JP4208537B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いる複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリなどの転写方式の画像形成装置は、回転ドラム型を一般的とする像担持体である電子写真感光体(感光体)、その感光体を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電装置(帯電工程)、帯電処理された感光体に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置(露光工程)、感光体上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより現像剤像(トナー像)として顕像化する現像装置(現像工程)、上記トナー像を感光体面から紙などの転写材に転写する転写装置(転写工程)、転写工程後の感光体上に多少ながら残余する現像剤(残留トナー、転写残トナー)を除去して感光体面を清掃するクリーニング装置(クリーニング工程)、転写材上のトナー像を定着させる定着装置(定着工程)などから構成されており、感光体は繰り返して電子写真プロセス(帯電・露光・現像・転写・クリーニング)が適用されて作像に供される。
【0003】
一般に、クリーニング装置により感光体面から除去された転写残トナーを収容する廃トナー回収容器が、クリーニング装置内に設けられている。よって、耐久寿命が長い画像形成装置とするためにはこの容器を大型にする必要があり、装置の小型化の点でデメリットとなる。
【0004】
そこで、廃トナー回収容器を有するクリーニング装置を廃し、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像装置において「現像同時クリーニング」で感光体上から除去・回収し、再利用するようにしたクリーナレス方式の画像形成装置がある。
【0005】
「現像同時クリーニング」は、転写後の感光体上の転写残トナーを次工程以降の現像工程時、即ち、引き続き感光体を帯電し、露光して静電潜像を形成した後、この静電潜像を現像する現像過程で、かぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって、現像されるべきではない感光上の部分(未露光部、非画像部)に存在する転写残トナーを現像装置に回収する方法である。
【0006】
この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再利用されるため、廃トナーをなくし、又メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができ、廃トナー容器が無いことで画像形成装置の小型化にも有利である。
【0007】
一方、帯電手段としては、近年、コロナ帯電器に代わり、特に、接触帯電部材として導電ローラを用いたローラ帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。ローラ帯電方式では、導電性の弾性ローラ(帯電ローラ)を被帯電体に加圧当接させ、これに電圧を印加することによって被帯電体の帯電処理を行なう。
【0008】
この帯電方式に関しては、特許文献1に開示されるように、所望の被帯電体表面電位Vdに相当するDC電圧に、2×Vth(放電開始電圧)以上のピーク間電圧を持つAC電圧成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加するAC帯電方式が提案され、実用にも供されている。このAC電圧による電位のならし効果により、DC帯電方式よりも更なる帯電の均一化を図ることができ、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdにほぼ収束する。
【0009】
転写工程後の感光体上の転写残トナーを、現像装置において「現像同時クリーニング」で除去・回収するクリーナレス方式の画像形成装置において、感光体の帯電装置として上記接触帯電装置を用いる場合には、感光体上の転写残トナーが感光体と接触帯電装置の接触ニップ部である帯電部を通過する際に、転写残トナー中の、特に、帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが接触帯電装置に付着して接触帯電装置を許容以上にトナー汚染させ、帯電不良の原因となることがある。
【0010】
これは、現像剤としてのトナーには、量的には少ないけれども、帯電極性がもともと正規極性とは逆極性に反転しているトナーが混在しているものや、更に帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電などに影響されて帯電極性が反転するものや、除電されて帯電量が少なくなるものがあるためである。
【0011】
つまり、転写残トナーには、帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが、感光体と接触帯電装置との接触ニップ部である帯電部を通過する際に接触帯電装置に付着し易い。
【0012】
又、感光体上の転写残トナーを現像装置の「現像同時クリーニング」にて除去・回収するためには、帯電部を通過して現像部に持ち運ばれる感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、且つ、その帯電量が現像装置によって感光体の静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては、感光体上から現像装置に除去・回収できず、不良画像の原因となることがある。
【0013】
そこで、本出願人は、特許文献2に開示するように、感光体の回転方向において、転写部の下流に残留現像剤均一化手段(残留トナー均一化手段)を設け、更に下流で且つ感光体を帯電する帯電手段の上流に現像剤帯電量制御手段(トナー帯電量制御手段)を設けた画像形成装置を提案した。
【0014】
この画像形成装置おいて、残留トナー均一化手段は、転写部からトナー帯電量制御手段部へ持ち運ばれる感光体上のパターン状の残留トナー像を、感光体面に分散分布化して、非パターン化する手段である。具体的には、像担持体表面を摺擦部材で摺擦することで残留現像剤像パターンを掻き崩し或いは攪乱して現像剤を感光体面に分散分布化する。
【0015】
残留トナー均一化手段を備えることで、次の正規極性が印加されたトナー帯電量制御手段による転写残トナー全体に対する正規極性の帯電処理が常に十分になされて、転写残トナーの帯電手段への付着防止が効果的になされる。又、残留トナー像パターンが消去されることで該残留トナー像パターンのゴースト像の発生が防止される。
【0016】
即ち、残留トナー均一化手段が無い場合は、例えば、縦ラインパターン現像剤像、環境、紙種(転写紙)、カラー2次色(多色のトナー像を重ねた部分(例えば、イエロートナーとマゼンタトナーを重ねてレッド、オレンジなどの色画像を形成した部分))などの条件により、トナー像の転写性が悪い時には、感光体上のパターン状の転写残トナー像も多くなり、その転写残トナー像がそのままトナー帯電量制御手段部へ持ち運ばれてトナー帯電量制御手段の一部に現像剤が集中してしまう。これにより、トナー帯電量制御手段の一部で転写残トナーの帯電量を制御しきれない現象(トナー帯電不良現象)を起こす。その結果、帯電部材汚れにより帯電不良が発生してカブリ画像発生を招いたり、又転写残トナー像パターンが残ってそのゴースト像が発生することにもなる。
【0017】
残留トナー均一化手段を設けることにより、上記のように、転写部からトナー帯電量制御手段部へ持ち運ばれる像担持体上のパターン状の転写残トナー像は、現像剤量が多くても、その現像剤が感光体面に分散分布化され、非パターン化されるので、トナー帯電量制御手段の一部に現像剤が集中することがなくなり、トナー帯電量制御手段による転写残トナー全体に対する正規極性の帯電処理が常に十分になされて、転写残トナーの帯電手段への付着防止が効果的になされる。転写残トナー像パターンのゴースト像の発生も厳に防止される。
【0018】
そして、トナー帯電量制御手段で正規極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、帯電手段により感光体を所定の電位に帯電すると同時に、現像装置によって感光ドラムの静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御する。その結果現像装置での転写残トナーの回収が効率的になされ、ゴーストや帯電不良のない良好な画像を得ることができる。
【0019】
しかし、印字比率の高いパターンで連続して画像形成を行なった場合、残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段へのトナー蓄積量が増えてしまう。それによって、それぞれの帯電能力低下・機能低下を引き起こし、転写残トナーの非パターン化、転写残トナーへの帯電が不十分となり、帯電手段へのトナー付着を招くこととなる。
【0020】
そこで、高印字比率パターンを多数枚連続画像形成した後にも残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段の機能を維持させるために、この残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段に蓄積したトナーを定期的に吐き出す必要がある。
【0021】
そのために、紙間、画像形成装置の電源ON時の初期動作時、或いは画像形成動作終了時などに吐き出し動作を設けることが行われる。吐き出し動作(吐き出しモード)においては、積極的に蓄積したトナーを吐き出すようなバイアスを印加する。例えば、画像形成動作中に印加している電圧とは逆極性のバイアスを印加したり、バイアスを小刻みにON/OFFしたりすることも効果があることが知られている。
【0022】
これによって、印字比率の高いパターンで連続して画像形成を行なった場合に、残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段へのトナー蓄積量が増えることがあっても、その都度吐き出し動作によって蓄積トナーを吐き出すことで、残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段を常にリフレッシュし帯電能力・機能の低下を防止する。それによって、転写残トナーの非パターン化、転写残トナーの帯電を十分に行うことができ、帯電手段へのトナー付着防止が可能となる。
【0023】
【特許文献1】
特開昭63−149669号公報
【特許文献2】
特開2001―215798号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段からの吐き出し動作を用いたクリーナレスシステムにおいて、以下のような問題があることが分かった。
【0025】
残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段からのトナー吐き出し動作時に、吐き出したトナー(吐き出しトナー)が帯電部材に付着し、次の画像形成時に帯電不良・帯電ムラを引き起こし、不良画像が発生することがあった。
【0026】
これは、残留トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段からの吐き出しトナー中には帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、正規極性ではあるものの帯電量が少ないものが混在しており、画像形成動作中の帯電電圧(AC+DC)を印加したままであると逆極性トナーや帯電量の少ないトナーが接触帯電部材と感光体のニップ部を通過する際に帯電部材に付着してしまうためであると考えられる。
【0027】
又、吐き出しトナーは、通常画像形成時の転写残トナーと比較して量が多く帯電部材への付着量も通常より増加してしまう。帯電部材へのトナー付着は、帯電不良、帯電ムラを引き起こし、それによってカブリ画像などの画像を発生させる。
【0028】
従って、本発明の目的は、残留現像剤均一化手段、現像剤帯電量制御手段に蓄積した現像剤の排出を、帯電手段への現像剤付着を防止しつつ行うことのできる画像形成装置を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体表面の移動方向において前記帯電手段より上流に位置する第1の当接部材及び第2の当接部材と、を備え、前記第1の当接部材は前記像担持体表面の移動方向において前記第2の当接部材より上流に位置し、画像形成時に、前記第1の当接部材には現像剤の正規極性と逆極性の電圧が印加され、前記第2の当接部材には現像剤の正規極性と同極性の電圧が印加される画像形成装置であって、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材に蓄積した現像剤を排出する際に、前記第1の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときに、前記帯電手段に印加される電圧は、前記像担持体の電位と同じか又は前記像担持体の電位より前記現像剤の正規極性と同極性側に大きくし、前記第2の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときに、前記帯電手段に印加される電圧は、前記像担持体の電位と同じか又は前記像担持体の電位より前記現像剤の正規極性とは逆極性側に大きくすることを特徴とする画像形成装置である。本発明の一実施態様によると、前記第1の当接部材から現像剤を排出する際に、前記第2の当接部材は画像形成時と同極性の直流電圧が印加される。本発明の他の実施態様によると、画像形成時には、前記帯電手段に振動電界が印加され、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときには、前記帯電手段に振動電圧が印加されない。本発明の他の実施態様によると、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材は、前記像担持体に接触する導電性繊維ブラシ部を有する。本発明の他の実施態様によると、画像形成装置は、前記像担持体に現像剤像を形成する現像手段を備え、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤は前記現像手段により回収される。本発明の一実施態様によると、画像形成装置は、前記像担持体と、前記帯電手段と、前記第1の当接部材と、前記第2の当接部材と、を備える画像形成部を複数有し、各画像形成部に対向して移動する転写体上に、各画像形成部の前記像担持体から現像剤を転写可能であり、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤は、前記転写体に転写される。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0038】
実施例1
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、転写方式電子写真プロセス、接触帯電方式、反転現像方式、クリーナレス方式を用いた、最大通紙サイズがA3サイズのカラーレーザープリンタであり、画像形成装置本体(装置本体)と通信可能に接続された外部ホスト装置からの画像情報に応じて転写材、例えば、用紙、OHPシート、布などにフルカラーの画像を形成し、出力することができる。
【0039】
画像形成装置100は、複数個のプロセスカートリッジ8を有し、各プロセスカートリッジ8により、一旦、中間転写体91に連続的にトナー像を多重転写し、その後転写材Pに一括転写することによりフルカラープリント画像を得る4連ドラム方式(インライン)の画像形成装置である。プロセスカートリッジ8は、中間転写ベルト91の移動方向において直列にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に4個配置されている。
【0040】
本実施例では、複数の像形成手段たるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色の画像形成部PY、PM、PC、PBkは、使用する現像剤の色が異なる他は同一の構成とされるので、以下、特に区別を要しない場合は、各画像形成部の要素であることを示す符号の添え字Y、M、C、Bkは省略し、総括的に説明する。
【0041】
例えば、4色フルカラー画像を形成する場合の全体動作を説明すると、画像形成装置100と通信可能に接続された外部ホスト装置からの信号に従って、色分解された画像信号が生成され、この信号に応じて、各画像形成部PY、PM、PC、PBkの各プロセスカートリッジ8Y、8M、8C、8Bkにおいて各色のトナー像の形成が行われる。各プロセスカートリッジ8Y、8M、8C、8Bkでは、像担持体としての電子写真感光体(感光ドラム)1を帯電手段2によって帯電させ、その一様帯電面を露光手段3によって走査露光することで感光ドラム1上に静電潜像を形成し、この静電潜像に現像手段4によって現像剤であるトナーを供給することによりトナー像を形成する。各感光ドラム1に形成された各色のトナー像は、移動する中間転写体(第2の像担持体)としての中間転写ベルト91上に順次重ね合わせて転写される。そして、中間転写ベルト91上に形成されたフルカラーのトナー像は、中間転写ベルト91と2次転写手段としての2次転写ローラ10とが対向する2次転写部に搬送されてきた転写材P上に一括転写される。次いで、転写材Pは定着手段12に搬送され、ここでトナー像の定着を受けた後、機外に排出される。
【0042】
以下、図2をも参照して、画像形成装置100の各要素について、順次より詳しく説明する。
【0043】
画像形成装置100は、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)1を有する。本実施例では、感光ドラム1は有機光導電体(OPC)ドラムであり、外径は50mm、中心支軸を中心に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって図中矢示の反時計方向に回転駆動される。感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光の干渉を抑えて上層の接着性を向上させる下引き層と、光電荷発生層と、電荷輸送層(厚さ20μm)との3層を下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0044】
本実施例では、画像形成装置100は、帯電手段として、接触帯電器である帯電ローラ2を有する。帯電ローラ2に所定の条件の電圧を印加することで、感光ドラム1を一様に負極性に帯電させる。帯電ローラ2の長手長さは320mmであり、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表面層2dとを下から順次に積層した3層構成とした。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、中間層2cは帯電ローラ2全体として均一な抵抗を得るための抵抗層であり、表層2dは感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。本実施例の帯電ロ一ラ2は、芯金2aとして直径6mmのステンレス丸棒を用い、表層としてフッ素樹脂にカーボンを分散させており、ローラとしての外径は14mm、ローラ抵抗は104Ω〜107Ωとした。
【0045】
帯電ロ一ラ2は、芯金2aの両端部をそれぞれ軸受け部材により回転自在に保持させると共に、押圧ばねによって感光ドラム1方向に付勢して、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させている。又、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に従動して回転する。そして、電圧印加手段としての電源20から、直流電圧に所定周波数の交流電圧を重畳した所定の振動電圧(帯電バイアス電圧Vdc+Vac)が、芯金2aを介して帯電ローラ2に印加され、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。帯電ローラ2と感光ドラムの接触部が帯電部aである。
【0046】
本実施例では、帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧は、−500Vの直流電圧と、周波数=1150Hz、ピーク間電圧Vpp=1400V、正弦波の交流電圧とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗部電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0047】
又、帯電ローラ2に対して、帯電ローラクリーニング部材2fが設けられている。本実施例では、帯電ローラクリーニング部材2fは、可撓性を持つクリーニングフィルムである。このクリーニングフィルム2fは、帯電ローラ2の長手方向に対し平行に配置され、且つ、同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材2gに一端を固定され、自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成するよう配置されている。支持部材2gが、画像形成装置100の駆動モーターによりギア列を介して駆動され、長手方向に一定量の往復運動をすることで、帯電ローラ2の表層2dがクリーニングフィルム2fで摺擦される。これにより、帯電ローラ2の表層2dの付着汚染物(微粉トナー、外添剤など)の除去がなされる。
【0048】
感光ドラム1は、帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理された後、画像露光手段(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャンによる走査露光系など)による画像露光Lを受ける。これにより、目的のカラー画像の各画像形成部PY、PM、PC、PBkに対応した色成分の静電潜像が形成される。本実施例では露光手段として、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナ3を用いた。レーザビームスキャナ3は、画像読み取り装置(図示せず)などのホスト装置から画像形成装置100側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、回転する感光ドラム1の一様帯電処理面をレーザ走査露光(イメージ露光)する。このレーザ走査露光により、感光ドラム1面のレーザ光Lで照射されたところの電位が低下することで、回転する感光ドラム1面には、走査露光した画像情報に対応した静電潜像が形成される。本実施例では、露光部電位Vlを−150Vとした。感光ドラム1における画像露光Lの照射位置が露光部bである。
【0049】
次いで、その感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像手段としての現像器4でトナーにより現像される。本実施例において、現像器4は2成分接触現像器(2成分磁気ブラシ現像器)である。現像器4は、現像容器(現像器本体)40、内部に固定配置されたマグネットローラを有する現像剤担持体としての現像スリーブ41、現像剤規制部材としての現像剤規制ブレード42、現像容器40に収容した主に樹脂トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)との混合物である二成分現像剤(現像剤)46、現像容器40内の底部側に配設した現像剤攪拌部材43、44などを具備する。
【0050】
現像スリーブ41は、その外周面の一部を外部に露呈させて現像容器40内に回転可能に配設されている。現像スリーブ41には、所定間隙を有して現像剤規制ブレード42が対向されており、現像スリーブ41の図中矢印方向の回転に伴い、現像スリーブ41上に現像剤薄層を形成する。本実施例では、現像スリーブ41は、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保たせて感光ドラム1に近接させて対向配設した。感光ドラム1と現像スリーブ41との対向部が現像部cである。
【0051】
又、現像スリーブ41は現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。現像スリーブ41上の現像剤薄層は、現像部cにおいて感光ドラム1の面に対して接触して、感光ドラム1を適度に摺擦する。現像スリーブ41には電圧印加手段としての電源(図示せず)から所定の現像バイアス電圧が印加される。本実施例では、現像スリーブ41に印加する現像バイアス電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、−350VのVdcと、1800Vpp、周波数=2300HzのVacとを重畳した振動電圧である。
【0052】
而して、回転する現像スリーブ41上に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤46中のトナーが、現像バイアス電圧による電界によって感光ドラム1に形成された静電潜像に対応して選択的に付着することで、静電潜像がトナー像として現像される。本実施例では、感光ドラム1上の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。現像部cを通過した現像スリーブ41上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブ41の回転に伴い現像容器40内の現像剤溜り部に戻される。
【0053】
更に、現像器4内には、現像剤攪拌部材としての撹拌スクリュー43、44が設けられている。攪拌スクリュー43、44は、現像スリーブ41の回転と同期して回転し、補給されたトナーをキャリアと攪拌・混合して、トナーに所定の帯電電荷を与える機能を有する。又、攪拌スクリュー43、44は、それぞれ長手方向において反対方向に現像剤46を搬送し、現像剤46を現像スリーブ41に供給すると共に、現像工程によりトナー濃度(現像剤中のトナーの割合)の薄くなった現像剤46をトナー補給部に搬送し、現像剤46を現像容器40内で循環させる機能を有する。
【0054】
現像器4のスクリュー44の上流側壁面には、現像剤46の透磁率変化を検出して現像剤46中のトナー濃度を検知するセンサー45が設けられており、現像剤46の循環方向においてセンサー45のやや下流側にトナー補給開口47が設けられている。現像動作を行った後に、現像剤46はセンサー45部に運ばれ、ここでトナー濃度が検知される。その検知結果に応じて、現像剤46中のトナー濃度を一定に維持するために、適宜、現像器4に接続された現像剤補給容器(トナー補給ユニット)5が備えるスクリュー51の回転により、トナー補給ユニット5から現像器4のトナー補給開口47を通してトナー補給が行われる。補給されたトナーは攪拌スクリュー44により搬送され、キャリアと混ざり合い、適度な帯電電荷を付与された後に、現像スリーブ41の近傍に運ばれ、現像スリーブ41上で薄層形成され現像に供される。
【0055】
本実施では、トナーとして、平均粒径6μmのネガ帯電トナーを用い、キャリアとしては、飽和磁化が205emu/cm3、平均粒径35μmの磁性キャリアを用いた。又、トナーとキャリアを重量比6:94で混合したものを現像剤として用いた。そして、感光ドラム1上で現像に供されたトナーの帯電量は、−25μC/gである。
【0056】
各画像形成部PY、PM、PC、PBkの各感光ドラム1に対向するように、転写手段としての中間転写ユニット9が設けられている。中間転写ユニット9では、中間転写体(第2の像担持体)としての無端状の中間転写ベルト91が、駆動ローラ94、テンションローラ95及び2次転写対向ローラ96に所定の張力を持って掛け渡されており、図中矢印の方向に移動する。
【0057】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、感光ドラム1と中間転写ベルト91との対向部である1次転写ニップ部(転写部)dへ進入する。転写部dでは、中間転写ベルト91の裏側に、1次転写手段としての1次転写ローラ92が所定の押圧力をもって圧接されている。1次転写ローラ92には、各画像形成部PY、PM、PC、PBkで独立に1次転写バイアス電圧を印加可能とするため、それぞれ電圧印加手段としての1次転写バイアス電源93が接続されている。中間転写ベルト91には、先ず、1色目(イエロー)の画像形成部PYで、上述の動作により感光ドラム1に形成されたイエローのトナー像を転写し、次いで同様の工程を経た各色に対応する感光ドラム1より、順次マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を各画像形成部PM、PC、PBkで多重転写する。
【0058】
本実施例においては、露光部(露光部電位Vl:−150V)に転移されたトナーに対する転写効率を考慮し、一次転写バイアス電圧として、1色目〜4色目まですべて+350Vの電圧を印加した。中間転写ベルト91上で形成された4色フルカラー画像は、次いで2次転写手段としての2次転写ローラ10により、転写材送給手段(図示せず)から供給され、所定のタイミングで搬送手段としての給紙ローラ13から送られてきた転写材Pに一括転写される。
【0059】
トナー像が転写された転写材Pは、次いで定着手段としてのローラ定着器12に搬送され、ここで熱、圧力によってトナー像が転写材Pに溶融定着される。その後、転写材Pは機外に排出されカラープリント画像が得られる。
【0060】
又、中間転写ベルト91上に残留する2次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーナ11が備えるクリーニング手段としてのクリーニングブレード11aによってクリーニングされ、次の作像工程に備える。
【0061】
中間転写ベルト91の材料としては、各色の画像形成部PY、PM、PC、PBkでのレジストレーションを良くするため、伸縮する材料は望ましくなく、樹脂系、或いは金属芯体入りのゴムベルト、樹脂及びゴムからなるベルトが望ましい。本実施例では、PI(ポリイミド)にカーボン分散し、体積抵抗率を108Ωcmオーダーに制御した樹脂ベルトを用いた。その厚さは80μm、長手方向320mm、全周は900mmである。
【0062】
又、一次転写ローラ92としては、導電性スポンジからなるものを用いた。その抵抗は106Ω以下、外径は16mm、長手長さは315mmとした。
【0063】
本実施例の画像形成装置100はクリーナレス方式を採用しており、通常設けられる、感光ドラム1を清掃するための廃トナー回収容器を備えるクリーニング装置は設けられていない。つまり、通常であればクリーニングブレードが配置されているところに、本実施例の画像形成装置100では、トナー帯電量制御手段6と残留トナー均一化手段7とが設けられており、それぞれ感光ドラム1に当接されている。
【0064】
本実施例では、トナー帯電量制御手段6、残留トナー均一化手段7は、両者とも導電性の繊維からなるブラシ部材を用いた。より具体的には、トナー帯電量制御手段(第2ブラシ)6は、横長の電極板62にブラシ部61を具備させたものである。又、残留トナー均一化手段(第1ブラシ)7についても同様に、電極板72にブラシ部71を具備させてなる。そして、ブラシ部61、71を感光ドラム1面に当接させ、感光ドラム1の長手方向(表面移動方向に略直交する方向)に対して略平行に、固定支持して配設している。
【0065】
トナー帯電量制御手段6、残留トナー均一化手段7のブラシ部61、71は、レーヨン、アクリル、ポリエステルなどの繊維にカーボンや金属粉を含ませて抵抗値を制御したものである。ブラシ部61、71は、感光ドラム1の表面及び転写残トナーに均一に接触できるように、太さとしては30デニール以下、密度としては1〜50万本/inch2以上が好ましい。本実施例では、ブラシ部61、71は共に、6デニール、10万本/inch2、毛足の長さ5mmで、ブラシの体積抵抗率は6×103Ω・cmとした。そして、トナー帯電量制御手段6、残留トナー均一化手段7を、ブラシ部61、71が感光ドラム1面に対して侵入量1mmとなるように当接させ、感光ドラム1との当接ニップ部幅は5mmとした。
【0066】
これら2つのブラシ部材によって、帯電ローラ2への大量の転写残トナーの突入、転写残トナー中の反転極性トナーや充分に正規極性(本実施例では、負極性)に帯電されていないトナーの突入を防止し、帯電ローラ2の汚れの発生を防いでいる。
【0067】
2つのブラシ(残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6)の通常の画像形成時における具体的な作用を、以下、更に詳しく説明する。
【0068】
転写部dよりも感光ドラム1の回転方向下流側且つ帯電部aよりも上流側に位置して、感光ドラム1の回転方向上流から順に、残留トナー均一化手段(第1ブラシ)7、トナー帯電量制御手段(第2ブラシ)6が配置され、それぞれ残留トナー均一化手段7と感光ドラム1との接触部e、トナー帯電量制御手段6と感光ドラム1との接触部fを形成している。これらによって、感光ドラム1上の転写残トナーを均一化し、転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えることができる。
【0069】
残留トナー均一化手段7には、トナーの正規極性とは逆極性である、正極性の直流電圧(ポジバイアス)が、電圧印加手段としての電源22より印加されている。ここでは、+300Vを印加している。様々の極性である転写残トナーの中の、ゼロ若しくは負極性に帯電されているトナーは、一旦、この残留トナー均一化手段7に吸引される。
【0070】
ここで、残留トナー均一化手段7が抱え得るトナー量には限界があるため、飽和状態に達した後は徐々にトナーが離脱して、感光ドラム1面に付着して搬送される。その時点で、トナーの極性は正になる。又、感光ドラム1上のトナーの分布は均一化され、一度に大量のトナーが下流に流れ込まないようになっている。更に、転写工程後の感光ドラム1上の電位を0V付近にし、トナー帯電量制御手段6に印加する電圧との電位差をつけることで、トナー帯電量制御手段6により、トナーに対して充分に電荷付与を行なえるようにする役目も果たしている。
【0071】
トナー帯電量制御手段6には、トナーの正規極性と同極性である、負極性の直流電圧が、電圧印加手段としての電源21より印加されている。本実施例では、−800Vを印加した。トナー帯電量制御手段6を通過する感光ドラム1上の転写残トナーは、その帯電極性が正規極性である負極性に揃えられる。残留トナー均一化手段7で、トナーは正極性に揃えられており、又感光ドラム1上の電位も0V付近になっているため、トナー帯電量制御手段6でより効果的に負極性に揃えることができる。
【0072】
こうして、トナー帯電量制御手段6で転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えることにより、更に感光ドラム1の回転方向下流に位置する帯電部aで、転写残トナーの上から感光ドラム1面を帯電処理する際に、転写残トナーの感光ドラム1への鏡映力が大きくなり、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止することができる。
【0073】
そして、帯電ローラ2に付着せずに帯電部aを通過した転写残トナーは、現像器4において「現像同時クリーニング」され、回収される。
【0074】
このような方法で、感光ドラム1上の転写残トナーを現像器4に回収するためには、現像器4にて回収する際に転写残トナーが適正な帯電量であることが必要である。しかし、上述したように帯電ローラ2へのトナー付着を防止するために、トナー帯電量制御手段6によって負極性に大きく帯電された転写残トナーを、現像器4において回収させるためには、除電を行なう必要がある。
【0075】
本実施例では、トナー帯電量制御手段6によって負極性に大きく帯電された転写残トナーは、帯電ローラ2に印加された交流電圧(周波数1150Hz、Vpp1400V)により交流除電され、帯電部aを通過後のトナー帯電量は、現像に供されたトナーの帯電量とほぼ同じとなる。
【0076】
そして、現像されるべきではない感光ドラム1上の未露光部(非画像部)に付着した転写残トナーは、完全に負極性に揃い、又帯電ローラ2により適度に除電され、更に感光ドラム1との鏡映力を減じることができていることから、現像工程において、感光ドラム1の電位(非画像部電位:−500V)と現像バイアスのDC成分(−350V)との関係(かぶり取り電位差Vback)で確実に現像器4内に回収される。
【0077】
上述のように、本実施例においては、現像器4の現像スリーブ41は現像部cにおいて感光ドラム1面の進行方向とは逆方向に回転され、その上に担持した現像剤層で感光ドラム1を摺擦している(接触2成分カウンター現像方式)。これは感光ドラム1上の転写残トナーの回収に有利となる。
【0078】
画像形成装置100が備える電源20、21、22などの電圧印加手段は、画像形成装置本体が有する、装置動作を統括制御する制御手段としての制御回路130によって制御される。
【0079】
尚、本実施例では、感光ドラム1、帯電ローラ2、帯電ローラクリーニング部材2f、現像器4、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6などは、帯電ユニット枠体111、現像枠体112によって一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ8を構成する。プロセスカートリッジ8は、画像形成装置本体に設けられた装着手段110aを介して取り外し可能に装着される。又、プロセスカートリッジ8が画像形成装置本体に装着された状態で、画像形成装置本体に設けられた駆動手段(図示せず)とプロセスカートリッジ8側の駆動伝達手段が接続され、感光ドラム1、現像器4、帯電ローラ2などが駆動可能な状態となる。更に、プロセスカートリッジ8が画像形成装置本体に装着された状態で、帯電ローラ2、トナー帯電量制御手段6、残留トナー均一化手段7にバイアスを印加する電源20、21、22、現像スリーブ41にバイアスを印加する電源(図示せず)などの各種電圧印加手段は、プロセスカートリッジ8側及び画像形成装置本体側にそれぞれ設けられた接点を介して対象と電気的に接続される。一方、トナー補給ユニット5は、現像器4及び画像形成装置本体に対して装着手段110bを介して着脱可能に装着される。
【0080】
さて、近年のユーザニーズの多様化に伴い、写真画像などといった高印字率な画像の連続画像形成動作によって大量の転写残トナーが発生し、残留トナー均一化手段7及びトナー帯電量制御手段6に蓄積するトナー量が増える傾向にある。このような状態において引き続き画像形成動作を繰り返すと、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6の機能低下、帯電力不足が起こり、帯電ローラ2のトナー汚染、現像器4による転写残トナーの回収不良などの問題が発生してしまう。
【0081】
そこで、本実施例では、上記問題を回避すべく、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6に蓄積したトナーの吐き出し(排出)動作を行っている。斯かるトナー吐き出し動作は、本実施例では、画像形成装置本体の電源ON時の初期動作時、出力画像形成動作終了時に行う。但し、斯かるトナー吐き出し動作は、上記タイミングに限定されるものではなく、画像形成時(記録材に記録して出力する画像の形成動作時)以外の所定のタイミングで行うことができる。又、例えば、多量の転写残トナーが発生したと考えられる高印字比率の画像を連続して形成した場合などに、画像形成装置を統括制御する制御手段130が、画像情報信号、装置本体動作状況に応じて判断して電源21、22などを制御することによって、一連の画像形成動作に割り込ませて、或いはそのような一連の画像形成動作の終了後に、トナーの吐き出し動作を行わせることができる。
【0082】
より具体的には、本実施例では、通常の画像形成時とは逆極性のDCバイアス、つまり残留トナー均一化手段7には直流電圧−300V、トナー帯電量制御手段6には直流電圧+300Vを印加し、50msecの間隔でON/OFFを10回繰り返した。このようにパルス状に電圧を変化させることで、短時間でブラシ部61、71に蓄積したトナーを吐き出させ得ることを確認した。これによって、高印字比率パターンを連続画像形成しても残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6の機能・帯電力を保つことが可能である。
【0083】
しかしながら、トナー吐き出し動作時に、帯電ローラ2へ通常画像形成時と同様の帯電バイアス電圧を印加していると、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6から吐き出されたトナーによって帯電ローラ2が汚染され、帯電ムラ・帯電不良を引き起こし、トナー吐き出し動作後の次の画像上に画像不良が発生することが分かった。
【0084】
そこで、本発明者らは、以下のような条件でトナー吐き出し動作を行った。表1は、本実施例における印加バイアス条件を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
(1)残留トナー均一化手段からのトナーの吐き出し:
最初に、図3に示すように、残留トナー均一化手段7からのトナーの吐き出し動作を行なう。残留トナー均一化手段7には、上述のように、通常の画像形成時とは逆極性の直流電圧−300Vを印加し、50msecの間隔でON/OFFを10回繰り返す。このとき、トナー帯電量制御手段6には、通常の画像形成時の−800Vの直流電圧を印加しておく。
【0087】
残留トナー均一化手段7から吐き出されるトナーは、正規極性(本実施例では、負極性)ではあるが、充分に帯電されていないために、帯電ローラ2に付着するものもある。そこで、このようなトナーを帯電ローラ2に付着させないために、トナー帯電量制御手段6において更に正規極性に強く帯電させる。
【0088】
しかし、残留トナー均一化手段7から吐き出されるトナー量は、通常の転写残トナーの量と比較すると多いため、トナー帯電量制御手段7での正規極性への帯電が表面のみに行われ、下層の感光ドラム1の表面にあるトナーに対して帯電が充分に行われないことがある。
【0089】
このような十分に正規極性に帯電されていないトナーの、帯電ローラ2への付着を防止するために、帯電ローラ2に印加する電圧は、通常の画像形成時に印加する交流成分(AC電圧)はOFFし、直流成分(Vdc1)のみにする。AC電圧をOFFすることで、帯電部aでの除電効果がなくなり、帯電ローラ2への付着が激減する。又、直流電圧Vdc1は、残留トナー均一化手段7からのトナー吐き出し動作の開始時に残留トナー均一化手段7に対向しており、残留トナー均一化手段7からトナーが吐き出され、トナー帯電量制御手段6で帯電された後に帯電部aに突入する感光ドラム1の部位(第1位置)の電位(Vd1)に対して、次式、
Vdc1≦Vd1
の関係を満たす値とする。
【0090】
ここでは、Vd1=−350V程度であり、Vdc1=−550Vである。こうすることで、正規極性のトナーは静電的に感光ドラム1上に保持され、帯電ローラ2へは付着し難い。尚、本実施例の画像形成装置100の構成では、実験により、電位差として凡そ300Vあれば、感光ドラム1を帯電させることができ、即ち、感光ドラム1に対する放電或いは電荷注入による帯電開始電圧は凡そ300Vであった。
【0091】
(2)トナー帯電量制御手段からのトナー吐き出し:
次に、図4に示すように、トナー帯電量制御手段6からのトナーの吐き出し動作を行なう。トナー帯電量制御手段6には、上述のように、通常の画像形成時とは逆極性の直流電圧+300Vを印加し、50msecの間隔でON/OFFを10回繰り返す。このとき、残留トナー均一化手段7には、通常の画像形成時の+300Vの直流電圧を印加しておく。トナー帯電量制御手段6から吐き出されるトナーは、基本的に正規極性とは逆極性(本実施例では、正極性)に帯電したトナーである。そのため、帯電ローラ2に印加する電圧は、直流成分(Vdc2)のみとする。そして、直流電圧Vdc2は、トナー帯電量制御手段6からのトナー吐き出し動作の開始時にトナー帯電量制御手段6に対向しており、トナー帯電量制御手段6からトナーが吐き出された後に帯電部aに突入する感光ドラム1の部位(第2位置)の電位(Vd2)に対して、次式、
Vdc2≧Vd2
の関係を満たす値とする。
【0092】
ここでは、Vd2=0V程度であるため、Vdc2=+200Vにした。これによって、逆極性である吐き出しトナーを、帯電ローラ2に付着させずに帯電部aを通過させることができる。
【0093】
以上のようにして、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6から吐き出されたトナーは、基本的に、接触2成分カウンター現像方式を用いた現像器4において、静電的及び物理的摺擦によって大部分が回収される。しかし、正規極性であっても帯電量の少ないトナーや、逆極性のトナーに関しては、完全に現像器4によって回収が行なわれないことがある。
【0094】
しかし、このように現像器4によって回収されなかったトナーは、転写部(転写ニップ)dにおいて圧接転写されることで、感光ドラム1上から中間転写ベルト91上へ転移し、中間転写ベルトクリーナ11で中間転写ベルト91上から除去される。
【0095】
トナー帯電量制御手段6からのトナー吐き出し動作時には、1次転写ローラ92に、画像形成時に印加する正規極性と同極性(本実施例では、負極性)の転写バイアス電圧を印加することにより、正規極性とは逆極性である正極性のトナーを中間転写ベルト91に転写し易くなり、更に効果的である。
【0096】
本実施例の条件でトナー吐き出し動作を行なうことで、吐き出しトナーによる帯電ローラ2の汚染を防止でき、カブリなどの帯電不良による不良画像の発生は大幅に抑制されるが確認された。これにより、常に良好な画像形成を行なうことが可能であった。
【0097】
以上、本実施例によれば、残留トナー均一化手段7若しくはトナー帯電量制御手段6から排出されたトナーのいずれが感光ドラム1の回転により帯電ローラ2との対向位置に到達するかで、帯電ローラ2に印加する電圧を変化させる。即ち、上述のように残留トナー均一化手段7又はトナー帯電量制御手段6に蓄積したトナーを吐き出す際に、残留トナー均一化手段7又はトナー帯電量制御手段6からのトナーの吐き出し動作を受けた感光ドラム1の表面が帯電ローラ2との対向部に突入する前に、吐き出された現像剤の極性に応じて感光ドラム1と帯電ローラ2との間に電位差を設けるように帯電ローラ2に電圧を印加する。これにより、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6から吐き出したトナーが付着することによる帯電ローラ2の汚れを防止することができる。このように、帯電ローラ2に印加する電圧を最適化することで、吐き出し動作後の画像において帯電ローラ2の汚れによる画像不良の発生を防止することが可能であり、常時、高画質画像を安定して提供することができる。
【0098】
尚、上記実施例では、各画像形成部PY、PM、PC、PBkからトナーが転写される転写体(被転写体)は、中間転写体であるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者には周知の通り、記録用紙などの転写材担持体を担持して、複数の画像形成部に順次搬送する転写材担持体を有し、この転写材担持体上の転写材上に各画像形成部から順次トナー像を重ねて転写して、その後定着してカラー画像を得る画像形成装置がある。本発明はこのような画像形成装置にも等しく適用し得るものである。この場合、上記中間転写体の場合と同様、吐き出されたトナーは、現像器4で回収する他、各画像形成部から転写体として転写材担持体上に転写して、これを転写剤担持体上の現像剤を回収するクリーニングブレードなどのクリーニング手段によって除去するようにすることができる。
【0099】
又、上記実施例においては、吐き出し動作の際、残留トナー均一化手段7、トナー帯電量制御手段6に印加するバイアスは、通常の画像形成時とは逆極性の直流電圧をON/OFFするとした。これにより効果的にトナー吐き出しを行い得るが、別法として、通常の画像形成時と同極性の電圧でON/OFFを行ったり、或いは画像形成時とは逆極性の直流電圧を印加することでもトナーを吐き出すことが可能である。
【0100】
又、上記実施例では、残留トナー均一化手段7及びトナー帯電量制御手段6は固定のブラシ状部材であるが、ブラシ回転体、弾性ローラ体、シート状部材など任意の形態の部材にすることができる。
【0101】
又、像担持体は表面の体積抵抗率が109〜1014Ω・cmの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果が得られる。又、表層の体積抵抗率が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体であってもよい。
【0102】
又、可撓性の接触帯電部材は、帯電ローラの他に、ファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。又、各種材質のものの組み合わせでより適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることもできる。
【0103】
又、接触帯電部材や現像部材に印加する振動電界の交番電圧成分(AC成分、周期的に電圧値が変化する電圧)の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。
【0104】
更に、像担持体としての感光体の帯電面に対する情報書き込み手段としての像露光手段は実施例のレーザ走査手段以外にも、例えば、LEDのような固体発光素子アレイを用いたデジタル露光手段であってもよい。ハロゲンランプや蛍光灯等を原稿照明光源とするアナログ的な画像露光手段であってもよい。要するに、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであればよい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、残留現像剤均一化手段、現像剤帯電量制御手段に蓄積した現像剤の排出を、帯電部材への現像剤付着を防止しつつ行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略断面図である。
【図2】図1の画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの概略断面図である。
【図3】本発明に従った残留トナー均一化手段からのトナー吐き出し動作を説明するための模式図である。
【図4】本発明に従ったトナー帯電量制御手段からのトナー吐き出し動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ(帯電手段)
3 レーザビームスキャナ(露光手段)
4 現像器(現像手段)
5 現像剤補給容器
6 トナー帯電量制御手段(現像剤帯電量制御手段)
7 残留トナー均一化手段(残留現像剤均一化手段)
8 プロセスカートリッジ
9 中間転写ユニット
10 二次転写ローラ(2次転写手段)
11 中間転写ベルトクリーナ
20、21、22 電源(電圧印加手段)
91 中間転写ベルト(中間転写体)
92 1次転写ローラ(1次転写手段)
Claims (6)
- 像担持体と、前記像担持体に接触して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像手段と、前記像担持体表面の移動方向において前記帯電手段より上流に位置する第1の当接部材及び第2の当接部材と、を備え、前記第1の当接部材は前記像担持体表面の移動方向において前記第2の当接部材より上流に位置し、画像形成時に、前記第1の当接部材には現像剤の正規極性と逆極性の電圧が印加され、前記第2の当接部材には現像剤の正規極性と同極性の電圧が印加される画像形成装置であって、
前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材に蓄積した現像剤を排出する際に、前記第1の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときに、前記帯電手段に印加される電圧は、前記像担持体の電位と同じか又は前記像担持体の電位より前記現像剤の正規極性と同極性側に大きくし、前記第2の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときに、前記帯電手段に印加される電圧は、前記像担持体の電位と同じか又は前記像担持体の電位より前記現像剤の正規極性とは逆極性側に大きくすることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の当接部材から現像剤を排出する際に、前記第2の当接部材は画像形成時と同極性の直流電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 画像形成時には、前記帯電手段に振動電界が印加され、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤が、前記像担持体表面の移動に伴い前記帯電手段との対向位置に到達するときには、前記帯電手段に振動電圧が印加されないことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材は、前記像担持体に接触する導電性繊維ブラシ部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体に現像剤像を形成する現像手段を備え、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤は前記現像手段により回収されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体と、前記帯電手段と、前記第1の当接部材と、前記第2の当接部材と、を備える画像形成部を複数有し、各画像形成部に対向して移動する転写体上に、各画像形成部の前記像担持体から現像剤を転写可能であり、前記第1の当接部材又は前記第2の当接部材から排出された現像剤は、前記転写体に転写されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
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