JP4203585B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、パチンコ機(スロット機、雀球機、アレンジボール機等も含む)のような遊技機の表示装置に関し、特に、発光態様を変化させて演出効果を高めたり、複数種類の図柄を表示して大当り報知等を行う遊技機の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技の進行状況に応じて発光態様を変化させる遊技機の表示装置として、例えば特開2000−342757号公報に開示された遊技機の表示装置が知られている。特開2000−342757号公報に開示された遊技機の表示装置によれば、パチンコ機等の遊技機の盤面上に、アクリル樹脂等の光透過性材料よりなる表示体と、表示体の内部に光を供給するLED等からなる発光源とが配設される。表示体の表面には紙ヤスリによって微細な凹凸面が形成されており、表示体の内部に供給された光は、前記凹凸面において拡散され、拡散された光が遊技者に向けて放たれることで表示装置として機能する。
【0003】
しかしながら、上述した遊技機における表示装置では、表示装置全体がコンパクトに構成されるという効果を奏するものの、遊技者に向けて放たれる光にムラが生じる場合があり問題であった。すなわち、発光源から発せられた光は、導光体の内部を通過するにつれて次第に減衰し、この減衰する光が発光源に近い側から順に凹凸面に到達するので、拡散した光の強度が均一とならずムラが生じるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点に鑑みて創案されたものであり、遊技者に向けてムラなく光を放つことで、遊技者に図柄等を見やすく表示することのできる遊技機の表示装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明が構成される。
【0006】
請求項1に記載の遊技機の表示装置は、光透過性材料よりなる板状の複数の導光体と、前記複数の導光体の各々の側方に配設される複数の発光体と、該複数の導光体を一体に組み付けるための枠体と、を備えている。前記発光体より発せられる光は、前記導光体の側部より内部に供給され、前記導光体の表面もしくは裏面に形成された複数の溝で屈折することにより遊技者に向けて光が放たれる。ここで、「光透過性材料」としては、内部に光を透過させることのできる材料、例えば、透明なポリカーボネートや透明なアクリル等の合成樹脂材料、透明な無機ガラス、透明な有機ガラス等が用いられる。しかし、必ずしも完全に透明である必要はなく、着色されて半透明な合成樹脂材料、あるいは、一定の濁度を有し散乱を伴ないながら光を透過させる材料等であってもよい。光透過性材料により構成される「導光体」は、発光体より発せられた光を加工領域にまで導く役割を持つ板状の部材である。また、この導光体の「表面」とあるのは、遊技者に光を放ち図柄等を表示するための表面、すなわち、遊技を行っている遊技者に向かい合う側の面(遊技者が見る側の面)のことを指している。この導光体の「裏面」とあるのは、前記した「表面」に対して反対側となる面のことを指しており、さらに、この導光体の「側部」とあるのは、導光体を表面もしくは裏面側から見たときに、その板状の導光体の外周に相当する部分の「側部」ことを指している。「発光体」は、通電等により光を放つ機器や素子、例えばランプや発光ダイオード(LED)等により構成される。
【0007】
請求項1に記載の遊技機の表示装置によれば、光を屈折させる「複数の溝」が、発光体から離れるにつれて次第に深くなる複数の溝により構成される。ここで、「次第に深くなる複数の溝」とあるのは、発光体からより遠くにある溝の方が、より近くにある溝よりも表面に対して深く形成されることを意味している。この場合の「溝」は、断面形状が略V字型の溝や、断面形状が略U字型の溝等が考えられるが、導光体の内部に取り込まれた光を遊技者に向けて放つことができる適当な屈折角に設定可能な溝であれば、その他どのような断面形状を有する「溝」であってもよい。これにより、導光体の側部から内部に供給された光は、導光体内部を複数の溝に向けて進行し、この複数の溝のうち、発光体に近い側(導光体の側部に近い側)の「浅い」溝から順に到達する。そして、一部の光は「浅い」溝により前方に向けて屈折させられる。その他の光は、より遠くに位置する「深い」溝により前方に向けて屈折させられる。つまり、導光体の内部を進行する光は、次第に深く形成された複数の溝により次々と捕捉されて前方に向けて屈折させられるので、たとえ光が進行するにつれて徐々に減衰するような場合であっても、加工領域のほぼ全領域においてほぼ均一の強度で光を放つことができる。光が前方に向けて均一の強度で放たれると、遊技演出に関連した図柄等を遊技者にムラなく表示できる効果が達成される。また、導光体は板状に形成されているので、その表面もしくは裏面に対して複数の溝を容易に形成することができる。
【0008】
また、請求項1に記載の遊技機の表示装置は、複数の導光体と、前記複数の導光体のそれぞれの側方に配設される複数の発光体とを備えている。複数の導光体の表面もしくは裏面には、複数の溝が形成された加工領域と、複数の溝が形成されていない非加工領域とが構成され、前記加工領域により図柄が表示される。ここで、「加工領域」とあるのは、板状に形成された導光体の表面もしくは裏面のうち、複数の溝が形成された領域、すなわち、複数の溝により光が屈折する領域のことを指している。また、「非加工領域」とは、複数の溝が形成されていないその他の領域、すなわち、複数の溝により光が屈折しない領域のことを指している。そして、この「加工領域」で光が屈折することにより、この「加工領域」に対応した形状の図柄が前方に向けて表示され、加えて、加工領域と非加工領域との相対的な明るさの相違によって、前記図柄はくっきりと前方に向けて表示されることになる。例えば、複数の導光体及び発光体によりいわゆる7セグメント表示器を構成すれば、「0」〜「9」までの数字図柄を加工領域によってくっきりと表示することができる。これにより、例えばパチンコ遊技の抽選結果に応じて「大当り」等を報知する場合に、この「大当り」を報知するための「7,7,7」等の大当り図柄配列を遊技者に見やすく表示することができる。なお、本発明における「図柄」には、パチンコ機等で表示される特別図柄のみならず、遊技機における遊技に関連して盤面上に表示されることのある全ての図柄(英数字、漢字、仮名等の文字、記号、絵柄、図形、静止画等)が含まれる。
【0009】
また、請求項1に記載の遊技機の表示装置によれば、複数の導光体が枠体で一体に組み付けられる。前記枠体には、複数の導光体のうち、互いに隣接する少なくとも2つの導光体の間を仕切る仕切壁が一体状に設けられる。これにより、互いに隣接する導光体同士間の光の干渉が防止されるので、遊技に関連した図柄等を遊技者によりくっきりと表示することができる。また、仕切壁は枠体に対して一体状に設けられるので、複数の導光体を枠体で組み付ける際に、同時に仕切壁をも組み付けることができる。これにより、複数の導光体を枠体で組み付ける際の作業の手間が軽減される。
【0010】
また、請求項1に記載の遊技機の表示装置によれば、加工領域と非加工領域とが枠体によって区画される。これにより、加工領域と非加工領域との境界をはっきりと認識させることが可能であり、加工領域に対応した形状の図柄を遊技者等に向けてより見やすく表示することができる。さらに、前記複数の導光体の下方には、微細な凹凸が形成されたバックレンズが配設されると共に、該バックレンズの下方に複数のバックレンズ照明用ランプが配設されているので、複数の導光体によって表示される各図柄が、均一に拡散された柔らかい光により裏面側から照らし出されるという装飾的効果を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は遊技機の一つであるパチンコ機に対し本発明を適用したものである。
【0012】
まず、本実施の形態に係るパチンコ機の概略構成について説明する。遊技機としてのパチンコ機、例えば、第1種パチンコ機の遊技盤を正面(前面)で表した図1において、遊技盤10の前面の周縁部には、外レール12と内レール13とを備えた案内レール11が装着されている。この案内レール11の内側には、遊技領域15が区画形成されるとともに、外レール12と内レール13との間には、図示しない球発射装置から発射された遊技球(パチンコ球)を遊技領域15の上部に案内する球発射通路14が形成されている。遊技盤10の遊技領域15には、その略中央部に位置して図柄表示装置1が装着されている。図柄表示装置1の下方には、3つの通過ゲート21及び第1種始動口26が配設されている。第1種始動口26には、可変入球口22aを大小に変化させる一対の開閉部材22が組み付けられている。これら一対の開閉部材22は、モータ、ソレノイド等の電動アクチュエータを駆動源とし開閉動作されるようになっている。また、この第1種始動口26の内部には、その可変入球口22aに流入した遊技球を検出して球検出信号を主制御装置に対して出力する球検出器(図示しない)が設けられている。
【0013】
また、図1に示すように、遊技盤10の遊技領域15には、第1種始動口26の直下に位置して大入賞口62とその大入賞口62を開閉する開閉扉61を備えた大入賞口装置60が装着されている。大入賞口62の下方には、遊技領域15の最下端に位置してアウト口65が形成されている。大入賞口62の左方及び右方には、遊技球の流入を検出して所定数の賞球を払出しする普通入賞口20が2つずつ(合計4つ)装着されている。これら4つの普通入賞口20の内部にも、流入した遊技球を検出して主制御装置に球検出信号を出力する球検出器がそれぞれに設けられている。その他、遊技盤10の遊技領域15には、遊技球を所定方向に誘導したり、あるいは遊技球の流れを変化させる多数の釘や風車器25が適宜に配設されている。
【0014】
次に、遊技盤10の略中央部に配設された図柄表示装置1の構成について詳細に説明する。図1に示すように、図柄表示装置1は3つの表示部を主体として構成されており、図1に向かって左側に位置する第1の表示部2aと、中央に位置する第2の表示部2bと、右側に位置する第3の表示部2cとを備えている。第1〜第3の表示部2a,2b,2cは、それぞれが「0」から「9」までの特別図柄(抽選図柄という場合もある)を可変表示可能な7セグメント表示器として構成されており、この3つの表示部2a〜2cにより表示される3桁の特別図柄の態様によって、遊技者に対して「大当り」等の抽選結果が報知されるようになっている。例えば、遊技球が第1種始動口26に流入した際に行なわれる抽選の結果が「大当り」である場合には、第1〜第3の表示部2a,2b,2cによって3桁の数字がゾロ目で表示されることにより(例えば、「7,7,7」、「3,3,3」等が表示されることにより)、遊技者に対して抽選結果である「大当り」が報知されるようになっている。反対に、抽選の結果が「はずれ」である場合には、第1〜第3の表示部2a,2b,2cによって3桁の数字がゾロ目以外の態様で表示されることにより(例えば、「7,7,6」、「3,3,2」等が表示されることにより)、遊技者に抽選結果である「はずれ」が報知されるようになっている。遊技球が第1種始動口26に流入した際の抽選処理は、後述する主制御装置によって乱数が取得され、この取得した乱数が予め定められた所定の乱数であるか等が判断されることにより行なわれる。このようなパチンコ機における抽選処理自体は公知の技術であるので、更に詳細な説明は省略する。
【0015】
図2は、第1の表示部2aを拡大して表した正面図であり、図3は、図2における第1の表示部2aのA−A線断面図である。図2及び図3に示すように、第1の表示部2aは、透明なポリカーボネイト樹脂により平板状に形成された7枚の導光体3a〜3gと、その7枚の導光体3a〜3gのそれぞれの側方に配設される複数の発光体4a〜4gを備えて構成されている。7枚の導光体3a〜3gのそれぞれの表面には、加工領域9a〜9gが形成されており、発光体4a〜4gから発せられた光は導光体3a〜3gの内部に供給され、この導光体3a〜3gの表面に形成された加工領域9a〜9gにおいて前方(遊技盤10から見た前方)に向けて屈折させられる。これにより、遊技盤10の前に着座した遊技者等に向けて、加工領域9a〜9gに対応した形状の光が放たれるようになっている。
【0016】
第1の表示部2aでは、7枚の導光体3a〜3gの表面に形成された加工領域9a〜9gから、それぞれ独立に光が放たれる。つまり、導光体3a〜3gに光を供給するための発光体4a〜4gは、それぞれ独立した点灯動作が可能となるように構成されている。これにより、第1の表示部2aはいわゆる7セグメント表示器として機能するようになっており、「0」〜「9」までの特別図柄を任意に切換えて可変表示することができるようになっている。
【0017】
図3に示すように、7枚の導光体3a〜3gは、ハウジング部材5によって外周側の縁部が支持されている。ハウジング部材5は、剛性を有するプラスチックにより中空状に形成されており、その内部には、導光体3a〜3gに光を供給するための発光体4a〜4gや、発光体4a〜4gに通電するための電気配線等(図示していない)が収納されている。発光体4a〜4gは、少ない消費電力で任意に点灯・消灯が可能な発光ダイオード(LED)により構成されている。発光体4a〜4gを構成する発光ダイオードは、赤色、緑色、青色等どの光を発する発光ダイオードであってもよく、これら三原色の光を干渉させることで任意の色の光を発することができるような複数の発光ダイオードで構成されてもよい。発光体4a〜4gから発せられた光は、ハウジング部材5によって遮られるので、遊技者からは直接的に視認されないようになっている。
【0018】
図4は、導光体3eの表面に形成された加工領域9eを拡大して表した断面図である。図4に示すように、導光体3eに光を供給する発光体4eは、導光体3eの側部30eに近接した位置に配設されている。発光体4eから発せられた光は、この導光体3eの側部30eから内部に侵入し、ポリカーボネイトにより構成された導光体3eの内部を進行して加工領域9eにまで到達する。加工領域9eは、断面形状が略V字型に形成された5本の溝31a〜31eにより構成されており、加工領域9eに到達した光はこれらの溝31a〜31eにぶつかることで上方(図4に向かって上方)に向けて屈折する。
【0019】
図5は、加工領域9eを構成する5本の溝31a〜31eの深さの大小関係を示す説明図である。図5に示すように、加工領域9eを構成する5本の溝31a〜31eは、側部30eから最も近くに位置する溝31aから、側部30eから最も遠くに位置する溝31eにかけて次第に深くなるようにその寸法が設定されている。言い換えると、発光体4eから最も近くに位置する溝31aから、発光体4eから最も遠くに位置する溝31eにかけて次第に深くなるようにその寸法が設定されている。ここで、「次第に深くなるようにその寸法が設定されている」とあるのは、より遠くにある溝の方が、より近くにある溝よりも表面に対して深く形成されることを意味している。図5を参照しながら更に詳しく説明すると、側部30eから最も近くにある溝31aの深さを深さHaとし、側部30eから2番目に近くにある溝31bの深さを深さHbとし、側部30eから3番目に近くにある溝31cの深さを深さHcとし、側部30eから4番目に近くにある溝31dの深さを深さHdとし、側部30eから最も遠くにある溝31eの深さを深さHeとした場合において、これらの深さHa〜Hdの大小関係は、以下の(1)式に示す通りとなっている。
Ha< Hb< Hc< Hd< He …(1)
【0020】
加工領域9eを構成する5本の溝31a〜31eの深さHa〜Heが、(1)式のような関係に設定されることにより、以下に説明する効果が達成される。すなわち、図4に示すように、導光体3eの側部30eから内部に侵入した発光体4eの光は、導光体3eの内部を加工領域9eに向けて進行し、この加工領域9eを構成する5本の溝31a〜31eのうち、導光体3eの側部30eに最も近い溝31aに到達する。そして、発光体4eから発せられた光の一部は、この最も「浅い」溝である溝31aにぶつかることにより上方に向けて屈折する。発光体4eから発せられた光のうち、溝31aにぶつからなかった他の光は、導光体3eの内部をさらに進行し、溝31aよりもさらに遠くにある溝31bに到達する。そして、一部の光は溝31bにぶつかることにより上方に向けて屈折し、他の光は導光体3eの内部をさらに進行する。さらに進行した光は、次に溝31cに到達し、一部の光は溝31cにぶつかることにより上方に向けて屈折し、他の光は導光体3eの内部をさらに進行する。これ以降の溝31d及び溝31eについても同様であり、導光体3eの内部を進行する光は、5本の溝31a〜31eにより次々と捕捉されて上方に向けて屈折させられる。5本の溝31a〜31eは次第に深くなるように形成されているので、例えば側部30eに一番近い溝31aによって、光の大部分が一度に上方に向けて屈折してしまうといったことがない。つまり、加工領域9eのほぼ全領域にわたって光を上方に向けて屈折させることが可能であり、深さHa〜Heを(1)式の条件を満たす範囲で適当な寸法に設定すれば、5本の溝31a〜31eのすべてからほぼ均一の強度で光を上方に向けて屈折させることができる。また、光が導光体3eの内部を進行するにつれて徐々に減衰するような場合であっても、深さHa〜Heを(1)式の条件を満たす範囲で適当な寸法に設定すれば、5本の溝31a〜31eのすべてからほぼ均一の強度で光を上方に向けて屈折させることができる。これにより、遊技の抽選結果である「大当り」等を報知するための「0」〜「9」の特別図柄を、遊技者に対してムラなく綺麗に表示できるという効果が達成される。
【0021】
なお、上記の説明では、5本の溝31a〜31eの断面形状が略V字型に形成された例を示したが、その他にも、導光体3eの内部に取り込まれた光を上方向けて放つことができる適当な角度に設定可能であれば、例えば断面形状が略U字型に溝31a〜31eが構成されてもよいし、その他の断面形状によって溝31a〜31eが構成されてもよい。
【0022】
また、上記の説明では、5本の溝31a〜31eが導光体3eの表面側に形成された例を示したが、その他にも、光を上方向に向けて屈折させることができるのであれば、導光体3eの裏面側に溝31a〜31eが形成された場合であっても同様な作用等を達成させることができる。ただし、この場合には、溝31a〜31eにぶつかった光が上方向に屈折するように、導光体3eが有する屈折率等を適宜変更して調整する必要がある。
【0023】
導光体3eの表面のうち、複数の溝31a〜31eが形成されていない平滑な部分である非加工領域33e(図4参照)においては、導光体3eの空気に対する屈折率及び光の入射角との関係により、光の大部分が内部に向けて反射される状態となっている(すなわち、ほぼ「全反射」の状態となっている)。これにより、導光体3eの内部から光が漏れ出すことが防止されており、加工領域9eに比べて非加工領域33eが「暗い」状態となって遊技者に視認されることになる。つまり、加工領域9eと、非加工領域33eとの相対的な明るさの相違によって、遊技者に対して「0」〜「9」の特別図柄がよりくっきりと鮮明に表示される。なお、非加工領域33eにおいて、導光体3eの内部から光が漏れ出すのをさらに防止するために、例えば、非加工領域33eに白色の塗料を塗布したり、あるいは、非加工領域33eに鏡を配設して光の大部分を内部に向けて反射させるようにしてもよい。
【0024】
図3に示すように、7枚の導光体3a〜3gの下方(図3に向かって下方)には、ポリカーボネイト樹脂により平板状に形成されたバックレンズ7が配設されている。このバックレンズ7のさらに下方には、発光ダイオードにより構成された複数のバックレンズ照明用ライト8が上面側に向けて配設されている。バックレンズ7の表面には紙ヤスリによって微細な凹凸が形成されており、複数のバックレンズ照明用ライト8から発せられた光は、このバックレンズ7の表面に形成された微細な凹凸によってほぼ均一に拡散されるようになっている。これにより、7枚の導光体3a〜3gによって表示される「0」〜「9」までの特別図柄が、均一に拡散された柔らかい光により裏面側から照らし出されるという装飾的効果を得ることができる。
【0025】
図6は、7枚の導光体3a〜3gの上面側から、熱溶着によって枠体6を接合する際の様子を示した斜視図である。図6に示すように、7枚の導光体3a〜3gは、上面側から枠体6が接合されることによって一体状に組み付けられる。枠体6は、剛性を有するプラスチックにより「8」の数字を形取って形成されており、7枚の導光体3a〜3gを一体状に組み付ける役割を果たすとともに、複数の溝が形成された加工領域9a〜9gと、複数の溝が形成されていない平滑な部分である非加工領域33a〜33gとの境界をそれぞれ区画することによって、「0」〜「9」までの特別図柄を見やすく表示するための装飾部材としての役割をも果たしている。枠体6は熱溶着以外の接合手段によって接合されてもよく、例えば、プラスチック用の接着剤によって導光体3a〜3gの上面側に接合されてもよい。
【0026】
図7は、枠体6によって組み付けられる7枚の導光体3a〜3gのうち、互いに隣接して組み付けられる導光体3a及び導光体3bの隣接部分を拡大して表した斜視図である。また、図8は、図7における導光体3a,3b及び枠体6のB−B線断面図である。図7及び図8に示すように、枠体6の下面側には、2枚の導光体3a,3bの間を仕切るための仕切壁34が突設される。仕切壁34は、熱可塑性合成樹脂により枠体6が射出成形されるのと同時に一体成形されるものであり、2枚の導光体3a,3bの隣接部分を全長にわたって仕切ることができるように長尺の板状に形成される。このように、互いに隣接する2枚の導光体3a,3bの間が、仕切壁34によって仕切られることにより、以下に説明する効果が達成される。すなわち、2枚の導光体3a,3bの隣接部35a,35aからは、導光体の内部を通過する光の一部が全反射せずに漏れ出す場合がある。この隣接部35a、35bから漏れ出す光が仕切壁34によって遮断されることにより、2枚の導光体3a、3b間での光の干渉が防止される。これにより、例えば導光体3aの内部に供給される発光体4aからの光が赤色の光であり、導光体3bの内部に供給される発光体4bからの光が青色の光であるような場合であっても、これらの光が違いに干渉し合うことにより図柄が鮮明に表示されなかったり、あるいは、所望とする色を鮮明に表示することができないといった不具合が有効に防止される。仕切壁34は、導光体から漏れ出す光を確実に遮断できるように、例えば不透明なプラスチック材料で形成されるのが好ましい。
【0027】
なお、上記の説明では、隣り合う2枚の導光体が、導光体3a及び導光体3bである例を示したが、その他の隣り合う2枚の導光体の間にも、枠体6に一体状に設けられた平板状の仕切壁が挿入される。これにより、第1の表示部2aを構成するすべての導光体3a〜3gの間での光の干渉が防止されるので、「0」〜「9」までの特別図柄を全体的に鮮明に表示することができる。
【0028】
また、図7及び図8に示すように、仕切壁34は枠体6に対して一体状に設けられているので(分離せずに設けられているので)、2枚の導光体3a,3bを枠体6によって組み付ける際に、仕切壁34をもそれら2枚の導光体3a,3bの間に同時に挿入することができる。仕切壁34を別個の作業で挿入する必要がないので、複数の導光体を枠体6で組み付ける作業の手間が軽減される。なお、枠体6は、加工領域9eと非加工領域33eの表面を区画するもので、枠体6によりそれらの境界がはっきりし、「0」〜「9」の特別図柄がより見やすく表示される。
【0029】
以上の説明では、図柄表示装置1を構成する3つの表示部のうち、第1の表示部2aを例にとってその構造や機能を詳細に説明したが、その他の表示部である第2の表示部2b及び第3の表示部2cについても、その構造や機能は以上の説明とほぼ同様である。よって、これらの表示部についての詳細な説明は省略する。
【0030】
次に、上述のように構成されるパチンコ機によるパチンコ遊技について説明する。まず、図示しない球発射装置から球発射通路14に発射された遊技球(パチンコ球)は、遊技領域15の上部に打ち出され、多数の釘や風車器25等に当たって遊技領域15の下部に向けて流れる。遊技領域15に打ち出された遊技球のうち、一部の遊技球は普通入賞口20、第1種始動口26等の入球口に流入する。また、これら入球口に流入しなかった遊技球は、遊技領域15の最下部のアウト口65に流入して機外に排出される。
【0031】
普通入賞口20や、第1種始動口26等には、それぞれの流入口に流入する遊技球を検出する球検出器が設けられており、これらの球検出器は、パチンコ機の主制御装置(図示しない)に電気的に接続されている。この主制御装置は主制御基板とも呼ばれるものであり、CPU、RAM、ROM等の制御処理に必要な部品を基板上に一体に備えて構成される。そして、普通入賞口20や第1種始動口26に備えられた球検出器によって遊技球の流入が検出されると、その球検出信号は主制御装置にそれぞれ伝達される。そして、これらに対応して主制御装置から出力される信号により、各種のモータ、ソレノイド等が作動され、可変入球口22aを大小に開閉する一対の開閉部材22の開閉動作が行われたり、あるいは、大入賞口装置60の開閉扉61の開閉動作が行われたりするようになっている。また、主制御装置は、図柄表示装置1にも接続されており、図柄表示装置1に対して必要な表示制御信号を随時送信できるように構成されている。
【0032】
遊技球が第1種始動口26の可変入球口22aに入球し、球検出器による検出信号が主制御装置に伝達されると、主制御装置による抽選処理が行われる。具体的には、まず、主制御装置に備えられたCPUによって乱数発生のためのプログラムが実行され、発生した乱数がRAMに一時的に記憶される。この乱数は、可変入球口22aへの入球に対する抽選結果が「大当り」であるか否かを判定するための大当り判定用乱数であって、この大当り判定用乱数が所定の数であるか否かによって「大当り」であるか否かの判定が行われる。乱数を発生したり、発生した乱数によって「大当り」を判定するためのプログラムは、予め主制御装置備えられたROMに記憶されており、このROMに記憶されたプログラムがCPUによって読み込まれた後に必要に応じて実行されるようになっている。
【0033】
また、遊技球が第1種始動口26の可変入球口22aに入球し、球検出器による検出信号が主制御装置に伝達されると、主制御装置による抽選処理が行われるのと略同時に、図柄表示装置1によって「0」〜「9」までの特別図柄が可変表示される。そして、主制御装置による抽選結果が「大当り」である場合には、図柄表示装置1に「大当り図柄配列」が停止表示され、遊技者に「大当り」であることが報知される。「大当り図柄配列」とは、遊技者に「大当り」を認識させるための表示態様であって、例えば、3桁の数字が「7,7,7」や「3,3,3」等のゾロ目となる表示態様のことである。本実施の形態では、図柄表示装置1を構成する3つの表示部2a,2b,2cのすべてに同種類の特別図柄が停止表示されることによって、遊技者に対して「大当り」であることが報知されるようになっている。
【0034】
また、主制御装置による抽選結果が「大当り」以外の「はずれ」である場合には、図柄表示装置1によって大当り図柄配列以外の図柄配列、例えば、「7,7,6」や「3,3,2」等のゾロ目以外のはずれ図柄配列が停止表示され、これによって遊技者に「はずれ」であることが報知される。
【0035】
主制御装置による抽選結果が「大当り」であることが確定した場合には、開閉扉61を開くための信号が主制御装置から大入賞口装置60に出力される。開閉扉61が開放されて大入賞口62へ遊技球が流入すると、所定数の賞球の払出しが行われる。大入賞口62に遊技球が最大で10個流入するか、あるいは、30秒経過すると、開閉扉61によって大入賞口62が閉じられ、ここで大当り遊技の1ラウンドが終了する。開閉扉61によって大入賞口62が一旦閉じられた後、第1種始動口26に遊技球が流入すると、開閉扉61によって大入賞口62が再び開かれて、次のラウンドが開始される。このように大当り遊技が最大で16ラウンド行われて、大当り遊技処理が終了する。
【0036】
なお、この発明は前記実施の形態に限定するものではない。例えば、上記実施の形態においては、第1種パチンコ機の図柄表示装置1として本発明が適用された例を示したが、第2種パチンコ機や第3種パチンコ機の図柄表示装置に対しても本発明を適用することができる。また、パチンコ機に限らず、その他の遊技機(例えばスロットマシン,アレンジボール機,雀球遊技機,テレビゲーム機等)の図柄表示装置に対しても本発明を適用することができる。
【0037】
上記実施の形態では、図柄表示装置1が第1〜第3の表示部2a、2b、2cで構成される場合を例示したが、このような態様に限定するものではない。例えば、図柄表示装置1が、1つあるいは2つの表示部や、4つ以上の表示部で構成された場合であっても本発明を適用できる。
【0038】
また、上記実施の形態では、第1〜第3の表示部2a、2b、2cが7セグメント表示器として構成される例を示したが、このような態様に限定するものではない。本発明は、図柄表示装置以外の表示装置にも適用することができる。遊技者に向けて光を放つ表示装置であれば、例えば、単に光を発することで装飾効果や演出効果を高めたり、あるいは、不正行為に対する警告としての光を発するような表示装置等に対しても本発明を適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、遊技者に向けてムラなく光を放つことで、遊技者に図柄等を見やすく表示することのできる、遊技機の表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるパチンコ機の外観を示す正面図である。
【図2】第1の表示部を拡大して表した正面図である。
【図3】図2における第1の表示部のA−A線断面図である。
【図4】導光体の表面に形成された加工領域を拡大して表した断面図である。
【図5】加工領域を構成する5本の溝の深さの大小関係を示す説明図である。
【図6】7枚の導光体の上面側から、熱溶着によって枠体を接合する際の様子を示した斜視図である。
【図7】枠体によって組み付けられる7枚の導光体のうち、互いに隣接して組み付けられる2枚の導光体の隣接部分を拡大して表した斜視図である。
【図8】図7における2枚の導光体及び枠体のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1…図柄表示装置
2a…第1の表示部
2b…第2の表示部
2c…第3の表示部
3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g…導光体
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g…発光体
5…ハウジング部材
6…枠体
7…バックレンズ
8…バックレンズ照明用ライト
9a,9b,9c,9d,9e,9f,9g…加工領域
30e…側部
31a,31b,31c,31d,31e…溝
33a,33b,33c,33d,33e,33f,33g…非加工領域
34…仕切壁
Claims (1)
- 光透過性材料よりなる板状の複数の導光体と、前記複数の導光体の各々の側方に配設される複数の発光体と、該複数の導光体を一体に組み付けるための枠体と、を備えた遊技機の表示装置であって、
前記複数の導光体の各々の表面もしくは裏面に、前記側方に配設される発光体から離れるにつれて次第に深くなる複数の溝が形成されることにより図柄が表示される加工領域と、複数の溝が形成されていない非加工領域とが構成され、
前記枠体には、前記複数の導光体のうち、互いに隣接する少なくとも2つの導光体の間を仕切る仕切壁が一体状に設けられると共に、該枠体により前記加工領域と前記非加工領域とが区画され、
さらに、前記複数の導光体の下方には、微細な凹凸が形成されたバックレンズが配設されると共に、該バックレンズの下方に複数のバックレンズ照明用ランプが配設されていることを特徴とする遊技機の表示装置。
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