以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態は、道路に付設された既設の側溝に対して、例えば所定の間隔で側溝ブロック1の開口部2に設置された既設のグレーチング蓋4を後施工によって強固に固定する工法を示す。側溝ブロック1は、図1乃至図4に示すように開口部2内に一体に埋設された受け枠部材3に対して開口部2内に落とし込み法によってグレーチング蓋4が設置される。グレーチング蓋4は、詳細を後述する後施工が施されることによって側溝ブロック1に対して強固に固定されるようになり、車両等が走行した際にも浮き上がりの発生が防止されるとともに、大きな衝撃等に対しても開口部2からの脱落が確実に防止される。
側溝ブロック1は、図2に示すように補強のための鉄筋5を縦横適宜に配列して埋設した鉄筋コンクリート製のブロック体であり、矩形の開口部2の内周部に受け段部6が形成されている。受け段部6は、開口部2の開口縁から側溝蓋やグレーチング蓋4の厚みとほぼ等しい高さ位置において開口形状を狭めるようにして全周に亘って形成されている。受け段部6は、その受け面6a上で、開口部2に組み合わされた側溝蓋やグレーチング蓋4の外周部位の底面を全周に亘って支持し、側溝蓋やグレーチング蓋4が主面と略同一面を構成して設置されるようにする。
受け枠部材3は、例えば鋼板等によって開口部2の開口形状とほぼ等しい外形を有する枠状に形成され、下端縁の全周に亘って内方に突出する受け段部6とほぼ同幅の受け部7が一体に形成されてなる。受け枠部材3は、側溝ブロック1に対して受け部7を受け段部6の受け面6a上に支持した状態で一体に埋設されてなる。なお、受け枠部材3は、例えば側溝ブロック1がU字状側溝ブロックであり、長手方向の相対する両側壁の内面に受け段部5が形成される場合に、L字状に形成された一対の部材によって構成されてそれぞれ側溝ブロックの両側壁と一体化される。
グレーチング蓋4は、鋳造によって一体に形成され或いはステンレス材を格子状に組み合わせて形成されてなり、開口部2の開口形状とほぼ等しい外形を有している。グレーチング蓋4は、受け枠部材3の受け部7の幅とほぼ同等の厚みを有するフレーム材を矩形枠状に組み合わせて外枠フレーム部8を形成し、この外枠フレーム部8の内部に多数本の桟材9を格子状に組んで構成してなる。グレーチング蓋4は、各桟材9が所定の機械的強度を有しているが、外枠フレーム部8に対して薄厚とされてなる。
受け枠部材3には、後述する後施工によって長手方向の一方の受け部7aに、相対する隅部の近傍に位置して第1ボルト10a及び第2ボルト10bが互いに幅方向に対向して立設される。受け枠部材3には、長手方向の相対する他方の受け部7bに、相対する隅部の近傍に位置して第3ボルト10c及び第4ボルト10dが互いに幅方向に対向して立設される。なお、第1ボルト10a乃至第4ボルト10dは、全て同一形状のボルトが用いられるため、以下特に個別に説明する場合を除いてボルト10と総称する。
各ボルト10は、受け枠部材3に後述する後施工によって形成した第1ボルト孔11a乃至第4ボルト孔11dに対してそれぞれその底面側から挿通され、頭部12や表面側からねじ込まれるナット13とによって受け枠部材3を挟持して抜け止めされた状態で立設される。各ボルト10は、この状態でそれぞれの先端部がグレーチング蓋4の各桟部材9と略同一面を構成する長さを有している。なお、各ボルト10には、後述するようにナット13とともに複数個のワッシャ14や締付けナット15が組み付けられる。なお、ワッシャ14には、振動等によるナット13、15のゆるみを防止するために、必要に応じてスプリングワッシャが用いられる。
グレーチング蓋4には、後述する後施工に際して図1に示すように長手方向の相対する四隅4a乃至4dの近傍に位置して、上述した各ボルト10と対向して第1固定金具16a乃至第4固定金具16dがそれぞれ取り付けられる。第1固定金具16aは、グレーチング蓋4の一方側において、第1隅部4aの近傍の互いに隣り合う桟材9a、9bとに跨って取り付けられる。第2固定金具16bも、グレーチング蓋4の一方側であり、第1隅部4aと幅方向に対向する第2隅部4bの近傍の互いに隣り合う桟材9c、9dとに跨って取り付けられる。
第3固定金具16cは、グレーチング蓋4の他方側において、第1隅部4aと長さ方向に対向する第3隅部4cの近傍の互いに隣り合う桟材9a、9bとに跨って取り付けられる。第4固定金具16dは、グレーチング蓋4の他方側において、第2隅部4bと長さ方向に対向する第4隅部4dの近傍の互いに隣り合う桟材9c、9dとに跨って取り付けられる。
なお、第1固定金具16a乃至第4固定金具16dは、いずれも鋼材等によって同一形状に形成されてなり、以下特に個別に説明する場合を除いて固定金具16と総称する。各固定金具16は、桟材9a、9bに第1固定金具16aと第3固定金具16cとが取り付けられるとともに、桟材9c、9dに第2固定金具16bと第4固定金具16dとを取り付けるようにしたが、かかる構成に限定されるものでは無い。固定金具16は、グレーチング蓋4の構造に応じて適宜の形状に形成される。
各固定金具16は、図2及び図3に示すように、隣り合う桟材9、9の対向間隔とほぼ等しい長さを有する板状の連結部17と、この連結部17の両端部に互いに対向するようにして一体に連設されたほぼ同一形状の係合部18a、18bと、連結部17を貫通して形成されたボルト孔19とからなる。各固定金具16は、係合部18a、18bが桟材9の厚みよりもやや大きな空間部を有する断面下向きコ字状を呈するとともに、ボルト孔19がボルト10の外径よりもやや大径に形成されている。各固定金具16は、図3及び図4に示すように係合部18a、18bを相対する桟材9、9に掛け合わすとともに連結部17を桟材9、9間に落とし込むようにして取り付けられる。
各固定金具16は、ボルト孔19にボルト10の先端部が貫通され、この貫通端部に締付けナット15がねじ込まれることによって係合部18a、18bが相対する桟材9、9に次第に押し付けられる。したがって、グレーチング蓋4は、図3及び図4に示すように第1隅部4a乃至第4隅部4dを各ボルト10と各固定金具16とを介して受け枠部材3に対してしっかりと固定される。
グレーチング蓋4は、第1隅部4a乃至第4隅部4dを固定されることによって、例えば車両等が走行した場合でも、部分的な浮き上がりが防止されて騒音等を生じたり破損が生じることが防止される。また、グレーチング蓋4は、大型自動車等の走行により大きな衝撃等が加えられた場合でも、開口部2からの脱落が防止されるようになる。グレーチング蓋4は、外枠フレーム部8や桟材9に何ら追加工が施されることなく受け枠部材3に固定されることから、機械的強度も保持されるとともに段差等により歩行者が躓いたり車両等に走行時の衝撃を与えることも無い。
既設のグレーチング蓋4は、以下の後施工が施されることにより、受け枠部材3に対して効率よくかつ強固に固定される。グレーチング蓋4の固定工程は、図5に示すように、グレーチング蓋取外し工程(第1−1工程)と、はつり工程(第1−2工程)と、ボルト孔穿孔工程(第1−3工程)と、ボルト取付工程(第1−4工程)と、コンクリート充填工程(第1−5工程)と、グレーチング蓋設置工程(第1−6工程)と、固定金具取付工程(第1−7工程)と、グレーチング蓋固定工程(第1−8工程)とを有する。
グレーチング蓋4の固定工程においては、側溝ブロック1から既設のグレーチング蓋4を取り外す作業を第1−1工程とし、側溝から既設のグレーチング蓋4を取り外した状態で受け枠部材3に生じた錆の除去や受け部7に積もった土砂の除去等の清掃も行われる。グレーチング蓋4の固定工程においては、例えばドリルやピックハンマ或いはブレーカ等を設けたはつり装置20を用いてボルト埋め込み空間部21を形成するはつり作業を第1−2工程とする。
はつり作業は、例えば開口部2からはつり装置20のピックハンマ20aを挿通し、受け枠部材3の底面を基準にして側溝ブロック1の受け段部6をはつることによってボルト埋め込み空間部21を形成する。ボルト埋め込み空間部21は、図6に示すように受け枠部材3の底面部の受け段部6に対して、上述した各ボルト10が立設される開口部2の4隅の近傍位置において4箇所が形成される。各ボルト埋め込み空間部21は、それぞれボルト10の長さよりもやや深い大きさを以って形成される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ドリル装置を用いて受け枠部材3の上方から各ボルト埋め込み空間部21に連通するようにしてそれぞれ受け部7にボルト孔19を穿孔する作業を第1−3工程とする。各ボルト孔19は、それぞれボルト10の外径よりもやや大径でありかつ頭部12の外径よりも小径の貫通孔として受け部7の四隅の近傍位置に形成される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ボルト10を受け枠部材3に取り付ける作業を第1−4工程とする。ボルト10は、図7矢印イで示すようにボルト埋め込み空間部21に差し込まれるとともに矢印ロで示すように、先端部をボルト孔19を介して受け部7から突出させることによって受け枠部材3に取り付けられる。ボルト10は、ボルト孔19から貫通されたねじ部に対してワッシャ14が組み付けられるとともにナット13がねじ込まれ、頭部12とナット13とによって受け部7を挟み込むことによって受け枠部材3上に立設される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、各ボルト埋め込み空間部21内にコンクリート22を充填する作業を第1−5工程とする。ボルト埋め込み空間部21には、例えば開口部位を閉塞するようにして堰板があてがわれた状態でその内部にコンクリート22が流し込まれる。コンクリート22は、所定の硬化時間を経過した後に堰板が取り外されることにより、ボルト埋め込み空間部21内に頭部12を埋め込んでボルト10を受け枠部材3にしっかりと固定する。
グレーチング蓋4の固定工程においては、側溝ブロック1にグレーチング蓋4を再設置する作業を第6工程とする。グレーチング蓋4には、四隅近傍の桟材9a、9b間の間隙に臨ませられてボルト10の先端部が突出される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、グレーチング蓋4に対して第1隅部4a乃至第4隅部4dに第1固定金具16a乃至第4固定金具16dを取り付ける作業を第1−7工程とする。固定金具16は、グレーチング蓋4に対して、その四隅近傍においてそれぞれ上方から取り付けられる。固定金具16は、連結部17が隣り合う桟材9a、9b間に落とし込まれてボルト孔19にボルト10の先端部が貫通されるとともに、各係合部18a、18bが相対する桟材9a、9bに係合されることによってグレーチング蓋4に懸架状態で取り付けられる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ボルト10にねじ込んだ締付けナット15を固定金具16に対して締め付けることによってグレーチング蓋4を受け枠部材3に固定する作業を第1−8工程とする。締付けナット15は、ナット14に続いてボルト孔19から突出したボルト10の先端部からボルト10のねじ部に装着されてねじ込まれる。締付けナット15は、連結部17に突き当たった後になおもねじ込まれることにより、係合部18a、18bを相対する桟材9a、9bに押し付けて保持する。
グレーチング蓋4の固定工程においては、上述した各工程を施すことにより、グレーチング蓋4の第1隅部4a乃至第4隅部4dにおいて受け枠部材3に立設された各ボルト10に対して締付けナット15を介して各固定金具16が固定される。グレーチング蓋4の固定工程においては、各固定金具16が係合部18a、18bを介して桟材9a、9bを保持してグレーチング蓋4と一体化され、これら固定金具16と各ボルト10とが一体化されることから、受け枠部材3に対して後施工によりグレーチング蓋4が一体的に固定される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ボルト埋め込み空間部21を介して受け枠部材3の四隅にボルト10を立設し、これらボルト10に対して固定金具16を介してグレーチング蓋4を後施工により固定してなる。グレーチング蓋4の固定工程においては、機械的強度の大きい大径のボルト10を受け枠部材3に対して立設することが可能であり、グレーチング蓋4を受け枠部材3に対して強固に固定する。
ところで、上述したグレーチング蓋4の固定工程においては、はつり装置20を用いて側溝ブロック1の受け段部6にボルト埋め込み空間部21を形成するはつり作業を施したがかかる作業工程に限定されるものでは無い。側溝ブロック1は、比較的小型のグレーチング蓋4が設置される場合に、受け段部6の側壁間の間隔が小さいために開口部2から挿通されるはつり装置20のピックハンマ20aを受け枠部材3の底面と平行に受け段部6の側壁に突き当てることを困難とする。
グレーチング蓋4の固定工程においては、側溝ブロック1に対して受け段部6の側壁に対して斜めに突き当てられるピックハンマ20aによって形成されることから、受け枠部材3の底面部位にコンクリートを残してしまうことがある。グレーチング蓋4の固定工程においては、このために残ったコンクリート部位を例えばピックハンマ等を用いた手作業により除去することによって受け枠部材3の底面に臨むボルト埋め込み空間部21を形成していた。
また、グレーチング蓋4の固定工程においては、ボルト埋め込み空間部21の形成領域にも鉄筋5が存在することから、図7に示すようにその一部をサンダや酸素溶接機やアーク溶接機等によって切断する作業も必要となる。グレーチング蓋4の固定工程においては、かかる切断作業を行うために大きなボルト埋め込み空間部21を形成する必要が生じてコンクリート22を打設する作業性が悪くなり、また硬化時間が長くなることによって作業効率が低下する。さらに、グレーチング蓋4の固定工程においては、鉄筋5の存在箇所に対して無理して穿孔を行った場合にピックハンマ20aに滑り等が生じて周囲のコンクリート部位を破損させることがあった。グレーチング蓋4の固定工程においては、酸素切断等を施した場合に、受け枠部材3までも傷付けてしまうため、細心の注意を払っての作業が必要であった。
グレーチング蓋4の固定工程においては、図8乃至図10に示したドリル装置30を用いることによって、受け段部6の四隅近傍にそれぞれ上述したボルト埋め込み空間部21と対応する所定の内径を有するコア孔からなるボルト埋め込み空間部25を効率的に穿孔することが可能となる。ドリル装置30は、コアビット32を有するドリル本体31と、フレーム体33と、支点部材34と、ドリル支持ロッド35等を備える。
ドリル装置30は、詳細を後述するように側溝ブロック1の開口部2内に装着され、コアビット32の位置決めを行って受け段部6の一方側面部に2個のボルト埋め込み空間部25を穿孔した後に開口部2から取り外される。ドリル装置30は、向きを変えて側溝ブロック1の開口部2内に再装着され、同様にコアビット32の位置決めを行って受け段部6の他方側面部に2個のボルト埋め込み空間部25を穿孔した後に開口部2から取り外される。
ドリル本体32は、例えば市販の湿式型回転ドリル装置が用いられ、詳細を省略するがハウジング36の内部に駆動モータが内蔵されるとともに、この駆動モータによって回転駆動される回転軸37がハウジング36から突出されている。ドリル本体32は、回転軸37に詳細を省略するがチャッキング機構38が設けられており、このチャッキング機構38によって回転軸37の先端にコアビット32を取り付ける。ドリル本体32には、ハウジング36に電源を供給する電源コード39aが引き込まれるとともに、コアビット32に冷却水を供給するホース39bが引き込まれてなる。
ドリル本体32においては、スイッチ操作によって駆動モータが起動されて回転軸37が回転駆動されると、チャッキング機構38を介して一体化されたコアビット32も回転される。ドリル本体32においては、ホース39bから供給されて回転軸37内を導水された冷却水がコアビット32の先端部から穿孔内に供給しながら穿孔動作が行われる。なお、ドリル本体32には、詳細を省略するがハウジング36の内部に回転軸37を支持する軸受け機構や冷却水の漏れを防止するシール機構等が設けられている。また、ドリル本体32には、ホース39bの途中やハウジング36に冷却水流路に設けた弁機構を開閉する図示しないコックが設けられている。
なお、ドリル本体32は、冷却と穿孔内からのコンクリート屑を除去するためにコアビット32に冷却水を供給するようにしたがかかる構造に限定されるものでは無い。ドリル本体32は、例えば乾式ドリル装置が用いられる場合に、冷却水に代えてコンプレッサと接続されたホース39bから圧縮空気が供給される。
ドリル本体32には、ハウジング36の上面に移動操作機構40が付設されている。移動操作機構40は、ドリル本体32を後述するドリル支持ロッド35に沿って移動操作させることによって側溝ブロック1の受け段部6にボルト埋め込み空間部25を穿孔させる機構であり、図8に示すようにガイド筒部41と、操作ハンドル42と、詳細を省略するピニオン43及びその支持機構等によって構成されている。
移動操作機構40は、詳細を省略するがガイド筒部41に形成した複数の取付ブラケット部44を介してドリル本体32の上面部に固定され、ガイド筒部41内をドリル支持ロッド35が貫通する。移動操作機構40は、ガイド筒部41に直交して形成された筒部45に図示しない操作ハンドル42の支軸が貫通されてなる。移動操作機構40は、この操作ハンドル42の支軸に、ガイド筒部41の軸孔に臨ませられるようにしてピニオン43が一体に軸装されてなる。
移動操作機構40は、操作ハンドル42を回転操作することによってピニオン43を一体に回転させ、詳細を後述するようにドリル支持ロッド35に沿ってドリル本体31を移動操作させる。なお、移動操作機構40には、図示しないがドリル本体31の移動量、換言すればコアビット32の送り量を表示する表示部を設けるようにしてもよい。かかる表示部は、例えばコアビット32が受け段部6の側面壁に突き当たった位置を原点として設定し、ボルト埋め込み空間部25の穿孔動作に伴って指標が移動するような構造であればよい。
コアビット32は、ボルト10の全長よりも大きな内径を有する全体筒状を呈して形成されるとともに、先端開口部に切り刃が全周に亘って形成されている。コアビット32は、取付ボス部32aをチャッキング機構38にチャッキングすることによって回転軸37に対して着脱される。コアビット32は、先端に開口して回転軸37の内孔と連通する冷却水流路が全長に亘って形成され、上述したように冷却水を穿孔内に供給する。
フレーム体33は、側溝ブロック1の開口部2の開口寸法とほぼ等しい外形寸法を有する枠状に形成されてなる。フレーム体33は、開口部2内に設置されることによって、図8及び図9に示すように下端部が受け枠部材3の受け段部6上に載置される。フレーム体33は、長手方向の一方側面部46が、受け段部6の幅とほぼ等しい幅となる枠状に形成されることによって厚みが大きくなるように構成されている。フレーム体33には、各側面部にフランジ部が一体に形成されることによって機械的強度の向上が図られている。
フレーム体33には、図9に示すように側面部46にその幅方向の略中央部に位置してねじ孔47が形成されており、後述するように支点部材ド34の支持部を構成する第1固定用ボルト48がねじ込まれる。フレーム体33は、後述するように側面部46側においてコアビット32による穿孔が行われて大きな力がかかるが、上述したようにこの側面部46を枠状とすることによって機械的強度の向上が図られている。
フレーム体33には、側面部46と対向する他方側面部49の内面に、この側面部49を貫通するねじ孔を有するボス部50が一体に形成されている。フレーム体33には、ボス部50に第2固定用ボルト51がねじ込まれており、この第2固定用ボルト51をねじ込んだり緩めたりすることによってその先端部が側面部49から出入りするようにする。フレーム体33は、ドリル装置30を開口部2内に装着した後に第2固定用ボルト51をねじ込むことによって、図9に示すようにこの第2固定用ボルト51の先端部を受け枠部材3の内周面に突き当てて固定させるようにする。
なお、フレーム体33は、複数個の第2固定用ボルト51によって複数箇所において受け枠部材3に固定するようにしてもよいが、枠状に形成したことによって全周を受け枠部材3によって保持されることから1箇所を固定することでも充分にその作用が達成されるようになる。
支点部材34は、全体矩形の板状部材からなり、中心に対して一端側に寄った位置に取付孔52が形成されている。支点部材34は、取付孔52に第1固定用ボルト48がねじ込まれることによって、フレーム体33の側面部46の内面に固定される。支点部材34は、第1固定用ボルト48を緩めることによってこの第1固定用ボルト48を支点として揺動操作することが可能である。
ドリル支持ロッド35は、上述したように移動操作機構40のガイド筒部41に貫通されるロッドであり、図9に示すように支点部材34に対して取付孔52と対向する他端側に寄った位置に一端側を固定されることによって、図8に示すように片持ち状態で水平に取り付けられる。ドリル支持ロッド35は、図9に示すように支点部材34に対して第1固定用ボルト48との間隔が側面部46の幅よりもやや小さくなるようにして取り付けられている。
ドリル支持ロッド35には、ほぼ全長に亘ってラック53が形成されており、このラック48に上述した移動操作機構40のピニオン43が噛合される。ドリル支持ロッド35は、ガイド筒部41に貫通されることによって図8に示すようにドリル本体31を懸架するようにして支持する。ドリル支持ロッド35は、操作ハンドル42を回すことによってピニオン43が回転することにより、ドリル本体31を支持して軸方向に移動させる。
以上のように構成されたドリル装置30は、側溝ブロック1の開口部2内に、フレーム体33を受け枠部材3の受け部7上に全周に亘って載置するようにして設置される。ドリル装置30においては、緩めた状態の第2固定用ボルト51をボス部50にねじ込むことにより、側面部49から突出した先端部が受け枠部材3の側面部に突き当てられて固定される。ドリル装置30においては、この状態でドリル支持ロッド35に懸架されたドリル本体31が、図8に示すようにコアビット32をフレーム体33の一方側面部46と対向される。
ドリル装置30においては、第1固定用ボルト48が緩められることによって首振り自在とされた支点部材34が第1固定用ボルト48を支点として首振り操作される。ドリル装置30においては、コアビット32が、図10に示すように開口部2の一方側面側でありかつ隅部の近傍に位置して、その外周部が受け枠部材3の受け部7の底面と接するようにして側溝ブロック1の受け段部6の側面壁と対向されて位置決めされる。ドリル装置30においては、この状態で第1固定用ボルト48を側面部46にねじ込むことにより、支点部材34が側面部46に固定される。
なお、ドリル装置30は、ドリル本体31或いは支点部材34やドリル支持ロッド35のいずれかに開口部2から突出する図示しない操作レバーを取り付けるようにしてよい。ドリル装置30は、この操作レバーによって支点部材34の回動位置を合わせて上述したコアビット32の位置決め操作を行うようにすることにより、操作性の向上が図られるようになる。
ドリル装置30においては、ドリル本体31を駆動してコアビット32を回転させながら移動操作機構40の操作ハンドル42を図8において反時計方向に回転させる。ドリル装置30においては、これによってピニオン43がラック53に噛み合ったまま反時計方向に回転することによって、ドリル本体31がドリル支持ロッド35に沿って次第に側面部46側へと移動される。ドリル装置30においては、コアビット32が受け段部6の側面壁と突き当たった状態でコックを解放することによって、コアビット32に冷却水が供給される。
ドリル装置30においては、さらに操作ハンドル42を回すことによってコアビット32が受け段部6の側面壁に対して直交状態を保持されて次第に進入して所定の内径を有するボルト埋め込み空間部25を穿孔する。ドリル装置30においては、ボルト埋め込み空間部25の穿孔箇所に鉄筋5aが存在する場合に、この鉄筋5aにコアビット32が突き当たることから操作ハンドル42を逆回転操作してドリル本体31を後退移動させ、ボルト埋め込み空間部25内に露出した鉄筋5aをサンダー等によって切断する。したがって、ボルト埋め込み空間部25には、図12に示すように鉄筋5aの切断端部5a1、5a2が対向して臨ませられる。
ドリル装置30においては、コアビット32が受け段部6の側面壁内に所定量まで進入してボルト埋め込み空間部25を穿孔すると、操作ハンドル42が逆回転操作されてドリル本体31を後退移動させることでコアビット32をボルト埋め込み空間部25から抜き出させる。なお、ドリル装置30においては、この際にコアビット32を逆回転させることによってボルト埋め込み空間部25からの素早い抜き出しが行われるようになる。
ドリル装置30においては、コアビット32がボルト埋め込み空間部25から抜き出された状態において、第1固定用ボルト48が緩められて支点部材34を側面部46に対して首振り自在な状態とする。ドリル装置30においては、この状態で支点部材34により、コアビット32がボルト埋め込み空間部25を穿孔した開口部2の一方隅部と対向する側の隅部の近傍位置に移動されて位置決めされる。ドリル装置30においては、上述した操作と同様の操作が行われることによって、当該隅部の近傍に位置した受け段部6の側面壁に同様のボルト埋め込み空間部25を形成する。
ドリル装置30においては、コアビット32が受け段部6の側面壁に直交して突き当てられてボルト埋め込み空間部25を穿孔することから、受け段部6に対して最小限の範囲で穿孔を行う。ドリル装置30においては、穿孔時間も短くまたボルト埋め込み空間部25に充填するコンクリート量も少なくするとともに硬化時間の短縮も図るようにする。また、ドリル装置30においては、受け枠部材3の受け部7の底面に沿ってボルト埋め込み空間部25を穿孔することが可能であり、底面に沿って残ったコンクリートを除去する作業を不要とする。
さらに、ドリル装置30においては、コアビット32の位置決め操作のみで、受け段部6の一方側面壁に対して相対する隅部の2箇所に精度のよいボルト埋め込み空間部25を穿孔することが可能である。ドリル装置30においては、はつり装置20のピックハンマ20aが入らないような小さな開口形状の開口部2を有する側溝ブロック1に対してもボルト埋め込み空間部25を効率よく穿孔することを可能とする。
なお、ドリル装置30においては、標準形状のグレーチング蓋4に対応して開口部2の開口寸法とほぼ同等形状の枠状フレーム体33を備えたが、例えばこのフレーム体33を分割形状とすることによって大きさを可変として汎用性を持たせるようにしてもよい。ドリル装置30においては、例えば支点部材34の取付孔52を長孔とし、その長さ範囲でドリル本体31の位置を調整可能とするようにしてもよい。
既設のグレーチング蓋4の固定工程は、図11に示した上述したドリル装置30を用いる第2の実施の形態による後施工を施すことによって、受け枠部材3に対してグレーチング蓋4を効率よくかつ強固に固定することを可能とする。第2の実施の形態として示すグレーチング蓋4の固定工程は、上述した第1の実施の形態と同様にグレーチング蓋取外し工程(第2−1工程)を有している。なお、第2の実施の形態として示す各工程で、第1の実施の形態と同等の工程についてはその詳細な説明を省略する。
グレーチング蓋4の固定工程は、ドリル装置設置・第1コアビット位置決め工程(第2−2工程)と、第1ボルト埋め込み空間部穿孔工程(第2−3工程)と、第2コアビット位置決め工程(第2−4工程)と、第2ボルト埋め込み空間部穿孔工程(第2−5工程)とを有する。グレーチング蓋4の固定工程は、ドリル装置取外し・再設置工程(第2−6工程)と、第3コアビット位置決め工程(第2−7工程)と、第3ボルト埋め込み空間部穿孔工程(第2−8工程)と、第4コアビット位置決め工程(第2−9工程)と、第4ボルト埋め込み空間部穿孔工程(第2−10工程)と、ドリル装置取外し工程(第2−11工程)とを有する。
グレーチング蓋4の固定工程は、ボルト孔穿孔工程(第2−12工程)と、アンカーボルト取付け工程(第2−13工程)と、コンクリート充填工程(第2−14工程)と、グレーチング蓋設置工程(第2−15工程)と、固定金具取付工程(第2−16工程)と、グレーチング蓋固定工程(第2−17工程)とを有する。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ドリル装置30が側溝ブロック1の開口部2内に、フレーム体33を受け枠部材3の受け部7上に全周に亘って載置するようにして設置した後にコアビット32を第1の位置に位置決めする作業を第2−2工程とする。ドリル装置30は、第2固定用ボルト51をボス部50にねじ込むことにより、側面部49から突出した先端部が受け枠部材3の側面部に突き当てられて開口部2内において固定される。ドリル装置30は、支点部材34が第1固定用ボルト48を支点として首振り操作されて、コアビット32を側溝ブロック1の受け段部6の側面壁と対向する第1位置に位置決めさせる。コアビット32は、開口部2の一方側面側の一方隅部の近傍に位置されて、その外周部が受け枠部材3の受け部7の底面と接するように位置される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32によって受け段部6の側面壁の第1位置に第1ボルト埋め込み空間部25aを穿孔する作業を第2−3工程とする。ドリル装置30は、操作ハンドル42を回してドリル本体31をドリル支持ロッド35に沿って側面部46側へと移動させることで、回転駆動されるコアビット32が受け段部6の側面壁と突き当てられる。ドリル装置30は、コアビット32が受け段部6の側面壁に対して直交した状態で進入して、受け枠部材3の受け部7の底面に沿って第1ボルト埋め込み空間部25aを穿孔する。ドリル装置30は、操作ハンドル42を逆方向に回してコアビット32を第1ボルト埋め込み空間部25aから抜き出させる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32を第1ボルト埋め込み空間部25aと対向する側溝ブロック1の受け段部6の他方隅部に位置決めする作業を第2−4工程とする。ドリル装置30は、第1固定用ボルト48が緩められて支点部材34が側溝ブロック1の他方隅部側へと首振り操作されることによって、コアビット32が受け枠部材3の底面を基準として受け段部6の隅部近傍の側面壁と対向される第2位置に位置決めされる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32によって受け段部6の側面壁に第2ボルト埋め込み空間部25bを穿孔する作業を第2−5工程とする。ドリル装置30は、操作ハンドル42を回して回転駆動されるコアビット32を受け段部6の側面壁に突き当てることにより、この側面壁に対して直交して進出して第2ボルト埋め込み空間部25bを穿孔する。ドリル装置30は、操作ハンドル42を逆方向に回してコアビット32を第2ボルト埋め込み空間部25bから抜き出させる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、ドリル装置30を開口部2から取り外して左右の向きを変えた後に再び開口部2内に設置する作業を第2−6工程とする。ドリル装置30は、第2固定用ボルト51が緩められることによって受け枠部材3に対する固定状態が解除され、開口部2から取り外される。
ドリル装置30は、取り出した状態で左右を反転させ、コアビット32が、第1ボルト埋め込み空間部25aと第2ボルト埋め込み空間部25bとを穿孔した開口部2の側面壁と対向する側面壁側に向けられる。ドリル装置30は、第2固定用ボルト51をボス部50にねじ込むことにより、側面部49から突出した先端部が受け枠部材3の側面部に突き当てられて開口部2内において取付姿勢を反転されて再び固定される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32を第3位置に位置決めする作業を第2−7工程とする。ドリル装置30は、支点部材34が第1固定用ボルト48を支点として首振り操作されて、コアビット32を側溝ブロック1の受け段部6の側面壁と対向する第3位置に位置決めさせる。コアビット32は、開口部2の他方側面側の一方隅部の近傍に位置されて、その外周部が受け枠部材3の受け部7の底面と接するように位置される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32によって受け段部6の側面壁に第3ボルト埋め込み空間部25cを穿孔する作業を第2−8工程とする。ドリル装置30は、操作ハンドル42を回して回転駆動されるコアビット32を受け段部6の側面壁に突き当てることにより、この側面壁に対して直交して進出して第3ボルト埋め込み空間部25cを穿孔する。ドリル装置30は、操作ハンドル42を逆方向に回してコアビット32を第3ボルト埋め込み空間部25cから抜き出させる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、 グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32を第3ボルト埋め込み空間部25cと対向する側溝ブロック1の受け段部6の他方隅部に位置決めする作業を第2−9工程とする。ドリル装置30は、第1固定用ボルト48が緩められて支点部材34が側溝ブロック1の他方隅部側へと首振り操作されることによって、コアビット32が受け枠部材3の底面を基準として受け段部6の隅部近傍の側面壁と対向される第4位置に位置決めされる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、コアビット32によって受け段部6の側面壁に第4ボルト埋め込み空間部25dを穿孔する作業を第2−10工程とする。ドリル装置30は、操作ハンドル42を回して回転駆動されるコアビット32を受け段部6の側面壁に突き当てることにより、この側面壁に対して直交して進出して第4ボルト埋め込み空間部25dを穿孔する。ドリル装置30は、操作ハンドル42を逆方向に回してコアビット32を第4ボルト埋め込み空間部25dから抜き出させる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、上述した第2−3工程乃至第2−10工程を経て、ドリル装置30によって受け枠部材3の底面を基準として受け段部6の四隅の近傍位置にそれぞれボルト埋め込み空間部25を穿孔する。グレーチング蓋4の固定工程においては、ドリル装置30を開口部2から取り外す作業を第2−10工程とする。ドリル装置30は、第2固定用ボルト51が緩められることによって受け枠部材3に対する固定状態が解除され、開口部2から取り外される。
グレーチング蓋4の固定工程においては、以下各ボルト埋め込み空間部25に連通してボルト10を受け枠部材3に貫通させるボルト孔11を穿孔するボルト孔穿孔工程(第2−12工程)乃至各ボルト10と相対する各固定金具16とを結合することによってグレーチング蓋4を開口部2に固定するグレーチング蓋固定工程(第2−17工程)が施工される。これら第2−12工程乃至第2−17工程は、上述した第1の実施の形態と同様の作業によって行われる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、上述したドリル装置30を用いて、図12に示すように受け枠部材3の受け部7の底面に沿って受け段部6の側面壁にボルト10の長さよりもやや大きい内径の断面円形のボルト埋め込み空間部25を形成する。グレーチング蓋4の固定工程においては、各ボルト埋め込み空間部25の穿孔途中で穿孔領域に存在する鉄筋5aを切断することにより、同図に示すように切断端部5a1、5a2がそれぞれボルト埋め込み空間部25に臨まされる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、上述した第1の実施の形態の工程と比較して受け段部6の側面壁に対するはつり量を大幅に低減することで側溝ブロック1の破損や機械的強度の低下を防止する。グレーチング蓋4の固定工程においては、第2−14工程のコンクリート充填工程において各ボルト埋め込み空間部25にコンクリート26を充填する。グレーチング蓋4の固定工程においては、図13に示すようにコンクリート26が充填されて補修される部分が極めて小さな部位とされる。グレーチング蓋4の固定工程においては、充填するコンクリート量も少なく、その硬化時間の短縮が図られるようになる。
グレーチング蓋4の固定工程においては、熟練者によらず受け段部6の四隅に精度の高いボルト埋め込み空間部25を効率よく形成することを可能とする。グレーチング蓋4の固定工程においては、受け枠部材3の受け部7の底面に沿って残るコンクリートを除去する追作業も不要とする。グレーチング蓋4の固定工程においては、ボルト埋め込み空間部25の形成工程が大幅に短縮化され、全体の効率化が図られる。なお、グレーチング蓋4の固定工程においても、上述した第1の実施の形態と同様にグレーチング蓋4が側溝ブロック1に対して強固に固定されることは勿論である。
上述した各実施の形態においては、側溝ブロック1に設置されたグレーチング蓋4の固定工法について説明したが、本発明はかかる工法に限定されるものでは無い。本発明は、例えば側溝ブロック1の開口部2を閉塞する側溝蓋の固定工法にも適用することも可能である。なお、側溝蓋には、グレーチング蓋4のように各アンカーボルト10に対向する開口部位が設けられていないため、ドリル装置を用いてアンカーボルト10を挿通させる貫通孔が形成される。側溝蓋は、突出されたアンカーボルト10の先端部を表面側において固定金具によって固定する。
また、本発明は、側溝ばかりでなく、集水桝の開口部を閉塞する既設の鋼製蓋についても同様に適用される。
1 側溝ブロック、2 開口部、3 受け枠部材、4 グレーチング蓋、5 鉄筋、6 受け段部、7 受け部、8 外枠フレーム部、9 桟材、10 ボルト、11 ボルト孔、15 締付けナット、16 固定金具、17 連結部、18 係合部、19 ボルト孔、20 はつり装置、21 ボルト埋め込み空間部、22 コンクリート、25 ボルト埋め込み空間部、26 コンクリート、30 ドリル装置、31 ドリル本体、32 コアビット、33 フレーム体、34 支点部材、35 ドリル支持ロッド、37 回転軸、38 チャッキング機構、40 移動操作機構、42 操作ハンドル、43 ピニオン、46 側面部、48 第1固定用ボルト、49 側面部、51 第2固定用ボルト、53 ラック