JP4207413B2 - 光触媒製品用の金属材とその金属材および製品の製造方法 - Google Patents

光触媒製品用の金属材とその金属材および製品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防臭、防汚、抗菌、抗かび等の効果や有害物質の除去といった光触媒機能を有する光触媒製品用の材料(素材)として用いられる、光触媒担持ガラス繊維集合体を表面に有する金属材とその製造方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、そのような金属材から、防臭、抗菌、防汚等の機能が付与された、例えば、壁装材、屋根材、床材、ブラインド、家電品、遮音壁、道路標識、野外看板、ガードレールなどの金属加工物、排水処理施設などに用いられる有害物質処理装置等の光触媒機能を持たせた光触媒製品を製造する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来にあっても、すでに、酸化チタン等の光触媒材料を基材に固定化し、その光触媒作用を脱臭、抗菌、抗かび、付着汚れ分解、有害物質の分解などの環境浄化に応用する試みが精力的に行われている。
【0004】
例えば特開平11−267516号公報では、光触媒層を形成させたポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂などの高分子フィルムを予め製造し、金属や樹脂シートなどの基材に接着させた製品およびその製造方法が開示されている。
【0005】
特開平11−350434号公報では、酸化チタンを予め固定化した無機繊維シートを、孔が多数開いた支持板に貼着させて成る防汚性吸音材が開示されている。
特開平7−96202 号公報および同11−350434号公報には、光触媒を担持したガラス繊維集合体、例えば繊維クロスや繊維シートが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの予測によれば、光触媒の作用効果は非常に広範囲に認められてきており、その応用範囲はますます拡大されてきている。例えば、注文製作的な製品、特別使用の製品、さらには極く少量の生産しか行わない製品においても光触媒機能が求められ、また必要とされる状況が見られるようになってきている。
【0007】
ここに、本来的に光触媒作用を発揮する材料を各種形態に加工可能な素材として提供できれば、コストの大幅低減は可能となり、特に、少量生産品の用途にも安価に応用できる等の大きな実用上のメリットが享受できる筈であるとの着想を得た。
【0008】
しかしながら、一般的な素材として提供できるためには、切断、曲げ、絞りなどの各種成形加工によっても、光触媒機能が害されないことが必要である。
しかし、光触媒成分として酸化チタンを含む塗膜は、基本的には無機質であり、柔軟性に欠けるため、曲げ、絞りなどによって所望の形状に加工する際に塗膜は剥離してしまう。もちろん、成形後の製品にそのような酸化チタンを含む塗膜を設けたとしても、単品への塗膜でありコストの増加が避けられないばかりでなく、均質性のある塗膜を設けることが困難であり、また塗膜の密着性を維持するのも難しく、結局、所定の光触媒機能を長期間維持することは困難である。
【0009】
また、基材へ光触媒を直接に固定化するとプラスチックや塗装鋼板など、少なくともその表面が有機部材からなる材料(基材)では、光触媒の酸化力によって有機部材が分解されることがある。そのため光触媒層と基材との間に、無機物を中心とする難分解性のバリア膜層を設置することが従来から行われている。しかし、この方法では塗布工程は、光触媒層そしてバリア層形成と計2回になり、手間がかかりコスト的に割高となる。
【0010】
例えば、前述の特開平11−267516号公報の開示する方法では、フィルムの接着には比較的量産性が見込めるが、フィルム自体の製造ではフィルムの光触媒による劣化分解を防ぐために前記のとおりバリア層を備えた2層構造になっている。
【0011】
また、特開平11−350434号公報に開示された方法は、あくまでも成型品への固定であり、十分な接着も得られにくく、さらに後加工は考慮されていない。
さらに基材上に形成した酸化チタン等を含む薄膜には、干渉色いわゆる虹彩現象が発生しやすい。干渉色は製品の意匠上の問題になることが多く、これを防ぐためには酸化チタンを含む薄膜の厚みを約0.1 ミクロン以下あるいは約1.0 ミクロン以上にする必要がある。
【0012】
しかし、酸化チタン含有薄膜は厚みを大きくとるほど、剥離しやすくなり、また厚みを多くとるため塗料がその分多量に必要になり、不経済である。逆に薄くすると十分な活性が得られない。
【0013】
本発明の課題は、様々な用途、形態、さらには形状の光触媒製品を安価に提供すべく、光触媒機能を付与した素材であって、光触媒膜を固定した後でも任意な形状に加工可能であり、コイル状、板状等での供給が可能など量産性に優れた素材を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、かかる課題を解決すべく、種々検討を重ねた結果、そのような素材としては、金属材が最適であることに着目した。しかし、金属材の表面に直接光触媒皮膜を設けるには、問題がある。実際、鋼板に各種皮膜を設けたが、いずれも剥離が問題となり、また光触媒の作用による有機質の材質劣化も問題となることが判明した。
【0015】
そこで、さらに検討を重ね、金属基体上に直接に光触媒を担持させるのではなく、別種のガラス繊維のようなフレキブルな素材に別途光触媒を担持させ、そして、それをさらに金属基体に支持させることで、曲げ成形などを行っても金属基体上に常に光触媒層が保持できることを知ったのである。
【0016】
しかも予想外にも、ある厚みでもって光触媒層( 繊維層) を金属基材に接合させることで、曲げ成形に際しても、光触媒層は剥離することも亀裂が入ることもなく、かなりの加工に耐えることが判明した。つまり、そのように金属基材に接合された光触媒層は素材として金属基体と同等の加工性を備えていることが判明したのである。併せて、金属素材の上に有機皮膜を設けても、また接着剤として有機系接着剤を用いても、ガラス繊維を用いたことと上記光触媒層の存在とが相まってそのような有機質の部位にまで光が到達することがなく、結局、光触媒機能による材質劣化は見られないことが分かった。
【0017】
さらにかかる素材は、量産性に優れており、バリア被膜を形成させる必要がなく、十分に膜厚の薄い酸化チタンでも干渉色(縞)がなく、また不燃性材料としても使用可能となる。
【0018】
かくして、本発明によれば、ガラス繊維集合体では、構成する各繊維は自由に動け、優れた柔軟性を持つことから、金属基材と接合した後、曲げ、絞りなどの加工を施しても、その柔軟性が金属基材の変形に追従するため、加工性は良好であり、繊維に固定化した光触媒被膜に剥離などが及ぶことはない。従って、コイル状、板状等で供給でき、量産性に優れるなど、成形用素材として有用性を備えている。
【0019】
さらに本発明によれば、ガラス繊維集合体が接合された金属基材が塗装鋼板など、その表面が有機物を含んだり、あるいは金属基材との接合に有機系の接着剤を用いても、それらが分解されることはない。これは、ガラス繊維集合体中に密に存在する繊維に固定化された光触媒によって、光は集合体内部で完全に吸収しつくされ、裏面(集合体底部)に位置する金属基材の有機塗膜や接着剤にまで光分解作用は及ばないためである。従って、ガラス繊維集合体と金属基材間にバリア膜やバリア層などの設置は基本的には必要ない。もちろんガラス繊維自体へ直接光触媒材料を被覆する段階でもバリア層などは必要ない。
【0020】
干渉色については、光触媒を薄膜固定したガラス繊維では内部で光が乱反射するため1ミクロン以下の薄い膜厚でも干渉色(縞)が発生することはなく、意匠性にも優れている。
【0021】
またガラス繊維集合体およびそれを被覆する光触媒は不燃性であるため、本発明にかかる多機能の金属材は、金属基材の材質にもよるが、不燃性、難燃性に優れる。
【0022】
さらにガラス繊維を光触媒薄膜によって連続的に被覆すれば、より光触媒活性が高く、またガラス繊維から酸化チタン薄膜がより脱離、欠落しにくい、高性能な多機能複合金属材が得られる。ここでいう連続的な被覆とは、繊維の一本一本の全面に膜厚がほぼ一定の酸化チタン薄膜による連続面が形成されている事を意味する。
【0023】
加えて本発明にかかる金属素材よれば、視覚的なものではあるが、厚みのあるガラス繊維集合体を接合させるため、金属板だけの場合に比べ表面に立体感が生まれ意匠性にも優れる利点も見られる。
【0024】
ここで本発明の要旨は以下の通りである。
(1)蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成された、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を表面に有するガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合したものからなり、ガラス繊維集合体を構成するガラス繊維の平均繊維径が 5 50 μm ( ただし、 50 μmを除く ) であり、かつ光触媒の薄膜の厚みが平均として 1.0 μm以下であることを特徴とする、光触媒製品成形用の金属材。
【0025】
(2)前記ガラス繊維集合体を構成するガラス繊維が、四塩化チタンまたはチタンアルコキシドを原料とする蒸着法により形成された酸化チタン光触媒の連続膜で被覆されていることを特徴とする上記(1)記載の金属材。
【0026】
(3)平均繊維径が 5 50 μmのガラス繊維(但し、平均繊維径 50 μmのガラス繊維を除く)からなるガラス繊維集合体の表面、厚みが平均として 1.0 μm以下の、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成する工程と、このガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合する工程とを有する光触媒製品成形用の金属材の製造方法。
(4)平均繊維径が 5 50 μmのガラス繊維(但し、平均繊維径 50 μmのガラス繊維を除く)からなるガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合する工程と、この金属基材表面に接合されたガラス繊維集合体の表面、厚みが平均として 1.0 μm以下の、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成する工程とを有する光触媒製品成形用の金属材の製造方法。
【0027】
(5)ガラス繊維集合体の表面光触媒として酸化チタンを含む薄膜を形成する前記工程が、光触媒原料を含む気体をガラス繊維集合体に接触させて、気相成長法によリガラス繊維の表面に光触媒前駆体を蒸着させる工程と、その後熱処理する工程とを有する上記(3)または(4)記載の製造方法。
【0028】
(6)コイル状に巻かれた上記(1)または (2) 載の金属材を巻き戻し、切断加工および成形加工を含む工程を経て光触媒製品に成形する段階を有する光触媒製品の製造方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における各構成要素について具体的に説明する。
ガラス繊維とガラス繊維集合体
本発明にあっては、ガラス繊維集合体に光触媒を担持させるが、このときのガラス繊維としては次のような種類のものを挙げることができる。
【0030】
すなわち、ガラス繊維としては、SiO2を主成分とするガラス、例えば石英ガラス、高石英ガラス、Eガラス、Tガラス、Cガラス、Sガラス、パイレックス(登録商標)等からなるガラス繊維等が使用できる。これらの中から経済性や製造条件、さらには使用環境等から適当なガラス繊維を選べばよい。
【0031】
ガラス繊維(以下、単に繊維という)の平均繊維径は、5〜 50 μmとする。繊維径の選択は、光触媒作用によって分解しようとする処理物質が拡散性の高い気体や液体である時は細いものが好ましい。逆に付着汚れ等の場合は繊維径の太いものを選択することが好ましい。
【0032】
このようなガラス繊維から構成される繊維集合体の形状は、不織布や織布いわゆるクロスなどでも良いし、繊維が無秩序に合わさったガラスウールのようなものでも良い。特に扱い易さから織布(クロス)が好ましい。クロスの織り方は、平織り、綾織り、朱子織等、どのような織り方でも差し支えない。また打ち込み密度、厚さ、引っ張り強度なども限定されないが、打ち込み密度については、縦、横ともに10〜100 本/インチ(24mm)、クロス厚みは0.01〜2.0mm 、その引張り強度は5kgf/インチ(24mm)以上が好ましい。
【0033】
本発明における多機能金属材では、上記繊維集合体の表面の少なくとも片面を酸化チタンなどの光触媒によって被覆する。この際、繊維集合体は無機質であるため、基本的にはバリア膜などを繊維表面に予め形成させる必要はない。ただし、アルカリ成分が多く含まれガラス等では、光触媒塗料などに含まれる酸成分と前記アルカリ成分の反応や、熱処理時にアルカリ成分の光触媒膜への拡散が起き、光触媒性能などが不良になる場合がある。この際はバリア機能を持つシリカなどによって予め被覆する事が好ましい。
光触媒
本発明によれば、ガラス繊維の各表面あるいはガラス繊維集合体の表面には、光触媒が添着されているが、そのときの光触媒としては、次のような種類を挙げることができる。
【0034】
繊維集合体表面を被覆する光触媒については、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム等、公知の光触媒あるいは前記光触媒とバインダー等を含む組成物とすることが考えられるが、本発明では、酸化チタンを含む光触媒が、光触媒活性、価格、安全性等の面からもっとも好ましいので、それを使用する
【0035】
酸化チタンは、非晶質でも結晶質でもよく、これらが混合した物でも良い。結晶質の場合は、アナターゼ型、ルチル型、あるいはそれらが混在したものであってもよい。ただし高い光触媒活性を有する複合材とするには、アナターゼ型の酸化チタンとするのが好ましい。なお、酸化チタンは金属をドープしたり、部分的に酸素欠陥構造とすることにより、可視光によって活性を示すが、本発明においてはそのような酸化チタンを使用することもできる。
【0036】
酸化チタンは単独で用いてもよいが、高活性化や或いは酸化チタン粒子の結着力を高める等の目的で酸化チタンに珪素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物の少なくとも一つを含有させる事ができる。このときの触媒の構造としては、各々の酸化物と酸化チタンが、混合したものであっても良いし、各々の酸化物と酸化チタンが反応し形成された複合酸化物が少なくとも部分的に含有されたものでも良い。この際、母体となる酸化チタンの結晶形態は非晶質であっても良いし、結晶質であっても良い。また含有される金属酸化物や、場合によって生じた複合酸化物についても、その結晶形態は非晶質でも結晶質であっても良い。
【0037】
珪素、ジルコニウム、アルミニウムの酸化物の酸化チタン中への含有量については、チタンに対する各金属(M) 、あるいは2種類以上が混合した際の合計金属について、原子%比(M/Ti)が0.1 〜50%の範囲であるのが好ましい。この範囲外では高い光触媒活性が得られない。M/Ti のより好ましい範囲は1%〜30%である。
【0038】
本発明においては、酸化チタンなど光触媒には、その内部および/または表面にV、Fe、Zn、Ru、Rh、Pt、Ag、PdおよびCuのうちの少なくとも1種の金属および/または金属化合物を含有させることもできる。これらの成分を含有させることにより光触媒性能はさらに高められ、また光触媒にこれらの成分自体の機能、例えばZn、Ag、Cuでは抗菌性を付与することができる。なお、金属化合物としては例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硝酸塩、ハロゲン塩等が挙げられる。
【0039】
このときの光触媒、例えば酸化チタン薄膜の膜厚については、その平均として1.0 μm以下とする。膜厚が2.0μmを超えると、膜にクラックが生じたり剥離を起こしやすくなる。また分解対象物質が汚れの場合は、酸化チタンの膜厚増加に依存して、汚れが多く付着しやすい傾向にある。このため弱い光量しか期待できない室内などの環境では、分解に長時間を要し汚れが目立ってしまう。膜厚がその平均として1.0μm以下である範囲では、皮膜割れ、剥離などの少ない良好な光触媒複合材となる。
【0040】
一般的に平板基板上に1.0 μm 以下程度の厚みで酸化チタンなどの光触媒膜を形成させると、干渉色が観測され意匠性を損なう事がある。しかしガラス繊維では前記したように内部で光が乱反射するのでそのような事はない。
【0041】
本発明においては、ガラス繊維集合体を構成する各繊維の表面またはガラス繊維集合体それ自体の表面部分を、蒸着法により形成される光触媒の連続膜で被覆することが好ましい。これにより、基体シートに適宜支持させたとき、より光触媒活性が高く、ガラス繊維から光触媒薄膜がより脱離、欠落しにくい多機能金属材が得られる。この際、酸化チタンの薄膜は、繊維の一本一本に光触媒膜を形成させ、実質的に全面被覆することが好ましい。
基体金属材
本発明にかかる多機能金属材において、光触媒で被覆されたガラス繊維集合体と接合される金属基材の材質は、炭素鋼、メッキ鋼、クロメート処理鋼、琺瑯、ステンレス、アルミ、チタン等が挙げられる。また、少なくともその表面が有機被膜で覆われている塗装鋼板、クリア塗装鋼板等の樹脂塗装鋼板でも基本的にはガラス繊維に被覆した光触媒は、有機被膜に酸化分解力を及ぼさないので、材質は制限される事はない。またその形状も、薄板、厚板、繊維状、網状、筒状、帯状打 (コイル状) など限定されることはない。折り曲げ等の成型加工を前提とする薄板、帯状、繊維状、網状であると、その加工時の光触媒の剥離を防ぐ効果が期待でき、望ましい。
【0042】
本発明の多機能金属材は上記光触媒で被覆したガラス繊維集合体と金属基材が接合されている。このときの接合は、上記した金属板などの基材シートに光触媒で被覆したガラス繊維集合体あるいは非被覆のガラス繊維集合体を接着剤、接着性フィルム、接着剤含浸シートなどによって接着する。 接着剤は光触媒で被覆したガラス繊維集合体と接触することもあるが、前記のように接着剤には光触媒分解作用はほとんど及ばないため、有機系の接着剤を用いてもかまわない。ただし、難燃性を高めたり、光量が極めて高い条件で用いる場合等には無機系の接着剤の利用が好ましい。
【0043】
接着剤の種類は、限定される事はなく、用途、製造方法等に合わせて選べばよい。有機系のものとしては、膠、でんぷん、セラックなどの天然系のもの、エポキシ系、アクリル系、イソシアナート系、酢酸ビニル系、ニトリルゴム系、ポリウレタン系、ポリエステル系、フッ素系などの合成系のものがあげられる。また無機系のものとしては、シリコーン、変性シリコーン、置換性シリコンアルコキシド、アルミナやジルコニアなどを含んだセラミック接着剤、はんだ、銀ろうなどの接着剤が例示できる。また上記接着剤を混合したり、あるいは紙、不織布などを支持体としたフィルム状の接着剤として用いても良い。
【0044】
本発明の多機能金属材においては、意匠性付与等の目的で着色する事が可能である。その方法としては、光触媒で被覆した繊維集合体、金属基材、接着剤の少なくとも一つを着色したものを用いればよい。
【0045】
繊維集合体を着色する際は、色ガラスから成る繊維を少なくとも部分的に用いる、顔料を含んだ着色塗料を用いて着色被膜を繊維上に形成させる、酸化チタン薄膜内に着色顔料を含有させるなど、様々な方法で行うことができる。着色塗料を用いる場合は、酸化チタン被膜の上に着色被膜を直接形成させてもよいが、繊維に予め着色被膜を形成させた後、その上に酸化チタンの連続被膜を形成させた方が、高い光触媒活性を持つ光触媒複合材が得られる事が多い。着色塗料については、含まれる顔料は有機、無機いずれのものでも利用できるが、有機顔料は光触媒の酸化力によって分解される恐れがあるので、無機顔料を含む塗料が好ましい。
【0046】
さらにバインダーなど、着色塗料に含まれる顔料以外の成分もアルミナ、シリコーン樹脂、シリカ、酸化チタンなど難分解性物質であることが同様の理由で好ましい。着色被膜の厚みは、使用する顔料の種類やその隠蔽力などによって変わるが、0.1 ミクロンから100 ミクロンが好ましい。なお、ガラス繊維は本来光沢があるが、酸化チタンによる被覆、あるいは着色によって光沢が損なわれる場合がある。この場合は着色被膜の上に光沢のある被膜を形成させても良い。
【0047】
着色した金属基材を用いる場合は、無色あるいは白色に近い光触媒で被覆したガラス繊維集合体を透かして、あるいはその繊維の隙間から色を覗かせる。色はパステル調になりやすく内装材などとして好ましい形態といえる。着色金属材としては予め所望の着色が施されているカラー塗装鋼板や所望のカラー塗料を事前に金属基材に塗装したものを用いてもよい。
【0048】
更に接着剤に顔料を混ぜたり、着色した接着シート、接着フィルムなどを用いても良い。
次に、本発明にかかる光触媒製品成形用の金属材の製造方法について説明する。
【0049】
図1は、本発明にかかる製造方法を略式で説明する工程図であって、図中、ロール状に巻かれて金属素材10、例えば、適宜めっき鋼板は、巻き戻され、ロール12による接着材の塗布が行なわれる。一方、ガラス繊維20は、例えば蒸着法によって、光触媒が担持される。これについてはすでに説明したところにしたがって行えばよく、これ以上の説明は略す。この光触媒ガラス繊維集合体20は、別途層状とされ、巻き戻され、ラミネートロール22を通過し、金属板10に接合される。
【0050】
ロール22の間の間隔を調整することで、接合圧力を調整でき、同時に光触媒層の密度も調整可能である。
なお、接着剤の硬化のための熱処理は、ラミネートロールを加熱したり、必要に応じて後段に設置した乾燥炉23を通過させて行えばよい。
【0051】
本発明にかかる金属材( 以下、便宜上「多機能金属材」ということもある) は、ガラス繊維集合体に光触媒を塗布する第一工程と、前記繊維集合体を熱処理する第二工程と、得られた繊維集合体を金属基材に接合させる第三工程とを有する方法(製造方法(a)と呼ぶ)、あるいはガラス繊維集合体を金属基材に接合する第一工程と、ガラス繊維集合体が接合した金属基材の少なくともガラス繊維集合体表面に光触媒を塗布する第二工程と、および上記2工程より得られた光触媒で被覆されたガラス繊維集合体が接合された金属基材を熱処理する第三工程とを有する方法(製造方法 (b) と呼ぶ)のいずれでも製造することができる。
【0052】
以下、製造方法(a)および製造方法(b)を順次説明する。
製造方法(a)について
第一工程:
これは、ガラス繊維集合体に光触媒を塗布する工程であって、予め用意された前述のガラス繊維をまとめて集合体とし、その表面、実際には、各繊維の表面に光触媒を塗布、つまり添着する工程である。
【0053】
この工程での光触媒の塗布は、蒸着法、ゾルゲル法、結着剤利用法などの方法で行う事ができる。
光触媒が酸化チタンの場合は、4 塩化チタン、チタンイソプロポキシドやチタンブトキシド等のチタンアルコキシド、硫酸チタン等の酸化チタンの前駆体物質に、必要に応じて水、溶剤、酸触媒等を添加した塗布液を適当な塗布方法で前駆体被膜を形成させた後、熱処理し、酸化チタンの被膜を形成させる。また酸化チタンの微粒子やコロイドを用いる場合は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、シリコンアルコキシド、フッ素樹脂、リン酸塩などの結着作用を持つ物質を混在させた塗布液を塗布することによって光触媒被膜を形成させ、必要に応じて熱処理する。また塗布液には加工性を高めるために潤滑剤、耐光性改善のために顔料などを加えても良い。
【0054】
塗布方法は蒸着やスプレー等の乾式、ディップコート、ロールコートなどの湿式などの方法で行う。
本発明の一つである、繊維一本一本を光触媒薄膜によって連続的に被覆したガラス繊維集合体については、四塩化チタンやチタンアルコキシド等のチタン化合物を原料として蒸着法によって製造することが好ましい。
【0055】
例えば、四塩化チタンを水蒸気の存在下で蒸着を行うと、四塩化チタンの一部が加水分解を受け、高粘性のチタンオキシクロライドなどの酸化チタン前駆体が生成する。この前駆体がガラス繊維表面に付着・堆積する。繊維状に堆積した前駆体は、繊維の予熱による熱、又はその後の繊維の焼成中の熱で、低粘性化し流動し、はぼ均一な厚みの酸化チタン前駆体の連続膜になる。その後の焼成中に、大気中の水分で加水分解が更に進行し、塩酸が脱離し、生成した加水分解物は脱水縮合を繰り返し、最終的には酸化チタンの連続膜が形成される。この成膜過程には、有機物が全く含まれないので焼成時の体積収縮は小さく、クラックや剥離などは起こらない。
【0056】
四塩化チタンを用いて蒸着で酸化チタンを塗布する際の水蒸気濃度は、モル比で混合ガス中に含まれる四塩化チタン濃度の4倍量以下とする。4 倍量を越えると、蒸着前に四塩化チタンの加水分解が不必要に進み、チタン酸化物微粒子が多く発生し、ガラス繊維への接触が不均一になる事がある。なお、水蒸気濃度の下限は、微量でも含まれておれば良い。水蒸気は大気中の水蒸気だけでも良く、或いは水蒸気発生装置から供給してもよい。
第二工程
これは、上述のようにして光触媒が塗布された繊維集合体を熱処理する工程である。
【0057】
光触媒を塗布したガラス繊維集合体は、通常室温から〜1000℃の範囲で熱処理を行う。酸化チタンの場合は、四塩化チタン、チタンアルコキシドあるいはその部分加水分解物などを原料の時は250 ℃から800 ℃の焼成温度が好ましく、この温度範囲で酸化チタンは十分な活性を発現する。さらに300 ℃から650 ℃の温度で熱処理すれば、酸化チタンは微細なアナターゼ結晶となり、より高活性な光触媒活性を持ったガラス繊維集合体を製造することができる。
【0058】
一方、酸化チタン微粒子や酸化チタンコロイド等を結着剤を利用して被覆する場合には、既に酸化チタンは結晶化していることが多く、高い熱処理温度は必要ない。概ね室温から300 ℃までである。この温度範囲で十分な結着作用と光触媒活性を有する光触媒被膜をガラス繊維集合体に形成させることができる。
【0059】
熱処理時間は、温度、薄膜の組成によって異なるが、工業的には120 分以下で行うことが好ましい。また焼成は、基本的には大気中など酸素を含んだ雰囲気で行えばよく、必要に応じて水蒸気を供給しても良い。
【0060】
金属基材にガラス繊維集合体が接合された状態で光触媒を塗布した場合は、金属基材及び接着剤の耐熱性を勘案して熱処理温度、時間を決める必要がある。さらにこの製造方法では、後述の金属基材とガラス繊維集合体のラミネート法などの接合段階での熱を利用して、光触媒塗膜の熱処理を行っても良い。
【0061】
なお、上記の熱処理とは別にガラス繊維集合体は、光触媒を塗布する際に予熱していても良い。予熱によって、剥離やクラック等の軽減、光触媒活性の向上する事できる場合が多い。特に蒸着などの乾式法で塗布する際は予熱効果は顕著である。予熱温度は50〜500 ℃の範囲が好ましい。50℃以下では、予熱の効果がなく、逆に高い場合はガラス繊維自体の強度が低下するからである。最も好ましい範囲は50℃から250 ℃である。また予熱だけによって十分な被膜特性に優れた光触媒被膜が得られる場合は、熱処理は省略しても良い。
【0062】
酸化チタン等の光触媒膜の膜厚は、湿式塗布の場合は塗布の液量をコントロールしたり、塗布工程を複数回繰り返すことで調整できる。乾式塗布方法の場合は、スプレー噴霧量、蒸着量、噴霧時間あるいは基材の滞留時間を調節して膜厚をコントロールする。
【0063】
本発明の多機能金属材は様々な色に着色する事が可能である。着色方法は、前記の通りであるが、着色塗料を用いる場合は、ガラスクロスなどの繊維集合体に直接塗布しても、酸化チタン被膜の上から塗布してもよい。しかし、酸化チタン被膜の上から塗料を塗布すると、光触媒の活性点がいくらか失われ、活性が低下する事がある。そのため予め着色した後、酸化チタンの連続被膜を形成させる方が好ましい。着色塗料はディップ法、スプレー法等適当な方法で塗布すればよいが、スプレーなどの乾式方法で塗布した方が、着色塗膜を平滑にできるので好ましい。塗布後は、熱処理によって塗膜を硬化させればよい。
第三工程:
これは、得られた繊維集合体を金属基材に接合させる工程である。
【0064】
光触媒で被覆したガラス繊維集合体あるいは光触媒を非被覆のガラス繊維集合体と金属板や樹脂シートなどの金属基材との接合方法については、前記載の接着剤等を金属基材表面、および/或いはガラス繊維集合体片面に塗布してから、熱ロールなどで加熱および/または加圧するラミネート法によって行うことができる。また塗装鋼板や樹脂被覆金属板などでは製造時の加熱時の熱を利用してラミネート接合を行っても良い。
【0065】
光触媒で被覆あるいは非被覆のガラス繊維集合体を金属基材に接合させる方法としては、ロールラミネート装置を用いたり、あるいは熱プレス型の装置等を用いる。
【0066】
圧力、テンション、熱処理温度、熱処理時間等の接合条件は、ガラス繊維集合体の材質、編み方、厚みあるいは金属基材の材質、製品の仕様、接着剤の種類等によって、適宜設定すればよい。このようにして密着性、加工性、意匠性等に優れた本発明の多機能金属材を製造する事ができる。
【0067】
製造方法(b)にあっては、上述の各工程を順番を変えて行うことでガラス繊維集合体の集合体としての面の上に光触媒層を設けた複合金属材が得られる。各工程それ自体はすでに述べた通りのようにして行えばよいが、かかる態様での製造方法では、光触媒の塗布工程で塗布液の歩留まりが良く、特に湿式塗布が行いやすい点で前述の製造方法(a)と比較してより効果的に製造が可能となる。
【0068】
本発明にかかる金属材は、光触媒のバンドギャップより高いエネルギーの光を照射することによって、光触媒作用を発現し、様々な有害物質、付着物質などの分解、除去、無害化などに優れた効果を発揮する。
【0069】
この多機能金属材は、大気或いは水の浄化、脱臭、抗菌、抗かび、付着汚れ分解、有害物質の分解などに効果を発揮する環境浄化機能製品として幅広く利用できる。
【0070】
本発明の金属材から切断、曲げ加工、絞り加工等を経て作製された環境浄化機能製品は、例えば壁装材、屋根材、床材、ガードレール、標識、パーティション、ブラインド、家電品、又は汚染物除去用触媒材等の用途に使用できる。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
本発明の金属材5種類(試験No.1〜No.7)及び比較用の金属材2種類(試験No.8、9)を以下の条件で製造した。
【0072】
試験No.1:平織りのE−ガラスのクロス(繊維径約8μm 、クロス厚み0.18mm、大きさ約150mm 角)を試験用ガラス繊維集合体とした。市販の酸化チタンゾル(石原産業製STS-01)に結着剤としてメチルトリエトキシシランおよびシリカゾル(日産化学製スノーテックOL)をSi/Ti 比でそれぞれ15%、25%になるように加え、さらに同量のアルコールを加え塗布液とした。この塗布液をスプレー法によって塗布、ついで室温で1時間、150 ℃で5分間硬化させ、酸化チタン光触媒で被覆したシリカクロスを作製した。
【0073】
このクロスの表面をSEM 観察したところ、酸化チタンの膜厚はおよそ350nm であった。
続いて、金属基材として白色塗装鋼板(厚さ0.3mmt、大きさ100mm 角)を用い、上記光触媒被覆クロスをポリエステル系の接着剤 (東亜合成PES-310S30) を用いて温度150 度で5分間ラミネート加工し、本発明の多機能金属材を得た。
【0074】
この多機能金属材は、干渉縞や色むらはなく、被膜は剥離も認めらず質感も良好であった。
同No.2:試験No.1と同様の条件で、E−ガラスクロスと白色塗装鋼板をラミネート加工し接着させた。その後、試験No.1で用いた光触媒塗布液にアルコールを更に同量加えた液に上記ガラスクロスと白色塗装鋼板の接合体を約2秒間浸漬した。その後室温で1時間、100 ℃で30分間熱処理することによって本発明の光触媒製品成形用の金属材を得た。この金属材は試験No.1と同様に干渉縞や色むらはなく、被膜は剥離も認められず質感も良好であった。またクロス表面をSEM 観察したところ、その酸化チタンの膜自体に被膜割れなどはなく、膜厚は約250nm であった。
【0075】
同No.3:試験No.1で用いたE−ガラスクロスと白色塗装鋼板を市販のシリコーン樹脂系の接着剤(信越シリコーン性KE−45)を用いて軽く接着させ、約10分後試験No.1で用いた光触媒塗布液をスプレー塗布した。その後温度200 度で1分間ラミネート加工し、クロスと塗装鋼板の接着と、その熱を利用しながら光触媒被膜の硬化を行い、本発明の成形用素材としての金属材を得た。
【0076】
この金属材は干渉縞や色むらはなく、被膜は剥離も認められず質感も良好であった。
同No.4:白色塗装鋼板のかわりに表面をサンドペーパー(#200)で研磨したステンレス304 鋼板を用いる以外は、試験No.1と同様の方法で、ステンレス304 鋼板と酸化チタンで被覆したガラスクロスが接合した本発明の多機能金属材を得た。
【0077】
同No.5:チタンテトラブトキシド10部をアルコール15部に溶かした溶液に、硝酸0.4 部、水1.0 部、アルコール15部の混合液を滴下して、酸化チタンのゾル液を作製した。試験材としてT−ガラス繊維よりなる平織りのガラスクロス(クロス厚み0.3mm 、大きさ150mm 角)を用い、これに前記ゾル液をスプレー塗布し、1時間室温で乾燥した後、500 ℃で60分間熱処理した。酸化チタンの膜厚は約300nm であった。
【0078】
この光触媒被覆ガラスクロスを試験No.1と同様の方法で、白色塗装鋼板に接合させ、本発明の多機能金属材を得た。この試験材でも、干渉色や色むらはなく、被膜剥離も認められなかった。
【0079】
同No.6:四塩化チタン(純度99.9999 %)の液体中にアルゴンをバブリングし、発生した四塩化チタンを含む混合ガスを噴霧蒸着装置に誘導した。この装置には同時にH2O/TiCl4 =0.5 になるように水蒸気を含有させた空気を供給した。試験材としてT−ガラス繊維よりなる平織りのガラスクロス(クロス厚み0.3mm 、大きさ150mm 角)とし、このクロスを180 ℃に予熱しながら蒸着装置内に導入し、約300 秒間前記混合ガスと接触させ蒸着を行った。その後、クロスを大気中において400 ℃で1時間熱処理することによって酸化チタン光触媒で被覆したT−ガラスクロスを作製した。
【0080】
このクロスから一部を切り出して、走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察を行ったところ、繊維、表面はクラック、ピンホールなどはなく、酸化チタン膜によって連続的に被覆されていることが確認された。またガラス繊維に形成される酸化チタン薄膜はSEM 観察から350nm 程度であった。
【0081】
この光触媒被覆ガラスクロスを試験No.1と同様の方法で、白色塗装鋼板に接合させ、本発明の多機能金属材を得た。この試験材でも、干渉色や色むらはなく、被膜剥離も認められなかった。
【0082】
同No.7:試験材を綾織りのシリカクロス(繊維系約8.0 μm 、クロス厚み0.6mm 、大きさ約120mm 角)を用いて、蒸着時間を600 秒、クロスの熱処理温度を500 ℃とする以外、試験No.6と同様の方法で、多機能金属材を作製した。
【0083】
光触媒を塗布した時点でクロスから一部を切り出して、走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察を行ったところ、繊維、表面はクラック、ピンホールなどはなく、酸化チタン膜によって連続的に被覆されていることが確認された。またガラス繊維に形成される酸化チタン薄膜はSEM 観察から640nm 程度であった。
【0084】
同No.8:試験No.1で用いた光触媒塗料をスプレー法により前記白色塗装鋼板に塗布、続いて150 ℃で30分間乾燥させる事によって、光触媒薄膜を形成させた。この試験材には、僅かではあるが被膜の剥離が見られた。また、酸化チタン薄膜特有の強い干渉縞も確認された。その酸化チタン被膜の膜厚は、約250nm であった。
【0085】
同No.9:試験No.1で用いた白色塗装鋼板にシリコーン樹脂系のプライマーコート液(固形分10%)をディップ法(引き上げ速度200mm/分)で塗布、100 ℃で30分乾燥させて、プライマー層(バリア膜)を形成させたのち、同じく試験No.1と同様の方法で光触媒被膜を形成させた。この試験材の外観は、剥離などは認められず、被膜は健全であった。しかし、No.8ほどではないものの、僅かに干渉縞が認められた。SEM観察より、この被膜の厚みは2層の合計が約400nmであった。
【0086】
本発明の上記多機能金属材(No.1〜No.7)および比較のための試験材(No.8、9 )について、下記の要領で耐光性試験 [色調 (ΔE)] 、アセトアルデヒドの分解試験、さらに一部のサンプルには接着強度評価試験を行った。
【0087】
耐光性試験:多機能金属材、および比較材をサンシャインウェザーメータによって、200 時間暴露し、耐光性を暴露前後の色差(ΔE)で評価した。
アセトアルデヒド分解試験:多機能金属材、及び比較材を約50mm角の正方形に切り出した評価用サンプルを石英製反応セルに入れ、閉鎖循環ラインに接続した(合計内体積約3.0L)。空気で希釈したアセトアルデヒド(約240ppm)を系内に導入し、循環させながら250W高圧水銀から、UVフィルター(東芝製UV−31)を通して光照射を行った。このとき評価用サンプルの表面の366nm における紫外線強度は0.8mW/cm2 であった。光照射を行いながらアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフを用いて定量した。光触媒性能は一時間後のアセトアルデヒドの除去率から評価した。
【0088】
接着強度評価試験:ガラス繊維集合体と金属板間に設けた接着剤の剥離接着強さについて、JIS K6848 で規定する浮動ローラ法用試験で評価した。
各試験材の製造条件とともに、耐光性試験及びアセトアルデヒド分解試験の結果を表1に示す。
【0089】
表1に示すように、光触媒で被覆したガラス繊維集合体を金属基材にラミネート接合した本発明の多機能金属材では、ΔEは小さく、また試験前後で外観上の変化も認められなかった。これは、繊維集合体表面の光触媒の酸化分解作用が接着剤や塗装鋼板の塗膜面に及ばないことを示している。事実、ガラス繊維集合体と金属基材の密着度にも試験前後で変化はなかった。
【0090】
一方、比較材No.8では、ΔEは大きく、外観上でも光触媒薄膜が粉化し、さらに金属基材とした塗装鋼板の塗装面の光沢がほとんどなくなっている事が確認された。これは、塗装面が光触媒分解作用をもろに受け、劣化、分解したため光触媒薄膜の接着力が低下したためであった。比較材No.9では、ややΔEは高かったものの光触媒被膜自体に大きな変化は見られなかった。
【0091】
従って本発明の多機能金属材は、バリア膜を用いずとも光触媒の酸化分解作用によって基材表面や接着面が劣化することはなく、優れた耐光性を有する事が明らかである。
【0092】
アセトアルデヒドの分解では、本発明の多機能金属材は、いずれも分解率は80%以上であり、光触媒膜を基材表面に形成させた比較材No.8、9 のそれを上回った。これはガラスクロスが微細なガラス繊維から構成されるため、光触媒の担持面積が高いからである。従って本発明の多機能金属材では、通常の光触媒塗布品に比べ優れた環境浄化能力を有することがわかる。
【0093】
接着強度については、ガラス繊維集合体に形成された光触媒が接着剤を分解する可能性があるため、接着直後と耐光性試験 (暴露200 時間) 後の試料(No.1,2,6)について評価した。その結果、試験No.1では接着直後0.35kgf/25mm幅、耐光性試験後0.35kgf/25mm幅、試験No.2では接着直後0.74kgf/25mm幅、耐光性試験後0.72kgf/25mm幅、試験No.6では接着直後0.48kgf/25mm幅、耐光性試験後0.52kgf/25mm幅であった。
【0094】
接着強度は、暴露後もほとんど変わらなかった。このことからガラス繊維集合体上の光触媒によって金属板と繊維集合体の間に位置する接着剤の分解は起こらないことが分かる。
【0095】
加工性試験:
本発明の多機能金属材(試験No.1〜No.7)と比較材8および9について5R曲げ加工した後、曲げ加工部を目視とテープ剥離試験を行うことにより加工性を評価した。
【0096】
本発明の多機能金属材(No.1〜No.7)では、曲げ加工部には剥離、割れ、あるいはその前兆となる白濁等の被膜変質はなく、テープ剥離試験を行っても光触媒膜の剥離はなかった。一方、比較材No.8では、曲げ加工を行うとその曲面はほぼ全面剥離した。比較材No.9では、曲面において被膜の白濁が見られ手で触れると被膜は一部剥離した。テープ剥離試験を行うと、すべて全面剥離した。
【0097】
なお、本発明の多機能金属材(No.1〜No.7)では、加工試験後もガラスクロスと金属基材との密着性は維持されていた。
本発明の多機能金属材では、光触媒活性が高く、また金属基材に接合されたガラスクロスが基材の加工変形に追従できるため、加工性が良好であり、クロス自体にも光触媒膜が強固に密着している。さらに通常では干渉縞が発生するような膜厚でも干渉縞も出ることなく製造時における膜厚管理も容易である。以上のことから、プレコート製品と同様の大量製造が可能であると言える。
【0098】
[実施例2]
実施例1で作製した多機能金属材の防汚性能を評価するため、以下の要領でタバコヤニ分解試験を行った。
【0099】
タバコヤニ分解試験:内容積1m3のステンレス製の専用箱に、4cm角に切り出した試験材(No.1及び2)、比較用として白色塗装鋼板および光触媒非被覆のE−ガラス(無垢)をラミネートした白色塗装鋼板を置いた。密閉した箱内でセブンスター3本に火をつけ、10分間発煙させ、タバコヤニを試験材に付着させた。その後、表面の紫外線強度が0.3mW/cm2 になるようにブラックライトにより光照射し、色差計を用いてΔb値の変化を経時的に追跡した。Δb値は汚れの程度を示し、Δb値が低いと付着汚れは少なく、高いと汚れが大きいことを表す。
【0100】
結果を図2に示す。
光触媒を備えた本発明の多機能金属材では、母材の白色塗装鋼板及び無垢のE−ガラスクロスを接合させた金属材に比べ、初期のタバコヤニの吸着が起こりやすかった。しかし光の照射とともにヤニ汚れは減少し、はぼ120 分で汚れは完全に消えた。
【0101】
一方、比較材では初期の汚れが光照射してもそのままであった。
以上の結果から、無垢の塗装鋼板やガラスクロスは実用下では徐々に汚れが蓄積していく事が推定される。一方、本発明の多機能金属材では汚れが付着しても光分解されるので常に清浄な状態が維持される。即ち優れた防汚性性能を有することは明らかである。
【0102】
[実施例3]
試験No.10 :試験No.1で用いたE−ガラス繊維からなるガラスクロスに市販の無機顔料を含んだセラミック系塗料(日板化学研究所製GA−90薄い青色)、次いでセラミック系の光沢塗料をスプレー塗布した。その後150 ℃で1時間熱処理して着色塗膜を硬化させた。その後、試験No.1と同様の方法で酸化チタンで被覆、白色塗装鋼板にラミネート接合して多機能金属材を得た。この試験材は、光沢のある青に着色しており、質感は良好であった。
【0103】
試験No.11 :試験No.6と同様の方法で酸化チタンで被覆したT−ガラス繊維よりなるガラスクロスを作製した。そのガラスクロスに試験No.10 と同様の方法で着色し、ついで白色塗装鋼板にラミネート接合して青色に着色した多機能金属材を得た。この試験材では、着色被膜を光触媒の上に形成させているため、試験材10に比べ青が強く、質感はより良好であった。また被膜の剥離もなかった。
【0104】
試験No.12 :金属基材として黄色のカラー鋼板を金属基材とする以外、試験No.3と同様の方法で、多機能金属材を作製した。
色彩計で評価すると、L 値、a 値、b 値は白色鋼板を金属基材とした際はそれぞれ91.65 、−0.41、+0.72から、カラー鋼板を金属基材とすることで88.08 、−0.80、+15.10 となった。外観はパステル調の薄黄色、良く知られるサンドベージュ色様であった。
【0105】
試験材No.10 〜12について、実施例1と同様の方法でアセトアルデヒドの分解試験を行った。その結果、除去率は、試験材No.10 では81%、試験材No.11 では65%、試験材No.12 では91%であった。試験材No.10 および11ではクロスを着色した影響により、それぞれ基準となる試験No.1、No.6に比べ除去率が僅かに減少したが、十分な光触媒活性を示した。一方、試験材No.12 では、基準の試験材No.1とほぼ同じ除去率であった。
【0106】
以上のことから、本発明の多機能金属材はガラス繊維集合体、金属基材或いは接着剤を着色させることにより、十分な光触媒性能や被膜特性等を維持したまま、着色可能である。従って、カラーバリエーションが求められる内外装材、ブラインド、パーティションなど様々な用途に好適に素材として利用できる。
【0107】
【表1】
Figure 0004207413
【0108】
【発明の効果】
本発明にかかる光触媒製品の成形用素材としての多機能金属材は、ガラス繊維から構成された繊維集合体と金属基材の接合体であって、前記繊維集合体表面を酸化チタン等の光触媒で被覆されている複合材料である。この多機能金属材では、任意な形状に加工可能であり、コイル状、板状等で供給でき量産性に優れる。またバリア被膜を形成させる必要がなく、さらに光触媒膜による干渉色がなく、同時に不燃性に優れている。この多機能金属材は、光触媒のバンドギャップより高いエネルギーの光を受けて、様々な有害物質、付着物質を分解・除去する光触媒作用を長期に渡って発揮することができる環境浄化機能製品として好適に用いることができ、本発明の方法によって容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光触媒製品成形用の金属素材の製造工程の略式説明図である。
【図2】実施例の結果をまとめて示すグラフである。
【符号の説明】
10:金属板、 12:塗布ロール、 13:接着液、
14:汲み上げロール、 20:光触媒層 (光触媒クロス) 、
22:ラミネートロール、23:乾燥炉

Claims (6)

  1. 蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成された、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を表面に有するガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合したものからなる金属材であって、ガラス繊維集合体を構成するガラス繊維の平均繊維径が5〜50μmであり、かつ前記光触媒の薄膜の厚みが平均として1.0μm以下であることを特徴とする、光触媒製品成形用の金属材 ( 但し、ガラス繊維の平均繊維径が 50 μmであるものを除く )
  2. 前記ガラス繊維集合体を構成するガラス繊維が、四塩化チタンまたはチタンアルコキシドを原料とする蒸着法により形成された酸化チタン光触媒の連続膜で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の金属材。
  3. 平均繊維径が5〜50μmのガラス繊維(但し、平均繊維径 50 μmのガラス繊維を除く)からなるガラス繊維集合体の表面に、厚みが平均として1.0μm以下の、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成する工程と、このガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合する工程とを有する光触媒製品成形用の金属材の製造方法。
  4. 平均繊維径が5〜50μmのガラス繊維(但し、平均繊維径 50 μmのガラス繊維を除く)からなるガラス繊維集合体を金属基材の表面に接合する工程と、この金属基材表面に接合されたガラス繊維集合体の表面に、厚みが平均として1.0μm以下の、光触媒として酸化チタンを含む薄膜を蒸着法、ゾルゲル法、または結着剤利用法により形成する工程とを有する光触媒製品成形用の金属材の製造方法。
  5. ガラス繊維集合体の表面に光触媒として酸化チタンを含む薄膜を形成する前記工程が、光触媒原料を含む気体をガラス繊維集合体に接触させて、気相成長法によリガラス繊維の表面に光触媒前駆体を蒸着させる工程と、その後熱処理する工程とを有する請求項3または4記載の製造方法。
  6. コイル状に巻かれた請求項1又は2に記載の金属材を巻き戻し、切断加工および成形加工を含む工程を経て光触媒製品に成形する段階を有する光触媒製品の製造方法。
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