JP2571629B2 - 可変バルブタイミング制御装置の故障診断装置 - Google Patents

可変バルブタイミング制御装置の故障診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、内燃機関の可変バルブタイミング制御装
置の故障の有無を自己診断する故障診断装置に関する。
従来の技術 内燃機関の吸気弁や排気弁は、クランクシャフトに同
期して回転するカムシャフトによって開閉駆動されるの
で、その開閉時期つまりバルブタイミングが通常固定的
なものとなるが、バルブオーバラップ等を運転条件に応
じて最適なものとするために、そのバルブタイミングを
可変制御可能とした可変バルブタイミング制御装置が従
来から種々提案されている。例えば特開昭55−96311号
公報等には、タイミングベルトやカムチェーンが巻き掛
けられるカムプーリもしくはカムスプロケットをカムシ
ャフトに対し回動可能に取り付けるとともに、ヘリカル
ギヤ等を利用した油圧式アクチュエータによって両者を
所定確度だけ相対回転させることで、カムシャフトのク
ランク角に対する位相を2通り変化させ得るようにした
可変バルブタイミング機構が開示されている。ここで上
記油圧式アクチュエータへの油圧供給は、電磁弁によっ
てON,OFF的に制御され、それに応じてバルブタイミング
が切り換わるが、一般に、機関の回転数と負荷とに基づ
くコントロールユニットからの制御信号によって、その
切換が行われるようになっている。
第5図の(a)は、一例として吸気弁側にのみ可変バ
ルブタイミング機構を設けた場合のバルブリフト特性を
示しており、実線イで示す特性と破線ロで示す特性とに
切り換えることができる。
発明が解決しようとする課題 上記の可変バルブタイミング制御装置が、何らかの原
因、例えばコントロールユニット自体の不良、電磁弁の
固着、ハーネスの断線等によって故障した場合に、従来
はこれを自己診断する方法がない。従って、バルブタイ
ミングの狂いによって出力の低下等の不具合が生じるも
のの、運転者が気付くことができずにそのまま長期に亙
って運転を継続してしまう虞れがあった。
課題を解決するための手段 この発明に係る可変バルブタイミング制御装置の故障
診断装置は、バルブタイミングを制御信号に基づいて複
数通りの特性に段階的に変化させ得る可変バルブタイミ
ング機構を備えた内燃機関において、第1図に示すよう
に、内燃機関の適宜位置に装着された1個あるいは複数
個の振動検出センサ1と、上記可変バルブタイミング機
構により得られる複数通りの着座時期にそれぞれ対応し
て設定された複数の積分期間について上記振動検出セン
サ1の出力信号を積分する積分手段と、各積分期間の積
分値を大小比較して実際の着座時期がいずれの期間内に
あるかを判別する着座時期判別手段3と、この実際の着
座時期と上記可変バルブタイミング機構の制御条件とを
照合して、バルブタイミングが上記制御条件に対応する
所定の特性に制御されているか否かを判別する異常検出
手段4とを備えて構成されている。
作用 内燃機関の吸気弁や排気弁が着座すると、その際の衝
撃によってシリンダヘッドやシリンダブロックに機械的
な振動が発生する。この振動は、振動検出センサ1によ
って検出され、電気的信号に変換される。そして、可変
バルブタイミング制御装置に設定された複数通りの着座
時期に対応した複数の積分期間について上記振動検出セ
ンサ1の出力信号が積分される。ここで、実際に着座振
動が発生している期間では、その積分値が大きくなり、
着座振動が発生していない期間の積分値は小さい。従っ
て、各積分値の大小比較で、実際の着座時期がいずれの
期間内にあるかを判別できる。
そして、可変バルブタイミング機構の制御条件、例え
ば機関回転数や負荷等から正常作動時の着座時期が定ま
るので、これと実際の着座時期との一致,不一致によっ
て異常の有無が判る。
実施例 以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。
第2図は、この発明に係る故障診断装置の一実施例の
構成を示す構成説明図であって、例えばDOHC型動弁機構
を有する内燃機関11の吸気側に、クランクシャフト12と
カムシャフト13との位相を所定量(例えばクランク角で
20゜程度)でけ変化させ得るようにした可変バルブタイ
ミング機構14が設けられている。この可変バルブタイミ
ング機構14は、詳細には図示しないが、カムシャフト13
とカムプーリとを相対回転させる油圧式アクチュエータ
や該アクチュエータへの油圧導入をON,OFF的に制御する
電磁弁などから構成されており、ディジタルマイクロコ
ンピュータを利用したコントロールユニット15からの制
御信号に基づいて、バルブタイミングを第5図(a)の
実線イ,破線ロのように2通りに切り換えるようになっ
ている。
また上記内燃機関11の適宜位置、例えばシリンダブロ
ック側面に振動検出センサ16が装着されている。この振
動検出センサ16は、例えば圧電素子を利用した公知のノ
ッキングセンサと同様の構成のもので、吸気弁の着座に
伴うシリンダブロックの機械的な振動を検出している。
尚、バルブ着座に伴う振動とノッキング振動とは比較的
近い周波数域にあるので、1つのセンサでもって着座振
動の検出とノッキング振動の検出が可能である。
この振動検出センサ16の出力信号は上記コントロール
ユニット15に入力されている。
17は、上記内燃機関11のクランクシャフト12の回転を
検出するクランク角センサを示しており、このクランク
角センサ17は、回転角を示すクランク角1゜毎のパルス
信号からなるPOS信号と、各気筒の上死点位置を検出す
るためのREF信号とを出力している。また18は、内燃機
関11の吸入空気量を検出する例えば熱線式のエアフロメ
ータ、19は機関冷却水温を検出する水温センサを示して
いる。
上記コントロールユニット15は、所定のプログラムに
従って可変バルブタイミング機構14の制御やその故障の
自己診断、更には図示せぬ点火栓の点火時期制御や空燃
比制御等を行うもので、第3図に示すように、上記振動
検出センサ16の出力信号から着座振動およびノッキング
振動に特有な特定成分のみを分離して通過させるバンド
パスフィルタ21と、このバンドパスフィルタ21の出力信
号を整流後に所定期間積分する積分回路22と、この積分
回路22における積分期間を規定する積分期間信号発生回
路23と、上記積分回路22の出力をA/D変換するA/D変換回
路24とを備えている。また25はI/Oポート、26はCPU、27
はROM、28はRAMを示す。尚、上記の積分期間は、機関ク
ランク角を単位として設定されており、クランク角セン
サ17からのPOS信号およびREF信号に基づいて積分期間信
号が出力される。
次に上記構成における作用について説明する。
初めに、可変バルブタイミング機構14は、内燃期間の
回転数Nと基本燃料噴射量Tpとに基づいて切換制御され
る。上記回転数Nはクランク角センサ17の出力信号に基
づいて求められる。また基本燃料噴射量Tpは、機関負荷
に相当するもので、吸入空気量と機関回転数とから算出
される。第4図は、電磁弁のOFF領域(実線イの特性と
なる)とON領域(破線ロの特性となる)とを図示したも
ので、機関回転数NがN1以下の中低速でかつ基本燃料噴
射量TpがTp1以上の高負荷域でのみ電磁弁がONとなり、
バルブタイミングが破線ロのように早められる。但し、
冷却水温TWが所定温度TW1以下の場合は、この制御は行
われず、つまり運転領域に無関係に電磁弁OFFの状態が
保たれる。
一方、振動検出センサ16においては、上記のようにバ
ルブタイミングが可変制御される吸気弁の着座振動、固
定的なタイミングで生じる排気弁の着座振動、およびノ
ッキング振動が第5図の(b)に示すように検出され
る。尚、これは一例として吸気弁のバルブタイミングが
実線イの状態にある場合を示している。そして、この振
動検出センサ16の検出信号に対し、積分期間が第5図の
(c)に示すように与えられる。ここで期間L1は、破線
ロに示すバルブタイミングの着座時期に対応して設定さ
れ、期間L2は実線イに示すバルブタイミングの着座時期
に対応して設定されている。尚、期間L3は、ノッキング
振動を分離するためにノッキング発生時期に対応して設
定された積分期間である。
第5図の(d)は、上記の各期間で積分回路22から出
力される出力波形を示し、(e)はそのA/D変換値を示
しているが、これらの図に明らかなように、実際の着座
時期が含まれる期間L2の積分値S2の方が、もう一方の期
間L1の積分値S1よりも大となる。勿論、吸気弁のバルブ
タイミングが破線ロの状態にあれば、逆に積分値S1の方
が積分値S2よりも大となる。従って、両者の比較から、
実際のバルブタイミングがイ,ロのいずれの特性にある
かを確実に判別することができる。
第6図は、コントロールユニット15において実行され
る自己診断プログラムの概略を示したもので、初めに機
関回転数Nと基本燃料噴射量Tpと冷却水温TWとを読み込
み(ステップ1)、次にこれらが診断条件内にあるか否
かを判別する(ステップ2)。すなわち、機関回転数N
がN1≧N≧N2、基本燃料噴射量TpがTp≧Tp1、そして水
温TWがTW≧TW1の3条件が同時に成立した場合にのみ診
断を行う。尚、この条件内では、前述したように可変バ
ルブタイミング機構14の電磁弁がON制御され、システム
が正常であれば破線ロのバルブタイミングとなる。
回転数N等が上記の診断条件内にある場合には、ステ
ップ3に進んで、前述した積分機関L1,L2の積分値S1,S2
を読み込み、かつステップ4で両者の大小比較を行う。
ここで、S1>S2であれば、実際のバルブタイミングが制
御条件通りに破線ロの特性になっていることを意味する
ので、ステップ5へ進み、可変バルブタイミング機構14
がその制御系をも含めて正常であると判定する。
これに対し、S1<S2であれば、実際のバルブタイミン
グが制御条件に反して実線イの特性になっていることを
意味するので、ステップ6、7へ進み、「異常」の判定
を行うとともに、警告灯の点灯等による適宜な警告を行
う。
尚、上記実施例では、電磁弁がON作動すべき領域内で
破線ロのバルブタイミングになっているか否かを診断し
ているが、逆に電磁弁がOFFすべき領域内で実線イのバ
ルブタイミングになっているか否かを診断するようにし
ても良い。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、この発明に係る可変バ
ルブタイミング制御装置の故障診断装置によれば、バル
ブタイミングが可変制御される吸気弁もしくは排気弁の
実際の着座時期をその着座振動から検出し、可変バルブ
タイミング機構の制御条件と照合して異常の有無を判別
するようにしたので、機械的な故障やコントロールユニ
ットの異常等を含めて、可変バルブタイミング制御装置
が正常に作動しているか否かを確実に診断できる。ま
た、その振動検出センサは通常のノッキングセンサをそ
のまま利用でき、実質的な部品点数の増加を何ら伴わず
に実現できる、という利点もある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の構成を示すクレーム対応図、第2図
はこの発明の一実施例を示す構成説明図、第3図はコン
トロールユニットの要部を示すブロック図、第4図は可
変バルブタイミング機構のON,OFF領域を示す特性図、第
5図はバルブタイミングと各信号波形を対比して示すタ
イムチャート、第6図は自己診断プログラムの概略を示
すフローチャートである。 1……振動検出センサ、2……積分手段、3……着座時
期判別手段、4……異常検出手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バルブタイミングを制御信号に基づいて複
    数通りの特性に段階的に変化させ得る可変バルブタイミ
    ング機構を備えた内燃機関において、内燃機関の適宜位
    置に装着された1個あるいは複数個の振動検出センサ
    と、上記可変バルブタイミング機構により得られる複数
    通りの着座時期にそれぞれ対応して設定された複数の積
    分期間について上記振動検出センサの出力信号を積分す
    る積分手段と、各積分期間の積分値を大小比較して実際
    の着座時期がいずれの期間内にあるかを判別する着座時
    期判別手段と、この実際の着座時期と上記可変バルブタ
    イミング機構の制御条件とを照合して、バルブタイミン
    グが上記制御条件に対応する所定の特性に制御されてい
    るか否かを判別する異常検出手段とを備えてなる可変バ
    ルブタイミング制御装置の故障診断装置。
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