JP2006063167A - ポリオレフィン鎖を含有する樹脂及びその用途 - Google Patents

ポリオレフィン鎖を含有する樹脂及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】 多様なポリオレフィンセグメントを有する新規な樹脂、及び耐傷付き性と潤滑性を塗膜に付与することができる水性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)又は(II)で示される構造を含有してなる樹脂、
Figure 2006063167

(I)

Figure 2006063167

(II)

(式中、Qは、一般式(III)又は(IV)で表される基を表し、Eは酸素原子又は-NR'-(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Zは水素原子又は炭化水素基を表す。)
Figure 2006063167

(III)

Figure 2006063167

(IV)

(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又はポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
並びに、前記の樹脂を含有してなる水性塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、重量平均分子量が400〜500,000のポリオレフィンを側鎖に有するマレイミド構造又はマレイン酸エステル構造を有する新規な樹脂、及びそれを用いた水性塗料組成物に関する。
エチレン系重合体あるいはα−オレフィン重合体は、コスト的、機械的特性に優れ、様々な樹脂製品の原料として最も幅広く使用されている。しかしながら、分子構造が非極性であり、他物質との親和性に乏しいため、各種の官能基を導入することが試みられている。
また、導入した官能基を利用して、側鎖にポリオレフィン骨格を有する極性樹脂を得る試みが種々なされており、極性樹脂とポリオレフィン系樹脂の相溶化剤、接着剤、物性改良材として利用されてきた。
側鎖にポリオレフィン骨格を有する極性樹脂の製造方法としては、重合可能な官能基を保有するポリマーすなわちマクロモノマーを他の極性樹脂モノマーと共重合する方法(特許文献1)、両者とも反応性の官能基を保有する極性樹脂とポリオレフィン樹脂を反応させる方法(特許文献2)が知られている。特に、後者の方法で得られる櫛形ブロックポリマーは水性塗料用途に利用できるが、反応性の官能基を保有するポリオレフィン樹脂が、末端に水酸基を保有するポリエチレンに限定されているため構造の多様性がなく使用範囲が限定されていた。
特開平2004−143403号公報 特開2003−268294号公報
本発明の課題は、多様なポリオレフィンセグメントを保有し、主鎖にマレイミド構造又はマレイン酸エステル構造を有する新規な樹脂、及びそれを用いた水性塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、無水マレイン酸構造を有する樹脂とビシナル置換型官能基含有重合体とを反応させれば多様なポリオレフィンセグメントを有する極性樹脂を安価に製造することができ、また、この樹脂を水性塗料に添加すれば、耐傷付き性を付与することができるとともに、潤滑性も良好な塗膜を形成することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、
[1] 一般式(I)又は(II)で示される構造を含有してなる樹脂、
Figure 2006063167
(I)
Figure 2006063167
(II)
(式中、Qは、一般式(III)又は(IV)で表される基を表し、Eは酸素原子又は-NR'-(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Zは水素原子又は炭化水素基を表す。)
Figure 2006063167
(III)
Figure 2006063167
(IV)
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又はポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
[2] 一般式(V)で示される構造を含有する樹脂と、一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体とを反応させることを特徴とする、一般式(I)又は(II)で示される構造を含有する樹脂の製造方法、及び
Figure 2006063167
(V)
Figure 2006063167
(VI)
Figure 2006063167
(VII)
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又はポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Wは水酸基又は-NHR'(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
[3] [1]に記載の樹脂を含有してなる水性塗料組成物
に関する。
本発明の樹脂は、多様なポリオレフィンセグメントを保有し、主鎖に(ポリ)マレイミド構造又は(ポリ)マレイン酸エステル構造を有する新規な樹脂であり、従来の極性樹脂よりも応用範囲が広い。しかも、本発明の樹脂は、該樹脂の基となる末端官能基含有ポリオレフィンとして高価なモノマー原料を使用しないため経済性の面において有利である。
また、本発明の樹脂を水性塗料に添加すれば、塗膜に耐傷付き性を付与することができるとともに、潤滑性も良好な塗膜を形成することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂は、一般式(I)又は(II)で示される構造を少なくとも一つ有する樹脂である。
Figure 2006063167
(I)
Figure 2006063167
(II)
(式中、Qは、一般式(III)又は(IV)で表される基を表し、Eは酸素原子又は-NR'-(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Zは水素原子又は炭化水素基を表す。)
Figure 2006063167
(III)
Figure 2006063167
(IV)
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又は2価のポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
一般式(II)において、Zの炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。アルキル基としては、直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、直鎖又は分岐の炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。また、アリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
Eは酸素原子又は -NR'- を表す。
R'で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。
一般式(III)、(IV)において、Aで表される基を形成する炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられ、重合体としては、これらのオレフィンの単独あるいは相互の重合体あるいは、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであっても良い。この中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
Aで表される基のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により測定した重量平均分子量(Mw)は、400〜500,000であり、好ましくは800〜200,000であり、更に好ましくは1,000〜100,000である。ここでMwとはポリスチレン換算値である。
Aで表される基の、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、1.0〜数十のものが得られ、水性塗料に用いることができるが、物性の均一性などが要求される場合は4.0以下のもの、特に3.0以下のものが好ましく用いられる。
Aで表される基の重量平均分子量(Mw)は、例えば、後述の、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は以下のようにして測定した。
測定装置:ミリポア社製GPC−150
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(BHT:武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計
Rとしては、Aを構成するオレフィンの二重結合に結合した置換基である水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素残基であり、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基などである。
Xで表される炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。具体的には一般式(II)のZと同等のものが挙げられる。
Xで表されるポリアルキレングリコール基としては一般式(VIII)
Figure 2006063167
(VIII)
(式中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、nは1〜10000の整数を表す)で表される基である。
のアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、エチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等が挙げられる。Rは単独のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
のアルキル基としては、直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。
一般式(III)又は(IV)において、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又は2価のポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。
Y'で表される2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基が結合していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、エチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等が挙げられる。
Y'で表される2価のポリアルキレングリコール基としては一般式(IX)
Figure 2006063167
(IX)

(式中、Rおよびnは一般式VIIIで定義された通り)で表される基である。
本発明の樹脂中の、一般式(I)又は(II)で表される構造単位の含有量には制限はないが、樹脂の用途により好ましい範囲は異なる。
本発明の樹脂は、一般式(V)で表される構造を含有する樹脂と、一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体の反応により製造することができる。
<ビシナル置換型官能基含有重合体の製造方法>
一般式(VI)、(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体(以降、ビシナル置換型官能基含有重合体と呼称する)の製造方法は、下記一般式(X)
Figure 2006063167
(X)

(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であって重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表す)で示される末端エポキシ基含有重合体と後述する反応試剤との反応から製造することができる。
一般式(X)で示される末端エポキシ基含有重合体は一般式(XI)
Figure 2006063167
(XI)

(式中、AおよびRは一般式(X)で定義した通りである)で示される片末端二重結合含有重合体を酸化することにより得ることができる。
当該片末端二重結合含有重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(i)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(ii)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(iii)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(iv)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
上記(i)〜(iv)の方法の中でも、特に(i)の方法によれば、上記ポリオレフィンを収率よく製造することができる。(i)の方法では、上記サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物の存在下で、前述したオレフィンを重合又は共重合することで上記片末端二重結合含有重合体を製造することができる。
(i)の方法によるオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法又は気相重合法のいずれによっても実施できる。詳細な条件などは既に公知であり上記特許文献を参照することができる。
本発明の樹脂中の、1H-NMRで測定されたビニル又はビニリデン型の二重結合の割合(以下の説明では、この割合を「片末端二重結合基含有率」と表記する)は、全片末端の50%以上であり、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。1H-NMRについては、測定サンプル管中で樹脂を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
エチレンのみからなる低分子量重合体中の片末端二重結合基含有率は、1H-NMRによって決定される。該重合体の各プロトンのピークは、末端の飽和メチル基に基づく3プロトン分のピーク(A)が0.65〜0.85ppm、ビニル基に基づく3プロトン分のピーク(B)が4.70〜5.0ppmと5.5〜5.8ppmに観測される。各ピーク(A)および(B)のピーク面積を各々SおよびSとすれば、二重結合含有率(U%)は、下記式にて算出される。

U(%)=S×200/(S+S

(i)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、又は使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
次に、上記片末端二重結合含有重合体をエポキシ化して、すなわち上記ポリオレフィンの末端の二重結合を酸化して、一般式(X)で示される末端にエポキシ基を含有する重合体の製造方法について以下に示す。
かかるエポキシ化方法は特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(a)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化
(b)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化
(c)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化
(d)マンガンポルフィリン又は鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素又は次亜塩素酸塩による酸化
(e)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素又は次亜塩素酸塩による酸化
(f)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化
(g)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化
上記(a)〜(g)の方法の中でも、活性面で特に(a)および(g)の方法が好ましい。
末端エポキシ基含有重合体の全片末端中のエポキシ含有率は1H-NMRによって決定される。例えば、エチレンのみからなる片末端二重結合含有重合体をエポキシ化して得られた末端エポキシ基含有重合体の場合、飽和末端におけるメチル基の3プロトン分のピーク(C)が0.65〜0.9ppm、エポキシ基付け根の3プロトン分のピーク(D)が1プロトンずつ2.3〜2.4ppm、2.6〜2.7ppm、2.8〜2.9ppmに観測される。エポキシ変性が十分でない場合は、末端二重結合の3プロトン分のピーク(E)が4.70〜5.0ppmに2プロトン、5.5〜5.8ppmに1プロトン観測される。各ピーク(C)、(D)および(E)のピーク面積を各々S、SおよびSとすれば、エポキシ基含有率(Ep(%))は下記式にて算出される。

Ep(%)=S×200/(S+S+S
一般式(VI)、(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体は、末端エポキシ基含有重合体と一般式(XII)
Figure 2006063167
(XII)

(Rは炭素数1〜20のアルキル基、-Y'-W(Y’は2価の炭化水素基又は2価のポリアルキレングリコール基を表し、Wは水酸基、-NHR’(R'は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す)を表し、W'は水酸基又は-NHR’(R'は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)で示される化合物を、触媒の存在下又は非存在下反応させることにより得ることができる。
一般式(XII)で表される化合物(以下、反応剤Aと表記する)としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、10-ブロモデカノール、パーフルオロオクタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノール、4−メトキシフェノール、4−メトキシカルボニルフェノール等のアルコール類; グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類; モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1−クロロ−2,3−プロパンジオール、1−メトキシ−2,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンメタンジオール等のポリアルキレングリコール類; アンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、1−エチルプロピルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、tert-ブチルアミン、ヘキシルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノヘキサン、ジエチレントリアミン、N-(2−アミノエチル)-1,3−プロパンジアミン、3,3'-イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、trans-1,4−ジアミノシクロヘキサン、ベンジルアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、4−アミノメチル−1,7−ヘプタンジアミン、アニリン、3−クロロアニリン、p-トルイジン、4−アミノフェノール、4,4'-メチレンジアニリン、1,3−フェニレンジアミン、1−アミノナフタレン、ジェファーミン類(登録商標)等を挙げることができる。ジェファーミン(登録商標)としては末端にアミノ基を含有するポリアルキレングリコール類全てを含むものとする。
反応において使用できる触媒としては、下記に示した酸触媒又は塩基触媒を挙げることができる。
酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、アンバーリスト-15(登録商標)等の固体酸類、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、四塩化スズ、二塩化亜鉛等のルイス酸を挙げることができる。
塩基触媒としては例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等の有機アミン類、アンバーリスト−21(登録商標)、アンバーリスト−93(登録商標)等の弱塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。
酸又は塩基触媒の使用量は、末端エポキシ基含有重合体に対して、0.01〜10質量倍が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量倍、最も好ましくは0.5〜2質量倍である。これらの酸又は塩基触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても構わない。
反応溶媒としては、原料の末端エポキシ基含有重合体に対して不活性なものが使用でき、例えばn-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエタン、パークロルエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。原料の末端エポキシ基含有重合体がその溶媒に対して不溶でない限り、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料の末端エポキシ基含有重合体に対し0.8〜100質量倍が好ましく、より好ましくは1〜50質量倍、更に好ましくは2〜20質量倍である。
反応は、例えば次のようにして行うことができる。反応器に、末端エポキシ基含有重合体、反応剤A、必要な場合、酸又は塩基触媒を入れて混合し、均一に溶解するまで昇温する。ここで反応剤Aをあらかじめアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩として使用してもよい。反応温度は用いる末端エポキシ基含有重合体が溶解する温度が好ましい。反応温度は、25〜300℃が好ましく、より好ましくは50〜250℃、更に好ましくは80〜200℃である。使用する化合物、溶媒によっては反応温度が沸点を超える場合があるためオートクレーブ等適切な反応装置を選択する。反応時間は使用する触媒の量、反応温度、重合体類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分から50時間である。
反応後は晶析操作、洗浄等の簡単な操作により、過剰の触媒、反応剤A、反応溶媒を除去して目的とするビシナル置換型官能基含有重合体を得ることができる。上記反応において、原料の末端エポキシ基含有重合体の製造工程から単離精製せずに上記反応を実施することもできる。
<一般式(I)、(II)で示される構造を含有してなる樹脂の製造方法>
一般式(I)、(II)で示される構造を少なくとも一つ含有してなる樹脂(以降、本発明の樹脂と呼称する)は、一般式(V)で表される構造を含有する樹脂と、一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体の反応により製造することができる。
一般式(V)で表される構造を含有する樹脂(以降、無水マレイン酸共重合体と呼称する)としては、無水マレイン酸構造を主鎖に含むものならばどのようなものでも良いが、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、1−ドデセン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。これらの共重合体は交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体又は共重合状況が無指定のもの等どのような形態であっても良い。これらの共重合体の無水マレイン酸と他のモノマーのモル比は、1/10〜10/1、好ましくは1/5〜5/1である。これらの共重合体の重量平均分子量は、500〜100,000,好ましくは800〜50,000である。これらの共重合体は、様々な重合比率のものが種々市販されている。
常法に従い、一般式(VI)又は(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体中の水酸基又はアミノ基と、一般式(V)で表される構造を含有する樹脂中の酸無水物基とを反応させればよい。反応を促進する目的で、反応触媒を用いてもよい。かかる反応触媒としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩が好適に用いられる。
本発明の樹脂は、無水マレイン酸共重合体と、水又はアルコール類とを反応させることにより生じるカルボキシル基と一般式(X)で表される末端エポキシ基含有重合体との反応によっても得ることができる。
<本発明の樹脂の用途>
本発明の樹脂は水性塗料用途として好適であり、水性塗料に少量添加することにより耐傷付き性を付与し、かつ潤滑性も良い塗膜を形成することが出きる。
水性塗料組成物として用いる本発明の樹脂において、一般式(III)又は(IV)のAで表される基の重量平均分子量は、800ないし5,000の範囲が好ましく、より好ましくは1,000ないし3,000の範囲である。
本用途に使用する場合の無水マレイン酸共重合体、すなわち無水マレイン酸構造を主鎖に含む樹脂の重量平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましい。無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸と他のモノマーのモル比は1/1〜3/1であることが好ましい。他のモノマーよりも無水マレイン酸の方が多くなると、重合しにくくなるため、共重合体が出来難い。一方他のモノマーがモル比で無水マレイン酸の3倍よりも多いと、得られる共重合体を用い本発明の重合体を得た場合、その親水性が乏しくなり、これを含有した水性塗料組成物の塗装性が悪くなる傾向にある。
本発明の樹脂を含有する塗料組成物は、本発明の樹脂をそのまま塗料組成物の主たる構成成分に添加することもできるし、あるいは、本発明の樹脂を水性化した後に、水性塗料組成物の主たる構成成分に添加することもできる。
本発明の樹脂を、そのまま塗料組成物の主たる構成成分に添加する方法について説明する。
本発明の樹脂は、元来、疎水性のビシナル置換型官能基含有重合体中の水酸基又はアミノ基と無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基とを反応せしめてなるものであり、水親和性は乏しい。しかし、ビシナル置換型官能基含有重合体と共に単官能の水酸基を有する水溶性化合物を共存させて、無水マレイン酸共重合体と反応させることにより、本発明の樹脂を水性媒体中に分散させることができるようになるので、本発明の樹脂を、そのまま塗料組成物の主たる構成成分に添加することができる。
用いられる単官能の水酸基を有する水溶性化合物としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール系溶剤等を用いることができる。
次に本発明の樹脂の水性分散化について説明する。
ビシナル置換型官能基含有重合体中の水酸基又はアミノ基と無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基との反応、又はビシナル置換型官能基含有重合体及び併用する単官能水酸基含有水溶性化合物中の水酸基と無水マレイン酸共重合体中の酸無水物基との反応によって酸無水物基が開環し、カルボキシル基が生じる。このカルボキシル基を塩基化合物で中和すれば、本発明の樹脂を水性媒体中に分散せしめることができるようになる。塩基化合物を反応生成物に添加してもよいし、塩基化合物に反応生成物を加えてもよい。あるいは塩基化合物を含有する水性媒体に本発明の樹脂を加えてもよいし、塩基化合物を含有する水性媒体を本発明の樹脂に加えてもよい。
用いられる塩基化合物としては、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアルカノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンのようなジアルキルアルカノールアミン、アンモニア等の揮発性塩基化合物が挙げられる。さらに水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等も使用できる。水性媒体としては、水単独、主成分たる水に親水性有機溶剤を併用したものが挙げられる。
本発明の樹脂が配合される水性塗料組成物の主たる構成成分としては、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらを2種以上併用することが好ましい。本発明の樹脂は、通常,水性塗料組成物の主たる構成成分(固形分)100質量部に対して、0.01〜10質量部程度配合することが好ましい。
本発明の水性塗料組成物が塗装される下地基材としては、アルミニウム板、錫メッキ鋼板、クロム処理鋼板、ニッケル処理鋼板又は、ポリエステル、ポリオレフィン、などのプラスチックフイルムで被覆された鋼板、又は、これらのものを円筒形に成型加工された金属缶(飲料缶)および、これらの金属板、プラスチックフイルムで被覆された鋼板および金属缶に塗装又は、印刷したものなどが挙げられる。
本発明の水性塗料組成物は、通常行われる方法で塗装することができるが、金属板については、ロールコーターで塗装することが好ましく、成型加工された金属缶にあっては、2ピース缶用塗装機で塗装することが、好ましい。
本発明の水性塗料組成物は、通常の焼付け条件で硬化させることができる。すなわち、ロールコーター塗装する場合は、150〜220℃で5〜20分、2ピース缶用塗裝機で塗裝する場合は、180〜250℃で15秒〜3分が適当である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[製造例1]
<末端エポキシ基含有重合体Aの製造>
原料の片末端二重結合含有エチレン重合体aは特開2001−2731号公報の実施例8に従って合成した。重合物はホモポリエチレンで、Mw=1,900,Mw/Mn=2.24(GPC)、片末端ビニル基含有率=92.4%、融点(Tm)=123℃(DSC)であった。
500mLセパラブルフラスコに上記片末端二重結合含有重合体a100g(Mn 850として、ビニル基108mmol)、トルエン300g、NaWO 0.85g(2.6mmol)、CH3(n-C817)3NHSO4 0.60g(1.3mmol)、りん酸 0.11g(1.3 mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶解させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水 37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加し、30分撹拌した。過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温で、50%メタノール水溶液中で撹拌した後、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、末端エポキシ基含有エチレン重合体Aの白色固体96.3gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88(t,3H, J = 6.9 Hz), 1.18 - 1.66 (m), 2.38 (dd, 1H, J = 2.6, 5.2 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.3, 5.3 Hz), 2.80 - 2.87 (m, 1H)
融点(Tm)121℃
Mw=2,058、Mw/Mn=1.84(GPC)
硬度(針入度) 0mm
溶融粘度 189cp(140℃)
軟化点 130℃
5%減量温度 344℃(Thermogravimetric Analysis(TGA))
末端エポキシ基含有率=90%(H−NMRから計算)
[製造例2]
<α,β-ジヒドロキシポリエチレンの製造>
片末端二重結合含有重合体a 100g(Mn 850として、ビニル基108mmol)、トルエン300g、NaWO 1.79g(5.4mmol)、CH3(n-C817)3NHSO4 1.27g(2.7mmol)、りん酸 0.23g(2.7mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶解させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。反応混合物をH−NMRで測定することにより、末端オレフィンが100%、エポキシ基に変性していることを確認した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加し、30分撹拌した。過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。内温80℃に冷却後、2-プロパノールを30分かけてゆっくり加えながら生成物を晶析させ、そのスラリー液を65℃で1時間撹拌した後、固体をろ取し、2-プロパノールで洗浄した。得られた固体を室温で、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。60℃、1〜2hPaの減圧下乾燥させることによりα,β−ジヒドロキシポリエチレン(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:水素原子、Y:直結、W:水酸基)の白色固体106.6gを得た(収率99%、オレフィン転化率100%)。物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.89(t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.05 - 1.84 (m), 3.41 (dd, 2H, J = 5.9, 9.9 Hz), 3.57- 3.63(m, 1H)
IR (cm-1) 3437, 2918, 1473, 719
融点(Tm)122℃
硬度(針入度) 0mm
溶融粘度 214cp(140℃)
軟化点 129℃
5%減量温度 297℃(TGA)
[製造例3]
<末端エポキシ基含有重合体Bの製造>
原料の片末端二重結合含有エチレン重合体bは以下のように製造した。
触媒は下記式(XIII)で示される触媒をWO0249995号公報のExample 1 に従って合成した。
Figure 2006063167
(XIII)
充分に窒素置換した内容積1000mLのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mlを装入し、室温でエチレン100リットル/hrで15分間、液相及び気相を飽和させた。続いて80℃に昇温した後、エチレン8kg/cm2Gに昇圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/mL)0.5mL(0.5mmol)を圧入し、ついで化合物(XIII)のトルエン溶液(0.0002mmol/mL)1mL(0.0002mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、80℃で15分間重合を行った後、5mLのメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液から溶媒を留去し、130℃にて10時間減圧乾燥した。
得られた片末端二重結合含有エチレン重合体bは16.0gであり、物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C6D6) 0.81(t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.10 - 1.45 (m), 1.95 (m, 2H), 4.84 (dd, 1H, J = 9.2, 1.6 Hz), 4.91 (dd,1H, J = 17.2, 1.6 Hz), 5.67 - 5.78 (m, 1H)
融点(Tm)116℃(DSC)
Mw=1,490,Mw/Mn=2.5(GPC)
片末端ビニル化率=94%(H−NMRから計算)
原料を上記片末端二重結合含有重合体bに変えた以外は製造例1と同様にして末端エポキシ基含有重合体Bを得た。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88(t,3H, J = 6.6 Hz), 1.04 - 1.50 (m), 2.38 (dd, 1H, J = 2.6, 5.3 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.0, 5.3 Hz), 2.80 - 2.87 (m, 1H)
融点(Tm)119℃
Mw=1,583、Mw/Mn=1.84(GPC)
硬度(針入度)0.1mm
溶融粘度86cp(140℃)
軟化点125℃
5%減量温度323℃(TGA)
末端エポキシ基含有率=90%(H−NMRから計算)
[製造例4]
300 mLセパラブルフラスコにNaOH 4.04g (101 mmol)、2−メトキシエタノール7.40g (97 mmol)、トルエン5.0g を仕込み、110℃で30分撹拌した。ついで、この溶液に製造例1で合成した末端エポキシ基含有重合体A 10.0g(Mn 1,120として8.93 mmol)とトルエン15.0 gを加え、110℃にて8時間撹拌した。その後、1モル/L塩酸水溶液を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加えて反応生成物を晶析させた後、固体をろ取した。得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とアセトンの混合溶液で撹拌洗浄し、更にメタノール水溶液で2回、アセトンで2回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後室温にて減圧下乾燥させることにより、エポキシ転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:2-メトキシエチル基、Y:直結、W:水酸基)の固体10.1gを得た。物性は以下の通り。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 0.96-1.63 (m), 3.30 (dd, 1H, J = 7.6, 9.9 Hz), 3.33 (s, 3H), 3.47 (dd, 1H, J = 3.3, 9.9 Hz), 3.47-3.54 (m, 2H) 3.58-3.64 (m, 2H) 3.67-3.77 (m, 1H)
融点 (Tm) = 121℃
IR (cm-1) 3430, 2919, 1474, 1116, 719
[製造例5]
1000 mLセパラブルフラスコに、製造例3で製造した末端エポキシ基含有重合体B 70.0 g(Mn 860として81.4 mmol)、エチレンジアミン31.2 g (519 mmol)、トルエン60 g を仕込み、120℃にて10時間撹拌した。その後、水を添加し反応を停止させ、更にアセトンを加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をメタノール水溶液で2回、更にメタノールで1回アセトンで1回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、エポキシ転化率100%で、対応するビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=1,540)、R:水素原子、X:水素原子、-Y-W:2−アミノエチルアミノ基)の固体72.0 gを得た。
1H-NMR δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 0.96-1.61 (m), 3.05-3.97 (m, 7H)
IR (cm-1) 3369, 2916, 1472, 719
融点 (Tm) = 120℃
[実施例1]
25mLフラスコに、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体(一般式(VI)、(VII)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=2,015)、R:水素原子、X:2-メトキシエチル基、Y:直結、W:水酸基)104 mgとスチレン−無水マレイン酸共重合体(岐阜セラック製 GSM−151、スチレン/無水マレイン酸=1/1(モル比)、Mw=1,500) 71mg、トルエン2.0 gを仕込み、150℃にて8時間撹拌した。その後アセトンを加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をメタノールで2回、アセトンで1回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、反応生成物の固体113 mgを得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1780及び1730 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2944、1461及び720 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 2944, 1780, 1730, 1461, 1200, 720, 702
融点 (Tm) = 119℃
[実施例2]
実施例1において、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体の代わりに製造例2で合成したα,β-ジヒドロキシポリエチレンを用いた以外は実施例1と同様の方法により反応を行い、ポリオレフィン鎖を含有する樹脂を得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1780及び1733 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2918、1473及び719 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 3432, 2918, 1780, 1733, 1473, 1140, 719, 701
融点 (Tm) = 119℃
[実施例3]
実施例1において、製造例4で合成したビシナル置換型官能基含有重合体の代わりに製造例5で合成した2−アミノエチルアミノ基を含有するビシナル置換型官能基含有重合体を用いた以外は実施例1と同様の方法により反応を行い、ポリオレフィン鎖を含有する樹脂を得た。反応は、IR解析において、原料であるGSM−151の酸無水物に由来する1858及び1784 cm-1の吸収が生成物において1781及び1734 cm-1にシフトしたこと、さらには生成物においてポリエチレンに由来する2917、1472及び718 cm-1の吸収が認められたことより定量的に進行したことを確認した。物性は以下の通り。
IR (cm-1) 2917, 1781, 1734, 1472, 1222, 718, 703
融点 (Tm) = 114℃
本発明に係る新規な樹脂は、多様なポリオレフィンセグメントを有する極性樹脂であり、従来の極性樹脂よりも応用範囲が広い。しかも、本発明の樹脂は、該樹脂の基となる末端官能基含有ポリオレフィンとして高価なモノマー原料を使用しないため経済性の面において有利である。
また、本発明の樹脂は、特に水性塗料用途として有用であり、塗膜に耐傷付き性を付与することができるとともに、潤滑性も良い塗膜を形成することができる。

Claims (3)

  1. 一般式(I)又は(II)で示される構造を含有してなる樹脂。
    Figure 2006063167
    (I)

    Figure 2006063167
    (II)

    (式中、Qは、一般式(III)又は(IV)で表される基を表し、Eは酸素原子又は-NR'-(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Zは水素原子又は炭化水素基を表す。)
    Figure 2006063167
    (III)

    Figure 2006063167
    (IV)

    (式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又はポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
  2. 一般式(V)で示される構造を含有する樹脂と、一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるビシナル置換型官能基含有重合体とを反応させることを特徴とする、一般式(I)又は(II)で示される構造を含有する樹脂の製造方法。
    Figure 2006063167
    (V)

    Figure 2006063167
    (VI)

    Figure 2006063167
    (VII)

    (式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合体であり、重量平均分子量が400〜500,000のものを表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ポリアルキレングリコール基を表し、Yは直結、又は -O-Y'-、-NR'-Y'-(Y'は2価の炭化水素基又はポリアルキレングリコール基を表し、R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、Wは水酸基又は-NHR'(R'は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表す。)
  3. 請求項1に記載の樹脂を含有してなる水性塗料組成物。
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