JP4207486B2 - 内燃機関の診断方法及び診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の診断方法及び診断装置に関し、特に同機関のクランク軸及びカム軸の回転角度をそれぞれ検出するクランク角センサ及びカム角センサについてその異常を診断する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関では、機関出力軸であるクランク軸の回転角度、すなわちクランク角に対応して燃料の点火時期や噴射時期などが設定されている。そして、このクランク角は、実際には、クランク軸の回転角度を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号と、クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサから出力されるカム角信号(気筒判別信号)とに基づいて算出されている。従って、上記クランク角センサ及びカム角センサのいずれか一方に異常が生じても、正確なクランク角を算出することができなくなり、ひいては内燃機関の点火時期制御や噴射時期制御などにも支障をきたすようになる。
【0003】
そこで従来より、こうしたクランク角の誤検出を防ぐために、上記クランク角センサやカム角センサについてその異常の有無を診断する装置が種々提案されている。その一つとして、例えば特開平2−275044号公報に記載の装置では、カム角センサの出力パルスとクランク角センサの出力パルスとの対応をパターン化している。そして、このパターンを予め定められた基準パターンと比較することによって、カム角センサ及びクランク角センサのそれぞれについてその異常の有無を個別に診断するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の装置のように、カム角センサの出力パルスとクランク角センサの出力パルスとの対応をパターン化することで、それらセンサのいずれかに異常が生じたとしても、その異常がいずれのセンサに生じているかを特定することは確かにできる。ただし、これらセンサが配設される環境はいずれも、ノイズのよる影響が無視できず、それら出力パルスにパルス状のノイズが重畳されるようなことがあると、パターン自体の信頼性が大幅に低下するようになる。また、例えばカム角センサの接地線に断線が生じるようなことがあると、クランク角センサから出力される多数のパルス信号がノイズとしてカム角センサの出力パルスに重畳されるようになり、このような場合には、上記パターン比較による異常診断自体が困難なものとなる。
【0005】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、クランク角センサ及びカム角センサの異常診断をより容易かつ的確に行うことのできる内燃機関の診断方法及び診断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断方法において、前記内燃機関のクランキング時に前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度との比較に基づいて、少なくとも前記カム角センサの異常の有無を診断することをその要旨とする。
【0007】
同診断方法では、カム角センサの出力に基づいて求められる実際のクランキング時における機関回転速度と予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較することによって、少なくともカム角センサの異常の有無を診断するようにしている。ここで、クランキング時の機関回転速度は、ほぼ一定の回転速度となることが知られており、この回転速度は予め求めておくことができる。また、カム角センサの出力から機関回転速度を算出することも容易である。このため、実際の機関回転速度と予め求められている記機関回転速度、すなわち内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときにとりうる機関回転速度との比較も容易に行うことができ、実際のクランキング時における機関回転速度が予め求められている速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっていないときは、少なくともカム角センサに異常があると診断することができる。従って上記診断方法によれば、少なくともカム角センサの異常診断を容易かつ的確に行うことができるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の診断方法において、前記診断に先立って前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定し、それら出力の対応が異常と判定されるときに限って前記診断を実行することをその要旨とする。
【0009】
同診断方法によれば、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が正常と判定されるときには、請求項1に記載の上記診断は実行されない。従って、クランク角センサ及びカム角センサがいずれも正常であるときの診断負荷が軽減されるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の診断方法において、前記診断の実行に際し、前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まることの判断に基づいて前記クランク角センサが異常である旨を診断し、前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲から外れていることの判断に基づいて前記カム角センサが異常である旨を診断することをその要旨とする。
【0011】
同診断方法によれば、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が異常と判定された後に、カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まるか否かが判断される。そして、カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められている上記機関回転速度の範囲から外れている場合には、カム角センサに異常があると診断される。一方、カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められている上記機関回転速度の範囲に収まる場合には、カム角センサは正常であると診断される。すなわち、カム角センサが正常である場合には、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が異常と判定された判定結果は、クランク角センサの異常に起因していることが的確に診断される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断方法において、前記内燃機関のクランキング時に前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度との比較に基づいて、少なくとも前記クランク角センサの異常の有無を診断することをその要旨とする。
【0013】
同診断方法では、クランク角センサの出力に基づいて求められる実際のクランキング時における機関回転速度と予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較することによって、少なくともクランク角センサの異常の有無を診断するようにしている。ここで上述のように、クランキング時の機関回転速度は、ほぼ一定の回転速度となることが知られており、この回転速度は予め求めておくことができる。また、クランク角センサの出力から機関回転速度を算出することも容易である。このため、実際の機関回転速度と予め求められている記機関回転速度との比較も容易に行うことができ、実際のクランキング時における機関回転速度が予め求められている速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっていないときは、少なくともクランク角センサに異常があると診断することができる。従って上記診断方法によれば、少なくともクランク角センサの異常診断を容易かつ的確に行うことができるようになる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の診断方法において、前記診断に先立って前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定し、それら出力の対応が異常と判定されるときに限って前記診断を実行することをその要旨とする。
【0015】
同診断方法によれば、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が正常と判定されるときには、請求項4に記載の上記診断は実行されない。従って、クランク角センサ及びカム角センサがいずれも正常であるときの診断負荷が軽減されるようになる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の診断方法において、前記診断の実行に際し、前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まることの判断に基づいて前記カム角センサが異常である旨を診断し、前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲から外れていることの判断に基づいて前記クランク角センサが異常である旨を診断することをその要旨とする。
【0017】
同診断方法によれば、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が異常と判定された後に、クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まるか否かが判断される。そして、クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められている上記機関回転速度の範囲から外れている場合には、クランク角センサに異常があると診断される。一方、クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度がクランキング時の回転速度として予め求められている上記機関回転速度の範囲に収まる場合には、クランク角センサは正常であると診断される。すなわち、クランク角センサが正常である場合には、クランク角センサの出力とカム角センサの出力との対応が異常と判定された判定結果は、カム角センサの異常に起因していることが的確に診断される。
【0018】
請求項7に記載の発明は、内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断装置において、前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって前記対応が異常である旨判定されることを条件に、前記内燃機関のクランキング時に前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較して、前記クランク角センサ及びカム角センサのいずれが異常であるかを判定する第2の判定手段とを備えることをその要旨とする。
【0019】
同構成によれば、第1の判定手段によって、まずクランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があるか否かが判定される。そして、この第1の判定手段により、クランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があると判定されることを条件に、カム角センサの出力に基づいて求められる実際のクランキング時における機関回転速度と予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とが比較される。従って、実際のクランキング時における機関回転速度が予め求められた上記速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっていないときは、カム角センサに異常があると判定することができる。一方、実際のクランキング時における機関回転速度が同じく予め求められた上記速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっているときは、カム角センサは正常であると判定することができる。そしてこのようにカム角センサが正常である場合には、上記第1の判定手段によりクランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があるとされた判定結果は、クランク角センサの異常に起因したものであると判定することができる。さらに、カム角センサの出力に基づく機関回転速度の算出、及び実際の機関回転速度と予め定められた記機関回転速度との比較は容易に行うことができる。従って、上記請求項7に記載の構成によれば、クランク角センサ及びカム角センサの異常診断を容易かつ的確に行うことができるようになる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断装置において、前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって前記対応が異常である旨判定されることを条件に、前記内燃機関のクランキング時に前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較して、前記クランク角センサ及びカム角センサのいずれが異常であるかを判定する第2の判定手段とを備えることをその要旨とする。
【0021】
同構成によれば、第1の判定手段によって、まずクランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があるか否かが判定される。そして、この第1の判定手段により、クランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があると判定されることを条件に、クランク角センサの出力に基づいて求められる実際のクランキング時における機関回転速度と予め求められた値であって内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とが比較される。従って、実際のクランキング時における機関回転速度が予め求められた上記速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっていないときは、クランク角センサに異常があると判定することができる。一方、実際のクランキング時における機関回転速度が同じく予め求められた上記速度、すなわちクランキング時の機関回転速度に相当する速度になっているときは、クランク角センサは正常であると判定することができる。そしてこのようにクランク角センサが正常である場合には、上記第1の判定手段によりクランク角センサ及びカム角センサのうちの少なくともいずれかに異常があるとされた判定結果は、カム角センサの異常に起因したものであると判定することができる。さらに、クランク角センサの出力に基づく機関回転速度の算出、及び実際の機関回転速度と予め定められた上記機関回転速度との比較は容易に行うことができる。従って、上記請求項8に記載の構成によれば、クランク角センサ及びカム角センサの異常診断を容易かつ的確に行うことができるようになる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の内燃機関の診断装置において、前記第2の判定手段は、前記内燃機関のクランキング動力源であるスタータモータへの印加電圧を監視し、該監視する電圧が所定値以上であることを条件に前記判定を実行することをその要旨とする。
【0023】
一般に、スタータモータによって内燃機関がクランクキングされるときの機関回転速度は、スタータモータへの印加電圧の影響を受け、この電圧が所定値に満たない場合には、上記前提とする機関回転速度が得られないことがある。そこで、上記請求項9に記載の構成では、スタータモータへの印加電圧が所定値以上であることを条件に上記第2の判定手段による判定を行うようにしている。従って、クランキング時の機関回転速度が安定しているときに限って上記判定が実行されるようになり、その判定精度も自ずと高く維持される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる内燃機関の診断方法及び診断装置を具体化した一実施の形態について図1〜図4に基づき、詳細に説明する。
【0025】
図1は、この診断方法及び診断装置が適用されるガソリン機関1とともに、その周辺構成を示す概略構成図である。
ガソリン機関1は複数の気筒を有しており、そのシリンダブロック2には、複数のシリンダ4が設けられている(図1では便宜上、1つのみを図示)。このシリンダ4内にはピストン5が設けられており、このピストン5は、コンロッド6を介して機関出力軸であるクランクシャフト7に連結されている。
【0026】
上記シリンダブロック2の上部には、シリンダヘッド3が取り付けられている。そして、上記シリンダ4においてピストン5の上端とシリンダヘッド3との間には、燃焼室8が形成されている。また、シリンダヘッド3には、燃焼室8内の混合気を火花点火するための点火プラグ11が各気筒に対応してそれぞれ設けられている。
【0027】
また、上記シリンダヘッド3には、上記燃焼室8への吸気流路である吸気ポート9と同燃焼室8からの排気流路である排気ポート10とが、1つの気筒に対してそれぞれ設けられている。各気筒毎に設けられた燃料噴射弁35は、前記吸気ポート9内に向けて燃料を噴射する。また、吸気ポート9及び排気ポート10は、それぞれ吸気通路20及び排気通路30に接続されている。前記吸気通路20内には、例えばアクセルペダル(図示略)の操作に基づいて駆動されるアクチュエータ22によってその開度が調整されるスロットル弁23が設けられている。このスロットル弁23の開度を変更することにより燃焼室8内へ吸入される空気量が調量される。
【0028】
一方、前記クランクシャフト7には、タイミングベルト14を介して吸気側タイミングプーリ15と排気側タイミングプーリ16とが駆動連結されている。吸気側タイミングプーリ15には、同吸気側タイミングプーリ15とともに一体回転する吸気カムシャフト17が取り付けられている。また、排気側タイミングプーリ16には、同排気側タイミングプーリ16とともに一体回転する排気カムシャフト18が取り付けられている。
【0029】
前記燃焼室8に対応して設けられた吸気弁12及び排気弁13は、前記吸気ポート9及び排気ポート10をそれぞれ開閉する。同吸気弁12及び排気弁13は、前記吸気カムシャフト17及び排気カムシャフト18にそれぞれ設けられたカム(図示略)によって開閉動作される。また、前記クランクシャフト7が2回転すると前記吸気側タイミングプーリ15及び排気側タイミングプーリ16がそれぞれ1回転するようになっている。従って、吸気弁12及び排気弁13は、クランクシャフト7の回転に同期して、すなわちピストン5の往復移動に対応して所定のタイミングで開閉駆動される。
【0030】
また、上記クランクシャフト7には、同クランクシャフト7と一体回転可能なクランクパルサ41が設けられており、このクランクパルサ41の近傍には、クランク角センサ40が設けられている。
【0031】
図2(a)はクランク角センサ40とクランクパルサ41の構成及び配置図を示している。このクランク角センサ40は、クランクパルサ41の外周面に形成された複数の歯41aが横切るたびにパルス信号を出力する。そして、このクランク角信号からガソリン機関1の回転速度NEが算出される。クランクパルサ41の歯41aは、36個を等間隔に配列した状態から、1カ所において連続した2歯を欠歯部41bとして除いた34個からなっている。そして、クランクシャフト7が回転すると、その波形整形信号を図3(b)に示すように、各歯41aによるパルス信号、すなわちクランク角信号が10°CA(クランク角)毎に出力される。なお、欠歯部41bの位置では、パルス間隔は30°CAとなり、このような欠歯部41bを示す基準信号が360°CA毎に現れる。そして、歯41aにより得られるクランク角信号と欠歯部41bにより得られる基準信号により、クランクシャフト7の回転角度、すなわちクランク角が検出される。ちなみに、上記歯41aの数及び欠歯部41bの欠歯数は、クランク角の検出分解能などに応じて適宜に設定することができる。
【0032】
一方、上記吸気カムシャフト17には、同吸気カムシャフト17と一体回転可能なカムパルサ43が設けられており、このカムパルサ43の近傍には、カム角センサ42が設けられている。
【0033】
図2(b)はカム角センサ42とカムパルサ43の構成及び配置図を示している。このカム角センサ42は、カムパルサ43の外周面に形成された1つの突起部43aが横切るたびにパルス信号を出力する。この突起部43aは、ガソリン機関1の第1気筒のピストンが圧縮上死点に到達する前の所定クランク角にて前記パルス信号が出力されるようにその位置が決められている。そしてクランクシャフト7が回転すると、その整形波形信号を図3(a)に示すように、突起部43aによるパルス信号、すなわちカム角信号(気筒判別信号)が720°CA毎に出力される。また、クランクシャフト7が720°CA回転する毎に出力されるカム角信号の出力間隔時間Tは機関回転速度に応じて変化する。こうして、本実施の形態ではクランク角センサ40及びカム角センサ42から出力されるパルス信号に基づき、機関回転速度NE、クランク角CA、第1気筒の圧縮上死点が算出される。
【0034】
この他にも、前記ガソリン機関1には、機関運転状態を検出するための各種センサが備えられている。例えば、上記スロットル弁23の近傍に設けられるスロットル開度センサ44は、スロットル弁23の開度TA(スロットル開度TA)を検出する。また、上記スロットル弁23の上流側に設けられるエアフロメータ45により、吸気通路20を流れる吸入空気量QAが検出される。また、上記シリンダブロック2に設けられる水温センサ46により、冷却水の温度が検出される。
【0035】
他方、上記クランクシャフト7の一方端には、はずみ車であるフライホイール31が一体回転可能に設けられており、このフライホイール31の外周面には、リングギヤが設けられている。このリングギヤの近傍には、ガソリン機関1を始動させるためのモータであって、車載バッテリから電力が供給されることにより作動するクランキング動力源であるスタータモータ60が配設されている。このスタータモータ60の出力軸には、前記リングギヤと噛み合うピニオンギヤ61が取り付けられている。またスタータモータ60には、その作動状態を検出するスタータスイッチ47が設けられている。スタータスイッチ47は、ガソリン機関1の始動時において運転者によりイグニッションスイッチがオフ位置の状態からスタート位置まで操作され、スタータモータ60が作動しているとき(クランキング状態にあるとき)にスタータ信号を「オン」として出力する。また、ガソリン機関1の始動が完了して(完爆状態となって)、或いは、ガソリン機関1の始動に失敗して、イグニッションスイッチがスタート位置からオン位置まで戻されると、スタータスイッチ47は、スタータ信号を「オフ」として出力する。
【0036】
上記ガソリン機関1の点火時期制御や燃料の噴射時期制御等の各種制御は、制御装置(以下、ECUという)50によって行われる。このECU50は中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。例えばECU50には、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)が設けられている。またECU50には、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためのバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等も設けられている。
【0037】
そして、前記クランク角センサ40、カム角センサ42からの出力信号は、波形整形回路(2値化回路)を介して入力インターフェースに入力される。また、スロットル開度センサ44、エアフロメータ45、水温センサ46等からの出力信号はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。そして、上記スタータスイッチ47の状態は、同じく入力インターフェースを介して直接監視される。これら各センサ40、42、44〜46、及びスタータスイッチ47等により、ガソリン機関1の運転状態が検出される。
【0038】
一方、出力インターフェースは、各々対応する駆動回路等を介して燃料噴射弁35、点火プラグ11に高電圧を印可するイグニッションコイル、及びスロットル弁23のアクチュエータ22等に接続されている。そして、ECU50は上記各センサ40、42、44〜46、及びスタータスイッチ47等からの信号に基づき、ROM内に格納された制御プログラム及び制御データに従って、上記燃料噴射弁35、イグニッションコイル、及びアクチュエータ22等を制御する。
【0039】
さて、上記ECU50は、所定のクランク角に対応して点火プラグ11による燃料点火や燃料噴射弁35による燃料噴射を実行する。このクランク角の検出や気筒判別は、上記クランク角センサ40から出力されるクランク角信号とカム角センサ42から出力されるカム角信号とに基づいて算出される。ここで、クランク角センサ40やカム角センサ42からの出力信号にノイズが重畳したり、それら出力信号に欠落などが生じると、クランク角信号やカム角信号の信頼性が低下し、正確なクランク角の検出や気筒判別ができなくなる。この場合には、正確な点火時期制御や燃料の噴射時期制御ができなくなるため、本実施の形態では、以下のようにしてクランク角センサ40及びカム角センサ42の異常の有無を診断するようにしている。
【0040】
以下、本実施の形態にかかる内燃機関の診断方法及び診断装置によるクランク角センサ40及びカム角センサ42の異常診断処理を、図4を併せ参照して詳細に説明する。
【0041】
図4は、本実施の形態にかかる診断方法による異常診断の態様について、その診断手順を示したものである。なお本実施の形態において、この異常診断処理は、上記スタータ信号が「オン」とされたときに、ECU50により実行されるものとする。
【0042】
この処理が開始されると、まず、上記スタータ信号が「オン」になってからの経過時間が異常判定期間DT内に入っているか否かが判定される(ステップS110)。この異常判定期間DTは、図5に示すように、スタータ信号が「オン」となってから所定の時間PTが経過し、機関回転速度NEが後述する判定値αに到達するときから、その後さらに機関回転速度NEが上昇し、後述する判定値βに到達するまでの間の期間として設定されている。そして、上記経過時間が異常判定期間DT内に入っていない場合には(ステップS110でNO)、本処理を終了する。
【0043】
一方、上記経過時間が異常判定期間DT内に入っている場合には(ステップS110でYES)、第1の判定手段による1次判定として以下の処理が引き続き行われる。
【0044】
まず、吸気カムシャフト17が1回転する間、換言すればカム角信号の出力間隔時間T内において、クランク角センサ40から出力されたクランク角信号の出力回数NCRが読み込まれる(ステップS120)。なお、クランク角信号の出力回数NCRの計測は、例えば、クランク角信号の出力回数をカウントするカウンタをECU50内に設け、カム角信号の出力タイミングに合わせて同カウンタを作動させることにより計測することができる。
【0045】
次に、クランク角信号の出力回数NCRと所定値NCRPとが等しいか否かが判定される(ステップS130)。この所定値NCRPは、吸気カムシャフト17が1回転する間、換言すればクランクシャフト7が2回転する間に出力されるはずのクランク角信号の出力回数が設定されており、本実施の形態においては34×2=68パルスとなっている。そして、出力回数NCRが所定値NCRPと等しい場合には(ステップS130でYES)、クランク角センサ40及びカム角センサ42がともに正常であると判定され(ステップS140)、本処理を終了する。
【0046】
一方、出力回数NCRと所定値NCRPとが異なっている場合には(ステップS130でNO)、クランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常があるため、引き続き第2の判定手段による2次判定として以下の処理が行われ、異常のあるセンサが特定される。
【0047】
まず、次式(1)に基づき、先の図3に示されるカム角信号の出力間隔時間T(秒)から、クランキング時における実際の機関回転速度NECAMが算出される(ステップS150)。
【0048】
機関回転速度NECAM=(1/T)×60×2 … (1)
次に、この算出された実際の機関回転速度NECAMがガソリン機関1のクランキング時にとりうる速度であるか否かが判定される(ステップS160)。この判定は、次式(2)に基づいて行われる。
【0049】
判定値α≦機関回転速度NECAM≦判定値β …(2)
なお、この判定値α及びβによって設定される回転速度範囲は、ガソリン機関1がスタータモータ60の駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度としてとりうる範囲が設定されており、上記判定値α及びβはそれぞれ実験等により経験的に予め求められている。
【0050】
そして、機関回転速度NECAMがクランキング時の機関回転速度の範囲に収まる場合には(ステップS160でYES)、カム角センサ42は正確に吸気カムシャフト17の回転を検出しており、カム角センサ42は正常である。従って、上記ステップS130においてクランク角信号の出力回数NCRが所定値NCRPと等しくならなかったのは、クランク角センサ40に異常があったためであると判定され(ステップS180)、本処理を終了する。
【0051】
一方、機関回転速度NECAMがクランキング時の機関回転速度の範囲から外れている場合には(ステップS160でNO)、カム角センサ42に異常があると判定され(ステップS170)、本処理を終了する。
【0052】
こうしてクランク角センサ40及びカム角センサ42のうちで異常な信号を出力しているセンサが特定された場合には、その判定結果の利用形態として、例えば、車室内の警告灯を点灯させて運転者にその異常を報知したり、フェールセーフとして緊急用の点火時期制御や燃料の噴射時期制御などに切り替えられる。
【0053】
このように本実施の形態では、まず、クランクシャフト7が1回転する毎に34個のクランク角信号が出力されるように上記クランクパルサ41を構成している。また、クランクシャフト7が2回転する毎に1個のカム角信号が出力されるように上記カムパルサ43を構成している。従って、クランク角センサ40及びカム角センサ42に異常がなく、クランク角信号及びカム角信号が正しく出力されているときには、カム角信号の出力間隔時間T内において出力されるクランク角信号の出力回数は68回となる。そのため、このときには上記1次判定におけるステップS130において、カム角信号の出力間隔時間T内におけるクランク角信号の出力回数NCRと所定値NCRPとが等しいと判断され、クランク角センサ40及びカム角センサ42がともに正常であると判定される。一方、カム角信号にノイズが重畳して上記出力間隔時間Tが短くなる、あるいはクランク角信号に欠落が生じてその出力回数が少なくなるときなどには、上述したクランク角信号の出力回数NCRが68回よりも少なくなる。また、カム角信号に欠落が生じて上記出力間隔時間Tが長くなる、あるいはクランク角信号にノイズが重畳してその出力回数が多くなるときなどには、クランク角信号の出力回数NCRが68回よりも多くなる。すなわち、クランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常があると、カム角信号の出力間隔時間T内におけるクランク角信号の出力回数NCRは、クランク角センサ40及びカム角センサ42がいずれも正常であるときに出力される回数とは異なった値となる。そのため上記ステップS130において、上述したクランク角信号の出力回数NCRと所定値NCRPとが異なっていると判断され、クランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常があると判定される。
【0054】
さらに、上記1次判定によって、クランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常があると判定されたときには、上記第2次判定によって、異常が生じているセンサの特定が行われる。
【0055】
すなわち、上記実施の形態では、カムパルサ43の設けられた吸気カムシャフト17は、タイミングベルト14によってクランクシャフト7に駆動連結されている。従って、カム角信号の出力間隔時間Tと機関回転速度NEとは相関関係にあり、同出力間隔時間Tから機関回転速度NECAMを算出することができる。また、ガソリン機関1がスタータモータ60によってクランキングされているときの機関回転速度は、実験等により経験的に予め知り得ることができる値である。従って、カム角信号が正しく出力されていれば、クランキング時において算出される実際の機関回転速度NECAMは、予め経験的に定まるクランキング時の機関回転速度の範囲内に収まるはずである。そのため、上記ステップS160において、カム角信号の出力間隔時間Tから算出された実際の機関回転速度NECAMがガソリン機関1のクランキング時にとりうる速度であると判断されるときには、カム角センサ42が正常であると判定される。そして、このようにカム角センサ42が正常であると判定される場合には、上記1次判定においてクランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常があるとされた判定結果は、クランク角センサ40の異常に基づくものであると判定される。一方、上記ステップS160において、カム角信号の出力間隔時間Tから算出された実際の機関回転速度NECAMがガソリン機関1のクランキング時にとりうる速度ではないと判断されるときには、カム角センサ42に異常が生じていると判定される。なお、本実施の形態では、クランクシャフトが2回転する毎にカム角信号が1回出力されるように上記カムパルサ43を構成している。従って、カム角信号にノイズが重畳した場合や、信号の欠落が起きた場合には、上記式(1)に基づいて算出される機関回転速度NECAMが大きく変化する。そのため、カム角センサ42に異常がある場合には、上記判定値α及びβによって設定される回転速度範囲から上記機関回転速度NECAMが外れるようになり、2次判定によるカム角センサ42の異常判定が確実に行える。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態にかかる内燃機関の診断方法及び診断装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、1次判定においてカム角信号の出力間隔時間T内におけるクランク角信号の出力回数NCRと、クランク角センサ40及びカム角センサ42が正常であるときに同出力間隔時間T内において出力されるクランク角信号の回数を設定した所定値NCRPとを比較するようにしている。従って、この1次判定によって、クランク角センサ40及びカム角センサ42のうちのいずれかに異常があるか否かが判定できるようになる。
【0057】
(2)そしてさらに、上記1次判定によって異常が検出された場合には、上記2次判定によって、ガソリン機関1のクランキング時にカム角センサ42の出力に基づき求められる機関回転速度NECAMとクランキング時の回転速度として経験的に定まる機関回転速度、すなわち予め求められた値であってガソリン機関1がスタータモータ60の駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度との比較を行うようにしている。より具体的には、カム角信号の出力間隔時間Tから算出できる機関回転速度NECAMがガソリン機関1のクランキング時においてとりうる回転速度であるか否かを判定するようにしている。従って、この2次判定によって、カム角信号が異常であるか否か、換言すればカム角センサ42が異常であるか否かを判定することができるようになる。また、カム角センサ42が正常であると判定されるときには、上記1次判定によって判定された結果が、クランク角センサ40の異常に起因するものであったことが同時に判定される。
【0058】
(3)上記2次判定では、ガソリン機関1がクランキング状態にあるときの機関回転速度NECAMを、カム角信号の出力間隔時間Tから算出するようにしている。この機関回転速度NECAMは、例えば上記式(1)に示されるように容易に算出することができる。また、実際の機関回転速度NECAMとクランキング時の回転速度として経験的に定まる機関回転速度との比較も容易に行うことができる。従って、上記診断処理も容易に行うことができるようになる。
【0059】
(4)上記2次判定では、カム角信号を利用して機関回転速度NECAMを算出するようにしている。従って、このカム角信号にノイズが重畳する場合や信号の欠落が起きる場合などには、上記機関回転速度NECAMが大きく変化するようになるため、2次判定による異常判定を確実に行うことができるようになる。
【0060】
(5)上記1次判定において、クランク角センサ40及びカム角センサ42がともに正常であると判定されたときには、2次判定が実行されない。従って、クランク角センサ40及びカム角センサ42がいずれも正常であるときの診断負荷が軽減されるようになる。
【0061】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、ガソリン機関1のクランキング時に1次判定による異常診断処理を実行するようにしたが、この1次判定による異常診断処理はいつ行ってもよい。例えば、機関運転中において定期的に上記1次判定による異常診断を行い、先の図4のステップS130においてクランク角信号の出力回数NCRと所定値NCRPとが異なっていると判定されたときには、その旨のフラグをたてておく。そしてその後、ガソリン機関1の始動時(クランキング時)に上記フラグを確認して、クランク角信号の出力回数NCRと所定値NCRPとが異なっていたことを示すフラグであったときには、上記2次判定を実行するようにしてもよい。この場合にも、上記実施の形態に準じた効果が得られる。
【0062】
・上記実施の形態における2次判定では、カム角信号の出力間隔時間Tからクランキング時の機関回転速度NECAMを算出し、この機関回転速度NECAMが、予めの実験等により求められた上記回転速度範囲にあるか否かに基づいてカム角センサ42の異常を判定するようにしていた。この他にも、ガソリン機関1がクランキングされるときの機関回転速度を実験等により求めておき、この求められた機関回転速度におけるカム角信号の出力間隔時間を予め算出しておく。そして、この算出しておいた出力間隔時間と実際のカム角信号の出力間隔時間Tとを比較してカム角センサ42の異常を判定するようにしてもよい。この場合にも、上記実施の形態に準じた効果が得られる。
【0063】
・上記実施の形態及びその変形例では、2次判定において、カム角信号の出力に基づいて機関回転速度NECAMを算出するようにしたが、クランク角信号の出力に基づいて機関回転速度を算出するようにしてもよい。例えば、クランク角信号の出力間隔時間、あるいはクランク角信号が所定回数出力される間の時間、あるいは所定時間内におけるクランク角信号の出力回数などに基づいて実際のクランキング時における機関回転速度を算出するようにしてもよい。そしてこのようにして算出された機関回転速度が予めの実験等により求められた上記回転速度範囲にあるか否かに基づき、クランク角信号が異常であるか否か、換言すればクランク角センサ40が異常であるか否かを判定することができる。一方、クランク角センサ40が正常であると判定されるときには、上記1次判定によって判定された結果が、カム角センサ42の異常に起因するものであったことが同時に判定される。
【0064】
・上記実施の形態では、まず、1次判定によりクランク角センサ40及びカム角センサ42のうちの少なくともいずれかに異常かあるか否かを判定し、同1次判定によって異常が検出されたときに、2次判定によってクランク角センサ40及びカム角センサ42のうちのどちらに異常があるのかを判定するようにしていた。しかしながら、はじめから上記2次判定において、カム角信号を利用してカム角センサ42の異常を判定するとともに、クランク角信号を利用してクランク角センサ40の異常を判定するようにしてもよい。この場合には、上記1次判定を省略することができる。
【0065】
・一般に、スタータモータ60によってガソリン機関1がクランクキングされるときの機関回転速度は、スタータモータ60への印加電圧に影響を受ける。そこで、上記2次判定による診断処理に際して、スタータモータ60への印加電圧を監視し、その監視する電圧が所定値以上であるときに上述した診断処理を行うようにしてもよい。この場合にはスタータモータ60の回転速度が安定するため、前記判定値α及びβで設定される回転速度範囲を狭くすることができ、上記式(2)における判定精度をより高く維持することができるようになる。
【0066】
・上記実施の形態では、カム角信号の出力間隔を720°CAとしたが、この出力間隔は任意に設定してもよい。要は、カム角信号の出力間隔時間Tに応じた上記所定値NCRPを設定し、同出力間隔時間Tから機関回転速度NECAMを算出することで、上記実施の形態に準ずる作用効果を得ることができる。
【0067】
・上記実施の形態では、内燃機関の出力軸の回転に対応してその所定角度ごとにパルスを発生させるための素子がクランクパルサ41については、その外周面に形成された複数の歯41aであった。またカムパルサ43については、その外周面に形成された突起部43aであった。しかしながら、内燃機関の出力軸の回転に対応してその所定角度ごとにパルスを発生させることのできる素子であればどのような素子でもよく、このような素子を用いた場合であっても上記実施の形態に準じた効果が得られる。
【0068】
・上記実施の形態では、ガソリン機関1に本発明にかかる診断方法及び診断装置を適用する場合について例示した。しかしながら、適用対象となる内燃機関はこのガソリン機関1に何ら限定されるものではない。ディーゼル機関やその他の内燃機関、例えば筒内噴射式の内燃機関等にも本発明は同様に適用することができる。
【0069】
その他、上記実施の形態あるいはその変更例から把握することができる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断方法において、前記内燃機関のクランキング時に前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として経験的に定まる機関回転速度との比較に基づいて、前記カム角センサの異常の有無を診断するとともに、前記内燃機関のクランキング時に前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として経験的に定まる機関回転速度との比較に基づいて、前記クランク角センサの異常の有無を診断することを特徴とする内燃機関の診断方法。
【0070】
同構成によっても、クランク角センサ及びカム角センサの異常判定を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の診断方法及び診断装置の一実施の形態について、その概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態におけるクランク角センサとクランクパルサとの配置構成、及びカム角センサとカムパルサとの配置構成を例示する図。
【図3】同実施の形態におけるクランク角センサ及びカム角センサから出力される信号(正確にはその波形整形信号)の出力態様を例示する模式図。
【図4】同実施の形態による各センサの診断にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態の内燃機関におけるクランキング時の機関回転速度の変化態様を模式的に示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…ガソリン機関、2…シリンダブロック、3…シリンダヘッド、4…シリンダ、5…ピストン、6…コンロッド、7…クランクシャフト、8…燃焼室、9…吸気ポート、10…排気ポート、11…点火プラグ、12…吸気弁、13…排気弁、14…タイミングベルト、15…吸気側タイミングプーリ、16…排気側タイミングプーリ、17…吸気カムシャフト、18…排気カムシャフト、20…吸気通路、22…アクチュエータ、23…スロットル弁、30…排気通路、31…フライホイール、35…燃料噴射弁、40…クランク角センサ、41…クランクパルサ、41a…歯、41b…欠歯部、42…カム角センサ、43…カムパルサ、43a…突起部、44…スロットル開度センサ、45…エアフロメータ、46…水温センサ、47…スタータスイッチ、50…制御装置(ECU)、60…スタータモータ、61…ピニオンギヤ。

Claims (9)

  1. 内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断方法において、
    前記内燃機関のクランキング時に前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度との比較に基づいて、少なくとも前記カム角センサの異常の有無を診断する
    ことを特徴とする内燃機関の診断方法。
  2. 前記診断に先立って前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定し、それら出力の対応が異常と判定されるときに限って前記診断を実行する
    請求項1に記載の内燃機関の診断方法。
  3. 前記診断の実行に際し、前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まることの判断に基づいて前記クランク角センサが異常である旨を診断し、前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲から外れていることの判断に基づいて前記カム角センサが異常である旨を診断する
    請求項2に記載の内燃機関の診断方法。
  4. 内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断方法において、
    前記内燃機関のクランキング時に前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度との比較に基づいて、少なくとも前記クランク角センサの異常の有無を診断する
    ことを特徴とする内燃機関の診断方法。
  5. 前記診断に先立って前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定し、それら出力の対応が異常と判定されるときに限って前記診断を実行する
    請求項4に記載の内燃機関の診断方法。
  6. 前記診断の実行に際し、前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲に収まることの判断に基づいて前記カム角センサが異常である旨を診断し、前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度が前記クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度の範囲から外れていることの判断に基づいて前記クランク角センサが異常である旨を診断する
    請求項5に記載の内燃機関の診断方法。
  7. 内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断装置において、
    前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段によって前記対応が異常である旨判定されることを条件に、前記内燃機関のクランキング時に前記カム角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較して、前記クランク角センサ及びカム角センサのいずれが異常であるかを判定する第2の判定手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の診断装置。
  8. 内燃機関のクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサと前記クランク軸に駆動連結されたカム軸の回転角度を検出するカム角センサとについてその異常の有無を診断する内燃機関の診断装置において、
    前記クランク角センサの出力と前記カム角センサの出力との対応が正常か異常かを判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段によって前記対応が異常である旨判定されることを条件に、前記内燃機関のクランキング時に前記クランク角センサの出力に基づき求められる機関回転速度と該クランキング時の回転速度として予め求められた値であって前記内燃機関がスタータモータの駆動力によってのみクランキングされるときの機関回転速度とを比較して、前記クランク角センサ及びカム角センサのいずれが異常であるかを判定する第2の判定手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の診断装置。
  9. 前記第2の判定手段は、前記内燃機関のクランキング動力源であるスタータモータへの印加電圧を監視し、該監視する電圧が所定値以上であることを条件に前記判定を実行する
    請求項7または8に記載の内燃機関の診断装置。
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