JP4200540B2 - ラセミ1−アリールアルキルアミン類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性1−アリールアルキルアミン類のラセミ化によるラセミ1−アリールアルキルアミン類の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
不斉炭素を有する化合物において、一方の光学活性体が他方の光学活性体に比べて高活性を示す場合は多く、特に医農薬等においては、このような高活性な一方の光学活性体が使用されることが多い。このような光学活性体は、通常そのラセミ体を光学分割して製造され、有用な一方の光学活性体を分離した残りの他方の光学活性体は、ラセミ化されて再利用される。
【0003】
例えば、光学活性1−アリールアルキルアミン類は、医薬の中間体や光学活性カルボン酸の光学分割剤として有用な化合物であることが知られており(特表平7−506380号公報、WO95/32948号公報、特開昭56−26848号公報等)、その代表的な化合物である1−(3−メトキシフェニル)エチルアミンの光学活性体は、そのラセミ体を光学活性マンデル酸で光学分割する方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,66,3414(1993))により製造することが知られている。この場合にも上記したように、有用な一方の光学活性体を分離した残りの対掌体をラセミ化して再利用することが工業上の大きな課題となっている。
【0004】
従来より、光学活性体のラセミ化によるラセミ1−アリールアルキルアミン類の製造方法としては、例えば光学活性1−アリールアルキルアミン類に、ナトリウムナフタレンを作用させる方法(特公昭57−35700号公報)、ナトリウムアミドまたは水素化ナトリウムを作用させる方法(特公昭57−61020号公報)、アルミナ坦持のナトリウムを作用させる方法(特公昭57−35701号公報)、ジメチルスルホキシド中でアルカリ金属アルコキシドを作用させる方法(特開平4−275258号公報)等が知られている。
【0005】
しかしながら上記公知方法は触媒量が多い、収率が低い、触媒の調製方法が特殊であり特殊な設備を要する、高価な溶媒であるジメチルスルホキシドを大量に用いる必要がある等工業的に実施するには必ずしも十分なものとは言い難いものであった。また光学活性α−(アルコキシ置換フェニル)アルキルアミンにこれらのラセミ化方法を適用した場合、ラセミ化反応は全く進行しないか、進行する場合であっても多量の触媒を必要とし、必ずしも満足する収率とは言い難いものであった。
【0006】
また、光学活性1−アリールアルキルアミン類をアリールアルデヒド類と反応させ、一度アリールアルデヒド類とのシッフ塩基に導いた後、強塩基を作用させることによるラセミ−1−アリールアルキルアミン類の製造方法(特開平8−27073号公報)も提案されているが、この方法は工程が多く、ラセミ1−アリールアルキルアミン類の工業的製造法としては必ずしも有利な方法とは言い難いものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者は光学活性1−アリールアルキルアミン類のラセミ化反応について鋭意検討を重ねた結果、光学活性1−アリールアルキルアミン類にアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドを作用させることにより非常に効率よくラセミ化反応が進行することを見出し本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、一般式(1)
(式中、Rは低級アルキル基を示し、Arは低級アルコキシ基で置換されたアリール基を示す。*印は不斉炭素原子であることを示す。)
で示される光学活性1−アリールアルキルアミン類にアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドを作用させることを特徴とする一般式(2)
(式中、RおよびArは前記と同じ意味を表わす。)
で示されるラセミ1−アリールアルキルアミン類の製造法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で光学活性1−アリールアルキルアミン類(1)にアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドを作用させるとは、光学活性1−アリールアルキルアミン類(1)とアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドが接触すればよく、その手段・方法は特に限定されるものではなく、例えば両者を混合する方法等が挙げられる。両者を混合する方法において必ずしも攪拌は必要ではないが、反応速度の観点からは攪拌する方が好ましい。
【0010】
本発明で用いられる一般式(1)で示される光学活性1−アリールアルキルアミン類において、Rとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等の低級アルキル基を挙げることができる。
【0011】
また、Arとしてはフェニル基、ナフチル基等の芳香環にメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ等の低級アルコキシ基が置換したものを挙げることができる。
【0012】
かかる光学活性1−アリールアルキルアミン類(1)の具体例としては、1−(2−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,3−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,5−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,6−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,3,4−トリメトキシフェニル)エチルアミン、1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エチルアミン、1−(2,3,5−トリメトキシフェニル)エチルアミン等が挙げられる。
【0013】
これら光学活性1−アリールアルキルアミン類(1)はR体、S体およびこれらの一方が過剰である混合物のいずれでも本発明のラセミ化反応に用いることができる。
かかる光学活性1−アリールアルキルアミン類(1)はそのまま用いても良いし、溶媒に溶解して溶液として用いてもよい。溶媒としては反応を阻害しないものなら特に限定されず用いることができ、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が好ましく用いられる。
【0014】
本発明で用いられるアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドとしては、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等が挙げられ、好ましくはカリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドが用いられる。その使用量は、光学活性1−アリールアルキルアミン類に対して、通常1/1000〜1/2モル倍、好ましくは1/500〜1/5モル倍である。かかるアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドは通常前述した溶媒に溶かして溶液として用いられる。
またアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法に準じて調製したものを用いてもよい。
【0015】
本発明の反応温度、反応時間はアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドの種類、量等により異なるが、反応温度は通常、常温〜200℃、好ましくは50〜150℃である。反応時間については、反応マスの一部を採取し、旋光度を測定するか高速液体クロマトグラフィーにより分析する等の方法により反応の進行を追跡して、適宜決めることができる。
【0016】
反応終了後、通常反応マスに水を加えてアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドを分解した後、水層を分液して得られる油層について、例えば、軽沸分を留去して留去残分を得る方法;蒸留する方法;カラムクロマトグラフィー等で精製する方法;塩酸等の酸を加えて、ラセミ1−アリールアルキルアミン類を塩とした後、分液、濾過等の手段により該塩を取り出し、該塩をアルカリ処理する方法等の操作を施すことによりラセミ1−アリールアルキルアミン類(2)を単離することができる。なお、目的生成物であるラセミ1−アリールアルキルアミン類(2)の水層へのロスを抑える観点から、水の代わりに食塩水を加えてアルカリ金属ビス(トリメチルシリル)アミドを分解してもよいし、トルエン、ヘプタン、ジエチルエーテル等の溶媒を添加して分解処理してもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、光学活性1−アリールアルキルアミン類を工業的に有利に1−アリールアルキルアミン類のラセミ体に変換することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、光学異性体比(S体/R体)はいずれも光学活性カラムを用いる高速液体クロマトグラフ分析により求めた。
【0019】
(実施例1)
(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン(S体/R体=99.8/0.2)60.4gにカリウムビス(トリメチルシリル)アミドのトルエン溶液(濃度0.5M)8mlを室温で加え、100℃まで昇温後、同温度で30分間攪拌・保温した。室温まで冷却後、反応マスにトルエン100gを加えた後、飽和食塩水20gで洗浄処理した。洗浄処理後のマスから軽沸分を減圧下に留去して、1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン60.0gを得た。光学異性体比はS体/R体=51.6/48.4であった。
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