JP4206158B2 - 接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスや透明プラスチック等からなる光学材料や電子材料等の材料の貼り合わせや結合に用いられる接着剤組成物に関する。特に光学設計上高い屈折率を必要とされる用途に使用される接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
レンズやプリズム等の光学材料の貼り合わせや光ファイバと光導波路等の各種光部品との結合には接着剤が使用されることが多い。また光学材料と電子材料等の材料同士、及びこれらの材料と他の材料とを接着剤により接着させることも多くなってきた。これらの接着剤の中で光が通過する部分の接着剤は、光学透明性の他に光学設計上最適な屈折率を有するものでなければならない。従来これらの用途の接着剤として、熱可塑性天然樹脂であるカナダバルサムやエポキシ樹脂接着剤、アクリル樹脂接着剤等が知られている。
【0003】
ところで最近、十分な接着力を維持しながら光学設計上屈折率として1.60以上の高屈折率を有する接着剤が望まれている。しかしながら、カナダバルサムの屈折率は1.52であり、またエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤の屈折率は1.50〜1.59の範囲であり、十分な接着力と1.60以上の高い屈折率を両立して有する接着剤はほとんど知られていなかった。なお、屈折率のみに着目して屈折率1.60以上の材料を用いた接着剤が、例えば特開平−111189号等において提案されているが、これらの接着剤では、屈折率制御に力点が置かれて、接着力が不十分であったり、光学透明性が劣ったり、更に、作業環境上有害な溶剤や揮発性の高いモノマー類を含有する等の問題を有するものであった。
このような状況から、透明で高屈折率でありながら、優れた接着力を有し、揮発性の溶剤を含有しない接着剤が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決した、光学用途で使用できる良好な透明性を有し、高屈折率で高い接着力を有する接着剤組成物を提供することにある。特に、硬化後の屈折率として1.60以上を有する接着剤組成物を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題の解決を鋭意検討した結果、特定構造のポリチオール化合物とエポキシ化合物との組み合わせにより高屈折率で高接着性を示す接着剤組成物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。すなわち、本発明の第一の接着剤組成物は、下記構造式(A−2)または(A−3)で示されるポリチオール化合物(A)と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)を少なくとも含有することを特徴とする接着剤組成物である。第二の接着剤組成物は、下記構造式(A−2)または(A−3)で示されるポリチオール化合物(A)と、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)と、1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物(C)を少なくとも含有することを特徴とする。また、好ましい形態としての第三の接着剤組成物は、上述の第1又は第2の接着剤組成物において1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)が硫黄原子を1個以上含有するものを使用するものであり、更に第四の接着剤組成物は、上述の第2の接着剤組成物において1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物(C)が硫黄原子を1個以上含有するものを用いることを特徴とするものである。
【化3】
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の内容について詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物に使用されるポリチオール化合物(A)は、屈折率を高める主材料であり、下記構造式(A−2)または(A−3)で示される構造のものが使用される。
【化4】
【0007】
上記の構造式(A−2)または(A−3)で示されるポリチオール化合物(A)は、次の(A−1)で示されるポリチオール化合物を原料として合成することが出来る。
【化5】
(A−1)で示されるポリチオール化合物は例えば次の方法により合成される。すなわち、ジアリルジスルフィドに臭素を反応させ、環化二量化した臭素化物にチオ尿素を反応させイソチウロニウム塩を生成させる。これを水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した後、塩酸酸性にすることにより目的のポリチオール化合物を得ることが出来る。
【0008】
1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)としては、エポキシ基を2個以上有する分子構造を有する化合物を適宜用いることができる。具体的には、ビフェノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノ−ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
【0009】
更に、3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4―エポキシシクロヘキシルエチル―3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4―エポキシ―6―メチルシクロヘキシル―3’,4’―エポキシ―6’―メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキサイド、2―(3,4―エポキシシクロヘキシル―5,5―スピロ―3,4−エポキシ)シクロヘキサン―m―ジオキサン、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ラクトン変性3,4―エポキシシクロヘキシルメチル―3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサン)、エチレンビス(3,4―エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、テトラ(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)―4,5―エポキシテトラヒドロフタレート、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシル)ジエチルシロキサン等の脂環式エポキシ化合物も挙げられる。
【0010】
接着剤組成物として屈折率を高くするためには、これらのエポキシ基を有する化合物の中でも比較的屈折率の高いビスフェノールAやハロゲン含有のテトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のジグリシジルエーテル類を使用することが好ましい。また、ビスフェノールSのグリシジルエーテルのような硫黄原子を1個以上含有するエポキシ基を有する化合物を使用することも好ましい。
【0011】
更にまた下記一般式(2)で表される硫黄含有のエポキシ基を有する化合物が特に好ましい。
【化6】
(式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜10の整数を表す)
具体的には、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)―3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラメチルフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,5−ジブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラブロモフェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,3,5,6−テトラクロロフェニル]スルフィド等が好適に使用されるが、これらに限定されるものではない。
なお上記(2)式のエポキシ化合物の製造方法は、例えばビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドにエピクロルヒドリンを付加反応させた後、閉環反応を行う方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明に使用される1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物(C)としては、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物等が使用可能である。(メタ)アクリレート化合物としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等のモノマー類と、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の名称で呼ばれる(メタ)アクリルオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
またビニルエーテル化合物としては、例えばジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。またアライド・シグナル社から市販されているベクトマー4010、4020、4030等のジビニルエーテルのエステル化合物も使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
接着剤組成物として屈折率を高くするためには、これらのビニル基を有する化合物の中でも比較的屈折率の高いものを選択することが好ましい。すなわち上記の(メタ)アクリレート化合物の中では、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物等が好ましい。
【0015】
更に1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物が硫黄原子を1個以上含有するものであることが高屈折率とする上でより好ましい。具体的には下記構造式(3)及び(4)に示される化合物が挙げられる。
【化7】
(式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜10の整数を表す)
【化8】
(式中、R1,R2,R3,R4は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)
【0016】
特に好適な構造式(3)で表わされる化合物の具体例としては、ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロ−4−ビニルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラブロモ−4−ビニルチオフェニル)スルフィド、また、構造式(4)で表わされる化合物の具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラブロモ−4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド等が挙げられる。
なお上記構造式(3)で表わされるビニルスルフィド化合物の製造方法は、例えば、アルカリの存在下、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドとジクロロエタンとを反応させた後、アルカリで脱塩化水素処理する方法が挙げられる。また構造式(4)で表わされるメタクリレート化合物については、アルカリの存在下、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィドとメタクリル酸クロライドとを反応させる方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明では以上の主要成分の他に、粘度調整、硬化条件の制御、接着力制御、硬化物の熱的、力学的特性制御等のために以下に示す反応性希釈剤や重合開始剤、硬化促進剤、接着力向上剤等の各種材料を添加することが可能である。
反応性希釈剤は、接着剤としての粘度調整、硬化条件の制御や接着力の制御のために添加されるもので、本発明の接着剤組成物が重合硬化する際に関与する官能基を少なくとも一つ以上含有する化合物で、本発明の接着剤組成物の必須成分を混合したものよりも粘度が低いものが用いられる。具体的にはチオール基、エポキシ基または、ビニル基を有する化合物等が使用可能である。
【0018】
チオール基を有する化合物としては、例えばプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、3−メルカプトブタノール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィド、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、1,3−キシリレンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール等を挙げることが出来る。また東レチオコール社のチオコールLP−3のようなオリゴマーも使用可能である。
【0019】
エポキシ基を有する化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、高級アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0020】
ビニル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルトルエン、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、シクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキサン、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン等の脂環式ビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、アミノプロピルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0021】
更に、1−アリル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ビニル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等の同一分子内に複数の異なる反応性官能基を有する化合物も使用できる。
【0022】
本発明の接着剤組成物では、前述の主要成分の重合・硬化を促進するためにラジカル重合開始剤を使用することが出来る。すなわち、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等の光重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ化合物、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキソエート等のパーエステル類、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ―tert―ブチルパーオキサイド、ジ―sec―ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ジアリールパーオキサイド類等の熱重合開始剤が使用できる。
【0023】
本発明では硬化及び硬化促進のために、アミン類、イミダゾール類等の化合物を使用して、接着後の熱的・力学的特性を調整することが出来る。
アミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレングリコール・ビスプロピレンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシリレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の第一アミン類、これらのポリアミンのエポキシ樹脂、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドとの付加物、シアノエチル化ポリアミン、ケチミン等の変成アミン類、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルピペラジン等の第2アミン類、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N‘−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンジアミン、N,N’−ビス[(2−ヒドロキシ)プロピル]ピペラジン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、ピコリン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビスシクロ[5,4,0]ウンデ−1−セン等の第三アミン類が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテ−ト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテ−ト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテ−ト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(2−シアノエトキシ)メチルイミダゾール等が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
更にこの他にトリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート等の有機リン化合物、ジラウリン酸ジブチル錫、オクチル酸第一錫等の有機錫化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明では接着力向上のためにシランカップリング剤を配合することが可能である。具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル―γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0027】
また同じ目的でチタネートカップリング剤を使用することも可能である。例えば、イソプロピルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアルキルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートが挙げられる。
【0028】
本発明の接着剤組成物には、更に光学的特性や接着特性を損なわない範囲で、各種界面活性剤、染料、フィラー等を添加することもできる。
本発明の接着剤組成物の調製は、以上の各成分を適当な比率で混合することにより行われる。この場合混合により必要以上に昇温しないよう注意する必要がある。また接着剤のポットライフが極端に短い場合は、2液以上に分けて保管し、使用直前に混合することが好ましい。
【0029】
本発明の接着剤組成物を構成する前述の各成分の配合割合は、特に限定されるものではなく、各成分の分子量や官能基数、官能基の反応性の違いを考慮して、目的とする接着特性に応じて各成分の混合比を適宜決定すればよい。ここで好ましい配合割合としては、本発明の第1の接着剤組成物の場合、ポリチオール化合物(A)100重量部に対して1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)を30〜500重量部、特に50〜300重量部であり、また第2の接着剤組成物の場合は上記に加えて、1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物(C)を10〜500重量部、特に30〜300重量部である。また、重合開始剤、硬化促進剤は前記の化合物(A)、(B)又は(C)の種類により必要に応じて添加すればよいが、より優れた接着特性を達成するためには、重合開始剤は化合物(C)に対して0.1〜10重量部程度、硬化促進剤は化合物(B)に対して0.1〜100重量部程度用いることが好適である。
【0030】
本発明の接着剤組成物の硬化に際し、硬化方法として熱重合または光重合と熱重合を併用する方法がある。硬化条件については、本発明の接着剤の用途、組成、使用する重合開始剤、硬化促進剤の種類およびその使用量によって異なるので一概に規定することはできないが、光重合の際は、0.05から30J/cm2の光量を照射し、熱重合の際は、硬化温度は0〜200℃で、硬化時間は、0.5〜72時間である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。なお、表における配合割合を示す数値は、重量部を表す。
実施例1〜13及び比較例1〜7
表1〜表4に示した配合成分を用いた処方で混合して接着剤組成物を調整した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
なお、表1〜表4における各化合物及び硬化促進剤は下記のものを使用した。
・ポリチオール化合物(A)−a:構造式(A−1)のポリチオール化合物
・ポリチオール化合物(A)−b:構造式(A−2)のポリチオール化合物
・エポキシ基を有する化合物(B)−a:ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(商品名:エピコート806 油化シェルエポキシ社製)
・エポキシ基を有する化合物(B)−b:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(商品名:エピコート828 油化シェルエポキシ社製)
・エポキシ基を有する化合物(B)−c:ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド(商品名:MPG 住友精化社製)
・エポキシ基を有する化合物(B)−d:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:UVR−6110 ユニオンカーバイド社製)
・ビニル基を有する化合物(C)−a:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のメタクリレート(商品名:NKエステルBPE−200 新中村化学工業社製)
・ビニル基を有する化合物(C)−b:ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(商品名:MPSMA 住友精化社製)
・ビニル基を有する化合物(C)−c:トリエチレングリコールジビニルエーテル(商品名:DVE−3 ISP社製)
・硬化促進剤a:1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名:キュアゾール2E4MZ−CN 四国化成工業社製)
・硬化促進剤b:2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(商品名:TAP 化薬アクゾ社製)
・硬化促進剤c:ジメチルラウリルアミン(商品名:ワンダミン2P−TA 新日本理化社製)
・硬化促進剤d:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュア1173 メルク社製)
・硬化促進剤e:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)
【0037】
次に下記評価方法に従い屈折率、光透過性、接着強度を評価した。
(1)屈折率の評価法:上記接着剤を表1〜表4に示した硬化条件にて硬化した後、アッベ屈折率計(1T型;アタゴ社製)を用い、20℃における接着剤硬化物の屈折率を測定した。
(2)光透過性:厚さ1mmのスライドガラスに接着剤を塗布し、表1〜表4に示した硬化条件で硬化させた後、分光光度計(UV−3100型;島津製作所製)を用いて、波長550nmにて測定した。
【0038】
(3)接着強度の評価法:13×26mmのスライドガラスに接着剤を塗布し、これに11×13mmのスライドガラスを貼り合わせ(接着面積:約0.1cm2)、表1〜表4に示した硬化条件によって接着剤を硬化させて試験片を作成した。接着強度の測定は、試料ホルダーに試験片をセットし、引張り試験機を用いて、速度10mm/minで引張り、剪断接着強度を測定した。なお、表1〜表4の接着強度のデータに「>」の記号がついている場合は接着部が剥離する前にスライドガラスが破損した場合を表わす。
【0039】
表1〜表4から明らかなように、本発明の接着剤組成物は光透過性が良好で、屈折率が1.60以上と高く、かつ接着強度が高いものが得られた。一方、比較例のものはいずれも屈折率は1.60未満、もしくは接着強度、光透過性が悪く、これらの特性を満足するものは得られなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は、優れた接着力を有し、光学的透明性も高く高い屈折率を有するので、光学材料、電子材料等に対する高屈折率接着剤として極めて好適である。また本接着剤は溶剤を含有しないため、作業環境の面からも優れるものである。
Claims (4)
- 1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)が硫黄原子を1個以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の接着剤組成物。
- 1分子中に2個以上のビニル基を有する化合物(C)が硫黄原子を1個以上含有することを特徴とする請求項2記載の接着剤組成物。
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