JP3680504B2 - 内燃機関の点火プラグ診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃焼室に設けられる点火プラグを診断する装置に係り、詳しくは点火プラグのくすぶりに起因する失火を検出し、触媒過加熱に至らしめるくすぶりの進行を診断する内燃機関の点火プラグ診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車エンジン等に使用される内燃機関は、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の4行程により、ピストンの2回の往復移動をクランクシャフトの2回転に変換して出力を得るようになっている。そして近年、内燃機関のこのような行程は電子制御装置により厳密に制御され、管理されている。
【0003】
ところで、こうした内燃機関にあっては、その各気筒の圧縮行程において圧縮された燃料(混合気)が次の膨張(燃焼)行程において最適且つ確実に燃焼されないと、他の気筒に対して異常な負荷がかかったり、未燃ガス流出による種々の障害をもたらすことがある。したがって、内燃機関の安定した運転を確保するためには、各気筒において確実に燃焼が行われたか否か、すなわち失火の有無を判定する必要がある。そしてこのような失火判定をする手段として、イオン検出回路が知られている。
【0004】
膨張(燃焼)行程においては、内燃機関に設けられる電子制御装置からの点火信号IGtに基づき、燃焼室内に設けられる点火プラグを放電させて燃料(混合気)を燃焼している。上記イオン検出回路は、この燃料(混合気)の燃焼に伴って燃焼室内に生じるイオンをイオン電流として検出するものである。そしてこのとき検出されるイオン電流の有無により、失火の判定を行う。なお、上記点火プラグは上記イオン検出回路の一部を構成している。
【0005】
次に、上記点火信号IGt及び上記イオン電流(イオン検出信号Ii )の関係について、図4に示すタイムチャートに基づき説明する。
図4(a)に示すように、点火信号IGtは所定のタイミングでオンとされた後、オフとされる。ここで、点火信号IGtがオフとされるタイミングで、燃焼室内の燃料(混合気)が燃焼される。そして、この燃焼時及び燃焼後に検出されるイオン検出信号Ii は、図4(b)にその正負を反転して、またそのレベルを拡大して示すように、前記点火信号IGtオフ後に所定のピークを有している。このようなイオン検出信号Ii の有無により、失火の判定が行われることは前述のとおりである。そしてこの判定において、失火すなわち上記イオン検出信号Ii の無しが認められた場合、電子制御装置はそれに対処すべく適宜の処理を行う。
【0006】
ところで、前記点火プラグにあってはその絶縁碍子の表面にカーボンなどの物質が付着して同点火プラグの電極間の抵抗値(絶縁抵抗)が低下する、いわゆるくすぶりが発生することがある。この場合、図4(c)に示すようにイオン検出信号Ii として、上記抵抗値の低下に伴う漏洩電流を含む信号が検出される。この漏洩電流を含む検出信号Ii が検出されるときには、失火が発生するまでくすぶりが進行している可能性があると思われるものの、イオン検出信号Ii としての検出値があるために、正常燃焼がされたものと誤判断されることとなる。
【0007】
そこで従来、例えば特開平4−259671号公報に記載された装置に見られるように、点火信号IGtがオンされているときの点火プラグの電極間に流れる電流(漏洩電流)の有無により点火プラグのくすぶりの発生を検出し、くすぶりの発生が検出されたときにはイオン検出信号Ii に基づく失火判定を無効化することも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、失火が発生するまでくすぶりが進行する可能性があることは前述のとおりであり、失火がはなはだしく発生した場合、燃焼に供されずに排気通路に排出された燃料が同排気通路に設けられる触媒コンバータで燃焼することがある。そしてこのような燃料の燃焼は、上記触媒コンバータを過加熱に至らしめるおそれがあった。
【0009】
ところが上記従来の装置にあっては、漏洩電流に基づきくすぶりの有無は検出されるものの、上記触媒コンバータの過加熱に至るようなくすぶり状態、すなわちくすぶりの進行度合については何ら検出することができなかった。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関の燃焼室に設けられる点火プラグのくすぶりの進行度合を的確に診断することのできる内燃機関の点火プラグ診断装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるため、請求項1記載の発明は、内燃機関の燃焼室に設けられる点火プラグのくすぶり状態を診断する内燃機関の点火プラグ診断装置において、前記点火プラグに対する点火信号通電時に該点火プラグの電極間に流れる電流に基づいて同点火プラグのくすぶりを検出するくすぶり検出手段と、内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、該検出される内燃機関の運転状態に基づいて同機関の失火を検出する失火検出手段と、前記くすぶり検出手段及び失火検出手段の検出結果に基づいて前記点火プラグのくすぶりの進行度合を判定する判定手段とを備えることをその要旨とするものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の点火プラグ診断装置において、前記判定手段は、前記くすぶり検出手段により前記点火プラグのくすぶりが検出されているときに前記失火検出手段により内燃機関の失火が検出されることに基づき前記くすぶりの進行度合が大きい旨判定することをその要旨とするものである。
【0013】
上記構成にあって、くすぶり検出手段は、点火プラグに対する点火信号通電時(点火コイルへの一次電流通電時)に同点火プラグの電極間に流れる電流に基づいてそのくすぶりの有無を検出する。すなわち、同くすぶり検出手段では、点火プラグにくすぶりが発生し、そのくすぶりによって電極間に漏洩電流が流れる場合に、その漏洩電流の所定値以上の増大に基づいてくすぶりの発生を検出する。一方、点火プラグの放電によって混合気が燃焼に至れば、上記燃焼室内にはイオンが発生し、その発生したイオンに基づいて点火プラグの電極間にはイオン電流が流れるが、失火検出手段では、こうしたイオン電流によることなく、内燃機関の運転状態に基づいてその失火の有無を検出する。そして、上記くすぶりが進行すれば、同失火検出手段を通じて失火有りが検出される確率も自ずと高くなる。通常、上記くすぶりが進行するとその漏洩電流によって正確なイオン電流の検出も難しくなるが、この場合、イオン電流以外のパラメータによって失火の有無を検出するようにしていることから、その検出結果に対する信頼性も極めて高い。したがって同構成によるように、上記判定手段を通じて上記くすぶり検出手段の検出結果と上記失火検出手段の検出結果とを併せ監視することで、点火プラグのくすぶり発生の有無のみならず、その進行度合についても的確な判定を行うことができるようになる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の内燃機関の点火プラグ診断装置において、前記運転状態検出手段は、内燃機関の回転速度を検出するものであり、前記失火検出手段は、この検出される回転速度の各気筒膨張(燃焼)行程ごとの変動に基づいて同機関の失火を検出するものであることをその要旨とするものである。
【0015】
同構成によれば、上記イオン電流以外のパラメータに基づく失火検出を極めて安定して行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の点火プラグ診断装置を具体化した一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は内燃機関としての4気筒ガソリンエンジン1のシステム構成図である。このエンジン1はシリンダブロック1aを備え、シリンダブロック1aには4つ(図1には1つのみ図示)のシリンダ2が設けられている。各シリンダ2にそれぞれ往復移動可能に設けられたピストン3は、エンジンの出力軸であるクランクシャフト10にコンロッド3aを介して連結され、そのコンロッド3aによりピストン3の往復移動がクランクシャフト10の回転へと変換されるようになっている。
【0018】
シリンダブロック1aの上端にはシリンダヘッド1bが取り付けられている。各シリンダ2においてピストン3の上端とシリンダヘッド1bとの間には燃焼室4が形成される。各燃焼室4に対応して設けられた点火プラグ11は燃焼室4に導入された混合気に点火する。同様に各燃焼室4に対応して設けられた吸気ポート5a及び排気ポート6aは、それぞれ吸気通路5及び排気通路6の一部を構成する。各燃焼室4に対応して設けられた吸気バルブ7及び排気バルブ8は各ポート5a,6aをそれぞれ開閉する。各バルブ7,8はそれぞれ吸気側カムシャフト31又は排気側カムシャフト32の回転に伴い、同シャフト31,32に設けられたカム(図示略)が回転することによって開閉動作する。各カムシャフト31,32の先端に各々設けられたタイミングプーリ33,34はタイミングベルト35を介してクランクシャフト10に連結されている(クランクシャフト10との連結態様については図示略)。
【0019】
すなわち、エンジン1の運転時に、クランクシャフト10の回転力はタイミングベルト35及び各タイミングプーリ33,34を介して各カムシャフト31,32に伝達される。各カムシャフト31,32が回転することにより、各バルブ7,8が作動する。各バルブ7,8はクランクシャフト10の回転に同期して、すなわち各ピストン3の往復移動に対応して所定のタイミングで開閉駆動される。
【0020】
なお、シリンダブロック1aには、エンジン1の冷却水の水温(冷却水温)THWを検出する水温センサ15が取り付けられている。
前記吸気通路5の一部には、吸気の脈動を抑えるためのサージタンク16が設けられ、そのサージタンク16には吸気圧PMを検出するダイヤフラム式の吸気圧センサ17が取付けられている。サージタンク16の上流側には、アクセルペダル21の操作に基づいて開閉されるスロットルバルブ18が設けられており、このスロットルバルブ18の開閉により吸気通路5への吸入空気量が調節される。スロットルバルブ18の近傍には、そのスロットル開度TAを検出するスロットルセンサ19と、そのスロットルバルブ18が全閉状態のときオンとなるアイドルスイッチ20が取付けられている。
【0021】
また、前記スロットルバルブ18の上流側にはエアクリーナ23が配設され、そのエアクリーナ23の近傍には、吸気温THAを検出するための吸気温センサ24が取付けられている。
【0022】
一方、前記排気通路6には、排気ガス(HC,CO,NOx )を浄化するための三元触媒コンバータ26が取り付けられている。
また、エンジン1には回転速度センサ27及びクランク角度基準位置センサ28が設けられている。回転速度センサ27はエンジン1(クランクシャフト10)の回転速度Neを検出する。また、クランク角度基準位置センサ28は特定気筒におけるクランクシャフト10の回転角度(クランク角)の基準位置(例えば圧縮上死点)を検出する。
【0023】
前記点火プラグ11にはイグナイタ13から出力される高電圧が印加される。点火プラグ11の点火タイミングは、イグナイタ13からの高電圧出力タイミングにより決定される。そして、エンジン1は点火プラグ11により、吸気通路5からの吸入空気とインジェクタ9から噴射される燃料とからなる混合気を燃焼室4内で爆発させて駆動力を得た後、その排気ガスを排気バルブ8を介して排気通路6へ排出する。
【0024】
ちなみにイグナイタ13内には後述するイオン検出回路の一部が設けられており、点火プラグ11のくすぶり発生の有無は同検出回路により検出される。すなわち本実施の形態においては、該イオン検出回路をくすぶり検出手段として用いる。
【0025】
次に、こうしたエンジンシステムを統括制御する電子制御装置(以下、「ECU」という)61の構成について図2のブロック図に従って説明する。
図2に示すように、このECU61は、デジタルコンピュータからなっており、バス62を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)63、ROM(リードオンリメモリ)64、マイクロプロセッサからなるCPU(中央処理装置)65、入力ポート66及び出力ポート67を有している。
【0026】
CPU65は演算処理回路からなり、ROM64に予め記憶された制御プログラム及び初期データ等に従って各種演算処理を実行する。RAM63はCPU65による演算結果を一時的に記憶する。
【0027】
前記水温センサ15、吸気圧センサ17、スロットルセンサ19、アイドルスイッチ20、吸気温センサ24、回転速度センサ27及びクランク角度基準位置センサ28等からの検出信号は入力ポート66に入力される。なお、イグナイタ13内にその一部が構成される前記イオン検出回路において検出された電流も同様に、入力ポート66に入力される。これらセンサ等13,15,17,19,20,24,27,28により、エンジン1の運転状態が検出されている。
【0028】
一方、出力ポート67は、各々対応する駆動回路等を介して各インジェクタ9及び各イグナイタ13等に接続されている。また、同出力ポート67は、後述する点火プラグ11の診断においてくすぶりに起因する失火と判定された場合に点灯されるチェックランプ14にも接続されている。このチェックランプ14は運転席のダッシュボードに組み付けられており、同チェックランプ14の表示により、運転者は点火プラグ11の診断結果を知る。そして、ECU61は各センサ等13,15,17,19,20,24,27,28からの検出信号に基づき、ROM64内に格納された制御プログラム及び初期データ等に従い、インジェクタ9、イグナイタ13及びチェックランプ14等を好適に制御する。
【0029】
次に、上記イグナイタ13及び前記点火プラグ11等により構成される前述のイオン検出回路について、図3に基づき説明する。
同図3に示すように、このイオン検出回路40は大きくは、電源41、前記イグナイタ13及び前記点火プラグ11により構成されている。そしてイグナイタ13内は更に、イグニションコイル42、イグナイタ回路43及びイオン検出回路部44によって構成されている。
【0030】
イグニションコイル42は一次巻線42a及び二次巻線42bを有している。また、イグナイタ回路43はドライブ回路46及びパワートランジスタ47を有している。また、イオン検出回路部44はコンデンサ48、ツェナーダイオード49,50、抵抗器51、反転増幅器52、V/I(電圧/電流)変換器53及び出力端子55を有している。
【0031】
このような構成にあって、前記イグニションコイル42の一次巻線42aの一端は前記電源41に接続されており、同他端は前記パワートランジスタ47に接続されている。また、前記ドライブ回路46はパワートランジスタ47の制御電極に接続されている。
【0032】
一方、上記イグニションコイル42の二次巻線42bの一端は点火プラグ11に接続されている。この点火プラグ11は、二次巻線42bの上記一端に接続された放電用電極11a、及び放電用電極11aに対向配置され、接地されているグランド電極11bによって構成されている。この点火プラグ11は各気筒の燃焼室内(図示せず)に露出して設けられており、そのグランド電極11bは燃焼室壁を介して、接地されている。
【0033】
一方、上記二次巻線42bの他端は、前記イオン検出回路部44のツェナーダイオード49,50を介して接地されており、これらツェナーダイオード49,50にはそれぞれ、コンデンサ48及びイオン電流検出用の抵抗器51が並列接続されている。そして、ツェナーダイオード49及びコンデンサ48からなる並列回路と抵抗器51との接続点は、更に反転増幅器52及びV/I変換器53を介して同検出回路部44の出力端子55に接続されている。
【0034】
次に同図3を参照して、このイオン検出回路40の動作を説明する。
エンジン1の膨張(燃焼)行程において、ECU61からの点火信号IGtによりドライブ回路46を介してパワートランジスタ47がオン・オフ制御され、一次巻線42aに流れる一次電流I1 の通電・遮断が行われると、一次電流I1 の遮断時に、二次巻線42bに負の高電圧からなる二次電圧V2 が誘起される。これにより、点火プラグ11のグランド電極11bから放電用電極11aに向けて放電火花が生じ、燃焼室内の燃料(混合気)が燃焼される。また、このとき同図3に示される態様で流れる二次電流(アーク電流)I2 によってコンデンサ48が充電される。なお、この充電電圧は、同コンデンサ48に並列接続されたツェナーダイオード49によって一定の電圧に保たれる。
【0035】
一方この膨張(燃焼)行程において、正常に燃焼が行われると、燃焼室内には大量の陽イオンが発生する。そして、この発生した陽イオンはイオン電流Iとなって同図3に示した経路を流れる。すなわち、イオン電流Iは、抵抗器51、コンデンサ48、二次巻線42b及び点火プラグ11を介した経路で流れ、コンデンサ48の充電電荷を放電する。
【0036】
そして、このイオン電流Iによって抵抗器51の両端間に発生する電圧は、反転増幅器52によって反転増幅され、V/I変換器53により電流値に変換された後、上記陽イオンの発生量に応じたイオン検出信号Ii として出力端子55から出力される。この出力は前記ECU61に取り込まれて点火プラグ11にくすぶりが発生しているか否かの判定に供される。
【0037】
次に、上記点火信号IGt及びイオン検出信号Ii の特性について、図4に示すタイムチャートに基づき説明する。なお、図4(a)は点火信号IGtが所定のタイミングでオンとされた後、オフとされる態様を示すタイムチャートである。また、図4(b)はくすぶりの影響を受けることなく正常に燃焼が行われた場合に出力されるイオン検出信号Ii の推移を示すタイムチャートである。さらに、図4(c)は、くすぶりが進行した場合に検出されるイオン検出信号Ii の推移を示すタイムチャートである。ちなみに、図4(c)において同検出信号Ii が、所定値以上で飽和しているのは、前記反転増幅器52の増幅率が大きいために、検出可能範囲を超えることによる。また、イオン検出信号Ii が急激に低下するのは、前記コンデンサ48の放電時間が短いためである。前述のように、くすぶりの進行に伴い点火プラグ11の両電極11a,11b間の抵抗値は低下するため、上記放電時間はくすぶりが進行するほど短くなる。
【0038】
点火信号IGtがオフとされるタイミングで正常に燃焼室内の燃料(混合気)が燃焼されると、図4(b)に示すイオン検出信号Ii が出力される。同図4(b)に示すように、このイオン検出信号Ii は前記点火信号IGtオフ後、すなわち点火プラグ11の放電終了後に所定のピークを有する信号として出力される。
【0039】
ところでこのようなイオン検出信号Ii は、くすぶりの進行に伴い、前記放電電極11aと前記グランド電極11bとの間の抵抗値(絶縁抵抗)が低下し、漏洩電流の影響を受けるようになることは前述のとおりである。特に図4(c)に示される態様となるまでくすぶりが進行した場合(このときの抵抗値は200〜500kΩ程度まで低下)、かなりの確率で失火が発生していると思われる。
【0040】
そこで、本実施の形態にあっては、以下の態様でくすぶりの進行度合を判定し、触媒過加熱に至らしめるくすぶりの進行を診断する。
図5は、点火プラグ11のくすぶり進行度合を診断するために、ECU61によって実行されるエンジン1の点火プラグ診断ルーチンを示すフローチャートである。なお、このルーチンは前記点火信号IGtがオンになるごとの点火信号IGt割り込みにより実行される。
【0041】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU61はステップ101において、くすぶりフラグxdksuが「ON(オン)」か否かを判定する。このくすぶりフラグxdksuは、点火信号IGtがオンとされたときから500μs(マイクロ秒)後のイオン検出信号(漏洩電流)Ii の状態に応じてたてられる(「ON」とされる)フラグである。イオン検出信号(漏洩電流)Ii はECU61内でI/V変換された後、アナログ/ディジタル変換された値(以下、「AD値」という)として扱われる。上記判定は、点火信号IGtがオンとされたときから500μs後のタイミング(図4(c)参照)におけるAD値と所定のしきい値Vth相当値とを比べることによるもので、ECU61内で実行される。そしてここで上記所定のしきい値Vth相当値よりも大きなAD値が確認された場合、少なくとも20〜50MΩのレベルでくすぶりが進行しているものとして、くすぶりフラグxdksuは「ON」とされる。また、上記所定のしきい値Vth相当値よりも大きなAD値が確認されない場合、くすぶりはあまり進行していないものとして、くすぶりフラグxdksuは「OFF(オフ)」とされる。
【0042】
ステップ101において、くすぶりフラグxdksuが「OFF」と判定された場合、くすぶりの進行度合は小さいとして、そのまま当該ルーチンを一旦抜ける。一方、同ステップ101において、くすぶりフラグxdksuが「ON」と判定された場合、ステップ102に移行する。
【0043】
ECU61はステップ102において、回転変動失火フラグが「ON」か否かを判定する。この回転変動失火フラグは、周知の技術である回転変動法により失火が検出された場合に、「ON」とされる。ちなみにこの回転変動法とは、前記回転速度センサ27から検出される各気筒の膨張(燃焼)行程ごとの回転速度Neと所定の基準値との差の大きさ(回転変動)を割り出し、この割り出し結果と所定の値とを比較することにより該当する気筒の失火を検出する方法である。
【0044】
ステップ102において、回転変動失火フラグが「OFF」と判定された場合、くすぶりの進行度合は小さいとして、そのまま当該ルーチンを一旦抜ける。一方、同ステップ102において、回転変動失火フラグが「ON」と判定された場合、ステップ103に移行する。
【0045】
ECU61はステップ103において、前述した触媒過加熱に至らしめる程度にくすぶりが進行しているものと判断して前記チェックランプ14を点灯する。こうしてチェックランプ14が点灯されることにより、運転者は点火プラグ11の異常を認知して、ディーラー等への点検を行うこととなる。
【0046】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
・点火プラグ11のくすぶり発生の有無のみならず、触媒過加熱に至らしめるようなくすぶりの進行をも診断することができる。
【0047】
・くすぶりに起因する失火が検出されたときには、チェックランプ14を点灯することにより、運転者にその都度警告することができる。したがって、その旨認知した運転者の適宜の処置を通じて、失火に伴う触媒過加熱を未然に防止することができる。
【0048】
・上記チェックランプ14の点灯は、失火原因がくすぶりであることを知らしめるものであるため、失火対策としての整備も効率的に行うことができる。
なお、本実施の形態は上記に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
【0049】
・本実施の形態においては、運転者への警告として、チェックランプ14を点灯したが、他に例えば、警報音を鳴らすようにしてもよい。また、チェックランプ14の点灯と警報音の両方を採用してもよい。
【0050】
・本実施の形態においては、くすぶりに起因する失火が検出されたときには、チェックランプ14を点灯することにより、運転者に警告した。これとは別に、又はこれに加えて、失火発生のデータをバックアップRAM等の不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。この場合、エンジン1の点検時に上記データに基づき整備を効率的に行うことができる。
【0051】
・本実施の形態においては、くすぶりに起因する失火が検出されたときには、その都度チェックランプ14を点灯することにより運転者に警告した。これに対して、所定回数のくすぶりに起因する失火を検出し、上記所定の回数を超えるときにチェックランプ14を点灯して、運転者に警告してもよい。この場合、一時的なくすぶり、あるいは一時的な失火に起因する警告の発動を排除することができる。
【0052】
・本実施の形態においては、くすぶりの検出に際し、点火信号IGtがオンとなった後500μsのAD値が所定のしきい値Vth相当値よりも大きいことを確認し、少なくとも20〜50MΩのレベルでくすぶりが発生していることを検出しているが、その他のタイミング又はしきい値を設定して、上記以外のレベルのくすぶりを検出してもよい。
【0053】
・本実施の形態においては、失火検出に回転変動法を採用しているが、これにはイオン検出回路を用いる方法以外のその他の方法を採用してもよい。こうした失火検出方法としては、例えば、
(イ)燃焼室内の燃焼光を検出する燃焼光センサを用いて失火検出をする方法。(ロ)燃焼室内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサを用いて失火検出をする方法。(ハ)前記シリンダブロック1aに振動センサを設け、同振動センサによりエンジン1の燃焼振動を検出して失火判定をする方法。
(ニ)排気通路6に圧力センサ又は酸素センサを設け、同センサにより排気通路6内の圧力又は酸素濃度を検出して失火判定をする方法。
等がある。
【0054】
・本実施の形態においては、各気筒(燃焼室4)の点火プラグ11及びそれぞれに対応するイグナイタ13等によってイオン検出回路40が構成されたが、各点火プラグ11とイグナイタ13との間に各点火プラグ11に点火電圧を分配するディストリビュータを設けてイオン検出回路を構成してもよい。
【0055】
・本実施の形態においては、内燃機関として4気筒のエンジンにこの発明を適用する場合について示したが、本発明はその他の気筒数を有する各エンジンにも同様に適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、点火プラグのくすぶり発生の有無のみならず、その進行度合についても的確な判定を行うことができるようになる。そして、その判定結果に基づいて点火プラグの交換あるいは整備の時期等も的確に知ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る点火プラグ診断装置の一実施の形態が適用されるエンジンシステムの概要を示す略図。
【図2】同実施の形態の電気的構成を示すブロック図。
【図3】イオン検出回路を示す回路図。
【図4】点火信号及びくすぶりの進行度合に応じたイオン検出信号を示すタイムチャート。
【図5】点火プラグの診断手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
4…燃焼室、11…点火プラグ、13…イグナイタ、14…チェックランプ、26…三元触媒コンバータ、27…回転速度センサ、28…クランク角基準位置センサ、40…イオン検出回路、41…電源、42…イグニションコイル、43…イグナイタ回路、55…出力端子、61…ECU。
Claims (3)
- 内燃機関の燃焼室に設けられる点火プラグのくすぶり状態を診断する内燃機関の点火プラグ診断装置において、
前記点火プラグに対する点火信号通電時に該点火プラグの電極間に流れる電流に基づいて同点火プラグのくすぶりを検出するくすぶり検出手段と、
内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
該検出される内燃機関の運転状態に基づいて同機関の失火を検出する失火検出手段と、
前記くすぶり検出手段及び失火検出手段の検出結果に基づいて前記点火プラグのくすぶりの進行度合を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の点火プラグ診断装置。 - 前記判定手段は、前記くすぶり検出手段により前記点火プラグのくすぶりが検出されているときに前記失火検出手段により内燃機関の失火が検出されることに基づき前記くすぶりの進行度合が大きい旨判定する
請求項1記載の内燃機関の点火プラグ診断装置。 - 前記運転状態検出手段は、内燃機関の回転速度を検出するものであり、
前記失火検出手段は、この検出される回転速度の各気筒膨張(燃焼)行程ごとの変動に基づいて同機関の失火を検出するものである
請求項1又は2記載の内燃機関の点火プラグ診断装置。
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