐トラッキング性が得られないという問題がある。特開平5−271542号公報には、PAS樹脂にポリアミド樹脂及び水酸化マグネシウムを配合することにより耐トラッキング性が向上することが開示されているものの、多量のポリアミドを用いるため、得られる組成物の吸水時の寸法変化が大きく、塩化カルシウム等の電解質を含有する水溶液下での強度低下が著しい。耐トラッキング試験は水分や電解質が存在する悪環境下での絶縁破壊の起こり易さを評価する試験であり、従って高い耐トラッキング性が要求される用途へのかかる組成物の適用は長期信頼性の点で問題が残る。
【0004】
一方、特開平8−291253号公報には、PAS樹脂にポリオレフィン系共重合体及び水酸化マグネシウムを配合することにより、耐トラッキング性が向上することが開示されているものの、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主成分とするオレフィン系共重合体を配合した組成物は、PAS樹脂の加工温度が300 ℃以上であるためにオレフィン系共重合体は熱劣化を生じ、成形時に分解しガスを発生するため著しく成形性を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑み、PAS樹脂が本来有する耐熱性、電気絶縁性、低吸水性等の諸物性を損なうことなく、組成物の靱性及び離型性を維持したまま、耐トラッキング性の優れた強化PAS樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、PAS樹脂に特定の粒径分布を持つ水酸化マグネシウム、及び所望により繊維状及び/又は非繊維状充填剤を配合し、溶融混練時の樹脂温度を制御することで、耐トラッキング性が飛躍的に向上し、且つ他の成形加工性や機械的物性、耐熱性等の優れた諸物性も兼備するPAS樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
即ち本発明は、
(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し、
(B) 平均粒子径が1μm 以下であり、且つ粒度分布として粒子径1μm 以下の累積重量が70%以上であるアクリルシラン化合物で表面処理された水酸化マグネシウム50〜300 重量部
(C) 水酸化マグネシウム以外の繊維状及び/又は非繊維状充填剤30〜350 重量部
を配合してなるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物のΔYが下記式(1) を満たす強化ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物に関するものである。
【0008】
ΔY>b/(a+b+c)×(18/58)×90 (1)
(ここで、ΔYは熱重量分析装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて350 ℃から450 ℃まで昇温した時の熱重量変化(%)であり、a、b、cは成分(A) 、(B) 、(C) の夫々の各重量部である。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成成分について詳細に説明する。本発明に用いる(A) 成分としてのPAS樹脂は、繰返し単位として-(Ar-S)-(ただし、Arはアリーレン基)で主として構成されたものである。アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p'−ジフェニレンスルフォン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニレンエーテル基、p,p'−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが使用できる。この場合、前記のアリーレン基から構成されるアリーレンサルファイド基の中で、同一の繰返し単位を用いたポリマー、すなわちホモポリマーの他に、組成物の加工性という点から、異種繰返し単位を含んだコポリマーが好ましい場合もある。ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を用いた、p−フェニレンサルファイド基を繰返し単位とするものが特に好ましく用いられる。又、コポリマーとしては、前記のアリーレン基からなるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上の組み合わせが使用できるが、中でもp−フェニレンサルファイド基とm−フェニレンサルファイド基を含む組み合わせが特に好ましく用いられる。この中で、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当である。又、これらのPAS樹脂の中で、2官能性ハロゲン芳香族化合物を主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に直鎖状構造の高分子量ポリマーが、特に好ましく使用できるが、直鎖状構造のPAS樹脂以外にも、縮重合させるときに、3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物等のモノマーを少量用いて、部分的に分岐構造または架橋構造を形成させたポリマーも使用できるし、比較的低分子量の直鎖状構造ポリマーを酸素又は酸化剤存在下、高温で加熱して、酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーも使用可能である。
【0010】
又、(A) 成分のPAS樹脂は、前記直鎖状PAS(310℃、ズリ速度1200 sec-1における粘度が10〜300Pa・s )を主体とし、その一部(1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%)が、比較的高粘度(300〜3000Pa・s 、好ましくは500〜2000Pa・s )の分岐又は架橋PAS樹脂との混合系も好適である。又、本発明に用いるPAS樹脂は重合後、酸洗浄、熱水洗浄、有機溶剤洗浄(或いはこれらの組合せ)を行って副生不純物等を除去精製したものが好ましい。
【0011】
次に、本発明の(B) 成分の水酸化マグネシウムとしては、化学式Mg(OH)2 で示される無機物を80重量%以上含む純度の高い水酸化マグネシウムが挙げられ、耐トラッキング性の発現のためには、Mg(OH)2 で示される無機物を80重量%以上含み、且つCaO 含量5重量%以下、含塩素量1重量%以下のもの、より好ましくはMg(OH)2 を95重量%以上含み、且つCaO 含量1重量%以下、含塩素量0.5 重量%以下のもの、更に好ましくはMg(OH)2 を98重量%以上含み、且つCaO 含量0.1 重量%以下、含塩素量0.1 重量%以下の高純度水酸化マグネシウムが適している。
【0012】
本発明では、レーザー回折散乱法で測定された平均粒子径が1μm 以下であり、且つ粒度分布として粒子径1μm 以下の累積重量が70%以上である水酸化マグネシウムを用いることを必須とする。平均粒子径が1μm を超える水酸化マグネシウムでは十分な耐トラッキング性が得られない。また、平均粒子径が1μm 以下であっても、粒子径1μm 以下の累積重量が70%に満たない粒度分布の水酸化マグネシウムでも同様に十分な耐トラッキング性改善効果を示さない。
【0013】
また、この水酸化マグネシウムをアクリルシラン化合物で表面処理して使用することは、機械的強度を維持したまま耐トラッキング性を向上させる点で望ましい。アクリルシラン化合物としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリルシラン化合物等が挙げられる。
【0014】
アクリルシラン化合物は、溶融混練押出性も良好であり、特に好ましい表面処理剤である。また、上記表面処理剤の水酸化マグネシウムに対する処理量は、水酸化マグネシウムに対し0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%程度が適当である。
【0015】
かかる(B) 水酸化マグネシウムの配合量は、(A) PAS樹脂100 重量部に対して50〜300 重量部、好ましくは70〜150 重量部である。配合量が50重量部未満では耐トラッキング性向上効果が不十分で好ましくはなく、配合量が300 重量部を越えると樹脂組成物の機械的強度、流動性等への悪影響が大きくなるため好ましくない。
【0016】
また、本発明においては、強度及び寸法安定性等を向上させるため、必要に応じて(C) 成分として水酸化マグネシウム以外の繊維状及び/又は非繊維状充填剤が用いられる。かかる(C) 成分の繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機質繊維状物質があげられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、カーボン繊維である。また、非繊維状充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等の粉粒状充填剤やマイカ、ガラスフレーク等の板状充填剤が挙げられる。これらの充填剤は一種又は二種以上併用することができる。
【0017】
これらの充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この処理剤の例を示せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これらの化合物は予め表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
【0018】
(C) 充填剤の配合量は、(A) PAS樹脂 100重量部に対して30〜350 重量部の範囲が選択され、更に溶融流動性と機械的強度のバランスの観点から、(A) PAS樹脂 100重量部に対し30〜150 重量部が好ましい。
【0019】
更に、本発明では必要に応じ、(D) 成分としてオレフィン系重合体及び/又はオレフィン系共重合体を配合することができる。オレフィン系重合体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物、アクリロニトリル、等の不飽和単量体を重合して得られる単独重合体が挙げられ、オレフィン系共重合体としては、上記不飽和単量体のランダム、ブロック、グラフト共重合体の他、上記単量体と上記以外の単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸及びそれらの金属塩、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、エタクリル酸メチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、マレイン酸、マレイン酸無水物等の不飽和有機酸及びその誘導体、酢酸ビニル等のビニルエステル、ビニルトリメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシシラン等のビニルシラン、ビニルエーテル、等とのランダム、ブロック、グラフト共重合体が使用できる。これらオレフィン系重合体及び/又はオレフィン系共重合体の中でもエチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが特に好適である。
【0020】
(D) オレフィン系重合体及び/又はオレフィン系共重合体の配合量としては、(A) PAS樹脂 100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部である。50重量部を超えて配合すると成形時の金型付着物(モールドデポジット)が著しく多くなるため好ましくない。
【0021】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、バリ発生の抑制等を目的として、前記した表面処理剤とは別に、シラン化合物を配合することができる。かかるシラン化合物としては、ビニルシラン、メタクリロキシシラン、エポキシシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン等の各種タイプが含まれ、例えば、ビニルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シラン化合物の配合量としては、(A) PAS樹脂100 重量部に対し、0.1 〜3重量部、好ましくは0.3 〜2重量部である。
【0022】
更に、本発明の樹脂組成物には、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、即ち難燃剤、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
【0023】
特に、射出成形時の成形品の金型からの離型を良くするために添加する離型剤としては種々のものがあるが、ポリオレフィンワックスやペンタエリスリトール型の脂肪酸エステル等を添加するのが好ましく、特に(E) 成分としてポリオレフィンワックスを配合するのが好ましい。離型剤の添加量としては、過剰に添加すると成形片表面にそれらが染み出す等の不具合が生じるため、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し0.1 〜2.5 重量部が好ましい。
【0024】
本発明の樹脂組成物の調製は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。一般的には必要な成分を混合し、1軸又は2軸の押出機を使用して溶融混練し、押出して成形用ペレットとすることができる。また、溶融混練時の樹脂温度は、水酸化マグネシウムの熱分解を防止するために350 ℃以下が好ましい。
【0025】
上記の如く調製されたポリアリーレンサルファイド樹脂組成物は、そのΔYが下記式(1) を満たす必要がある。
【0026】
ΔY>b/(a+b+c)×(18/58)×90 (1)
(ここで、ΔYは熱重量分析装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて350 ℃から450 ℃まで昇温した時の熱重量変化(%)であり、a、b、cは成分(A) 、(B) 、(C) の夫々の各重量部である。)
溶融混練時に水酸化マグネシウムが著しく熱分解を生じた場合、ΔYは小さな値となり、十分な耐トラッキング性が得られない。上記の(1) 式を満たすような場合、水酸化マグネシウムが樹脂組成物中に十分(90%以上)残存しており、良好な耐トラッキング性が得られる。特に残存している水酸化マグネシウムが90%未満になると、機械的強度と耐トラッキング性のバランスが非常に悪いものとなる。
【0027】
このようにして得た材料ペレットは、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形等、一般に公知の熱可塑性樹脂の成形法を用いて成形することができるが、最も好ましいのは射出成形である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例で評価した評価方法は以下の通りである。
(耐トラッキング性試験)
IEC 112第三版に準じてCTI(比較トラッキング指数)を測定した。
(TGA加熱減量)
パーキンエルマー社製TGA7にて、窒素雰囲気下、熱重量分析(TGA)装置を用い、昇温速度10℃/分にて350 ℃から450 ℃まで昇温した時の熱重量変化(%)を測定し、ΔYを求めた。サンプルは、各ペレットを粉砕した粉末10mgを用いた。
(引張試験)
ISO 527に準じて引張強度及び引張伸度を測定した。
(成形片の離型抵抗)
射出成形機にて、下記の条件で図1に示す成形片の成形を行い、成形片を金型から押出す時の力を測定し、測定値を離型抵抗値(N)とした。
【0029】
離型抵抗測定機;MOBACキャビティ圧力センサー
射出成形機;日鋼J75SSII−A
シリンダー温度;310℃
射出時間;12秒
冷却時間;45秒
金型温度;140℃
実施例1〜及び比較例1〜6
表1に示す各成分をヘンシェルミキサーで5分間混合し、これを2軸押出機にかけて実施例1〜及び比較例1〜4では樹脂温度340 ℃にて、比較例5〜6では樹脂温度360 ℃にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作った。次いで射出成形機で、シリンダー温度320 ℃、金型温度150 ℃にて上記耐トラッキング性試験片及び引張試験片を成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例
表2に示す各成分をヘンシェルミキサーで5分間混合し、これを2軸押出機にかけて樹脂温度340 ℃にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作った。次いで射出成形機で、シリンダー温度320 ℃、金型温度150 ℃にて上記耐トラッキング性試験片及び引張試験片を成形し、評価を行った。又、離型抵抗評価も行った。結果を表2に示す。
【0030】
尚、実施例及び比較例で使用した各成分の具体的物質は以下の通りである。
・(A) ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;
呉羽化学工業(株)製、フォートロンKPS
・(B) 水酸化マグネシウム
B-1 ;平均粒子径0.83μm 、粒子径1μm 以下の累積重量83%、表面処理剤[日本ユニカー製A−174(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)]3重量%で処理したもの
B'-2;平均粒子径0.84μm 、粒子径1μm 以下の累積重量50%、表面処理剤[日本ユニカー製A−174(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)]3重量%で処理したもの
B'-3;平均粒子径0.84μm 、粒子径1μm 以下の累積重量65%、表面処理剤[日本ユニカー製A−174(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)]3重量%で処理したもの
B'-4;平均粒子径1.05μm 、粒子径1μm 以下の累積重量72%、表面処理剤[日本ユニカー製A−174(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)]3重量%で処理したも
・(C) 無機充填剤
平均繊維径13μm 、繊維長3mmのガラスファイバー
・(D) オレフィン系共重合体
エチレン/オクテン共重合体
・(E) 離型剤
E-1 ;ペンタエリスリトールトリステアレート
E-2 ;ポリエチレンワックス(三洋化成製サンワックス165P)
【0031】
【表1】
Figure 0004004741
【0032】
【表2】
Figure 0004004741

【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた離型抵抗評価成形品の形状を示す図で、(a) は上面図、(b) は正面図である。

Claims (4)

  1. (A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し、
    (B) 平均粒子径が1μm 以下であり、且つ粒度分布として粒子径1μm 以下の累積重量が70%以上であるアクリルシラン化合物で表面処理された水酸化マグネシウム50〜300 重量部
    (C) 水酸化マグネシウム以外の繊維状及び/又は非繊維状充填剤30〜350 重量部
    を配合してなるポリアリーレンサルファイド樹脂組成物であって、該ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物のΔYが下記式(1) を満たす強化ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
    ΔY>b/(a+b+c)×(18/58)×90 (1)
    (ここで、ΔYは熱重量分析装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて350 ℃から450 ℃まで昇温した時の熱重量変化(%)であり、a、b、cは成分(A) 、(B) 、(C) の夫々の各重量部である。)
  2. 更に、(D) オレフィン系重合体及び/又はオレフィン系共重合体を、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し1〜50重量部配合してなる請求項1記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  3. 更に、(E) ポリオレフィンワックスを、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し0.1 〜2.5 重量部配合してなる請求項1又は2記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を射出成形して得られる成形体。
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