JP4207097B2 - 結像特性の誤差解析方法及び投影露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等を製造するためリソグラフィ工程で用いられる投影露光装置の結像特性の誤差解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンの像を投影光学系を介して基板としてのレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上の各ショット領域に転写する投影露光装置が使用されている。従来は、投影露光装置として、所謂ステップ・アンド・リピート方式(一括露光型)の投影露光装置(ステッパー)が多用されていたが、最近ではレチクルとウエハとを投影光学系に対して同期走査して露光を行うステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)も注目されている。
【0003】
これらの投影露光装置では、微細なパターンを高い解像度で忠実にウエハ上に転写するために、投影光学系の転写忠実度、露光量の誤差、フォーカス誤差(デフォーカス)等の結像特性の誤差をできるだけ低減しておく必要がある。このためには、結像特性最適値、又はこれからの誤差を要因別に求める必要がある。
従来、一括露光型の投影露光装置で結像特性の最適値、又は誤差を求める場合には、露光量やフォーカス位置等を種々に変えて評価用のパターンの像を評価用のウエハに露光するテストプリント法が用いられていた。この場合、露光された像を現像して得られるレジストパターンの形状を走査型電子顕微鏡(SEM)等で計測し、計測結果を所定の基準値と比較することによって最適露光量やベストフォーカス位置、又は線幅誤差等が決定されていた。このように一括露光型では全ての評価用パターンが同時に転写されるため、結像特性の短時間の経時変化の影響はほとんど考慮する必要がなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、走査型露光装置の結像特性を評価するためにテストプリント法を適用した場合、同一時刻に露光されるのはショット領域の一部のみであり、他の部分はその前後に露光されるため、露光中に結像特性の誤差の変化が生じたような場合には、ショット領域内で評価用パターンの像の形状のばらつき(分布)が発生する。この場合、当該ショット領域内の各位置におけるそれぞれの評価用パターンの像の形状を直接基準パターン等と比較するだけでは、結像誤差を要因別に特定することは困難であった。そのため、結像特性の誤差の補正が困難であった。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑み、走査型露光装置において、結像特性の誤差を要因別に特定又は評価できる結像特性の誤差解析方法を提供することを目的とする。また、本発明は、結像特性の誤差を要因別に特定又は評価できる走査型の投影露光装置を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の結像特性の誤差解析方法は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動することにより、そのマスク(R)のパターンの像を投影光学系(PL)を介してその基板(W)上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、その同期移動によってその基板(W)上の複数箇所に転写された複数種類のパターン(51A〜51D)の結像情報をそれぞれ検出し、この検出された複数種類のパターンの結像情報のうち、同一種類のパターンの結像情報を平均化し、同期移動の方向と平行な走査方向及び同期移動の方向と直交する非走査方向の少なくとも一方におけるその平均化された結像情報のばらつきに基づいて、その基板(W)上に形成されたパターンの結像誤差の要因を求めるものである。
【0007】
斯かる本発明の結像特性の誤差解析方法によれば、基板(W)上に転写された複数種類の異なるパターン(51A〜51D)の結像情報から、結像特性の誤差の複数の要因を正確に特定できる。その結像特性を要因別に補正することによって、良好な結像特性が得られる。
この場合、その結像誤差の要因の一例は、投影光学系(PL)による誤差(ディストーション、転写忠実度等)と、露光量誤差と、フォーカス誤差と、マスク(R)と基板(W)との相対位置誤差との少なくとも一つである。
【0008】
また、パターン(51A〜51D)の結像情報の一例は、そのパターン(51A〜51D)の位置とそのパターン(51A〜51D)の形状との少なくとも一方を含むものである。そのパターンの位置情報より投影光学系のディストーション等が求められ、その形状の情報より転写忠実度やフォーカス誤差等が求められる。
【0009】
また、パターン(51A〜51D)の結像情報の他の例は、そのパターン(51A〜51D)の密度、そのパターン(51A〜51D)の方向、及び基板(W)上のレジスト特性の少なくとも一つに依存するものである。
また、複数種類のパターン(51A〜51D)の一例は、互いに密度の異なるパターンを含むものである。
【0010】
この場合、その結像情報に基づいて、基板(W)の露光中における露光量誤差とフォーカス誤差とを評価してもよい。
また、複数種類のパターン(51A〜51D)の他の例は、互いに異なる方向に伸びるパターンを含むものである。
この場合、その結像情報に基づいて、基板(W)の露光中におけるマスク(R)と基板(W)との相対位置誤差を評価してもよい。
また、本発明による別の結像特性の誤差解析方法は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動することにより、そのマスク(R)のパターンの像をその基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、その同期移動によってその基板上に転写された互いに異なる方向に伸びる複数種類のパターン(51A〜51D)の結像情報をそれぞれ検出し、同期移動の方向と平行な走査方向におけるその複数種類のパターンの結像情報の変動に基づいて、その基板の露光中におけるそのマスクとその基板との相対位置誤差を評価するものである。
これによって、結像特性の要因のうちの相対位置誤差を評価できる。
【0011】
この場合、複数種類のパターン(51A〜51D)は、基板(W)の同期移動の方向と平行な走査方向に沿ってその基板(W)上の複数箇所にそれぞれ転写されるとともに、その基板(W)の同期移動の方向と直交する非走査方向に沿ってその基板(W)上の複数箇所にそれぞれ転写され、その走査方向に沿って転写されたパターンの結像情報と、その非走査方向に沿って転写されたパターンの結像情報とを、同一種類のパターン毎にそれぞれ平均化して結像特性の誤差を解析することが望ましい。その走査方向に沿った複数のパターンの結像情報を平均化することによって、その結像特性の時間による変動の影響を軽減できる。
【0012】
また、本発明の第2の結像特性の誤差解析方法は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動することにより、そのマスク(R)のパターンの像をその基板(W)上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、その同期移動によって、その同期移動の方向と平行な走査方向、及びその同期移動の方向と直交する非走査方向に沿ってその基板上に転写された複数種類のパターン(51A〜51D)の結像情報をそれぞれ検出し、この検出結果に基づいて、その非走査方向における複数の位置の結像特性の均一性と、その結像特性の時間的な安定性との少なくとも一方を評価するものである。
これによって、結像特性の誤差を要因別に評価できる。
【0013】
また、複数種類のパターン(51A〜51D)は、その基板(W)の同期移動の方向と平行な走査方向に沿ってその基板(W)上の複数箇所にそれぞれ転写されている場合、この走査方向に沿って転写されたパターンの結像情報に基づいて、その基板(W)の露光中におけるその投影露光装置のシステム誤差を評価することが望ましい。
【0014】
この場合、投影露光装置のシステム誤差は、一例として、基板(W)の露光中の露光量誤差と、その基板(W)の露光中のフォーカス誤差と、その基板(W)の露光中のマスク(R)とその基板(W)との相対位置誤差との少なくとも一つを含むものである。
次に、本発明による第4の結像特性の誤差解析方法は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動することにより、そのマスクのパターンの像をその基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、その同期移動によってその基板上に転写された複数種類のパターン(51A〜51D)の結像情報をそれぞれ検出し、同期移動の方向と平行な走査方向及び同期移動の方向と直交する非走査方向におけるその結像情報のばらつきに基づいて、そのマスクのパターンの像の結像特性の誤差を、そのマスクのパターンの像をその基板上に転写する投影光学系に起因する誤差と、露光量変化による誤差と、フォーカス位置変化による誤差と、そのマスクとその基板との相対位置変化による誤差とに分けて求めるものである。
次に、本発明による投影露光装置は、マスク(R)と基板(W)とを同期移動しながらそのマスク(R)のパターンの像を投影光学系(PL)を介してその基板(W)上に転写する走査型の投影露光装置において、その同期移動によってその基板(W)上に転写された複数種類のパターン(51A〜51D)の結像情報をそれぞれ測定する測定系(36)と、同期移動の方向と平行な走査方向及び同期移動の方向と直交する非走査方向におけるその複数種類のパターンの結像情報のばらつきに基づいて、そのマスク(R)のパターンの像の結像特性の誤差を、その投影光学系(PL)の誤差と、露光量変化による誤差と、フォーカス位置の変化による誤差と、そのマスク(R)とその基板(W)との相対位置変化による誤差とに分けて求める演算装置(44)と、この演算装置(44)の演算結果より求められる誤差に基づいてその結像特性の制御を行う制御系(41)とを有するものである。
【0015】
斯かる本発明の第3の結像特性の誤差解析方法及び投影露光装置によれば、結像特性の誤差を要因別に分けて求めることができる。
更に、求められた誤差を要因別に制御することで良好な結像特性が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態につき図1〜図4を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置で結像特性の誤差解析を行う場合に本発明を適用したものである。
図1は本例で使用されるステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置を示し、この図1において、KrF(波長248nm)、ArF(波長193nm)、又はF2 (波長157nm)等のエキシマレーザ光源よりなる露光光源1から射出された紫外パルス光よりなる露光光ILは、光路折り曲げ用のミラー4で反射された後、第1レンズ8A、光路折り曲げ用のミラー9、及び第2レンズ8Bを介してフライアイレンズ10に入射する。第1レンズ8A、及び第2レンズ8Bより構成されるビーム整形光学系によって、露光光ILの断面形状がフライアイレンズ10の入射面に合わせて整形される。なお、露光光源1としては水銀ランプ等も使用できる。
【0017】
フライアイレンズ10の射出面には、照明系の開口絞り板11が回転自在に配置され、開口絞り板11の回転軸の周りには、通常照明用の円形の開口絞り13A、複数の偏心した小開口よりなる変形照明用の開口絞り13B、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り13C、及び小さい円形の小さいコヒーレンスファクタ(σ値)用の開口絞り13Dが配置されている。そして、装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御系41が、駆動モータ12を介して開口絞り板11を回転することによって、フライアイレンズ10の射出面に所望の照明系開口絞りを配置できるように構成されている。
【0018】
フライアイレンズ10の射出面の開口絞りを通過した露光光ILの一部は、ビームスプリッタ14にて反射された後、集光レンズ15を介して光電検出器よりなるインテグレータセンサ16に入射する。インテグレータセンサ16の検出信号は露光量制御系43に供給され、露光量制御系43は、その検出信号より露光光ILのウエハWの表面での照度(パルスエネルギー)、及びウエハW上の各点での積算露光量を間接的にモニタする。そして、このようにモニタされる照度、又は積算露光量が主制御系41に指示された値になるように、露光量制御系43は露光光源1の出力、及び不図示の光量減衰器での露光光ILの減衰率等を制御する。
【0019】
一方、ビームスプリッタ14を透過した露光光ILは、第1リレーレンズ17Aを経て順次固定視野絞り(レチクルブラインド)18A、及び可動視野絞り18Bを通過する。固定視野絞り18A、及び可動視野絞り18Bは近接して、ほぼ転写対象のレチクルRのパターン面との共役面に配置されている。固定視野絞り18Aは、レチクルR上の矩形の照明領域の形状を規定する視野絞りであり、可動視野絞り18Bは、走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光が行われないように照明領域を閉じるために使用される。
【0020】
固定視野絞り18A、及び可動視野絞り18Bを通過した露光光ILは、第2リレーレンズ17B、光路折り曲げ用のミラー19、及びコンデンサレンズ20を経て、レチクルRのパターン面(下面)に設けられたパターン領域31内の矩形の照明領域21Rを照明する。露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域21R内のパターンは、投影光学系PLを介して所定の投影倍率β(βは1/4,1/5等)でレジストが塗布されたウエハW上の露光領域21Wに縮小投影される。投影光学系PL内のレチクルRのパターン面に対する光学的フーリエ変換面(瞳面)内には開口絞り35が配置されており、開口絞り35によって開口数NAが設定される。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光時の走査方向に沿ってY軸を取り、走査方向に垂直な非走査方向に沿ってX軸を取って説明する。
【0021】
レチクルRはレチクルステージ22上に保持され、レチクルステージ22はレチクルベース23上にリニアモータによってY方向に連続移動できるように載置されている。更に、レチクルステージ22には、レチクルRをX方向、Y方向、回転方向に微動する機構も組み込まれている。一方、ウエハWはウエハホルダ24上に吸着保持され、ウエハホルダ24はウエハWのフォーカス位置(Z方向の位置)及び傾斜角を制御するZチルトステージ25上に固定され、Zチルトステージ25はXYステージ26上に固定され、XYステージ26は例えば送りねじ方式又はリニアモータ方式等によって、ベース27上でZチルトステージ25(ウエハW)をY方向に連続移動すると共に、X方向及びY方向にステッピング移動する。Zチルトステージ25、XYステージ26、及びベース27よりウエハステージ28が構成されている。レチクルステージ22(レチクルR)、及びウエハステージ28(ウエハW)の2次元的な位置はそれぞれ不図示のレーザ干渉計によって高精度に計測され、この計測結果に基づいてステージ駆動系42によってレチクルステージ22及びウエハステージ28の動作が制御されている。
【0022】
ステージ駆動系42から主制御系41に対してレチクルステージ22及びウエハステージ28の位置情報が供給され、主制御系41からステージ駆動系42に対してアライメント情報、及び走査露光のタイミング情報等が供給されている。また、ステージ駆動系42からの各ステージの同期情報によって不図示の駆動系を介して可動視野絞り18Bの開閉も行われる。
【0023】
走査露光時には、レチクルステージ22を介してレチクルRを照明領域21Rに対して+Y方向(又は−Y方向)に速度VRで移動するのと同期して、XYステージ27を介してウエハWを露光領域21Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度β・VR(βはレチクルRからウエハWへの投影倍率)で移動することによって、レチクルRのパターン領域31内のパターン像がウエハW上の1つのショット領域SAに逐次転写される。その後、XYステージ26をステッピングさせてウエハ上の次のショット領域を走査開始位置に移動して、走査露光を行うという動作がステップ・アンド・スキャン方式で繰り返されて、ウエハW上の各ショット領域への露光が行われる。この際に、インテグレータセンサ16の検出信号に基づいて、露光量制御系43が各ショット領域上の各点に対する露光量を所定の目標値に制御する。その目標値はウエハW上のレジストの露光光ILに対する感度(レジスト特性の一例)に応じて定められる。
【0024】
次に、本例の結像特性の誤差解析方法について説明する。本例では、図1のレチクルRとしてX方向、Y方向に所定ピッチで2種類の評価用パターンよりなるパターンユニットが形成されたテストレチクルを使用して、このテストレチクルのパターンの像を走査露光方式で未露光のウエハW上の所定のショット領域(ショット領域SAとする)にテストプリントし、その後現像して得られるレジストパターンの各位置での線幅を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて計測する。その後、そのショット領域内の各位置で得られた線幅を後述のように統計処理する。
【0025】
図2は本例の結像特性の誤差解析方法を説明するための概念図であり、この図2において、面45は所定のテストレチクルのパターンの像を走査露光してから現像して得られるショット領域SA内の各位置におけるレジストパターンの線幅の分布の一例を表す。また、面46は面45の線幅分布を走査方向(Y方向)に垂直な非走査方向(X方向)に平均化して得られる走査方向の線幅分布であり、面47は面45の線幅分布を走査方向に平行な方向に平均化して得られる非走査方向の線幅分布である。
【0026】
ショット領域SA上の走査方向に平行な直線上にある点は、投影光学系PLの露光領域21W内の同じ位置を用いて露光され、ショット領域SA上の走査方向に平行な直線上にない点は投影光学系PLの露光領域21W内の異なる位置を用いて露光される。従って、ショット領域SA上の走査方向に平行な直線上のパターンの線幅を平均化することにより、露光中に生じる結像特性の経時変動による誤差、テストレチクルの評価用パターンの描画誤差、プロセスによる誤差、及び計測誤差の影響を低減することができる。その後、面47の線幅分布より投影光学系PLの露光領域21W内の異なる点により露光されたパターン間の線幅の差、即ち、結像性能の非走査方向の位置による差を求めることができる。
【0027】
また、ショット領域SA上の走査方向に垂直な直線上にある点は、同一時刻に露光が開始され、同一時刻に露光が終了するため、走査方向に垂直な直線上のパターンの線幅を平均化することにより、露光領域21W内の結像性能の差、テストレチクルの描画誤差、プロセスによる誤差、計測誤差の影響を低減することができる。その後、面46の線幅分布より異なる時刻に露光された評価用パターン間の線幅の差、即ち、露光中の結像性能の経時変化を求めることができる。
【0028】
露光中の結像特性の誤差(結像誤差)の変化の要因としては、露光量の変化、ベストフォーカス位置の変化(フォーカス誤差、又はデフォーカス量)、及びレチクルとウエハとの同期精度の変化がある。フォーカス誤差と露光量変化とは、デフォーカス特性が異なるパターンの比較により区別することができる。例えば、ある露光量の範囲内において、デフォーカスにより線幅が増加する密集パターンと、デフォーカスにより線幅が減少する孤立パターンとの両方の評価用パターンの線幅を計測する。両パターンともに露光量の増加により線幅は減少するか、又は増加する。線幅の増減はレジストがネガ、又はポジであるかによっても異なる。従って、両パターンともに線幅が減少又は増加した場合には露光量の変化が、密集パターンの線幅は増大し、孤立パターンの線幅が減少しているような場合にはフォーカス誤差が、結像特性の誤差の要因として特定される。
【0029】
また、同期精度については、孤立パターンでは同期精度が低下すると像のコントラストが低下して、線幅が減少することが知られている。しかし、これはそのパターンの短手方向(線幅方向)に同期精度が悪化する場合であり、長手方向に同期精度が悪化する場合には線幅は変化しない。そこで、線幅方向が走査方向に平行なパターンと垂直なパターンとの両方の線幅を評価することにより、同期精度の影響を評価できる。
【0030】
次に、本例で使用する結像特性の誤差解析用のテストレチクルの評価用パターンについて説明する。
図3(a)は本例の評価用のウエハWのショット領域SAに投影されたテストレチクルのパターン像の拡大斜視図を示し、この図3(a)において、ショット領域SA中には、走査方向に垂直な方向(X方向)にm個、走査方向(Y方向)にn個の計m×n個の誤差解析用の設計上は同一のパターン群50i,j (i=1〜m,j=1〜n)が投影される。なお、m,nはそれぞれ2以上の整数である。
【0031】
図3(b)はショット領域SA内における1つの誤差解析用のパターン群50i,j の拡大斜視図を示し、この図3(b)において、パターン群50i,j は、走査方向に伸びた孤立パターン像51A、非走査方向に伸びた孤立パターン像51B、非走査方向に所定ピッチで配列されたライン・アンド・スペースパターンよりなる密集パターン像51C、走査方向に所定ピッチで配列されたライン・アンド・スペースパターンよりなる密集パターン像51Dより形成されている。
【0032】
図3(c)は図3(b)の各パターン像を現像して得られるレジストパターンを示し、この図3(c)において、孤立レジストパターン51A’,51B’、及び密集レジストパターン51C’,51D’は、それぞれ図3(b)の孤立パターン像51A,51B、及び密集パターン51C,51Dを現像して得られる凸パターンである。また、d1X,d1Y,d2X,d2Yは、それぞれY方向に伸びた孤立レジストパターン51A’、X方向に伸びた孤立レジストパターン51B’、Y方向に伸びた密集レジストパターン51C’、X方向に伸びた密集レジストパターン51D’の線幅である。図3(a)のパターン像を現像した後、各パターン群50i,j のレジストパターン毎に計測した線幅をショット領域SA内の位置に対応させてプロットした図が、図2の面45である。
【0033】
次に、図3のパターンを用いて投影光学系PLによる誤差、フォーカス誤差、露光量誤差、及び同期誤差を評価する方法の一例について説明する。
図4は本例の結像特性の誤差解析方法を示すフローチャートであり、まずステップ101において、図3(a)に示すようにショット領域SA上に投影されたパターン像を現像して得られるレジストパターンの線幅を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により測定する。ここで、図3(a)のパターン群50i,j (i=1〜m,j=1〜n)毎に図3(c)のレジストパターンの線幅を計測するものとして、各レジストパターンを番号kで表し、孤立レジストパターン51Aを1、孤立レジストパターン51Bを2、密集レジストパターン51Cを3、密集レジストパターン51Dを4とする。そして、(i,j)で指定されるパターン群50i,j 内のk番目のレジストパターンの線幅をw(i,j,k)として表す。
【0034】
次にステップ102に進み、非走査方向に平行な直線上のパターン(図3(b)のパラメータjが一定のパターン群のレジストパターン)の線幅の平均値W(j,k)と、走査方向に平行な直線上のパターン(図3(b)のパラメータjが一定のパターン群のレジストパターン)の線幅の平均値W(i,k)とを、それぞれ以下の式により求める。これらの線幅の算出、及び以下の判定は評価用のコンピュータによって行われる。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
但し、マークの欠け等によってデータ数がm個、n個に満たない場合には、m,nを実際のデータ数に変更する。図2を参照して説明したように、走査方向に平行な直線上のパターンの線幅を平均化することにより、露光中に生じる経時変動による誤差、テストレチクルの描画誤差、プロセスによる誤差、及び計測誤差の影響を低減することができる。また、走査方向に垂直な直線上のパターンの線幅の平均化することにより、露光領域21W内の結像性能の差、テストレチクルの描画誤差、プロセスによる誤差、及び計測誤差の影響を低減することができる。
【0037】
次にステップ103に進み、線幅の平均値W(i,k)(i=1〜m,k=1〜4)を評価する。走査方向に沿った直線上に形成された同一種類のパターンの線幅の平均値W(i,k)が、非走査方向にばらつきを示している場合には、投影光学系PLによる結像誤差が発生していると判断する。従って、同じkに対する線幅の平均値W(i,k)の最大値と最小値との差(ばらつき)が基準値以上である場合には、ステップ104に進み、例えば別の管理用コンピュータ、及び図1の主制御系41に投影光学系PLによる誤差の発生を警告する。
【0038】
次に線幅の平均値W(j,k)(j=1〜n,k=1〜4)を評価する。非走査方向に沿った直線上に形成された同一種類のパターンの線幅の平均値W(j,k)が、走査方向に所定のばらつきを示している場合には、露光量誤差、フォーカス誤差、又は同期精度の悪化による誤差が発生しているとみなす。
即ち、まず、ステップ105に進み、線幅の平均値W(j,k)に基づいて露光量誤差の評価を行う。孤立レジストパターン51A’,51B’の線幅d1X,d1Yの経時変化と密集レジストパターン51C’,51D’の線幅d2X,d2Yの経時変化とが、jの変化に対して、ともに増加傾向、又はともに減少傾向にある場合、即ち、W(j,k)の変化の傾向が、異なるkにおいて同様なj依存性を示すような場合には、露光量誤差が発生していると判断する。具体的には、W(j,1)〜W(j,4)の平均値を求め、この平均値の最大値と最小値との差が基準値以上である場合には、ステップ106に進み、管理用のコンピュータ等に露光量誤差の発生を警告する。
【0039】
次に、ステップ107に進み、フォーカス誤差の評価を行う。孤立レジストパターン51A’,51B’の線幅d1X,d1Yの経時変化が増加傾向にあり、密集レジストパターン51C’,51D’の線幅d2X,d2Yの経時変化が減少傾向にある場合、又はその逆に孤立レジストパターンの線幅d1X,d1Yの経時変化が減少傾向にあり、密集レジストパターンの線幅d2X,d2Yの経時変化が増加傾向にある場合には、フォーカス誤差が発生していると判断する。具体的には、各j毎にW(j,1)とW(j,2)との平均値A(j)と、W(j,3)とW(j,4)との平均値B(j)を求め、A(j)とB(j)との差の最大値と最小値との差が基準値以上である場合には、ステップ108に進み、管理用のコンピュータ等にフォーカス誤差の発生を警告する。
【0040】
次に、ステップ109に進み、同期精度の評価を行う。Y方向に伸びたレジストパターン51A’,51C’の線幅d1X,d2Xの経時変化が増加傾向にあり、X方向に伸びたレジストパターン51B’,51D’の線幅d1Y,d2Yの経時変化が減少傾向にあるような場合、又はその逆にレジストパターン51A’,51C’の線幅d1X,d2Xの経時変化が減少傾向にあり、レジストパターン51B’,51D’の線幅d1Y,d2Yの経時変化が増加傾向にあるような場合には、同期精度の悪化による誤差が発生していると判断する。具体的に、各j毎のW(j,1)とW(j,2)との差分C(j)の最大値と最小値との差C、又はW(j,3)とW(j,4)との差分D(j)の最大値と最小値との差Dを求め、差C、又は差D(ばらつき)が基準値以上である場合には、ステップ110に進み、管理用のコンピュータ等に同期精度の悪化を警告する。
【0041】
以上のようにして求められた各評価量、及び誤差が検出された項目は、管理用のコンピュータのディスク装置に記録されるとともに、管理用のコンピュータの画面表示等により警告される。その警告情報は主制御系41にも供給され、主制御系41はステージ駆動系42、露光量制御系43を介して対応する同期誤差、又は露光量誤差を補正する。更に、主制御系41は、例えば不図示の投影光学系PL内の一部のレンズを駆動する補正系等を介して、投影光学系PLの結像特性を補正する。
【0042】
なお、投影光学系PLによる誤差、露光量誤差、フォーカス誤差、及び同期精度の評価は、必ずしも上述の順番通りに行う必要はなく、任意に評価する順番を決めることができる。
次に、図4の誤差解析方法を適用した具体的な実施例につき、表1を参照して説明する。この実施例では図1の露光光源1としてKrFエキシマレーザ光源(波長248nm)を使用し、図3(c)の各レジストパターンの線幅d1X,d1Y,d2X,d2Yの設計値を0.25μm(250nm)として、図3(a)のパターン群50i,j をショット領域SA内の非走査方向(X方向)に5点(m=5)、走査方向(Y方向)に7点(n=7)の計35点配置したものである。
【0043】
【表1】
【0044】
ここで、表1(a)〜表1(d)は、それぞれY方向の孤立レジストパターン51A’(k=1)、X方向の孤立レジストパターン51B’(k=2)、Y方向の密集レジストパターン51C’(k=3)、X方向の密集レジストパターン51D’(k=4)の線幅d1X〜d2Yの実測値の分布の一例を示す。
この場合には、Y方向の孤立レジストパターンとX方向の孤立レジストパターンとにおいてショット領域SA内の中心と左右とでの線幅差がみられ、更にショット領域SAの中心と上下の端とで密集レジストパターンと孤立レジストパターンとの線幅差が発生している。密集レジストパターンと孤立レジストパターンとの平均の線幅差はほとんど変化していない。
【0045】
表1(a)〜表1(d)の実測データを図4のフローチャートに従って処理した結果が表1(e),(f)である。即ち、非走査方向に平均化された線幅W(j,k)が表1(e)、走査方向に平均化された線幅W(i,k)が表1(f)として表されている。この場合のばらつき量としては、投影光学系PLによる誤差についてはW(i,k)の最大値と最小値との差を、露光中のフォーカス誤差についてはW(i,1)とW(i,2)との平均値とW(i,3)とW(i,4)との平均値の差の最大値と最小値との差を、露光中の露光量誤差についてはW(i,k)〜W(i,4)の平均値の差の最大値と最小値との差を、露光中の同期精度の変化についてはW(i,1)とW(i,2)の最大値と最小値との差、又はW(i,3)とW(i,4)との最大値と最小値との差をそれぞれ評価する。従って、ばらつき量の基準値を10nmとすると、本実施例では、表1(e)の領域P1で示す投影光学系PLの結像誤差の発生、及び表1(f)の領域P2で示す露光中のフォーカス誤差の発生が警告される。
【0046】
なお、例えば管理用コンピュータで画面表示する内容は、それぞれの項目ごとにばらつき量を表示してもよく、ばらつき量の基準値は項目ごとに独立に設定してもよい。
なお、非走査方向については全ての位置について線幅を平均化する必要はなく、一部の位置のみを平均化して処理してもよい。例えば、図3(a)〜(c)において、ショット領域SAの左(X方向)について、左側の線幅の平均値WL(j,k)、右側の線幅の平均値WR(j,k)を以下の式により求めるようにしてもよい。
【0047】
【数3】
【0048】
【数4】
この場合、露光中のショット領域SAの左右のデフォーカス量の差による線幅差を求めることができ、更に、ウエハ表面の凹凸量(ウエハフラットネス)、及び投影光学系PLによる結像面とウエハW表面との平行度(レベリング量)を求めることができる。
また、ショット領域SAの左右についてのみでなく、ショット領域SAの中心付近の線幅の平均値を求めてもよい。例えば、図3(a),(b)において、mを奇数としてショット領域SAの中央付近の線幅の平均WC(j,k)を以下の式により求めるようにしてもよい。
【0049】
【数5】
この場合、WC(j,k)とWL(j,k)、又はWR(j,k)との差を求めることで、ショット領域SA全体にデフォーカスが発生したのか、ショット領域SAの一部のみにデフォーカスが発生したのかの区別が容易になる。
なお、本例では、W(j,k)を異なるkに対して別々に求めていたが、露光量差を評価する場合には、以下の式により、kに対する平均化を行うようにしてもよい。
【0050】
【数6】
また、走査方向にパターン像の形状の差が発生する場合には、線幅の平均値W(j,k)の評価を行う際にパターン形状の走査方向依存性を求めることもできる。
また、W(i,k)、及びW(j,k)の評価はベストフォーカス位置においてのみ行われるものではなく、フォーカス位置を変えて露光した結果に対して行う場合には、フォーカス特性の情報が加わるため、露光量誤差とフォーカス誤差との分離が容易となる。更に、W(i,k)の評価により、像面湾曲や像面傾斜を求めることもできる。
【0051】
なお、本実施の形態では紫外パルス光源等を露光光源として用いたが、本発明は、ある程度の大きさの露光領域を持つ露光装置であれば、転写型のエレクトロンビームやイオンビームを用いた露光装置にも適用できる。この場合、投影光学系は磁界を用いた電子レンズとなる。
次に、本発明の第2の実施の形態につき図5を参照して説明する。本例は第1の実施の形態に対して、誤差解析用のパターンの形状を変更したものである。図5(a)は、本例でポジタイプのレジスト上に形成した誤差解析用のパターンであるY方向に伸びた孤立レジストパターン52AとX方向に伸びた孤立レジストパターン52Bとを示し、この図5(a)において、d3X、d3Yはそれぞれ孤立レジストパターン52A、孤立レジストパターン52Bの線幅を表す。図5(b)は、本例でネガタイプのレジスト上に形成した誤差解析用のパターンであるY方向に伸びた凹の孤立レジストパターン53AとX方向に伸びた凹の孤立レジストパターン53Bとを示し、この図5(b)において、d4X、d4Yはそれぞれ孤立レジストパターン53A、孤立レジストパターン53Bの線幅を表す。
【0052】
本例でも、ポジタイプのレジスト、及びネガタイプのレジスト毎にそれぞれ図3(a)と同様にショット領域上に計m×n個のそれぞれ図5(a)、又は(b)に対応するパターン像よりなるパターン群を露光し、その現像によって形成されたレジストパターンの線幅を計測する。そして、ポジタイプ、及びネガタイプのレジスト毎にレジストパターンの線幅を平均し、平均値を比較することによってレジストの感度の差等を評価する。
【0053】
次に、本発明の第3の実施の形態につき図6を参照して説明する。本例も第1の実施の形態に対して、誤差解析用のパターンの形状を変更したものである。図6(a)は、本例でポジタイプのレジスト上に形成された誤差解析用のパターンであるY方向に長い凸の菱形レジストパターン54Aと、X方向に長い凸の菱形レジストパターン54Bを示し、この図6(a)において、L1Y、L1Xはそれぞれ菱形レジストパターン54A、菱形レジストパターン54Bの長さを表す。図6(b)は、本例でネガタイプのレジスト上に形成された誤差解析用のパターンである凹の菱形レジストパターン55Aと凹の菱形レジストパターン55Bを示し、この図6(b)において、L2Y、L2Xはそれぞれ縦の菱形レジストパターン55A、横の菱形レジストパターン55Bの長さを表す。
【0054】
本例でも、第1の実施の形態と同様に、図6(a)又は(b)のレジストパターンが走査露光及び現像によってショット領域上に所定の配列で形成される。但し、例えば、図6(a)のレジストパターン54A,54Bの長さL1Y,L1Xを計測する場合には、例えば図1において、投影光学系PLの側面に備えられているオフ・アクシス方式でLSA(レーザ・ステップ・アライメント)方式のアライメントセンサ36を使用する。このとき、アライメントセンサ36からはスリット状のレーザビームが被検パターンに照射されるため、ウエハステージ28を介して評価用のウエハWを移動して、アライメントセンサ36で受光した被検レジストパターンからの回折光の光電信号を図1のアライメント信号処理系44で処理することによって、レジストパターン54A,54Bの長さL1Y,L1Xが高精度に計測できる。この計測結果を走査方向、非走査方向別に平均化して、各点で最も長さL1Y,L1Xが長くなるときのフォーカス位置を求めることによって、像面を高精度に決定できる。同様にネガレジストについても像面を高精度に決定できる。
【0055】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、例えば一括露光型の投影露光装置(ステッパー)の結像誤差の評価に適用するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0056】
【発明の効果】
本発明の結像特性の誤差解析方法によれば、同期移動によって基板上に転写された複数種類の異なるパターンの結像情報から、結像特性の誤差の要因を特定することにより、走査型露光装置の結像特性の誤差を要因別に正確に求めることができる利点がある。
また、結像誤差の要因が、投影光学系による誤差と、露光量誤差と、フォーカス誤差と、マスクと基板との相対位置誤差との少なくとも一つを含む場合には、結像特性の誤差の主な要因をほとんど含むことができる。
【0057】
また、パターンの結像情報が、パターンの位置とパターンの形状との少なくとも一方を含む場合には、その結像情報に基づいた的確な結像特性の誤差解析を行うことができる。
また、パターンの結像情報が、パターンの密度、パターンの方向、基板上のレジスト特性の少なくとも一つに依存する場合には、その結像情報に基づいて的確に結像特性の誤差の原因を特定することができる。
【0058】
また、複数種類のパターンが、互いに密度の異なるパターンを含む場合には、その結像情報に基づいて基板の露光中における露光量誤差とフォーカス誤差とをそれぞれ独立的に評価することができる。
また、複数種類のパターンが、互いに異なる方向に伸びるパターンを含む場合には、結像情報に基づいて、基板の露光中におけるマスクと基板との相対位置誤差を独立的に評価することができる。
【0059】
また、走査方向に沿って形成されたパターンの結像情報と、非走査方向に沿って形成されたパターンの結像情報とを、同一種類のパターン毎にそれぞれ平均化して結像特性の誤差を解析する場合には、走査型露光装置においてレチクルによる誤差、プロセスによる誤差、及び計測誤差等を要因別に求めることができるとともに、結像特性の非走査方向に関する均一性と結像特性の時間的な安定性との少なくとも一方を高精度に評価することができる。
【0060】
また、複数種類のパターンが、非走査方向に沿って基板上の複数ヶ所に形成される場合には、その結像情報に基づいて、投影光学系による誤差を独立的に評価することができる。
また、複数種類のパターンが、走査方向に沿って基板上の複数ヶ所に形成される場合には、その結像情報に基づいて、露光中に発生する露光量誤差と、露光中に発生するフォーカス誤差と、露光中に発生するマスクと基板との相対位置誤差との少なくとも一つを評価することができる。
【0061】
本発明の投影露光装置によれば、結像特性の誤差を要因別に分けて求めることができ、結像特性の誤差が発生した際に、誤差を要因別に補正することで良好な結像特性が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で使用される投影露光装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における結像特性の誤差解析方法の説明に供する図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施の形態でウエハ上のショット領域SAに投影されるパターンを示す拡大斜視図、(b)は図3(a)の1つのパターン群50i,j を示す拡大斜視図、(c)は図3(b)のパターンを現像して得られるレジストパターンを示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の結像特性の誤差解析方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態で用いられる結像特性の誤差解析用のパターンを示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態で用いられる結像特性の誤差解析用のパターンを示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系
R レチクル
W ウエハ
1 露光光源
21W 露光領域
22 レチクルステージ
28 ウエハステージ
36 アライメントセンサ
41 主制御系
42 ステージ駆動系
43 露光量制御系
44 アライメント信号処理系
41 主制御系
51A,51B 孤立パターン像
51C,51D 密集パターン像
51A’,51B’ 孤立レジストパターン
51C’,51D’ 密集レジストパターン
Claims (17)
- マスクと基板とを同期移動することにより、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、
前記同期移動によって前記基板上の複数個所に転写された複数種類のパターンの結像情報をそれぞれ検出し、
該検出された前記複数種類のパターンの結像情報のうち、同一種類のパターンの結像情報を平均化し、
前記同期移動の方向と平行な走査方向及び前記同期移動の方向と直交する非走査方向の少なくとも一方における前記平均化された結像情報のばらつきに基づいて、前記基板上に形成されたパターンの結像誤差の要因を求めることを特徴とする結像特性の誤差解析方法。 - 前記複数種類のパターンは、前記基板上の前記走査方向に沿った複数個所、及び前記基板上の前記非走査方向に沿った複数個所にそれぞれ転写されていることを特徴とする請求項1に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記走査方向に沿って転写された同一種類のパターンの結像情報を平均化し、該平均化された結像情報のばらつきに基づいて、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する投影光学系に起因する誤差を求めることを特徴とする請求項2に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記非走査方向に沿って転写された同一種類のパターンの結像情報を平均化し、該平均化された結像情報のばらつきに基づいて、露光量誤差、フォーカス誤差、前記マスクと前記基板との同期誤差の少なくとも一つを求めることを特徴とする請求項2に記載の結像特性の誤差解析方法。
- マスクと基板とを同期移動することにより、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、
前記同期移動によって、前記同期移動の方向と平行な走査方向、及び前記同期移動の方向と直交する非走査方向に沿って前記基板上に転写された複数種類のパターンの結像情報をそれぞれ検出し、
該検出結果に基づいて、前記非走査方向における複数の位置の結像特性の均一性と、前記結像特性の時間的な安定性との少なくとも一方を評価することを特徴とする結像特性の誤差解析方法。 - 前記結像特性の均一性は、前記複数種類のパターンの結像情報のうち、前記走査方向に沿って転写された同一種類のパターンの結像情報を平均化することによって求められることを特徴とする請求項5に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記結像特性の時間的な安定性は、前記複数種類のパターンの結像情報のうち、前記非走査方向に沿って転写された同一種類のパターンの結像情報を平均化することによって求められることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記複数種類のパターンは、互いに密度の異なるパターンを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記互いに密度の異なるパターンの結像情報に基づいて、前記マスクと前記基板との前記同期移動中における露光量誤差と、前記同期移動中におけるフォーカス誤差とを評価することを特徴とする請求項8に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記複数種類のパターンは、互いに異なる方向に伸びるパターンを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記互いに異なる方向に伸びるパターンの結像情報に基づいて、前記基板の露光中における前記マスクと前記基板との相対位置誤差を評価することを特徴とする請求項10に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 前記パターンの結像情報は、前記パターンの密度、前記パターンの方向、及び前記基板上のレジスト特性の少なくとも一つに依存することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の結像特性の誤差解析方法。
- マスクと基板とを同期移動することにより、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、
前記同期移動によって前記基板上に転写された互いに異なる方向に伸びる複数種類のパターンの結像情報をそれぞれ検出し、
前記同期移動の方向と平行な走査方向における前記複数種類のパターンの結像情報の変動に基づいて、前記基板の露光中における前記マスクと前記基板との相対位置誤差を評価することを特徴とする結像特性の誤差解析方法。 - マスクと基板とを同期移動することにより、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する走査型露光装置の結像特性の誤差解析方法において、
前記同期移動によって前記基板上に転写された複数種類のパターンの結像情報をそれぞれ検出し、
前記同期移動の方向と平行な走査方向及び前記同期移動の方向と直交する非走査方向における前記結像情報のばらつきに基づいて、前記マスクのパターンの像の結像特性の誤差を、前記マスクのパターンの像を前記基板上に転写する投影光学系に起因する誤差と、露光量変化による誤差と、フォーカス位置変化による誤差と、前記マスクと前記基板との相対位置変化による誤差とに分けて求めることを特徴とする結像特性の誤差解析方法。 - 前記複数種類のパターンは、互いに密度の異なるパターン、又は互いに異なる方向に伸びるパターンを含むことを特徴とする請求項14に記載の結像特性の誤差解析方法。
- 求められた前記誤差を補正することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項14のいずれか一項に記載の結像特性の誤差解析方法。
- マスクと基板とを同期移動しながら前記マスクのパターンの像を投影光学系を介して前記基板上に転写する走査型の投影露光装置において、
前記同期移動によって前記基板上に転写された複数種類のパターンの結像情報をそれぞれ測定する測定系と、
前記同期移動の方向と平行な走査方向及び前記同期移動の方向と直交する非走査方向における前記複数種類のパターンの結像情報のばらつきに基づいて、前記マスクのパターンの像の結像特性の誤差を、前記投影光学系の誤差と、露光量変化による誤差と、フォーカス位置変化による誤差と、前記マスクと前記基板との相対位置変化による誤差と、に分けて求める演算装置と、
該演算装置の演算結果より求められる誤差に基づいて前記結像特性の制御を行う制御系と、を有することを特徴とする投影露光装置。
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