JP6079530B2 - 消音器 - Google Patents

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本発明は、消音器に関する。
車載用の内燃機関の排気音を抑える消音器として、内壁と外壁との間に隙間を形成した胴体と、その胴体の内壁の内側に区画形成されて排気が送り込まれる複数の拡張室と、同拡張室から胴体の外に排気を送り出すアウトレットパイプと、を備えたものが知られている。上記胴体については、車両に対する消音器の搭載性向上のため、扁平円筒状に形成することが考えられる。なお、このように扁平円筒状に形成した胴体は、その周方向についての曲率が異なる第1湾曲部及び第2湾曲部、すなわち所定の曲率半径を有する第1湾曲部、及び、その第1湾曲部よりも曲率半径が大きい第2湾曲部を備える。
また、上記消音器では、胴体の内壁と外壁の間に形成された隙間により、複数の拡張室を通過する排気の熱が消音器外に伝わることを抑制している。しかし、上記隙間の気密性が高すぎると、その隙間内の気体に対する急速な冷却もしくは加熱を通じて同隙間の内圧が上昇もしくは低下し、それに伴い胴体の内壁や外壁が変形してしまうおそれがある。このため、例えば特許文献1に示されるように、上記隙間を拡張室に連通するための孔を胴体の内壁に形成し、それによって同隙間の気密性が高くなり過ぎないようにすることが考えられる。
実開平5−923公報
ところで、拡張室に対する上記孔の開口位置によっては、拡張室内の下部に溜まった水で上記孔が塞がれるとともに、その水が上記孔を介して胴体における内壁と外壁との隙間に吸い上げられるおそれがある。この場合、上記孔が拡張室内の下部に溜まった水により塞がれて隙間の気密性が高くなるため、隙間内に吸い上げられた上記水が同隙間内に滞留する。このように隙間内に上記水が滞留すると、それが原因となって胴体の腐食が進行するおそれがある。また、隙間内に滞留した上記水が熱を受けて水蒸気になると、隙間内の内圧が上昇して胴体の内壁や外壁における剛性の低い部分、詳しくは第1湾曲部よりも曲率半径が大きくなって剛性が低下する第2湾曲部にて変形が生じるおそれもある。
本発明の目的は、胴体の内壁と外壁との隙間での水の滞留を抑制することができる消音器を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する消音器は、扁平円筒状をなす内壁と外壁との間に隙間を形成した胴体と、その胴体の内壁の内側に区画形成されて排気が送り込まれる複数の拡張室と、同拡張室から上記胴体の外に排気を送り出すアウトレットパイプと、を備える。また、扁平円筒状をなす上記胴体は、その周方向についての曲率が異なる第1湾曲部及び第2湾曲部を備え、第1湾曲部よりも曲率半径が大きい第2湾曲部が鉛直方向上側及び鉛直方向下側に位置するように設けられる。また、上記胴体の内壁には、上記複数の拡張室のうちの一つである第1拡張室と上記隙間とを連通する第1の孔が形成されるとともに、上記複数の拡張室のうち第1拡張室とは内圧の異なる第2拡張室と上記隙間とを連通する第2の孔が形成される。これら第1の孔及び第2の孔は、上記内壁における鉛直方向上側の第2湾曲部に対応する部分と、上記内壁における鉛直方向下側の第2湾曲部に対応する部分のうち、アウトレットパイプにおける胴体内の部分の下端よりも鉛直方向上側の位置に形成される。
ところで、第1拡張室及び第2拡張室の内部であって、アウトレットパイプにおける胴体内の部分の下端よりも鉛直方向下側の部分は、アウトレットパイプから排出されない水が溜まりやすい箇所となる。この箇所よりも鉛直方向上側に上記第1の孔及び上記第2の孔が形成されるため、第1の孔及び第2の孔が上記水によって塞がれることは抑制され、その水が第1の孔及び第2の孔を介して胴体における内壁と外壁との隙間に吸い上げられることも抑制される。従って、胴体の内壁と外壁との隙間での水の滞留を抑制することができる。
消音器の構造を示す略図。 図1の消音器を矢印A−A方向から見た略図。 消音器の胴体における内壁と外壁との隙間での排気の流れを示す略図。
以下、消音器の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1に示す消音器は、内壁1aと外壁1bとの間に隙間1cを形成した扁平円筒状をなす胴体1を備えている。この胴体1の一方の開口端は端板2により塞がれており、もう一方の開口端は端板3により塞がれている。胴体1における内壁1aの内側は、複数のセパレータ4〜6によって複数の拡張室7〜10に区画されている。
また、消音器は、端板2及びセパレータ4〜6を貫通するインレットパイプ11と、セパレータ5,6を貫通するコネクトパイプ12と、セパレータ4〜6及び端板3を貫通するアウトレットパイプ13とを備えている。インレットパイプ11には内燃機関からの排気が流入する。そして、インレットパイプ11は、流入した上記排気を拡張室7内に位置する開口端から流出させるとともに、拡張室8内に位置する部分に形成された穴11aからも上記排気を流出させる。
拡張室7内の排気は、コネクトパイプ12を介して拡張室9に流れた後、その拡張室9と拡張室10とを隔てるセパレータ4の穴4aを介して拡張室10に流出する。拡張室10内の排気は、アウトレットパイプ13における拡張室10内に位置する開口端から同パイプ13に流入する。なお、インレットパイプ11から穴11aを介して拡張室8に流入した排気は、アウトレットパイプ13における拡張室8に対応する部分に形成された穴13aから同パイプ13内に流入する。
上記アウトレットパイプ13により、拡張室10及び拡張室8から胴体1の外に排気が送り出される。なお、拡張室10は、セパレータ4の穴4aを介して拡張室9に繋がるとともに、拡張室9及びコネクトパイプ12を介して拡張室7に繋がるため、それら拡張室9及び拡張室7内の排気も拡張室10を経てアウトレットパイプ13から胴体1の外に送り出されることになる。
図2は、図1の消音器を矢印A−A方向から見た略図である。扁平円筒状をなす胴体1は、その周方向についての曲率が異なる第1湾曲部14と第2湾曲部15とを備え、前記第1湾曲部14よりも曲率半径が大きい第2湾曲部15が鉛直方向下側に位置するように設けられている。胴体1の内部のセパレータ4〜6(図2にはセパレータ6のみ図示)の下端部にはそれぞれスリット16が形成されており、それらスリット16を介して拡張室7〜10(図2には拡張室7のみ図示)内に溜まった水が拡張室7〜10間を行き来することが可能となっている。
拡張室7〜10内の最高水位は、胴体1内において水平方向(図2の紙面と直交する方向)に延びるアウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端の高さ位置によって決まる。これは、拡張室7〜10内に溜まった水の液面がアウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端よりも高くなると、その水がアウトレットパイプ13に流れ込んで胴体1の外に排出されるためである。ちなみに、この例でのアウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端の高さ位置は、第1湾曲部14と第2湾曲部15との境界上に位置する変曲点P1よりも下側となるように設定されている。なお、上記変曲点P1は、胴体1における周方向についての曲率半径が切り替わる点であって、胴体1の下部における図中の左右二箇所と胴体1の上部における左右二箇所との合計四箇所に存在している。そして、アウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端は、胴体1の下部に存在する左右二箇所の変曲点P1よりも下側に位置している。
また、胴体1の内壁1aにおける拡張室7に対応する部分には、同拡張室7を隙間1cに連通する第1の孔21a,22aが形成されている。更に、内壁1aにおける拡張室7とは内圧の異なる拡張室(この例では図1の拡張室10)に対応する部分には、拡張室10を隙間1cと連通する第2の孔21b,22b(図2)が形成されている。ちなみに、各拡張室7〜10のうち、拡張室7では他の拡張室よりも内圧が高くなり、拡張室10では他の拡張室よりも内圧が低くなる。これは、各拡張室7〜10のうち、拡張室7が胴体1内での排気の流れの上流に位置し、拡張室10が上記排気の流れの下流に位置するためである。
なお、上記拡張室7は、第1の孔21a,22aを介して隙間1cと連通する第1拡張室としての役割を担う。また、上記拡張室10は上、第1拡張室としての役割を担う上記拡張室7よりも内圧が高圧となり、且つ、第2の孔21b,22bを介して隙間1cと連通する第2拡張室としての役割を担う。
第1の孔22a及び第2の孔22bは、内壁1aにおける胴体1の上部の左右二箇所の変曲点P1に対応する部分よりも上側の位置、言い換えれば胴体1における上側の第2湾曲部15に対応する部分に形成されている。一方、第1の孔21a及び第2の孔21bは、内壁1aにおける胴体1の下部の左右二箇所の変曲点P1よりも下側の位置、言い換えれば胴体1における下側の第2湾曲部15に対応する部分であって、且つ、アウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端よりも上側の位置に形成されている。
次に、消音器の作用について説明する。
消音器の胴体1における内壁1aと外壁1bとの隙間1cの気密性が高すぎると、その隙間1cに入り込んだ水が滞留し、それが原因となって胴体の腐食が進行するおそれがある。また、隙間1c内に滞留した上記水が熱を受けて水蒸気になると、隙間1c内の内圧が上昇して胴体1の内壁1aや外壁1bにおける剛性の低い部分、詳しくは第1湾曲部14よりも曲率半径が大きくなって剛性が低下する第2湾曲部15にて変形が生じるおそれもある。しかし、内壁1aに第1の孔21a,22a及び第2の孔21b,22bを形成することにより、隙間1cが拡張室7,10と連通するため、隙間1cの気密性が高くなり過ぎることを抑制できる。
図3は、内壁1aに第1の孔21a,22a及び第2の孔21b,22b(図中には21a,21bのみ図示)を形成することにより、隙間1c内で生じる排気の流れを示している。拡張室7の内圧は拡張室10の内圧よりも高くなるため、拡張室7内の排気が第1の孔21aから隙間1cに流入し、その隙間1cを通過して第2の孔21bから拡張室10に流出する。このため、隙間1c内に水が入り込んだとしても、その隙間1c内での排気の流れにより、上記水が隙間1c内から排出されるようになる。従って、隙間1c内に水が滞留することに起因して胴体1の腐食が進行したり、隙間1cの内圧が上昇して内壁1aや外壁1bにおける第2湾曲部15に対応する部分(剛性の低い部分)が変形したりすることを抑制できる。
なお、第1の孔21a,22a及び第2の孔21b,22bについては、内壁1aにおける第2湾曲部15に対応する部分に形成することが好ましい。これは、胴体1では、変曲点P1にて内壁1aと外壁1bとの隙間1cが小さくなり、隙間1cが第1湾曲部14に対応する部分と第2湾曲部15に対応する部分との間でシールされることが関係している。すなわち、こうしたシール状態が発生したときにも、隙間1cにおける第2湾曲部15に対応する部分の内圧が上昇しすぎないようにするには、第1の孔21a,22a及び第2の孔21b,22bを上述したように内壁1aにおける第2湾曲部15に対応する部分に形成することが有効なためである。
ところで、各拡張室7〜10の内部であって、図2に示すアウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端よりも鉛直方向下側の部分は、アウトレットパイプ13から排出されない水が溜まりやすい箇所となる。仮に、胴体1の下部に形成された第1の孔21a及び第2の孔21bが上記水で塞がれたとすると、その水が第1の孔21a及び第2の孔21bを介して隙間1cに吸い上げられるおそれがある。この場合、第1の孔21a及び第2の孔21bが拡張室7,10内の下部に溜まった水により塞がれて隙間1cにおける第2湾曲部15に対応する部分の気密性が高くなるため、隙間1c内に吸い上げられた上記水が同隙間1c内に滞留し、上述した胴体1の腐食や、内壁1a及び外壁1bの変形といった問題が生じる。
しかし、上記第1の孔21a及び上記第2の孔21bは、拡張室7〜10の内部であってアウトレットパイプ13から排出されない水が溜まりやすい箇所よりも鉛直方向上側、言い換えれば第2湾曲部15に対応する部分であってアウトレットパイプ13における胴体1内の部分の下端よりも鉛直方向上側に位置する。このため、第1の孔21a及び第2の孔21bが拡張室7,10の下部に溜まった上記水によって塞がれることは抑制され、その水が第1の孔21a第2の孔21bを介して隙間1cにおける第2湾曲部15に対応する部分に吸い上げられることも抑制される。なお、第1の孔22a及び第2の孔22bについては、第1の孔21a及び第2の孔21bよりも鉛直方向上側に位置するため、拡張室7,10の下部に溜まった水が第1の孔22a及び第2の孔22bから隙間1cに入り込むことはない。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)拡張室7,10の下部に溜まった水が第1の孔21a,22a及び第2の孔21b,22bを介して隙間1cにおける第2湾曲部15に対応する部分に入り込み、その部分で滞留することを抑制できる。更に、そうした水の滞留が原因となって胴体1が腐食したり、隙間1c内における第2湾曲部15に対応する部分の内圧が上昇して内壁1aや外壁1bが変形したりすることを抑制できる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1拡張室として拡張室7を採用するとともに第2拡張室として拡張室10を採用したが、それら第1拡張室及び第2拡張室として採用する拡張室を適宜変更してもよい。
1…胴体、1a…内壁、1b…外壁、1c…隙間、2,3…端板、4〜6…セパレータ、4a…穴、7〜10…拡張室、11…インレットパイプ、11a…穴、12…コネクトパイプ、13…アウトレットパイプ、13a…穴、14…第1湾曲部、15…第2湾曲部、16…スリット、21a,22a…第1の孔、21b,22b…第2の孔。

Claims (1)

  1. 扁平円筒状をなす内壁と外壁との間に隙間を形成した胴体と、
    前記胴体の内壁の内側に区画形成されて排気が送り込まれる複数の拡張室と、
    前記拡張室から前記胴体の外に排気を送り出すアウトレットパイプと、
    前記胴体の内壁に形成されて前記拡張室を前記隙間に連通する孔と、
    を備え、
    前記胴体は、その周方向についての曲率が異なる第1湾曲部と第2湾曲部とを備え、前記第1湾曲部よりも曲率半径が大きい第2湾曲部が鉛直方向上側及び鉛直方向下側に位置するように設けられており、
    前記孔は、前記複数の拡張室のうちの一つである第1拡張室と前記隙間とを連通する第1の孔、及び、前記複数の拡張室のうち前記第1拡張室とは内圧の異なる第2拡張室と前記隙間とを連通する第2の孔であり、
    前記第1の孔及び前記第2の孔は、
    前記内壁における前記鉛直方向上側の第2湾曲部に対応する部分と、前記内壁における前記鉛直方向下側の第2湾曲部に対応する部分のうち、前記アウトレットパイプにおける前記胴体内の部分の下端よりも鉛直方向上側の位置に形成されている
    ことを特徴とする消音器。
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