JP4201966B2 - シーリング材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面光沢度が低くて艶のない高級なイメージの外壁材のシーリングに特に適した、目地の目立たない湿気硬化型の高耐候性艶消しシーリング材組成物、及び表面光沢度が低くて艶がなく、かつ天然のざらついた岩石を模した重厚なイメージを持った外壁材のシーリングに特に適した、目地の目立たない湿気硬化型で高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
窯業系外壁材は、防火性、施工性、外観の良さなどの点から、従来のモルタル仕上げにかわるものとして急速に普及してきており、特に1戸建て住宅において主流となりつつある。近年、外壁材の表面の光沢度を下げて艶を消した塗装をして落ち着きのある高級なイメージを持った外壁材、あるいは外壁材の表面の艶を消し、かつ砂をまぶした砂まき調装飾や岩石の凹凸を模した砂岩調装飾を施して、天然のざらついた岩石を模した重厚なイメージを持った外壁材が使われてきている。
【0003】
この表面光沢度を下げて艶を消した塗装をした外壁材の目地、あるいは表面光沢度を下げて艶を消し、かつ砂をまぶした砂まき調装飾や岩石の凹凸を模した砂岩調装飾を施して、天然のざらついた岩石を模した外壁材の目地に、(表面)光沢や艶のあるシーリング材を使用すると、外壁材よりシーリング材が浮き立って見え、目地が目立つことによって、外壁材の美的特徴を低減させ、全体として建物外壁の美観を損なってしまう。そこで、例えば特開平9−100408号公報では、加水分解性シリル基を有するプロピレンオキシド重合体に融点が10〜200℃のアミン化合物などを配合して、硬化後の表面の艶を消した室温硬化性組成物が提案されている。また特開平10−251618号公報では、シーリング材組成物中に平均粒径が100μm以上のバルーンを配合した、ざらつき感を有するシーリング材組成物が提案されている。
【0004】
最近では更に、外壁材の美的特徴などを生かす低い表面光沢あるいは艶消し砂まき調などの特性に加えて、高い耐候性やその他の諸物性を併せ持った高性能のシーリング材が要望されつつある。
高い耐候性を有するシーリング材用の樹脂としては、反応性有機ケイ素基含有オキシアルキレン重合体に不飽和アクリル系化合物などの光硬化性物質を配合した組成物が知られている(特開平5−65400号公報、特公昭62−26349号公報参照)。
しかしながら、このような光硬化性物質を含有するシーリング材組成物に艶消しのためアミン化合物などを配合すると、貯蔵中に光硬化性物質の不飽和基とアミン化合物のアミノ基が反応して、アミン化合物によるシーリング材硬化表面の艶消し効果が損なわれ、また、光硬化性物質の不飽和基による耐候性改善効果も損なわれる。
特に、光硬化性化合物として、アクリル基含有化合物を使用した場合、不飽和基とアミン化合物のアミノ基が早い時期に反応してしまい、シーリング材組成物の製造直後から艶消し効果と耐候性改善効果が損なわれる。
また、メタクリル基含有化合物を使用した場合、不飽和基とアミノ基とが徐々に反応するため、シーリング材組成物の製造直後は問題ないが、貯蔵中に反応が進行し、貯蔵後にシーリング材を使用した場合、シーリング材硬化表面の艶消し効果と耐候性改善効果が損なわれるという問題がある。
【0005】
また、シーリング材組成物にバルーンを配合する方法は、硬化後のシーリング材表面は砂をまぶしたようなざらつき感はでるものの、凹凸が大きく光の乱反射が不十分のためか、表面の光沢度がまだ高く、艶が残っており、前記の外壁材で、表面の艶を消し、かつ砂をまぶした砂まき調装飾や岩石の凹凸を模した砂岩調装飾を施して、天然のざらついた岩石を模した重厚なイメージを持った外壁材の目地のシール材として使用した場合、外壁材よりシーリング材が浮き立って見え、やはり外壁材の美的特徴を低減させ、全体として建物外壁の美観を損なってしまうという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決して、作業性、モジュラス、耐久性などのシーリング材に必要な基本性能を損なうことなく、貯蔵安定性に優れ、貯蔵後においても安定的に表面光沢度が低くて艶がなく、表面汚染がなく、耐候性に優れ、更に、硬化表面を塗装した場合に塗料密着性に優れた硬化シーリング材表面を形成しうる湿気硬化型のシーリング材組成物、及び前記特性に加え砂をまぶしたような比較的大きな凹凸のあるざらついた外観を持ち、かつ光の乱反射が十分大きくて表面光沢度が低くて艶のない硬化表面シーリング材表面を形成しうる湿気硬化型のシーリング材組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、下記成分(A)と(B)と(C)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物
【0008】
本発明は、下記成分(A)と(B)と(C)と(D)と(E)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物
(D)架橋触媒
(E)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤
【0009】
本発明は、下記成分(A)と(B)と(C)と(D)と(E)と(F)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物
(D)架橋触媒
(E)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤
(F)添加剤
【0010】
本発明は、前記成分(A)が、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン重合体、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシアルキレン重合体、及び/又は架橋性シリル基含有メタクリル変性ポリオキシアルキレン重合体である、前記の各高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
【0011】
本発明は、前記成分(B)が、分子内に二重結合を2個以上含有するエチレン性不飽和化合物である、前記の各高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
【0012】
本発明は、前記成分(C)が、第1級及び/又は第2級アミンのケチミン化合物、エナミン化合物、及び/又はアルジミン化合物である、前記の各高耐候性艶消しシーリング材組成物である。
【0013】
本発明は、前記の各高耐候性艶消しシーリング材組成物に、さらに平均粒径100μm以上のバルーンを配合してなる、高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物である。
【0014】
また本発明は、前記バルーンの平均粒径が200〜400μmであり、バルーンのシーリング材組成物中における体積濃度が10〜25vol%である、前記の高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明における(A)架橋性シリル基含有有機重合体は、分子内に、シロキサン結合を形成することによって架橋してゴム状硬化物を形成する、シリル基を1個以上含有する有機重合体であって、その主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体であり、硬化後の引張接着性、モジュラス等の物性の点からは、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシプロピレン重合体、アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体、及び/又はメタクリル変性ポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
【0016】
架橋性シリル基は、シーリング材の硬化性や硬化後の物性等の点から、分子内に1〜5個含まれるのが好ましい。
更に、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
【0017】
【化1】
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整数であり、1が最も好ましい。)
【0018】
前記の分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいビニル変性ポリオキシアルキレン重合体は、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体の存在下で、ラジカル重合開始剤の添加あるいは紫外線照射などの通常のラジカル重合方法により、1種又は2種以上のビニル系単量体を重合させる等して得ることができる(特開昭59−78223号公報、特公平2−42367号公報等が参考として挙げられるが、これらに限定されるものではない)。
ビニル系単量体としては、分子内に1個以上の重合性不飽和結合を有する化合物であって、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ベンジル、グリシジルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ベンジル、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、エトキシ化フェノールアクリレート、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、プロポキシ化ノニルフェノールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、ジンクジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ジンクジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、また、次の化学式で示される各化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【化2】
ビニル系単量体は、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体100重量部に対して、0.1〜1000重量部、更には1〜200重量部の範囲で使用するのが好ましい。
なお、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいビニル変性ポリオキシアルキレン重合体としては、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体と、前記ビニル系単量体の1種以上を重合して得られる重合体に架橋性シリル基を導入して得られる、架橋性シリル基含有ビニル系重合体とをブレンドしたものを使用することもできる。
【0020】
本発明において、(A)架橋性シリル基含有有機重合体の数平均分子量は1000以上、特に6000〜30000で分子量分布の狭いものが、硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が好適である。
【0021】
本発明において、耐候性を向上させるために使用される(B)光硬化性化合物は、光によって反応硬化する基を分子内に1個以上有する化合物であり、具体的には、例えば、分子内に架橋性シリル基を含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポリオキシアルキレン重合体の変性に使用される、前記のビニル系単量体や、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレート等の単量体やオリゴマー、又は前記化2に示す分子内に重合性不飽和基と架橋性シリル基とを有する化合物の部分加水分解縮合物、あるいはポリケイ皮酸ビニル類、アジド化樹脂等を挙げることができ、このうち耐候性を高める効果と表面汚染防止の点から、分子内に二重結合を2個以上含有するエチレン性不飽和化合物が好ましく、更に、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリル系化合物で、分子量10,000以下の単量体、オリゴマーが好ましく、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を1分子当り平均して2個以上含有するものが好ましい。
成分(B)は、硬化後の物性や耐候性などの向上のためには、(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して0.1〜100重量部、更には1〜20重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0022】
本発明における(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物は、具体的には、原料入手の容易性、貯蔵安定性、水との反応性などの点から、第1級及び/又は第2級アミンのケチミン化合物、エナミン化合物、及び/又はアルジミン化合物を好適に例示することができる。これらのケチミン化合物、エナミン化合物、アルジミン化合物はそれぞれ、ケトン類あるいはアルデヒド類と第1級及び/又は第2級アミンとの脱水反応により得ることができる。
このケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、プロピオフェノン、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類、アセト酢酸エチル等のβ−ジカルボニル化合物等が挙げられ、アルデヒド類としては、例えば、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記と同様の点から、このうち4−メチル−2−ペンタノンが好ましい。
第1級及び/又は第2級アミンは融点が35℃以上のもの或いは分子内に1個以上の窒素原子と2個以上の窒素原子結合活性水素を含有するものが、本発明のシーリング材の硬化物の表面光沢度を低下させ、表面艶消し能力が大きいため、表面艶消しをした外壁材のシーリングに使用すると、シーリングの目地が目立たず、外壁材の特徴的美観を損なわないので好ましい。
第1級アミンとしては、モノアミンとして、ブチルアミン、ヘキシルアミン、へプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、トリメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリンなどを挙げることができ、ジアミンとして、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノへプタン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、1,21−ジアミノヘンティコサン、1,22−ジアミノドコサン、1,23−ジアミノトリコサン、1,24−ジアミノテトラコサン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロへキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミンなどを挙げることができ、ポリアミンとして、トリ(メチルアミノ)へキサンなどを挙げることができる。第2級アミンとしては、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、メチルラウリルアミンなどのモノアミン、N,N′−ジラウリルプロピルアミン、N,N′−ジステアリルブチルアミン、N−ブチル−N′−ラウリルエチルアミン、N−ブチル−N′−ラウリルプロピルアミン、N−ラウリル−N′−ステアリルブチルアミンなどのジアミンを挙げることができる。その他のアミンとしては、N−ラウリルプロピレンジアミン、N−ステアリルプロピレンジアミンなどを挙げることができる。第1級、第2級混合ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノプロピルアミンなどを挙げることができる。これらのうちで、特に第1級アミンのステアリルアミンとヘキサメチレンジアミンが好ましい。融点が35℃未満のものは、耐熱性、特に夏期の高温で軟化しやすく、融点が100℃を越えるものはシーリング材表面が固く、脆くなりやすく、シーリング材の基本特性である弾性を損ねやすいので、第1級及び/又は第2級アミンは融点が35℃以上、特に40〜100℃のものが好ましい。
成分(C)は、シーリング材の硬化表面の艶、光沢を顕著に低く抑えるためには、水と反応して生成する第1級及び/又は第2級アミンが(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して0.1〜20重量部、特に0.5〜10重量部となる量使用するのが好ましい。
水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物と光硬化性化合物とを使用すると、シーリング材硬化後の表面のべたつきをなくし、埃などの付着による汚染を防止する効果もある。
【0023】
本発明における(D)架橋触媒は前記架橋性シリル基含有有機重合体を架橋(硬化)させるための触媒であり、具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられるが、架橋速度にすぐれた有機錫化合物が好ましい。この有機錫化合物は具体的には、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート等であるが、このうち高い架橋速度、毒性及び輝発性の比較的低い液体である点から、ジブチル錫ジアセチルアセトナートが最も好ましい。
成分(D)は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
【0024】
本発明における(E)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤は、硬化シーリング材の酸化や光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用されるものであり、具体的には、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられ、これらから選ばれる1種あるいは2種以上を組み合せて使用される。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサン−tert−ブチル−4−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
成分(E)は、硬化シーリング材の耐候性の改善のためには、(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
【0025】
本発明の高耐候性艶消しシーリング材組成物には更に、カップリング剤、可塑剤、充填剤、揺変剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤、必要に応じてラジカル重合開始剤等の(F)添加剤を配合して使用することができる。これらのうち、カップリング剤、揺変剤、可塑剤及び/又は充填剤は、接着性向上、ベースポリマーの増量、補強、だれ防止等のために、本発明において併用するのが好ましい。
【0026】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などのものを挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤が接着性に優れているので好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルメトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物を挙げることができる。
【0027】
揺変剤としては、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤が挙げられ、揺変剤兼充填剤として脂肪酸処理炭酸カルシウム等が挙げられ、このうち脂肪酸処理炭酸カルシウムが好ましい。
【0028】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類が好ましく、そのほか、脂肪族二塩基酸エステル類、グリコールエステル類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、エポキシ可塑剤類、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル類、ポリスチレン類などを挙げることができる。
【0029】
充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、珪藻土等が挙げられ、粒径1〜100μmのものが好ましく、このうち炭酸カルシウムが更に好ましい。
【0030】
ラジカル重合開始剤としては、成分(B)を重合させるための過酸化物やアゾ化合物などであり、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル、ジイソプロピルパーオキシ−ジカーボネートなどが挙げられ、必要に応じて使用される。
【0031】
これらの成分(F)の配合量は、(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して0〜800重量部、特に0〜400重量部の範囲が好ましい。添加剤のうちカップリング剤、揺変剤、可塑剤及び/又は充填剤は、(A)架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して0〜800重量部、特に100〜400重量部の範囲が好ましい。
【0032】
本発明において、硬化後のシーリング材表面に表面光沢度が低くて艶がなく、かつ砂をまぶしたような比較的大きな凹凸のあるざらついた外観を与えるために、さらにバルーンが用いられる。バルーンと、前記の光硬化性化合物と、水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物とを使用することにより、硬化後のシーリング材表面の艶消しと凹凸付与という外観的特性を与えるだけでなく、シーリング材組成物の作業性(押出し性)の悪化を防止することができる。このバルーンとしては、内部が中空で平均粒径が100μm以上、好ましくは200〜400μmのものが使用される。バルーンの平均粒径が100μm未満では、多量に配合しても組成物の粘度を上昇させるだけで、ざらつき感が発現されない。また、400μmを超えると、作業性、モジュラス、耐久性などの物性が悪くなる。
【0033】
バルーンの材料としては、ガラス、シラス、シリカなどの無機系の材料、及びフェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、サランなどの有機系の材料が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、無機系の材料と有機系の材料とを複合させたり、また、積層して複数層を形成させたものであってもよい。また、バルーンは同一材料のバルーンを使用しても、異種の材料のバルーンを複数種類混合して使用しても差し支えない。さらに、バルーンはその表面を加工ないしコーティングしたものを使用することもできるし、またその表面を各種の表面処理剤で処理したものを使用することもできる。具体的には、例えば有機系のバルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたり、無機系のバルーンをシランカップリング剤で表面処理したものが挙げられる。本発明におけるバルーンとしては、低い比重と高い強度の点から、無機系バルーン、特にセラミックバルーンが好ましい。
【0034】
また、バルーンは、シーリング材組成物中において、下記のバルーン体積濃度で表して10〜25vol%、特に15〜25vol%の範囲となる割合で配合することが好ましい。バルーンの体積濃度が10vol%未満であるとざらつき感が低く、また、25vol%を超えると、シーリング材組成物の粘度が高くなり作業性が悪化しやすく、硬化物のモジュラスも高くなり、シーリング材の基本性能が損なわれやすい。
【0035】
【数1】
【0036】
本発明のシーリング材組成物において、前記各成分はそれぞれ1種類又は2種以上を混合して配合することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明する。
合成例1
加熱装置及びエステル管付き攪拌容器に、加熱溶解したステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)を500g入れた後、攪拌しながら4−メチル−2−ペンタノン(MW=100.2)を203g加えた。この中に更にトルエン130gを加えたのち加温して110〜150℃で3時間攪拌を続けて、エステル管により水29.9gを脱水した。次いで減圧して、過剰の4−メチル−2−ペンタノン及びトルエンを除去して、ステアリルアミンのケチミン化合物を得た。このケチミン化合物は常温で半透明の液体であった。
【0038】
実施例1
加熱装置付き混練容器に、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体(鐘淵化学工業(株)製、MSポリマーMSX911)200g、ビニルトリメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS210)10g、ジオクチルフタレート130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)4g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、カルファイン200M)250g、脂肪酸アマイド(花王(株)製、脂肪酸アマイドS)9gを仕込み、攪拌して、内容物が均一になるまで混合、分散した。その後110℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後、トリメチロールプロパントリメタクリレート(日本化薬(株)製、SR−350)10g、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成(株)製、ネオスタンU−220)2g、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS310)2g、合成例1で得たステアリルアミンのケチミン化合物12gを添加し、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
【0039】
実施例2
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりにペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−450)を使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0040】
実施例3
実施例1において、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体の代わりに、架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体(旭硝子(株)製、ES−S3630)を使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0041】
実施例4
実施例2において、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体の代わりに、架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体(旭硝子(株)製、ES−S3630)を使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0042】
比較例1
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートを使用しないで、かつステアリルアミンのケチミン化合物12gの代わりに、ステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)10gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0043】
比較例2
実施例1において、ステアリルアミンのケチミン化合物12gの代わりに、ステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)10gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0044】
比較例3
実施例2において、ステアリルアミンのケチミン化合物12gの代わりに、ステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)10gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0045】
比較例4
実施例3において、ステアリルアミンのケチミン化合物12gの代わりに、ステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)10gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0046】
比較例5
実施例4において、ステアリルアミンのケチミン化合物12gの代わりに、ステアリルアミン(花王(株)製、ファーミン80、アミン価207)10gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0047】
合成例2
加熱装置及びエステル管付き攪拌容器に、加熱溶解したヘキサメチレンジアミン(MW=116)を116g入れた後、攪拌しながら4−メチル−2−ペンタノン(MW=100.2)を280g加えた。この中に更にトルエン80gを加えた後、加温して110〜150℃で3時間攪拌を続けて、エステル管により水36gを脱水した。次いで減圧して、過剰の4−メチル−2−ペンタノン及びトルエンを除去して、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物を得た。このケチミン化合物は常温で半透明の液体であった。
【0048】
実施例5
加熱装置付き混練容器に、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体(鐘淵化学工業(株)製、MSX911)200g、ビニルトリメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS210)10g、ジオクチルフタレート130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)4g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、カルファイン200M)250g、脂肪酸アマイド(花王(株)製、脂肪酸アマイドS)9gを仕込み、攪拌して、内容物が均一になるまで混合、分散した。その後110℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後、ポリエステルアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−8060、3官能以上)8g、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成(株)製、ネオスタンU−220)2g、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS310)3g、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3gを添加し、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
【0049】
実施例6
実施例5において、ポリエステルアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−8060、3官能以上)を9.2g使用し、また、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物を3.1g使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0050】
実施例7
加熱装置付き混練容器に、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体(鐘淵化学工業(株)製、MSX911)200g、ビニルトリメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS210)10g、ジオクチルフタレート130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリストールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)4g、脂肪酸(表面)処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、カルファイン200M)250g、脂肪酸アマイド(花王(株)製、脂肪酸アマイドS)9gを仕込み、攪拌して、内容物が均一になるまで混合、分散した。その後110℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後、ポリエステルアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−8060、3官能以上)8g、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成(株)製、ネオスタンU−220)2g、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(チッソ(株)製、サイラエースS310)3g、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3g、セラミックバルーン(太平洋セメント(株)製、E−SPHERES SL350、平均粒径250μm)75gを添加し、攪拌、混合してシーリング材組成物を調製した。
【0051】
実施例8
実施例7において、ポリエステルアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−8060、3官能以上)を9.2g使用し、また、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物を3.1g使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0052】
比較例6
実施例5において、ポリエステルアクリレートとヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物を使用しない以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0053】
比較例7
実施例5において、ポリエステルアクリレートを使用しないで、かつヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3gの代わりに、ヘキサメチレンジアミン2gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0054】
比較例8
実施例5において、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3gの代わりに、ヘキサメチレンジアミン2gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0055】
比較例9
実施例7において、ポリエステルアクリレートとヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物を使用しない以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0056】
比較例10
実施例7において、ポリエステルアクリレートを使用しないで、かつヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3gの代わりに、ヘキサメチレンジアミン2gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0057】
比較例11
実施例7において、ヘキサメチレンジアミンのケチミン化合物4.3gの代わりに、ヘキサメチレンジアミン2gを使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0058】
〔性能試験〕
(1)表面特性
得られた(製造直後及び50℃で10日間保存後の)シーリング材組成物をシート状に硬化させ、23℃、50%相対湿度で7日間養生させて、厚み5mmのシートを作製した。
このシートの表面の平滑性と艶を目視によりそして表面のベタツキを指触により判定し、表面光沢度は60度鏡面光沢度計を使用して測定した。なお、表面光沢度の数値が小さいほど光の反射率が低く、表面の艶が低下していることを示す。
耐候性はJIS K6266:1996に準じてサンシャインウエザオメーターを用いて1000時間後、2000時間後、3000時間後、5000時間後、7000時間後のシーリング材の表面の状態を目視により判定した。
判定基準:
○;シーリング材表面にヘアクラックなし
×;シーリング材表面にヘアクラック多数あり
(2)押出し性
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して測定した(測定温度23℃)。
(3)スランプ
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」に準拠して、スランプ(縦)を測定した(測定温度23℃)。
(4)引張接着性
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21引張接着性試験」に準拠して試験した(試験温度23℃)。
なお、試験体は、スレートをプライマー(OP2531、オート化学工業(株)製)で処理しシーリング材組成物を打設し、打設後の試験体を23℃、50%相対湿度で14日間、30℃で14日間養生して作製した。
(5)モジュラス
50%引張応力(M50)の値が24未満のものを○、24以上のものを×と評価した。
(6)上塗り塗料の付着性
厚さ5mmのスレート板を使用し、深さ5mm、幅70mm、長さ150mmの空間を作り、そこにシーリング材組成物を打設し、余分のシーリング材をヘラでかきとり、表面を平らにしたものを、23℃、50%相対湿度で3日間養生した。次いで養生後のシーリング材表面に水性アクリル系塗料(日本ペイント(株)製、タイルラック 水性トップスーパーホワイト)を塗布して、上記温湿度で更に14日間養生して試験体を作製した。
養生後の試験体をJIS K5400:1990「塗料一般試験方法」の「8.5付着性、基盤目テープ法」に準拠して、すきま間隔2mm、ます目の数25で上塗り塗料の付着性を測定した。
分子の数値が大きいほど塗料の付着性が良いことを示す。
(7)汚染性
厚さ5mmのスレート板を使用し、深さ5mm、幅25mm、長さ150mmの目地を作製し、その目地にシーリング材組成物を打設し、余分のシーリング材をヘラでかきとり、表面を平らにしたものを、23℃、50%相対湿度で3日間養生し試験体を作製した。
養生後の試験体の表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)をふりかけ、直ちに試験体を裏返し、底面を手で軽く叩き余分の黒色珪砂を落とした。表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、養生後の汚染性を判定した。
別の養生後の試験体を70℃の恒温器中に入れ、1日、2日、5日間加熱処理した後、恒温器より取り出し、同様に黒色珪砂をふりかけ汚染性を判定した。
別の養生後の試験体を屋外に6ヶ月間暴露したものを同様に黒色珪砂をふりかけ汚染性を判定した。
判定基準
○:シーリング材の硬化表面に黒色珪砂の付着がなくきれいな状態
×:シーリング材の硬化表面に黒色珪砂が多量に付着し黒く汚れた状態
以上の各性能の測定結果等を原料組成と共に表1、2、3及び4にまとめて示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のシーリング材組成物は、作業性、モジュラス、耐久性などのシーリング材に必要な基本性能を損なうことなく、貯蔵安定性に優れ、耐候性が著しく高く、表面光沢度が低く艶と表面汚染がない、更に、硬化表面を塗装した場合に塗料密着性に優れた硬化シーリング材表面を又は前記特性に加え硬化表面に凹凸のざらつき感がある硬化シーリング材表面を組成物貯蔵後においても安定的に形成することができるため、特に、表面光沢度の低い外壁材のシーリング又は表面光沢度が低くかつ天然のざらついた岩石を模した外壁材のシーリングに使用すると、シーリング材の目地が目立たず、外壁材の特徴的な美観を低減させないし、また、作業性、モジュラス、耐久性などの諸性能も併せ持っている。そのため、本発明によりはじめて、シーリング材としての基本性能を損なうことなく、全体として落ち着きのある高級なイメージを持つ建物外壁を形成することのできる高耐候性艶消しシーリング材組成物及び高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物を提供することが可能になった。
また、本発明の高耐候性艶消しシーリング材組成物及び高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物は、高耐候性と艶消しあるいはそれに加えて凹凸表面形成を要求される場所であれば、前記の窯業系外壁材の目地だけでなく、その他各種建築物用、自動車用、土木用等の各種の防水シーリング用としても使用することができる。
Claims (8)
- 下記成分(A)と(B)と(C)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物 - 下記成分(A)と(B)と(C)と(D)と(E)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物
(D)架橋触媒
(E)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤 - 下記成分(A)と(B)と(C)と(D)と(E)と(F)とからなること、を特徴とする高耐候性艶消しシーリング材組成物。
(A)主鎖が、オルガノシロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重合体である、架橋性シリル基含有有機重合体
(B)光硬化性化合物
(C)水と反応して第1級及び/又は第2級アミンを生成する化合物
(D)架橋触媒
(E)酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤
(F)添加剤 - 前記成分(A)が、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン重合体、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシアルキレン重合体、及び/又は架橋性シリル基含有メタクリル変性ポリオキシアルキレン重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高耐候性艶消しシーリング材組成物。
- 前記成分(B)が、分子内に二重結合を2個以上含有するエチレン性不飽和化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高耐候性艶消しシーリング材組成物。
- 前記成分(C)が、第1級及び/又は第2級アミンのケチミン化合物、エナミン化合物、及び/又はアルジミン化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高耐候性艶消しシーリング材組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高耐候性艶消しシーリング材組成物に、さらに平均粒径100μm以上のバルーンを配合してなる、高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物。
- 前記バルーンの平均粒径が200〜400μmであり、バルーンのシーリング材組成物中における体積濃度が10〜25vol%である、請求項7に記載の高耐候性の凹凸表面形成性艶消しシーリング材組成物。
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