JPH08227845A - 投影光学系の検査方法、及び該方法を実施するための投影露光装置 - Google Patents

投影光学系の検査方法、及び該方法を実施するための投影露光装置

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JPH08227845A
JPH08227845A JP7032245A JP3224595A JPH08227845A JP H08227845 A JPH08227845 A JP H08227845A JP 7032245 A JP7032245 A JP 7032245A JP 3224595 A JP3224595 A JP 3224595A JP H08227845 A JPH08227845 A JP H08227845A
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projection
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JP7032245A
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Tetsuo Taniguchi
哲夫 谷口
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レチクル上の基準パターンに描画誤差があっ
ても投影光学系の倍率を正確に検出する。 【構成】 ステップ101〜106,108,109に
おいてレチクル上の基準マークが第1の基準位置及び第
2の基準位置に来るようにレチクルステージを移動する
と共に基準マークの投影光学系を介した像の結像位置を
ウエハステージ上の光透過部が横切るようにウエハステ
ージを移動させ、第1の基準位置及び第2の基準位置に
おけるレチクルステージ及びウエハステージの位置をそ
れぞれのレーザ干渉計で測定する。ステップ107で算
出されたレチクルステージの移動距離L2及びステップ
110で算出されたウエハステージの移動距離L1から
ステップ111において中央制御系16で投影光学系の
倍率(L1/L2)を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体集積回路や液晶表
示素子等の製造用の高精度な結像特性が要求される投影
光学系の検査方法及び該投影光学系の検査方法を実施す
るための投影露光装置に関し、ステッパ型の投影露光装
置にも適用できるが、特にマスクと感光基板とを同期し
て走査しながらマスクのパターンを逐次その基板上に投
影露光するスリット・スキャン方式、又はステップ・ア
ンド・スキャン方式等の走査露光方式の投影露光装置に
適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体集積回路や液晶表示素子等
の製造用の投影露光装置に装着される投影光学系には極
めて高精度な投影倍率、像歪等の結像特性が要求され
る。このため、従来から投影光学系の高精度な投影倍
率、像歪の計測方法及び結像特性の補正方法が開発され
てきた。現在これらの投影倍率及び像歪等の計測方法に
は大別して2つの方法がある。
【0003】第1の方法は、テスト用マスクのパターン
を感光基板(ウエハ等)に露光するもので、例えば特開
昭58−8353号公報に開示されている。これは、テ
スト用マスクのパターンを一度感光基板上に露光し、そ
の後感光基板をレーザ干渉計に従い一定量移動した後、
そのパターンをもう一度露光することによりパターン同
士を重ね合わせ、現像後その重ね合わせ誤差を測定する
ものである。このとき、重ね合わされるマークは感光基
板が移動後に重なるので、テスト用マスク上の別の場所
に描かれたパターンである。
【0004】第2の方法は、第1の方法のような実露光
プロセスを経ないもので、感光基板側に形成されるパタ
ーンの像を直接光電センサで測定する方法である。これ
は、例えば特開昭59−94032号公報あるいは特開
昭60−18738号公報に開示されている。この方法
による一例を図9を参照して簡単に説明する。図9
(a)は従来の投影露光装置の一例の概略構成を示し、
この図9(a)に示すように、テスト用マスクとしての
テストレチクルTRには複数の光透過部305A〜30
5G(ここではスリット)が予め決められた間隔で形成
されている。光透過部305A〜305Gを通過した照
明光は投影光学系PLを介して感光基板側で結像する。
図9(a)は、光透過部305Aの結像位置へマーク検
出手段である微小な光透過部(ここではスリット)30
6を持つパターン板301及び光透過部306からの照
明光を受光する光電センサ302が配置された状態を示
している。これらのパターン板301及び光電センサ3
02は、感光基板を載置し投影光学系PLの光軸に垂直
な平面内を移動可能なウエハステージ上に載置されてい
る。ウエハステージの位置はウエハステージ上に固定さ
れた反射鏡303及び外部のレーザ干渉計304により
精密に測定されている。ウエハステージを走査すること
により光電センサ302の出力が変化する。
【0005】図9(b)は光電センサ302の出力の結
果を表すグラフを示し、横軸はウエハステージの走査方
向の位置x、縦軸は光電センサ302の出力値Iを表
す。この図9(b)において、出力曲線307の出力値
Iが最大になる位置x0 を求めることによりテストレチ
クルTRの光透過部305Aの結像位置が測定できる。
同様な測定をテストレチクルTRの複数の光透過部に対
して行えば、複数の光透過部305A〜305Gのそれ
ぞれの結像位置が判り、複数の光透過部305A〜30
5Gの位置が予め分かっているため、投影光学系の投影
倍率、像歪を求めることができる。
【0006】その他、以上の光電センサ・スキャン方式
ではなく、レチクルのパターンの像を顕微鏡で拡大して
2次元CCD等の撮像素子で受光する方式、あるいは逆
にウエハステージ上のスリット側から発光しながらウエ
ハステージをスキャンしてテストレチクルTRのパター
ンを介して受光する方式(特開昭63−81818号公
報参照)等が知られている。
【0007】投影光学系の倍率や像歪等の結像特性は、
投影露光装置の製造時には測定して調整するのは勿論の
こと、実使用時においても大気圧変化、投影光学系の照
明光吸収等で変化するため補正が必要である。このため
の対策として、例えば特開昭60−28613号公報あ
るいは特開昭60−78457号公報に開示してあるよ
うに、予め結像特性の変化量を予測し、投影光学系内部
の空気の圧力を変化させることで倍率の補正を行う方法
等が知られている。
【0008】また、装置の長期変動等で倍率等が変化す
る可能性もあるため、上記のような方法を用いて倍率、
像歪を時々チェックしながら使用する必要がある。ま
た、近年、大気圧変化等に対応する補正の精度に対する
要求も益々厳しくなっているため、測定による補正誤差
を頻繁にチェックしながら使う必要もでてきている。こ
の意味では上記第1及び第2の方法の内、測定時間の短
い第2の方法が優れており、実際に使用される場合が多
い。
【0009】また、最近、投影光学系をそれ程大型化す
ることなく、実質的に露光面積を大きくするために、マ
スクと感光基板の各ショット領域とを投影光学系に対し
て同期して走査するステップ・アンド・スキャン方式の
投影露光装置が注目されている。しかしながら、現状で
は特にステップ・アンド・スキャン方式のような走査露
光方式の投影露光装置の特徴を活かした結像特性の計測
方法といったものは提案されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来技術
による投影光学系の倍率あるいは像歪の測定の方法は、
すべてテスト用マスクの異なる2つ(あるいはそれ以
上)のマークの投影像の間隔を測定するものであった。
このため、テスト用マスクのマーク間隔を予め正確に把
握しておく必要がある。しかしながら、マスク上のパタ
ーンは通常電子ビーム描画装置で作製されるが、倍率等
の測定に使用される離れたマーク同士の間隔はあまり正
確ではなく、1枚毎にレチクルパターン測定機で予め測
定しなければならない。これは、多数のマスクを使用す
る製造現場では実質的に不可能である。このために、基
準のマスクを使用することが考えられるが、これでは前
記の実露光中に頻繁に測定することができないという不
都合がある。
【0011】また、レチクルパターン測定の精度も問題
である。これは、例えばマスクを載置する場合、通常露
光装置のマスクのパターンは下側にくるように載置され
るが、レチクルパターン測定機ではパターン面が上向き
にくるように載置され、重力による自重撓みの影響が異
なり、測定誤差となる。また、露光装置上でも自重撓み
は1枚毎に微妙に異なり、像歪となる。
【0012】また、一部のマスクについてのみ計測して
投影光学系の補正を行うことも考えられるが、そのマス
クを使用中に照明光からの熱を吸収してマスク自体が熱
膨張してしまうため、マーク同士の間隔が変化すること
になる。そのマスクの使用中にはマスクの膨張分も含め
て補正を行えば支障はない。しかし、次にマスクを交換
して別のマスクを入れると、交換後のマスクに対しては
投影光学系の倍率に誤差が残存しているという不都合が
ある。また、マーク同士の間隔は分からないが、常にマ
スク交換時の初期倍率に保つといった方法も、同様の理
由でマスクを交換すると投影光学系の倍率に誤差が生じ
る。
【0013】本発明は斯かる点に鑑み、マスク上の投影
倍率及び像歪計測用のマークに描画誤差等があっても倍
率、像歪等の投影光学系の結像特性を正確に検出できる
投影光学系の検査方法及びその投影光学系の検査方法を
実施することができる投影露光装置を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の投影
光学系の検査方法は、図1及び図2に示すように、マス
ク(R)に形成されたパターン(204)の像を所定平
面(W)に投影するための投影光学系(PL)の検査方
法において、そのマスク(R)に形成された所定パター
ン(202)を第1の位置(P1)に移動する第1工程
(101)と、その投影光学系(PL)の光軸(AX)
に対して垂直にその第1の位置(P1)とは異なる第2
の位置(P2)にその所定パターン(202)を移動す
る第2工程(105)と、その第1の位置(P1)とそ
の第2の位置(P2)との関係を検出する第3工程(1
02,106,107)と、その第1の位置(P1)に
あるその所定パターン(202)の像のその投影光学系
(PL)による投影位置(P4)とその第2の位置(P
2)にあるその所定パターン(202)の像のその投影
光学系(PL)による投影位置(P3)との関係を検出
する第4工程(104,109,110)と、その第3
工程で検出された位置関係とその第4工程で検出された
位置関係とに基づいて前記投影光学系の結像特性を求め
る第5工程(111)と、を含むものである。
【0015】また、本発明による第2の投影光学系の検
査方法は、図7及び図8に示すようにマスク(R)のパ
ターン(204)の像を所定平面(W)に投影するため
の投影光学系(PL)の検査方法において、そのマスク
(R)に形成された第1パターン(601)と第2パタ
ーン(602)との位置関係を検出する第1工程(70
1〜703)と、その投影光学系(PL)によるその第
1パターン(601)の像の投影位置とその投影光学系
(PL)によるその第2パターン(602)の像の投影
位置との関係を検出する第2工程(705〜709)
と、その第1工程で検出された位置関係とその第2工程
で検出された位置関係とに基づいてその投影光学系(P
L)の結像特性を求める第3工程(710)と、を含む
ものである。
【0016】この場合、本発明による第1又は第2の投
影光学系の検査方法において、その投影光学系(PL)
の一例は、そのマスク(R)に形成されたパターン(2
04)を感光基板(W)に転写する投影露光装置に設け
られているものである。また、本発明による第1の投影
露光装置は、図2に示すように、マスク(R)上に形成
されたパターン(204)の像を所定平面(W)に投影
するための投影光学系(PL)と、そのマスク(R)を
保持してその投影光学系(PL)の光軸(AX)に垂直
な方向(XY方向)に移動可能なマスクステージ(4
A)と、そのマスクステージ(4A)の位置を計測する
位置計測手段(8)と、その位置計測手段の出力に基づ
いて、第1の位置(P1)から第2の位置(P2)へそ
のマスクステージ(4A)を移動させるステージ制御手
段(25)と、そのマスクステージ(4A)がその第1
の位置(P1)にあるときのそのマスクに形成された所
定パターン(202)の像のその投影光学系(PL)に
よる投影位置(P4)と、そのマスクステージ(4A)
がその第2の位置(P2)にあるときのその所定パター
ン(202)の像のその投影光学系(PL)による投影
位置(P3)との関係を検出する像位置検出手段(1
0,16,20,21,25)と、そのマスクステージ
(4A)がその第1の位置(P1)及びその第2の位置
(P2)にあるときにその位置計測手段(8)で計測さ
れたマスクステージの位置と、その像位置検出手段で検
出された位置関係とに基づいてその投影光学系(PL)
の結像特性を算出する算出手段(16)と、を設けたも
のである。
【0017】また、本発明による第2の投影露光装置
は、図8に示すように、第1パターン(601)と第2
パターン(602)とが形成されたマスク(R)を保持
するマスクステージ(4A)と、そのマスク(R)のパ
ターン(204)の像を所定平面(W)に投影するため
の投影光学系(PL)と、その第1パターン(601)
とその第2パターン(602)との位置関係を検出する
パターン位置検出手段(8,23,24,25)と、そ
の第1パターン(601)の像のその投影光学系(P
L)による投影位置とその第2パターン(602)の像
のその投影光学系(PL)による投影位置との関係を検
出する像位置検出手段(10,16,20A,20B,
30)と、そのパターン位置検出手段で検出された位置
関係とその像位置検出手段で検出された位置関係とに基
づいてその投影光学系(PL)の結像特性を算出する算
出手段(16)と、を具備するものである。
【0018】この場合、そのパターン位置検出手段の一
例は、そのマスク(R)上の第1パターン(601)及
び第2パターン(602)を光電検出するパターン検出
手段(23,24)と、このパターン検出手段の検出領
域をその第1パターンとその第2パターンとが横切るよ
うにそのマスクステージ(4A)をその投影光学系(P
L)の光軸(AX)に対して垂直に移動させるステージ
制御手段(25)と、そのマスクステージ(4)の位置
を計測する位置計測手段(8)とを有するものである。
【0019】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置において、そのマスク(R)のパターン(204)を
転写するための感光基板(W)を載置する基板ステージ
(WST)を更に具備し、その像位置検出手段の検出対
象の一例は、その感光基板(W)上に転写されたその所
定パターン又はその第1及び第2パターン(202;6
01,602)の像である。
【0020】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置は、そのマスク(R)と感光基板(W)とを互いに同
期してスキャンしながら露光する走査露光型の投影露光
装置であることが好ましい。
【0021】
【作用】斯かる本発明の第1の投影光学系の検査方法に
よれば、マスク(R)上の投影倍率及び像歪計測用のマ
ークに描画誤差等があっても倍率、像歪等の投影光学系
(PL)の結像特性を正確に検出することができる。即
ち、投影光学系(PL)の投影倍率又は像歪を測定する
原理は、マスク(R)側の既知の長さのものが投影光学
系(PL)を介してどのように長さが変化したかで測定
するものである。従って、マスク(R)側の1つの基準
となるものの長さが厳密に分かっている必要がある。本
発明の第1の投影光学系の検査方法においては、マスク
(R)上の所定パターン(202)を移動させ、その位
置関係(移動距離)を求めるため、この所定パターン
(202)の移動した距離がマスク側の1つの厳密な長
さの基準となる。そしてこの所定パターン(202)の
投影光学系(PL)を介した像の移動前と移動後の所定
平面(W)上での位置関係を求めるため、マスク(R)
側の1つの基準となる長さと、その長さの投影光学系
(PL)を介した変化との関係、即ち投影光学系(P
L)の結像特性が厳密に求められる。
【0022】また、本発明の第2の投影光学系の検査方
法によれば、マスク(R)に形成された第1パターン
(601)と第2パターン(602)との位置関係(間
隔)を求めることにより、マスク(R)側の1つの基準
となる長さが厳密に判明する。この方法は本発明の第1
の投影光学系(PL)の検査方法と同様にマスク(R)
上の投影倍率及び像歪計測用のマークに描画誤差等があ
っても倍率、像歪等の投影光学系(PL)の結像特性を
正確に検出することができる。
【0023】また、本発明による第1及び第2の投影光
学系の検査方法において、投影光学系(PL)が、マス
ク(R)に形成されたパターン(204)を感光基板
(W)に転写する投影露光装置に設けられている場合に
は、投影光学系(PL)の結像特性が正確に検出でき、
それに応じて補正を行うことによりマスク(R)のパタ
ーン(204)を感光基板(W)に高い重ね合わせ精度
で正確に転写することができる。
【0024】また、本発明の第1の投影露光装置によれ
ば、上述の第1の投影光学系の検査方法が実施できる。
即ち、予めマーク間隔を測定したテスト用のマスクだけ
ではなく、実露光に用いられる全てのマスク(R)に対
して倍率、像歪の正確な測定ができる。また、本発明の
第2の投影露光装置によれば、上述の第2の投影光学系
の検査方法が実施できる。即ち、マスク(R)に形成さ
れた第1及び第2パターン(601,602)の間の位
置関係をパターン位置検出手段(8,23,24,2
5)により必要に応じ正確に検出するので、本発明の第
1の投影露光装置と同様にマスクが異なっても、常に投
影光学系の結像特性の正確な測定ができる。
【0025】また、本発明の第2の投影露光装置におい
て、パターン位置検出手段が、そのマスク(R)上のパ
ターン(601,602)を光電検出するパターン検出
手段(23,24)と、このパターン検出手段の検出領
域を第1パターン(601)と第2パターン(602)
とが横切るようにそのマスクステージ(4A)をその投
影光学系(PL)の光軸(AX)に対して垂直に移動さ
せるステージ制御手段(25)と、マスクステージ(4
A)の位置を計測する位置計測手段(8)とを有する場
合には、マスクステージ(4A)をステージ制御手段
(25)により移動させることによりマスク(R)上の
第1パターンと第2パターンとをパターン検出手段(2
3,24)により検出し、そのときのマスクステージ
(4A)の位置を位置計測手段(8)により計測し、第
1パターンと第2パターンとの位置関係を検出すること
ができる。
【0026】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置において、マスク(R)のパターン(204)を転写
するための感光基板(W)を載置する基板ステージ(W
ST)を更に具備し、像位置検出手段の検出対象が、感
光基板(W)上に転写された所定パターン又は第1及び
第2パターン(202;601,602)の像である場
合には、実露光時と同じ状態で投影光学系(PL)の結
像特性が正確に検出できる。
【0027】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置が、マスク(R)と感光基板(W)とを互いにスキャ
ンしながら露光する走査型の投影露光装置である場合に
は、本発明の構成要素であるマスクステージ(4A)及
び位置計測手段(8)等は標準的に具備されているので
新たに改造する必要がない。
【0028】
【実施例】以下、本発明による投影光学系の検査方法及
び該検査方法を実施するための投影露光装置の第1実施
例につき、図1〜図3を参照して説明する。本実施例
は、マスクとしてのレチクルと感光基板としてのウエハ
とを同期して走査しながらレチクルのパターンを逐次そ
のウエハ上の各ショット領域に投影露光する、所謂ステ
ップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置に本発明を
適用したものである。
【0029】図2は、本例の投影露光装置の概略的構成
を示し、この図2において、超高圧水銀ランプよりなる
光源1から射出された照明光IL(紫外域のg線又はi
線等の輝線)は不図示のシャッタを通過した後、コリメ
ータレンズ、フライアイレンズ、レチクルブラインド等
からなる照度均一化照明系2Aにより照度分布がほぼ均
一な光束に変換される。照明光ILとしては、超高圧水
銀ランプの輝線の他、例えばKrFエキシマレーザ光や
ArFエキシマレーザ光、銅蒸気レーザやYAGレーザ
の高調波等が用いられる。また、レチクルブラインドは
複数枚の可動遮光部からなり、レチクルRを照明する領
域を任意に設定できるようになっている。
【0030】また、照度均一化照明系2A内部にはレチ
クルRの照明状態を変更するための可変絞りが設けられ
ており、その可変絞りにより照明系の開口絞りの開口数
(照明系のコヒーレンスファクターであるσ値)を変更
したり、あるいは輪帯状の照明等により露光対象のパタ
ーン(線幅、ピッチ、周期的、孤立等)に応じて最適な
照明条件が選択されるようになっている。
【0031】照度均一化照明系2Aから射出された照明
光ILは、コンデンサーレンズ2Bを経てミラー3によ
り垂直下方に折り曲げられ、集積回路のパターン等が描
かれたレチクルRを照明し、投影光学系PLを介してレ
チクルR上のパターンをウエハW上に投影する。ここ
で、図2において、投影光学系PLの光軸AXに平行に
Z軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図2の紙面に垂直に
Y軸を、図2の紙面に平行にX軸を取る。
【0032】レチクルRはレチクルステージ4A上に真
空吸着され、このレチクルステージ4Aは投影光学系の
光軸AXに垂直な2次元の平面(XY平面)内で微動し
てレチクルRの位置決めをする。レチクルステージ4A
は少なくとも2個のZ方向に伸縮自在なピエゾ素子等の
駆動素子(図2ではその内2個の駆動素子11a,11
bを示す)を介して摺動部4Bに取り付けられ、摺動部
4Bは投影露光装置の本体(架台)のレチクルベース4
C上にX方向に摺動自在に載置されている。投影光学系
PLも不図示ではあるがその本体に固定されているた
め、駆動素子11a,11bにより投影光学系PLとレ
チクルRの間隔を変化させることができる。なお、この
駆動素子11a,11bは結像特性制御系17により制
御される。
【0033】また、レチクルステージ4A(摺動部4
B)はリニアモータ等で構成された不図示のレチクル駆
動系により、レチクルベース4C上で±X方向(走査方
向)に指定された走査速度で移動できるようになってい
る。レチクルステージ4Aは、レチクルRの全面が少な
くとも照明光学系の光軸AXを横切ることができるだけ
の移動ストロークを有している。レチクルステージ4A
の端部には外部に設けられたレーザ干渉計8からのレー
ザビームを反射する移動鏡7が固定されており、レチク
ルステージ4Aの走査方向の位置はレーザ干渉計8によ
って、例えば0.01μm程度の分解能で常時検出され
ている。レーザ干渉計8の測定値はステージ制御系25
に送られ、ステージ制御系25はその情報に基づいてレ
チクルステージ4A用のレチクル駆動系を制御する。ま
た、ステージ制御系25から中央制御系16にレーザ干
渉計8の測定値の情報が供給されており、中央制御系1
6はその情報に基づいてステージ制御系25を制御する
構成となっている。
【0034】レチクルステージ4Aの上方の所定の位置
にはレチクルR上の不図示の所定のマークの像を形成す
るレチクルアライメント顕微鏡24及びその所定のマー
クの像を検出する受光センサ23が配置されており、こ
のレチクルアライメント顕微鏡24により、所定の基準
位置に精度良くレチクルステージ4Aの初期位置が決定
されるため、移動鏡7の位置をレーザ干渉計8で計測す
るだけでレチクルRの位置を十分高精度に計測したこと
になる。
【0035】ここで、レチクルRの構成について図3
(a)を参照して簡単に説明する。図3(a)は図1の
レチクルRの拡大平面図を示し、レチクルRを2点鎖線
の位置から実線で示す位置まで移動した状態を示してい
る。本例ではレチクルRの中央部に形成された回路パタ
ーン204の周囲を囲む領域205の走査方向(X方
向)の両端に小さな矩形の遮光部206,207が設け
られ、その中に非走査方向(Y方向)に長いスリット状
の光透過部からなる基準マーク202,203が形成さ
れている。レチクルRを2点鎖線で示す第1の基準位置
から実線で示す第2の基準位置までレチクル駆動系を介
して移動させ、その間のレチクルRの移動距離と例えば
基準マーク202のウエハW上の投影像の移動距離とを
精密に計測することにより投影光学系PLの結像特性を
測定することができる。この場合第1の基準位置は、基
準マーク202が投影光学系PLのレチクルR側の有効
フィールド201内の細長い照明領域IA内の左側(−
X方向)の端部に来る位置であり、また、第2の基準位
置は、基準マークが照明領域IA内の右側(+X方向)
の端部に来る位置である。
【0036】図2に戻り、レチクルRを通過した照明光
ILは、両側テレセントリックな投影光学系PLに入射
し、投影光学系PLによりレチクルRの回路パターン2
04が投影倍率βで縮小されてフォトレジスト(感光材
料)が塗布されたウエハW上に形成される。なお、本実
施例の投影光学系PLには結像特性の補正のための機構
が装備されているが、この補正機構については後で詳し
く説明する。
【0037】ここで、投影光学系PLの投影倍率はβで
あり、上記のレチクルRの回路パターン204がウエハ
Wの表面に走査露光方式で露光される際に、照明光IL
によるスリット状の照明領域IAに対して、レチクルR
が−X方向(又は+X方向)に一定速度VR で走査され
るのに同期して、ウエハWは+X方向(又は−X方向)
に一定速度VW(=β・VR)で走査される。照明領域I
Aの長手方向(Y方向)の幅はレチクルR上の回路パタ
ーン204よりも広く設定され、レチクルR及びウエハ
Wを走査することで回路パターン204の全面が照明さ
れるようになっている。
【0038】ウエハWはウエハホルダー6上に真空吸着
され、ウエハホルダー6はウエハステージWST上に載
置されている。ウエハホルダー6は底部駆動部により、
投影光学系PLの最良像面に対し任意の方向に傾斜可能
で、且つ光軸AX方向(Z方向)に微動できる。また、
ウエハホルダー6は底部の回転テーブルにより光軸AX
の回りの回転動作も可能である。一方、ウエハステージ
WSTは前述の走査方向(X方向)の移動のみならず、
複数のショット領域内の任意のショット領域に随時移動
できるよう、走査方向に垂直な方向(Y方向)にも移動
可能に構成されており、ウエハW上の各ショット領域へ
走査露光する動作と、次のショット領域の露光開始位置
まで移動する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキ
ャン動作を行う。ウエハステージWSTはモータ等のウ
エハステージ駆動系WMによりXY方向に駆動される。
ウエハステージWSTの上面の端部には外部に設けられ
たレーザ干渉計10からのレーザビームを反射する移動
鏡9が固定され、ウエハステージWSTのXY平面内で
の位置はレーザ干渉計10によって、例えば0.01μ
m程度の分解能で常時検出されている。ウエハステージ
WSTの位置情報(又は速度情報)はステージ制御系2
5に送られ、ステージ制御系25はこの位置情報(又は
速度情報)に基づいて、ウエハステージ駆動系WMの動
作を制御する。また、ステージ制御系25から中央制御
系16に向けてレーザ干渉計10によるウエハステージ
WSTの位置情報(又は速度情報)が提供されており、
中央制御系16はこの情報に基づいてステージ制御系2
5を制御する。
【0039】また、図2の装置には、不図示であるが、
ウエハWの露光面に向けてピンホール像、あるいはスリ
ット像を形成するための結像光束を光軸AXに対して斜
め方向に供給する照射光学系と、その結像光束のウエハ
Wの露光面での反射光束をスリットを介して受光する受
光光学系とからなる斜入射方式の焦点位置検出系が設け
られている。この焦点位置検出系からのウエハWのZ方
向の位置情報は中央制御系16に供給され、中央制御系
16はこのZ方向の位置情報に基づいてウエハステージ
WSTを介してウエハWのZ方向の位置及び傾斜角を投
影光学系の結像面に合わせ込む。
【0040】次に、ウエハステージWST上のマーク検
出手段である光電検出系について図2及び図3を参照し
て説明する。ここで用いられる光電検出系は、例えば特
開昭59−94032号公報等に開示されているもの
で、レチクルR上のパターンを投影光学系PLを介して
光電検出するものである。これは、結像特性の変化を計
算で求めて補正する方法に対し、投影光学系PLの空間
像を直接観察し結像特性を求める方法に用いられる。
【0041】図2において、ウエハステージWST上に
ウエハWとほぼ同一の高さにパターン板21が固定され
ており、パターン板21にはY方向に伸びたスリット状
の光透過部22が設けられている。図3(c)はこのパ
ターン板21の平面図を示し、パターン板21の遮光部
26にその周囲を囲まれた光透過部22は、レチクルR
上の基準マーク202又は203のパターン板21上で
の投影像とほぼ同じ大きさを有している。図2に示すよ
うに、光透過部22の下方にはシリコン・フォトダイオ
ード等の光電センサ20が設けられており、基準マーク
202又は203の投影光学系PLを介した投影像を光
電センサ20で検出する。光電センサ20で検出された
基準マーク202又は203の投影像に関する情報は、
中央制御系16に供給されている。
【0042】次に、投影光学系PLの結像特性の補正機
構について図2を参照して詳しく説明する。この補正機
構は、大気圧変化、照明光吸収、照明条件の変更等によ
る投影光学系PL自体の結像特性の変化を補正すると共
に、ウエハW上の前回の露光ショット領域の歪みに合わ
せてレチクルRの投影像を歪ませる働きも持つ。以下に
補正機構の説明を行う。
【0043】図2に示すように、本実施例では結像特性
制御系17によってレチクルRを載置するレチクルステ
ージ4A又は投影光学系PL内のレンズエレメント12
を駆動することにより、結像特性の補正を行う。投影光
学系PL内において、レチクルRに最も近いレンズエレ
メント12は支持部材13に固定され、レンズエレメン
ト12に続くレンズエレメント15等は投影光学系PL
の本体鏡筒に固定されている。なお、本実施例におい
て、投影光学系PLの光軸AXはレンズエレメント15
以下の投影光学系PLの本体の光学系の光軸を指すもの
とする。支持部材13は伸縮自在の少なくとも2つ以上
の複数のピエゾ素子等からなる駆動素子(図2ではその
内2つの駆動素子14a,14bを示す)を介して投影
光学系PLの本体鏡筒と連結されている。
【0044】また、駆動素子14a,14bの伸縮によ
り、レンズエレメント12を光軸AXに平行に移動する
ことも、光軸AXに垂直な面に対して傾けることもで
き、投影光学系PLの結像特性、例えば投影倍率、ディ
ストーション、像面湾曲、非点収差等を補正することが
できるようになっている。同様に、結像特性制御系17
は、駆動素子11a,11bの伸縮によりレチクルRを
移動又は傾斜させて、結像特性を補正する。更に、ウエ
ハステージWST上に投影光学系PLを通過する照明光
量計測用の光電センサ19が固定され、投影光学系PL
の近傍に大気圧を検出する環境センサ18が配置され、
光電センサ19及び環境センサ18の出力が中央制御系
16に供給されている。中央制御系16はこれらの情報
より、結像特性の変化量を後述のように算出する。
【0045】次に、本実施例の投影光学系の検査動作の
一例につき図1を参照して説明する。ここでは、レチク
ルR上の基準マーク202のみを用いて投影光学系PL
の走査方向(X方向)の倍率を測定する方法を示す。図
1は、本例の検査動作のフローチャートを示し、先ずス
テップ101において、図3(a)に示すように露光用
の照明光を照明領域IAに照射し、レチクルR上の基準
マーク202が第1の基準位置に来るようにレチクルR
を2点鎖線で示される照明領域IAの左側(−X方向)
の位置に移動し静止させる。ここで、ステップ102に
おいて、レチクルR側のレーザ干渉計8によりレチクル
ステージ4Aの位置を計測する。そして、ステップ10
3においてウエハステージWST上のパターン板21の
光透過部22が基準マーク202の投影光学系PLを介
した投影像の大まかに推定される位置P4を横切るよう
にウエハステージWSTを移動させ、光電センサ20の
出力がピークとなるときのX座標を求める。
【0046】図3(b)は、レチクルRとウエハステー
ジWST上の光電検出系との投影光学系PLを介した関
係を示し、レチクルRが左側の第1の基準位置P1にあ
るときに、ウエハステージWSTを右側のP4位置付近
でX方向に移動させて、レチクルR上の基準マーク20
2の投影光学系PLを介した像を光電センサ20で検出
する。
【0047】図3(d)は、ウエハステージWSTの位
置と光電センサ20の受光量との関係を表すグラフを示
し、横軸はウエハステージWSTのX方向の位置x、縦
軸は光電センサ20の受光面での光強度Iを示す。この
グラフの波形曲線28の中心x0 が基準マーク202の
結像位置の中心として測定される。この波形曲線28は
X座標に対応させて、中央制御系16内の記憶部に取り
込まれる。
【0048】その取り込んだ波形曲線に基づき、ステッ
プ104において中央制御系16は、光電センサ20の
出力が最大になる位置x0 を求める。その位置x0 がレ
チクルRの基準マーク202の第1の基準位置における
ウエハW上の結像位置である。次に、ステップ105に
おいて、図3(b)に示すレチクルR上の基準マーク2
02が第2の基準位置P2に来るようにレチクルRを照
明領域IAの左側(−X方向)の位置に移動し静止させ
る。ここで、ステップ106において、レチクルRのレ
ーザ干渉計8によりレチクルステージ4Aの位置を計測
する。レーザ干渉計8の計測値はステージ制御系25を
介して中央制御系16に送られ、ステップ107で中央
制御系16で基準マーク202の第2の基準位置と第1
の基準位置との間のX方向の距離L2が算出される。
【0049】次に、ステップ108においてウエハステ
ージWST上のパターン板21の光透過部22が基準マ
ーク202の投影光学系PLを介した投影像の大まかな
結像位置P3を横切るようにウエハステージWSTを移
動させる。この場合、レチクルRの第1の基準位置と同
様の動作によりステップ109において光電センサ20
の出力が最大となるときのウエハステージWSTのX座
標を求める。このX座標はレチクルRの基準マーク20
2の第2の基準位置におけるウエハW上の結像位置であ
る。
【0050】次に、ステップ110において、2つの基
準位置での基準マーク202の結像位置の間の間隔L1
が中央制御系16で計算される。次に、ステップ111
においてレチクルRの基準マーク202の移動した距離
L2及びウエハW上の結像位置の間隔L1に基づいて中
央制御系16で投影倍率が算出される。投影倍率はウエ
ハステージWST上の投影像の間隔L1とレチクルRの
基準マーク202の移動した距離L2との比(L1/L
2)で求められる。なお、像歪については、更に多数の
基準位置において上記の測定を行うことにより照明領域
IA内の像歪が求められる。以上の結果に基づき、ステ
ップ112において中央制御系16の指令により投影光
学系PLの投影倍率を補正する。
【0051】なお、基準マーク203を使用した場合も
同様である。また、この方法は、他にも像のコントラス
トが分かるため、光透過部22の光軸AX方向の位置
(Z方向)を変えながらコントラストを見ることによ
り、焦点位置も測定できる。なお、基準マーク202は
本例のような1本線ではなく、複数の線を用いて測定の
再現性を高める方法もある。
【0052】本例のようにスキャン型の投影露光装置で
は通常図3(a)の例のように照明領域IAの短辺方向
(X方向)にレチクルRが移動できるようになっている
ため、X方向の成分のみしか測定できない。しかし、倍
率、像歪の変化は通常光軸AXに対して対称に発生する
ため実用上問題はない。勿論、レチクルRがX,Y両方
向に移動可能であれば、問題なくX,Y方向の測定がで
きる。なお、スキャン方式と異なる一括露光方式の露光
装置(ステッパ等)では、レチクルは通常大きく移動で
きないが、レチクルステージ側をレチクルを所定量移動
できるように改造することにより本例の方法を適用する
ことができる。
【0053】ところで、倍率の測定再現性を上げるため
にはレチクルRの移動距離L2を大きくすればよいが、
照明領域IAの短辺方向を使うため、移動距離L2を大
きくすると基準マーク203が照明領域IAからはみ出
し、あまり大きく移動できない。このために、通常の照
明領域外に倍率測定用だけのための微小領域のみ照明す
る照明系を設けてもよい。但し、この場合には、本来の
照明系による照明条件の変更による結像特性の変化には
対応できない。しかし、倍率測定用の照明系にも照明条
件を変更する機構を設けるか、別に結像特性変化分を予
めレジスト像で測定して記憶しておき補正すればよい。
【0054】また、本実施例ではレチクルステージ4A
を固定し、ウエハステージWSTを微動させてレチクル
R上の基準マークの結像位置を測定したが、レチクル上
の基準マークとウエハステージ上の光電検出系が相対ス
キャンすればよいので、レチクルステージを駆動させ、
ウエハステージを固定する方式でもよい。また本実施例
では、スリット状の光透過部22を用いる測定法の例を
示したが、結像特性を空間像より求める方法であれば、
何れの方法でも使用することができる。
【0055】次に、ウエハステージ上のパターン板の別
の例について、図5を参照して説明する。本例は、光透
過部が非走査方向に伸びたスリット状の開口部ではなく
走査方向にも長い開口部を有するパターン板によりスキ
ャンし光電センサ20で受光する方法である。図5は、
本例のパターン板を示し、図5(a)はパターン板の断
面図、図5(b)はその平面図を示す。この図5(b)
に示すように円形のパターン板402の表面は、遮光部
403中に非走査方向(Y方向)にレチクルRの基準マ
ーク202の投影像の非走査方向の長さとほぼ同じ幅を
持ち且つ走査方向(X方向)の端部に直線状のエッヂ4
04を有するほぼ正方形の光透過部401が形成されて
いる。また、図5(a)に示すように、パターン板40
2の真下には光透過部401の全面を覆うように光電セ
ンサ20が配置されており、基準マーク202の投影像
を検出するようになっている。
【0056】この方法は、光透過部401のエッヂ40
4を利用する方法である。このパターン板402を用い
てウエハステージWSTをX方向にスキャンすると、光
電センサ20に入射する光量はいわば積分された量とし
て測定される。これを図5(c)及び(d)を参照して
説明する。図5(c)は、光電センサ20からの出力信
号の波形を示し、図5(d)は、図5(c)の光電セン
サ20からの出力IをウエハステージWSTのX方向の
位置xで微分した信号波形を示す。なお、この図5
(c)及び5(d)において横軸は位置x、縦軸は出力
Iを表す。この図5(c)において、曲線405が光電
センサ20からの出力Iを示している。ウエハステージ
WSTが移動するに従って曲線405で示される出力I
は次第に大きくなり、ある位置で一定値に達する。ウエ
ハステージWSTが結像位置に近ずくに従って立ち上が
りの角度が大きくなり、離れるに従ってその角度は小さ
くなり0に収束する。
【0057】即ち、光電センサ20からは、図3(d)
の曲線28に相当する波形を積分した形で信号が得られ
るので、微分して図3(d)の曲線28に相当する出力
信号を得る必要がある。図5(d)の曲線406は、図
5(c)の曲線405をウエハステージWSTの位置x
で微分したもので、図3(d)の曲線28に相当する出
力信号が得られている。従って、図3に関して述べたの
と同様な方法により結像位置が算出される。
【0058】本例の方法によれば、演算処理が複雑にな
る面はあるが、光量が少なくてもよい点と、パターン板
402が形成し易い面で有利である。また、様々な線幅
のマークを1つの光透過部401で測定できる利点があ
る。なお、この他に結像された像を拡大してCCD等の
1次元あるいは2次元の測定が可能な光電センサで測定
する方法を用いることもできる。
【0059】次に、第1実施例の投影光学系PLの結像
特性の補正動作について説明する。投影光学系PLの結
像特性としては、例えば焦点位置、像面湾曲、ディスト
ーション(倍率誤差、像歪等)、非点収差等があり、そ
れらを補正する機構はそれぞれ考えられるが、ここでは
ディストーションに関する補正機構の説明を行う。図2
において、レンズエレメント12が光軸AXの方向に平
行移動した場合、その移動量に応じた変化率で投影光学
系PLの倍率(投影像の寸法の拡大率)が変化する。ま
た、レンズエレメント12が光軸AXに垂直な平面に対
して傾斜した場合は、その回転軸に対して一方の倍率が
拡大し、他方の倍率が縮小する。所謂、正方形が台形状
に歪む変形を起こすディストーションを発生することが
できる。これにより逆にディストーションを補正でき
る。
【0060】次に、レチクルRを駆動する場合について
説明する。レチクルRは前記のようにレチクルステージ
4A上に載置されている。レチクルステージ4Aは伸縮
自在の複数の駆動素子11a,11bにより、摺動部4
Bに載置されているため、駆動素子11a,11bによ
り投影光学系PLとレチクルRの間隔を変化させること
ができる。ここで、レチクルRが光軸AXに平行に移動
した場合、投影像は所謂糸巻型(あるいは樽型)ディス
トーションと呼ばれる変化を発生することができる。
【0061】上記のようにレチクルRあるいはレンズエ
レメント12を駆動することにより、投影光学系PLの
投影倍率あるいは像歪を最適に補正できる。また、これ
らを駆動することによって焦点位置あるいは像面が変化
するが、その量は不図示のウエハWのZ方向の焦点位置
検出系のオフセットとしてフィードバックされ、ウエハ
Wの位置が常に投影光学系PLの焦点位置又は像面と一
致するように制御されている。
【0062】なお、投影像の歪みを補正する方法は上記
の方法に限定されず、例えば投影光学系PLとレチクル
Rとの間の空間に像歪を補正するようなガラスプレート
を挿入する方法、あるいはガラスプレートの厚みを変え
る方法、あるいは投影光学系PLの一部の空気間隔を密
封してその圧力もしくは空気の組成を変化させる方法等
種々の方法が提案されており、これらも同様に使用でき
る。
【0063】以上の補正手段は計測された結像特性を補
正する以外に、通常、大気圧等の環境変化、投影光学系
PLの照明光吸収、あるいは照明条件の変更等に伴う結
像特性の変化に対する補正に使用される。これを、以下
に簡単に説明する。先ず、大気圧の変化等の環境変化に
対応する補正について説明する。中央制御系16には、
大気圧センサ、温度センサ等からなる環境センサ18か
らの情報が供給されており、中央制御系16ではこれら
の情報に基づき、予め計算又は実験等で求めていた係
数、あるいはテーブル等を用いて結像特性の変化量が計
算される。更にレチクルステージ4A等の各補正手段の
補正量が求められ、その結果が結像特性制御系17に信
号として送られる。この信号に基づき、結像特性制御系
17はレンズエレメント12及びレチクルRの駆動素子
14a,14b,11a,11bを駆動させて補正を行
う。
【0064】次に、投影光学系PLの照明光吸収に関し
ては、例えばウエハステージWST上の光電センサ19
により、投影光学系PLを通過してくる照明光量の測定
を実露光動作の前に行う。光電センサ19は投影光学系
PLのスリット状の照明領域を一度に受光できるだけの
受光面積を持ち、測定時にはウエハステージWSTは光
電センサ19を投影光学系PLの光軸AXの中心で固定
し、レチクルステージ4Aのみをスキャンさせてレチク
ルスキャン時の照明光量の測定を行う。光電センサ19
の測定結果は中央制御系16に供給されている。中央制
御系16には予め照明光量に対する結像特性の変化特性
が、例えば微分方程式等の数学モデル等で記憶されてお
り、中央制御系16では照明光量の変化に伴う刻々の結
像特性の変化が算出され、その結果に基づいて、中央制
御系16からの指令により上記環境変化に対応するのと
同様に補正が行われる。更に、照明条件の変更に関して
も不図示の照明条件制御系からの信号に基づいて、中央
制御系16において結像特性の変化が計算され、その結
果に基づき補正が行われる。
【0065】以上、本例の方法によれば、予めマーク間
隔を測定したテスト用レチクルだけではなく、実露光に
用いられる全てのレチクルに対して倍率、像歪の測定が
可能である。従って、逐次測定と前記の結像特性補正手
段とによりキャリブレーションしながら露光を行うこと
ができる。また、従来の露光装置にも結像特性の変化量
を計算して補正する機能が備えられているが、予測され
ていない装置の長期変化、レチクルの違い、レーザ干渉
計の測定誤差、照明光吸収の影響の違い等による誤差が
発生する恐れがある。また、照明条件毎に結像特性の変
動特性を補正係数として厳密に持たなければならない
上、装置の調整に時間が掛かるという問題点もある。し
かしながら、本例のように実露光に用いるレチクルで変
動計算に対し頻繁なキャリブレーションを行えば精度よ
い補正が行え、且つ補正計算はキャリブレーションを行
う間の補完をすればよいだけとなりそれほどの精度は要
求されない。このため、補正計算機構の調整が簡単にな
る利点もある。
【0066】但し、あまり頻繁に測定してキャリブレー
ションを行うとスループット(生産性)が悪化するの
で、精度との兼ね合いで行うことになる。例えば、あま
り変動要因の無いときにはキャリブレーションを行う必
要がない。そこで、前記の変動計算が照明光吸収等によ
り、ある一定値変化する毎にキャリブレーションを行う
という方法が考えられる。これによれば、変動が大きい
ときのみキャリブレーションが行える。あるいは、ロッ
トの先頭のみ、照明条件を変更したときにのみ行うとい
う方法もある。また、単純に一定時間おき、一定枚数お
きにキャリブレーションを行う方法もある。この方法は
スループットの点では最適とはいえないが、管理が簡単
で装置の動作設計も簡単になるという利点がある。更
に、測定値に基づき変動計算の係数を自動的に最適なも
のに書き換える方法を用いてもよい。
【0067】次に、第1実施例の変形例について図4を
参照して説明する。本例は、ウエハステージWSTのパ
ターン板に2箇所の光透過部を設け、ウエハステージW
STは静止した状態でレチクルRの移動距離を測定する
ものである。これにより前実施例におけるウエハW側の
移動距離が固定されたものになる。図4(a)は、本例
のレチクルRとウエハステージWST上の光電検出系と
の投影光学系PLを介した関係を示し、図4(b)は図
4(a)のパターン板30の平面図を示す。この図4
(b)において、パターン板30には予め厳密に間隔L
3だけ離れた所に2つの非走査方向(Y方向)に伸びた
光透過部31A,31Bが設けられている。これらの2
つの光透過部31A,31Bはその周囲を遮光部32に
囲まれ、それぞれレチクルRの基準マーク202の投影
像の形にほぼ一致した大きさを有している。このパター
ン板30に対応して、パターン板30の真下には、2つ
の光透過部31A,31Bからの照明光を移動すること
なく受光するため前実施例の光電センサ20よりも広い
受光面を有する光電センサ33が配置されている。他の
構成は前実施例と同様である。なお、光電センサ33は
本例のように広い受光面を持つものでなくともよく、前
実施例同様の大きさの受光面を有する光電センサを透過
部31A,31Bにそれぞれ付設してもよい。また、1
つの光電センサをレチクルRの移動に合わせてそれぞれ
の透過部31A,31Bの真下に移動させるようにして
もよい。
【0068】本例では、ウエハステージWSTは移動す
ることなく、レチクルRのみパターン板の光透過部31
Bに対応する位置P5から光透過部31Aに対応する位
置P6に移動する。具体的には、先ずパターン板30の
2つの光透過部31A,31Bが共に図3(a)の照明
領域IAと共役な領域内に入るようにウエハステージW
STを移動させる。次に、ウエハステージWSTを静止
した状態のまま、先ずレチクルRの基準マーク202の
像がパターン板30の光透過部31Bを透過して横切る
ようにレチクルステージを駆動する。そして、光電セン
サ33での光量が最も大きくなるときのレーザ干渉計8
により計測されるX座標を求める。次に、やはりウエハ
ステージを静止した状態のまま、レチクルRの基準マー
ク202の像がパターン板30の光透過部31Aを横切
るようにして光電センサ33での光量が最も大きくなる
ときのレーザ干渉計8による計測値を求める。これによ
りウエハW側の光透過部31A,31B間の間隔L3に
対応するレチクルRの移動した距離L4が計測される。
倍率は間隔L3と距離L4との比(L3/L4)により
求められる。
【0069】以上、本例の方法によれば、ウエハW側の
レーザ干渉計10はウエハステージWSTの位置決めに
は用いられるが、間隔L3の測定値には直接関係せず、
間隔L3の誤差の要因とはならない。第1実施例ではレ
チクルR側のレーザ干渉計8で距離L2を計り、ウエハ
W側のレーザ干渉計10で間隔L1を計るため、2つの
レーザ干渉計の間に波長補正等に起因するスケール誤差
があると測定誤差になる。しかし、本例の方法によれ
ば、測定に用いられるレーザ干渉計8は倍率の大きいレ
チクルR側であるので、仮に誤差があっても投影光学系
PLの倍率分だけ影響は小さくなる。即ち、投影光学系
PLの倍率を例えば1/4とすれば、測定誤差はウエハ
WST側のレーザ干渉計10の測定値の1/4の誤差と
なる。なお、ウエハステージWSTのパターン板30の
光透過部は2つに限らず必要に応じて増やすことができ
る。
【0070】次に、本発明の第2実施例について図6を
参照して説明する。本実施例は第1実施例の空間像を計
測する方法に代えて、ウエハW上のフォトレジスト(感
光材料)に像を露光して測定する方法である。実際のパ
ターンはフォトレジストにて形成されるために、簡便な
計測方式としては前記の空間像の計測でよいが、最終的
には製品を作るためのレジスト像で見る必要がある。フ
ォトレジストの特性と投影光学系PLの収差のため、空
間像と測定値とが全く一致しない場合もあるためであ
る。
【0071】これを簡単に説明すると、フォトレジスト
は殆ど感光するかしないかの2つの状態であるが空間像
は連続値であるため、空間像の信号処理によっては投影
光学系PLの収差の受け方が異なることも考えられる。
また、フォトレジストはZ方向に厚みを持つため、平面
で見る空間像とは異なる可能性がある。この場合、前も
って対応関係を求めておき、空間像の測定結果を補正す
る必要がある。レジスト像においても解決すべき問題点
と解決法は空間像の場合と全く同様である。なお、装置
の構成は第1実施例と同様であるので、同様箇所には同
一番号を付しその詳細説明を省略する。
【0072】以下、本例の動作について説明する。図6
(a)は、本例の投影露光装置の要部の概略構成を示
し、この図6(a)に示すように、第1実施例と同様
に、まずレチクルRを左側の第1の基準点P7に静止さ
せ、フォトレジスト層503が塗布されたウエハWに実
際の露光光を用いてレチクルR上の基準マーク501の
像を露光する。図6(a)中基準マーク501の投影像
の位置に現像後に形成されるレジスト像502Aを点線
で示す。この場合、ウエハステージWSTとレチクルス
テージ4Aは静止している。次に、レチクルRをX方向
に距離L8だけ移動させ、右側の第2基準点P8に移動
する。これに応じて、ウエハステージWSTをP10地
点から距離L8に対応する距離L7に対してΔL7だけ
小さい地点P9に移動する。これは、2ヶ所での露光像
が重なってしまうと計測しにくいためで、ΔL7だけ加
算した位置に移動させてもよい。ここで、再び露光動作
を行い、レチクルR上の基準マーク501の像を露光す
る。図6(a)中基準マーク501の投影像の位置にレ
ジスト像502Bを点線で示す。図6(b)は、現像後
に形成されたレジスト像502A,502Bを示し、こ
の図6(b)に示すように2つの基準位置で露光された
像は投影倍率が正確に設計値通りであれば、距離ΔL7
だけ離れて露光されているが、倍率に誤差があるときは
距離(ΔL7+α)だけ離れて露光される。このときの
投影倍率は、距離(L7+α)と距離L8との比((L
7+α)/L8)で計算される。以上により、フォトレ
ジスト像での倍率が求められる。
【0073】距離の測定は一般に重ね合わせを検査する
検査装置で測定できる。これらの装置は、例えばウエハ
Wを露光装置同様にレーザ干渉計で厳密に位置が測定で
きるステージに載置し、レーザビームを像に照射しつつ
ステージをスキャンしてレジストパターンからの散乱光
を受光するものがある。露光装置によってはこのような
計測も可能なものがある。また、顕微鏡で肉眼で検査で
きるように目盛が付いた像を露光する方法もある。
【0074】2ヶ所の重ね露光はウエハW1枚当たり複
数数回行い平均化して測定精度を上げてもよい。また、
現像を行わず潜像の状態で計測してもよい。また、フォ
トレジストではなく、フォトクロミック材料のような感
光、消去が自由な素子を用いてもよい。第1実施例と同
様に基準点の数を増やせば像歪の測定も可能である。ま
た、測定は第1実施例に比べ時間が掛かるため頻繁には
行えないが、前記のようにフォトレジスト像が最終的に
製品の精度を決めるため、定期的な検査等に用いるのが
適当である。このときも、レチクルRの描画誤差を気に
しなくてよいので従来の投影光学系の検査方法に比較し
て効率的である。
【0075】次に、本発明の第3実施例を図7及び図8
を参照して説明する。本例はレチクルR上に複数の基準
マークを形成し、露光装置のレーザ干渉計を用いてレチ
クルRの描画誤差を実測しながら計測するものである。
図8は、本例のレチクルRの動作を説明するための図を
示し、図8(a)は基準マーク601の位置を計測して
いる状態、図8(b)は基準マーク602の位置を計測
している状態、図8(c)は実際に倍率を測定している
状態を示している。図8(a)〜図8(c)に示される
ように構成的にはレチクルR上に2個の基準マーク60
1及び602を設け、ウエハステージWST上のパター
ン板として第1実施例の変形例に使用されたパターン板
30及び基準マーク601及び602のそれぞれの投影
像を受光する2つの光電センサ20A,20Bを用いた
以外は第1実施例と同様であり、対応する部分には同一
符号を付しその詳細説明を省略する。
【0076】なお、図8(a)及び図8(b)におい
て、レチクルアライメント顕微鏡24、光電センサ23
は本来レチクルRの位置合わせ用の基準パターンとウエ
ハステージWST上の基準パターンとを観察してレチク
ルRの露光装置に対する位置決めに用いるものである
が、本例では、レチクルアライメント顕微鏡24、光電
センサ23及びレーザ干渉計8並びにレチクルステージ
上の移動鏡7を使用してレチクルR上の基準マーク60
1と602の間の間隔L6を実測する。
【0077】以下、本例の投影光学系の検査動作の一例
につき図7を参照して説明する。図7は、本例の検査動
作のフローチャートを示し、先ずステップ701におい
て、図8(a)に示すように、レチクルR上の基準マー
ク601がレチクルアライメント顕微鏡24の真下に来
るようにレチクルステージ4Aを移動し、レチクルアラ
イメント顕微鏡24用の照明光IL1を照射する。照明
光IL1はレチクルアライメント顕微鏡24のビームス
プリッタ34でほぼ直角に反射された後、対物レンズ3
3及びミラーを経てレチクルRの基準マーク601に照
射される。基準マーク601からの反射光は再びレチク
ルアライメント顕微鏡24に戻され、対物レンズ33を
経由してビームスプリッタ34を透過し光電センサ23
上に基準マーク601の像を形成する。
【0078】レチクルRを微動させて、光電センサ23
での基準マーク601の像の位置が所定の基準位置にな
るように位置決めした後、レーザ干渉計8でレチクルR
のX方向の位置を計測する。次に、ステップ702にお
いて、図8(b)に示すように、基準マーク602がレ
チクルアライメント顕微鏡24の真下に来るようにレチ
クルステージ4Aを移動し、同様の方法によりレチクル
Rの位置を計測する。この2つの位置でのレーザ干渉計
8の測定値はステージ制御系25を介して中央制御系1
6に供給されており、ステップ703において、中央制
御系16によりこの2つの位置から基準マーク601と
602との間隔L6が算出される。
【0079】図8(c)において、基準マーク601及
び602からのそれぞれの回折光等は投影光学系PLを
介してウエハステージWST上のパターン板30の光透
過部31A,31Bをそれぞれ通過してそれぞれの光電
センサ20B,20Aで受光される。なお、この場合2
つの光透過部31A,31Bの間の距離は、第1実施例
の変形例と同様に間隔L3となっている。倍率が設計値
通りのとき、基準マーク601,602の像がそれぞれ
光透過部31B,31Aと重なるように光透過部31
A,31Bが設定されている。しかしながら、実使用時
には結像特性の設計値からのずれが生じ、基準マーク6
01及び602の結像位置とそれぞれの光透過部31
B,31Aの位置とのずれが生じる。
【0080】従って、本例では先ずステップ704にお
いて、基準マーク601及び602が照明領域IA内に
入る位置にレチクルステージ4Aを移動し、静止させ
る。次にステップ705において、ウエハステージWS
Tを移動して、光透過部31Bが基準マーク601の結
像位置を横切るようにウエハステージWSTを移動す
る。そして、ステップ706において、光電センサ20
Bの出力が最大となるときのウエハステージWSTのX
座標を求める。次に、ステップ707において、光透過
部31Aが基準マーク602の結像位置を横切るように
ウエハステージWSTを移動する。そして、ステップ7
08において、光電センサ20Aの出力が最大になると
きのウエハステージWSTのX座標を求める。次に、ス
テップ709において中央制御系16によりウエハステ
ージWSTの移動距離ΔL3が算出される。
【0081】次に、ステップ710において、先のステ
ップ703で算出されたレチクルRの基準マーク60
1,602の間隔L6、光透過部31A,31Bの間の
間隔L3、及びステップ709で算出されたウエハステ
ージWSTの移動距離ΔL3に基づき中央制御系16に
より投影光学系PLの投影倍率が算出される。投影倍率
はウエハステージWSTの移動距離ΔL3と間隔L3と
の和(L3+ΔL3)とレチクルRの基準マーク60
1,602の間隔L6との比((L3+ΔL3)/L
6)により求められる。以上の結果に基づき、ステップ
711において中央制御系16により投影光学系PLの
投影倍率の補正が行われる。
【0082】なお、より高精度に計測を行うには、ウエ
ハステージ側は停止してレチクルステージ側をスキャン
してもよい。この場合は、先ずレチクルステージ4Aを
移動して、光電センサ20Bの出力が最大となるときの
レチクルステージ4Aの位置を検出する。次に、レチク
ルステージ4Aを移動させて光電センサ20Aの出力が
最大となるときの位置を計測する。この時のレチクルス
テージ4の計測位置の差ΔL6と投影倍率βとの積ΔL
6・βと距離L3との和(L3+ΔL6・β)とレチク
ルRの基準マーク601,602の間隔L6との比
((L3+ΔL6・β)/L6)が投影倍率として求め
られる。
【0083】本例によれば、第1実施例と同様にレチク
ルRの描画誤差の影響を受けない計測が可能である。ま
た、レチクルRのマーク間隔を測定するため、レチクル
Rが照明光を吸収して熱膨張を起こしてもその変化量を
知ることができ、レチクルRの熱膨張分も含めて倍率及
び像歪の変化が生じてもその変化量を知ることができる
(第1及び第2実施例ではレチクル膨張分の測定は原理
的にできない)。また、レチクルRの熱膨張はマーク間
隔で、投影光学系PLで発生した分は全体の変化からレ
チクルRの熱膨張分を引くことで、倍率、像歪の変化を
それぞれ別々に知ることができる。このため、前記の結
像特性計算手段でそれぞれ別々に計算することができ、
キャリブレーション間の補正計算の精度を上げることも
できる。
【0084】レチクルRの熱膨張が精度に影響しない程
度のときは、基準マーク間隔の測定はレチクルR交換時
に1回行えばよく、上記の例のように複数の透過部を使
用した測定では測定時間を短くできる。また、第3実施
例において、更に、レチクルR上に非走査方向(Y方
向)に2つの基準マークを形成し、このレチクルRを9
0°回転した状態で第3実施例と同様にそれら2つの基
準マークの間隔を計測してもよい。その後、再びレチク
ルRを90°回転して、ウエハステージ側で2つの像の
Y方向の間隔を計測することにより投影光学系のY方向
の投影倍率を計測できる。
【0085】なお、第1実施例及び第3実施例では空間
像の計測は何れもウエハステージ側に受光センサを設け
たが、レチクルの前面側に受光センサを配置し、ウエハ
ステージ側で発光してレチクルを介して受光するように
してもよい。これを、例えば第1実施例に適用した場
合、ウエハステージ側からスリット状の照明を行い、レ
チクルRの基準マーク202をスリットがスキャンする
ようにウエハステージWSTをスキャンする。基準マー
ク202とスリットの位置が一致したときレチクルRの
上方へ光線が通過するので、これを受光してスリットの
レチクルRへの逆結像位置を知ることができる。しか
し、この方法は実際のレチクルRの照明系を使用しない
ため、照明条件の変更等には対応できない点に配慮する
必要がある。
【0086】このように本発明は上述実施例に限定され
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り
得る。
【0087】
【発明の効果】本発明の第1の投影光学系の検査方法に
よれば、倍率、像歪の測定にマスク上の所定のパターン
を1つしか使用しないため、マスクのパターン間隔の描
画誤差の影響は受けない。この結果、例えば製造用のマ
スクを用いながら正確な倍率、像歪の測定が行えるた
め、それに応じて補正を行うことにより、倍率、像歪の
補正精度が向上するという利点がある。
【0088】また、本発明の第2の投影光学系の検査方
法によれば、マスクに形成された第1パターンと第2パ
ターンとの位置関係を必要に応じ正確に測定することが
できるため、投影光学系の結像特性を常に正確に検出す
ることができる。従って本発明の第1の投影光学系の検
査方法と同様にマスク上の投影倍率及び像歪計測用のマ
ークに描画誤差等があっても倍率、像歪等の投影光学系
の結像特性を正確に検出することができる。
【0089】また、本発明による第1及び第2の投影光
学系の検査方法において、投影光学系が、マスクに形成
されたパターンを感光基板に転写する投影露光装置に設
けられている場合には、投影光学系の結像特性が正確に
検出でき、マスクのパターンを感光基板に正確に転写で
きる。また、本発明の第1の投影露光装置によれば、そ
の第1の投影光学系の検査方法が実施できる。
【0090】また、従来の露光装置にも結像特性の変化
量を計算して補正する機能が備えられているが、予測さ
れていない装置の長期変化、マスクの違い、レーザ干渉
計の測定誤差、照明光吸収の影響の違い等による誤差が
発生する恐れがある。また、照明条件毎に結像特性の変
動特性を厳密に持たなければならない上、装置の調整に
時間が掛かるという問題点もある。しかしながら、本発
明によれば実露光に用いるマスクで変動計算に対し頻繁
なキャリブレーションを行えば精度よい補正が行え、且
つ補正計算はキャリブレーションを行う間の補完をすれ
ばよいだけとなりそれほどの精度は要求されない。この
ため、照明の調整が簡単になる利点もある。
【0091】また、本発明の第2の投影露光装置によれ
ば、その第2の投影光学系の検査法方が実施できる。ま
た、本発明の第2の投影露光装置において、パターン位
置検出手段が、そのマスク上のパターンを光電検出する
パターン検出手段と、このパターン検出手段の検出領域
を第1パターンと第2パターンとが横切るようにそのマ
スクステージを投影光学系の光軸に対して垂直に移動さ
せるステージ制御手段と、マスクステージの位置を計測
する位置計測手段とを有する場合には、マスクステージ
をステージ制御手段により移動させることによりマスク
上の第1パターンと第2パターンとをパターン検出手段
により検出し、そのときのマスクステージの位置を位置
計測手段により計測し、第1パターンと第2パターンと
の位置関係を検出することができる。
【0092】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置において、マスクのパターンを転写するための感光基
板を載置する基板ステージを更に具備し、その像位置検
出手段の検出対象の一例が、感光基板上に転写された所
定のパターン又は第1及び第2パターンの像である場合
には、実露光時と同じ状態で投影光学系の結像特性が正
確に検出できる。
【0093】また、本発明の第1及び第2の投影露光装
置を走査露光型の投影露光装置に適用した場合、本来備
えられているマスクステージの送り機構がそのまま利用
できるため、容易に本発明が適用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影光学系の検査方法の第1実施
例を示すフローチャートである。
【図2】図1の投影光学系の検査方法を実施するための
投影露光装置の概略構成を示す一部を切り欠いた構成図
である。
【図3】図1の投影光学系の検査方法を具体的に説明す
るための図である。
【図4】(a)は第1実施例の変形例の要部を示す図、
(b)は図4(a)のパターン板31を示す平面図であ
る。
【図5】図2のパターン板21の変形例の説明に供する
図である。
【図6】(a)は本発明による投影光学系の検査方法の
第2実施例を説明するための投影露光装置の要部を示す
構成図、(b)は第2実施例で露光により形成されたレ
ジスト像を示す図である。
【図7】本発明による投影光学系の検査方法の第3実施
例を示すフローチャートである。
【図8】図7の投影光学系の検査方法を実施するための
投影露光装置の説明図である。
【図9】従来の投影光学系の検査方法を説明するための
図である。
【符号の説明】
1 光源 IL 照明光 2A 照度分布均一化光学系 R レチクル 4A レチクルステージ 8 レーザ干渉計 10 レーザ干渉計 PL 投影光学系 W ウエハ WST ウエハステージ 21,30,402 パターン板 22,31A,31B,401 光透過部 20,20A,20B,33 光電センサ 16 中央制御系 17 結像特性制御系 25 ステージ制御系 11a,11b,14a,14b 駆動素子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクに形成されたパターンの像を所定
    平面に投影するための投影光学系の検査方法において、 前記マスクに形成された所定パターンを第1の位置に移
    動する第1工程と、 前記投影光学系の光軸に対して垂直に前記第1の位置と
    は異なる第2の位置に前記所定パターンを移動する第2
    工程と、 前記第1の位置と前記第2の位置との関係を検出する第
    3工程と、 前記第1の位置にある前記所定パターンの像の前記投影
    光学系による投影位置と前記第2の位置にある前記所定
    パターンの像の前記投影光学系による投影位置との関係
    を検出する第4工程と、 前記第3工程で検出された位置関係と前記第4工程で検
    出された位置関係とに基づいて前記投影光学系の結像特
    性を求める第5工程と、 を含むことを特徴とする投影光学系の検査方法。
  2. 【請求項2】 マスクのパターンの像を所定平面に投影
    するための投影光学系の検査方法において、 前記マスクに形成された第1パターンと第2パターンと
    の位置関係を検出する第1工程と、 前記投影光学系による前記第1パターンの像の投影位置
    と前記投影光学系による前記第2パターンの像の投影位
    置との関係を検出する第2工程と、 前記第1工程で検出された位置関係と前記第2工程で検
    出された位置関係とに基づいて前記投影光学系の結像特
    性を求める第3工程と、 を含むことを特徴とする投影光学系の検査方法。
  3. 【請求項3】 前記投影光学系は、前記マスクに形成さ
    れたパターンを感光基板に転写する投影露光装置に設け
    られていることを特徴とする請求項1又は2記載の投影
    光学系の検査方法。
  4. 【請求項4】 マスク上に形成されたパターンの像を所
    定平面に投影するための投影光学系と、 前記マスクを保持して前記投影光学系の光軸に垂直な方
    向に移動自在なマスクステージと、 前記マスクステージの位置を計測する位置計測手段と、 該位置計測手段の出力に基づいて、第1の位置から第2
    の位置へ前記マスクステージを移動させるステージ制御
    手段と、 前記マスクステージが前記第1の位置にあるときの前記
    マスクに形成された所定パターンの像の前記投影光学系
    による投影位置と、前記マスクステージが前記第2の位
    置にあるときの前記所定パターンの像の前記投影光学系
    による投影位置との関係を検出する像位置検出手段と、 前記マスクステージが前記第1の位置及び前記第2の位
    置にあるときに前記位置計測手段で計測されたマスクス
    テージの位置と、前記像位置検出手段で検出された位置
    関係とに基づいて前記投影光学系の結像特性を算出する
    算出手段と、 を有することを特徴とする投影露光装置。
  5. 【請求項5】 第1パターンと第2パターンとが形成さ
    れたマスクを保持するマスクステージと、 前記マスクのパターンの像を所定平面に投影するための
    投影光学系と、 前記第1パターンと前記第2パターンとの位置関係を検
    出するパターン位置検出手段と、 前記第1パターンの像の前記投影光学系による投影位置
    と前記第2パターンの像の前記投影光学系による投影位
    置との関係を検出する像位置検出手段と、 前記パターン位置検出手段で検出された位置関係と前記
    像位置検出手段で検出された位置関係とに基づいて前記
    投影光学系の結像特性を算出する算出手段と、 を具備することを特徴とする投影露光装置。
  6. 【請求項6】 前記パターン位置検出手段は、前記マス
    ク上の第1パターン及び第2パターンを光電検出するパ
    ターン検出手段と、該パターン検出手段の検出領域を前
    記第1パターンと前記第2パターンとが横切るように前
    記マスクステージを前記投影光学系の光軸に対して垂直
    に移動させるステージ制御手段と、前記マスクステージ
    の位置を計測する位置計測手段と、を有することを特徴
    とする請求項5記載の投影露光装置。
  7. 【請求項7】 前記マスクのパターンを転写するための
    感光基板を載置する基板ステージを更に具備し、 前記像位置検出手段は、前記感光基板上に転写された前
    記所定のパターン又は前記第1及び第2パターンの像の
    位置を検出することを特徴とする請求項4、又は5記載
    の投影露光装置。
JP7032245A 1995-02-12 1995-02-21 投影光学系の検査方法、及び該方法を実施するための投影露光装置 Withdrawn JPH08227845A (ja)

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US09/332,027 US6151122A (en) 1995-02-21 1999-06-14 Inspection method and apparatus for projection optical systems
US09/667,754 US6525817B1 (en) 1995-02-21 2000-09-21 Inspection method and apparatus for projection optical systems
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