JP4198837B2 - 車両における排気系の支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、主として自動車における排気系の支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車において、エンジンの排気ポートに接続される排気系を、車体の下部に弾性体を介して支持し、その排気系を上下方向に対しては柔軟に支持する一方、車体左右方向に対しては排気系の変位を小さく抑制するようにした、車両における排気系の支持装置は既に知られている(特開昭62−289428号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に車両における排気系の支持装置では、
▲1▼.車両の、悪路走行時や急旋回時のように、排気系に大きな外力が作用した場合にも、その排気系が車体から大きく変位しないように拘束する「変位拘束機能」と、
▲2▼.エンジンの運転により、排気系に伝達される振動が、車体に伝達されないようにする、「振動伝達遮断機能」と、
を兼備することが要求されており、前記「変位拘束機能」を向上させるには、前記弾性体の静バネ定数を高く設定し、また前記「振動伝達遮断機能」を向上させるには、前記弾性体の動バネ定数を低く設定することが必要とされる。
【0004】
ところが、前記「変位拘束機能」を向上させるために、静バネ定数を高く設定すれば、動バネ定数も高くなって、前記「振動伝達遮断機能」が低下してしまい、また、逆に前記「振動伝達遮断機能」を向上させるために、動バネ定数を低く設定すれば、前記静バネ定数も低くなり、前記「変位拘束機能」が低下してしまうという相反する関係がある。
【0005】
そこで、実際には、車体への振動伝達を抑制すべく、前記「振動伝達遮断機能」を優先させて動バネ定数が低くなるように、弾性体の物性、形状等を定め、さらに、その配置にも考慮が払われており、一方前記「変位拘束機能」を高めるためには、別途に、弾性体による支持個所を多く設けたり、弾性体自体にストッパを設ける等の手段を用いて対処しているのが現状である。
【0006】
而して、前述の従来のものでは、前記「振動伝達遮断機能」および前記「変位拘束機能」の何れをも満足させるには不十分であるばかりでなく、弾性体自体の構造が複雑化したり、その数が増加したりして大幅なコスト高を招くという問題があった。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、排気系の支持装置、特にそこに設けられる弾性体の動バネ定数を低く設定して、前記「振動伝達遮断機能」を高く維持しながら、排気系に充分な「変位拘束機能」をも兼備させるようにし、しかも弾性体は、構造簡単で、単一のもので所期の機能を得られるようにして大幅なコストダウンを達成できるようにした、新規な車両における排気系の支持装置を提供することを主な目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、エンジンに接続される排気系を、車体の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体の下部に、前記排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材と、排気系に、その排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材と、前記車体側の左右支持部材と、排気系側の左右支持部材とを連結する、単一の弾性体とを備え、前記弾性体は、前記排気系を横切る方向に配置されて、その上部左右に前記車体側の支持部材を連結する上部左右連結部を、また、その下部左右に前記排気系側の支持部材を連結する下部左右連結部をそれぞれ有することを特徴としており、かかる特徴によれば、排気系にかかる上下および左右の外力に対して高い静バネ定数を発揮し、特に、弾性体の、車体側の左右支持部材および排気系側の左右支持部材に対する連結構造により、排気系に前記過大な外力が作用しても、車体側および排気系側の支持部材と、弾性体との連結部に生じる滑りによる相対回転はきわめて少なく、排気系が過大な外力を受けた際に、弾性体は部分的ではなく全体的に変形させることができ、高い「変位拘束機能」を発揮させることができる。これにより、前記弾性体は、前記振動の「伝達遮断機能」を向上させるべく、動バネ定数が低くなるように、その物性、形状などを設定しても、排気系に作用する車体の上下方向あるいは左右方向の過大な外力に対して、排気系に十分な変位拘束機能を発揮させることができる。しかも単一の弾性体により、前記両機能を発揮させることができるため、部品点数が少なくて済み、構造も簡素化される。
【0009】
また、前記目的を達成するため、本請求項2記載の発明は、エンジンに接続される排気系を、車体の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体の下部に、前記排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材と、排気系に、その排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材と、前記車体側の左右支持部材と、排気系側の左右支持部材とを連結する、単一の弾性体とを備え、前記弾性体は、前記排気系を横切る方向に配置されて、車体側の左右支持部材を各連結する上部左右連結部と、排気系側の左右支持部材を各連結する下部左右連結部と、前記上部左右連結部同士を結合する上辺部と、前記下部左右連結部同士を結合する下辺部と、前記上部左右連結部の一方と、前記下部左右連結部の一方とを結合する左辺部と、前記上部左右連結部の他方と、前記下部左右連結部の他方とを結合する右辺部と、前記上辺部と下辺部とを結合する中間連結部とを有し、前記中間連結部は、前記上辺部と下辺部とを、間隔をあけて結合する複数の柱状体よりなることを特徴としており、かかる特徴によれば、前記請求項1記載の発明と同等の効果を奏するのに加えて、中間連結部を構成する複数の柱状体の数、太さおよび傾きを変えることで、車体の、上下および左右方向の各変位拘束力の設定を容易に変えることができる。
【0010】
また、前記目的を達成するため、本請求項3記載の発明は、エンジンに接続される排気系を、車体の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体の下部に、前記排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材と、排気系に、その排気系を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材と、前記車体側の左右支持部材と、排気系側の左右支持部材とを連結する、単一の弾性体とを備え、前記弾性体は、前記排気系を横切る方向に配置されて、車体側の左右支持部材を各結合する上部左右連結部と、排気系側の左右支持部材を各結合する下部左右連結部と、前記上部左右連結部の一方を、前記下部左右連結部に各結合する、第1,第2の結合部と、前記上部左右連結部の他方を、前記下部左右連結部に各結合する、第3,第4の結合部とより構成されていることを特徴としており、かかる特徴によれば、前記請求項1記載の発明と同等の効果を奏するのに加えて、弾性体の容量を低減して、その小型化とコストダウンを達成することができ、さらに車体と排気系との間に配置し易くなる。
【0011】
さらに、前記目的を達成するため、本請求項4記載の発明は、前記請求項3記載のものにおいて、上部左右連結部の一方と、下部左右連結部の一方を結合する、前記第1の結合部の近傍、および上部左右連結部の他方と、下部左右連結部の他方を結合する第4の結合部近傍の、上部左右および下部左右連結部にそれぞれ貫通孔が開けられていることを特徴としており、かかる特徴によれば、前記請求項3記載の発明と同等の効果を奏する上に、耐久性の低下を招くことなく、弾性体の動バネ定数を下げることができる。
【0012】
さらにまた、前記目的を達成するため、本請求項5記載の発明は、前記請求項3または4記載のものにおいて、前記上部左右連結部の中心間距離(a)を、下部左右連結部の中心間距離(b)よりも大きくすると共に、下部左右連結部の外側端部間の距離(d)を、上部左右連結部の内側端部間の距離(c)よりも大きく設定したことを特徴としており、かかる特徴によれば、前記請求項3または4記載のものと同等の効果を奏する上に、弾性体は車体の左右方向の外力に対する変位拘束力をさらに増すことができ、加えて、上下方向の変位に対するストッパとして機能させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0014】
本実施例は、本発明を、自動車の排気系の支持装置に実施した場合であり、以下の説明において、「上下」「左右」および「前後」は、自動車の前進方向を基準にしていい、前記排気系は、自動車の車体の前後方向に沿って延長されており、その前端はエンジンの接続端であり、また、その後端はテールパイプの開口端である。
【0015】
まず、図1〜3を参照して、本発明の第1実施例について説明する。
【0016】
図1は、排気系の支持装置の斜視図、図2は、図1の2線矢視の排気系支持装置の正面図、図3は、図2の3−3線に沿う断面図である。
【0017】
図示しない走行用エンジンの排気ポートには、該エンジンより排出される排ガスを大気に放出するための排気系Eが接続されている。この排気系Eは、自動車に車体Bの下方を、その車体Bの前後方向に沿って延長されており、車体Bの下面と排気系Eとの間には、上下方向に間隔があけられて、後に述べる排気系の支持装置により車体Bの下部に吊下、支持されている。
【0018】
而して、排気系E自体は、従来公知の構造のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0019】
排気系Eの支持装置は、車体Bの下部に固定される、左右一対の車体側支持部材1,2と、排気系Eの後部のサイレンサーSの上方後端部に溶接結合される左右一対の排気系側支持部材3,4と、前記両支持部材1,2,および3,4に連結される、単一の弾性体Cとより構成されており、以下、これらについて詳細に説明する。
【0020】
前記左右一対の車体側支持部材1,2は、金属製の棒状部材を屈曲して同じ形状に形成されており、それらの上部が、車体Bの下部のサイドフレームFの左右両側に溶接固定され、その固定状態では、左右一対の車体側支持部材1,2は、排気系Eの縦中心線を横切って左右対称に配置される。また、前記左右一対の排気側支持部材3,4も、金属製の棒状部材を屈曲して同じ形状に形成されており、それらの下部が、排気系EのサイレンサーSの上面に、左右方向に間隔をおいて溶接固定され、その固定状態では、一対の排気側支持部材3,4は、排気系Eの縦中心線を横切って左右対称に配置される。
【0021】
本発明の特徴である、前記弾性体Cは、天然あるいは合成のゴム材により構成されており、その全域が同じ厚さの偏平な板状であって、これが、前記車体側および排気系側の支持部材1,2および3,4間に連結されるときは、図1に示すように、その厚さ方向が、車両の前後方向を向いている。弾性体Cの正面形状、すなわち車両の前後方向から見た形状は、図2に明瞭に示すように、上辺部5が下辺部6よりも長い台形状をしており、その上辺部5の左右端部には、上部左右連結部10,11が左右対称的に形成され、またその下辺部6の左右端部には、下部左右連結部12,13が左右対称的に形成されており、上部左右連結部10,11には、車体側の左右取付孔10h,11hが開けられ、また、下部左右連結部12,13には、排気系側の左右取付孔12h,13hが開けられている。そして、車体側の左右取付孔10h,11hには、前記車体側の左右支持部材1,2の屈曲下端が差し込み、連結され、また、排気系側の左右取付孔12h,13hには、前記排気系側の左右支持部材3,4の屈曲上端が差し込み、連結される。
【0022】
以上により、排気系EのサイレンサーSは、車体Bの下部のサブフレームFに、車体側の左右支持部材1,2、弾性体Cおよび排気系側左右支持部材3,4を介して弾性的に吊下、支持される。
【0023】
ところで、本発明の特徴とする前記弾性体Cの構造をさらに詳しく説明すると、この弾性体Cの、車体側の左右支持部材1,2が連結される上部左右連結部10,11を一体に結合する上辺部5は、上下方向に一定の幅を有して断面四角な梁状をなしており、この上辺部5の縦中心線は、前記車体側左右取付孔10h,11hの中心を通っている。また排気系E側の左右支持部材3,4が連結される下部左右端部12,13を一体に連結する下辺部6も、上下方向に一定の幅を有して断面四角な梁状をなしており、この下辺部6の縦中心線は、前記排気系側の左右取付孔12h,13hの中心を通っている。さらに、上辺部5の左右連結部10,11と、下辺部6の左右連結部12,13とを各一体に結合する、左、右辺部7,8は、下に向かって互いに狭まる方向に傾斜していて左右方向に一定の幅をもち、それらも断面四角な梁状をなしており、そのうち、左辺部7の縦中心線は、車体側の左取付孔10hの中心と排気系側の左取付孔12hの中心を通っており、また、右辺部8の縦中心線は、車体側の右取付孔11hの中心と排気系側の右取付孔13hの中心を通っている。また、弾性体Cの、上、下辺部5,6および左、右辺部7,8によって囲まれる中間連結部15には、左右方向に長い窓孔16が開けられると共にこの窓孔16を上下方向に千鳥状に横切って前記上辺部5と下辺部6とを斜めに結合する複数の柱状体17…が設けられており、これらの複数の柱状体17…は、前記窓孔16を複数に仕切っていて、その中間連結部15の前後方向から見た形状をトラス状としている。
【0024】
而して、前記各柱状体17…は、その断面が四角な棒状に形成されており、それらの数、太さ、すなわち断面積および傾きを変えることにより、車体Bの上下および左右方向の各変位拘束力の設定を変え、これにより弾性体C自体の「変位拘束力」の設定を容易に変えることができるようになる。
【0025】
つぎに、この第1実施例の作用について説明する。
【0026】
いま、車両の悪路走行時や急旋回走行時のように、前記排気系Eに上下方向あるいは左右方向に過大な外力が作用した際に、この排気系Eは、車体Bから大きく変位しようとするが、この実施例の前記排気系の支持装置によれば、以下の理由により、この変位を可及的に小さくすることができる。すなわち、支持装置に採用される、単一の弾性体Cは、前記構造および車体Bと排気系Eに対する配置設定により、排気系Eにかかる上下および左右の外力に対して高い静バネ定数を発揮し、特に、弾性体Cの、車体側の左右支持部材1,2および排気系側の左右支持部材3,4に対する連結構造により、排気系Eに前記過大な外力が作用しても、前記車体側および排気系側の支持部材1,2および3,4と、弾性体Cとの連結部に生じる滑りによる相対回転はきわめて少なく、全体的に変形する。
【0027】
したがって、排気系Eが前記過大な外力を受けた際に、弾性体Cは部分的ではなく全体的に変形させることができ、高い「変位拘束機能」を発揮させることができる。これにより、前記弾性体Cは、前記振動の「伝達遮断機能」を向上させるべく、動バネ定数が低くなるように、その物性、形状などを設定しても、排気系Eに作用する車体Bの上下方向あるいは左右方向の過大な外力に対して、排気系Eに十分な変位拘束機能を発揮させることができる。しかも単一の弾性体Cにより、前記両機能を発揮させることができるため、部品点数が少なくて済み、構造の簡素化が図れる。
【0028】
つぎに、図4,5を参照して、本発明の第2実施例について説明する。
【0029】
この第2実施例は、弾性体Cの構造が前記第1実施例のものと相違しており、図4は、排気系の支持装置の正面図、図5は、図4の5−5線に沿う断面図であり、図中、前記第1実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0030】
この排気系の支持装置も車体Bおよび排気系Eに対する取付配置は、前記第1実施例のものと同じであり、ゴム製の弾性体Cは、その全域が同じ厚さの偏平な板状であって、これが、前記車体側および排気系側の支持部材1,2および3,4間に連結されるときは、その厚さ方向が車体Bおよび排気系Eの前後方向を向いている。弾性体Cの正面形状すなわち車両の前後方向から見た形状は、上辺部5が下辺部6よりも長い鼓状であり、上辺部5は、その中央部に向かって凹状に湾曲され、また下辺部6もその中央部に向かって凹状に湾曲されている。
【0031】
この第2実施例の特徴である弾性体Cの構造をさらに詳しく説明すれば、この弾性体Cも前記第1実施例と同じく、車体側左右支持部材1,2と各連結する、取付孔10h,11hを開口した車体側左右連結部10,11および排気系側左右支持部材3,4と各連結する、取付孔12h,13hを開口した排気系側左右連結部12,13を備え、さらに、上部左右連結部10,11の一方10を下部左右連結部12,13に各結合する第1、第2の結合部21,22および上部左右連結部10,11の他方11を下部左右連結部12,13に各結合する第3、第4の結合部23,24を備えており、前記第1、第2、および第3、第4の結合部21,22,および23,24は、何れも断面四角な柱状に形成されている。そして前記第2の結合部22および第3の結合部23は、前記弾性体Cの中央部で一体に集合されており、さらに、弾性体Cの中央部の左右に貫通孔25,26が開けられている。
【0032】
さらに、上部左右連結部10,11の中心間距離(a)を、下部左右連結部12,13の中心間距離(b)よりも大きくし、また、下部左右連結部12,13の外側端部間の距離(d)を、上部左右連結部10,11の内側端部間の距離(c)よりも大きく設定してある。そして、かかる設定により、車体の左右方向の外力に対して高い変位拘束が得られる。
【0033】
この第2実施例のものでは、排気系Eに、車体Bの上下および左右方向に外力が作用した場合に、弾性体Cは、上部左右連結部10,11と下部左右連結部12,13の間では、相対的な位置変化を生じて、前記「変位拘束機能」に寄与するのに対し、上部左右連結部10,11間および下部左右連結部12,13間では、相対的な位置変化がほとんど生じることがなく、それら間では、前記「変位拘束機能」に寄与するところが少ないことから、弾性体の、相対的な位置変化の生じる前記連結部間を主に連結するようにしたもので、上部左右連結部10,11間および下部左右連結部12,13間の、弾性体Cの肉を大幅にカットするように、その上辺部5と下辺部6は、その中央部に向かって凹状に形成し、これにより、弾性体Cは、少ない容量で効果的な「変位拘束機能」を発揮させることができる。
【0034】
したがって、この第2実施例のものでは、前記第1実施例のものと同等の効果を奏する上に、弾性体Cの容量を少なくして、コストダウンに寄与することができ、さらに小型に形成できることから、車体Bと排気系E間の配置がし易くなるという利点もある。
【0035】
つぎに、図6〜8を参照して、本発明の第3実施例について説明する。
【0036】
この第3実施例は、弾性体の構造が前記第2実施例のものと若干相違しており、図6は、排気系の支持装置の正面図、図7は、図6の7−7線に沿う断面図、図8は過大な上下方向の外力が作用したときの弾性体の変位状態を示す図であり、図中、前記第2実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0037】
この排気系の支持装置も車体Bおよび排気系Eに対する取付配置は、前記第2実施例のものと同じであり、弾性体Cは、その全域が同じ厚さの偏平な板状であって、これが、前記車体側および排気系側の支持部材1,2および3,4間に連結されるときは、その厚さ方向が車体Bおよび排気系Eの前後方向を向いている。弾性体Cの正面形状すなわち車両の前後方向から見た形状は、前記第2実施例のものと同じである。
【0038】
ところで、この第3実施例では、弾性体Cの、第1および第4結合部21,24に沿う、弾性体Cの動バネ定数を、該弾性体Cの耐久性の低下を招くことなく、低減させることができるようにしたものであり、すなわち第1、第4結合部21,24の近傍の、前記上部左右連結部10,11および下部左右連結部12,13に各貫通孔30,31および32,33を設ける。上部左右連結部10,11および下部左右連結部12,13は、第1、第4結合部21,24に比べて剛性が高いことにより、第1および第4結合部21,24の必要とする剛性を確保しつつ、それらの結合部21,24に沿う動バネ定数を小さくすることができる。
【0039】
而して、一般に車両の進行方向に対してエンジンが横置き(該エンジンにクランク軸が車両の進行方向と直交する方向)されている場合には、排気系の振動は、その大半が車体の上下方向の振動成分と、車体の前後方向の振動成分とに分けられて、車体の左右方向の振動成分は、無視できる程度に小さいので、弾性体Cの、第1および第4結合部21,24の断面積(太さ)を細くして車体の上下方向の動バネ定数を小さくすることが、車体への振動伝達を低減させる上で有効であるが、これらの結合部21,24の断面積を減少させると、弾性体C自体の耐久性が低下してしまうという問題を生じるが、この第3実施例のものでは、第1および第4結合部21,24の断面積を減少させずに車体の上下方向の動バネ定数を小さくすることが可能になる。
【0040】
また、この第3実施例では、上部左右連結部10,11の中心間距離(a)を、下部左右連結部12,13の中心間距離(b)よりも大きくし、また、下部左右連結部12,13の外側端部間の距離(d)を、上部左右連結部10,11の内側端部間の距離(c)よりも大きく設定したので、車体Bの左右方向の外力に対する変位拘束力の増大を図りながら過大な上下方向の外力が作用した場合には、図8に示すように、剛性の高い、連結部10と12および連結部11と13同士が接触するようになり、上下方向変位に対するストッパとして機能させることができる。
【0041】
而して、この第3実施例のものでは、前記第1、2実施例のものと同等の効果を奏する上に、弾性体の動バネ定数をさらに低下させるのに有効であり、さらに小型に形成できることから、車体Bと排気系E間の配置がし易くなるという利点もある。
【0042】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば、前記実施例では、排気系の支持装置を自動車に実施した場合を説明したが、これを他の車両にも実施できることは勿論であり、また、弾性体はゴム材により構成しているが、これを弾性合成樹脂材などの他の弾性部材により構成してもよく、さらに前記実施例では、車体側支持部材および排気系側支持部材は、左右各一対である場合を説明したが、これらは左右各複数対であってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、排気系にかかる上下および左右の外力に対して高い静バネ定数を発揮し、特に、排気系に過大な外力が作用しても、車体側および排気系側の支持部材と、弾性体との連結部に生じる滑りによる相対回転はきわめて少なく、排気系が過大な外力を受けた際にも弾性体を部分的ではなく全体的に変形させることができ、高い「変位拘束機能」を発揮させることができる。その結果、前記弾性体は、前記振動の「伝達遮断機能」を向上させるべく、動バネ定数が低くなるように、その物性、形状などを設定しても、排気系に作用する、車体の上下方向あるいは左右方向の過大な外力に対して、排気系に十分な「変位拘束機能」を発揮させることができる。しかも単一の弾性体により、前記両機能を発揮させることができるため、部品点数が少なくて済み、構造も簡素化され、大幅なコストダウンを達成することができる。
【0044】
また、本請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明と同等の効果を奏するのに加えて、中間連結部を構成する複数の柱状体の数、断面積および傾きを変えることで、車体の、上下および左右方向各変位拘束力の設定を容易に変えることができる。
【0045】
また、本請求項3記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明と同等の効果を奏するのに加えて、弾性体の容量を低減して、その小型化と、さらなるコストダウンを達成することができ、さらに車体と排気系との間に配置し易くなる。
【0046】
さらに、本請求項4記載の発明によれば、前記請求項3記載の発明と同等の効果を奏する上に、耐久性の低下を招くことなく、弾性体の動バネ定数を下げることができる。
【0047】
さらにまた、本請求項5記載の発明によれば、前記請求項3または4記載のものと同等の効果を奏する上に、弾性体は車体の左右方向の外力に対する変位拘束力をさらに増すことができ、加えて、上下方向の変位に対するストッパとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排気系の支持装置の斜視図(第1実施例)
【図2】図1の2線矢視の排気系支持装置の正面図
【図3】図2の3−3線に沿う断面図
【図4】排気系支持装置の正面図(第2実施例)
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【図6】排気系支持装置の正面図(第3実施例)
【図7】図6の7−7線に沿う断面図
【図8】上下方向に外力が作用したときの弾性体の状態を示す図(第3実施例)
【符号の説明】
1,2・・・・・・・・・車体側支持部材
3,4・・・・・・・・・排気系側支持部材
5・・・・・・・・・・・上辺部
6・・・・・・・・・・・下辺部
7・・・・・・・・・・・左辺部
8・・・・・・・・・・・右辺部
10,11・・・・・・・上部左右連結部
12,13・・・・・・・下部左右連結部
15・・・・・・・・・・中間連結部
17・・・・・・・・・・柱状体
21・・・・・・・・・・第1の結合部
22・・・・・・・・・・第2の結合部
23・・・・・・・・・・第3の結合部
24・・・・・・・・・・第4の連結部
30,31,32,33・貫通孔
B・・・・・・・・・・・車体
C・・・・・・・・・・・弾性体
E・・・・・・・・・・・排気系
Claims (5)
- エンジンに接続される排気系(E)を、車体(B)の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体(B)の下部に、前記排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材(1,2)と、
排気系(E)に、その排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材(3,4)と、
前記車体側の左右支持部材(1,2)と、排気系側の左右支持部材(3,4)とを連結する、単一の弾性体(C)とを備え、
前記弾性体(C)は、前記排気系(E)を横切る方向に配置されて、その上部左右に前記車体側の支持部材(1,2)を連結する上部左右連結部(10,11)を、また、その下部左右に前記排気系側の支持部材(3,4)を連結する下部左右連結部(12,13)をそれぞれ有することを特徴とする、車両における排気系の支持装置。 - エンジンに接続される排気系(E)を、車体(B)の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体(B)の下部に、前記排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材(1,2)と、
排気系(E)に、その排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材(3,4)と、
前記車体側の左右支持部材(1,2)と、排気系側の左右支持部材(3,4)とを連結する、単一の弾性体(C)とを備え、
前記弾性体(C)は、前記排気系(E)を横切る方向に配置されて、
車体側の左右支持部材(1,2)を各連結する上部左右連結部(10,11)と、
排気系側の左右支持部材(3,4)を各連結する下部左右連結部(12,13)と、
前記上部左右連結部(10,11)同士を結合する上辺部(5)と、
前記下部左右連結部(12,13)同士を結合する下辺部(6)と、
前記上部左右連結部(10,11)の一方と、前記下部左右連結部(12,13)の一方とを結合する左辺部(7)と、
前記上部左右連結部(10,11)の他方と、前記下部左右連結部(12,13)の他方とを結合する右辺部(8)と、
前記上辺部(5)と下辺部(6)とを結合する中間連結部(15)と、
を有し、前記中間連結部(15)は、前記上辺部(5)と下辺部(6)とを、間隔をあけて結合する複数の柱状体(17)よりなることを特徴とする、車両における排気系の支持装置。 - エンジンに接続される排気系(E)を、車体(B)の下部に支持するようにした、車両における排気系の支持装置において、
車体(B)の下部に、前記排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される車体側の左右支持部材(1,2)と、
排気系(E)に、その排気系(E)を横切る方向に間隔をあけて各固定される排気系側の左右支持部材(3,4)と、
前記車体側の左右支持部材(1,2)と、排気系側の左右支持部材(3,4)とを連結する、単一の弾性体(C)とを備え、
前記弾性体(C)は、前記排気系(E)を横切る方向に配置されて、
車体側の左右支持部材(1,2)を各結合する上部左右連結部(10,11)と、
排気系側の左右支持部材(3,4)を各結合する下部左右連結部(12,13)と、
前記上部左右連結部(10,11)の一方を、前記下部左右連結部(12,13)に各結合する、第1,第2の結合部(21,22)と、
前記上部左右連結部(10,11)の他方を、前記下部左右連結部(12,13)に各結合する、第3,第4の結合部(23,24)と、
より構成されていることを特徴とする、車両における排気系の支持装置。 - 上部左右連結部(10,11)の一方と、下部左右連結部(12,13)の一方を結合する、前記第1の結合部(21)の近傍、および上部左右連結部(10,11)の他方と、下部左右連結部(12,13)の他方を結合する第4の結合部近傍の、上部左右および下部左右連結部(10,11および12,13)にそれぞれ貫通孔(30,31および32,33)が開けられていることを特徴とする、前記請求項3記載の車両における排気系の支持装置。
- 前記上部左右連結部(10,11)の中心間距離(a)を、下部左右連結部(12,13)の中心間距離(b)よりも大きくすると共に、下部左右連結部(12,13)の外側端部間の距離(d)を、上部左右連結部(10,11)の内側端部間の距離(c)よりも大きく設定したことを特徴とする、前記請求項3または4記載の車両における排気系の支持装置。
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