JP4199384B2 - オレフィン変性ポリオール及びその製造方法 - Google Patents

オレフィン変性ポリオール及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン変性ポリオール、及びその製造方法に関する。詳しくは、ポリウレタン樹脂の主原料として用い得る、オレフィン構造を含有したポリオール、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂とオレフィン系エラストマーから得られる成形品に対する塗膜密着性の向上、或いは、ポリウレタンとポリオレフィンとの接着性を改良する等の目的で、エチレン性酸無水物をグラフト重合した酸変性オレフィン重合体とポリオキシアルキレン鎖を有するポリオール、或いは、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸、又はその無水物と、分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物とで変性して成る変性ポリオレフィン重合体が提案されている。
【0003】
例えば、特開平8−259744号公報には、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体からなる樹脂用改質剤(C)において、ブロック(A)は、ポリオレフィン鎖であり、ブロック(B)はポリオキシアルキレン鎖、またはポリエポキシドと、アミンまたはジオールとの反応生成物を構成単位とする重合体が例示されている。該公報において、低分子量ポリエチレンに無水マレイン酸を反応させた無水マレイン酸変性ポリエチレンとポリオキシプロピレン化グリセリンとのブロック共重合体(実施例3)をエチレン−プロピレンブロック共重合体、及びエチレン−プロピレンゴムに添加することにより、塗膜密着性、塗膜品の外観等が良好になることが記載されている(実施例7)。しかし、該公報では、酸変性オレフィン重合体と、ポリオキシアルキレンポリオール、或いは、酸変性オレフィン重合体と、ポリエポキシド化合物とアミン、又はジオールとの反応生成物とのブロック重合体における両成分の混合比が不明である上、使用する酸変性オレフィン重合体の粘度、分子量分布等の性状に関しては、何ら記載されていない。本発明者らが調べた結果、用いる酸変性オレフィン重合体の組成によっては、本発明者らが目的とするオレフィン変性ポリオールが得られないことがわかった。更に、実施例3における酸変性オレフィン重合体とポリオキシアルキレンポリオールとの仕込量、及び、反応条件では、得られた重合体の酸価が、本発明者らの目的とする値より高くなり、ポリウレタンの原料として用い得るには、十分でないことがわかった。
【0004】
又、特公昭63−36603号公報には、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸、又はその無水物と、分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物と、及び場合により、ポリオール化合物の脂肪酸エステルとで変性して成る変性ポリオレフィンが開示されている。分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物としては、該公報の2頁、カラム3、21行〜44行に記載されている。該公報における各変性成分の割合、特に、ポリオレフィンとポリオール化合物に関しては、ポリオレフィン100重量部に対して、ポリオール化合物が0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である(2頁、第4欄、44行〜3頁、第5欄、7行)ことが記載されている。このような割合だと、室温で固体となり、液状にするためには、ポリオレフィンの融点近傍まで温度を上げる必要があるため、本発明者らが目的とするポリウレタンの主原料として用い得ることは困難である。
【0005】
更に、特公平1−50246号公報には、ポリオレフィン、無水マレイン酸とポリオールを反応させて得られる無水マレイン酸のポリオールエステル、およびラジカル発生剤を溶融状態で混練押出したオレフィングラフト変性物の製造方法が開示されている。更に、該公報では、未反応の遊離マレイン酸を少なくするために、1級水酸基を末端とするポリオールの使用が好適であると記載されている(2頁、第4欄、41行〜3頁、第5欄、1行)。しかし、該公報で用いているポリオールは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン等の低分子量の活性水素化合物であるため、該公報記載の製造方法で得られた変性物は、室温で固体である。その上、成形用押出機、又は二軸(多軸)混練押出機を使用して製造しなければならないため、操作が煩雑となる。
【0006】
従って、ポリオレフィン構造の特長を活かしながら、従来のポリウレタンの製造方法に適用し得る、ポリオレフィン構造を含有したオレフィン変性ポリオール、及び、効率的な該ポリオールの製造方法が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた機械物性を有するポリウレタンを与えるオレフィン変性ポリオール、及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和カルボン酸誘導体をグラフトした酸変性オレフィン重合体と、活性水素基含有化合物を混合し、次いで、エポキサイド化合物を付加重合することにより、オレフィン重合体中のカルボン酸残渣の指標となる酸価を特定値以下に制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の第1発明は、数平均分子量300〜10000のオレフィン重合体(a−1)100重量部に不飽和カルボン酸誘導体(a−2)0.2〜50重量部をグラフト重合した酸変性オレフィン重合体(a)、及び、活性水素化合物(b−1)、及び、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)の混合物(c)に対して、エポキサイド化合物(d)を付加重合したオレフィン変性ポリオールであって、酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量が2〜70重量%、水酸基価が2〜600mgKOH/g、酸価が0.1mgKOH/g以下であることを特徴とするオレフィン変性ポリオールである。
【0010】
第1発明におけるオレフィン変性ポリオールにおいて、上記エポキサイド化合物(d)を付加重合した後の、酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して、5〜50重量%であることが好ましい。第1発明におけるオレフィン変性ポリオールの好ましい性状としては、酸価が0.07mgKOH/g以下である。
更に、オレフィン重合体(a−1)が、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンから構成されるエチレン・α−オレフィンの共重合体であり、α−オレフィンが、共重合体に対して、20〜80モル%である化合物であることが好ましい。又、オレフィン重合体(a−1)の好ましい性状は、極限粘度[η]が0.01〜0.3dl/gであり、且つ、分子量分布指数(Mw/Mn)が1〜4である。又、酸変性オレフィン重合体(a)中の不飽和カルボン酸誘導体(a−2)が、不飽和カルボン酸、その無水物、及び不飽和カルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0011】
本発明の第2発明は、前記第1発明に係わるオレフィン変性ポリオールを製造する方法であって、(1)150〜210℃において、数平均分子量300〜10000のオレフィン重合体(a−1)100重量部当たり、不飽和カルボン酸誘導体(a−2)0.2〜50重量部をグラフト重合して酸変性オレフィン重合体(a)を製造する工程、(2)塩基性化合物触媒の存在下、15〜160℃において、酸変性オレフィン重合体(a)5〜95重量%、並びに、活性水素化合物(b−1)及び活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)95〜5重量%との混合物(c)100重量部に対して、エポキサイド化合物(d)35〜5000重量部を付加重合する工程、を含むことを特徴とするオレフィン変性ポリオールの製造方法である。
【0012】
第2発明の好ましい方法として、エポキサイド化合物の付加重合触媒である塩基性化合物が、P=N結合を有する化合物を用いる方法である。前記P=N結合を有する化合物として、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及び、ホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いる方法が更に好ましい。
【0013】
上記第1発明により提供されるオレフィン変性ポリオールは、ポリオレフィン構造を含有した、特定の性状を有するポリオールであって、従来のポリウレタンの製造方法に適用可能であり、特に、ポリウレタンエラストマー分野に用いた場合、その機械物性の改良等に優れた性能を示す。更に、酸変性オレフィン重合体と、活性水素基含有化合物との混合物に、塩基性化合物を触媒として、エポキサイド化合物を付加重合することにより、既存の製造設備を使用して、効率良くオレフィン変性ポリオールが製造できる。
従って、本発明に係わるオレフィン変性ポリオールは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤、床材、防水材、シーリング材、靴底、エラストマー等のポリウレタン分野のみならず、潤滑油、樹脂改質剤等の幅広い分野において、使用し得る極めて有用な資材である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明で使用するオレフィン重合体(a−1)について説明する。オレフィン重合体(a−1)としては、オレフィンの単独重合体、又は共重合体であって、数平均分子量が300〜10000の範囲の重合体である。実質的に無色透明であり、液状のものが好ましい。
【0015】
オレフィン重合体を構成するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコデセン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン等が挙げられる。
【0016】
オレフィン単独重合体として、好ましくは炭素原子数3〜20、更に好ましくは炭素原子数4〜10のα−オレフィンを重合したものである。オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンから構成される共重合体、及び、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体等が好ましい。液状のオレフィン重合体を得るためには、オレフィン重合体として、単独重合より共重合組成が好ましい。共重合体の製造方法としては、Aモノマーを重合後、次いで、Bモノマーを重合するブロック共重合方法、AモノマーとBモノマーを不規則に重合するランダム共重合方法等が挙げられる。特に、ランダム共重合方法で得られたオレフィン重合体が好ましい。更に、エチレンとα−オレフィンとの共重合体は、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、特に、エチレンとプロピレンとの共重合体が好ましい。
【0017】
オレフィン重合体(a−1)がエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンから構成される共重合体の場合、α−オレフィンの組成は、オレフィン重合体に対して、好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。α−オレフィンの組成が20モル%より少ない場合、共重合体は液状を呈さなくなるか、或いは、有機溶剤への溶解性が低下してくる。一方、α−オレフィンの組成が80モル%より多い場合、熱に対する酸化安定性が低下する。
【0018】
オレフィン重合体(a−1)の数平均分子量は300〜10000である。オレフィン重合体(a−1)の数平均分子量、並びに、分子量分布指数(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCという)法で測定した値である(測定方法は実施例で詳述する)。オレフィン重合体(a−1)の数平均分子量として、好ましくは400〜8000、更に好ましくは500〜5000である。数平均分子量が300より小さいと、オレフィン重合体の耐熱性が低下する。一方、10000より大きくなると粘度が高くなり、その取り扱いが困難になる。又、オレフィン重合体(a−1)の分子量分布指数は1〜4が好ましく、更に好ましくは1.1〜3、最も好ましくは1.1〜2.5である。オレフィン重合体の分子量分布指数を1未満とすることは、実質的に困難である。一方、分子量分布指数が4より大きくなると、得られたオレフィン変性ポリオールの粘度が高くなる。
【0019】
オレフィン重合体(a−1)の、135℃におけるデカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は0.01〜0.3dl/gが好ましい。更に好ましくは0.02〜0.25dl/gであり、最も好ましくは0.03〜0.2dl/gである。極限粘度[η]が、0.01dl/g未満となると、オレフィン変性ポリオールをウレタン化した場合、力学物性の改良効果が少ない。一方、極限粘度[η]が0.3dl/gより大きくなると、オレフィン変性ポリオールの粘度が高くなり、ポリウレタンの製造工程において、取り扱いが困難となる。
【0020】
オレフィン重合体(a−1)の製造方法は、公知のカチオン重合によって製造することができる。又、オレフィン変性ポリオールの使用分野により、オレフィン重合体の水素添加反応を行い、分子中の二重結合を飽和することもできる。具体的には、例えば、特開昭57−123205号公報、或いは、特開昭62−121710号公報に記載されている方法が挙げられる。
【0021】
本発明で使用する不飽和カルボン酸誘導体(a−2)としては、不飽和カルボン酸、その無水物、及び不飽和カルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種の化合物等が挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が例示できる。更に、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物、更には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル類等が例示できる。これらの不飽和カルボン酸誘導体の中で、好ましくは不飽和カルボン酸無水物である。更に好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸である。反応収率、及び、品質の観点から無水マレイン酸が最も好ましい。
【0022】
不飽和カルボン酸誘導体(a−2)として、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、及び、メチル基を含有するα−オレフィン構造を有したオレフィン重合体を用いた酸変性オレフィン重合体(a)をオレフィン変性ポリオールとした場合、その赤外スペクトルにおける900〜930cm-1付近に現れるピークに対する、1850〜1880cm-1付近に現れるピークの比が0.1以下であるオレフィン変性ポリオールが好ましい。900〜930cm-1付近のピークは、炭素−水素基の面外変角運動に起因するものであり、1850〜1880cm-1付近のピークは、不飽和ジカルボン酸無水物のカルボニル伸縮の運動に由来する。オレフィン変性ポリオールにおいて、900〜930cm-1付近のピークに対する、1850〜1880cm-1付近のピークの比が0.1を超える場合、空気中の水分等の影響により、カルボン酸無水物の一部が開環して、ジカルボン酸となり、分子間の水素結合を引き起こしやすくなる。そのため、オレフィン変性ポリオールの経時的な性状、例えば、粘度や酸価の変化が大きくなる。前記したピークの比は0.08以下が更に好ましい。最も好ましくは検出限界以下である。
【0023】
本発明で使用する酸変性オレフィン重合体(a)は、前記したオレフィン重合体(a−1)に不飽和カルボン酸誘導体(a−2)をグラフト重合したグラフト共重合体である。不飽和カルボン酸誘導体(a−2)のグラフト共重合量は、オレフィン重合体(a−1)100重量部当たり0.2〜50重量部である。好ましくは0.5〜40重量部である。更に好ましくは1〜20重量部の範囲である。不飽和カルボン酸誘導体(a−2)のオレフィン重合体(a−1)に対するグラフト共重合量が100重量部当たり0.2重量部より少ない場合、オレフィン変性ポリオールを用いたポリウレタンの機械物性の改良効果が少ない。一方、50重量部より多い場合は、酸変性オレフィン重合体、及び、得られるポリオールの粘度が高く、作業性が低下する。
【0024】
酸変性オレフィン重合体(a)は、液状のオレフィン重合体(a−1)に不飽和カルボン酸誘導体(a−2)を、ラジカル重合開始剤の共存下、グラフト共重合するものであり、公知の方法で製造することができる。その製造方法として、例えば、特公平1−34525号公報に記載の方法が挙げられる。グラフト重合反応温度として、好ましくは150〜210℃である。更に好ましくは160〜190℃の範囲である。反応時間としては1〜50時間程度である。好ましくは3〜10時間である。グラフト重合反応後は、未反応の不飽和カルボン酸誘導体、及び、ラジカル重合開始剤の分解物を除去するため、前記した温度範囲で1.33kPa以下の減圧脱気操作を行うことが好ましい。
【0025】
次いで、酸変性オレフィン重合体(a)と混合する活性水素基含有化合物(b)である、活性水素化合物(b−1)、及び、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)について説明する。
【0026】
活性水素化合物(b−1)としては、アルコール類、フェノール化合物、ポリアミン、アルカノールアミン、チオアルコール類等が挙げられる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、アリルアルコール等の1価アルコール類、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール類、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、メチルグルコシド等の糖類、又は、その誘導体、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪酸アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、レゾルシン等のフェノール化合物等が挙げられる。
【0027】
チオアルコール類としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン等の1価のチオアルコール類、エチレンチオグリコール、プロピレンチオグリコール、トリメチレンチオグリコール、ブタンジチオール等の2価のチオアルコール類や、ジエチレンチオグリコール、トリエチレンチオグリコール等のアルキレンチオグリコール類が挙げられる。これらの活性水素化合物の中で、好ましくは、2価アルコール類、3価アルコール類、ポリアミン、アルカノールアミン類である。
【0028】
又、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)としては、前記した活性水素化合物に、塩基性化合物触媒を使用してエポキサイド化合物を付加重合したポリオールである。オレフィン変性ポリオールの用途において、支障をきたさなければ、用いた塩基性化合物触媒がポリオール中に残存していても構わない。
【0029】
塩基性化合物触媒とは、特開平9−194588号公報に記載の3級アミン化合物、カリウム、ルビジウム、及び、セシウム等の比較的原子半径の大きいアルカリ金属化合物類や、バリウム等のアルカリ土類金属化合物類が例示できる。化合物の形態としては、水酸化物やアルコキシ化物が好ましい。更に、特開平11−106500号公報に記載のホスファゼニウム化合物、EP−763555号公報に記載のホスファゼン化合物、及び、先に本出願人が出願した特願平10−301872号に係わる発明に記載されたホスフィンオキシド化合物等のP=N結合を有する化合物が挙げられる。これらの塩基性化合物触媒として、好ましくはP=N結合を有する化合物である。それらの内、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及びホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0030】
ホスファゼニウム化合物としては、例えば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウム tert−ブトキシド等が挙げられる。
【0031】
ホスファゼン化合物としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、または7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ[ 5,5] ウンデカ−1(6)−エン等が挙げられる。
【0032】
ホスフィンオキシド化合物としては、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、トリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が挙げられる。これらP=N結合を有する化合物の中で、好ましくはホスファゼニウム化合物、及びホスフィンオキシド化合物から選ばれる化合物である。
【0033】
活性水素化合物に付加重合するエポキサイド化合物としては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。この中で、好ましくは、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドである。更に好ましくはプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドである。
【0034】
上記活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合するに際しては、活性水素化合物に対して0.001〜10重量%の塩基性化合物触媒を用い、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合する。通常、ポリオール(b−2)の数平均分子量が100〜1000程度となるようにエポキサイド化合物の付加重合を実施する。付加重合の温度は15〜160℃、最大反応圧力882kPa以下程度である。活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合した後の、ポリオール(b−2)の数平均分子量として、好ましくは200〜8000、更に好ましくは250〜4000の範囲である。
【0035】
活性水素基含有化合物(b)は、活性水素化合物(b−1)、及び活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用する。融点が高い活性水素化合物の場合は、エポキサイド化合物を付加重合した液状のポリオールを使用することが好ましい。
【0036】
酸変性オレフィン重合体(a)と活性水素基含有化合物(b)とを混合して混合物(c)とすると、オレフィン重合体の酸変性部分の一部と、活性水素基含有化合物中の活性水素基の一部が交換反応し、ハーフエステル、ハーフチオエステル、ハーフアミド等に変化するものもある。活性水素基含有化合物(b)中に、前記した塩基性化合物触媒が残存していると、酸変性部分との交換反応率が高くなる。特に、P=N結合を有する化合物を触媒として用いることが好ましい。混合物(c)を調製した後、塩基性化合物を添加し、エポキサイド化合物の付加重合を実施しても良いし、所定時間、混合を行っても良い。混合時間としては、特に限定されるものではないが、通常、0.5〜5時間、好ましくは0.5〜2時間である。混合時の温度についても、特に限定されるものではないが、通常、20〜180℃、好ましくは40〜160℃である。又、不活性ガスの存在下で混合を行うことが好ましい。
【0037】
酸変性オレフィン重合体(a)と活性水素基含有化合物(b)とを前記した条件で混合して混合物(c)となし、混合物(c)にエポキサイド化合物の付加重合を行うことにより、オレフィン変性ポリオールの製造を行う。
具体的方法としては、塩基性化合物触媒の存在下、15〜160℃において、酸変性オレフィン重合体(a)5〜95重量%、並びに、活性水素化合物(b−1)及び活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)95〜5重量%との混合物(c)を調製する。好ましくは、酸変性オレフィン重合体(a)15〜85重量%、並びに、活性水素化合物(b−1)及び活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)85〜15重量%である。更に好ましくは、酸変性オレフィン重合体(a)20〜80重量%に対して、活性水素基含有化合物(b)80〜20重量%の範囲であり、最も好ましくは、酸変性オレフィン重合体(a)30〜70重量%に対して、活性水素基含有化合物(b)70〜30重量%の範囲である。
【0038】
そして、酸変性オレフィン重合体(a)及び活性水素基含有化合物(b)の混合物(c)100重量部に対して、エポキサイド化合物(d)35〜5000重量部を付加重合し、オレフィン変性ポリオール中の酸変性オレフィン重合体単位の含有量、及び、オレフィン変性ポリオールの水酸基価、並びに酸価を制御する。エポキサイド化合物(d)の使用量は、酸変性オレフィン重合体(a)中の不飽和カルボン酸誘導体単位の含有量、或いは、混合物(c)中の酸変性オレフィン重合体(a)の割合にも依るが、好ましい使用量は、混合物(c)100重量部に対して、80〜3000重量部である。更に好ましくは、混合物(c)100重量部に対して、150〜2000重量部である。エポキサイド化合物(d)の付加重合は、オレフィン変性ポリオールの酸価を0.1mgKOH/g以下に制御するために重要な工程である。又、エポキサイド化合物の反応率は、エポキサイド化合物付加重合後のオレフィン変性ポリオールの水酸基価を測定することにより算出する。
【0039】
酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して2〜70重量%である。好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは6〜45重量%である。酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量が、オレフィン変性ポリオールに対して、2重量%未満であると、オレフィン変性ポリオールをポリウレタン化した場合、機械物性の改良効果が少ない。一方、70重量%を超えると、オレフィン変性ポリオールの粘度が上昇する上、目的とする酸価に制御することが困難となる。
【0040】
又、酸変性オレフィン重合体(a)と活性水素基含有化合物(b)とを前記した条件で混合しても、本発明者らが目的とする酸価のオレフィン変性ポリオールが得られない。前記したように、酸無水物の一部、又は大部分がハーフエステル、ハーフチオエステル、ハーフアミドに変化するものがあり、一部のカルボン酸が残存するためである。オレフィン変性ポリオールの酸価を低減するため、塩基性化合物触媒を使用して、オレフィン重合体にグラフト重合した不飽和カルボン酸誘導体の酸基にエポキサイド化合物の付加重合を行うことが重要である。更に、エポキサイド化合物を付加重合することにより、ポリオールが液状となり得る。
【0041】
オレフィン重合体の遊離酸へのエポキサイド化合物の付加重合においては、前記した塩基性化合物の中で、P=N結合を有する化合物が最も好ましい。P=N結合を有する化合物の中で、特に、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物、及び、ホスフィンオキシド化合物が好ましい。
【0042】
活性水素基含有化合物(b)中に、塩基性化合物触媒が0.01〜10重量%の範囲で残存している場合には、新たに、触媒を添加する必要がないが、塩基性化合物触媒が存在していない場合、もしくは、触媒の残存量が活性水素基含有化合物(b)に対して0.01重量%未満の場合には、該触媒を添加する。その添加量としては、活性水素基含有化合物(b)に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜6重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%である。触媒の添加量が0.001重量%未満であると、オレフィン変性ポリオールの酸価が高くなる。一方、触媒の添加量が10重量%を超えると、オレフィン変性ポリオールをポリウレタン化する際に、反応制御が困難となる。
【0043】
塩基性化合物触媒として、塩基性水酸化物等を使用した場合は、触媒を添加後、加熱減圧処理を行うことが好ましい。加熱減圧条件としては、特に限定されるものではないが、通常、60〜160℃、2.66kPa以下の条件で、0.5〜6時間実施する。
触媒を添加後、目的とする水酸基価のオレフィン変性ポリオールを得るため、エポキサイド化合物の付加重合を行う。エポキサイド化合物としては、前記した化合物を使用する。エポキサイド化合物の付加重合温度は、15〜160℃、好ましくは、40〜150℃、更に好ましくは、50〜130℃の範囲である。
【0044】
エポキサイド化合物の付加重合時の最大圧力は、882kPa以下である。通常、耐圧反応機内でエポキサイド化合物の付加重合が行われる。エポキサイド化合物の反応は減圧状態から開始しても、大気圧の状態から開始してもよい。大気圧状態から開始する場合には、窒素、またはヘリウム等の不活性気体存在下で行うことが望ましい。最大反応圧力は、好ましくは686kPa以下、更に好ましくは490kPa以下である。エポキサイド化合物として、プロピレンオキサイドを用いる場合には、最大反応圧力は490kPa以下が好ましい。
【0045】
エポキサイド化合物の付加重合反応に際して、必要ならば溶媒を使用することもできる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類またはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等である。溶媒を使用する場合には、オレフィン変性ポリオールの製造コストを上げないためにも、製造後に溶媒を回収し再利用する方法が望ましい。
【0046】
前記した方法により、エポキサイド化合物の付加重合を行った後に、オレフィン変性ポリオールの使用分野によっては、触媒を除去することが好ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属類を触媒とした場合には、酸で中和し、吸着剤により精製する方法や、イオン交換樹脂で精製する方法等の公知の技術が適用できる。触媒除去操作後の、オレフィン変性ポリオール中のアルカリ金属、及び、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属の残存量は100ppm以下とすることが好ましい。更に、好ましくは80ppm以下、最も好ましくは30ppm以下である。オレフィン変性ポリオール中に全く金属が残存しないことがより好ましい。
【0047】
P=N結合を有する化合物を触媒とした場合には、比表面積が450〜1200m2/g、且つ、平均細孔直径が40〜100Åであるケイ酸アルミニウム、及びケイ酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の吸着剤との接触により、P=N結合を有する化合物を除去する方法が好ましい。以下、P=N結合を有する化合物を触媒として、エポキサイド化合物を付加重合したポリオールからの触媒除去方法について説明する。
【0048】
吸着剤として、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムの他に、前記形状を満足するならばシリカゲルも用いることができる。好ましくはケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムである。前記ケイ酸アルミニウム、及び、ケイ酸マグネシウムの中でも合成品がより好ましい。これらの特性を有する吸着剤の市販品としては、協和化学工業(株)製、商品名:KW−600BUP−S、KW−700PEL、KW−700SEL等が挙げられる。好ましくはKW−700PEL、KW−700SELであり、更に好ましくはKW−700SELである。
【0049】
合成ケイ酸アルミニウムの例としては、二酸化珪素の含有量が55〜75重量%、酸化アルミニウムの含有量が5〜25重量%のものが好ましい。その化学組成の例としては、Al23・nSiO2・mH2Oが挙げられる(n、mは、酸化アルミニウムへの二酸化珪素、または水の配位数)。特に、水が配位したものが好ましい。合成ケイ酸マグネシウムの例としては、二酸化珪素の含有量が55〜70重量%、酸化マグネシウムの含有量が5〜20重量%のものが好ましい。その化学組成の例としては、MgO・xSiO2・yH2Oが挙げられる(x、yは、酸化マグネシウムへの二酸化珪素、または水の配位数)。特に、水が配位したものが好ましい。
【0050】
触媒が残存したポリオール(以下、粗製ポリオールという)と吸着剤との接触方法としては、回分式と連続式の2方法が挙げられる。回分式とは、例えば、反応機に仕込んだ粗製ポリオールに、吸着剤を装入し、攪拌混合する方法である。ポリオールの着色、劣化を防止する目的で、不活性ガスの存在下、攪拌混合することが好ましい。また、吸着剤の使用量としては、粗製ポリオールに対して0.01〜2重量%程度であり、好ましくは0.05〜1.5重量%、更に好ましくは0.1〜0.9重量%である。接触時間は、スケールにも依るが、前記温度条件で1〜6時間程度が好ましい。連続式とは、吸着剤を充填した塔に粗製ポリオールを通液する方法である。空塔速度は、スケールにも依るが、0.1〜3(1/hr)程度が好ましい。吸着剤と接触した後、ろ過、遠心分離等の常用の方法によりポリオールを回収する。又、吸着温度は、通常、50〜150℃、好ましくは60〜140℃である。
【0051】
オレフィン変性ポリオールの劣化を防止する目的で、オレフィン変性ポリオールに酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤の添加量は、オレフィン変性ポリオールに対して、100〜2000ppm程度である。
前記した方法により、オレフィン変性ポリオール中のP=N結合を有する化合物の残存量を150ppm以下に制御することが可能である。上記、処理法によれば、P=N結合を有する化合物の残存量は1ppm程度まで低減できる。
【0052】
以上、詳述した方法によりオレフィン変性ポリオールを製造する。オレフィン変性ポリオールの性状は、水酸基価が2〜600mgKOH/g、酸価が0.1mgKOH/g以下である。水酸基価として、好ましくは5〜550mgKOH/g、更に好ましくは10〜450mgKOH/gである。水酸基価が2mgKOH/gより低い場合、及び、600mgKOH/gより高くなると、オレフィン変性ポリオールの粘度が上昇し、作業性が低下する。
【0053】
酸価は0.1mgKOH/g以下である。好ましくは0.07mgKOH/g以下であり、更に好ましくは0.06mgKOH/g以下である。オレフィン変性ポリオールの酸価が0.1mgKOH/gを超えると、ポリイソシアネート化合物との反応性が低下し、得られるポリウレタンの機械物性等が劣る。更に、驚くべき事に、酸変性オレフィン重合体は、独特の臭気を有しているが、臭気の少ない、グリコール類等の活性水素基含有化合物、及び、エポキサイド化合物を反応させ、酸価を0.1mgKOH/g以下に制御すると、酸変性オレフィン重合体の独特の臭気が無くなり、作業時の環境に悪影響を及ぼさない材料となり得ることがわかった。
本発明のオレフィン変性ポリオールの分子量分布指数(Mw/Mn)としては、1.0より大きく、10以下の範囲が好ましい。分子量分布が狭くなるほど、オレフィン変性ポリオールの経時的な粘度変化が少なくなる。
【0054】
更に、オレフィン変性ポリオールの経時的な安定性を向上させるため、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等を使用しても良い。例えば、酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキシトルエン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
【0055】
紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。熱安定剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト等が挙げられる。これら各々の添加量は、オレフィン変性ポリオールに対して、0.001〜5重量%が好ましい。更に好ましくは0.01〜2重量%、最も好ましくは0.02〜1重量部である。
【0056】
以上、詳述したように、本発明の目的は、従来の製造方法に適用し得る、ポリオレフィン構造を含有したオレフィン変性ポリオール、特に、ポリウレタンエラストマー分野に適用した場合に、機械物性の改良等に優れた性能を発揮するオレフィン変性ポリオール、及び、その製造方法を提供することにある。
【0057】
本発明の製造方法で得られたオレフィン変性ポリオールは、ポリオレフィン構造の特長を活かしながら、従来のポリウレタンの製造方法に適用し得る、ポリオレフィン構造を含有したポリオールであり、ポリウレタンフォーム、及び、エラストマー、塗料、接着剤、床材、防水材、シーリング材、靴底、弾性補強剤等の幅広いポリウレタン分野の他に、界面活性剤、潤滑剤、作動液の分野等において使用できる優れた資材である。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明の熊様を更に明らかにするが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例における分析、及び評価は、下記の方法に従って行った。
【0059】
(1)オレフィン重合体、及びその組成(単位:モル%)
オレフィン重合体として、下記の調製例1〜4に示すエチレンとプロピレンのランダム共重合体、及び、ポリエチレンを用いた。その組成は、「有機化合物のスペクトルによる同定法」(R.M.SILVERSTEIN著、1983年発行、第4刷、東京化学同人発行)記載の方法(231〜277頁)により、13C−核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、400MHz13C−NMR)を用いて、エチレン、及び、プロピレンに由来する特性スペクトルを検出し、各スペクトルの面積比から、共重合体の構成成分比を求める。
【0060】
(2)オレフィン重合体の極限粘度(以下、[η]という、単位:dl/g)
「高分子合成の実験法」(大津 隆行、木下 雅悦共書、1993年発行、第14刷、化学同人発行)記載の方法(27〜29頁)により、ウベローデ粘度計を用い、デカリンを溶媒として、135℃におけるオレフィン重合体の[η]の測定を行う。
【0061】
(3)オレフィン重合体の数平均分子量(以下、Mnという、単位:g/mol)、及び、その分子量分布指数(以下、Mw/Mnという)
島津製作所(株)製LC−6Aシステムを用い、検量線を東ソー(株)製の単分散ポリスチレンにて作成する。測定条件を以下に記す。分離カラム:東ソー(株)製ポリスチレンゲル(商品名:G6000HX、G4000HX、G3000HX、G2000HX)、分離液:液体クロマトグラフィー用テトラヒドロフラン、温度:40℃、流速:0.7ml/min。
【0062】
(4)オレフィン重合体の動粘度(単位:mm2/s)
JIS K−2283記載の方法により、100℃における動粘度を測定する。
【0063】
(5)不飽和カルボン酸誘導体のオレフィン重合体へのグラフト量(単位:重量部)
不飽和カルボン酸誘導体として、無水マレイン酸を使用する。JIS K−0070記載の方法により、無水マレイン酸で変性オレフィン重合体のけん化価を測定することにより、無水マレイン酸のグラフト量を算出する。
【0064】
(6)酸変性オレフィン重合体の極限粘度(以下、[η]という、単位:dl/g)
前記(2)の方法により測定する。
(7)酸変性オレフィン重合体の分子量分布指数(以下、Mw/Mnという)
前記した(3)の方法により測定する。
【0065】
(8)オレフィン変性ポリオールの水酸基価(以下、OHVという、単位:mgKOH/g)、及び、酸価(以下、AVという、単位:mgKOH/g)
JIS K−1557記載の方法により測定する。
(9)オレフィン変性ポリオールのpH、及び、粘度(単位:mPa・s/25℃)
前記(8)と同様、JIS K−1557記載の方法により測定する。
【0066】
(10)オレフィン変性ポリオールの臭気
官能評価により試験を行う。オレフィン変性ポリオールをガラス製のサンプル瓶に採取し、密閉後、35℃のオーブンに24時間静置する。静置後、蓋を外し、臭気を評価する。評価基準を以下に示す。1:臭気が弱い。2:微臭を感じる。3:臭気が強い。
【0067】
(11)ポリウレタンエラストマーの硬度
JIS K−6251記載の方法により測定する。尚、デユロメーターは、タイプAを使用する。
(12)ポリウレタンエラストマーの100%応力(以下、M100という、単位:MPa)
JIS K−6251記載の方法により測定する。
【0068】
(13)ポリウレタンエラストマーの圧縮永久歪み(以下、CSという、単位:%)
JIS K−6262記載の方法により測定する。
(14)ポリウレタンエラストマーの反発弾性(以下、Rという、単位:%)
JIS K−6255記載の方法により測定する。
【0069】
(15)ポリウレタンエラストマーのシートの外観
成形したシートの外観を目視で評価する。縦150mm×横150mmのシート上に、10個以上のピンホールが存在している場合は、ピンホール大と評価する。10個未満のピンホールが存在している場合は、ピンホール中と評価する。ピンホールが5個未満の場合には、ピンホール小と評価する。
【0070】
(16)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基濃度(以下、NCO%という、単位:%)
JIS K−7301記載の方法により測定する。
【0071】
調製例1
<酸変性オレフィン重合体A>
窒素導入管、水冷式コンデンサー、温度計、及び、滴下ロートを装着した攪拌機付きの反応機に、エチレン成分の含有量が50モル%、Mnが720g/mol、Mw/Mnが1.3、[η]が0.06dl/g、動粘度が20mm2/sであるエチレン・プロピレンのランダム共重合体を1235g装入した。その後、40℃で、3時間、窒素を導入しながら、溶存酸素を除去した。その後、窒素雰囲気下、160℃に昇温し、予め60℃で加熱し、液化した無水マレイン酸185gと、ラジカル開始剤である、ジ−t−ブチルペルオキシド16gを6時間かけて滴下した。滴下終了後、160℃で、2時間反応を継続した後、180℃に昇温し、66.5kPaの減圧下で、未反応の無水マレイン酸、及び、ラジカル開始剤の分解物の除去を行った。生成物のエチレン・プロピレンランダム共重合体は、[η]が0.06dl/g、Mw/Mnが1.3、エチレン・プロピレンランダム共重合体100重量部に対して、11重量部の無水マレイン酸がグラフトしていた。以下、該化合物を酸変性オレフィン重合体Aという。
【0072】
調製例2
<酸変性オレフィン重合体B>
調製例1において、エチレン成分の含有量が53モル%、Mnが1650g/mol、Mw/Mnが1.7、[η]が0.09dl/g、動粘度が150mm2/sであるエチレン・プロピレンのランダム共重合体を使用し、無水マレイン酸の使用量を62.3gに変更した他は、調製例1と同様の操作を行った。生成物のエチレン・プロピレンランダム共重合体は、[η]が0.09dl/g、Mw/Mnが1.7、エチレン・プロピレンランダム共重合体100重量部に対して、4.2重量部の無水マレイン酸がグラフトしていた。以下、該化合物を酸変性オレフィン重合体Bという。
【0073】
調製例3
<酸変性オレフィン重合体C>
窒素導入管、水冷式コンデンサー、温度計、及び、滴下ロートを装着した攪拌機付きの反応機に、エチレン含有量が、99モル%、Mnが3420g/mol、Mw/Mnが2.2、[η]が0.24dl/g、動粘度が2000mm2/sである低分子量のポリエチレンを1120g装入した。その後、40℃で、3時間、窒素を導入しながら、溶存酸素を除去した。その後、窒素雰囲気下、160℃に昇温し、予め60℃で加熱し、液化した無水マレイン酸34.6gと、ラジカル開始剤である、ジ−t−ブチルペルオキシド6.4gを6時間かけて滴下した。滴下終了後、160℃で、2時間反応を継続した後、180℃に昇温し、66.5kPaの減圧下で、未反応の無水マレイン酸、及び、ラジカル開始剤の分解物の除去を行った。生成物のポリエチレン重合体は、[η]が0.25dl/g、Mw/Mnが2.3、ポリエチレン重合体100重量部に対して、2.6重量部の無水マレイン酸がグラフトしていた。以下、該化合物を酸変性オレフィン重合体Cという。
【0074】
調製例4
<酸変性オレフィン重合体D>
調製例1において、エチレン含有量が、21モル%、Mnが1100g/mol、Mw/Mnが1.9、[η]が0.06dl/g、動粘度が100mm2/sであるエチレン・プロピレンのランダム共重合体を1235g装入した他は、参考例1と同様の操作を行った。生成物のエチレン・プロピレンランダム共重合体は、[η]が0.06dl/g、Mw/Mnが1.9、エチレン・プロピレンランダム共重合体100重量部に対して、10重量部の無水マレイン酸がグラフトしていた。以下、該化合物を酸変性オレフィン重合体Dという。
調製例1〜4の酸変性オレフィン重合体の性状について[表1]にまとめた。
【0075】
【表1】
Figure 0004199384
【0076】
次に、実施例について説明する。エポキサイド化合物の付加重合触媒として、以下の調製例5〜6に示すホスファゼニウム化合物、及び、ホスフィンオキシド化合物を用いた。
【0077】
調製例5
<ホスファゼニウム化合物(以下、PZNという)>
テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムクロリド(Fluka社製) 31.02g(40mmol)を200mlの50重量%のメタノール−水の混合溶媒に溶解させて、0.2mol/lの溶液を調整した。この溶液を、室温にて、140mlの水酸基型に交換した陰イオン交換樹脂(バイエル社製、商品名;レバチットMP500)を充填したカラム(直径20mm、高さ450mm)に140ml/hの速度で流通した。次いで、450mlの50重量%のメタノール−水の混合溶媒を同速度で流通した。流出液を濃縮した後、80℃、665Paの条件で乾燥し、固形状としたた。この固形物をテトラヒドロフランとジエチルエーテルの体積比1:15の混合溶媒に溶解後、再結晶することにより、28.76gの無色の化合物を得た。収率は95%であった。
【0078】
りん酸トリ−n−ブチルを内部標準化合物とした、該化合物の重水素化ジメチルスルホキシド溶液中の31P−NMR(日本電子(株)製核磁気共鳴装置)の化学シフトは−33.3(5重線、1P)ppm、7.7(2重線、4P)ppmであり、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムカチオン中の中心のリン原子、及び、周りの4つのりん原子として帰属される。又、テトラメチルシランを内部標準とした1H−NMRの化学シフトは2.6ppmであり、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムカチオン中のメチル基に帰属され、リン原子とのカップリングにより、2重線として観測される。元素分析値(重量%)は、C:38.28、H:9.82、N:29.43、P:19.94(理論値、C:38.09、H:9.72、N:29.61、P:20.46)であった。
【0079】
調製例6
<ホスフィンオキシド化合物(以下、PZOという)>
五塩化リン、ジメチルアミン、及び、アンモニアを原料とし、溶媒に、o−ジクロロベンゼンを使用して、ジャーナル オブ ジェネラル ケミストリー オブ ザ ユーエスエスアール(USSR)、第55巻、1453ページ(1985年発行)記載の方法により、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N−]3P=O・0.29(H2O)}(Meはメチル基を示す)の合成を行った。次いで、該化合物を、五酸化リンを乾燥剤としたデシケーターに入れ、23℃、655Paの条件で、1週間乾燥させ、水を含まないトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N−]3P=O}を得た。化学式の同定は、前記した31P−NMR、1H−NMR、及び、元素分析法により実施した。
【0080】
実施例1
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを152.3g、及び、プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオール(三井化学(株)製、商品名:Diol−400、Mn400g/molの2官能性ポリオキシアルキレンポリオール)を60.1g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.45重量%のPZOを添加し、窒素置換を行い、100℃に昇温した。同温度にて、最大反応圧力が、0.35MPaG以下の条件で、156.2gのブチレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。次いで、水酸基価が56mgKOH/gになるまで、前記した反応条件で、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。
【0081】
上記オレフィン変性ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオールに対して、1.2重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SEL)を添加し、同温度で3時間攪拌を行った。その後、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性オレフィン変性ポリオールのOHVは56.3mgKOH/g、AVは0.015mgKOH/g、pHは6.4、粘度は500mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して8.7重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールaという。
【0082】
実施例2
プロピレングリコールに、水酸化カリウムを触媒として、100℃、最大反応圧力が0.4MPaGの条件で、プロピレンオキサイドを付加重合して、Mn500g/molのポリオキシアルキレンポリオールを合成した。次いで、ポリオール中の水酸化カリウム1モルに対して、1.03モル倍のリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を80℃で添加し、昇温、減圧操作を行いながら、100℃、3.66kPaの状態で、吸着剤(富田製薬(株)、商品名:AD−600NS)を、ポリオールに対して、0.15重量%添加し、引き続き、減圧操作を実施した。最終的に、105℃、1.33kPaの条件で、2時間減圧操作を行った後、保持粒径1μmのろ紙を用いて、減圧ろ過を行うことにより、ポリオールの回収を行った。以下、該ポリオールをDiol−500という。
【0083】
次いで、耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを230.3g、及び、Diol−500を180.1g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.65重量%のPZOを添加し、窒素置換を行い、100℃に昇温した。同温度にて、最大反応圧力が、0.4MPaG以下の条件で、465.1gのプロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。次いで、オートクレーブを窒素で0.05MPaGまで加圧し、115℃、最大反応圧力が0.45MPaGの条件で、水酸基価が56mgKOH/gになるまで、エチレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。
【0084】
上記オレフィン変性ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオールに対して、1.2重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SEL)を添加し、同温度で3時間攪拌を行った。その後、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性オレフィン変性ポリオールのOHVは57.3mgKOH/g、AVは0.042mgKOH/g、pHは6.2、粘度は3200mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して23.6重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールbという。
【0085】
実施例3
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを148.0g、及び、Diol−500を170.4g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.65重量%のPZN(30重量%のヘキサン溶液の形態)を添加し、窒素置換を行い、100℃に昇温した。同温度にて、655Pa以下の条件で、2時間減圧操作を実施した。その後、窒素により、6.55kPaに調整し、105℃、最大反応圧力が、0.4MPaG以下の条件で、423.3gのプロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。ポリオールの水酸基価を分析した後、105℃、最大反応圧力が0.4MPaGの条件で、水酸基価が56mgKOH/gになるまで、再度、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のポリオールを得た。
【0086】
上記ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオールに対して、1.5重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SEL)を添加し、同温度で3時間攪拌を行った。その後、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性オレフィン変性ポリオールのOHVは56.6mgKOH/g、AVは0.022mgKOH/g、pHは6.4、粘度は1250mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して16.9重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールcという。
【0087】
実施例4
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Dを121.3g、及び、ジプロピレングリコールにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオール(三井化学(株)製、商品名:ED−56、Mn2000g/molの2官能性ポリオキシアルキレンポリオール)を352.5g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.65重量%のPZOを添加し、窒素置換を行い、110℃に昇温した。同温度にて、最大反応圧力が、0.35MPaG以下の条件で、621.2gのブチレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。次いで、水酸基価が18mgKOH/gになるまで、前記した反応条件で、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。
【0088】
上記オレフィン変性ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオールに対して、1.5重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SEL)を添加し、同温度で3時間攪拌を行った。その後、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性オレフィン変性ポリオールのOHVは18.7mgKOH/g、AVは0.025mgKOH/g、pHは6.5、粘度は4250mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して11.1重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールdという。
【0089】
実施例5
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Bを212.5g、及び、ペンタエリスリトールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオール(三井化学(株)製、商品名:PE−450、Mn500g/molの4官能性ポリオキシアルキレンポリオール)を252.3g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.55重量%のPZNを添加し、窒素置換を行い、100℃に昇温した。同温度にて、最大反応圧力が、0.35MPaG以下の条件で、236.1gのブチレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。次いで、水酸基価が75mgKOH/gになるまで、前記した反応条件で、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。
【0090】
上記オレフィン変性ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオールに対して、1.5重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SEL)を添加し、同温度で3時間攪拌を行った。その後、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性オレフィン変性ポリオールのOHVは76.2mgKOH/g、AVは0.055mgKOH/g、pHは6.1、粘度は9250mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して32.1重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールeという。
【0091】
比較例1
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Cを350.4g、及び、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオール(三井化学(株)製、商品名:MN−3000、Mn3000g/molの3官能性ポリオキシアルキレンポリオール)を299.5g加え、十分に窒素置換した後、140℃に昇温し、同温度で2時間攪拌した。得られたオレフィン変性ポリオールのOHVは21.9mgKOH/g、AVは5.89mgKOH/g、pHは4.1、粘度は25℃において10万mPa・s以上であり、臭気は3であった。酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して53.9重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールfという。
【0092】
比較例2
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを382.1g、及び、Diol−500を53.4g加え、十分に窒素置換した後、120℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.5重量%の水酸化ナトリウム(和光純薬(株)製、以下、NaOHという)を添加し、窒素置換を行った。その後、6.55kPaに調整し、100℃、最大反応圧力が0.4MPaG以下の条件で、55.6gのプロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、120℃にて、655Pa以下の減圧操作を3時間行い、粘性の高いオレフィン変性ポリオールを得た。その後、前記オレフィン変性ポリオール中のNaOHに対して、1.01モルのリン酸(75.2重量%の水溶液の形態)を加え、80℃において2時間中和反応を行った後、減圧脱水操作を行いながら、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加し、最終的に105℃、1.33kPa以下の条件で3時間攪拌した。次いで、実施例5と同様の方法により加圧濾過器を用いてポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性ポリオールのOHVは51.1mgKOH/g、AVは1.81mgKOH/g、pHは4.2、粘度は61500mPa・s/25℃であり、臭気は3であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して78.3重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールgという。
【0093】
比較例3
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを6.9g、及び、Diol−500を152.3g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.45重量%のPZOを添加し、窒素置換を行い、100℃に昇温した。同温度にて、最大反応圧力が0.35MPaG以下の条件で、156.2gのブチレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。次いで、水酸基価が56mgKOH/gになるまで、前記した反応条件で、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。触媒の除去、オレフィン変性ポリオールの回収操作は、実施例1記載の方法と同様にして行った。得られたオレフィン変性ポリオールのOHVは56.5mgKOH/g、AVは0.012mgKOH/g、pHは6.5、粘度は360mPa・s/25℃であり、臭気は1であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して1.1重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールhという。
【0094】
比較例4
耐圧製オートクレーブに酸変性オレフィン重合体Aを152.0g、及び、ジプロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオール(三井化学(株)製、商品名:Diol−1000、Mn1000g/molの2官能性ポリオキシアルキレンポリオール)を180.4g加え、十分に窒素置換した後、80℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。その後、装入したポリオキシアルキレンポリオールに対して、1.2重量%のNaOH(50重量%の水溶液の形態)を添加し、窒素置換を行い、110℃に昇温した。同温度にて655Pa以下の条件で、3時間減圧操作を実施した。その後、窒素により、6.55kPaに調整し、105℃、最大反応圧力が0.4MPaG以下の条件で、483.3gのプロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した。ポリオールの水酸基価を分析した後、105℃、最大反応圧力が0.4MPaGの条件で、水酸基価が56mgKOH/gになるまで、再度、プロピレンオキサイドの逐次装入を行った。オートクレーブの内圧の低下が認められなくなるまで反応を継続した後、110℃にて、655Pa以下の減圧操作を1時間行い、触媒を含有した液状のオレフィン変性ポリオールを得た。
【0095】
上記オレフィン変性ポリオールを、窒素雰囲気下、ガラス製セパラブルフラスコに移液し、80℃に調整した。オレフィン変性ポリオール中の水酸化ナトリウム1モルに対して、1.02モルのシュウ酸(4重量%の水溶液の形態)を添加し、同温度で1時間攪拌後、減圧操作を開始した。100℃、6.55kPaの状態で0.4重量%の吸着剤(協和化学(株)製、商品名:KW−700SN)、及び、オレフィン変性ポリオールに対して、0.08重量%の酸化防止剤(t−ブチルヒドロキシトルエン)を添加した。110℃に昇温し、減圧を行いながら、最終的に、110℃、1.33kPa以下の条件で、2時間の減圧操作を行った。保持粒径が1μmのろ紙を装着した加圧ろ過器を用いて、オレフィン変性ポリオールの回収を行った。得られたオレフィン変性ポリオールのOHVは57.3mgKOH/g、AVは0.15mgKOH/g、pHは4.5、粘度は1350mPa・s/25℃であり、臭気は2であった。更に、酸変性オレフィン重合体単位の含有量は、オレフィン変性ポリオールに対して16.1重量%であった。以下、該ポリオールをオレフィン変性ポリオールiという。
実施例、比較例で得られたオレフィン変性ポリオールの性状を[表2]にまとめた。
【0096】
【表2】
Figure 0004199384
【0097】
<実施例の考察>
[表2]より、酸変性オレフィン重合体と活性水素基含有化合物とを混合した後、エポキサイド化合物の付加重合を行わないと、得られるオレフィン変性ポリオールの酸価(AV)が0.1mgKOH/gを超え、更に粘度が高く、臭気が強い。オレフィン変性ポリオールに対する酸変性オレフィン重合体単位の含有量が70重量%を超えると、得られたオレフィン変性ポリオールの酸価(AV)が0.1mgKOH/gを超え、しかも臭気が強い(比較例2)。又、エポキサイド化合物の付加重合触媒として、水酸化ナトリウムを用いた場合、エポキサイド化合物の装入量を増加しても、酸価(AV)が0.15mgKOH/gとなり、本発明の要件を満足しない。一方、実施例において、P=N結合を有する化合物(ホスファゼニウム化合物(PZN)、ホスフィンオキシド化合物(PZO)をエポキサイド化合物の付加重合触媒として用いた場合、酸価(AV)は0.1mgKOH/g以下に制御される上、臭気も少なく、低粘度のオレフィン変性ポリオールが得られる。
【0098】
実用試験例1〜2、比較実用試験例1〜2
<ポリウレタンプレポリマーの合成、及びポリウレタンエラストマーの調製>
実施例、及び比較例で得られたオレフィン変性ポリオールの特性を比較する目的で、ポリウレタンエラストマーを調製し、その機械強度と得られたシートの外観を調べた。
【0099】
実施例1で得られたオレフィン変性ポリオールa(実用試験例1)、実施例3で得られたオレフィン変性ポリオールc(実用試験例2)、比較例3で得られたオレフィン変性ポリオールh(比較実用試験例1)、及び比較例4で得られたオレフィン変性ポリオールi(比較実用試験例2)を用いて、これらとポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーという)を合成した。ポリイソシアネート化合物としては、コスモネートT−65/35(三井化学(株)製、2,4−トリレンジイソシアネートと、2,6−トリレンジイソシアネートの重量比65/35の混合イソシアネート)を用いた。
【0100】
窒素導入管、水冷式コンデンサー、及び、温度計を装着した攪拌機付きの反応機にオレフィン変性ポリオールを仕込んだ。プレポリマーのNCO%が3.7%となる量のコスモネートT−65/35を添加し、窒素雰囲気下、80℃において4時間の反応を行った。60℃に冷却後、窒素雰囲気下でガラス製容器に密閉し、60℃のオーブン中に15時間静置した。次いで、再度、プレポリマーのNCO%を測定した後、90℃に加熱した。又、イソシアネート基に対するアミノ基の当量比が、0.90となる量の4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(イハラケミカル工業(株)製、以下、MOCAという)を、予め、130℃のオーブン中で溶融加熱した。
90℃に調整したプレポリマーを減圧脱泡後、素早くMOCAと混合し、1分間気泡が混入しないように攪拌した。その後、予め離型剤を塗布した金型へ注入し、100℃のオーブン中で24時間硬化した。金型から脱型後、23℃、相対湿度55%の恒温室で1週間静置し、ポリウレタンエラストマーを得た。
硬度、100%応力(M100)、70℃で24時間圧縮後の永久圧縮歪み(CS)、反発弾性(R)、及びシートの外観を上記方法で測定した。得られた結果を[表3]に示す。
【0101】
【表3】
Figure 0004199384
【0102】
<実用試験例の考察>
オレフィン変性ポリオール中の酸変性オレフィン重合体単位の含有量が2重量%未満であるオレフィン変性ポリオールhを用いたポリウレタンエラストマーは、酸変性オレフィン重合体単位の含有量が8.7重量%であるオレフィン変性ポリオールa、及び、16.9重量%であるオレフィン変性ポリオールcを用いたポリウレタンエラストマーと比較して、硬度、M100値が低く、更に、永久圧縮歪み、反発弾性が低下している。一方、酸価(AV)が、本発明の範囲外である0.15mgKOH/gのオレフィン変性ポリオールiを用いたポリウレタンエラストマーは、酸変性オレフィン重合体単位の含有量がほぼ同等であるオレフィン変性ポリオールcを用いたエラストマーと比較して、硬度、M100値が低く、更に、永久圧縮歪み、反発弾性が低下している上、シートのピンホールが多く、外観が悪化している。
【0103】
【発明の効果】
本発明のオレフィン変性ポリオールは、機械物性の改良され、しかも、ピンホールが少ない等の優れた性能を有するポリウレタンエラストマーを与える。又、酸変性オレフィン重合体と活性水素基含有化合物に、P=N結合を有する化合物を触媒として、エポキサイド化合物の付加重合を行うことにより、0.1mgKOH/g以下の酸価に制御でき、しかも臭気の少ないオレフィン変性ポリオールが得られる。従って、本発明に係わるオレフィン変性ポリオールは、従来のポリウレタンの製造方法に適用し得る、ポリオレフィン構造を含有したポリオールであり、ポリウレタンフォーム、及び、エラストマー、塗料、接着剤、床材、防水材、シーリング材、靴底、弾性補強剤等の幅広いポリウレタン分野の他に、界面活性剤、潤滑剤、作動液の分野等において使用できる優れた資材と成りうる。

Claims (5)

  1. (1)150〜210℃において、数平均分子量300〜10000のオレフィン重合体(a−1)100重量部当たり、不飽和カルボン酸誘導体(a−2)0.2〜50重量部をグラフト重合して酸変性オレフィン重合体(a)を製造する工程、(2)ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物及びホスフィンオキシドから選ばれた少なくとも1種のP=N結合を有する塩基性化合物触媒の存在下、15〜160℃において、酸変性オレフィン重合体(a)5〜95重量%、並びに、活性水素化合物(b−1)及び活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)95〜5重量%との混合物(c)100重量部に対して、エポキサイド化合物(d)35〜5000重量部を付加重合する工程を含むことを特徴とする、数平均分子量300〜10000のオレフィン重合体(a−1)100重量部に不飽和カルボン酸誘導体(a−2)0.2〜50重量部をグラフト重合した酸変性オレフィン重合体(a)、及び、活性水素化合物(b−1)、及び、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合したポリオール(b−2)から選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物(b)の混合物(c)に対して、エポキサイド化合物(d)を付加重合したオレフィン変性ポリオールであって、酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量が2〜70重量%、水酸基価が2〜600mgKOH/g、酸価が0.1mgKOH/g以下であるオレフィン変性ポリオールの製造方法。
  2. 酸変性オレフィン重合体(a)単位の含有量が、5〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン変性ポリオールの製造方法。
  3. 酸価が、0.07mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン変性ポリオールの製造方法。
  4. オレフィン重合体(a−1)が、α−オレフィン単位を20〜80モル%含む、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン変性ポリオールの製造方法。
  5. 不飽和カルボン酸誘導体(a−2)が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、及び不飽和カルボン酸エステル類から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン変性ポリオールの製造方法。
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