JP4207287B2 - 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの連続製造方法 - Google Patents

2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの連続製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法に関するものであり、より詳しくは、第一の反応を槽中で行い、該槽中におけるイソブチルアルデヒドの転化率が85%に達する前段の中間反応物を得、引き続き第二の反応を前記槽に連結した反応装置中で行うことによって、イソブチルアルデヒドの転化率が高く、かつ、目的生成物である2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率に優れた2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩基触媒は、アルドール縮合反応等の多くの化合物の合成反応に用いられており、工業的に塩基触媒を用いる反応を行う場合、触媒としては水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属水酸化物や、ナトリウムメトキシドに代表されるアルカリ金属アルコキシド等が広く用いられている。
【0003】
しかし、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属アルコキシドの多くは、反応系内で均一系触媒として作用するため、反応後に触媒除去操作として中和、水洗が必要となる。よって、必然的に多量の廃水が発生し、また、一般に均一系触媒は副生成物が多く生成するため目的生成物の選択率が低い場合が多いという難点がある。
【0004】
一方、固体塩基触媒を用いてアルデヒドからグリコールモノエステルを製造する方法において、固体塩基触媒としてアルカリ土類金属酸化物を用いる例が特開昭58−65245号公報に記載されている。しかし、例えば酸化バリウムのみ或いは酸化マグネシウムのみを用いた反応では触媒活性が小さく、アルカリ土類金属酸化物単体では十分な触媒活性を得ることは困難であった。
【0005】
このように、従来の触媒系では、活性が大きい均一系触媒を用いる場合には多量の廃水が発生し、廃水の発生が小さい不均一系触媒を用いる場合には充分な触媒活性や生成物選択性を得ることが困難であり、単一の触媒系を用いて、活性が大きく、目的生成物の選択率の大きいカルボニル化合物誘導体の製造方法は知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の認識に鑑みて、本発明者らは、触媒として、ナトリウム化合物と、酸化バリウムとから構成され、その重量比を特定範囲に定めた塩基触媒が、イソブチルアルデヒド(IBA)から、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12)を製造する際に、上記のような従来技術における問題がなく、かつ、イソブチルアルデヒドの転化率が高く、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率に優れたものとなることを見いだし、特願平9−213666号として特許出願(以下、先願発明という)をした。
【0007】
この先願発明においては、上記特定の触媒を用いることによって、高いイソブチルアルデヒド転化率で、かつ優れた2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率を達成できることが説明されており、反応方式は、バッチ式でも連続式でも良いという認識はしているが、具体的に実施例においては、上記目的を好適に達成できるバッチ式によって2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造している。
【0008】
本発明者らは、その後、上記先願発明を追試し、その効果を確認する過程において、先願明細書の実施例に開示したバッチ式の製造方法に代えて、運転工数や製品品質の安定性の点から、上記反応を、第一の反応を槽中で行い、該槽中におけるイソブチルアルデヒドの転化率が85%に達する前段の中間反応物を得、引き続き第二の反応を前記槽に連結した反応装置中で行うことによって、目的生成物である2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率に優れた連続的な製造方法が可能であることを見いだし本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される触媒の存在下に、イソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造するに際して、反応を連続的に行い得る方法を提供するものであり、その特徴とするところは、第一の反応を槽中で行い、イソブチルアルデヒドの転化率が所定の域に達する前に第一の反応を終結させ、引き続き、該反応槽に連結された反応装置を用いて第二の反応を行うことにある。
【0010】
すなわち、本発明によれば、ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法において、第一の反応を槽中で行い、該槽中におけるイソブチルアルデヒドの転化率が85%に達する前段の中間反応物を得、引き続き第二の反応を前記槽に連結した反応装置中で行うことを特徴とする2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記第二の反応装置が、前記第一の反応槽よりも小型のパイプリアクターまたは反応槽である上記2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記第二の反応装置が複数連接されている上記2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、前記触媒が、間欠フィードで供給される上記2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、前記反応槽には、撹拌装置が付設されている上記2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、前記触媒が、ナトリウムのアルコキシド、水酸化物及び酸化物からなる群から選ばれる一種以上のナトリウム化合物と、酸化バリウムとから構成され、前記ナトリウム化合物と前記酸化バリウムの重量比(ナトリウム化合物の重量/酸化バリウムの重量)が0.005ないし1の範囲である塩基触媒である上記2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(CS−12)の合成反応は、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(CS−8)と2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(CS−16)へと不均化反応を起こすため、高いイソブチルアルデヒド転化率で高い2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート選択率を達成することが困難であったが、上記先願発明によって提供される特定の塩基触媒を用いることによって、93%のイソブチルアルデヒド転化率、93%の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート選択率という優れた結果を達成することが可能になった。
【0020】
しかしながら、この優れた結果は、上記触媒の採択とバッチ式の反応方式がかみ合ってもたらされるものであり、上記触媒を用いて1つの反応槽で連続的な反応を行ったところ、バッチ式の時のような優れた結果は得られなかった。
【0021】
本発明者らは、パイプリアクターの場合は、高い選択率を維持し得るバッチ式の再現が取りやすい点で、これを用いた連続反応が可能になるものと考え、触媒を固定床とする連続的な製造方法の試験を行った。パイプリアクターとは、通常、二重管になっており、外側の領域がスチームを通したりヒーターを備えた加熱機構であり、内側を反応液が流通するようになっている自明の反応装置である。
【0022】
ところが、触媒の成分であるBaOは嵩比重が約3と重いために、触媒の沈降を防ぐためには、パイプリアクター内の液流速を大きくせざるを得ないということがわかり、さらに、パイプリアクターを用いた場合には反応に要する滞留時間が60ないし120分ほど必要であることから考えると、実際のパイプリアクターの細さや長さは、とてつもないものになり、工業的に有利に実施し得るものではないことがわかった。
【0023】
一方、反応槽を用いて連続的に上記反応を継続する場合は、反応槽の構造上、撹拌装置が付設できるため、BaOの沈降は防止することができ、容易に連続プロセスとして適用可能なものと考えられる。
しかしながら、実際に反応を連続的に実施してみると、BaO使用量、反応温度、滞留時間等のいずれの条件をコントロールしても、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート選択率は、バッチ式反応に比べて悪くなることが判明した。
【0024】
本発明者らの実験によると、反応槽を用いた場合には、反応を開始してイソブチルアルデヒド転化率を上げて行くと、転化率がほぼ85%に達した後、急激に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率が低下する現象が認められた。この現象は、反応におけるBaO使用量、反応温度、滞留時間等の条件をどのようにコントロールしても同様に現れるものであることもわかった。
【0025】
本発明者らの研究によれば、その理由は、イソブチルアルデヒドの転化率が約85%に達した時点で、その二量体である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(CS−8)や四量体である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(CS−16)の副生成物が生成されるため、目的とする2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率が急激に低下するものであることが判明した。
【0026】
本発明者らは、このような、上記反応の効率的な連続化を求めて研究を継続したところ、第一の反応を反応槽内で行い、イソブチルアルデヒドの転化率が約85%に達する前段で反応槽内における反応を切り上げ、反応液を反応槽に連結したパイプリアクターなどの第二の反応装置に送給し、引き続き反応を継続することにより、95%程度の高い選択率を維持しながら、95%を超えるイソブチルアルデヒドの転化率を示す2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを得ることができるという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0027】
つまり、本発明の特徴は、ナトリウム化合物と、酸化バリウムから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法であって、第一の反応を槽中で行い、引き続き第二の反応を前記槽に連結した反応装置中で行うことにある。ここにおける第一の反応とは、イソブチルアルデヒドの転化率が約85%に達する前段、言い換えれば、CS−8や、CS−16がまだ副生しない時点を意味するものであり、第一の反応が終結した反応液は、引き続き反応槽に連結された第二の反応装置に送給され反応が続行される。
【0028】
第二の反応装置とは、第一の反応で転化率が約85%に達する前段のイソブチルアルデヒド、言い換えれば、CS−8や、CS−16がまだ副生しない時点のイソブチルアルデヒドを、選択率を低下させずに全反応を終結させ、高転化率で、高選択率の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造するためのものであり、第一の反応槽よりも小さい反応装置で十分な第二の反応が達成される。
【0029】
第二の反応装置としては、どのようなものを用いてもよいが、反応効率ならびに装置全体の配置のバランス等の点から、パイプリアクターまたは第一の反応槽よりも小型の反応槽が好適に用いられる。また、第二の反応装置は、単一の装置である必要はなく、複数の装置を連結して用いてもよい。
【0030】
反応槽には、反応中に触媒のBaOが沈殿しないように、撹拌装置が付設されていることが好ましい。また、触媒は、一度に投入したり、連続的に投入してもよいが、この場合は、触媒が投入口に詰まりやすく、その詰まり防止のために、連続計量や連続投入のための特殊で高価な投入装置が必要となることから、一定時間ごとに減少分のみを追加する形で投入する間欠フィードによる方法が経済的に優れている。
【0031】
本発明の塩基触媒は、ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される。
本発明で用いるナトリウム化合物は、ナトリウムアルコキシド、ナトリウム水酸化物及びナトリウム酸化物からなる群から選ばれる。
【0032】
ナトリウムアルコキシドとしては、好ましくはそのアルキル基の炭素数が1ないし12のものが用いられる。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド等が挙げられる
【0035】
本発明の塩基触媒中の前記ナトリウム化合物と酸化バリウムとの重量比は、とくに限定されないが、好ましくはナトリウム化合物/酸化バリウム=0.005ないし1、さらに好ましくは0.01ないし0.5(重量比)である。この比率が小さすぎると塩基触媒全体としての触媒活性が小さくなる傾向にあり、一方、大きすぎると生成物の選択率が低下する傾向にある。
【0036】
本発明のナトリウム化合物は、粉末、粒状、塊状、液状等如何なる形態でもよい。また、本発明の酸化バリウムは、粉末、粒状、塊状等如何なる形態でもよい。これらのうち、液状のナトリウム化合物と固体の酸化バリウムの組み合わせを好ましいものとして挙げることができる。
【0037】
本発明の塩基触媒は、固体の酸化バリウムに、反応系内で液状として作用するナトリウム化合物を適量併用することによって、酸化バリウムの欠点である高コストと抵触媒活性を克服するとともに、ナトリウム化合物の欠点である中和と水洗に伴う多量の廃水の発生を少量に抑制することが可能となり、また目的生成物の低選択性をも克服することができる。
【0038】
構成成分であるナトリウム化合物と酸化バリウムは、各々市販のものをそのまま用いることができる。また、塩基触媒の調製方法については公知の方法、例えば、ナトリウム化合物と酸化バリウムとをそのまま公知の手段で混合する等の方法が用いられる。
【0039】
なお、本発明の塩基触媒は、前記ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成されるものであり、両者を組み合わせて使用する限り、その使用の形態については特に限定されない。例えば、前記ナトリウム化合物と酸化バリウムとを同時に或いは予め混合・調製した後反応系へ一括添加してもよく、また、最初にナトリウム化合物を用いて反応を行い、次いで酸化バリウムを用いて反応を行うといったように、触媒の各成分を二段階に分けて使用する形としてもよい。
【0040】
本発明においては、上記塩基触媒は、イソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する際に用いられるが、この触媒は、一般的な塩基触媒反応において使用することもできる。
【0041】
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法>
本発明は、ナトリウム酸化バリウムとから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法である。使用するナトリウム化合物及び酸化バリウムは、前述した塩基触媒で用いられるものが用いられる。
【0043】
本発明のイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法としては、前記イソブチルアルデヒドを原料として、アルドール縮合反応、ティッシェンコ反応、マイケル付加反応等の塩基触媒の存在下に進行する反応が関与するものが挙げられる。
【0044】
例えば、アルデヒドからグリコールモノエステルを製造する方法、アルデヒドからβ−ヒドロキシアルデヒド又はα,β−不飽和アルデヒドを製造する方法等が挙げられる。よって、本発明の方法で製造される2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートとしては、イソブチルアルデヒドから上記反応により製造されるグリコールモノエステル、β−ヒドロキシアルデヒド、あるいはα,β−不飽和アルデヒド化合物等が挙げられる。
【0046】
なお、原料であるイソブチルアルデヒドは、不純物として含まれる酸及び水が少ないもののほうが好ましいが、酸含有量0.1重量%、水含有量0.1重量%以下であれば充分本発明において使用することができる。
【0047】
本発明の反応は、上記した特定の反応装置を連結した連続方式で行うものであり、反応槽には通常撹拌器を付設して、窒素等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
【0048】
塩基触媒を反応系に添加する方法としては、前述したように、同時投入、連続投入あるいは間欠投入の方法があるが、反応効率の面から言えば、例えば、ナトリウム酸化バリウムとを同時に反応器へ投入するか、或いは予め両者を混合・調製した後反応器へ投入するなど、ナトリウム酸化バリウムとを一括添加し原料イソブチルアルデヒドとともに撹拌して一段階で反応を進行させる方法が好ましいものとして例示できる。なお、経済的に優れた方法として前述した間欠投入の方法も、反応効率が劣るものでないことは確認されている。
【0049】
また、ナトリウム化合物を先に添加し、あとから酸化バリウムを添加するといった二段階に分けた添加方法を採用してもよい。すなわち、反応を前段と後段とに分け、前段で触媒としてナトリウム化合物を用い、後段で酸化バリウムを用いて反応を完結させる方法をとることができる。
ここにおける前段の反応とは、必ずしも、反応槽における反応を意味するものではなく、反応槽における第一の反応を、前段と後段に分けてもよいし、第二の反応装置の反応を前段と後段に分けてもよい。
ただし、酸化バリウムを前段反応に用い、ナトリウム化合物を後段反応に用いると反応活性が小さくなる傾向にあるので好ましくない。
【0050】
このような反応を二段階に分けて別々に触媒を添加する方法(以下、「二段階反応法」という場合がある。)では、次のような利点がある。
すなわち、原料であるイソブチルアルデヒドは少なからず水分を含有しており、添加した触媒がこの水分によって失活するためこれを加味して過剰量の触媒を添加することが必要であり、一方、酸化バリウムナトリウム化合物に比べて高価であることから、当初から酸化バリウムを反応系に添加したのでは過剰量の使用が必要となりコストが嵩むといった問題があった。
【0051】
しかし、本発明の二段階反応法によれば、先ず安価なナトリウム化合物を反応系に添加し、これによって水分をキルした後、酸化バリウムを添加して反応を行うことによって、高価な酸化バリウムの使用量を少量で済ませることができ、経済性に優れたものとなる。また、水分の影響を確実に除去できる等により、従来の方法に比べ、目的生成物への転化率、選択率、収率を再現性よく安定的に得ることができる。
【0052】
二段階反応法において、ナトリウム化合物及び酸化バリウムを添加するタイミングについては、イソブチルアルデヒド化合物の種類、水分含有量等に応じて適宜経験的に定めることができるが、好ましくは、ナトリウムを用いる前段反応工程の反応時間は0.1ないし2時間であり、酸化バリウムを用いる後段反応工程の反応時間は0.2ないし3時間である。よって、各工程がこのような反応時間となるように各触媒成分を添加する時期を定めるのが好ましい。
【0053】
この二段階反応法における触媒のナトリウム化合物と酸化バリウムとの重量比も特に限定されないが、好ましくは、上述した一段階による反応の場合と同様に、ナトリウム化合物/酸化バリウム=0.005ないし1であり、より好ましくは0.01ないし0.5(重量比)である。
【0054】
本発明の製造方法において、一段階反応の場合は、ナトリウム化合物と酸化バリウムとの組合せからなる触媒を、反応液(原料として用いるイソブチルアルデヒド)に対して0.01ないし20重量%の範囲で用いることが可能であり、好ましくは0.05ないし5重量%の範囲であるが、本発明はこれに限定されない。
【0055】
また、前記二段階反応法においては、反応液に対して、ナトリウム化合物は0.001ないし0.1重量%の範囲で使用するのが好ましく、酸化バリウムは0.01ないし10重量%の範囲で使用するのが好ましいが、これに限定されない。
【0056】
本発明の製造方法において、反応槽(第一の反応)における反応温度は、10ないし130℃が好ましく、さらに好ましくは50ないし100℃であり、第二の反応装置における反応温度は、10ないし130℃が好ましく、さらに好ましくは50ないし100℃であるが、この温度に制限されるものではない。
【0057】
また、反応時間(滞留時間)は、反応温度や流量などによっても異なるが、通常、反応槽においては、0.2ないし5hr、好ましくは0.2ないし3hr、第二の反応装置においては、0.2ないし5hr、好ましくは0.2ないし3hrが一応の目安となる。
【0058】
反応後、反応液から目的物を得るには、例えば反応液を極少量の水で水洗し公知の方法にて蒸留すればよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造するに際して、特定の装置を組み合わせ、第一の反応と第二の反応を異なる装置で連続的に行うことにより、イソブチルアルデヒドの転化率が高く、かつ、目的生成物である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの選択率に優れた2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造することが可能になる。
【0060】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0061】
<実施例1ないし11・比較例1ないし6>
酸化バリウム(BaO、和光純薬製)0.6gにナトリウムメトキシド(MeONa、和光純薬製)0.08gを加え、全量を、撹拌装置を備えた容量1リットルの反応槽に移した。これにイソブチルアルデヒド600gを加えて撹拌し反応を開始した。
槽(第一の反応)ならびに第二の反応装置での反応条件を、目的生成物の選択率と併せて表1、表2に示した。なお、表1は、第二の反応装置としてパイプリアクターを用いた場合のもので、表2は、第二の反応装置として、容量100ccの槽型反応器を用いた場合の例を示している。
【0062】
【表1】
Figure 0004207287
【0063】
【表2】
Figure 0004207287

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に記載した反応を反応方式を異ならせて実施した場合の、CS−12選択率とIBA転化率の結果を表すグラフである。
グラフ中、槽型反応装置を用いた連続反応を・・・・・・・・・・■
先願発明におけるバッチ式反応を・・・・・・・・・・◆
本願発明の槽+パイプリアクターを併用した反応を・・●
2槽を用いた連続反応を・・・・・・・・・・・・・・▲
で示した。

Claims (6)

  1. ナトリウム化合物と酸化バリウムとから構成される触媒の存在下にイソブチルアルデヒドから2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートを製造する方法において、第一の反応を槽中で行い、該槽中におけるイソブチルアルデヒドの転化率が85%に達する前段の中間反応物を得、引き続き第二の反応を前記槽に連結した反応装置中で行うことを特徴とする2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
  2. 前記第二の反応装置が、前記第一の反応槽よりも小型のパイプリアクターまたは反応槽である請求項1記載の2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
  3. 前記第二の反応装置が複数連接されている請求項記載の2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
  4. 前記触媒が、間欠フィードで供給される請求項1記載の2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
  5. 前記反応槽には、撹拌装置が付設されている請求項1ないしのいずれか1記載の2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
  6. 前記触媒が、ナトリウムのアルコキシド、水酸化物及び酸化物からなる群から選ばれる一種以上のナトリウム化合物と、酸化バリウムとから構成され、前記ナトリウムと前記酸化バリウムの重量比(ナトリウム化合物の重量/酸化バリウムの重量)が0.005ないし1の範囲である塩基触媒である請求項1記載の2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの製造方法。
JP04321599A 1999-02-22 1999-02-22 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの連続製造方法 Expired - Lifetime JP4207287B2 (ja)

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