JP3874545B2 - 水溶性エポキシ樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

水溶性エポキシ樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業上有用な高分子材料であるエポキシ樹脂の水溶性エポキシ樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来エポキシ樹脂は、その耐溶剤性、耐水性、防錆性、耐摩耗性等の有用な高分子材料として、様々な産業分野で用いられてきた。特に塗料分野ではこれらの性質を利用した塗料が多く市販されている。
【0003】
ところで、これらの塗料分野で用いられているエポキシ樹脂の多くは、有機溶剤を主溶剤とする溶剤可溶型エポキシ樹脂である。
しかし、近年、環境問題に対応すべく水性塗料が注目されており、様々な樹脂系で試みられており、商品化されている。エポキシ樹脂に関しても、その水性化方法が発明されている。例えば、エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するアクリルモノマーを、過酸化物系ラジカル開始剤を用いて水素引き抜き反応を利用したグラフト重合から得られたものや、特開平10−183055号公報に例示されるようなエポキシ樹脂をポリオキシアルキルアミンと反応させてから得られるものが挙げられている。
【0004】
ところで、これらのエポキシ樹脂を水性化する方法は、いずれもエポキシ樹脂骨格の他にアクリル樹脂やポリオキシアミン等の構造が樹脂構造中に導入されるため、連続的なエポキシ樹脂骨格を得ることと、水性化させることとのバランスを保つことが困難である。
【0005】
例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂をエポキシ樹脂に導入する方法による水溶性エポキシ樹脂の場合、エポキシ樹脂の分子量を増加させる際には、共重合されうるアクリル樹脂の酸価や相溶化パラメーター(Sp値)のバランスを考慮しなければならなく、さらに、樹脂自体の安定性がエポキシ樹脂に対するアクリル樹脂のグラフト化率に左右され、設計が煩雑である。また、得られた樹脂は分岐構造が多くなるため、分子量の割には粘度が高く、実用上使用しにくいものとなる。
【0006】
一方、ポリオキシアミンをエポキシ樹脂と共重合する場合は、得られる水溶性エポキシ樹脂は直鎖状のポリマーが得られるが、水性化するのに必要なオキシエチレン鎖の含有量が増し、エポキシ樹脂特有の剛直な樹脂骨格が得られなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ樹脂の骨格をそのまま残し、自由な設計度を有する、新規な水溶性エポキシ樹脂組成物、及びその製法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる所望、すなわち、エポキシ樹脂の骨格をそのまま残し、自由な設計度を有し、かつ水性化させるべく、鋭意検討した結果、非プロトン系水溶性有機溶剤中で、一分子鎖中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と多官能アミンを用いて重付加反応を行い、得られた変性エポキシ樹脂にカルボキシル基を導入し、さらに中和することによりエポキシ樹脂を自由に水性化させ得る知見を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、[1] 下記一般式(1)(化3)で表せられる多官能アミン変性エポキシ樹脂の変性物
【化3】
Figure 0003874545
(式(1) 中、X1 はエポキシ基と多官能アミン、又はエポキシ基と下記一般式(2)(化4)
【化4】
Figure 0003874545
(式(2) 中、R2 は多官能アルカノールアミン由来構造のものを示し、X3 飽和無水カルボン酸由来構造のものを示す。)で表せられる多官能アルカノールアミン無水カルボン酸付加物と付加反応したもののうち、活性プロトンを1個以上有する構造のものを示す。X2 はエポキシ基と多官能アミン、又は上記一般式(2)(化2)で表せられる多官能アルカノールアミン無水カルボン酸付加物と付加反応した構造のものを示し、X3 飽和無水カルボン酸由来構造のものを示す。また、R1 は1分子鎖中2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂由来構造のものを示し、n及びmはゼロではない整数を示す。)であり、また、[2] 上記[1]記載の多官能アミン変性エポキシ樹脂変性物を必須成分として含んでなる水溶性エポキシ樹脂組成物であり、また、[3] 水溶性有機溶剤中で、一分子鎖中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と多官能アミンを用いて重付加反応を行い、得られた変性エポキシ樹脂にカルボキシル基を導入し、次いで中和することを特徴とする上記[2]記載の水溶性エポキシ樹脂組成物の製造方法であり、また、[4] 一分子鎖中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と多官能アミンを用いて重付加反応させる際に、多官能アミン中の活性水素のモル数(B)に対するエポキシ基のモル数(A)の比(すなわちA/B)を、0を越えかつ1未満の範囲として行うことを特徴とする、上記[3]に記載の水溶性エポキシ樹脂組成物の製造方法であり、また、[5] 水溶性有機溶剤が非プロトン系有機溶剤である上記[3]又は[4]に記載の水溶性エポキシ樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
この樹脂組成物及びその製造方法において、用いられるエポキシ樹脂としては、一分子鎖中にエポキシ基を2個以上もつものであればよく、例えば、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのε−カプロラクトン開環付加物、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、ポリブタジエン叉はポリサルファイドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物等であり、好ましくはビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルである。
【0011】
本発明の水溶性エポキシ樹脂組成物の製法を例示すれば、ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)等の一般的な樹脂製造用反応容器を用い、先ず、エポキシ樹脂を非プロトン系水溶性有機溶剤に溶解させる。
【0012】
この際、アルコール・セロソルブ等のプロトン系水溶性有機溶剤を用いたりすると、カルボキシル基を導入する際に、用いた無水カルボン酸が、このプロトン系有機溶剤と反応してしまい、エポキシ樹脂にカルボキシル基が導入されないし、また、低分子のカルボキシル基化合物が生成し、塗料等に用いた際に、水性化不足や物性が著しく低下することにもなり、好ましくない。
【0013】
また、非プロトン系の芳香族系溶剤等を用いて、エポキシ樹脂を多官能アミン変性し、さらに無水カルボン酸でエポキシ樹脂中にカルボキシル基を導入した後、水溶性溶剤に置換する方法では、エポキシ樹脂の溶解力が不足し、エポキシ基と多官能アミンの活性プロトンとの反応を完結させることが困難である。この際、エポキシ基が残存すると、カルボキシル基導入時に、変性エポキシ樹脂中の残存エポキシ基と開環したカルボキシル基との反応が起こり、ゲル化するため実用に向かない。また、エポキシ樹脂の多官能アミンとの重付加反応時に高分子化できないことにもなってしまう。
【0014】
本発明に用いられる非プロトン系有機溶剤としては、ジオキサン等の環状エーテル類、グライム、ジグライム等のオキシエチレン鎖のジアルキルエーテル類、アセトン等が挙げられ、これらを単独でも、あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0015】
なお、カルボキシル基を導入した後に、プロトン系水溶性有機溶剤を追加することは何ら問題ない。この際に追加できる溶剤としては、セロソルブ系溶剤、イソプロピルアルコール、メタノール等のアルコール系溶剤等のプロトン系水溶性溶剤等が挙げられる。
【0016】
次に、この非プロトン系有機溶剤に溶解させたエポキシ樹脂に、エポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比〔(A)/(B)〕が、0より大きく、かつ1より小さくなる範囲で多官能アミンを添加し、100〜110℃で6時間以上反応させる。すると、エポキシ基が完全に多官能アミンで付加された変性エポキシ樹脂が得られる。
【0017】
この際に、エポキシ樹脂にエポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比(A)/(B)を1となる量で反応させたりすると、得られる樹脂は分子量の無限大なものとなってしまうことになる。また、上記比(A)/(B)が1を越えて反応させるような場合は、エポキシ基と多官能アミンの活性プロトンとの反応の際にエポキシ基が残存することになり、カルボキシル基を導入する際にエポキシ基とカルボキシル基との反応が起こってゲル化してしまうようになることから好ましくない。
【0018】
本発明の製造方法で用いられる多官能アミンとは、活性水素を1分子中に2個以上有するアミンである。具体的には、イソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、イソホロンジアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、キシレンジアミン、ジアミンジフェニルメタン、ジアミノスルホン、オクチルアミン、メタフェニレンジアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、トリエチレンテトラミン、テトラメチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、メタセンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。これらのうちでも、本発明では無水カルボン酸と反応しうるアルカノールアミン類を用いるのが、より好ましい。
【0019】
次に、上記により得られた多官能アミン変性エポキシ樹脂の非プロトン系水溶性有機溶剤溶液中に無水カルボン酸を添加し、90〜95℃で反応させると、多官能アミン変性エポキシ樹脂の側鎖にカルボキシル基を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0020】
ここで用いられる無水カルボン酸としては、一分子中にカルボキシル基が2個以上有する化合物の無水物であればよく、例えば、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等があげられる。
【0021】
次に、得られた多官能アミン変性エポキシ樹脂の側鎖にカルボキシル基を有するエポキシ樹脂が非プロトン系溶剤に溶解した樹脂液に塩基性化合物を用いて、カルボキシル基と当量付近以上で中和する。さらに、イオン交換水等で転相することで、水溶性エポキシ樹脂が得られる。
【0022】
ここで用いる塩基性化合物としては、アミン類、アルカリ土類金属の水酸化物及び又はアルカリ金属の水酸化物等があげられ、具体的には、アミン類としてトリエチルアミン、トリエタノールアミン、3−プロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、アンモニア水等であり、特に大きな制限はない。また、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等があげられる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。以下において、%は全て重量基準である。
【0024】
[実施例1]
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)にジグライム60.0g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR302:三井化学(株)製)100g(エポキシ基モル数(A)=0.16モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、エポキシ樹脂が完全に溶解したことを確認した。ここに、モノエタノールアミン7.0g(活性水素モル数(B)=0.23モル)(エポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比(A)/(B)=0.70)を加え、100℃で6時間反応せしめた。続いて、70℃まで冷却し、ここに、無水コハク酸19.7gを添加し、再び95℃まで昇温し1時間反応し、多官能アミン変性エポキシ樹脂の側鎖にカルボキシル基を有するエポキシ樹脂のジグライム溶液を得た。この樹脂液を60℃まで冷却し、29%アンモニア水11.5gを添加し、60℃に保ちながら30分混合攪拌した。ここにイオン交換水175.6gを30分かけて滴下し、水溶性エポキシ樹脂組成物(不揮発分32.8%、ガードナー粘度Z3 +3/4 at25℃、数平均分子量5550、重量平均分子量11870(ポリスチレン換算/ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、酸価29.5KOHmg/g)を得た。
【0025】
[実施例2]
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)にジグライム59.6g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR302:三井化学(株)製)70.0gとポリサルファイドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物(フレップ80:東レチオコール(株)製)30.0g(エポキシ基モル数合計(A)=0.18モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、エポキシ樹脂が完全に溶解したことを確認した。ここに、モノエタノールアミン7.4g(活性水素モル数(B)=0.24モル)(エポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比(A)/(B)=0.75)を加え、100℃で6時間反応せしめた。続いて、70℃まで冷却し、ここに、無水コハク酸19.1gを添加し、再び95℃まで昇温し1時間反応し、多官能アミン変性エポキシ樹脂の側鎖にカルボキシル基を有するエポキシ樹脂のジグライム溶液を得た。この樹脂液を60℃まで冷却し、トリエチルアミン19.3gを添加し60℃に保ちながら30分混合攪拌した。ここにイオン交換水162.3gを30分かけて滴下し、水溶性エポキシ樹脂組成物(不揮発分36.3%、ガードナー粘度J+1/4 at25℃、数平均分子量2700、重量平均分子量14400、酸価33.1KOHmg/g)を得た。
【0026】
[実施例3]
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)にジグライム17.9g、ポリサルファイドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物(フレップ80:東レチオコール(株)製)30.0g(エポキシ基モル数合計(A1 )=0.069モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、ポリサルファイドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物が完全に溶解したことを確認した。ここに、モノエタノールアミン4.2g(活性水素モル数(B1 )=0.138モル)を加え、100℃で6時間反応せしめた。これに、ジグライム41.9gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR302:三井化学(株)製)70.0g(エポキシ基モル数合計(A2 )=0.113モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、エポキシ樹脂が完全に溶解したことを確認した。さらに、100℃に昇温し、4時間目と5時間目で粘度を確認し、粘度上昇が無いことを確認した。ここに、さらに、モノエタノールアミン3.2g(活性水素モル数(B2 )=0.105モル)(エポキシ基のモル数(A1 +A2 )と多官能アミン中の活性水素のモル数(B1 +B2 )との比(A1 +A2 )/(B1 +B2 )=0.75)を加え、100℃で6時間反応せしめた。続いて、70℃まで冷却し、ここに、無水コハク酸19.1gを添加し、再び95℃まで昇温し1時間反応し、多官能アミン変性エポキシ樹脂の側鎖にカルボキシル基を有するエポキシ樹脂のジグライム溶液を得た。この樹脂液を60℃まで冷却し、トリエチルアミン19.3gを添加し60℃に保ちながら30分混合攪拌した。ここにイオン交換水162.3gを30分かけて滴下し、水溶性エポキシ樹脂組成物(不揮発分36.2%、ガードナー粘度I+1/2 at25℃、数平均分子量3000、重量平均分子量15300、酸価32.9KOHmg/g)を得た。
【0027】
[実施例4〜8]
表1中の実験番号(4)〜(8)に示す各エポキシ樹脂及び多官能アミン類、非プロトン系水溶性溶剤、中和用塩基性物質、転相用イオン交換水の種類及び量を変更した以外は、実施例1と同様に操作し、水溶性エポキシ樹脂組成物を得た。
【0028】
【表1】
Figure 0003874545
【0029】
[比較例1]
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)にジグライム60.0g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR302:三井化学(株)製)100g(エポキシ基モル数(A)=0.16モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、エポキシ樹脂が完全に溶解したことを確認した。ここに、モノエタノールアミン4.0g(活性水素モル数(B)=0.13モル)(エポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比(A)/(B)=1.23)を加え、100℃で6時間反応せしめた。続いて、70℃まで冷却し、ここに、無水コハク酸19.7gを添加し、再び95℃まで昇温した。30分後にゲル化が生じた。
【0030】
[比較例2]
ガラス製四つ口フラスコ(撹拌機、温度計、外部加熱機、冷却管、凝縮器及び窒素導入管付き)にトルエン60.0g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポミックR302:三井化学(株)製)100g(エポキシ基モル数(A)=0.16モル)を加え、70℃まで昇温しながら攪拌し、エポキシ樹脂が完全に溶解したことを確認した。ここに、モノエタノールアミン7.0g(活性水素モル数(B)=0.23モル)(エポキシ基のモル数(A)と多官能アミン中の活性水素のモル数(B)との比(A)/(B)=0.70)を加え、100℃で6時間反応せしめた。この際、10gサンプリングしたものは常温にて白濁し、溶剤のトルエンが分離した。続いて反応容器を70℃まで冷却し、ここに、無水コハク酸19.7gを添加し、再び95℃まで昇温した。反応開始後30分で反応器中の樹脂液の粘度が急上昇し、さらにこの5分後にはゲル化するに至った。
【0031】
【表2】
Figure 0003874545
【0032】
【表3】
Figure 0003874545
【0033】
ここで実施例及び比較例に関して説明すると、実施例で得られた1〜8の製造方法からは、容易に水溶性エポキシ樹脂組成物が得られることがわかる。
実施例2はビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリサルファイドの共重合体からなる水溶性エポキシ樹脂が得られた。ポリサルファイド骨格はガラス転位点(Tg)が低く、剛直なエポキシ樹脂に可塑性を容易に付与することができ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリサルファイドの原料比を変化させることによって、連続的にTgを変化させることができる。
【0034】
実施例3は実施例2の原料組成は全く同一であるが、1次反応にて多官能アミンを用いてポリサルファイドの両末端ジグリシジルエーテル修飾物の末端を多官能アミン由来の2級アミンが生成し、さらにこの残存する活性プロトンを用いて、引き続き、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と反応することでポリサルファイド骨格とビスフェノールA型エポキシ樹脂の交互共重合体が得られる。これは、実施例2の場合、ポリサルファイド骨格とビスフェノールA型エポキシ樹脂のランダム共重合体が得られる場合と異なる。
【0035】
次に、実施例4〜6は、原料エポキシ樹脂の種類及び量は同じであるが、重付加反応に用いる多官能アミンの量を変更することで水溶性エポキシ樹脂の分子量をコントロールできたことがわかる。
【0036】
一方、実施例7と実施例8は用いた原料エポキシ樹脂の分子量は異なるが得られた水溶性エポキシ樹脂は、Tg(実施例7:45℃、実施例8:88℃)が異なる水溶性エポキシ樹脂が得られた。
【0037】
【発明の効果】
以上の実施例の結果からも明らかなように、本発明の水溶性エポキシ樹脂組成物及び製法の特徴としては以下の点を挙げることができる。
1)主鎖の構造が、エポキシ樹脂骨格由来の骨格のみからなる水溶性エポキシ樹脂を得ることができる。
2)原料エポキシ樹脂とアミン変性時に用いるアミン類を変化させることにより得られる水溶性エポキシ樹脂の分子量、水酸基価、酸価、Tg等の性質を自由に設計できる。
3)アミン変性時に逐次反応併用すると、ブロック構造を有する水溶性エポキシ樹脂が得ることができる。
4)他の共重合組成の樹脂骨格によらない、簡便なエポキシ樹脂を水性化することが可能である。
【0038】
以上のように、本発明ではエポキシ樹脂の骨格をそのまま残し、自由な設計度を有する水溶性エポキシ樹脂組成物を得ることが可能である。また、この方法で得られた水溶性エポキシ樹脂は塗料、ラミネート用粘着剤、鋼鈑用被膜、フィルムコーティング剤等に用いることができる。

Claims (4)

  1. 水溶性有機溶剤中で、一分子鎖中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と多官能アミンを用いて重付加反応を行い、得られた変性エポキシ樹脂にカルボキシル基を導入し、次いで塩基性化合物で中和して得られた、下記一般式(1)(化1)で表せられる多官能アミン変性エポキシ樹脂の変性物。
    Figure 0003874545
    (式(1) 中、X1 はエポキシ基と多官能アミン、又はエポキシ基と下記一般式(2)(化2)
    Figure 0003874545
    (式(2) 中、R2 は多官能アルカノールアミン由来構造のものを示し、X3 は飽和無水カルボン酸由来構造のものを示す。)で表せられる多官能アルカノールアミン無水カルボン酸付加物と付加反応したもののうち、活性プロトンを1個以上有する構造のものを示す。X2 はエポキシ基と多官能アミン、又は上記一般式(2)(化2)で表せられる多官能アルカノールアミン無水カルボン酸付加物と付加反応した構造のものを示し、X3 は飽和無水カルボン酸由来構造のものを示す。また、R1 は1分子鎖中2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂由来構造のものを示し、n及びmはゼロではない整数を示す。)
  2. 請求項1記載の多官能アミン変性エポキシ樹脂変性物を必須成分として含んでなる水溶性エポキシ樹脂組成物。
  3. 一分子鎖中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と多官能アミンを用いて重付加反応させる際に、多官能アミン中の活性水素のモル数(B)に対するエポキシ基のモル数(A)の比(すなわちA/B)を、0を越えかつ1未満の範囲として行うことを特徴とする、請求項2に記載の水溶性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  4. 水溶性有機溶剤が非プロトン系有機溶剤である請求項に記載の水溶性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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