JP4207528B2 - 選択結合性物質の結合方法 - Google Patents
選択結合性物質の結合方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4207528B2 JP4207528B2 JP2002309434A JP2002309434A JP4207528B2 JP 4207528 B2 JP4207528 B2 JP 4207528B2 JP 2002309434 A JP2002309434 A JP 2002309434A JP 2002309434 A JP2002309434 A JP 2002309434A JP 4207528 B2 JP4207528 B2 JP 4207528B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- selective binding
- binding substance
- test sample
- sample solution
- substance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検物質と選択的に結合する物質(本明細書において「選択結合性物質」)を選択的に結合させる方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種生物の遺伝情報解析の研究が始められており、ヒト遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子とその塩基配列、また遺伝子配列にコードされる蛋白質およびこれら蛋白質から二次的に作られる糖鎖に関する情報が急速に明らかにされつつある。配列の明らかにされた遺伝子、蛋白質、糖鎖などの高分子体の機能については、各種の方法で調べることができる。主なものとしては、核酸についてはノーザンハイブリダイゼーション、あるいはサザンハイブリダイゼーションのような、各種の核酸/核酸間の相補性を利用して各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。蛋白質については、ウエスタンハイブリダイゼーションに代表されるような、蛋白質/蛋白質間の反応を利用し蛋白質の機能および発現について調べることができる。
【0003】
近年、多数の遺伝子発現を一度に解析する手法としてDNAマイクロアレイ法(DNAチップ法)と呼ばれる新しい分析法、ないし方法論が開発され、注目を集めている。これらの方法は、いずれも核酸/核酸間ハイブリダイゼーション反応に基づく核酸検出・定量法である点で原理的には従来の方法と同じであり、蛋白質/蛋白質間あるいは糖鎖/糖鎖間や糖鎖/蛋白質間のハイブリダイゼーションに基づく蛋白質や糖鎖検出・定量にも応用が可能ではある。これらの技術は、マイクロアレイ又はチップと呼ばれる平面基板片上に、多数のDNA断片や蛋白質、糖鎖が高密度に整列固定化されたものが用いられている点に大きな特徴がある。マイクロアレイ法の具体的使用法としては、例えば、研究対象細胞の発現遺伝子等を蛍光色素等で標識したサンプルを平面基板片上でハイブリダイゼーションさせ、互いに相補的な核酸(DNAあるいはRNA)同士を結合させ、その箇所を蛍光色素等でラベル後、高解像度解析装置で高速に読みとる方法や、電気化学反応にもとづく電流値等の応答を検出する方法が挙げられる。こうして、サンプル中に含まれる遺伝子の種類を迅速に推定できる。
【0004】
一方、核酸/核酸間ハイブリダイゼーションに使用される核酸溶液は高価であるため、できるだけ核酸の量を少なくしてハイブリダイゼーション反応を行わせることが望ましく、その為に核酸溶液の核酸濃度を低くする事が考えられるが、低濃度の核酸溶液とのハイブリダイゼーションにおいても効率を良くする為の方法として、前記マイクロアレイの基板上に導電体層を有する標本核酸固定部位を配設し、該標本核酸固定部位にプラス電位を印加して電場をつくり、前記核酸溶液中の検体核酸を前記標本核酸固定部位近傍に引き寄せ、標本核酸固定部位近傍の核酸濃度を局所的に高め、ハイブリダイゼーション効率を上げる試みもなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
蛋白質や糖鎖を用いたマイクロアレイについても、これら核酸を用いたマイクロアレイ同様の効果が期待される。
【0006】
しかしながら、前記導電体層を用いた方法では検体核酸および標本核酸固定部位に固定された標本核酸が標本核酸固定部位に電気的に吸着されてしまうため、核酸の移動が制限され、ハイブリダイゼーションは検体核酸が標本核酸固定部位に引き寄せられる期間に起こる核酸間の衝突で飽和し、ハイブリダイゼーション時間を長くしても未反応の核酸が多数残り、ハイブリダイゼーション反応に少量の検体核酸を有効に利用することに限界がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−154656号公報 (第4頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、高価な核酸、蛋白、糖鎖、抗体、抗原などの高分子体試料を少量でかつ有効に利用できるハイブリダイゼーションの方法を確立することは、今後重要性を増すと考えられる高分子体解析に強く求められるものであり、これが本発明が解決しようとする課題である。
【0009】
具体的には、従来用いられている平面基板片上に、多数のDNA断片や蛋白質、糖鎖などの選択結合性物質が高密度に整列固定化されたマイクロアレイ、あるいは前記選択結合性物質が多孔質中空繊維内部に固定化された該多孔質中空繊維を結束固定し、配列体の繊維軸と交差する方向に切断して薄片とし、前記選択結合性物質体を繊維内部に固定した二次元高密度繊維配列体としたマイクロアレイ、あるいは繊維表面に前記選択結合性物質が高密度に整列固定化され、該繊維を三次元構造体として配列したマイクロアレイなどにおいては、ハイブリダイゼーション反応を選択結合性物質の自然拡散に依存しており、少量の選択結合性物質を含む溶液を用いて効率よくハイブリダイゼーション反応を起こさせ、高価な選択結合性物質を有効に利用することが困難であり、この非効率性を解消すべく発明された電気的吸引による択結合性物質のハイブリダイゼーション反応の効率化方法においても効率化は十分ではなかった。
【0010】
そこで、本発明は以上説明したような従来の欠点を解消し、少量の選択結合性物質を有効に利用して選択的に結合反応を行わせる方法、および選択結合性物質の結合反応装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の如き課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、選択結合性物質の結合反応期間中、対応選択結合性物質をマイクロアレイ基板、あるいは繊維上に固定した前記選択結合性物質近傍で常時移動させ、前記選択結合性物質と前記対応選択結合性物質の衝突確率を高めることにより選択結合性物質の結合反応の効率を高め得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、基材上の選択結合性物質配列領域に複数配列した選択結合性物質固定化部位において、前記選択結合性物質と選択的に結合する対応選択結合性物質を含む被検試料溶液を作用させ、前記選択結合性物質と前記対応選択結合性物質を選択的に結合させる工程において、前記選択結合性物質配列領域が凹凸面からなり、前記選択結合性物質固定化部位が凹凸面の凸部の端面であり、前記基板上の選択結合性物質配列領域と対向する位置に配置した封止板との間に充填された被検試料溶液を、前記選択結合性物質固定化部位に対して相対的に移動させる工程を有し、該移動させる工程が、前記選択結合性物質固定化部位の垂直軸に交差する方向で、且つ前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に被検試料溶液吸入/吐出口を配置し、該被検試料溶液吸入/吐出口に結合したポンプの吸入/排出により、前記被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入/吐出することにより、前記選択結合性物質を移動させる工程である、選択結合性物質の結合方法およびそれを用いた選択結合性物質の結合反応装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の選択結合性物質の結合方法は、選択結合性物質の結合反応期間中、対応選択結合性物質を固定した選択結合性物質近傍で常時移動させ、選択結合性物質と対応選択結合性物質の衝突確率を高めることで効率よく選択結合性物質の結合反応を行うものであり、凹凸部を有する基材を用いて前記選択結合性物質固定化部位の垂直軸に交差する方向で、且つ前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に被検試料溶液吸入/吐出口を配置し、該被検試料溶液吸入/吐出口に結合したポンプの吸入/排出により、前記被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入/吐出することにより、前記選択結合性物質を移動させる。
【0015】
また、本発明の選択結合性物質の結合反応装置は上記方法を遂行するための装置であり、基材を設置する基台と、凹凸部を有する基材を用いて、前記選択結合性物質固定化部位の垂直軸に交差する方向で、且つ前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に配置した被検試料溶液吸入/吐出口と、該被検試料溶液吸入/吐出口に結合した被検試料溶液吸入/吐出ポンプを有するものである。
【0024】
本発明の被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入、吐出することにより前記対応選択結合性物質を移動させる方法または装置において、被検試料溶液吸入/吐出口は前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に配置され、被検試料溶液を吸入/吐出する際に前記選択結合性物質配列領域の全面にむらなく均一に前記被検試料溶液が流動するように吸入/吐出口の向き、形状を決めている。吸入/吐出による該被検試料溶液の流動方向については、一定方向であっても往復運動であってもよい。
【0025】
また、前記被検試料が吸入/吐出口および前記ポンプに出入りする際に、該吸入/吐出口、ポンプ、およびそれらを接続する管の内壁に吸着するのを防ぐために、その内壁表面は親水性ポリマー等でコーティングされていることが望ましい。
親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸などが挙げられる。
【0036】
次に、本発明の被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入、吐出することにより前記対応選択結合性物質を移動させる方法の1形態について説明する。なお本発明はこの例に限定されるものではない。図1において選択結合性物質配列基材1と、スペーサ25と、カバー基材26と、ポンプ21と、吸入口20と、排出口19とを備える。選択結合性物質配列基材1上に設けられた選択結合性物質固定部位4上に選択結合性物質が固定され、該選択結合性物質がアレイ状に配列された選択結合性物質配列領域8を形成する。基台9の上に裁置された選択結合性物質配列基材1上には選択結合性物質配列領域8の両側にスペーサ25が配設され、該スペーサ25の上にカバー基材26を架設する。前記スペーサ25を介して選択結合性物質配列基材1とカバー基材26に挟まれた空間には前記対応選択結合性物質を含む被検試料溶液7が満たされる。
【0037】
ここで、選択結合性物質配列領域8が平面からなる前記選択結合性物質配列基材の場合、前記選択結合性物質配列領域8に選択結合性物質10が配列される形態は2次元平面の格子点上に配列されることが望ましいが、2次元平面の格子点からずれた位置、直線状、あるいは選択結合性物質固定部位4の位置が選択結合性物質配列基材1の表面に垂直な方向にそれぞれ段差を持つことにより、3次元的な配列形態であっても構わない。
【0038】
また、選択結合性物質配列領域8が凹凸面からなる前記選択結合性物質配列基材の場合、前記選択結合性物質配列領域8に選択結合性物質10が配列される形態は、該選択結合性物質固定化部位が該凹凸面の凸部の端面であり、複数配列された凹部の底面の高さは略等しく、また、複数配列された凸部の端面の高さは略等しい、それぞれ2次元平面の格子点上に配列されることが望ましいが、2次元平面の格子点からずれた位置、直線状、であっても構わない。
【0039】
前記選択結合性物質固定化部位が、凸部端面である前記選択結合性物質配列基材の場合、前記選択結合性物質固定化部位の凸部の端面の高さは、基板面と略同等であり、凸部のまわりが凹んだ形状であり、凸部の端面から、そのまわりの凹んだ部位の底面までの高さが5μm以上500μm以下であることが望ましい。さらには、前記選択結合性物質固定化部位が、凸部端面である前記選択結合性物質配列基材のもう1つの形態として、前記選択結合性物質固定化部位の凸部の端面の高さは基板面に対して5μm以上500μm以下の高さであっても構わない。
【0040】
被検試料溶液7を満たした後、ポンプ21を用いて吸入口20から被検試料溶液7を吸入し、排出口19から被検試料溶液7を排出することにより、選択結合性物質配列基材1とカバー基材26に挟まれた空間に被検試料溶液7を循環させ、前記対応選択結合性物質11は前記選択結合性物質配列領域8を横切る方向に移動する。このように対応選択結合性物質11が前記選択結合性物質配列領域8を横切って移動する過程で選択結合性物質固定部位4上に固定された選択結合性物質10と対応選択結合性物質11が接触し、互いに相補的な配列を有している場合に選択結合性物質の結合反応が起こる。
【0041】
以上説明したように、本発明の被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入、吐出することにより前記対応選択結合性物質を移動させ、選択結合性物質の結合反応の効率化を図る方法では、選択結合性物質10と対応選択結合性物質11が選択結合性物質の結合反応の期間中、常時相対的に移動し、衝突、接触を繰り返す為、選択結合性物質の結合反応の効率が高まる。
【0042】
ここで、選択結合性物質固定部位としては、通常基板上に設けた平面上の位置、基板上に設けた凹凸面を用いるが、選択結合性物質配列基材1を貫通する孔に棒状の樹脂、ガラス、金属、繊維等を挿嵌し、該樹脂、ガラス、金属、繊維の先端を選択結合性物質固定部位として用いても同様の効果が期待できる。
【0043】
また、高価な被検試料溶液7の量を少なくする為には前記スペーサ25はできるだけ薄くする事が望ましく、前記選択結合性物質固定部位が凹部底面である場合、基板面に対して、スペーサの高さは2μmから200μmであればさらに望ましい。また、前記選択結合性物質固定部位が凸部端面である場合、凸部端面に対して、スペーサの高さは2μmから200μmであればさらに望ましい。このように非常に薄い前記スペーサは予め選択結合性物質配列基材上に一体形成されていることが望ましいが、選択結合性物質の結合反応準備段階で選択結合性物質配列基材1上にスペーサ25を装着する形態でも構わない。
【0044】
これと比較して、従来の被検試料溶液を静置させる方法では、選択結合性物質10と対応選択結合性物質11の間で相対的な動きが無い為、本発明と比べて選択結合性物質10と対応選択結合性物質11の動的な接触確率が低い。
【0045】
ここで、「選択結合性物質」とは、被検物質と直接的又は間接的に、選択的に結合し得る物質を意味し、代表的な例として、核酸、タンパク質、糖類及び他の抗原性化合物を挙げることができる。核酸は、DNAでもRNAでもよい。特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、該塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸と選択的にハイブリダイズして結合するので、本発明でいう「選択結合性物質」に該当する。また、タンパク質としては、抗体及びFabフラグメントやF(ab')2フラグメントのような、抗体の抗原結合性断片、並びに種々の抗原を挙げることができる。抗体やその抗原結合性断片は、対応する抗原と選択的に結合し、抗原は対応する抗体と選択的に結合するので、「選択結合性物質」に該当する。糖類としては、多糖類が好ましく、種々の抗原を挙げることができる。また、タンパク質や糖類以外の抗原性を有する物質を固定化することもできる。「選択結合性物質」として、特に好ましいものは、核酸、抗体及び抗原である。本発明に用いる選択結合性物質は、市販のものでもよく、また、生細胞などから得られたものでもよい。
【0046】
生細胞からのDNA又はRNAの調製は、公知の方法、例えばDNAの抽出については、Blinらの方法( Blin et al., Nucleic Acids Res. 3: 2303 (1976))等により、また、RNAの抽出については、Favaloroらの方法( Favaloro etal., Methods Enzymol.65: 718 (1980))等により行うことができる。固定化する核酸としては、更に、鎖状若しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、これらを制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA断片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化学合成したオリゴヌクレオチド等を用いることもできる。
【0047】
個々の選択結合性物質固定部位には、通常、1種類の選択結合性物質が固定されるが、例えば、変異を有する複数種類の遺伝子を同一の選択結合性物質固定部位に結合させたい場合等には、1個の選択結合性物質固定部位に複数種類の選択結合性物質を固定することも可能である。
【0048】
また、複数の選択結合性物質固定部位に固定される選択結合性物質は、それぞれ異なる種類の選択結合性物質としても、同一の選択結合性物質としても構わない。また、複数の選択結合性物質固定部位のうち、一部の複数の選択結合性物質固定部位に1種類の選択結合性物質を固定化し、他の一部の複数の選択結合性物質固定部位に他の1種類の選択結合性物質を固定化することができる。選択結合性物質の種類、順序は選択結合性物質配列領域の中の位置によって限定されるものでない。同一の選択結合性物質を複数の選択結合性物質固定部位に固定しておき、測定感度をより高くすることも有効である。
【0049】
選択結合性物質の選択結合性物質固定部位への固定は、公知の方法により行うことができる。無修飾の選択結合性物質を選択結合性物質固定部位に固定する場合には、選択結合性物質と選択結合性物質固定部位とを作用させた後、ベーキングや紫外線照射により固定できる。後述の実施例では、この方法によりDNAをポリメチルメタクリレート基材に固定している。また、アミノ基で修飾された選択結合性物質を選択結合性物質固定部位に固定する場合には、グルタルアルデヒドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等の架橋剤を用いて選択結合性物質固定部位の官能基と結合させることができる。選択結合性物質を含む試料を選択結合性物質固定部位に作用させる際の温度は、5℃〜95℃が好ましく、15℃〜65℃が更に好ましい。
【0050】
本発明では、選択結合性物質をそのまま選択結合性物質固定部位に固定してもよく、また、選択結合性物質に化学的修飾を施した誘導体や、必要に応じて変性させた核酸を固定化してもよい。核酸の化学的修飾には、アミノ化、ビオチン化、ディゴキシゲニン化等が知られており[Current Protocols In Molecular Biology, Ed.; Frederick M. Ausubel et al.(1990)、脱アイソトープ実験プロトコール(1)DIGハイブリダイゼーション(秀潤社)]、本発明ではこれらの修飾法を採用することができる。一例として、核酸へのアミノ基導入に関して説明する。アミノ基を有する脂肪族炭化水素鎖と一本鎖核酸との結合位置は特に限定されるものではなく、核酸の5'末端または3'末端のみならず核酸の鎖中(例えば、リン酸ジエステル結合部位または塩基部位)であってもよい。この一本鎖核酸誘導体は、特公平3-74239号公報、米国特許4,667,025号、米国特許4,789,737号等に記載の方法にしたがって調製することができる。この方法以外にも、例えば、市販のアミノ基導入用試薬[例えば、アミノリンクII(商標名);PEバイオシステムズジャパン社、Amino Modifiers(商標名);クロンテック社]などを用いて、又はDNAの5'末端のリン酸にアミノ基を有する脂肪族炭化水素鎖を導入する周知の方法(Nucleic Acids Res.,11(18),6513-(1983) )にしたがって調製することができる。
【0051】
上述の方法により得られた選択結合性物質配列基材は、選択結合性物質を選択結合性物質固定領域に固定した後、適当な処理をすることができる。例えば、熱処理、アルカリ処理、界面活性剤処理などを行うことにより、固定された選択結合性物質を変性させることもできる。あるいは、細胞、菌体などの生体材料から得られた選択結合性物質を使用する場合は、不要な細胞成分などを除去してもよい。そして、処理後の選択結合性物質配列基材を選択結合性物質の検出材料として用いることができる。なお、これらの処理は別々に実施してもよく、同時に実施してもよい。また、選択結合性物質を含む試料を選択結合性物質固定領域に固定する前に適宜実施してもよい。
【0052】
本発明の選択結合性物質をアレイ状に配列した選択結合性物質配列基材は、固定化された選択結合性物質をプローブとして被検物質と相互作用させることにより、検体中の特定の被検物質を検出することができる。2種類の被検試料に対して、下記に示す標識化(区別が付くように)を行い、その差異を比較することもできる。
【0053】
選択結合性物質と選択的に結合する、被検試料中の対応選択結合性物質の検出には、結合を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、検体中の対応選択結合性物質に、蛍光物質、発光物質、ラジオアイソトープなどの標識体を結合し、選択結合反応及び洗浄後、この標識体を検出することができる。これら標識体の種類や標識体の導入方法に関しては、免疫測定や核酸のハイブリタイゼーションの測定のために用いられる蛍光物質や発光物質は、この分野において周知であり、種々のものが市販されているので、これらの市販の蛍光物質や発光物質を用いることができる。
【0054】
また、選択結合性物質固定部位に固定された選択結合性物質と、被検試料中の対応選択結合性物質との結合反応後、若しくは結合反応と同時に、対応選択結合性物質と選択的に結合する、標識化された遊離の測定用物質を反応させ、洗浄後、対応選択結合性物質と選択結合性物質を介して選択結合性物質固定部位に結合された該測定用物質の標識を測定することによっても可能である。例えば、選択結合性物質として特定の塩基配列を有する核酸を選択結合性物質固定部位に固定し、対応選択結合性物質が該核酸と相補的な領域を含む核酸である場合に、対応選択結合性物質である該核酸中の、上記選択結合性物質と相補的な領域以外の領域と相補的な核酸を標識して測定用物質として用いることができる。また、選択結合性物質として抗原を選択結合性物質固定部位に固定し、対応選択性結合物質が該抗原と抗原抗体反応する抗体である場合に、該抗体と抗原抗体反応する第2抗体を標識したものを測定用物質として用いることができる。
【0056】
本発明の選択結合性物質の結合反応装置に適用する選択結合性物質配列基材を用いた測定方法に供せられる被検物質としては、測定すべき核酸、例えば、病原菌やウイルス等の遺伝子や、遺伝病の原因遺伝子等並びにその一部分、抗原性を有する各種生体成分、病原菌やウイルス等に対する抗体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの被検物質を含む検体としては、血液、血清、血漿、尿、便、髄液、唾液、各種組織液等の体液や、各種飲食物並びにそれらの希釈物等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、被検物質となる核酸は、血液や細胞から常法により抽出した核酸を標識してもよいし、該核酸を鋳型として、PCR等の核酸増幅法によって増幅したものであってもよい。後者の場合には、測定感度を大幅に向上させることが可能である。核酸増幅産物を被検物質とする場合には、蛍光物質等で標識したヌクレオシド三リン酸の存在下で増幅を行うことにより、増幅核酸を標識することが可能である。また、被検物質が抗原又は抗体の場合には、被検物質である抗原や抗体を常法により直接標識してもよいし、被検物質である抗原又は抗体を選択結合性物質と結合させた後、選択結合性物質を固定した選択結合性物質固定部位を洗浄し、該抗原又は抗体と抗原抗体反応する標識した抗体又は抗原を反応させ、被検物質である抗原又は抗体とハイブリダイズすることで選択結合性物質固定部位に結合した標識を測定することもできる。
【0057】
固定化物質と被検物質を相互作用させる工程は、従来と全く同様に行うことができる。反応温度及び時間は、ハイブリダイズさせる核酸の鎖長や、免疫反応に関与する抗原及び/又は抗体の種類等に応じて適宜選択されるが、核酸のハイブリダイゼーションの場合、通常、50℃〜70℃程度で1分間〜数時間、免疫反応の場合には、通常、室温〜40℃程度で1分間〜数時間程度である。
【0058】
上記方法により、固定化された選択結合性物質と選択的に結合する核酸や抗体、抗原等の被検物質を測定することができる。すなわち、選択結合性物質として核酸を固定化した場合には、この核酸又はその一部と相補的な配列を相補的な配列を有する核酸を測定することができる。また、選択結合性物質として抗体又は抗原を固定化した場合には、この抗体又は抗原と免疫反応する抗原又は抗体を測定することができる。なお、本明細書でいう「測定」には検出と定量の両者が包含される。
【0059】
本発明を用いることにより、各種生物における、遺伝子や蛋白質、糖鎖の発現を効率的、迅速かつ簡便に調べることができる。例えば、正常ヒト肝臓および肝炎ウイルス感染肝臓から抽出した核酸を標識後、本発明の選択結合性物質配列基材上に各種既知のヒト遺伝子を固定化した選択結合性物質固定部位のおのおのに選択結合性物質の結合反応を行う。正常肝臓核酸と肝炎肝臓核酸の配列体への結合の程度を比較することにより、肝炎肝臓での遺伝子発現の変化を調べることができる。
【0060】
同様に、蛋白質である各種モノクローナル抗体を結合させた繊維配列体に、標識した正常脳抽出蛋白質およびアルツハイマー脳抽出蛋白質を結合させ、結合した蛋白質を正常と比較することによりアルツハイマー脳における蛋白質の異常発現を調べることができる。
【0061】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例1
本実施例で用いるガラス基材上で核酸の固定およびハイブリダイゼーションが確実に行えることを確認する為に、生物試料に対して交叉反応をせず、熱的にも安定でハイブリダイゼーション時に加える熱で分解しないディゴキシゲニンを標識体として用いた実験を行った。
【0063】
アクチン遺伝子の核酸液(宝酒造株式会社製)(該核酸濃度10μg/ml)をアミノ基導入スライドガラス基材上に個々の固定部位のサイズが直径200μm程度となるようにスポッティングし、空気中で乾燥後、紫外線処理(ストラタジーン社製UVクロスリンカーを使用)を行い、核酸が固定化された基材を得た。用いた核酸配列の一部に相補的なオリゴヌクレオチドを合成し、ディゴキシゲニン(DIG: Digoxigenin、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)で標識した。
【0064】
末端アミノ化されたオリゴヌクレオチドをそれぞれ100 mMホウ酸緩衝液(pH8.5)に終濃度2 mMになるように溶かした。等量のジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-α-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル (26mg/mlジメチルホルムアミド溶液)を加え、室温にて一晩静置した。グリコーゲン(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)をキャリアーとしてエタノール沈殿を行い、沈殿を風乾後、100μmolの10 mM Tris-HCl (pH7.5),1 mM EDTAに溶かした。こうして得られたDIG標識オリゴヌクレオチドを試料核酸のモデルとして用いた。
【0065】
作製した核酸固定基材をハイブリダイゼーション装置の基台に裁置し、定法により(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社、製品マニュアルに準じて実施)ハイブリダイゼーションを行った。
【0066】
ハイブリダイゼーション終了後、核酸固定基材を洗浄後、抗DIG酵素標識抗体溶液を加え抗原抗体反応を行わせた。反応後、核酸固定基材を洗浄し未結合の抗体を除去した。DIG検出試薬を添加し、平衡化した。水分を切り、光シグナルの検出を行ったところ核酸の固定化に応じてシグナルが検出された。
【0067】
これにより、従来方法で本発明の選択結合性物質の結合反応装置が構造的、あるいは機能上の問題が無く、選択結合性物質の結合反応装置として確実に使用出来ることを確認した。
【0079】
実施例2
選択結合性物質配列基材の前処理選択結合性物質配列基材として、基材上の凹凸をサンドブラスト法、射出成形法、ホットエンボス法、切削加工によって形成した4種類の基材を使用した。また、本実施例では、選択結合性物質固定化部位が凸形状で、該選択結合性物質固定化部位のまわりが凹んでおり、凸形状の端面の高さが基板面と同等であり、該凸形状の端面からそのまわりの凹んだ部位の底面までの高さが100μmである基材を使用した。
【0080】
前記4種類の選択結合性物質配列基材を純水、エタノール、NaOHの混合溶液でクリーニングした後、純水で洗浄した。さらに、選択結合性物質固定化部位に純水、ポリ−L−リシンの混合溶液(組成:10% ポリ−L−リシン)を滴下し、選択結合性物質固定化部位の表面にアミノ基を導入した。
【0081】
核酸溶液2種類(宝酒造(株)製 「λControl Template & Primer Set−A」;製品番号TX803(約1000bpのλ DNA断片)、および、宝酒造(株)製 「Human TFR(1kb) Template & Primer Set」;製品番号TX806(約1000bpのヒトトランスフェリンレセプターDNA断片))を元に、それぞれの核酸をPCR法により増幅した。PCR法で用いたプライマーは、それぞれの製品に同梱されているものを用いた。これを精製し、精製した核酸溶液をえた。選択結合性物質配列基材のアミノ基を導入した選択結合性物質固定化部位に精製した2種類の核酸溶液をスポッティングし、空気中で乾燥後、UVクロスリンク(120mJ)を行い、2種類の核酸が核酸固定部位に固定された核酸固定基材を得た。次に、核酸と反応していない選択結合性物質配列基材表面の余分なアミノ基をブロックするため、ホウ酸、純水、pH調整用NaOH、無水コハク酸、1―メチル−2−ピロリドンを混合した溶液(無水コハク酸 3gを187ml 1―メチル−2−ピロリドンに溶解し、使用直前に17ml 1M Na−borate(pH8.0) 溶液を加えたもの)に核酸が固定された面を浸し、振とうした。その後、洗浄した。
【0082】
RNAの処理
RNA溶液(宝酒造(株)製 「λpolyA+RNA−A」;製品番号TX802)を用意した。これは上記核酸の1つ(TX803)と相補的な塩基配列を有している。これを、逆転写酵素「Super script II」(GIBCO BRL社製;製品番号18064−071)、2.5mM dATP、2.5mM dCTP、2.5mM dGTP、1.0mM dTTP、Cy5−dUTP(アマシャム・ファルマシア製;製品番号PA55022)と混合し、42℃で1時間インキュベートして逆転写し、Cy5色素が取り込まれたcDNA溶液を得た。
【0083】
同様にRNA溶液(宝酒造(株)製 「Human TFR RNA(1kb)」;製品番号TX805)を用意し、Cy5−dUTPをCy3−dUTP(アマシャム・ファルマシア製;製品番号PA53022)と変えた以外は、上記と同じ条件で逆転写し、Cy3色素が取り込まれたcDNA溶液を得た。このCy3色素の取り込まれたcDNAは上記核酸の1つ(TX806)と相補的な塩基配列を有している。
【0084】
上記の色素が取り込まれた2種類のcDNA溶液を混合、精製し、さらにバッファー(3.4×SSC、0.1% SDS)に溶解してハイブリタイゼーション溶液を得た。
【0087】
次に、前記被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入、吐出することにより、前記選択結合性物質を移動させる方法を用いて実施した。2種類の核酸が選択結合性物質固定化部位に固定された核酸固定基材を選択結合性物質の結合反応装置の基台上に固定し、核酸を固定した領域の両側に配置されたスペーサ上にカバー基材を架設し、ハイブリダイゼーション溶液が蒸発しないように密閉した。本実施例ではスペーサ厚さは0.15mmとし、スペーサ間隔は1cmとした。さらに前記ポンプを起動させ、流速0.5cm/secで、被検試料溶液を一定方向に流動させた状態で、65℃の条件に30分間静置した後、カバー基材を取り外し、洗浄した。
【0088】
被検試料溶液を流動させない従来法と比較する為に、前述の交流電圧を印加したサンプルと対応させるサンプルとして、導電電極間に電圧を印加しない状態で65℃の条件で16時間放置したサンプルを適用した。これを、65℃の条件で16時間放置した後、カバー基材、導電電極を取り外し、洗浄した。
【0089】
蛍光検出
Cy5からの蛍光を測定するために、光学系を以下のようにした。まず、蛍光の励起光としてはレーザー(波長635nm)を用いた。まず、バンドパスフィルター(オメガオプティカル製;製品番号X1069)を光軸と垂直に配置し、励起光以外の余計な光を取り除いた。さらに、レーザービームの光軸と45度の角度になるように、ダイクロイックミラー(オメガオプティカル製;製品番号XF2035)を配置し、この集光したビームをDNA溶液に浸した端面と反対の選択結合性物質配列基材端面に照射した。さらに、DNA溶液に浸した端面から戻ってきた蛍光を、励起光を照射する側の端面側で集光し、先に述べた、ダイクロイックミラー(オメガオプティカル製;製品番号XF2035)を通し、さらにバンドパスフィルター(オメガオプティカル製;製品番号XF3076)を通して、余分な励起光をカットした。
【0090】
Cy3からの蛍光は、ダイクロイックミラーとバンドパスフィルターをCy3用のものにし(それぞれオメガオプティカル製;製品番号XF1074、XF2017、XF3083)、照射するレーザーの波長を532nmとした以外は上記と同じ方法で検出した。
【0091】
このような方法で、上記のハイブリダイゼーション後の2種類核酸固定部位からの蛍光をCy5、Cy3のそれぞれについて測定した。TX803の核酸溶液をスポッティングした核酸固定部位からは、Cy5の蛍光のみが観察され、Cy3の蛍光は検出されなかった。TX806の核酸溶液をスポッティングした核酸固定部位からは、Cy3だけの蛍光が観察され、Cy5からの蛍光は検出されなかった。
【0094】
前記被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検資料溶液を吸入、吐出することにより、前記選択結合性物質を移動させる方法において、核酸固定基材から得られた蛍光強度は被検試料溶液を流動させない従来の方法に比べて同等であった。このように、ポンプを用いて被検試料溶液を流動させれば、わずか30分のハイブリダイゼーションの時間でも十分であることが分かった。
【0103】
参考例1
本発明の被検試料溶液、およびそれに含まれる対応選択結合性物質を前記選択結合性物質固定部位に対して相対的に移動させる方法について、本発明の実施の形態に記載した方法以外の方法で同様の実験を行った。被検試料溶液、およびそれに含まれる対応選択結合性物質の移動、ハイブリダイゼーション方法は、次の方法(1.加振法、2.磁性流体法)で行った。
【0104】
1.加振法:2種類の核酸を固定した部位に20μlの前記ハイブリダイゼーション溶液を滴下し、カバー基材を架設し、ハイブリダイゼーション溶液が蒸発しないように密閉した。この状態で、振幅1cm、1Hzの加振台に乗せ、65℃の条件でインキュベートした後、カバー基材、導電電極を取り外し、洗浄した。
【0105】
2.磁性流体混合法:2種類の核酸を固定した部位に、前記ハイブリダイゼーション溶液と少量の磁性流体を混合した溶液を20μlの滴下し、カバー基材を架設し、ハイブリダイゼーション溶液が蒸発しないように密閉した。さらに、前記選択結合性物質固定領域の両側下部に設置した電磁石により1Hzの交流磁界を作り、磁性流体を移動させることにより、ハイブリダイゼーション溶液を攪拌した。この状態で65℃の条件でインキュベートした後、カバー基材、スペーサを取り外し、洗浄した。
【0106】
ここでは、選択結合性物質固定基材の前処理、RNAの処理、および蛍光検出は、実施例2の方法と同様に行った。
【0107】
本実施例の蛍光検出結果、および実施例2の結果を表1にまとめる。尚、蛍光検出強度は、実施例2に記載した従来方法(65℃、16時間)で、ハイブリダイゼーションを行った結果を1とした。
【0108】
【表1】
【0109】
このように、加振法、磁性流体混合法とも、従来方法に対してはハイブリダイゼーション効率を向上させることができた。しかしながら、本発明の試料溶液流動法(請求項2に規定した方法)よりもハイブリダイゼーション効率は低い結果となった。
【0110】
【発明の効果】
本発明の選択結合性物質の結合方法、および選択結合性物質の結合反応装置を用いることにより、選択結合性物質の結合反応効率が向上し、短時間で選択結合性物質の結合反応を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水流を用いる選択結合性物質の結合反応装置の断面図および平面図
【符号の説明】
1 選択結合性物質配列基材
4 選択結合性物質固定部位
7 被検試料溶液
8 選択結合性物質配列領域
9 基台
19 排出口
20 吸入口
21 ポンプ
22 被検試料溶液吸入方向
23 被検試料溶液排出方向
24 被検試料溶液流動方向
25 スペーサ
26 カバー基材
Claims (3)
- 基材上の選択結合性物質配列領域に複数配列した選択結合性物質固定化部位において、前記選択結合性物質と選択的に結合する対応選択結合性物質を含む被検試料溶液を作用させ、前記選択結合性物質と前記対応選択結合性物質を選択的に結合させる工程において、前記選択結合性物質配列領域が凹凸面からなり、前記選択結合性物質固定化部位が凹凸面の凸部の端面であり、前記基板上の選択結合性物質配列領域と対向する位置に配置した封止板との間に充填された被検試料溶液を、前記選択結合性物質固定化部位に対して相対的に移動させる工程を有し、該移動させる工程が、前記選択結合性物質固定化部位の垂直軸に交差する方向で、且つ前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に被検試料溶液吸入/吐出口を配置し、該被検試料溶液吸入/吐出口に結合したポンプの吸入/排出により、前記被検試料溶液吸入/吐出口から前記被検試料溶液を吸入/吐出することにより、前記選択結合性物質を移動させる工程である、選択結合性物質の結合方法。
- 前記選択結合性物質が、核酸、タンパク質、糖類、抗体又は抗原性化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の選択結合性物質の結合方法。
- 基材上の選択結合性物質配列領域に複数配列した選択結合性物質固定化部位において、前記選択結合性物質と選択的に結合する対応選択結合性物質を含む被検試料溶液を作用させ、前記選択結合性物質と前記対応選択結合性物質を選択的に結合させる工程において、前記選択結合性物質配列領域が凹凸面からなり、前記選択結合性物質固定化部位が凹凸面の凸部の端面であり、前記基板上の選択結合性物質配列領域と対向する位置に配置した封止板との間に充填された被検試料溶液を、前記選択結合性物質固定化部位に対して相対的に移動させる手段を有し、該移動させる手段が、前記選択結合性物質固定化部位の垂直軸に交差する方向で、且つ前記選択結合性物質配列領域の両端より外側に配置した被検試料溶液吸入/吐出口と、該被検試料溶液吸入/吐出口に結合した被検試料溶液吸入/吐出ポンプである、前記結合反応を行わせる選択結合性物質の結合反応装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002309434A JP4207528B2 (ja) | 2001-10-24 | 2002-10-24 | 選択結合性物質の結合方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-326380 | 2001-10-24 | ||
JP2001326380 | 2001-10-24 | ||
JP2002309434A JP4207528B2 (ja) | 2001-10-24 | 2002-10-24 | 選択結合性物質の結合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003202343A JP2003202343A (ja) | 2003-07-18 |
JP4207528B2 true JP4207528B2 (ja) | 2009-01-14 |
Family
ID=27666450
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002309434A Expired - Fee Related JP4207528B2 (ja) | 2001-10-24 | 2002-10-24 | 選択結合性物質の結合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4207528B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004264068A (ja) * | 2003-02-28 | 2004-09-24 | Institute Of Tsukuba Liaison Co Ltd | バイオセンサーチップ |
JP4285119B2 (ja) * | 2003-07-07 | 2009-06-24 | ソニー株式会社 | 生化学反応装置、生化学反応用基板、ハイブリダイゼーション用基板の製造方法及びハイブリダイゼーション方法 |
JP4321854B2 (ja) * | 2003-10-02 | 2009-08-26 | ソニー株式会社 | ハイブリダイゼーションその他の相互作用検出部と該検出部を備えるdnaチップその他のバイオアッセイ用基板 |
JP4328168B2 (ja) * | 2003-10-02 | 2009-09-09 | ソニー株式会社 | 毛細管現象を利用する物質間の相互作用検出部と該検出部を用いる方法及びバイオアッセイ用基板 |
JP4453334B2 (ja) * | 2003-10-21 | 2010-04-21 | ソニー株式会社 | ハイブリダイゼーション装置及び方法 |
JP4604662B2 (ja) * | 2004-11-05 | 2011-01-05 | ソニー株式会社 | クロスコンタミネーションを防止できるバイオアッセイ用基板 |
JP5041680B2 (ja) | 2005-06-17 | 2012-10-03 | 株式会社ハイペップ研究所 | バイオチップ用基板及びバイオチップ |
JP4907983B2 (ja) * | 2005-12-26 | 2012-04-04 | 株式会社Kri | 生体関連物質検出装置 |
JP5092405B2 (ja) * | 2006-01-12 | 2012-12-05 | 東レ株式会社 | 選択結合性物質固定化担体 |
JP2008309549A (ja) * | 2007-06-13 | 2008-12-25 | Canon Inc | ハイブリダイゼーション反応を用いた生体試料の測定用基板および測定方法 |
-
2002
- 2002-10-24 JP JP2002309434A patent/JP4207528B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003202343A (ja) | 2003-07-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4420020B2 (ja) | 溶液を攪拌する方法 | |
KR101126845B1 (ko) | 선택 결합성 물질 고정화 담체 | |
WO2010087121A1 (ja) | 核酸分析デバイス、及び核酸分析装置 | |
WO2010081114A2 (en) | Oligonucleotide-coated affinity membranes and uses thereof | |
EP2410341A1 (en) | Analysis chip, analysis method and method for stirring solution | |
CA2456204A1 (en) | Methods for attaching nucleic acid molecules to electrically conductive surfaces | |
JP4122854B2 (ja) | 選択結合性物質のハイブリダイゼーション方法とハイブリダイゼーション装置および選択結合性物質固定用基材 | |
JP4207528B2 (ja) | 選択結合性物質の結合方法 | |
JP2000249706A (ja) | 新規の生物学的チップ及び分析方法 | |
JP4244788B2 (ja) | 選択結合性物質が固定化された基材 | |
JP4736439B2 (ja) | 核酸固定化担体 | |
JP5635130B2 (ja) | 単分子プローブ核酸付き微粒子及びその製造方法、並びに核酸分析方法 | |
US20100279278A1 (en) | Methods of detecting one or more bioterrorism target agents | |
JP2009085840A (ja) | 単一プローブ分子素子及び単一プローブ分子素子の製造方法 | |
JP2005502366A (ja) | 読み取り、検出、定量方法、前記方法で使用するハイブリッドまたは複合体およびそれを使用するバイオチップ | |
JP4797619B2 (ja) | 分析チップおよび被検物質の分析方法 | |
KR100848636B1 (ko) | 선택결합성 물질 고정화섬유, 그 섬유의 다발을 포함하는섬유배열체, 선택적 결합반응방법, 이를 위한 장치 및 기재 | |
CN1769491A (zh) | 假互补肽核酸探针生物芯片及其基于spr原理的检测方法 | |
JP3605039B2 (ja) | 核酸マイクロアレイ、その製造方法及びそれを用いた核酸検出方法 | |
JP2012023964A (ja) | 核酸分析用デバイス,核酸分析装置、及び核酸分析用デバイスの製造方法 | |
JP2011106897A (ja) | 分析チップおよび溶液の攪拌方法 | |
JP4877297B2 (ja) | 選択結合性物質が固定化された基材を用いた被験物質の検出方法 | |
JP2006201035A (ja) | 選択結合性物質固定化担体の製造方法 | |
JP2005283572A (ja) | 選択結合性物質固定化担体 | |
JP2005010004A (ja) | バイオチップ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050921 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070723 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070731 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070927 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080115 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080313 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080708 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080825 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080930 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081013 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |