JP4205332B2 - 菌体または菌体処理物を含有する液体の保存方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱殺菌処理に供する微生物菌体または菌体処理物を含有する液体の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子組換え微生物の作り出す酵素は、各種の化学反応にあわせて最適化され、多くの場合天然微生物の作り出す酵素よりも活性が高く、産業上有用なものが多い。
遺伝子組換え微生物は環境・人体の保護等の観点から各種ガイドラインによりその取り扱いが定められている。遺伝子組換え微生物の組換えレベルによっては、生きた遺伝子組換え微生物の外部環境への漏洩及び人体への直接の接触を防止するために、当該微生物は閉鎖設備内で取り扱う必要があるとされている。
通常、組換え微生物は、加熱処理により殺菌され、酵素のみが利用される。このとき加熱処理する菌体液もしくは菌体処理物を含有する液体を加熱処理終了まで安定に保存しておく必要がある。すなわち、酵素活性が失われたり、腐敗、溶菌を起こすことを防がねばならない。そこで一般的には、冷蔵や凍結などで保存されているが、低温に菌体もしくは菌体処理物を保つための冷却コストが大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、加熱殺菌処理に供する微生物菌体または菌体処理物を含有する液体の保存方法、特に加熱殺菌後の酵素活性を保持しうる低コストの保存方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の加熱殺菌処理に供する微生物菌体もしくは菌体処理物含有液の保存方法に関して鋭意検討を行ってきたところ、その保存を攪拌および通気を実施しながらpHを制御することにより行なうと、極めて効率的に活性の保持をなしうるものであることを見出した。
すなわち本発明は、下記の保存方法である。
(1)加熱殺菌処理に供する微生物の菌体または菌体処理物を含有する液体の保存方法であって、液体のpHを6〜8に調整しながら通気および攪拌することを特徴とする菌体または菌体処理物を含有する液体の保存方法。
(2)通気量が、菌体液または菌体処理物を含有する液体の体積1に対して0.05以上、1.0以下(単位vvm)であることを特徴とする前記(1)に記載の保存方法。
(3)攪拌所要動力数が、0.5W/m3から1800W/m3である前記(1)〜(2)のいずれかに記載の保存方法。
(4)無機酸を用いてPHを調整することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の保存方法。
(5)無機酸が、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記(4)に記載の保存方法。
(6)微生物がニトリルヒドラターゼを含有する微生物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の保存方法。
【0005】
本発明の微生物は、目的とする酵素を含有するものであれば特に制限されないが、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物が好適である。
また、上記におけるニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力をもつ酵素をいうものである。
ここで、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつ50重量%のアクリルアミド水溶液中でニトリルヒドラターゼの活性を保持している微生物が好ましい。
【0006】
具体的には、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム( Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物を好適な例として挙げることができる。
【0007】
また、該微生物よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で発現させた形質転換体も本発明でいう微生物に含まれる。なお、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるのものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の微生物菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822(本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM BP−5785として、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。)が挙げられる。また、組換えDNA技術を用いて該酵素の構成アミノ酸の1個または2個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体も、本発明でいう微生物に含まれる。
【0008】
また、本発明における微生物の菌体処理物は、微生物菌体の抽出物や磨砕物、該抽出物や磨砕物の酵素活性画分を分離精製して得られる後分離物、該微生物菌体や該菌体の抽出物・磨砕物・後分離物を適当な担体を用いて固定化した固定化物等を指し、これらはニトリルヒドラターゼ等、所望の酵素の活性を有している限りは本発明の菌体処理物に相当するものである。
【0009】
菌体または菌体処理物を含有する液体としては、微生物の培養液の他、菌体または菌体処理物を各種バッファー、生理食塩水、水などに溶解ないし懸濁させたものがあげられる。
菌体または菌体処理物の濃度は任意であるが、2〜30wt% の範囲が好ましい。菌体または菌体処理物を含有する液体中に通気するガスとしては、空気を用いるのが好ましい。 通気量は、菌体または菌体処理物を含有する液体の体積1に対して0.05以上、1.0以下(単位vvm、1分間に液体1Lに気体1Lを流した量が1vvm(volum/volum・分)となる)が好ましいが、空気の分散や発泡を考えると、0.2〜0.6であることがより望ましい。
本発明の攪拌所要動力数は、0.5W/m3から1800W/m3が好ましいが、菌体の沈降や発泡を考えると、100W/m3から800W/m3がより望ましい。
液体のpHは通常6〜8、望ましくは7〜7.5に調整する。
PHの調整は、無機酸、有機酸などを使用できる。
無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸などを挙げることができる。
有機酸としては、アクリル酸、酢酸、メタクリル酸などを挙げることができる。なかでも無機酸を使用するのが好ましい。
保存温度は短期間保存の場合は室温でもよいが、低温、例えば0℃〜20℃で保存するのが好ましい。保存期間も任意であるが、3日以内の範囲が好ましい。
【0010】
本発明の方法により所定の期間保存された菌体または菌体処理物含有液は、加熱殺菌処理が施される。
加熱殺菌温度、時間などは任意に設定することができるが、例えば50〜121℃、3〜20分で行なうことができる。
また、熱殺菌装置も特に限定されるものではないが、プレートヒータ式熱交換器、2重管式熱交換器などの間接加熱手段の熱交換器を挙げることができる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって何等限定されるものではない。
実施例1
(培養)
500mlのバッフル付三角フラスコに下記の組成の培地100mlを調製し、121℃・20分間のオートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が50μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、MT−10822株(FERM BP−5785)を一白菌耳植菌し、37℃・130rpmにて20時間培養した。
培地組成 酵母エキストラクト 5.0g/L
ポリペプトン 10.0g/L
NaCl 5.0g/L
塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L
硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L
pH7.5
上記で得られた培養液を通気・攪拌・pHを変えながら保存し、1日ごとに液の一部をとりだして殺菌処理(60℃加熱、ホールド3分)後、活性測定をおこなった。なお、pHの調整には硫酸を使用した。
【0012】
(活性測定)
培養液を少量とり、遠心分離(15000G×15分間)により菌体のみを培養液より分離し、続いて、50mlの生理食塩水に該菌体を再懸濁した後に、再度遠心分離を行って湿菌体を得た。
ニトリルヒドラターゼ活性の測定は、基質のアクリロニトリルの菌体懸濁液への添加にて開始し、20℃、15分の攪拌ののち、燐酸液を加えて反応を停止し、稀釈後、高速液体クロマトグラフィーで分析した。以下、すべてのデータで0日の活性を1とする。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
実施例2
(ニトリルヒドラターゼ活性を保持したアミノ酸置換体の取得)
αサブユニットの6番目のLeuをMetに置換するために、特開平9−275978で得られたpPT−DB1プラスミドDNAを鋳型として、宝酒造社製の「LA PCR in vitro mutagenesis Kit」を用いた部位特異的な変異導入を行った。以後、「LA PCR in vitro mutagenesis Kit」を単にキットと呼ぶ。以下の実施例では、基本的にキットの原理および操作方法を踏襲した。
30mlの試験管に10mlのLB液体培地を調製し、121℃・20分間のオートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、実施例1と同様にMT−10822株を一白菌耳植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養液1mlを適当な遠心チューブに分取した後、遠心分離(15000rpm×5分)により該菌体を分離した。続いてアルカリSDS抽出法により該菌体よりpPT−DB1のプラスミドDNAを調製した。
【0017】
pPT−DB1のプラスミドDNA1μgを鋳型として2種類のPCR反応を行った。PCR反応No.1は、配列表の配列番号1記載のプライマー及びM13プライマーM4(配列表の配列番号2に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返すことにより行った。PCR反応No.2は、MUT4プライマー(配列表の配列番号3に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列表の配列番号4に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、PCR反応No.1と同様の操作により行った。PCR反応No.1およびNo.2の反応終了液各5μlを用いたアガロース電気泳動(アガロース濃度1.0質量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、増幅DNA産物の存在が確認できた。
【0018】
Microcon100(宝酒造社製)を用いてそれぞれのPCR反応終了液より過剰なプライマーおよびdNTPを除去した後、TEを加えて各々50μlの溶液を調製した。該TE溶液を各0.5μlずつ含む全量47.5μlのアニーリング溶液(組成はキットに記載の条件による)を調製し、熱変性処理(98℃)を10分間行った後、37℃まで60分間かけて一定の速度で冷却を行い、続いて37℃で15分間保持することによってアニーリング処理を行った。アニーリング処理液にTAKARALA Taqを0.5μl加えて72℃で3分間加熱処理を行い、ヘテロ2本鎖を完成させた。これにM13プライマーM4(配列表の配列番号2に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列表の配列番号4に配列を記載)を各々50pmol加えて全量を50μlとした後、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返すことによるPCR反応No.3を行った。PCR反応No.3の反応終了液5μlを用いたアガロース電気泳動(シグマ社製タイプVII低融点アガロース使用;アガロース濃度0.8質量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、約2.0kbpの増幅DNA産物の存在が確認できた。
【0019】
続いて、アガロースゲルから約2.0KbpのDNA断片のみを切り出し、該アガロース片(約0.1g)を細かく粉砕し1mlのTE溶液に懸濁後、55℃で1時間保温してアガロースを完全に融解させた。この融解液に対して常法に従ってフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μlのTEに溶解した。精製した約2.0kbpの増幅DNA断片を制限酵素EcoRI及びHindIIIにより切断した後、この制限酵素処理液に対してフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μlのTEに溶解した。
【0020】
同様に、pPT−DB1上の唯一の制限酵素サイトであるEcoRIおよびHindIIIによりpPT−DB1を切断し、アガロースゲル電気泳動(シグマ社製タイプVII低融点アガロース使用;アガロース濃度0.7%)を行い、アガロースゲルから約2.7KbpのDNA断片のみを切り出した。切りだしたアガロース片(約0.1g)を細かく粉砕し1mlのTE溶液に懸濁後、55℃で1時間保温してアガロースを完全に融解させた。この融解液に対してフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μlのTEに溶解した。
【0021】
この様にして得られた増幅DNA産物とpPT−DB1断片をDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連結させた後、大腸菌HB101のコンピテントセル(東洋紡績社製)を形質転換し、大腸菌バンクを調製した。
【0022】
30mlの試験管に40μg/mlの硫酸第二鉄・七水和物及び10μg/mlの塩化コバルト・二水和物を含む10mlのLB液体培地(以後、活性発現培地と呼ぶ)を調製し、121℃・20分間のオートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、該大腸菌バンクより任意に選別した5クローンを各一白菌耳ずつ植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養終了液1mlをそれぞれ適当な遠心チューブに分取した後、遠心分離(15000rpm×5分)により菌体を分離した。
【0023】
該菌体を200μlのリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に懸濁し、これに1質量%のアクリロニトリルを添加して10℃で2分間反応させた。反応液にこれと等量の1Mリン酸水溶液を添加して反応を停止させ、生成したアクリルアミド濃度を実施例2と同様のHPLC分析により測定した。その結果、5クローン中4クローンでアクリルアミドの生成が検出され、ニトリルヒドラターゼ活性を保持していることが確認された。
【0024】
ニトリルヒドラターゼ活性の測定に供した上記培養液の残部1mlより該4クローンの菌体をそれぞれ分離し、アルカリSDS抽出法により各クローンのプラスミドDNAを調製した。続いて、ABI社製のシークエンシングキットとオートシークエンサー373Aを用いたプライマーエクステンション法により各クローンのニトリルヒドラターゼ構造遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、(表4)に示したクローンNo.1においてニトリルヒドラターゼのαサブユニットの6番目のLeuがMetに置換されていた。
【0025】
【表4】
【0026】
続いて、 αサブユニットの126番目のPheをTyrに置換するために、クローンNo.1のプラスミドDNAを鋳型として、上述と同様の操作により部位特異的な変異導入を行った。
すなわち、30mlの試験管に10mlのLB液体培地を調製し、121℃・20分間のオートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、得られたクローンNo.1株を一白菌耳植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養液1mlを適当な遠心チューブに分取した後、遠心分離(15000rpm×5分)により菌体を分離した。続いてアルカリSDS抽出法により該菌体よりクローンNo.1株のプラスミドDNAを調製した。
【0027】
このクローンNo.1株のプラスミドDNA1μgを鋳型として2種類のPCR反応を行った。PCR反応No.4は、配列表の配列番号5記載のプライマー及びM13プライマーM4(配列表の配列番号2に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返すことにより行った。PCR反応No.5は、MUT4プライマー(配列表の配列番号3に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列表の配列番号4に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、PCR反応No.4と同様の操作により行った。PCR反応No.4およびNo.5の反応終了液各5μlを用いたアガロース電気泳動(アガロース濃度1.0質量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、増幅DNA産物の存在が確認できた。以後、クローンNo.1の場合と全く同じ操作により大腸菌バンクを調製した。
【0028】
該大腸菌バンクより任意に選別した5クローンをクローンNo.1の場合と同じ活性発現培地10mlに各一白菌耳ずつ植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養終了液1mlをそれぞれ適当な遠心チューブに分取した後、ニトリルヒドラターゼ活性を測定した。その結果、5クローン中4クローンでアクリルアミドの生成が検出され、ニトリルヒドラターゼ活性を保持していることが確認された。
ニトリルヒドラターゼ活性の測定に供した上記培養液の残部1mlより該4クローンの菌体をそれぞれ分離し、アルカリSDS抽出法により各クローンのプラスミドDNAを調製した。続いて、クローンNo.1の場合と同様の操作により各クローンのニトリルヒドラターゼ構造遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、(表5)に示したクローンNo.2においてニトリルヒドラターゼのαサブユニットの6番目のLeuがMetに、αサブユニットの126番目のPheがTyrにそれぞれ置換されていた。
【0029】
【表5】
【0030】
続いて、βサブユニットの212番目のSerをTyrに置換するために、クローンNo.2のプラスミドDNAを鋳型として、上述と同様の操作により部位特異的な変異導入を行った。
すなわち、30mlの試験管に10mlのLB液体培地を調製し、121℃・20分間のオートクレーブにより滅菌した。この培地に終濃度が100μg/mlとなるようにアンピシリンを添加した後、得られたクローンNo.2株を一白菌耳植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養液1mlを適当な遠心チューブに分取した後、遠心分離(15000rpm×5分)により菌体を分離した。続いてアルカリSDS抽出法により該菌体よりクローンNo.2株のプラスミドDNAを調製した。
【0031】
このクローンNo.2のプラスミドDNA1μgを鋳型として2種類のPCR反応を行った。PCR反応No.6は、配列表の配列番号6記載のプライマー及びM13プライマーM4(配列表の配列番号2に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返すことにより行った。PCR反応No.7は、MUT4プライマー(配列表の配列番号3に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列表の配列番号4に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μlの系(組成はキットに記載の条件による)で、PCR反応No.6と同様の操作により行った。PCR反応No.6およびNo.7の反応終了液各5μlを用いたアガロース電気泳動(アガロース濃度1.0質量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、増幅DNA産物の存在が確認できた。以後、クローンNo.1の場合と全く同じ操作により大腸菌バンクを調製した。
【0032】
該大腸菌バンクより任意に選別した5クローンをクローンNo.1の場合と同じ活性発現培地10mlに各一白菌耳ずつ植菌し、37℃・300rpmにて約20時間培養した。該培養終了液1mlをそれぞれ適当な遠心チューブに分取した後、ニトリルヒドラターゼ活性を測定した。その結果、5クローン中4クローンでアクリルアミドの生成が検出され、ニトリルヒドラターゼ活性を保持していることが確認された。
ニトリルヒドラターゼ活性の測定に供した上記培養液の残部1mlより該4クローンの菌体をそれぞれ分離し、アルカリSDS抽出法により各クローンのプラスミドDNAを調製した。続いて、クローンNo.1の場合と同様の操作により各クローンのニトリルヒドラターゼ構造遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、(表6)に示したクローンNo.3においてニトリルヒドラターゼのβサブユニットの212番目のSerがTyrに置換されていた。
【0033】
【表6】
【0034】
このクローンNO.3の菌体を実施例1と同様に培養し、反応に必要な菌体を得た。
上記で得られた培養液を通気・攪拌・pHを変えながら保存し、1日ごとに液の一部をとりだして殺菌処理(60℃加熱、ホールド3分)後、活性測定をおこなったが、結果は実施例1と同じであった。
【0035】
【発明の効果】
微生物菌体または菌体処理物を含有する液を本発明の方法により保存した場合、保存後に菌体または菌体処理物を含有する液体を加熱殺菌した後でも酵素活性の経時的な低下を抑制することができる。
【配列表】
Claims (5)
- 加熱殺菌処理に供するニトリルヒドラターゼを含有する微生物を培養した後の菌体を含有する液体の保存方法であって、液体のpHを6〜8に調整しながら通気および攪拌することを特徴とする菌体を含有する液体の保存方法。
- 通気量が、菌体を含有する液体に対して0.05vvm以上、1.0vvm以下であることを特徴と
する請求項1に記載の保存方法。 - 流体あたりの攪拌所要動力数が、0.5W/m3から1800W/m3である請求項1〜2のいずれか
1項に記載の保存方法。 - 無機酸を用いてPHを調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存方法。
- 無機酸が、硫酸、硝酸、塩酸から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の保存方法。
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