JP4267542B2 - ポリオレフィン鎖を含有する樹脂及びその用途 - Google Patents
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Description
側鎖にポリオレフィン骨格を有する極性樹脂の製造方法としては、重合可能な官能基を保有するポリマーすなわちマクロモノマーを他の極性樹脂モノマーと共重合する方法(特許文献1)、両者とも反応性の官能基を保有する極性樹脂とポリオレフィン樹脂を反応させる方法(特許文献2)が知られている。特に、後者の方法で得られる櫛形ブロックポリマーは水性塗料用途に利用できるが、反応性の官能基を保有するポリオレフィン樹脂が、末端に水酸基を保有するポリエチレンに限定されているため構造の多様性がなく使用範囲が限定されていた。
[1] 一般式(I)又は(II)で示される構造を含有してなる樹脂、
に関する。
本発明の樹脂は、一般式(I)又は(II)で示される構造を少なくとも一つ有する樹脂である。
一般式(II)において、Zの炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。アルキル基としては、直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、直鎖又は分岐の炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。また、アリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
測定装置:ミリポア社製GPC−150
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT:武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計
一般式(VI)、(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体(以降、ビシナル置換型官能基含有重合体と呼称する)の製造方法は、下記一般式(X)
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であって重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表す)で示される末端エポキシ基含有重合体と後述する反応試剤との反応から製造することができる。
(i)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(ii)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(iii)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(iv)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
U(%)=SB×200/(SA+SB)
(i)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、又は使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
(a)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化
(b)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化
(c)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化
(d)マンガンポルフィリン又は鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素又は次亜塩素酸塩による酸化
(e)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素又は次亜塩素酸塩による酸化
(f)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化
(g)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化
上記(a)〜(g)の方法の中でも、活性面で特に(a)および(g)の方法が好ましい。
Ep(%)=SD×200/(SC+SD+SE)
(R3は炭素数1〜20のアルキル基、-Y'-W(Y’は2価の炭化水素基又は2価のポリアルキレングリコール基を表し、Wは水酸基、-NHR’(R'は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す)を表し、W'は水酸基又は-NHR’(R'は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)で示される化合物を、触媒の存在下又は非存在下反応させることにより得ることができる。
一般式(I)、(II)で示される構造を少なくとも一つ含有してなる樹脂(以降、本発明の樹脂と呼称する)は、一般式(V)で表される構造を含有する樹脂と、一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体の反応により製造することができる。
本発明の樹脂は水性塗料用途として好適であり、水性塗料に少量添加することにより耐傷付き性を付与し、かつ潤滑性も良い塗膜を形成することが出きる。
<末端エポキシ基含有重合体Aの製造>
原料の片末端二重結合含有エチレン重合体aは特開2001−2731号公報の実施例8に従って合成した。重合物はホモポリエチレンで、Mw=1,900,Mw/Mn=2.24(GPC)、片末端ビニル基含有率=92.4%、融点(Tm)=123℃(DSC)であった。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88(t,3H, J = 6.9 Hz), 1.18 - 1.66 (m), 2.38 (dd, 1H, J = 2.6, 5.2 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.3, 5.3 Hz), 2.80 - 2.87 (m, 1H)
融点(Tm)121℃
Mw=2,058、Mw/Mn=1.84(GPC)
硬度(針入度) 0mm
溶融粘度 189cp(140℃)
軟化点 130℃
5%減量温度 344℃(Thermogravimetric Analysis(TGA))
末端エポキシ基含有率=90%(1H−NMRから計算)
<α,β-ジヒドロキシポリエチレンの製造>
片末端二重結合含有重合体a 100g(Mn 850として、ビニル基108mmol)、トルエン300g、Na2WO4 1.79g(5.4mmol)、CH3(n-C8H17)3NHSO4 1.27g(2.7mmol)、りん酸 0.23g(2.7mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶解させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。反応混合物を1H−NMRで測定することにより、末端オレフィンが100%、エポキシ基に変性していることを確認した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加し、30分撹拌した。過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。内温80℃に冷却後、2-プロパノールを30分かけてゆっくり加えながら生成物を晶析させ、そのスラリー液を65℃で1時間撹拌した後、固体をろ取し、2-プロパノールで洗浄した。得られた固体を室温で、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。60℃、1〜2hPaの減圧下乾燥させることによりα,β−ジヒドロキシポリエチレン(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:水素原子、Y:直結、W:水酸基)の白色固体106.6gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.89(t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.05 - 1.84 (m), 3.41 (dd, 2H, J = 5.9, 9.9 Hz), 3.57- 3.63(m, 1H)
IR (cm-1) 3437, 2918, 1473, 719
融点(Tm)122℃
硬度(針入度) 0mm
溶融粘度 214cp(140℃)
軟化点 129℃
5%減量温度 297℃(TGA)
<末端エポキシ基含有重合体Bの製造>
原料の片末端二重結合含有エチレン重合体bは以下のように製造した。
1H-NMR δ(C6D6) 0.81(t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.10 - 1.45 (m), 1.95 (m, 2H), 4.84 (dd, 1H, J = 9.2, 1.6 Hz), 4.91 (dd,1H, J = 17.2, 1.6 Hz), 5.67 - 5.78 (m, 1H)
融点(Tm)116℃(DSC)
Mw=1,490,Mw/Mn=2.5(GPC)
片末端ビニル化率=94%(1H−NMRから計算)
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88(t,3H, J = 6.6 Hz), 1.04 - 1.50 (m), 2.38 (dd, 1H, J = 2.6, 5.3 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.0, 5.3 Hz), 2.80 - 2.87 (m, 1H)
融点(Tm)119℃
Mw=1,583、Mw/Mn=1.84(GPC)
硬度(針入度)0.1mm
溶融粘度86cp(140℃)
軟化点125℃
5%減量温度323℃(TGA)
末端エポキシ基含有率=90%(1H−NMRから計算)
300 mLセパラブルフラスコにNaOH 4.04g (101 mmol)、2−メトキシエタノール7.40g (97 mmol)、トルエン5.0g を仕込み、110℃で30分撹拌した。ついで、この溶液に製造例1で合成した末端エポキシ基含有重合体A 10.0g(Mn 1,120として8.93 mmol)とトルエン15.0 gを加え、110℃にて8時間撹拌した。その後、1モル/L塩酸水溶液を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加えて反応生成物を晶析させた後、固体をろ取した。得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とアセトンの混合溶液で撹拌洗浄し、更にメタノール水溶液で2回、アセトンで2回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後室温にて減圧下乾燥させることにより、エポキシ転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:2-メトキシエチル基、Y:直結、W:水酸基)の固体10.1gを得た。物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 0.96-1.63 (m), 3.30 (dd, 1H, J = 7.6, 9.9 Hz), 3.33 (s, 3H), 3.47 (dd, 1H, J = 3.3, 9.9 Hz), 3.47-3.54 (m, 2H) 3.58-3.64 (m, 2H) 3.67-3.77 (m, 1H)
融点 (Tm) = 121℃
IR (cm-1) 3430, 2919, 1474, 1116, 719
1000 mLセパラブルフラスコに、製造例3で製造した末端エポキシ基含有重合体B 70.0 g(Mn 860として81.4 mmol)、エチレンジアミン31.2 g (519 mmol)、トルエン60 g を仕込み、120℃にて10時間撹拌した。その後、水を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をメタノール水溶液で2回、更にメタノールで1回アセトンで1回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、エポキシ転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=1,540)、R:水素原子、X:水素原子、-Y-W:2−アミノエチルアミノ基)の固体72.0 gを得た。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 0.96-1.61 (m), 3.05-3.97 (m, 7H)
IR (cm-1) 3369, 2916, 1472, 719
融点 (Tm) = 120℃
25mLフラスコに、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:2-メトキシエチル基、Y:直結、W:水酸基)104 mgとスチレン−無水マレイン酸共重合体(岐阜セラック製 GSM−151、スチレン/無水マレイン酸=1/1(モル比)、Mw=1,500) 71mg、トルエン2.0 gを仕込み、150℃にて8時間撹拌した。その後アセトンを加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をメタノールで2回、アセトンで1回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、反応生成物の固体113 mgを得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1780及び1730 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2944、1461及び720 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 2944, 1780, 1730, 1461, 1200, 720, 702
融点 (Tm) = 119℃
実施例1において、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体の代わりに製造例2で合成したα,β-ジヒドロキシポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様の方法により反応を行い、ポリオレフィン鎖を含有する樹脂を得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1780及び1733 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2918、1473及び719 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 3432, 2918, 1780, 1733, 1473, 1140, 719, 701
融点 (Tm) = 119℃
実施例1において、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体の代わりに製造例5で合成した2−アミノエチルアミノ基を含有するビシナル置換型官能基含有重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法により反応を行い、ポリオレフィン鎖を含有する樹脂を得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1781及び1734 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2917、1472及び718 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 2917, 1781, 1734, 1472, 1222, 718, 703
融点 (Tm) = 114℃
また、本発明の樹脂は、特に水性塗料用途として有用であり、塗膜に耐傷付き性を付与することができるとともに、潤滑性も良い塗膜を形成することができる。
Claims (4)
- 重量平均分子量が800〜50,000の範囲にある無水マレイン酸共重合体から導かれる樹脂であって、当該樹脂が、一般式(I)又は(II)で示される構造単位と、他のモノマーから導かれる構造単位を1/10〜10/1のモル比で含有してなる樹脂。
- 他のモノマーが、スチレン、エチレン、イソブチレン、メチルビニルエーテル、1−ドデセン、エチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーである請求項1記載の樹脂。
- 請求項1又は2に記載の樹脂を含有してなる水性塗料組成物。
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