JPH08143500A - ヒドロキシアルカナールの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルカナールの製造方法

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JPH08143500A
JPH08143500A JP6288307A JP28830794A JPH08143500A JP H08143500 A JPH08143500 A JP H08143500A JP 6288307 A JP6288307 A JP 6288307A JP 28830794 A JP28830794 A JP 28830794A JP H08143500 A JPH08143500 A JP H08143500A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化4】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
基を表す)で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在
下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを製
造する方法において、上記反応系にアルコール類を添加
する。アルコール類の不飽和アルデヒドに対する添加量
は、 0.001重量%〜10重量%の範囲内が好ましい。 【効果】 反応系に添加されるアルコール類により、反
応生成物であるヒドロキシアルカナールの逐次反応(副
反応)が抑制されるため、高濃度の不飽和アルデヒド水
溶液を用いた場合においても、ヒドロキシアルカナール
を高選択率で製造することができる。即ち、工業的に有
利となる高濃度の不飽和アルデヒド水溶液を反応させる
ことができるので、ヒドロキシアルカナールの生産性を
向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不飽和アルデヒドを触
媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナ
ールを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、不飽和アルデヒドの一種
であるアクロレインを触媒の存在下、水溶液中で水和さ
せて、ヒドロキシアルカナールの一種である3-ヒドロキ
シプロパナール(3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド)
を得る方法として、以下に示すような種々の製造方法が
知られている。
【0003】即ち、米国特許第 2,434,110号には、例え
ば硫酸等の鉱酸を上記反応系における酸性均一触媒とし
て用いる方法が開示されている。ところが、この方法
は、3-ヒドロキシプロパナールの選択率が低く、該3-ヒ
ドロキシプロパナールを効率的に製造できないという欠
点を有している。また、均一触媒と3-ヒドロキシプロパ
ナールとの分離、および、該触媒の再使用が困難となっ
ている。
【0004】そこで、上記の欠点を解消し、3-ヒドロキ
シプロパナールの選択率を向上させる方法として、米国
特許第 3,536,763号には、酸性イオン交換樹脂を上記反
応系における酸性不均一触媒として用いる方法が開示さ
れている。特開平3-135932号(独特許第 3926136.0
号)、特開平4-300844号(独特許第 4038192.7号)に
は、ホスホン基やアミノ基、アミノホスホン基を有する
イオン交換樹脂を上記反応系における酸性不均一触媒と
して用いる方法が開示されている。特開平5-194291号
(米国特許第 735,391号)には、アルミナ結合ゼオライ
トを上記反応系における酸性不均一触媒として用いる方
法が開示されている。特開平5-221912号(独特許第 413
8982.4号)には、リン酸を担持させたTiO2 を上記反
応系における酸性不均一触媒として用いる方法が開示さ
れている。また、特開平5-279285号(独特許第 413898
1.6号)には、酸性触媒の存在下、カルボン酸と三級ア
ミンとを含有する緩衝液を用いて上記反応を行う方法が
開示されている。
【0005】これらの方法においては、原料であるアク
ロレインの水溶液中における濃度が低い(凡そ20重量%
未満)場合には、3-ヒドロキシプロパナールへの選択性
が良好であり、従って、3-ヒドロキシプロパナールが高
選択率で得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発
明者等の検討によれば、上記従来の方法においては、ア
クロレインの濃度が高い(凡そ20重量%以上)場合、即
ち、工業的に有利となる高濃度のアクロレイン水溶液を
反応させた場合には、反応生成物である3-ヒドロキシプ
ロパナールがアルデヒド基を有しているため、該3-ヒド
ロキシプロパナールの逐次反応(副反応)が活発に起こ
ることがわかった。つまり、アクロレインから3-ヒドロ
キシプロパナールへの選択性の低下が見られ、従って、
該3-ヒドロキシプロパナールの選択率が低下するという
欠点を有している。このため、上記従来の製造方法は、
水溶液中のアクロレインを高濃度にして3-ヒドロキシプ
ロパナールの生産性を向上させることができないので、
工業的な観点から満足の得られる方法ではないことが判
明した。
【0007】本発明の目的は、前述した問題点を解決
し、工業的に有利となる高濃度の不飽和アルデヒド水溶
液を用いた場合においても、ヒドロキシアルカナールを
高選択率で製造することができる製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、不飽和
アルデヒドを触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒド
ロキシアルカナールを製造する方法について鋭意検討し
た結果、上記反応系にアルコール類を添加することによ
り、ヒドロキシアルカナールの逐次反応が抑制されるこ
とを見い出した。つまり、アルコール類を添加すること
により、工業的に有利となる高濃度の不飽和アルデヒド
水溶液を用いて、ヒドロキシアルカナールが高選択率で
得られることを見い出して、本発明を完成させるに至っ
た。
【0009】即ち、請求項1記載の発明のヒドロキシア
ルカナールの製造方法は、上記の課題を解決するため
に、一般式(I)
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜
5の炭化水素基を表す)で表される不飽和アルデヒドを
触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカ
ナールを製造する方法において、上記反応系にアルコー
ル類を添加することを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、アルコール類の不飽和アルデヒドに対する添加量
が、 0.001重量%〜10重量%の範囲内であることを特徴
としている。
【0013】請求項3記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1または2記載のヒドロキシアルカナールの製造方法
において、アルコール類が二価アルコールであることを
特徴としている。
【0014】請求項4記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1、2または3記載のヒドロキシアルカナールの製造
方法において、不飽和アルデヒドがアクロレインである
ことを特徴としている。
【0015】請求項5記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項4記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、アルコール類が1,3-プロパンジオールであることを
特徴としている。
【0016】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて原料として用いられる前記一般式(I) で表される
不飽和アルデヒド(2-アルケナール)は、特に限定され
るものではないが、式中、Rで示される置換基が水素原
子または炭素数1〜5の炭化水素基で構成されているも
のであり、炭化水素基とは、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、アミル基である。上記の不飽和アル
デヒドとしては、具体的には、例えば、アクロレイン、
メタクロレイン、2-ホルミル -1-ブテン、2-ホルミル -
1-ペンテン、2-ホルミル-1-ヘキセン、2-ホルミル -1-
ヘプテン等が挙げられる。そして、これら不飽和アルデ
ヒドのうち、アクロレインが好適である。
【0017】本発明の方法によれば、これら不飽和アル
デヒドから、それぞれ対応する2-ヒドロキシアルカナー
ルまたは3-ヒドロキシアルカナールが選択的に得られ
る。つまり、前記一般式(I) 中、Rで示される置換基が
水素原子であるアクロレインからは、3-ヒドロキシアル
カナールである3-ヒドロキシプロパナール(3-ヒドロキ
シプロピオンアルデヒド)が選択的に得られる一方、R
で示される置換基が炭化水素基である不飽和アルデヒド
からは、2-ヒドロキシアルカナールが選択的に得られ
る。尚、不飽和アルデヒドとしてアクロレインを用いた
場合に得られる3-ヒドロキシプロパナールは、1,3-プロ
パンジオールを製造する工業原料として重要である。
【0018】不飽和アルデヒドの水溶液中における濃度
(以下、単に濃度と称する)は、不飽和アルデヒドの水
に対する溶解度や反応温度等にもよるが、5重量%〜飽
和濃度の範囲内が好ましく、5重量%〜50重量%の範囲
内がより好ましく、20重量%〜50重量%の範囲内がさら
に好ましく、25重量%〜40重量%の範囲内が最も好まし
い。不飽和アルデヒドの濃度が5重量%よりも低い場合
には、ヒドロキシアルカナールの生産効率が低下するた
め、好ましくない。また、不飽和アルデヒドの濃度を飽
和濃度よりも高くすると、溶解しない不飽和アルデヒド
の重合反応等が起こり、ヒドロキシアルカナールへの選
択性が低下するため、好ましくない。
【0019】本発明において使用される触媒としては、
一般に不飽和アルデヒドの水和反応に好適に使用可能な
触媒であれば、特に限定されるものではない。具体的に
は、例えば、イオン交換樹脂、(メタ)アクリル酸−
(メタ)アクリルアミド共重合体、ゼオライト等の固体
状無機物等の不均一触媒や、(メタ)アクリル酸、酢酸
等の有機酸、鉱酸、酸−塩基緩衝液等の均一触媒が挙げ
られる。これら触媒のうち、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、不飽和アルデヒドに対する触媒の使用量は、特に限
定されるものではなく、例えば触媒の種類等に応じて、
適宜設定すればよい。また、触媒の調製方法は、特に限
定されるものではない。
【0020】本発明において反応系に添加されるアルコ
ール類は、特に限定されるものではないが、一価アルコ
ールまたは多価アルコールを用いることができ、このう
ち、二価アルコールが好ましい。上記のアルコール類と
しては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,
3-プロパンジオール、2-メチル -1,2-プロパンジオー
ル、2-メチル -1,2-ブタンジオール、2-メチル -1,2-ペ
ンタンジオール、2-メチル -1,2-ヘキサンジオール、2-
メチル -1,2-ヘプタンジオール等が挙げられる。
【0021】そして、不飽和アルデヒドとしてアクロレ
インを用いる場合には、目的物である3-ヒドロキシプロ
パナールから誘導されるアルコール類としての1,3-プロ
パンジオールが好ましい。つまり、例えば、アクロレイ
ンを水和して3-ヒドロキシプロパナールを合成し、さら
に3-ヒドロキシプロパナールを水素化して1,3-プロパン
ジオールを製造する場合には、水和反応を行った後、反
応生成物である3-ヒドロキシプロパナールにアルコール
類としての1,3-プロパンジオールが混入していても、両
者を分離する必要がないので好ましい。同様の理由によ
り、例えば不飽和アルデヒドとしてメタクロレインを用
いる場合には、アルコール類としての2-メチル -1,2-プ
ロパンジオールが好ましい。
【0022】不飽和アルデヒドに対するアルコール類の
添加量は、アルコール類の種類等にもよるが、 0.001重
量%〜10重量%の範囲内が好ましく、0.01重量%〜5重
量%の範囲内がより好ましく、 0.1重量%〜2重量%の
範囲内がさらに好ましく、1重量%程度が最も好まし
い。アルコール類の添加量が 0.001重量%よりも少ない
場合には、該アルコール類を添加する効果が充分に発揮
されないため、好ましくない。また、アルコール類の添
加量が10重量%よりも多い場合には、ヒドロキシアルカ
ナールの収率が低下するため、好ましくない。
【0023】尚、本発明において反応系に添加されるア
ルコール類が、極めて少量であっても、不飽和アルデヒ
ドからヒドロキシアルカナールを合成する反応に、優れ
た作用・効果を示す詳細な理由は明らかではないが、反
応生成物であるヒドロキシアルカナールの逐次反応(副
反応)が、アルコール類の添加により抑制されるためで
はないかと推察される。
【0024】反応温度は、特に限定されるものではない
が、50℃〜 250℃が好適であり、例えば、不飽和アルデ
ヒドとしてアクロレインを用いる場合には、50℃〜 140
℃が好ましい。反応温度が50℃未満の場合には、反応速
度が遅くなり、水和反応に時間が掛かるため経済的でな
く、また、反応温度が 250℃を越える場合には、不飽和
アルデヒドの重合等の副反応が起こり、ヒドロキシアル
カナールの収率低下を招くため、好ましくない。
【0025】本発明は、回分方式、半回分方式、連続方
式の何れの方式を採用して行ってもよいが、反応系を密
閉系とすることが好ましい。反応系を密閉系とする場合
における反応圧力は、特に限定されるものではないが、
1kg/cm2〜20kg/cm2が好適である。また、不飽和アルデ
ヒドの沸点未満の温度で反応を行う場合においても、不
飽和アルデヒドの蒸気圧等を考慮に入れて、反応系に1
kg/cm2〜5kg/cm2程度の反応圧力を掛けることが好まし
い。上記の反応圧力は、例えば、反応容器に、反応系に
対して不活性なガス(例えばN2 ガスやHeガス等)を
充填することにより掛けてもよい。反応圧力は、高圧の
方が不飽和アルデヒドの水への溶解量が多くなり、ヒド
ロキシアルカナールの収率が高くなる反面、反応装置の
耐圧構造をより強固なものとしなければならず、装置の
大型化を招く等の不利を生じる。従って、反応圧力は、
上記両者のバランスを考慮に入れて設定すればよい。
【0026】反応終了後、濾過、蒸留等の簡単な分離操
作で、添加したアルコール類を含むヒドロキシアルカナ
ール水溶液を容易に得ることができる。また、目的物で
あるヒドロキシアルカナールのみを含む水溶液も容易に
得ることができる。さらに、所望すれば、ヒドロキシア
ルカナールを容易に単離することができる。そして、例
えば、ヒドロキシアルカナールとしての3-ヒドロキシア
ルカナールを例に挙げると、実際に、3-ヒドロキシアル
カナールは水溶液中では、ヘミアセタール体およびアセ
タール体として存在している可能性がある。しかしなが
ら、これらは、3-ヒドロキシアルカナールに容易に変換
することができる。また、ヒドロキシアルカナールは、
アルコール類の共存下でも、相当するアルコールのヘミ
アセタール体およびアセタール体として存在している可
能性があるが、これらは、ヒドロキシアルカナールに容
易に変換することができる。
【0027】
【作用】上記の方法によれば、反応系に添加されるアル
コール類により、反応生成物であるヒドロキシアルカナ
ールの逐次反応(副反応)が抑制されるため、高濃度の
不飽和アルデヒド水溶液を用いた場合においても、ヒド
ロキシアルカナールを高選択率で製造することができ
る。即ち、工業的に有利となる高濃度の不飽和アルデヒ
ド水溶液を反応させることができるので、ヒドロキシア
ルカナールの生産性を向上させることができる。
【0028】以下、実施例および比較例により、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何
ら限定されるものではない。尚、前記一般式(I) で表さ
れる不飽和アルデヒドの転化率、および、ヒドロキシア
ルカナールの選択率は、次の定義に従うものとする。
【0029】不飽和アルデヒドの転化率(%)=(消費
された不飽和アルデヒドのモル数/供給した不飽和アル
デヒドのモル数)× 100 ヒドロキシアルカナールの選択率(%)=(ヒドロキシ
アルカナールに転化した不飽和アルデヒドのモル数/消
費された不飽和アルデヒドのモル数)× 100 ヒドロキシアルカナール2量体の選択率(%)=(ヒド
ロキシアルカナール2量体に転化した不飽和アルデヒド
のモル数/消費された不飽和アルデヒドのモル数)× 1
00 不飽和アルデヒド、ヒドロキシアルカナール、およびヒ
ドロキシアルカナール2量体は、ガスクロマトグラフィ
ー(GC)等の公知の方法で定量できるが、本発明にお
いてはガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕温度計および攪拌装置等を備えた反応容器
に所定量の水を入れた後、水溶液中における濃度が17重
量%となるように不飽和アルデヒドとしてのアクロレイ
ンを所定量仕込んだ。次に、上記の水溶液に触媒として
のイオン交換樹脂を所定量加え、さらに、アルコール類
としての1,3-プロパンジオールをアクロレインに対して
1.3重量%添加した。上記のイオン交換樹脂としては、
デュオライト(商品名(Duolite)、レム・アンド・ハー
ス社(Rohm & Haas Co.)製)を用いた。また、上記のイ
オン交換樹脂における鉛の担持量は、5重量%以下の所
定の値に調製した。
【0031】上記の反応溶液を、撹拌しながら60℃で3
時間反応させることにより、アクロレインを水和した。
反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液を所定の方法
により分析した結果、アクロレインの転化率は60%であ
り、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は87%、
3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は12%であ
り、両者の選択率を合計したヒドロキシアルカナールと
しての選択率は99%であった。
【0032】尚、上記と同様の水和反応を行うことによ
り、3-ヒドロキシプロパナール 8.1重量%、および、3-
ヒドロキシプロパナール2量体 1.3重量%を含む水溶液
を調製した。そして、この水溶液に公知のラネーニッケ
ル触媒を添加し、3-ヒドロキシプロパナールおよび3-ヒ
ドロキシプロパナール2量体の水素化を行った。反応条
件は、水素圧を 100kg/cm2、反応温度を60℃、反応時間
を6時間とした。反応終了後、この水溶液を分析した結
果、3-ヒドロキシプロパナールおよび3-ヒドロキシプロ
パナール2量体の合計量に相当する1,3-プロパンジオー
ルの生成が認められた。即ち、1,3-プロパンジオールが
定量的に生成した。このことから、3-ヒドロキシプロパ
ナール2量体は、従来公知の水素化によって、1,3-プロ
パンジオールに変換されることがわかった。
【0033】〔実施例2〕実施例1における不飽和アル
デヒドとしてのアクロレインの濃度を17重量%から29重
量%に変更し、反応時間を4時間とした以外は実施例1
と同様の反応、分析を行った。その結果、アクロレイン
の転化率は40%であり、また、3-ヒドロキシプロパナー
ルの選択率は67%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の
選択率は19%であり、両者を合計した選択率は86%であ
った。
【0034】〔比較例1〕実施例1におけるアルコール
類としての1,3-プロパンジオールを用いない以外は実施
例1と同様の反応、分析を行った。その結果、アクロレ
インの転化率は55%であり、また、3-ヒドロキシプロパ
ナールの選択率は79%、3-ヒドロキシプロパナール2量
体の選択率は10%であり、両者を合計した選択率は89%
であった。
【0035】〔比較例2〕実施例2におけるアルコール
類としての1,3-プロパンジオールを用いず、反応時間を
3時間とした以外は実施例2と同様の反応、分析を行っ
た。その結果、アクロレインの転化率は43%であり、ま
た、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は59%、3-ヒド
ロキシプロパナール2量体の選択率は15%であり、両者
を合計した選択率は74%であった。そして、3-ヒドロキ
シプロパナールの逐次反応による生成物が多量に生成し
た。
【0036】これらの結果から明らかなように、本実施
例の方法によれば、反応溶液に添加される1,3-プロパン
ジオールにより、反応生成物である3-ヒドロキシプロパ
ナールの逐次反応が抑制されるため、高濃度のアクロレ
イン水溶液を用いた場合においても、3-ヒドロキシプロ
パナールを高選択率で得ることができた。
【0037】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のヒドロキシアル
カナールの製造方法は、以上のように、一般式(I)
【0038】
【化3】
【0039】(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜
5の炭化水素基を表す)で表される不飽和アルデヒドを
触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカ
ナールを製造する方法において、上記反応系にアルコー
ル類を添加する方法である。
【0040】本発明の請求項2記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、アルコール類の不
飽和アルデヒドに対する添加量が、 0.001重量%〜10重
量%の範囲内である方法である。
【0041】本発明の請求項3記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、アルコール類が二
価アルコールである方法である。
【0042】本発明の請求項4記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、不飽和アルデヒド
がアクロレインである方法である。
【0043】本発明の請求項5記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、アルコール類が1,
3-プロパンジオールである方法である。
【0044】上記の方法によれば、反応系に添加される
アルコール類により、反応生成物であるヒドロキシアル
カナールの逐次反応(副反応)が抑制されるため、高濃
度の不飽和アルデヒド水溶液を用いた場合においても、
ヒドロキシアルカナールを高選択率で製造することがで
きる。即ち、工業的に有利となる高濃度の不飽和アルデ
ヒド水溶液を反応させることができるので、ヒドロキシ
アルカナールの生産性を向上させることができる。従っ
て、上記の方法は、ヒドロキシアルカナールの製造方法
として好適に使用されるという効果を奏する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
    基を表す)で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在
    下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを製
    造する方法において、 上記反応系にアルコール類を添加することを特徴とする
    ヒドロキシアルカナールの製造方法。
  2. 【請求項2】アルコール類の不飽和アルデヒドに対する
    添加量が、 0.001重量%〜10重量%の範囲内であること
    を特徴とする請求項1記載のヒドロキシアルカナールの
    製造方法。
  3. 【請求項3】アルコール類が二価アルコールであること
    を特徴とする請求項1または2記載のヒドロキシアルカ
    ナールの製造方法。
  4. 【請求項4】不飽和アルデヒドがアクロレインであるこ
    とを特徴とする請求項1、2または3記載のヒドロキシ
    アルカナールの製造方法。
  5. 【請求項5】アルコール類が1,3-プロパンジオールであ
    ることを特徴とする請求項4記載のヒドロキシアルカナ
    ールの製造方法。
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