JP4202655B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャネルエッチ型薄膜トランジスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶画像表示装置(LCD:Liquid Clystal Display)は、薄型化、軽量化、省電力化が可能であるといった特徴を有しており、大型のものではノートパソコン、モニタ、テレビなどに用いられ、中型および小型のものでは携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
液晶画像表示装置は、構造上の違いから、パッシブマトリクス型とアクティブマトリクス型とに分けられる。パッシブマトリクス型は、互いに交差したストライプ状の電極から構成されるため、構造が簡単で製造コストの面で有利である。しかしながら、原理的にクロストークが発生しやすく、また、応答速度も遅いため、画質の面で問題が生じる。一方、アクティブマトリクス型は、各画素ごとにスイッチング素子が設けられているため、クロストークが少なく応答速度も速い。したがって、良好な画像を得ることができる。このため、現在では、アクティブマトリクス型が液晶画像表示装置の主流となっている。
【0004】
アクティブマトリクス型液晶画像表示装置のスイッチング素子として一般的に用いられているのは、非晶質シリコン(a−Si)で構成された半導体膜を構成要素として含む薄膜トランジスタ(以下、TFT:Thin Film Transistor と呼ぶ)である。このTFTは、構造上の違いから、チャネル保護型TFT(ChP型TFT)とチャネルエッチ型TFT(ChE型TFT)とに大きく分けられる。
【0005】
図10(a)〜(d),図11(a),(b)は、一般的な構造のチャネル保護型TFTを有する液晶画像表示装置用基板の製造方法を示す模式的な工程別断面図である。まず、図10(a)に示すように、ガラス基板1の表面全体に透明電極膜を成膜した後、フォト工程とエッチング工程とにより透明電極膜を所定形状にパターニングして画素電極2を形成する。次に、図10(b)に示すように、ガラス基板1上に金属電極膜を成膜した後、フォト工程とエッチング工程とにより金属電極膜を所定形状にパターニングしてゲート線3’およびゲート電極3を形成する。そして、図10(c)に示すように、画素電極2、ゲート線3’およびゲート電極3が形成されたガラス基板1の表面全体にゲート絶縁膜4および半導体膜5およびチャネル保護絶縁膜をこの順で連続して成膜するとともにフォト工程とエッチング工程とによりチャネル保護絶縁膜を所定形状にパターニングしてチャネル保護部6を形成する。続いて、図10(d)に示すように、半導体膜5上およびチャネル保護部6上に不純物半導体からなるコンタクト膜7を成膜するとともに、フォト工程とエッチング工程とにより画素電極2の所定領域上のゲート絶縁膜4、半導体膜5およびコンタクト膜7を除去してコンタクトホール8および開口部13を形成する。次に、図11(a)に示すように、コンタクト膜7と開口部13内およびコンタクトホール8内とに金属電極膜9を成膜し、その後、フォト工程とエッチング工程とにより、チャネル保護部6の所定領域上のコンタクト膜7および金属電極膜9と、画素電極2の所定領域上に位置する領域上の金属電極膜9、コンタクト膜7および半導体膜5を除去する。それにより、ギャップ12を形成して金属電極膜9を対向する2つの領域に分離してソース電極9aおよびドレイン電極9bを形成するとともにゲート電極3上に位置する半導体膜5の領域にチャネル領域21を形成する。このようにソース電極9aおよびドレイン電極9bを形成し、その結果としてソース電極9aとドレイン電極9bとの間に位置する半導体膜5の領域付近ににチャネル領域21を形成する。この工程はプラズマを用いたドライエッチングにより行われる。
【0006】
最後に、図11(b)に示すように、金属電極膜9上、チャネル保護部6上および露出したゲート絶縁膜4上に保護絶縁膜10を成膜し、その後、フォト工程とエッチング工程とにより画素電極2の所定領域上の保護絶縁膜10、金属電極膜9およびゲート絶縁膜4を除去して画素電極開口部11を形成する。以上のようにして、チャネル保護型TFT50を有する液晶画像表示装置用基板が得られる。
【0007】
一方、図12(a)〜(e)は、一般的な構造のチャネルエッチ型TFTを有する液晶画像表示装置用基板の製造方法を示す模式的な工程断面図である。まず、図12(a)に示すように、ガラス基板1の表面全体に金属電極膜を成膜した後、フォト工程とエッチング工程とにより金属電極膜を所定形状にパターニングしてゲート線3’およびゲート電極3を形成する。そして、図12(b)に示すように、ゲート線3’およびゲート電極3が形成されたガラス基板1の表面全体にゲート絶縁膜4、半導体膜5および不純物がドープされた半導体からなるコンタクト膜7をこの順で連続して成膜するとともに、フォト工程とエッチング工程とにより、ゲート電極3上の領域以外の領域のコンタクト膜7および半導体膜5を除去する。
【0008】
続いて、図12(c)に示すように、ゲート絶縁膜4上およびコンタクト膜7上に金属電極膜9を成膜し、その後、フォト工程とエッチング工程とによりゲート電極3上の所定領域の金属電極膜9およびコンタクト膜7、画素電極形成領域14の所定領域の金属電極膜9を除去する。このようにゲート電極3上の所定領域の金属電極膜9およびコンタクト膜7を除去しギャップ12を形成して金属電極膜9を分離することによりソース電極9aおよびドレイン電極9bを形成し、その結果としてソース電極9aとドレイン電極9bとの間に位置する半導体膜5の領域付近にチャネル領域21を形成する。この工程はプラズマを用いたドライエッチングにより行われる。
【0009】
さらに、図12(d)に示すように、前記工程が施されたガラス基板1の表面全体に保護絶縁膜10を成膜するとともに、フォト工程とエッチング工程とにより画素電極形成領域14にコンタクトホール8および開口部15を形成する。最後に、図12(e)に示すように、画素電極形成領域14の保護絶縁膜10上、コンタクトホール8内および開口部15内に透明電極膜を成膜して画素電極2を形成する。以上のようにして、チャネルエッチ型TFT51を有する液晶画像表示装置用基板が得られる。
【0010】
上記のように、チャネルエッチ型TFT51は、チャネル保護型TFT50に比べて製造時における工程数が少ない。また、チャネルエッチ型TFT51では、チャネル保護型TFT50に比べて平面視においてソース電極9aおよびドレイン電極9bとゲート電極3とが重なる領域の面積を小さくすることができ、よって、ソース電極9aとゲート電極3との間に生じる寄生容量を低減することができる。さらに、チャネル保護型TFT50では、チャネル保護部6をエッチングストッパー層として機能させるためにソース電極9aとドレイン電極9bとを分離するためのギャップ12を平面視においてチャネル保護部6内に収まるように形成しなくてはならず、よって、フォトリソグラフィにおける位置ずれ等を考慮してチャネル保護部6の面積を大きくしなくてはいけないため小型化を図るのが困難であるのに対して、チャネルエッチ型TFT51では、チャネル保護部6を形成する必要がないため小型化を図りやすい。以上のような特徴を有していることから、現在ではチャネルエッチ型TFT51がTFTの主流として用いられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的に、チャネルエッチ型TFT51の実効的なキャリアの移動度(以下、単に移動度と呼ぶ。なお、この場合においては電子がキャリアに相当する)は0.4cm2/v・s程度であり、移動度が約0.8cm2/v・sであるチャネル保護型TFT50に比べて劣っている。このため、チャネルエッチ型TFT51を用いて高い移動度が要求される大画面・高精細液晶画像表示装置を実現するのは困難である。
【0012】
チャネルエッチ型TFT51の移動度が低い要因の1つとして、前述のチャネルエッチング工程が半導体膜5のチャネル領域21へ及ぼすダメージの影響が挙げられる。チャネル保護型TFT50では、前述のチャネルエッチング工程において、チャネル保護部6がドライエッチングのストッパー層として機能するため、チャネル領域21となるチャネル保護部6下の半導体膜5の領域にエッチングのダメージが及ぶのを防止することが可能である。これに対して、チャネルエッチ型TFT51ではチャネル保護部6が形成されずに半導体膜5上に直接コンタクト膜7が形成されているため、チャネルエッチング工程においてプラズマによるドライエッチングを行うと半導体膜5のチャネル領域21にプラズマにより大きなダメージ(格子欠陥等の発生)が及んでしまう。このように半導体膜5のチャネル領域21が大きなダメージを受けると、TFT51における移動度が低下する。
【0013】
一方、ウエットエッチングによりエッチングを行ってチャネル領域を形成するチャネルエッチ型TFTにおいては、ドライエッチングを行う場合に比べてチャネル領域に与えるダメージを小さくすることができる。このため、ドライエッチングを行って形成した場合よりも高い移動度を実現することができる。
【0014】
しかしながら、ソース電極およびドレイン電極を構成する金属電極膜のうちウエットエッチングによりエッチング可能な材料はMoやCrおよびその合金等に限定されてしまう。これに対して、ドライエッチングでは幅広い構成材料に対してエッチングを行うことが可能であるため、ドライエッチングにより高い移動度を有するチャネルエッチ型TFTを形成することは有効である。
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高い移動度が実現可能なチャネルエッチ型TFTの製造方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に順に形成されたゲート絶縁膜、半導体膜およびコンタクト膜と、前記コンタクト膜上に対向するように形成された金属電極膜から構成されるソース電極およびドレイン電極とを備え、略前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する前記半導体膜の領域にチャネル領域が形成されるチャネルエッチ型構造を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、前記基板上に、順に、前記ゲート電極、ゲート絶縁膜、50nm以上100nm以下の厚さの半導体膜、20nm以上100nm以下の厚さのコンタクト膜および金属電極膜を形成し、前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成するチャネルエッチング工程が、前記コンタクト膜を覆うように形成された前記金属電極膜の所定領域をプラズマを用いたドライエッチングにより除去して前記金属電極膜を対向する2つの領域に分離することにより前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成し、前記ソース電極およびドレイン電極間に位置する前記コンタクト膜の領域の厚さを20nm以上とするソース・ドレイン電極形成エッチング工程と、前記ソース・ドレイン電極形成エッチング工程の後に残った前記ソース電極および前記ドレイン電極間に位置する前記コンタクト膜の領域を、前記ソース・ドレイン電極形成エッチング工程におけるドライエッチングのプラズマよりも小さなプラズマによりドライエッチングして除去し前記半導体膜を露出させるチャネル領域形成エッチング工程とを合わせるものである。
【0019】
かかる構成によれば、大きなプラズマ電力を用いてドライエッチングを行うソース・ドレイン電極形成エッチング工程において形成されたダメージの状態密度の大きな領域を、続くチャネル領域形成エッチング工程のドライエッチングにより除去することができる。このチャネル領域形成エッチング工程のドライエッチングは、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程よりも小さなプラズマ電力を用いて行われため、チャネル領域形成エッチング工程のドライエッチングにより半導体膜のエッチング表面に形成されたダメージ領域のダメージの状態密度は小さくなる。このため、本発明に係る製造方法によれば、薄膜トランジスタにおいてダメージ領域とチャネル領域とを近づけることが可能となり、半導体膜の薄膜化を図ることが可能となる。また、この場合においては、ダメージ領域とチャネル領域との距離を適切に保つことが可能であるため、このようにダメージ領域とチャネル領域とを近づけても閾値電圧の上昇を抑制することができる。したがって、本発明に係る製造方法によれば、閾値電圧の上昇を抑制しつつ移動度の向上が図られた薄膜トランジスタを製造することが可能となる。
【0021】
さらに、かかる構成によれば、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程において大きなダメージを受ける領域をコンタクト膜内にとどめることができ、この大きなダメージを受けた領域を、続くチャネル領域形成エッチング工程におけるドライエッチングにより除去することにより、最終的に半導体膜に形成されるダメージ領域のダメージの状態密度を低減化することが可能となる。また、半導体膜においてダメージ領域とチャネル領域との距離を適切に保つことができるため、閾値電圧の上昇を抑制しながら半導体膜の薄膜化を図り、移動度の向上を図ることが可能となる。さらに、コンタクト膜および半導体膜の厚さをこのように設定することにより、各工程のドライエッチングにおける面内のエッチング状態の均一性を図ることができるとともに容易にドライエッチングを行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る液晶画像表示装置用基板の構成を示す模式的な図であって、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib’線における断面図である。
【0027】
図1(a)に示すように、平面視において、ガラス基板1上にゲート線201(3’)とソース線202とが互いに直交するように形成されており、このゲート線200およびソース線202でマトリクス状に区画された領域が1つの画素を構成している。なお、液晶画像表示装置用基板には複数のゲート線201とソース線202とが形成されており、これらに区画されて複数の画素が形成されている。ここでは液晶画像表示装置用基板に形成された複数の画素のうちの1つの画素を抜き出して説明する。
【0028】
画素領域には画素電極2が形成されており、また、ゲート線201上に重なるように蓄積容量電極203が形成されている。ゲート電極3を含む領域には画像信号を画素に書き込むためのスイッチング素子として後述する構造を有するチャネルエッチ型TFT110が配設されており、TFT110のドレイン電極9bがコンタクトホール8を介して画素電極2に接続されるとともにTFTのソース電極9aにソース線202が接続されている。また、ゲート電極3はゲート線201に接続されている。
【0029】
図1(b)に示すように、断面視において、液晶画像表示装置用基板100では、ガラス基板1の所定領域上にゲート電極3およびゲート線3’(201)が形成されている。ここで、液晶画像表示装置用基板100において、ゲート電極3が形成され後述するようにチャネルエッチ型TFT(以下、単にTFTと呼ぶ)110が形成された領域をTFT部と呼ぶ。また、ゲート線3’が形成された領域をゲート線部と呼ぶ。さらに、このTFT部とゲート線部との間に位置し後述するように画素電極2が形成された領域を画素部と呼ぶ。
【0030】
TFT部において、ガラス基板1上およびこのガラス基板1上に形成された前記ゲート電極3上には、ゲート絶縁膜4、半導体膜5、コンタクト膜7および金属電極膜9がこの順で積層されており、所定領域の金属電極膜9から半導体膜5の所定深さまでがエッチングにより除去されてギャップ20が形成されている。この場合、ギャップ20が形成された領域を除く領域の半導体膜5の厚さt2は50nm以上100nm以下であり、コンタクト膜7の厚さt1は20nm以上100nm以下である。ギャップ20によりソース電極9aとドレイン電極9bとが分離されて対向するように形成され、その結果として略ソース電極3aとドレイン電極3bとの間に位置する半導体膜5の領域付近にチャネル領域21が形成される。また、ギャップ20の底部にあたる半導体膜5のエッチング表面(以下、この領域をバックチャネル領域と呼ぶ)にはエッチングによりダメージを受けたダメージ領域22が形成される。ソース電極9aおよびドレイン電極9bを構成する金属電極膜9表面およびギャップ20内には保護絶縁膜10が形成されている。以上のようにして、TFT110が形成されている。
【0031】
画素部では、ガラス基板1上にゲート絶縁膜4が形成され、このゲート絶縁膜4上に、開口部23を有する金属電極膜9が形成されている。金属電極膜9上および開口部23内には、コンタクトホール8および開口部24を有する保護絶縁膜10が形成されており、さらに、保護絶縁膜10上、コンタクトホール8内および開口部24内には画素電極2が形成されている。このような構成の画素部においては、コンタクトホール8を介して画素電極2がTFT110のドレイン電極9bに接続している。
【0032】
ゲート線部においては、ガラス基板1上に形成されたゲート線3’(201)を覆うようにゲート絶縁膜4が形成され、ゲート絶縁膜4の所定領域上に金属電極膜9が形成されるとともにこの金属電極膜9および露出したゲート絶縁膜4を覆うように保護絶縁膜10が形成されている。
【0033】
上記の液晶画像表示装置用基板100において、ゲート電極3およびゲート線3’を構成する金属電極膜ならびにソース電極9aおよびドレイン電極9bを構成する金属電極膜9としては、Al・Nb合金膜やMoW膜などの単層膜だけでなく、Ti膜/Al膜/Ti膜、Al・Nb合金膜/MoW膜、MoW膜/Al膜/MoW膜などの積層膜も用いられる。また、ゲート絶縁膜4は窒化ケイ素からなり、半導体膜5は非晶質シリコン(a−Si)からなり、コンタクト膜7は不純物がドープされた半導体、具体的には不純物としてリンがドープされた非晶質シリコンからなり、保護絶縁膜10は窒化ケイ素からなる。また、画素電極2を構成する透明電極膜としてはITO(インジウムスズ酸化物)膜が用いられる。
【0034】
本実施の形態の液晶画像表示装置用基板100は、以下の製造方法により製造される。
【0035】
図2(a)〜(d),図3(a),(b)は、本実施の形態の液晶画像表示装置用基板の製造方法を模式的に示す工程別断面図である。
【0036】
図2(a)に示すように、まず、ガラス基板1の表面全体に金属電極膜を成膜した後、フォト工程およびエッチング工程によりパターニングを行ってゲート電極3およびゲート線3’を形成する。次に、図2(b)に示すように、ゲート電極3およびゲート線3’が形成されたガラス基板1の表面全体に、ゲート絶縁膜4、半導体膜5およびコンタクト膜7をこの順で成膜した後、フォト工程とエッチング工程によりゲート絶縁膜4、半導体膜5およびコンタクト膜7を所定形状にパターニングする。ここで、半導体膜5の厚さt2は50nm以上100nm以下とする。また、コンタクト膜7の厚さt1は20nm以上100nm以下とする。
【0037】
なお、ゲート絶縁膜4、半導体膜5およびコンタクト膜7はいずれもPCVD装置を用いて成膜し、これらの膜4,5,7は同一成膜チャンバ内において真空状態を保持したまま連続して成膜することが望ましい。
【0038】
次に、コンタクト膜7上およびゲート絶縁膜4上に金属電極膜9を成膜する。そして、図2(c)に示すように、画素部およびゲート線部の所定領域の金属電極膜9を除去して開口部23,23’を形成する。それにより、ゲート線部に、金属電極膜9から構成される蓄積容量電極203が形成される。この蓄積容量電極203はゲート絶縁膜4を介してゲート線3’と対向しているため、ゲート線3’との間に容量が形成される。また、TFT部においては、所定領域の金属電極膜9を除去して金属電極膜9をソース線に平行な所定幅の帯状に形成し(図1(b)参照)、次に、図2(c)および図2(d)に示すよう、チャネルエッチング工程を行うことによりこの帯状の金属電極膜9にギャップ20を形成して金属電極膜9を対向する2つの領域に分離してソース電極9aとドレイン電極9bとを形成し、その結果として略ソース電極9aとドレイン電極9bとの間に位置する半導体膜5の領域にチャネル領域21を形成する。以下、このチャネルエッチング工程の詳細について説明する。
【0039】
チャネルエッチング工程においては、まず第1段階として、図2(c)に示すように、フォト工程とエッチング工程とにより、TFT部のチャネル領域形成領域の金属電極膜9からコンタクト膜7の所定深さまでを除去してギャップ20を形成する。このギャップ20により金属電極膜9を対向する2つの領域に分離してソース電極9aとドレイン電極9bとを形成する。
【0040】
ここでは、上記のようにチャネル領域形成領域の金属電極膜9およびコンタクト膜7をエッチングしてギャップ20を形成しソース電極9aとドレイン電極9bとを形成する工程を、チャネルエッチング工程のうちのソース・ドレイン電極形成エッチング工程と呼ぶ。ソース・ドレイン電極形成エッチング工程では、金属電極膜9をプラズマを用いてドライエッチングするため、エッチングの際のプラズマ電力を大きくする。このため、エッチング後に残ったコンタクト膜7は大きなダメージを受けておりダメージの状態密度が大きくなる。なお、ドライエッチングによるダメージとは、具体的には格子欠陥や不純物の注入のことをさす。
【0041】
本実施の形態においては、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程後に残るコンタクト膜7の厚さt3を20nm以上とする。このような厚さのコンタクト膜7においては、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程のドライエッチングによるダメージをコンタクト膜7内にとどめることができ、コンタクト膜7下の半導体膜5にまでエッチングのダメージが及ぶのを防止できる。
【0042】
なお、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程におけるコンタクト膜7のエッチングの深さは浅いほど好ましく、金属電極膜9のみをエッチングしてコンタクト膜7はエッチングしないのが理想的である。コンタクト膜7のエッチングの深さを浅くすることにより、より確実にコンタクト膜7内にダメージを閉じこめることができダメージが半導体膜5に及ぶのを防止することができる。
【0043】
次に、チャネルエッチング工程の第2段階として、図2(d)に示すように、チャネル領域形成領域に形成されたギャップ20内のコンタクト膜7から半導体膜5の所定深さまでをプラズマを用いたドライエッチングにより除去し、半導体膜5にチャネル領域21を形成する。このようにチャネル領域21を形成する工程を、チャネルエッチング工程のうちのチャネル領域形成エッチング工程と呼ぶ。このチャネル領域形成エッチング工程により、ダメージの状態密度が大きいコンタクト膜7を除去することができる。
【0044】
ここで、チャネル領域形成エッチング工程では、前述のソース・ドレイン電極形成エッチング工程のように金属電極膜9をエッチングする必要がないため、エッチングの際のプラズマ電力を小さくすることができる。このため、半導体膜5のバックチャネル領域が受けるダメージは小さく、よって、バックチャネル領域の表層部分に形成されたダメージ領域22のダメージの状態密度は小さくなる。
【0045】
TFT110においては、半導体膜5のゲート電極3に対向する面に沿ってチャネル領域21が形成されるが、後述するように、ダメージ領域22とこのチャネル領域21との距離が小さくなるほど閾値電圧が高くなるため、ダメージ領域22とチャネル領域21との距離は可能な限り大きい方が好ましい。よって、半導体膜5におけるエッチング深さは浅い方が好ましく、エッチングの深さを0、すなわちコンタクト膜7のみを除去して半導体膜5はエッチングしないのが理想的である。しかし、コンタクト膜7のみを除去して半導体膜5をエッチングしないようにするにはコンタクト膜7の膜厚をガラス基板1に平行な面内で均一にしかつドライエッチングのエッチングレートを前記面内で均一にしなければならないが、実際にはコンタクト膜7の膜厚およびエッチングレートは不均一となるため、半導体膜5のエッチング深さを0とするのは現実にはほぼ不可能である。
【0046】
ところで、コンタクト膜7は導電性であり、このような導電性のコンタクト膜7がTFT110のチャネル領域21に存在するとソース電極9aとドレイン電極9bとが電気的に接続されてしまう。このため、チャネル領域21のコンタクト膜7は完全に除去しなければならない。それゆえ、コンタクト膜7の膜厚やエッチングレートの不均一性に関わらずコンタクト膜7をエッチングにより確実に除去できるように、通常はコンタクト膜7が除去された後も余分にエッチングを行う(これをオーバーエッチングと呼ぶ)。このオーバーエッチングの際に半導体膜5がエッチングされる。オーバーエッチングにおける半導体膜5のエッチングの量は、コンタクト膜7の膜厚およびエッチングレートの面内ばらつき、TFT110の閾値電圧上昇の許容量等によって決まるが、前述のようにダメージ領域22とチャネル領域21との距離を大きくする点から、オーバーエッチングにおける半導体膜5のエッチング量は少ない方が好ましい。
【0047】
以上のように、本実施の形態の製造方法においては、エッチング時のプラズマ電力の大きさが異なる2段階のエッチング工程、すなわちソース・ドレイン電極形成エッチング工程とチャネル領域形成エッチング工程とから構成されるチャネルエッチング工程により半導体膜5にチャネル領域21を形成する。このような方法によれば、半導体膜5のダメージ領域22のダメージの状態密度を低減することができるとともに、ダメージ領域22とチャネル領域21との距離を適切に保つことが可能となる。
【0048】
上記のチャネルエッチング工程の後、図3(a)に示すように、金属電極膜9上、ギャップ20および開口部23,23’内に保護絶縁膜10を成膜し、フォト工程とエッチング工程により所定領域の保護絶縁膜10を除去して画素部にコンタクトホール8および開口部24を形成する。最後に、図3(b)に示すように、画素部の保護絶縁膜10上、コンタクトホール8内および開口部24内に透明電極膜を成膜し、フォト工程とエッチング工程により所定領域の透明電極膜を除去して画素電極2を形成する。以上のようにして液晶画像表示装置用基板100が製造される。
【0049】
液晶表示装置用基板100のTFT110は、上記のようにエッチングの際のプラズマ電力の大きさが異なる2段階のエッチング工程から構成されるチャネルエッチング工程を経て製造されるため、図12に示す従来のチャネルエッチ型TFT51に比べて半導体膜5のダメージ領域22におけるダメージの状態密度を低く抑えることができる。このため、ダメージ領域22とチャネル領域21とを近づけても、従来のチャネルエッチ型TFT51に比べて閾値電圧の上昇を抑制することができ、よって、半導体膜5の厚さt2を薄くすることが可能となる。このように、TFT110では、抵抗が大きい半導体膜5の厚さt2を薄くできることから、従来のチャネルエッチ型TFT51に比べて移動度の向上が図られる。以下に、本実施の形態のTFT110の効果をより詳細に説明する。
【0050】
まず、一般に、図12(e)に示す従来のチャネルエッチ型TFT51の移動度が図11(f)に示すチャネル保護型TFT50の移動度と比較して低い原因の1つには、チャネルエッチ型TFT51の半導体膜5の厚さがチャネル保護型TFT50の半導体膜5と比較して厚いことが挙げられる。例えば、通常のチャネルエッチ型TFT51の半導体膜5の厚さが200nm程度であるのに対して、チャネル保護型TFT50の半導体膜5の厚さは50nm程度である。このように半導体膜5の厚さが厚いチャネルエッチ型TFT51では、以下の理由により移動度が低くなる。
【0051】
図4は一般のチャネルエッチ型TFTの導通状態における電流経路を示す模式図である。なお、図4ではチャネルエッチ型TFTの場合の電流経路を示しているが、チャネル保護型TFTの場合の電流経路も同様である。図4の矢印で示すように、電流は、ソース電極9aからコンタクト膜7、半導体膜5を通り、半導体膜5のゲート絶縁膜4との界面付近に形成されているチャネル領域21を通った後、再び半導体膜5、コンタクト膜7を通りドレイン電極9bに抜ける。この電流経路において、チャネル領域21における抵抗をチャネル抵抗と呼び、チャネル領域21以外の半導体膜5およびコンタクト膜7における抵抗を寄生抵抗と呼ぶ。
【0052】
寄生抵抗に関して、コンタクト膜7と半導体膜5のうち、コンタクト膜7は不純物として高濃度のリンがドープされた非晶質シリコンであるため比抵抗が小さいのに対し、半導体膜5は不純物がドープされていない真性の非晶質シリコンであるため比抵抗が非常に大きい。このため、寄生抵抗の大部分は半導体膜5の抵抗で占められているといってよい。したがって、半導体膜5の厚さが厚いほど寄生抵抗が大きくなり、半導体膜5の厚さが200nm程度である従来のチャネルエッチ型TFTの寄生抵抗は半導体膜の厚さが50nm程度である従来のチャネル保護型TFTの寄生抵抗の数倍大きくなる。ここで、寄生抵抗はTFTに流れる電流を抑制する働きをもつことから、寄生抵抗の大きいチャネルエッチ型TFTでは、寄生抵抗の小さいチャネルプロテクト型TFTに比べて電流の流れが強く抑制され、その結果としてキャリア(この場合は電子)の移動度が低くなる。
【0053】
このことから、チャネルエッチ型TFTの移動度を向上させるには、半導体膜5を薄膜化して寄生抵抗を減少させる必要がある。しかしながら、単純に半導体膜5を薄膜化したのでは、TFTの閾値電圧が大幅に上昇してしまいTFTの特性が劣化するという問題が発生する。
【0054】
従来のチャネルエッチ型TFTにおいて半導体膜5を薄膜化するとTFTの閾値電圧が上昇する現象には、チャネルエッチング工程によって半導体膜5のエッチングされた表面付近(バックチャネル領域)に形成されるダメージ領域22が関係している。チャネルエッチ型TFTのバックチャネル領域は、チャネルエッチング工程において、ドライエッチング装置の基板側電極に生じる直流バイアスによって加速されたプラズマ中のイオンが打ち込まれるため物理的なダメージを受ける。一般的に、従来のチャネルエッチ型TFTでは、図12(c)に示すように、大きなプラズマ電力を用いて金属電極膜9をドライエッチングしてソース電極9aおよびドレイン電極9bを形成した後、連続してコンタクト膜7をエッチングしてチャネル領域21を形成する。ここで、基本的にドライエッチングにおけるプラズマ電力が大きければ大ききほど、基板側電極に生じる直流バイアスが大きくなり打ち込まれるイオンのエネルギーが大きくなることから、このように大きなプラズマ電力によりエッチングされて形成されたバックチャネル領域には、ダメージの状態密度が大きいダメージ領域22が形成される。
【0055】
チャネルエッチ型TFTの移動度向上を目的として半導体膜5を薄膜化すると、必然的に半導体膜5のバックチャネル領域のダメージ領域22とチャネル領域21との距離が近くなる。このようにダメージ領域22とチャネル領域21とが近づくと、TFTの閾値電圧が上昇する。特に、従来のチャネルエッチ型TFTでは前述のようにダメージ領域22のダメージの状態密度が大きいため、閾値電圧の上昇が顕著となる。
【0056】
図5は、チャネルエッチ型TFTにおいて半導体膜5のバックチャネル領域のダメージ領域22とチャネル領域21との距離を変化させた場合のTFTの閾値電圧の変化を示す図である。図5に示すように、バックチャネル領域がダメージを受けていない場合には、バックチャネル領域とチャネル領域21とを近づけても閾値電圧はほとんど変化しないが、バックチャネル領域にダメージ領域が形成された場合には、バックチャネル領域のダメージ領域とチャネル領域との距離が近づくにしたがって閾値電圧が上昇する。この場合、ダメージ領域のダメージの状態密度が大きいほど閾値電圧の上昇がより顕著となる。
【0057】
このことから、チャネルエッチ型TFTにおいて閾値電圧の上昇を抑えながら移動度を向上させるためには、半導体膜5を薄膜化するだけでなく、バックチャネル領域のダメージ領域22とチャネル領域21との距離を離し、なおかつ、バックチャネル領域のダメージ領域22のダメージの状態密度を小さくする必要がある。
【0058】
ところで、ドライエッチング時のプラズマ電力が大きいチャネルエッチング工程では、ドライエッチング時のプラズマ電力を小さくしてチャネルエッチング工程を行った場合に比べて、バックチャネル領域に与えるダメージが大きくダメージ領域22のダメージの状態密度が大きくなる。このことから、バックチャネル領域のダメージ領域22のダメージの状態密度を低減させる手段の1つとして、チャネルエッチング工程におけるプラズマ電力を小さくする方法が考えられる。しかしながら、プラズマ電力を小さくすると、副作用として金属電極膜9のエッチングレートが減少したりエッチング状態の均一性が悪化するなどの問題が生じるため、プラズマ電力を小さくするにも限度がありあまり現実的ではない。
【0059】
そこで、本実施の形態においては、バックチャネル領域のダメージ領域22のダメージの状態密度を小さくする手段として、チャネルエッチング工程を、大きなプラズマ電力で行うソース・ドレイン電極形成エッチング工程と小さなプラズマ電力で行うチャネル領域形成エッチング工程との2段階に分けて行い、かつ、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程におけるダメージをコンタクト膜7内にとどめることができるようにコンタクト膜7の厚さを設定する。
【0060】
このような本実施の形態の方法によれば、大きなプラズマ電力によりソース・ドレイン電極形成エッチング工程において形成されたダメージの状態密度の大きなコンタクト膜7の領域を小さなプラズマ電力で行うチャネル領域形成エッチング工程で除去することができるため、最終的に半導体膜5のバックチャネル領域が受けるダメージはプラズマ電力の小さなチャネル領域形成エッチング工程のダメージとなり、よって、バックチャネル領域のダメージ領域22のダメージの状態密度を小さくすることが可能となる。また、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程のプラズマ電力が大きいため、金属電極膜9のエッチングレートが減少したりエッチング状態の均一性が悪化したりするといった問題が生じることはない。
【0061】
ところで、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程によるダメージ領域の厚さはエッチング条件にもよるが20nm程度であると考えられる。このため、エッチングによるダメージをコンタクト膜7内に閉じこめるために、本実施の形態においては、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程後に残るコンタクト膜7の厚さを20nm以上とする。また、コンタクト膜7のエッチングされない領域の厚さ、すなわち成膜時における厚さを20nm以上100nm以下とする。成膜時のコンタクト膜7の厚さをこのような範囲とするのは、厚さが20nmよりも薄いとエッチングによるダメージを閉じこめることができなくなるためであり、また、100nmよりも厚いとエッチング量が増加するためエッチングレートの面内不均一性によるエッチング量のばらつきが増加するためである。
【0062】
ソース・ドレイン電極形成エッチング工程によって形成されたダメージの状態密度の大きなコンタクト膜7の領域を、続くチャネル領域形成エッチング工程において除去するためには、チャネル領域形成エッチング工程において、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程で形成されたダメージ領域の厚さ以上のエッチングを行なわなければならない。ところで、前述のように本実施の形態のTFT110においては、チャネル領域に導電性であるコンタクト膜7が存在するとソース電極9aとドレイン電極9bとが電気的に接続されてしまうため、チャネル領域のコンタクト膜7をチャネル領域形成エッチング工程において完全に除去する必要があることから、この場合においてはソース・ドレイン電極形成エッチング工程後に残った厚さ20nm以上のコンタクト膜7をチャネル領域形成エッチング工程において完全に除去する。したがって、このチャネル領域形成エッチング工程により、ソース・ドレイン電極形成エッチング工程によりコンタクト膜7内に形成された厚さ20nm程度のダメージ領域は完全は除去される。
【0063】
また、閾値電圧の上昇を抑えるためには半導体膜5においてバックチャネル領域のダメージ領域22とチャネル領域21とを出来るだけ離す必要があることから、本実施の形態においては、チャネルエッチング工程のチャネル領域形成エッチング工程における半導体膜5のエッチング量を適切に調整してダメージ領域22とチャネル領域21との距離を適切に保っている。
【0064】
本実施の形態においては、エッチングされていない領域の半導体膜5の厚さ、すなわち成膜時の半導体膜5の厚さを50nm以上100nm以下としている。成膜時の半導体膜5の厚さをこのような範囲としているのは、厚さが50nmよりも薄い場合には、チャネル形成エッチング工程において形成されたダメージ領域22とチャネル領域21とが近づきすぎるのでダメージ領域22のダメージの状態密度を小さくしても閾値電圧の上昇が大きくなるためであり、また、厚さが100nmよりも厚い場合には前述のように半導体膜5における寄生抵抗が大きくなるので移動度の向上の度合いが小さくなるためである。
【0065】
図6は、チャネルエッチ型TFTにおける半導体膜の厚さと移動度との関係を示す図である。ここでは半導体膜の厚さが50nm、100nmおよび200nmの場合について示している。なお、この場合においては、各膜厚の半導体膜を有するチャネルエッチ型TFTにおいて、チャネル長200μmの時の移動度を100%として基準値とし、この基準値に基づいて規格化した移動度を規格化移動度と呼ぶ。なお、チャネル長200μmの時の移動度を基準値としたのは、厚さが50〜200nmの範囲の半導体膜を有するチャネルエッチ型TFTにおいては、移動度が半導体膜の厚さに依存しなくなるのがチャネル長200μm付近であるためである。
【0066】
現在使用されている通常の液晶画像表示パネルに用いられているチャネルエッチ型TFTではチャネル長は4μmであり半導体膜の厚さは200nmである。そこで、チャネル長4μmの場合を見ると、半導体膜の厚さが200nmでは規格化移動度が約60%であるのに対して、厚さが100nmでは約84%であり、厚さが50nmでは約95%である。また、チャネル長が4μmよりも長い場合においても、半導体膜の厚さが薄いほど規格化移動度が高くなっている。このことから、半導体膜の厚さが薄いほど、チャネルエッチ型TFTにおいて規格化移動度が向上することが分かる。
【0067】
なお、半導体膜の厚さを50nmよりも薄くすればさらに規格化移動度は向上するが、50nmよりも半導体膜の厚さを薄くすると、前述のようにダメージ領域とチャネル領域との距離が近づきすぎるために閾値電圧の上昇を抑制することができなくなるとともに、エッチングレートの制御やエッチングレートの面内均一性を向上させる必要が生じる。このため、チャネルエッチ型TFT110の半導体膜5の厚さの下限は50nmとするのが好ましい。
【0068】
以上のように、本実施の形態のチャネルエッチ型TFT110においては、チャネルエッチング工程における半導体膜5のダメージ領域22のダメージを小さく抑えかつダメージ領域22とチャネル領域21との距離を適切に保ちつつ半導体膜5を薄膜化して寄生抵抗を抑えることができる。このため、閾値電圧の上昇を抑制しつつ高い移動度を実現することが可能となる。
【0069】
また、このようなTFT110は、チャネルエッチング工程を前述のようにエッチング時のプラズマ電力を調整して2段階に分ける点を除いて従来のチャネルエッチ型TFTの製造方法と同様の方法により製造することができるので容易に製造が可能である。
【0070】
なお、本実施の形態においては半導体膜5が非結晶質シリコンから構成される場合について説明したが、半導体膜5が多結晶質シリコンから構成されてもよい。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2に係る液晶画像表示装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0071】
図7に示すように、本実施の形態に係る液晶画像表示装置400は、液晶画像表示素子300と、液晶画像表示素子300のソース線SLおよびゲート線GLを通じて液晶画像表示素子300を駆動するソース駆動回路402およびゲート駆動回路403と、ソース駆動回路402およびゲート駆動回路403を制御する信号処理回路401とを有している。液晶画像表示素子300においては、ソース線SLとゲート線GLとでマトリクス状に区画された領域が1つの画素を構成しており、全ての画素の集合が液晶画像表示素子300の表示画面を構成している。
【0072】
図8は図7の液晶画像表示素子300の構造を示す模式的な断面図である。
【0073】
図8に示すように、液晶画像表示素子300は、実施の形態1の液晶表示装置用基板100をTFTアレイ基板100’として備えており、TFT110が液晶画像表示素子300のスイッチング素子として用いられる。このTFTアレイ基板100’に対向する対向基板101とTFTアレイ基板100’との間に液晶層200が挟持され、両基板100’,101の外側にそれぞれ偏光板210a,210bが配設されている。
【0074】
対向基板101は、ガラス基板31の内面にカラーフィルタ32、透明電極膜33および配向膜(図示せず)がこの順に積層されて構成されている。また、TFTアレイ基板100’の表面には配向膜(図示せず)が形成されている。
【0075】
液晶画像表示装置400では、信号処理回路401の制御を受けてゲート線GLを通じてゲート駆動回路403から入力されるゲート信号に応じて各画素のTFT110が順次オンし、このオン時にソース線SLを通じてソース駆動回路402から画像信号(ソース信号)が順次各画素に書き込まれる。それにより、液晶層200の液晶分子が画像信号に応じて変調され、表示画面に前記画像信号に応じた画像が表示される。
【0076】
本実施の形態の液晶画像表示装置400では、実施の形態1の液晶画像表示装置用基板100が用いられているため、TFT110において高い移動度を実現することができる。このようなTFT110により画素が駆動される液晶画像表示装置400においては、TFT110の移動度が高いのでスイッチング速度が速く高いオン電流を実現することができるため、画素への書き込み能力が高くまたその能力の均一性が高くなり、よって、大画面・高精細な液晶画像表示装置を実現することが可能となる。
[実施例]
実施の形態1のチャネルエッチ型TFT110と、図12に示す従来のチャネルエッチ型TFT51の特性の比較を行った。その結果を図9(a),(b)に示す。なお、この場合においては、TFT110のコンタクト膜7および半導体膜5の厚さt1,t2を50nmおよび70nmとし、チャネルエッチング工程のソース・ドレイン電極形成エッチング工程後に残ったコンタクト膜7の厚さt3を30nmとした。また、TFT51のコンタクト膜7および半導体膜5の厚さを20nmおよび200nmとした。
【0077】
図9(a)は各TFT110,51における印加電圧と電流との関係を対数で示したものであり、この図においてグラフAが急激な立ち上がりを示す時の印加電圧がTFT110の閾値電圧に相当し、グラフBが急激な立ち上がりを示す時の印加電圧がTFT51の閾値電圧に相当する。本実施の形態のTFT110では、バックチャネル領域のダメージ領域のダメージの状態密度が小さくなるとともにダメージ領域22とチャネル領域21とを適切に離すことができるため、半導体膜5の厚さを薄くしてもTFT51の閾値電圧と比較して閾値電圧の上昇を低く抑えることができる。このため、TFT110の特性を示すグラフBはTFT51の特性を示すグラフAから右側にわずかにずれるのみである。これに対して、図中には示していないが、従来のTFT51と同様の製造方法により製造されるが移動度を向上させるために半導体膜5の厚さをTFT110と同様に薄くしたTFTの特性をみると、このTFTにおいては半導体膜5の厚さが薄くなるためにチャネルエッチング工程において大きなダメージを受けたバックチャネル領域のダメージ領域がチャネル領域に近くなり、その結果、TFTの閾値電圧が大幅に上昇する。このため、TFTの特性を示すグラフが従来のTFT51のグラフAから大幅に右側にずれる。
【0078】
図9(b)は各TFT110,51における印加電圧と電流との関係を指数で示したものであり、この図においては電流の値が大きいほどTFTにおける移動度が高いことを示している。図に示すように、印加電圧が大きくなると、実施の形態1のTFT110は従来のTFT51に比べて電流の値が大きくなる。このことから、印加電圧が大きい場合には実施の形態1のTFT110の方が従来おTFT51に比べて移動度が高くなることがわかる。
【0079】
以上のことから、実施の形態1のTFT110では、閾値電圧の上昇を抑えながら移動の度向上が図られていることがわかった。
【0080】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、従来のチャネルエッチ型TFTの製造方法から大幅な変更なく製造が可能であり移動度の向上が図られたチャネルエッチ型TFTおよびこれを備えた液晶画像表示装置用基板ならびに液晶画像表示装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶画像表示装置用基板の構成を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)の切断線における断面図である。
【図2】図1の液晶画像表示装置用基板の製造方法を示す模式的な工程別断面図である。
【図3】図1の液晶画像表示装置用基板の製造方法を示す模式的な工程別断面図である。
【図4】チャネルエッチ型TFTの導通状態における電流経路を示す模式的な断面図である。
【図5】チャネルエッチ型TFTにおけるダメージ領域とチャネル領域との距離と閾値電圧との関係を示す図である。
【図6】チャネルエッチ型TFTにおける半導体膜(a−Si膜)の膜厚と移動度との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る液晶画像表示装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図8】図7の液晶画像表示装置を構成する液晶画像表示素子の構成を模式的に示す断面図である。
【図9】実施の形態1のTFTの特性と従来のチャネルエッチ型TFTの特性を比較した結果を示す図であり、(a)は各TFTの閾値電圧について示しており、(b)は移動度について示している。
【図10】従来のチャネル保護型TFTの製造方法を模式的に示す工程別断面図である。
【図11】従来のチャネル保護型TFTの製造方法を模式的に示す工程別断面図である。
【図12】従来のチャネルエッチ型TFTの製造方法を模式的に示す工程別断面図である。
【符号の説明】
1,31 ガラス基板
2 画素電極
3 ゲート電極
3’ ゲート線
4 ゲート絶縁膜
5 半導体膜
6 チャネル保護部
7 コンタクト膜
8 コンタクトホール
9 金属電極膜
9a ソース電極
9b ドレイン電極
10 保護絶縁膜
20 ギャップ
21 チャネル領域
22 ダメージ領域
32 カラーフィルタ
33 透明電極膜
100 液晶画像表示装置用基板
100’ TFTアレイ基板
101 対向基板
110 TFT
200 液晶層
201 ゲート線
202 ソース線
203 蓄積容量電極
210a,210b 偏光板
300 液晶画像表示素子
400 液晶画像表示装置
401 信号処理回路
402 ソース駆動回路
403 ゲート駆動回路

Claims (1)

  1. 基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に順に形成されたゲート絶縁膜、半導体膜およびコンタクト膜と、前記コンタクト膜上に対向するように形成された金属電極膜から構成されるソース電極およびドレイン電極とを備え、略前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置する前記半導体膜の領域にチャネル領域が形成されるチャネルエッチ型構造を有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
    前記基板上に、順に、前記ゲート電極、ゲート絶縁膜、50nm以上100nm以下の厚さの半導体膜、20nm以上100nm以下の厚さのコンタクト膜および金属電極膜を形成し、
    前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成するチャネルエッチング工程が、
    前記コンタクト膜を覆うように形成された前記金属電極膜の所定領域をプラズマを用いたドライエッチングにより除去して前記金属電極膜を対向する2つの領域に分離することにより前記ソース電極と前記ドレイン電極とを形成し、前記ソース電極およびドレイン電極間に位置する前記コンタクト膜の領域の厚さを20nm以上とするソース・ドレイン電極形成エッチング工程と、
    前記ソース・ドレイン電極形成エッチング工程の後に残った前記ソース電極および前記ドレイン電極間に位置する前記コンタクト膜の領域を、前記ソース・ドレイン電極形成エッチング工程におけるドライエッチングのプラズマ電力よりも小さなプラズマ電力によりドライエッチングして除去し前記半導体膜を露出させるチャネル領域形成エッチング工程とを合わせることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
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