JP4203123B2 - 活性化合物投与用賦形剤として使用するためのマイクロエマルジョン - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は1種またはそれ以上の活性化合物を非経口投与、また経口および経皮投与する場合に医薬的に許容し得る賦形剤(vehicles)として使用するマイクロエマルジョン並びに該マイクロエマルジョンの調製方法および使用に関する。
本発明の目的は無毒性であると同時に、水中での溶解度が低い化合物の溶解性を増加させる賦形剤を提供することである。
発明の背景および従来技術
今日製造される医薬的に活性な新規物質の多くは、水中での溶解度が極めて低い。これは投与の場合、特にある物質を非経口的に例えば静脈内、腹膜内、動脈内、筋肉内または皮下に投与する場合に問題となりうる。これらの場合には活性化合物の溶解性を増加させる賦形剤が必要とされる。投与に適切な容量にするにはこの水中での溶解度を1000倍〜10000倍増加しなければならないことが多い。今日使用される系としては
− 水と混合可能な溶剤例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール等;
− 不溶性物質が溶解され得る凝集物形成性界面活性剤、例えばエトキシル化ヒマシ油、レシチン+胆汁酸塩の混合ミセル;
− ソルビタンモノエステル、ソルビタンジエステルおよびソルビタントリエステルのポリエチレンオキシド誘導体;
− 錯化剤例えばシクロデキストリン類;および
− エマルジョン例えばダイズ油+卵レシチン
がある。
これら全ての系には種々の欠点がある。水と混合可能な溶媒は、有効であるには高濃度を必要とする。界面活性剤および錯化剤の可溶化能力はしばしば不十分である。エマルジョンは熱力学的に不安定であり、また不透明で、そのために活性物質が完全に溶解しているか否かの決定を困難にしている。逆に、マイクロエマルジョンは外部エネルギー例えば機械的撹拌、加熱、超音波等のいずれかを加えなくても自生的に形成される熱力学的に安定な混合物である。マイクロエマルジョンはまた透明でもあり、そのために医薬活性化合物投与用賦形剤として使用するのに通常のエマルジョンより優れている。
本発明の1つの目的は、1種またはそれ以上の医薬活性化合物の非経口並びに経口および経皮投与用に適した賦形剤として使用する界面活性剤の最少量を用いるマイクロエマルジョンを提供することである。
マイクロエマルジョンに関する利点は可溶化能力が高いことであり、そして熱力学的に安定かつ半透明であるということにある。EP 2 112 58号には非経口投与用の“水中油型マイクロエマルジョン”と云われる製剤が記載されているが、それは水性相中の医薬的に許容し得る脂質、親油性薬物およびそれらの混合物並びにリン脂質乳化剤からなる。しかし、ここでのマイクロ乳化(microemulsification)は機械的エネルギー入力、例えばマイクロ流動化による小滴サイズ縮小により成就される。これはマイクロエマルジョンについての通常の定義、すなわち“マイクロエマルジョンは水、油および両親媒性化合物からなり、光学的に等方性でかつ熱力学的に安定な単一の脂質溶液である系として定義される”(Danielson,I.,Lindman,B.,Colloids and Surfaces,1981,3,p.391)によればマイクロエマルジョンではない。FR 2 553 661号には非経口投与用の水中油型マイクロエマルジョンが記載されている。このマイクロエマルジョンはイオン界面活性剤、および補助界面活性剤としての少なくとも4個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールまたは芳香族アルコールを含有する。この明細書の実施例では脂油性相:界面活性剤の比は1:1である。WO 92/18147号には水性流体の添加により容易に水中油型エマルジョンまたマイクロエマルジョンに変換する油中水型マイクロエマルジョンが記載されている。このマイクロエマルジョンは親水性の水溶性活性物質を含有する。しかし、界面活性剤の量を少なくするためにある種の界面活性剤調整剤を必要とすることから請求項に記載のような少ない量の界面活性剤を用いることはほとんど不可能である。さらにUS 4 712 239号には医薬製剤に使用する多成分系が記載されているが、その系は油状物、親水性親油性バランスが8以上である非イオン界面活性剤およびポリヒドロキシアルコールと(C6〜22)脂肪アルコールまたは(C6〜22)脂肪酸との部分エーテルまたはエステルである補助界面活性剤からなる。場合により水性相が使用されることもあり、治療剤は親油性または親水性であることができる。このような系は高められた経皮デリバリー特性を付与すると云われている。実施例1では製剤XおよびXIはそれら製剤を非経口投与に不適切なものにするイソプロパノールを含有する。さらに、実施例1の製剤Iでは中鎖トリグリセリド対カプリル−カプリン酸グリセロール部分エステルの比が1:1.5であるという点に注目すべきである。さらに、WO 93//2664号にはマイクロエマルジョンが記載されているが、しかしそれは油中水型マイクロエマルジョンの形態である。とりわけそれは水溶性治療剤を含む。EP 334 777号には1つの極性および1つの脂質相からなり、そしてポリエチレングリコールおよびポリグリセロールをベースとする界面活性剤の混合物を用いる化粧品または医薬の非経口または経口投与用マイクロエマルジョンが開示されている。界面活性剤の量は、前記定義によるマイクロエマルジョンを得るには15重量%より多くなければならない。
従来技術の文書には、水中油型マイクロエマルジョンまたは二連続性(bicontinous)マイクロエマルジョンの形態のいずれかでありかつまた調製が容易であるような、水中での溶解度が低い物質の非経口投与に適した無毒性マイクロエマルジョンは全く開示されていない。すなわち、上記特性を有する新規賦形剤が必要とされている。
発明の簡単な記載
本発明の目的は、水中での溶解度の低い化合物の溶解性を増加させる医薬的に許容し得る賦形剤を提供することである。ここでその賦形剤は安定で、半透明でありそして1種またはそれ以上の活性化合物を非経口、経口および経皮投与するのに適しているマイクロエマルジョンの形態である。
該マイクロエマルジョンは請求項1に定義されており、本発明のさらに好ましい実施態様は請求項2〜18に開示されている。
発明の詳細な記載
本発明により、1種またはそれ以上の活性化合物を非経口、経口および経皮投与するのに適したマイクロエマルジョンが開示される。意外なことに、本発明によれば少なくとも2種のタイプの調整剤を用いることにより界面活性剤の量を最小にすることができそしてそれ故に毒性が最小になるということが見いだされた。
本発明のマイクロエマルジョンは
− 水および場合により等張性状態にするための剤、および極性調整用の1種またはそれ以上の成分(調整剤)を含有する極性相、
− 界面活性剤フイルム調整剤、
− 少なくとも1種の医薬的に許容し得る油状物からなる非極性相および
− 全マイクロエマルジョンの15重量%までの、好ましくは4〜12重量%の親水性と親油性の界面活性剤混合物
からなる。
前記極性相は水および場合により等張性状態にするための剤、例えばNaClまたはグリセロール溶液を含む。この極性相はさらに、極性相の極性を減少させる化合物も含む。このために界面活性剤の量は少なくて済むことになる。これらの化合物は調整剤と称する。調整剤の例としてはポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)、ポリエチレングリコール200(PEG 200);プロピレングリコール;グルコフロール(ポリエチレングリコール テトラヒドロフルフリルエーテル);グリセロール;ソルビトール;マンニトール;単糖類;二糖類;ジメチルアセトアミド;ソルケタール;メチルピロリドン;1−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンまたはヒドロキシエチルラクトアミドを挙げることができる。好ましい調整剤はポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)、ポリエチレングリコール200(PEG 200);プロピレングリコール;グルコフロール;グリセロール;ソルビトール;マンニトール;単糖類;二糖類の1種またはそれ以上である。より好ましい調整剤はポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール300(PEG 300)、ポリエチレングリコール200(PEG 200);プロピレングリコール;グルコフロールおよびグリセロールの1種またはそれ以上である。最も好ましい調整剤は化合物のPEG 400である。
前記界面活性剤フイルム調整剤は界面活性剤フイルムの極性部分に部分的に付加され、それにより脂質極性先端基当たりの面積が増加し、各脂質相の自生湾曲が水の方に若干カーブしている状態から、より平面的になるかまたは油の方にカーブするようになる状態に変化し、そしてまた層状の液体結晶相の安定性は減少する。好ましい界面活性剤フイルム調整剤はエタノールであるが、C3−アルコールも経皮投与の場合には有用であることがある。
前記非極性相は、4〜18個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリド;4〜18個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するプロピレングリコールのジエステル;1〜5個の炭素原子からなるアルコール部分および8〜22個の炭素原子を有する脂肪酸部分を含有する脂肪酸のモノエステルおよびそれらの混合物であり得る少なくとも1種の医薬的に許容し得る油状物からなる。
この非極性相は、少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリド;少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するプロピレングリコールのジエステル;または脂肪酸のモノエステル例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートもしくはエチルオレエートまたはそれらの混合物からなるのが好ましい。より好ましい非極性相は、少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリド;少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するプロピレングリコールのジエステルまたはイソプロピルミリステートからなる。最も好ましい非極性相は、少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリドまたはイソプロピルミリステートのいずれかからなる。
前記親油性界面活性剤はレシチン、スフィンゴ脂質およびガラクト脂質の1種である。最も好ましい親油性界面活性剤は少なくとも90%のホスファチジルコリンからなる精製ダイズレシチンである。非イオンの親水性界面活性剤はエトキシル化ヒマシ油;エトキシル化脂肪エステル;スクロース脂肪エステル;ソルビトールおよびソルビタンおよびそれらのポリオキシエチレン誘導体のモノエステル、ジエステルおよびトリエステル;アルキルグルコシドまたはアルキルポリグルコシド;エトキシル化モノヒドロキシステアリン酸および胆汁酸塩であることができる。親油性界面活性剤はポリエチレングリコール(15)−12−ヒドロキシステアレート、アルキルマルトシド、胆汁酸塩またはそれらの混合物であるのが好ましい。
本発明は水中油型マイクロエマルジョンおよび二連続性エマルジョンの双方を提供する。極性相と非極性相との割合およびまた極性相中で水と混合する調整剤の量を変えることにより、水中油型タイプまたは二連続性タイプのいずれかのマイクロエマルジョンを得ることが可能である。本発明のマイクロエマルジョンは静脈内、腹膜内または動脈内投与のために活性化合物を可溶化するのに用いることができる。またそれは皮下、筋肉内または経皮投与のために水中での溶解度が低い活性化合物の製剤用にも用いることができる。マイクロエマルジョンのさらに別の使用は、経口投与の場合における水中での溶解度が低い活性化合物の可溶化および吸収促進のためである。
活性化合物は例えばプロトンポンプ阻害剤、カルシウムチャンネル遮断剤、ベータ遮断剤、麻酔薬、ステロイド、抗酸化剤、レニン阻害剤、アルカロイド、細胞増殖抑止剤、抗凝固剤、脂質調整剤、抗うつ剤、抗精神病薬、免疫抑制剤、免疫調整剤、抗生物質および抗炎症剤であることができる。
調製
本発明のマイクロエマルジョンは前記の各成分を特定の順序ではなく一緒に混合し、その混合物を典型的には2または3日間放置して平衡状態にすることにより調製することができる。この平衡化操作は混合物を約40℃で温和に加熱し、撹拌することにより、または混合物を規則的な間隔で振盪することにより短縮することができる。調整剤の最適濃度は、ダイズレシチンの種々のバッチおよびまた種々の活性化合物に関して最適化されなければならない。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
以下の各成分をガラス瓶中で一緒に混合した。
Figure 0004203123
Figure 0004203123
ガラス瓶を密閉し、渦巻ミキサーを用いて一定の分時間混合物を振盪し次いで2日間37℃の一定温度を維持しつつ水浴中に保持した。そのガラス瓶を渦巻ミキサーで1日に2または3回振盪した。2日後にその混合物は透明で、僅かに粘稠性の1つの相の液体として現れた。その混合物を1週間25℃に保持したところ、それは相分離の兆候を全く示さなかった。液体の各結晶性相のいずれもの兆候を検出するためにその試料を視覚による外観によりおよび干渉偏波フィルターを使用することにより試験した。温度を37℃に上昇し、2日後に前記と同一の操作を用いてその試料を調査したが、相分離の兆候はなかった。次いでその試料を室温に保持し、一定の間隔で調査したところ、その安定性は少なくとも6カ月であった。
実施例2
以下の各成分をガラス瓶中で一緒に混合した。
Figure 0004203123
Figure 0004203123
混合物を実施例1の方法に従って平衡化し、次いで2日後にその混合物は透明で、僅かに粘稠性の1つの相の液体として現れた。その混合物を1週間25℃に保持したところ、それは相分離の兆候を全く示さなかった。液体の各結晶性相のいずれもの兆候を検出するためにその試料を視覚による外観によりおよび干渉偏波フィルターを使用することにより試験した。温度を37℃に上昇し、2日後に前記と同一の操作を用いてその試料を調査したが、相分離の兆候はなかった。
実施例3
実施例1のマイクロエマルジョンを調製し、ほとんど溶解しない2種の物質すなわちフェロジピン(エチル メチル 4−(2,3−ジクロロフェニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−3,5−ピリジンジカルボキシレート)およびシス−4b,5,9b,10−テトラヒドロ−4b,7,9,9b−テトラメチル−8−エトキシ−インデノ(1,2-b)−インドール(以下インデノインドールと称する)を試験した。ガラス瓶に入れた各マイクロエマルジョンの1ml試料に種々の量の上記各物質を加えた。試料を48時間回転して、その固形物質を完全に湿らせた。次いでこれらの試料を25℃の水浴中で少なくとも1週間保持してから調査した。試料はいずれもの固形物質または相分離について調査し、そして最大溶解度はいずれか痕跡の固形物または相分離のない各系中の最後の試料と残留および未溶解物質または相分離のある最初の試料との間の値域として定義された。
Figure 0004203123
実施例4
対照として塩水を用いて、意識のあるラットで種々の薬理学的パラメータに及ぼす実施例1aのマイクロエマルジョンの効果を50%PEG 400/水の溶液について比較した。
生物学的作用
実験操作および材料
動物
デンマークからの大人の雄性スプラグーダウレー(Sprague-Dawley)ラットを使用した。アストラヘスレ
Figure 0004203123
AB社に到着後、各動物を手術前に少なくとも1週間順化させた。それらを調整した温度(20〜22℃)、湿度(50〜70%)および12/12時間の明/暗サイクルを有する部屋中のポプラチップの敷き藁を敷いたラット用標準ケージに保持した。各動物はペレットおよび瓶からの水道水を自由に摂取した。
手術
実験の前の日に、各動物にメトヘキシタール(Methohexital)ナトリウム(Brietal,Lilly,Indianapolis,Ind,USA)60mg/kgを腹腔内投与して麻酔をかけ、カテーテルを右頸静脈(薬物の静脈注射用のPE 25)および後部動脈(血圧記録用のPE 90に接続した長さ8cmのPE 10)中に挿入した。その動脈カテーテルの先端を腎動脈下の腹部大動脈中に入れた。ECG電極を心臓頂部および右肩にわたる皮膚下に入れ、接地電極を腰部脊椎上に入れた。これはCR−記録に対応する。手術処置後に動物を単独で、調整した湿度、温度および明/暗サイクルを有する部屋のゲージ中に入れた。各ラットはまた、動脈圧ラインを介して1時間当たり1.0mlの塩水を送達するスイベルラインに接続した。
血流力学的およびECG記録
急性外科処置後の日に、自分のケージに住む意識のあるラットを用いて実験を実施した。後部動脈カテーテルをスイベルを介して接続し、動物をかなり自由に動かせた。動脈圧カテーテルを圧変換器に接続した。動脈圧ラインの側管を介して毎時1.0mlのNaClを徐々に注入することによりカテーテルを開放状態に保持した。側管は高い内部抵抗を有する長さ60cmのPE 10カテーテルであった。従って、側管は動脈の脈搏を減衰させない。心搏度数(HR)を計数率計を用いて減衰されない動脈圧シグナルから測定し、そして電子フィルタリングにより平均動脈圧(MAP)を得た。4匹の動物からのパラメータはグラスポリグラフ(Grass Polygraph)(model 7D)上に同時に表示された。ECG電極をグラス(7P6)ECGプリアンプに断続的に接続した。ECGを目盛りの定められたシーメンスエレマインクジェット(Siemens Elema Inkjet)記録器に記録した。
前記の平均動脈圧および心搏度数の各シグナルをCompaq 386SXコンピュータ中に搭載のデータトランスレーション(DT2801)ADコンバータ中に入れた。コンピュータプログラムPC-LAB
Figure 0004203123
は各実験の進行中に動脈圧および心搏度数の各値を繰り返しサンプリングした。そのプログラムは動脈圧および心搏度数を20秒間サンプリングし、4.5時間の実験中1分毎に1回の割合で各20秒間の平均値を計算した(同時に3〜4匹のラットからの個々のパラメータについての285個の値に関するファイルを作成した)。
さらに、PC-LABプログラムは全体で4匹のラットから実験の進行中8回ECGをサンプリングした(図1参照)。ECGシグナルを800Hzで4秒間サンプリングした。すなわち各ラットから約20のECGサイクルをコンピュータメモリーに保存した。次いで4匹のラットからのサンプルのこのアレイを
Figure 0004203123
社のVAX−コンピュータに移し、PC-LABプログラム(Jan Axenborgにより書かれたもの)で分析した。このPC-LABプログラムは約20のサイクルから平均ECGを計算した。第2サイクルはトリガサイクルであり、全ての計算に使用する。この平均ECGから、本発明者等はミリ秒表示のPQ−時間およびQRS−期間を計算した。
実験操作
実験操作は図1に説明されている。その実験は3種の相異なる賦形剤で実施した。
基本の血流力学的パラメータを30分間記録した(図1参照)。次に各動物に5分間で投与する賦形剤を3回注入した。容量は塩水およびPEG 400に関しては0.3、1および3ml/kgであり、そしてマイクロエマルジョンに関しては0.15、0.5および1.5ml/kgであった。これらの注入は60分毎になされた。
酸塩基バランスおよび血中ガス測定のために血液試料を2回(最初の投与の前および実験の終了時)を得た。
いくつかの間隔で得られたECGは図1に示すとおりである。
Figure 0004203123
計算および統計
動脈血圧および心搏度数のデータ
各動物についてのデータ(n=5であるPEG 400(50%)についての心搏度数データ以外の全実験ではn=6)を、最初3個のデータポイントの平均を基線として用いて標準化し、その基線からの各データポイントに関する偏差値を計算した。2種の賦形剤を、各賦形剤(PEG 400(50%)またはマイクロエマルジョン)と対照(塩水)との間の平均差を計算することにより比較した。各注入直後に、プールした可変数およびデータポイントに関するボンフェロニ(Bonferoni)技法による連続測定用に補正したt−分布を用いて95%信頼区間を計算した。
ECG、酸塩基バランス、血中ガスおよび血漿電解質
結果は平均値として提供され、変化性はSEM(n=6)として表示されている。
結果および結論
実施例1aのマイクロエマルジョンを、静脈投与に用いることが多い助溶媒であるPEG 400の50%水溶液と比較した。塩水は対照として用いた。結果は表1〜3に示されている。そのデータは酸塩基バランス、血中ガス、血漿電解質、心搏度数またはPQ値に何ら有意の作用をもたらさずに、0.5ml/kgまでの実施例1aのマイクロエマルジョンを意識のあるラットに静脈注入により投与することが可能であるということを示している。第2投与直後には動脈血圧の有意だが、極めて小さな減少があるが、これは生物学的関係は全くないもと考えられる。
最大投与量、1.5ml/kg(マイクロエマルジョン)および3.0ml/kg(PEG 400(50%))では、マイクロエマルジョンおよびPEG 400溶液の結果は非常に似ている。マイクロエマルジョンだけの場合には動脈血圧の小さな増加があり、そして両賦形剤の場合にはPQ時間の一時的延長とともに中程度の徐脈作用がある。
実施例3で用いたフェロジピンおよびインデノインドールのPEG 400(50%)中における溶解度はそれぞれ0.7mg/mlおよび0.2mg/mlである。マイクロエマルジョンを用いると、50%PEG 400溶液と比較して5倍より多いフェロジピンおよび100倍以上のインデノインドールを投与することができる。意外なことに、このマイクロエマルジョンはPEG 400溶液と比較して、水中での溶解度が低い化合物の可溶化および投与用に優れている。
Figure 0004203123
Figure 0004203123

Claims (17)

  1. -水および場合により等張性状態にするための剤、および極性相の極性を調整する
    1種またはそれ以上の
    a)ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グルコフロール;グリセロール;または1種またはそれ以上の
    b)ソルビトール;マンニトール;単糖類;二糖類;または1種またはそれ以上の
    c)ジメチルアセトアミド;ソルケタール;メチルピロリドン;1−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンまたはヒドロキシエチルラクトアミド
    から選ばれる一種またはそれ以上の成分(調整剤)を含有する極性相、
    -2〜3個の炭素原子を有するアルコールである界面活性剤フイルム調整剤、
    -少なくとも1種の医薬的に許容し得る油状物からなる非極性相および
    -全マイクロエマルジョンの15重量%までの、親油性界面活性剤と親水性界面活性剤との混合物、ここで親油性界面活性剤はレシチン、スフィンゴ脂質およびガラクト脂質からなる群より選択される、
    を含有する、水中での溶解度が低い1種またはそれ以上の活性化合物を投与するための賦形剤としての無毒性の水中油型または二連続性のマイクロエマルジョン。
  2. 極性相の極性を調整する成分が1種またはそれ以上の
    a)ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グルコフロール;グリセロール;または1種またはそれ以上の
    b)ソルビトール;マンニトール;単糖類または二糖類
    であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  3. 極性相の極性を調整する成分がポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300またはポリエチレングリコール400であることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロエマルジョン。
  4. 等張性状態を得るための剤がNaClまたはグリセロールの溶液であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  5. 界面活性剤フイルム調整剤がエタノールであることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  6. 非極性相中の医薬的に許容し得る油状物が4〜18個の炭素原子を有するトリグリセリド;4〜18個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するプロピレングリコールのジエステル;1〜5個の炭素原子からなるアルコール部分または8〜22個の炭素原子を有する脂肪酸部分を含有する脂肪酸のモノエステル、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  7. 非極性相中の医薬的に許容し得る油状物が、少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリド;少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するプロピレングリコールのジエステル;イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートもしくはエチルオレエートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項6記載のマイクロエマルジョン。
  8. 非極性相中の医薬的に許容し得る油状物が、少なくとも70%の8〜10個の炭素原子を有する脂肪酸を含有するトリグリセリド;イソプロピルミリステートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載のマイクロエマルジョン。
  9. 親油性界面活性剤が、少なくとも90%のホスファチジルコリンからなる精製ダイズレシチンであることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  10. 親水性界面活性剤が、エトキシル化ヒマシ油;エトキシル化脂肪エステル;スクロース脂肪エステル;ソルビトールまたはソルビタンおよびそれらのポリエチレン誘導体のモノエステル、ジエステルおよびトリエステル;アルキルグルコシドまたはアルキルポリグルコシド;エトキシル化モノヒドロキシステアリン酸;胆汁酸塩またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  11. 親水性界面活性剤がポリエチレングリコール(15)-12-ヒドロキシステアレート、アルキルマルトシド、胆汁酸塩またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項10記載のマイクロエマルジョン。
  12. 界面活性剤が、全マイクロエマルジョンの4〜12重量%であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  13. 水中油型マイクロエマルジョンであることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  14. 活性化合物が医薬であることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョン。
  15. 活性化合物がプロトンポンプ阻害剤、カルシウムチャンネル遮断剤、ベータ遮断剤、麻酔薬、ステロイド、抗酸化剤、レニン阻害剤、アルカロイド、細胞増殖抑止剤、抗凝固剤、脂質調整剤、抗うつ剤、神経弛緩薬、免疫抑制剤、免疫調整剤、抗生物質および抗炎症剤であることを特徴とする請求項14記載のマイクロエマルジョン。
  16. 各成分を特定の順序ではなく一緒に混合し、その混合物を典型的には1または2日間放置して平衡状態にし、その際この平衡化操作は、混合物を40℃に温和に加熱し、そしてその混合物を規則的な間隔で撹拌または振盪することにより短縮することができることを特徴とする請求項1記載のマイクロエマルジョンの調製方法。
  17. 1種またはそれ以上の活性化合物の有効量をそのような活性化合物を必要とする宿主に投与するための請求項1〜15のいずれか1項に記載のマイクロエマルジョンを含む賦形剤
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