JPH05923U - エンジンの排気サイレンサ構造 - Google Patents

エンジンの排気サイレンサ構造

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JPH05923U
JPH05923U JP4857991U JP4857991U JPH05923U JP H05923 U JPH05923 U JP H05923U JP 4857991 U JP4857991 U JP 4857991U JP 4857991 U JP4857991 U JP 4857991U JP H05923 U JPH05923 U JP H05923U
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JP
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gap
expansion chamber
exhaust silencer
plate
inner plate
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JP4857991U
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寿泰 東本
剛 小川
武史 田口
博文 吉山
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2重壁構造の排気サイレンサにおいて、外板
と内板とによって形成される隙間部の圧力変化による不
具合を解消する。 【構成】 排気サイレンサ1の胴体部2cを外板2aと
内板2bとによって形成し、この両板2a,2b間に隙
間部Aを形成する。内板2bに連通孔16,17,18
を形成して、膨張室8,9,10,11と隙間部Aとを
連通させ、隙間部A内での圧力の変化を膨張室8,9,
10,11によって緩和して、隙間部Aでの負圧の発生
による融雪塩水の浸入の防止と、隙間部Aでの高圧の発
生によるケ−シング2の破損の防止とを共に図る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、エンジンの排気サイレンサ構造に係り、特に、ケ−シングの胴体部 が2重壁構造で構成されたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の排気系にはエンジンからの排気音を低減するための排気サ イレンサが配設されている。この排気サイレンサの一例として、例えば実公昭6 3−969号公報に示されているような膨張型のものが知られている。この種の 排気サイレンサは、筒状の胴体部の両端面に端板が接合されてケ−シングが形成 され、このケ−シング内に、仕切壁が配設されて、このケ−シング内に複数の膨 張室が区分されて成っている。そして、エンジンから排出された排気ガスを、前 記各膨張室において膨張させることで排気ガスの音響を低い抵抗で消耗させて排 気音レベルを低下させるようにしている。
【0003】 また、このような排気サイレンサは、外部への熱害を抑制するために、ケ−シ ングの胴体部が、外板と該外板の内側に所定間隔を存して配設された内板とによ り形成される2重壁構造で構成されている。つまり、この内板と外板との間に略 密閉空間の隙間部を形成するようにして、ケ−シング内部を流通する排気ガスの 熱がケ−シング表面に伝わり難くし、外部への輻射熱の熱量を低減させるように している。
【0004】 また、この排気サイレンサの前記胴体部と端板との接合はかしめ接合によって 行われており、また、この胴体部及び端板は、耐腐蝕性及び耐熱性に鑑みてステ ンレス鋼によって形成されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上述したような構成で成る排気サイレンサにあっては、以下に述べ るような不具合があった。
【0006】 先ず、車両走行時において、乾燥路を走行している状態から、水溜まり等のあ る湿路を走行する際、車輪により飛散された水がケ−シング表面を冷却し、これ に伴なって前記隙間部内の空気が冷却される。これにより、この隙間部内の空気 が収縮して、該隙間部内に負圧が発生する。また、上述したように、胴体部と端 板との間は、かしめ接合されており、また、成形材料であるステンレス鋼は加工 性に劣るため、このかしめ接合部分における気密性が十分に確保されているとは 言い難いものである。従って、上述したように隙間部内で負圧が発生すると、こ の負圧によって、ケ−シング表面の前記かしめ接合部分周辺に付着している融雪 塩水等が、この隙間部内に吸入されることがあり、これによって外板、内板及び 端板が腐蝕してしまうことがある。
【0007】 また、上述したように胴体部と端板との間は、気密性が不十分であるため、前 記隙間部に、膨張室内で発生した凝縮水等が入り込んだような場合、この状態で 排気サイレンサの温度が急激に上昇すると、前記凝縮水が水蒸気となり、その体 積が増大するため、隙間部内が急激に高圧になる。このため、外板や内板が変形 したり、前記かしめ部分部分に応力が集中して、口開き等が発生し、その気密性 がいっそう悪化するといった不具合があった。
【0008】 本考案は、これらの点に鑑みてなされたものであって、上述したような2重壁 構造の排気サイレンサにおいて、一構成でもって前記外板、内板及び端板の腐蝕 の防止及び外板や内板の変形、かしめ接合部分の口開きの防止を共に図ることが できる構成を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本考案は、外板と内板との間に形成されている 隙間部を膨張室と連通させて、該隙間部内の圧力変化を膨張室によって緩和させ るようにした。具体的に、請求項1記載の考案は、外板と該外板に対して所定間 隔を存して配設された内板とにより形成される2重壁構造の胴体部と、該胴体部 の両端部に接合された端板とによって成るケ−シングを備えた排気サイレンサを 対象としている。そして、前記内板と両端板とにより形成される膨張室と、前記 外板と内板との間に形成される隙間部とを連通するべく、前記内板に、少なくと も1つの連通孔を設けるような構成としている。
【0010】 請求項2記載の考案は、請求項1記載のエンジンの排気サイレンサ構造におい て、連通孔を、内板の上側半分に形成するような構成としている。
【0011】 請求項3記載の考案は、請求項1または2記載のエンジンの排気サイレンサ構 造において、ケ−シング内を少なくとも1枚の仕切壁により複数の膨張室に区分 し、連通孔を前記複数の膨張室のうち最も高圧となる膨張室に連通させるような 構成としている。
【0012】 請求項4記載の考案は、請求項1または2記載のエンジンの排気サイレンサ構 造において、ケ−シング内を少なくとも1枚の仕切壁により複数の膨張室に区分 し、連通孔を前記複数の膨張室のうち最も低圧となる膨張室に連通させるような 構成としている。
【0013】 請求項5記載の考案は、請求項1または2記載のエンジンの排気サイレンサ構 造において、ケ−シング内を少なくとも1枚の仕切壁により複数の膨張室に区分 し、連通孔を、端板を構成要素として形成された膨張室に連通させるような構成 としている。
【0014】 請求項6記載の考案は、請求項1,2,3,4または5記載のエンジンの排気 サイレンサ構造において、胴体部と端板との接合を、かしめ接合とするような構 成としている。
【0015】
【作用】 上記の構成により、本考案では以下に述べるような作用が得られる。請求項1 記載の考案では、エンジンから排出された排気ガスが、膨張室において膨張され て、排気ガスの音響を低い抵抗で消耗させて排気音レベルを低下させ、排気音を 低減させる。また、外板と内板との間には隙間部が形成されているため、膨張室 内の排気ガスの熱がケ−シング表面に伝わり難くなっており、外部への熱害が抑 制されている。そして、膨張室と隙間部とを連通するように内板に連通孔が形成 されていることにより、前記隙間部に圧力変化が生じるような状況において、こ の圧力変化が膨張室によって緩和される。従って、隙間部内において負圧が発生 するような状況での隙間部への融雪塩水等の浸入が防止でき、また、隙間部内に おいて高圧が発生するような状況でのケ−シングの破損が防止される。
【0016】 請求項2記載の考案では、膨張室内において凝縮水が発生することがあるが、 連通孔が内板の上側半分に形成されているために、この凝縮水は隙間部に浸入し 難くなっており、凝縮水によるケ−シングの腐蝕が抑制されている。つまり、連 通孔の形成位置が最適な位置に設定されている。
【0017】 請求項3記載の考案では、隙間部に負圧が発生するような状況において、膨張 室内の高圧が連通孔によって隙間部に作用するため、この隙間部における負圧の 上昇を確実に抑制でき、隙間部への融雪塩水等の浸入を防止できる。
【0018】 請求項4記載の考案では、隙間部に高圧が発生するような状況において、隙間 部で発生する高圧を膨張室が迅速に緩和するために、隙間部における圧力の上昇 を確実に抑制することができ、高圧によって外板や内板が変形する等といったよ うな不具合が防止できる。
【0019】 請求項5記載の考案では、連通孔が端板を構成要素として形成された膨張室に 連通されて設けられていることにより、胴体部と端板との接合部分周辺における 圧力変化を抑制でき、この接合部分に圧力変化による悪影響を与えることが回避 される。
【0020】 請求項6記載の考案では、接合気密性の劣るかしめ接合を採用した場合でも隙 間部の圧力変化の抑制に伴なって該隙間部に融雪塩水等が浸入するようなことが 回避できる。
【0021】
【実施例】
次に、本考案の実施例について図面に基づいて説明する。図1は、本例に係る 排気サイレンサ1の縦断面図である。この排気サイレンサ1は、筒状のケ−シン グ2を備え、このケ−シング2の前端に排気導入管3が、後端に排気導出管4が 夫々接続されている。また、このケ−シング2の内部には、3枚の仕切壁5,6 ,7によって4つの膨張室8,9,10,11が区画形成されており、各膨張室 8,9,10,11が複数の連通管12,13,14,15によって連通されて いる。
【0022】 以下、各部材について詳述する。前記ケ−シング2は、外板2a及び内板2b で成る胴体部2cに、前端板2d及び後端板2eが取付けられて構成されている 。図2に示すように、外板2aは、板材が図2における右側部分でかしめ接合さ れて円筒状に形成されて成っている。一方、内板2bは、前記外板2aの内周側 において、該外板2aの内周面と小間隙を存するように、板材が図2における左 側部分でかしめ接合されて円筒状に形成されて成っている。そして、前記外板2 a及び内板2bの前端部(図1における左端部)には前記前端板2dが、後端部 (図1における右端部)には前記後端板2eが夫々外周縁部においてかしめ接合 によって一体的に組付けられている。また、このかしめ接合はケ−シング2の加 工性に鑑みてなされているものである。このようにしてケ−シング2は略円柱状 に形成されていると共に、このケ−シング2における前記外板2aと内板2bと の間には前記各膨脹室8,9,10,11を囲むように隙間部Aが形成されてい る。
【0023】 仕切壁5,6,7は、図1において左右方向に併設された第1〜第3の3枚の 略円板状の板材で成り、その各周縁部が前記内板2bの内周面に接合されて、そ の左右両側に第1〜第4の4つの膨張室8,9,10,11が形成されている。
【0024】 排気導入管3は、前記ケ−シング2の前端板2dを貫通し、更に第1仕切壁5 を貫通して、その後端開口が第2膨張室9に開口している。排気導出管4は、前 記ケ−シング2の後端板2eを貫通し、更に、各仕切壁5,6,7を貫通して、 その前端開口が第1膨張室8に開口している。
【0025】 第1連通管12は、第2仕切壁6を貫通して第2膨張室9と第3膨張室10と を連通しており、第2連通管13は、第1仕切壁5を貫通して第1膨張室8と第 2膨張室9とを連通しており、第3連通管14は、第3仕切壁7を貫通して第3 膨張室10と第4膨張室11とを連通しており、更に、第4連通管15は、各仕 切壁5,6,7を貫通して第1膨張室8と第4膨張室11とを連通している。こ れによって、図示しないエンジンから排出された排気ガスは、先ず、排気導入管 3を通って第2膨張室9に導入され、該第2膨張室9で膨張された後、各連通管 12,13,14,15によって各膨張室8,9,10,11に導入されて膨張 され、その音響が低い抵抗で消耗された後、第1膨張室8から排気導出管4によ ってケ−シング2の外部に放出される。これによって排気音の抑制が行われる。
【0026】 そして、本例の特徴とする構成は、前記内板2bに形成された第1〜第3の連 通孔16,17,18にある。この連通孔16,17,18は、前記内板2bに 形成された小径の開口であって、前記隙間部Aと各膨張室8,9,11とを連通 するようになっている。また、この各連通孔16,17,18は内板2bの上面 部に形成されており、ケ−シング2内で発生した凝縮水が前記隙間部Aに浸入し 難いように構成されている。
【0027】 以下、各連通孔16,17,18について説明する。第1連通孔16は、前記 内板2bにおける第1膨張室8に臨む部分に形成されており、この第1膨張室8 と前記隙間部Aとを連通している。この第1膨張室8は、他の各膨張室9,10 ,11において減圧された排気ガスが導入される低圧空間であって、この第1連 通孔16は、各膨張室8,9,10,11のうち最も低圧となるこの第1膨張室 8と隙間部Aとを連通するようになっている。また、この第1連通孔16の形成 位置は、前記胴体部2cと前端板2dとのかしめ接合部分に近接した位置となっ ている。
【0028】 第2連通孔17は、前記内板2bにおける第2膨張室9に臨む部分に形成され ており、この第2膨張室9と前記隙間部Aとを連通している。この第2膨張室9 は、前記排気導入管3の後端が開口されており、各膨張室8,9,10,11の うち最も高圧となる空間であって、この第2連通孔は、この高圧の第2膨張室9 と隙間部Aとを連通するようになっている。
【0029】 第3連通孔18は、前記内板2bにおける第4膨張室11に臨む部分に形成さ れており、この第4膨張室11と前記隙間部Aとを連通している。この第3連通 孔18は、その形成位置が、前記胴体部2cと後端板2eとのかしめ接合部分に 近接した位置となっている。
【0030】 次に、上述の如く構成された排気サイレンサ1の作動状態について説明する。 図示しないエンジンの駆動に伴って排気系に排出される排気ガスは、排気導入管 3から排気サイレンサ1の第2膨張室9に導入される。そして、この第2膨張室 9で膨張された後、各連通管12,13,14,15によって各膨張室8,9, 10,11に導入されて膨張され、その音響が低い抵抗で消耗された後、第1膨 張室8から排気導出管4によってケ−シング2の外部に放出される。これによっ て排気音の抑制が行われる。また、各膨張室8,9,10,11の周囲には内板 2bと外板2aとの間に隙間部Aが形成されているため、各膨張室8,9,10 ,11内の排気ガスの熱がケ−シング2の外表面にまで伝達されることが抑制さ れて外部への熱害が防止されている。
【0031】 そして、本例における特徴とする動作について説明すると、先ず、車両走行時 において、乾燥路を走行している状態から、水溜まり等のある湿路を走行する際 、車輪により飛散された水によってケ−シング表面が冷却され、それに伴って、 前記隙間部A内の空気が冷却される。これにより、この隙間部A内の空気が収縮 することになるが、上述したように、この隙間部Aは各連通孔16,17,18 によって各膨張室8,9,11に連通されているために、この負圧の発生が抑制 され、従来のように隙間部A内で発生した負圧によってかしめ接合部分(胴体部 2cと前後端板2d,2eとの接合部分及び外板2aの接合部分)周辺に付着し ている融雪塩水等が隙間部A内に吸入されるといったような状況が回避される。 特に、第2連通孔17が高圧の第2膨張室9と隙間部Aとを連通しているために 、この第2膨張室9内の高圧が隙間部Aに作用することで、この隙間部Aにおけ る負圧の上昇を確実に抑制することができる。このようにして、隙間部Aへ融雪 塩水等に浸入が防止されるので、外板2a、内板2b及び各端板2d,2eの腐 蝕が確実に防止される。
【0032】 また、もう一つの特徴とする動作としては、前記隙間部Aに、膨張室8,9, 10,11内で発生した凝縮水が入り込んだ状態において、排気サイレンサ1の 温度が排気ガスによって急激に上昇されたような場合、前記凝縮水が水蒸気とな り、その体積が増大することがあるが、この場合にも、上述したように、隙間部 Aは各連通孔16,17,18によって各膨張室8,9,11に連通されている ために、この隙間部A内に高圧が発生することを抑制できる。特に、第1連通孔 16が低圧の第1膨張室8と隙間部Aとを連通しているために、この隙間部Aで 発生する高圧をこの第1膨張室8において迅速に緩和することができ、隙間部A における圧力の上昇を確実に抑制することができる。このようにして、隙間部A での高圧の発生が防止されるので、従来のように高圧によって外板2aや内板2 bが変形したり前記かしめ接合部分に応力が集中して口開き等が発生してその気 密性が悪化する等といったような不具合が防止される。
【0033】 また、前記胴体部2cと後端板2eとのかしめ接合部分に近接して第3連通孔 18が形成されているために、隙間部A内での圧力変化が、このかしめ接合部分 への影響を抑制することができ、この後端板12eのかしめ接合部分においても 圧力変化による不具合が防止される。
【0034】 このように、本例の構成によれば、排気サイレンサ1の熱害を防止するために 形成された隙間部Aと膨張室8,9,11とを連通させることによって、この隙 間部Aにおける圧力変化を膨張室8,9,10,11によって緩和し、従来の圧 力変化に伴う不具合の解消が図れるため、従来から、加工性に鑑みて行われ、ま た気密性に劣るかしめ接合を採用したままで、排気サイレンサ1の信頼性の向上 を図ることができる。
【0035】 (変形例) 次に、本考案の変形例について説明する。本例における排気サイレンサ1の主 たる構成は、上述した実施例のものと略同様であるため、本例では、その特徴と する構成のみについて述べるに止める。
【0036】 図3に示す排気サイレンサ1は、膨張室8,9,10,11と隙間部Aとを連 通する連通孔17が1箇所にだけ設けられている。つまり、内板2bにおける第 2膨張室9に臨む部分の1箇所にのみ連通孔17が形成されている。つまり、上 述した実施例における第2連通孔と同様に各膨張室8,9,10,11のうち最 も高圧になる第2膨張室9と隙間部Aとの間のみを連通するようにしている。
【0037】 このような構成によれば、連通孔17の形成されている箇所が1箇所のみであ るために、各膨張室8,9,10,11内の排気ガスの熱が隙間部A内に伝達さ れ難く、従って、ケ−シング2の表面から外部への輻射熱を抑制して熱害を防止 しながら、上述した実施例に述べたように隙間部Aへ融雪塩水等の浸入の防止に よる外板2a、内板2b及び各端板2d,2eの腐蝕の防止を確実に行わせるこ とができる。
【0038】 図4には、他の実施例を示している。この図に示す排気サイレンサ1は、膨張 室8,9,10,11と隙間部Aとを連通する連通孔16,18が2箇所に設け られている。つまり、内板2bにおける第1膨張室8及び第4膨張室11に臨む 部分の2箇所にのみ連通孔16,18が形成されている。つまり、各膨張室8, 9,10,11のうち、かしめ接合部分に近接している膨張室8,11と隙間部 Aとの間のみを連通するようにしている。
【0039】 このような構成によっても、連通孔16,18の形成されている箇所が少ない ために、各膨張室8,9,10,11内の排気ガスの熱が隙間部A内に伝達され 難く、従って、ケ−シング2の表面から外部への輻射熱を抑制して熱害を防止し ながら、上述した実施例に述べたように隙間部Aにおける圧力の上昇を抑制して 外板2aや内板2bの変形や、かしめ接合部分の口開きの防止を確実に行なわせ ることができる。
【0040】 また、上述した実施例及び変形例では、胴体部2cを外板2aと内板2bとの 2枚の板材によって形成するようにしたが本考案は、これに限らず、図5に示す ように、1枚の板材2fを螺旋状に形成して外板部2gと内板部2hとを形成し 、各板部2g,2h間に隙間部Aを形成するようにして胴体部2cを構成し、内 板部2hの所定位置に連通孔17を形成するようにしてもよい。また、排気サイ レンサ1の仕切壁5,6,7及び連通管12,13,14,15の配設位置も、 上述したものに限るものではなく、種々のタイプの排気サイレンサに適用可能で ある。
【0041】
【考案の効果】
上述したように、本考案によれば以下に述べるような効果が発揮される。請求 項1記載の考案によれば、内板に、膨張室と隙間部とを連通させる少なくとも1 つの連通孔を設けて、隙間部に圧力変化が生じるような状況において、この圧力 変化を膨張室によって緩和させるようにしているために、隙間部内に負圧が発生 するような状況において隙間部への融雪塩水の浸入が防止できるので、ケ−シン グの腐蝕を防止でき、一方、隙間部内に高圧が発生するような状況において、ケ −シングの破損を防止することができる。
【0042】 請求項2記載の考案によれば、連通孔を内板の上側半分に形成して、膨張室内 において発生する凝縮水を隙間部に浸入し難くしているために、凝縮水によるケ −シングの腐蝕が抑制され、連通孔の形成位置を最適な位置に設定できる。
【0043】 請求項3記載の考案によれば、連通孔を複数の膨張室のうち最も高圧となる膨 張室に連通して設け、隙間部に負圧が発生するような状況においては、膨張室内 の高圧が連通孔によって隙間部に作用するようにしているため、この隙間部にお ける負圧の上昇を確実に抑制でき、隙間部への融雪塩水の浸入を防止でき、ケ− シングの腐蝕を確実に防止できる。
【0044】 請求項4記載の考案によれば、連通孔を複数の膨張室のうち最も低圧となる膨 張室に連通して設け、隙間部に高圧が発生するような状況においては、隙間部で 発生する高圧を膨張室が迅速に緩和するようにしているために、隙間部における 圧力の上昇を確実に抑制することができ、高圧によって外板や内板が変形する等 といったような不具合が確実に防止できる。
【0045】 請求項5記載の考案によれば、連通孔を、端板を構成要素として形成された膨 張室に連通されて設けて、胴体部と端板との接合部分周辺における圧力変化を抑 制するようにしたことにより、隙間部の圧力変化による接合部分への悪影響を回 避することができる。
【0046】 請求項6記載の考案によれば、接合気密性の劣るかしめ接合を採用した場合で も隙間部の圧力変化の抑制に伴なって該隙間部に融雪塩水が浸入するようなこと が回避でき、排気サイレンサの加工性を維持したままで、圧力変化による不具合 を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排気サイレンサの縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線に対応した位置における断面図
である。
【図3】連通孔の形成位置の変形例における図1相当図
である。
【図4】連通孔の形成位置の他の変形例における図1相
当図である。
【図5】胴体部の変形例における図2相当図である。
【符号の説明】
1 排気サイレンサ 2 ケ−シング 2a 外板 2b 内板 2c 胴体部 2d 前端板 2e 後端板 5,6,7 仕切壁 8,9,10,11 膨張室 16,17,18 連通孔 A 隙間部
フロントページの続き (72)考案者 吉山 博文 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外板と該外板に対して所定間隔を存して
    配設された内板とにより形成される2重壁構造の胴体部
    と、該胴体部の両端部に接合された端板とによって成る
    ケ−シングを備えた排気サイレンサにおいて、前記内板
    と両端板とにより形成される膨張室と、前記外板と内板
    との間に形成される隙間部とを連通するべく、前記内板
    には少なくとも1つの連通孔が設けられていることを特
    徴とするエンジンの排気サイレンサ構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエンジンの排気サイレン
    サ構造において、連通孔は、内板の上側半分に形成され
    ていることを特徴とするエンジンの排気サイレンサ構
    造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のエンジンの排気
    サイレンサ構造において、ケ−シング内が少なくとも1
    枚の仕切壁により複数の膨張室に区分されており、連通
    孔が前記複数の膨張室のうち最も高圧となる膨張室に連
    通されて設けられていることを特徴とするエンジンの排
    気サイレンサ構造。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のエンジンの排気
    サイレンサ構造において、ケ−シング内が少なくとも1
    枚の仕切壁により複数の膨張室に区分されており、連通
    孔が前記複数の膨張室のうち最も低圧となる膨張室に連
    通されて設けられていることを特徴とするエンジンの排
    気サイレンサ構造。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載のエンジンの排気
    サイレンサ構造において、ケ−シング内が少なくとも1
    枚の仕切壁により複数の膨張室に区分されており、連通
    孔が端板を構成要素として形成された膨張室に連通され
    て設けられていることを特徴とするエンジンの排気サイ
    レンサ構造。
  6. 【請求項6】 請求項1,2,3,4または5記載のエ
    ンジンの排気サイレンサ構造において、胴体部と端板と
    の接合は、かしめ接合とされていることを特徴とするエ
    ンジンの排気サイレンサ構造。
JP4857991U 1991-06-26 1991-06-26 エンジンの排気サイレンサ構造 Pending JPH05923U (ja)

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