本発明のチューナは、選局処理を信号に施すチューナであって、複数の回路部品と、通常電力を前記回路部品に供給すると共に、前記通常電力と異なる試験電力を前記通常電力の代わりに第1の期間に亘って前記回路部品に対して供給する電力供給手段と、前記電力供給手段が前記試験電力を前記第1の期間に亘って供給した際に、前記チューナから出力されることとなる選局処理後の信号に含まれている試験時ノイズの大きさを測定する試験時ノイズ測定手段と、前記試験時ノイズ測定手段が測定した試験時ノイズの大きさと通常電力の更新の基準となるノイズ基準値とを比較する比較手段と、前記比較手段が比較した結果に基づいて、前記通常電力の大きさを更新する更新手段とを備えており、前記更新手段が、前記電力供給手段が前記通常電力より小さい前記試験電力を前記第1の期間に亘って前記回路部品に供給した場合であって前記比較手段が比較した結果から前記試験時ノイズの大きさが前記ノイズ基準値以下であったときに、前記試験電力以上且つ更新前の前記通常電力未満のいずれかの大きさに前記通常電力の大きさを更新する電力削減更新手段を有している。
また、本発明のデジタル復調装置は、複数の回路部品から構築されており選局処理を信号に施すチューナと、前記チューナから出力される信号に復調処理を施す復調器と、通常電力を前記回路部品に供給すると共に、前記通常電力と異なる試験電力を前記通常電力の代わりに第1の期間に亘って前記回路部品に対して供給する電力供給手段と、前記電力供給手段が前記試験電力を前記第1の期間に亘って供給した際に、前記チューナから出力される信号に含まれることとなった試験時ノイズの大きさを測定する試験時ノイズ測定手段と、前記試験時ノイズ測定手段が測定した試験時ノイズの大きさと通常電力の更新の基準となるノイズ基準値とを比較する比較手段と、前記比較手段が比較した結果に基づいて、前記通常電力の大きさを更新する更新手段とを備えており、前記更新手段が、前記電力供給手段が前記通常電力より小さい前記試験電力を前記第1の期間に亘って前記回路部品に供給した場合であって前記比較手段が比較した結果から前記試験時ノイズの大きさが前記ノイズ基準値以下であったときに、前記試験電力以上且つ更新前の前記通常電力未満のいずれかの大きさに前記通常電力の大きさを更新する電力削減更新手段を有している。
また、本発明のデジタル復調装置の電力供給方法は、複数の回路部品から構築されており選局処理を信号に施すチューナと、前記チューナから出力される信号に復調処理を施す復調器とを備えているデジタル復調装置に電力を供給する方法であって、通常電力を前記回路部品に供給すると共に、前記通常電力と異なる試験電力を前記通常電力の代わりに第1の期間に亘って前記回路部品に対して供給する電力供給ステップと、前記電力供給ステップで前記試験電力が前記第1の期間に亘って供給された際に、前記チューナから出力される信号に含まれることとなった試験時ノイズの大きさを測定する試験時ノイズ測定ステップと、前記試験時ノイズ測定ステップで測定された試験時ノイズの大きさと通常電力の更新の基準となるノイズ基準値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップで比較された結果に基づいて、前記通常電力の大きさを更新する更新ステップとを備えており、前記更新ステップにおいて、前記電力供給ステップで前記通常電力より小さい前記試験電力を前記第1の期間に亘って前記回路部品に供給した場合であって前記比較手段が比較した結果から前記試験時ノイズの大きさが前記ノイズ基準値以下であったときに、前記試験電力以上且つ更新前の前記通常電力未満のいずれかの大きさに前記通常電力の大きさを更新する。
また、本発明のデジタル復調装置用プログラムは、複数の回路部品から構築されており選局処理を信号に施すチューナと、前記チューナから出力される信号に復調処理を施す復調器とを備えているデジタル復調装置のためのプログラムであって、通常電力を前記回路部品に供給すると共に、前記通常電力と異なる試験電力を前記通常電力の代わりに第1の期間に亘って前記回路部品に対して供給する電力供給ステップと、前記電力供給ステップで前記試験電力が前記第1の期間に亘って供給された際に、前記チューナから出力される信号に含まれることとなった試験時ノイズの大きさを測定する試験時ノイズ測定ステップと、前記試験時ノイズ測定ステップで測定された試験時ノイズの大きさと通常電力の更新の基準となるノイズ基準値とを比較する比較ステップと、前記比較ステップで比較された結果に基づいて、前記通常電力の大きさを更新する更新ステップとを前記デジタル復調装置に実行させ、前記更新ステップにおいて、前記デジタル復調装置に、前記電力供給ステップで前記通常電力より小さい前記試験電力を前記第1の期間に亘って前記回路部品に供給した場合であって前記比較手段が比較した結果から前記試験時ノイズの大きさが前記ノイズ基準値以下であったときに、前記試験電力以上且つ更新前の前記通常電力未満のいずれかの大きさに前記通常電力の大きさを更新させるものである。
本発明のチューナ、デジタル復調装置、その電力供給方法及びデジタル復調装置用プログラムによると、試験電力の供給によって出力信号に含まれた試験時ノイズが実際に測定され、ノイズ基準値と比較された上で通常電力の更新が行われる。したがって、受信状況に応じた適切な回路部品への供給電力の制御がなされ得る。
上記の構成によると、さらに通常電力が供給される際に出力信号に含まれる通常時ノイズが実際に測定された上で、回路部品が有する回路特性に基づいて回路部品への供給電力の大きさと妨害波ノイズの大きさとの関係が導出される。したがって、試験電力が供給される際に出力信号に含まれる試験時ノイズがノイズ許容値を超える場合にも、臨界電力の大きさが導出され得る。したがって、ノイズ許容値を超えないような適切な値に通常電力の大きさが更新され得る。
また、本発明においては、前記関係導出手段が、前記比較手段が比較した結果から前記試験時ノイズが前記ノイズ許容値を上回っていた場合に、前記試験時ノイズ測定手段が測定した前記試験時ノイズの大きさと前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記通常時ノイズの大きさとの差が前記妨害波ノイズの大きさと等しいとして、前記回路部品への供給電力の大きさと前記妨害波ノイズの大きさとの関係を導出することが好ましい。この構成によると、2つの測定値のみから妨害波ノイズの大きさが取得され得るので、供給電力の大きさと妨害波ノイズの大きさとの関係を導出するのに必要な測定回数が少なくてすむ。
また、本発明においては、前記回路部品が、前記回路部品への供給電力が大きくなるほど妨害波ノイズの大きさが漸近的にゼロに近づくという回路特性を有していることが好ましい。この構成によると、供給電力の大きさがある程度を超えると妨害波ノイズの影響がほぼなくなるため、通常電力の大きさが上記の程度を超える大きさに設定されればチューナからの出力信号に含まれるノイズが妨害波ノイズの影響を受けなくなる。
また、本発明は、前記回路部品が、前記妨害波ノイズに起因して相互変調歪及び混変調歪の少なくともいずれか一方が出力信号に発生するという回路特性を有している場合に特に適している。回路部品、特にアナログ回路からの出力信号には、入力信号に対して線形な成分の他に非線形な成分も含まれることがある。とりわけ、非線形な3次の成分に起因して発生する相互変調歪や混変調歪は、回路部品からの出力信号に含まれることとなるノイズの主要な原因である。したがって、試験電力を供給して実際に出力信号からの試験時ノイズの大きさを測定し、その測定結果に基づいて通常電力の大きさを更新する本発明が適用されると、妨害波の大きさに依存する相互変調歪や混変調歪の発生を十分に考慮した上で通常電力の大きさが調整され得る。
また、本発明においては、前記回路部品の出力信号に含まれる入力信号に対して線形な1次の成分及び非線形な3次の成分のそれぞれの係数がα1(α1>0)で、α3(α3<0)で表される場合に、前記回路部品への供給電力の大きさに関連付けてα1及びα3の大きさを記憶する回路特性記憶手段をさらに備えており、前記関係導出手段が、前記回路部品のIIP3(3rd order Input Intercept Point)が数式1のように表され、前記
回路部品への入力信号に含まれる所望波及び妨害波のそれぞれの大きさがA及びAinで表される場合に、前記回路特性記憶手段が記憶したα1及びα3と、数式2のように表される相互変調歪IM3及び数式3のように表される混変調歪Nと、前記試験時ノイズ測定手段が測定した前記試験時ノイズの大きさと前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記通常時ノイズの大きさとの差とに基づいて、前記回路部品への供給電力の大きさと前記妨害波ノイズの大きさとの関係を導出することが好ましい。
上記の構成によると、相互変調歪や混変調歪と妨害波の大きさとの関係が回路部品の回路特性を表すα1及びα3を用いて数式1〜3で表される。そして、α1及びα3は供給電力の大きさと関連付けて記憶されている。したがって、試験電力及び通常電力を供給した際に測定された試験時ノイズ及び通常時ノイズの大きさと上記の数式1〜3とから、チューナに入力される信号に含まれる妨害波の大きさが特定され、供給電力の大きさと妨害波ノイズとの関係が導出され得る。
また、本発明においては、前記関係導出手段が、前記電力供給手段が1回だけ前記試験電力を前記回路部品に前記第1の期間に亘って供給した際に前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記通常時ノイズの大きさと前記試験時ノイズ測定手段が測定した前記試験時ノイズの大きさとの差に基づいて、前記回路部品への供給電力の大きさと前記回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさとの関係を導出することが好ましい。この構成によると、1回の測定だけで供給電力の大きさとノイズの大きさとの関係が導出されるため、通常電力の更新に必要な時間が短縮される。
また、本発明においては、互いに重複しない複数の期間のそれぞれに亘って前記電力供給手段が前記試験電力を前記回路部品に供給した際に前記試験時ノイズ測定手段が前記複数の期間内のそれぞれにおいて測定した前記ノイズの大きさの平均値を算出する平均算出手段をさらに備えており、前記関係導出手段が、前記平均算出手段が算出した前記ノイズの大きさの平均値と前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記ノイズの大きさとの差に基づいて、前記回路部品への供給電力の大きさと前記回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさとの関係を導出してもよい。この構成によると、測定を1回だけ行う場合と比べて測定結果の信頼性が向上する。したがって、より適切な大きさに通常電力が更新され得る。
また、本発明においては、前記チューナから出力される信号に誤り訂正処理を施す誤り訂正手段と、前記試験電力の大きさ及び前記第1の期間を、当該第1の期間に亘って当該試験電力が前記回路部品に供給された場合に当該前記チューナから出力される信号に含まれることとなるノイズに起因して前記チューナから出力される信号に含まれることとなる誤りを前記誤り訂正手段が訂正できるように決定する供給条件決定手段と、前記供給条件決定手段が決定した大きさの前記試験電力を、前記供給条件決定手段が決定した長さの前記第1の期間に亘って、前記電力供給手段に供給させる電力供給制御手段とをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、誤り訂正が可能かどうかに基づいて試験電力の供給が行われるため、試験電力の供給によって誤り訂正が不可能になる場合が少なくなる。したがって、正確な復調処理が確保される。
また、本発明においては、前記チューナに入力される信号が時間的に連なる複数のシンボルからなり、前記供給条件決定手段が、前記試験電力の大きさ及び前記第1の期間を、当該第1の期間に亘って当該試験電力が前記回路部品に供給された場合に当該前記チューナから出力される信号に含まれることとなるノイズに起因して誤りを含むこととなる全てのシンボルを前記誤り訂正手段が訂正できるように決定することが好ましい。この構成によると、試験電力の供給によって信号に誤りが生じてもその誤りが影響するシンボルの全てが訂正可能となるように試験電力が供給される。したがって、試験電力の供給によって誤り訂正が不可能になる場合が少なくなり、正確な復調処理が確保される。
また、本発明においては、前記チューナに入力される信号が時間的に連なる複数のシンボルからなり、前記供給条件決定手段が、前記第1の期間を、前記チューナに入力される信号の1つのシンボルの期間内に収まるように決定することが好ましい。この構成によると、試験電力の供給によって信号に誤りが生じても、その誤りが影響する範囲が1つのシンボルの範囲に留まる。したがって、誤りの影響が最小限の範囲に抑えられる。
また、本発明においては、前記臨界電力導出手段が導出した前記臨界電力の大きさの電力を前記回路部品へ前記電力供給手段に供給させると共に、前記チューナから出力される選局処理後の信号に含まれているノイズの大きさを測定する再試験時ノイズ測定手段をさらに備えており、前記再試験時ノイズ測定手段が測定した前記ノイズの大きさが前記ノイズ許容値以下である場合に、前記第2の更新手段が、前記臨界電力導出手段が決定した前記臨界電力の大きさ以上の大きさであって更新前の前記通常電力より小さい大きさに前記通常電力の大きさを更新することが好ましい。この構成によると、導出された臨界電力を回路部品に供給しチューナからの出力信号に含まれるノイズを測定する再試験を行い、その測定値がノイズ許容値以下になるか否かを判断してから通常電力の更新を行う。したがって、このような再試験を行わない場合と比べてより確実に通常電力がノイズ許容値を超えないように更新される。
また、本発明においては、前記通常時ノイズ測定手段が前記復調器内に構築されていることが好ましい。復調の際に測定される測定値に基づいてノイズの大きさが測定され得る。
また、本発明においては、前記ノイズ基準値にノイズの安定領域の上限値及び下限値が含まれており、前記第1の期間と異なる第2の期間に亘って前記電力供給手段が前記通常電力を前記回路部品に供給した際に、前記チューナから出力されることとなる選局処理後の信号に含まれている通常時ノイズの前記第2の期間内における大きさを測定する通常時ノイズ測定手段と、前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記通常時ノイズの大きさが前記安定領域の下限値以下であった場合に前記電力削減更新手段に前記通常電力を更新させ、前記通常時ノイズ測定手段が測定した前記通常時ノイズの大きさが前記安定領域の上限値以上であった場合に前記ノイズ改善更新手段に前記通常電力を更新させる更新選択手段とをさらに備えていてもよい。
この構成によると、チューナから出力される信号に含まれるノイズが安定領域に収まるような供給電力の制御がなされ得る。つまり、チューナから出力される信号に含まれるノイズの大きさが安定領域の上限以下に抑制されつつ、ノイズの大きさが安定領域の下限以下にならない程度にチューナの消費電力が抑制されるような制御がなされ得る。また、現行の通常電力を供給した場合に測定される通常時ノイズと安定領域の上下限値とが比較された上で、電力を削減したりノイズを改善したりする制御がなされる。したがって、受信状況によるノイズの変動に適切に応じた供給電力の制御がなされ得る。
また、本発明のデジタル復調装置においては、電力の設定値を記憶する設定値記憶手段と、前記チューナの受信信号に妨害波が含まれているか否かを判断する妨害波判断手段と、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断手段が判断した場合に、前記電力更新手段が前記通常電力の大きさを更新するのを中止すると共に、前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値の大きさを有する電力を前記回路部品に供給する設定値電力供給手段とをさらに備えていることが好ましい。また、本発明のデジタル復調装置の電力供給方法においては、前記チューナの受信信号に妨害波が含まれているか否かを判断する妨害波判断ステップと、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断ステップにおいて判断された場合に、前記電力更新ステップの実行を中止すると共に、あらかじめ設定された大きさを有する電力を前記回路部品に供給する設定値電力供給ステップとをさらに備えていることが好ましい。また本発明のデジタル復調装置用プログラムにおいては、前記チューナの受信信号に妨害波が含まれているか否かを判断する妨害波判断ステップと、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断ステップにおいて判断された場合に、前記電力更新ステップの実行を中止すると共に、あらかじめ設定された大きさを有する電力を前記回路部品に供給する設定値電力供給ステップとを前記デジタル復調装置にさらに実行させることが好ましい。
上記のデジタル復調装置、その電力供給方法及びデジタル復調装置用プログラムの構成によると、妨害波を検出した場合に直ちに電力の更新を中止し、回路部品への供給電力を設定値の大きさに変更する。したがって、急激な受信状況の変化に応じた適切な回路部品への供給電力の制御がなされ得る。
また、本発明においては、前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値が、当該設定値の大きさの電力を前記回路部品に供給した場合に、前記受信信号に含まれている妨害波によって前記チューナからの受信信号に含まれることとなるノイズが減少するような大きさに調整されていることが好ましい。この構成によると、ノイズが低減するように設定値が調整されているので、急激に受信状況が変化にも、速やかにノイズが減少するように制御がなされる。
また、本発明においては、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断手段が判断した場合に前記設定値電力供給手段に対して妨害波が含まれていることを示す妨害波有り信号を出力すると共に、前記受信信号に妨害波が含まれていないと前記妨害波判断手段が判断した場合に前記設定値電力供給手段に対して妨害波が含まれていないことを示す妨害波無し信号を出力する妨害波有無信号出力手段をさらに備えており、前記設定値電力供給手段が、前記妨害波有無信号出力手段が前記妨害波有り信号を出力している期間には、前記電力更新手段による前記通常電力の大きさの更新を中止して前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値の大きさを有する電力を前記回路部品に供給し続け、その後、前記妨害波有無信号出力手段が前記妨害波無し信号を出力し始めた場合に前記電力更新手段による前記通常電力の大きさの更新を再開することが好ましい。この構成によると、強い妨害波が存在するときに回路部品に対して試験電力を供給することが避けられる。また、強い妨害波の入力がなくすれば速やかに通常電力の大きさを更新できる。このため、電力更新手段からの制御を中止し続けない場合に比べて、試験電力を設定する際の受信状況の悪化を確実に避けることができ、かつ、妨害波が消滅すると速やかに電力を更新することができる。このため、平均的に電力の消費を抑えることができる。
また、本発明においては、前記通常電力のデフォルト値を記憶するデフォルト値記憶手段と、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断手段が判断した場合に前記デフォルト値記憶手段が記憶している前記デフォルト値に前記通常電力の大きさを更新するデフォルト更新手段とをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、妨害波判断手段の出力が妨害波ありから妨害波なしに変化したときには常に同じデフォルトの電力から電力の更新が再開する。このため、動作保証が容易であると共に予期せぬ受信状態の悪化を避けることができる。
また、本発明においては、前記妨害波判断手段による判断結果を検査することを所定の期間を挟んで複数回行うと共に、当該複数回の検査の全てにおいて前記受信信号に妨害波が含まれていることを前記判断結果が示したか否かを判定する検査判定手段をさらに備えており、前記設定電力供給手段は、前期複数回の検査の全てにおいて前記受信信号に妨害波が含まれていることを前記判断結果が示したと前記検査判定手段が判断した場合にのみ、前記電力更新手段が前記通常電力を更新するのを中止すると共に前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値の大きさを有する電力を前記回路部品に供給することが好ましい。この構成によると、妨害波なしの状態が継続している期間に1回限りの妨害波ありが検出された場合、割り込み処理が実行されない。このため、頻繁に割り込み処理が実行されることによる電力更新手段や電力供給手段の消費電力を抑えることができる。
また、本発明においては、前記妨害波判断手段による判断結果を検査することを所定の期間を挟んで複数回行うと共に、当該複数回の検査の少なくともいずれかにおいて前記受信信号に妨害波が含まれていることを前記判断結果が示したか否かを判定する検査判定手段をさらに備えており、前記設定電力供給手段は、当該複数回の検査の少なくともいずれかにおいて前記受信信号に妨害波が含まれていることを前記判断結果が示したと前記検査判定手段が示した場合に、前記電力更新手段が前記通常電力を更新するのを中止すると共に前記設定電力記憶手段が記憶している前記設定値の大きさを有する電力を前記回路部品に供給してもよい。この構成によると、妨害波ありの状態が継続している期間中に1回限りの妨害なしが検出される等の場合にも、複数回の検査が終了するまで割り込み処理を実行するか否かの判定がなされないので、割り込み処理が頻繁に実行されたり、解除されたりするのが抑制される。したがって、電力更新手段や電力供給手段の消費電力を抑えることができる。
また、本発明においては、前記電力更新手段を構築するプロセッサと、前記受信信号に妨害波が含まれていると前記妨害波判断手段が判断した場合に前記プロセッサの作業を中断して前記設定電力供給手段の作業を割り込ませる割り込み制御手段とをさらに備えていることが好ましい。この構成によると、妨害波が入力された場合には割り込みによって速やかに電力が設定される。
また、本発明は、文字、画像、プログラムなどのデータ、及び音声の少なくともいずれか1つの再現処理を行う再現手段を有している携帯電話やデジタルTV等の様々なデジタル受信装置に採用され得る。このようなデジタル受信装置は本発明のチューナ又はデジタル復調装置によって誤りが訂正された受信信号から文字、画像、プログラムなどのデータ、音声等に係る情報を取得し、これらの文字等の再現処理を行う。本発明のチューナ又はデジタル復調装置が上記のようなデジタル受信装置に採用されていることにより、チューナからの出力信号に含まれるノイズの大きさが抑えられつつ、電力の消費も抑えられる。
なお、上記の本発明のデジタル復調装置用プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ディスク、フレキシブルディスク(FD)、MO(Magneto Optical)ディスクなどのリムーバブル型記録媒体や、ハードディスクなどの固定型記録媒体のようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。また、このプログラムは、デジタル復調装置専用のものでなくてもよく、選局処理やデジタル復調処理に係るプログラムと組み合わせて使用されることにより汎用型のプロセッサをデジタル復調装置として機能させるプログラムであってもよい。
また、本明細書において「回路部品」とはデジタル復調装置の少なくとも一部分を構成する回路部品のことである。具体的には、例えば図3に示されているチューナ2が有する各部を構成する回路、及び、図7に示されている復調器3が有する各部を構成する回路や、これらの回路を構成する1個のトランジスタに等価な部品等、あらゆる単位の部品が回路部品に相当し得る。これらの回路部品は、汎用のプロセッサと上記のプログラムのようなソフトウェアとが協働して実現されているものであってもよいし、アナログ回路のように各機能に特化した回路素子からなるものであってもよい。ただし、本発明の対象は、出力信号にノイズが発生しそのノイズが供給電力の大きさによって変化することもあるような回路部品を少なくとも1つ含んでいるものである。
また、本明細書において「ノイズ基準値」とは、チューナから出力信号に含まれるノイズの上限に係る基準値である。「ノイズ許容値」は「ノイズ基準値」の1つである。
[第1の実施形態]
以下の説明は、本発明の好適な一実施形態である携帯通話装置についての第1の実施形態に係るものである。図1は第1の実施形態に係る携帯通話装置1000及び携帯通話装置1000に設けられたデジタル復調装置1の全体の概略構成を示している。
本実施形態の携帯通話装置1000(デジタル受信装置)はデジタル復調装置1を有している。携帯通話装置1000がアンテナから受信した信号Srはデジタル復調装置1によって復調される。そして、デジタル復調装置1から出力された復調信号から文字や画像や音声やプログラムなどのデータに係る情報が取り出され、これらの文字や画像や音声やプログラムなどのデータが再現される。これらの文字、画像等は、携帯通話装置1000に設けられた図示されていないディスプレイやスピーカなどを通じて携帯通話装置1000の使用者に提供される。なお、デジタル復調装置1は、携帯通話装置の他、デジタルTV、無線LAN装置、無線LANを搭載したPC等に採用されてもよい。
デジタル復調装置1はチューナ2、復調器3及び制御部4を有している。チューナ2は復調器3と電気的に接続されている。また、チューナ2はアンテナと電気的に接続されており、このアンテナを介して信号を受信する。そしてチューナ2は受信した信号Srに選局処理を施し、信号SrをIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号に変換して復調器3へと送信する。復調器3はチューナ2から送信されるIF信号を受信し、IF信号から復調信号、例えばいわゆるTS(Transport Stream)信号を生成して出力する。
なお、デジタル復調装置1は複数の回路部品から構成されている。下記において特に断りがない限り、各回路部品は、それぞれ独立した機能を果たすように特化された回路素子の集合であってもよいし、汎用のCPU、RAM等と下記の各機能を果たすようにCPUを機能させるプログラムとからなるものでもよい。後者の場合には、CPU等のハードウェア及びプログラムが組み合わされることによって回路部品が構築される。
<受信信号>
以下は、携帯通話装置1000が受信する信号Srについての説明である。本実施形態の一例として、信号Srの伝送において日本の地上波デジタル放送に係る伝送方式が採用された場合が示される。この場合、チューナ2が受け取る信号Srは、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式に係るものである。ISDB−T方式の伝送方式には、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が採用されている。
なお、本実施形態に係るデジタル復調装置の受信信号は、上記のISDB−T方式の他、DAB(Digital Audio Broadcasting)、DVB−T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)、DVB−H(-Handheld)方式、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)方式、無線LANに用いられるIEEE802.11a/b/g/n方式が採用されたものでもよい。
さらに、OFDM方式が採用された信号を受信するアンテナの無いケーブルTV等に適用されてもよい。
OFDM方式とは以下のような伝送方式である。まず、この方式はデータの搬送に複数の異なる周波数の搬送波が用いられるマルチキャリア方式である。そして、OFDM方式で用いられる搬送波は相互に直交する波形を有している。ここで、「2つの波形が直交する」とは、時間に対する波の振幅を表すそれぞれの関数同士を掛け合わせ、一周期に相当する積分範囲で時間積分したもの(内積)がゼロになることをいう。
データ送信の際には、送信されるデータの各値に応じて変調された複数の搬送波が重ね合わされた変調信号が生成される。つまり、送信されるデータに含まれる複数のデータ値の配列順に従って各データ値が異なる搬送波に振り分けられる。そして、振り分けられたデータ値に応じて搬送波が変調され、変調された複数の搬送波が重ね合わされることによりOFDM信号が生成される。OFDM方式においてこのようにOFDM信号を生成することは、逆フーリエ変換を行うことと同等である。なお、以下の説明において、有効シンボル長とはOFDM方式で用いられる搬送波の周波数間隔の逆数をいう。
次に、直接波以外の遅延波の影響を削減するため、上記のように変調された複数の搬送波が重ね合わされた変調信号にはさらにガードインターバルが挿入される。ガードインターバルは、上記の変調信号において有効シンボル長の領域ごとに、この領域の一端に位置する一部の領域が複写されて、他端に挿入されたものである。このようにガードインターバルが挿入された変調信号が、OFDM信号として送信される。
有効シンボル長の信号とガードインターバルとからなる信号は、1シンボルと呼ばれる。OFDM信号はこのような複数のシンボルが連なって構成される。OFDM信号と時間的に遅延して受信側に到達する遅延波とが重なり合った信号が受信された場合には、異なるシンボルが受信信号において重なり合う。ガードインターバルは、OFDM信号と遅延波とが重なり合って受信された場合に、異なるシンボルが重なり合っていない部分を受信信号から取り出すために用いられている。
また、地上波デジタル放送においては、OFDM信号によって伝送されるデータに対して、伝送経路上で発生する雑音や干渉波によって発生する誤りを訂正するための符号化が行われる。符号化にはリードソロモン符号(RS符号)とビタビ符号とが用いられる。地上波デジタル放送で用いられるRS符号においては、伝送される204バイトのデータのうち、後ろ16バイト分がチェックビットであり、204バイト中最大8バイトの誤りが訂正可能である。
また、ビタビ符号においては、符号化後の伝送されるnビットに対して、符号化前のデータがkビットのときの符号化率をk/nとして、1/2から7/8が規格化されている。これらRS符号化及びビタビ符号化されたデータを元に戻すために、受信側ではRS復号及びビタビ復号が行われる。
ところで、伝送経路の状態によっては、伝送信号に対して時間的又は周波数的に誤りが集中するいわゆるバースト誤りが発生する場合がある。また、ビタビ符号化された信号を元に戻すビタビ復号後において誤り訂正できない場合には、一般的にバースト誤りが起こることが多い。RS復号を用いた誤り訂正によって上記のようなある長さの信号に発生する誤りを訂正する場合、この長さの信号あたりにおける訂正可能な誤り数には限界がある。したがって、上記のようなバースト誤りが発生すると、誤りの訂正が不可能となる場合がある。
地上波デジタル放送においては、このように伝送信号にバースト誤りが発生した場合にも誤り訂正が可能となるように、伝送信号によって伝送されるデータに対して種々のインターリーブ処理が施される。インターリーブには、ビットインターリーブ、バイトインターリーブ及び時間インターリーブや周波数インターリーブがある。これらは、伝送信号に含まれる信号に対応するデータを時間的に並べ替えたり周波数的に並べ替えたりするものである。特に、時間的に連続する複数の信号を時間的に並べ替える目的のため、時間的インターリーブがある。また、周波数的に連続する複数の搬送波を周波数的にランダムに並べ替えるために周波数インターリーブがある。例えば、時間インターリーブ及び時間インターリーブが行われたデータを元に戻す時間デインターリーブは以下のように行われる。
図2は、時間インターリーブ及び時間デインターリーブの一例を示す模式図である。図2においては、インターリーブ及びデインターリーブ処理が施される前後の3つの信号Sが示されている。これらの3つの信号は、図2に示されているように、時間的に連続する複数のシンボルSbからなる。
変調された複数の搬送波からなるOFDM信号Sは、時間インターリーブにより、シンボルSbの長さに対応するデータごとに、あらかじめ決められた順序に従って、図2のように並べ替えられる。このように並べ替えられたデータに対応する信号が送信されると、伝送経路の状態によって、信号の一部にバースト誤りEbが発生する。そして、この信号が受信されると、受信側で時間デインターリーブが行われる。時間インターリーブによりいったん並べ替えられたデータが、時間デインターリーブにより再び元の順序に戻される。ここで、伝送経路において複数のシンボルに跨って発生したバースト誤りEbは、時間デインターリーブによりシンボルごとの誤りEdのように分散される。
図2に示されているように、時間インターリーブによって各シンボルは時間インターリーブ前の時間的な位置よりも後ろの位置に移動するように並べ替えが行われる。また、各シンボルにおける周波数の異なる搬送波に含まれる信号は、並べ替え後の信号におけるそれぞれ別の時間的な位置に含まれることとなる。
このように、時間的に誤りが集中するバースト誤りが発生した場合でも、時間デインターリーブ後には誤りが分散されるため、誤り訂正が可能となる。
バイトインターリーブにおいては204バイトのRS符号化の単位でデータが分散されるように、バイト単位の信号の並べ替えが行われる。また、ビットインターリーブにおいてはビット単位で信号の並べ替えが行われる。さらに、周波数インターリーブにおいては、OFDM信号に含まれる各搬送波を跨いでシンボルの並べ替えが行われる。
地上波デジタル放送においては、このほか、データの偏りによる伝送信号のエネルギーの偏りを防ぐため、エネルギー拡散が行われる。エネルギー拡散は、擬似ランダムデータと伝送信号に係るデータとのビット単位の排他的論理和をとって、データをランダム化することにより行われる。
<チューナ>
以下は、チューナ2についての説明である。図3はチューナ2の構成を示すブロック図である。
チューナ2はRFアンプ部21、ミキサ部22、VCO・PLL部23、フィルタ部24及びIFアンプ部25を有している。チューナ2に入力された信号Srは、RFアンプ部21によって増幅されて、ミキサ部22へと出力される。一方、VCO・PLL部23は、特定のチャンネルに相当する周波数に基づくミキシング信号を生成する(選局処理)。VCO・PLL部23が生成したミキシング信号はミキサ部22へと出力される。そして、ミキサ部22は、RFアンプ部21からの出力信号SrとVCO・PLL部23からのミキシング信号とから、IF周波数に応じたIF信号Siを生成する。
ミキサ部22が生成したIF信号Siはフィルタ部24へと出力される。フィルタ部24はミキサ部22からの出力信号Siから不要な信号成分を除去する。不要な信号成分が除去された信号SiはIFアンプ部25へと主力される。IFアンプ部25はフィルタ部24からの出力信号Siを増幅すると共に、増幅した信号Siを復調器3へと出力する。
チューナ2はさらに電力供給部100を有している。電力供給部100は、RFアンプ部21、ミキサ部22、フィルタ部24及びIFアンプ部25のそれぞれに電力を供給する。RFアンプ部21等は、電力供給部100からの供給電力によって動作する。電力供給部100は電力調整部101、通常電力記憶部102及び試験電力記憶部103を有している。通常電力記憶部102にはRFアンプ部21等に供給する通常電力の大きさが記憶されている。電力調整部101は、通常電力記憶部102及び試験電力記憶部103のいずれか一方に記憶されている通常電力の大きさにRFアンプ部21等に供給する電力の大きさを調整する。なお、電力供給部100は、制御部4からの指示が特にない限り、RFアンプ部21等の回路部品の通常動作において必要な通常電力記憶部102に記憶されている通常電力を回路部品に供給する。
ところで、RFアンプ部21等がいわゆるアナログ回路によって実現されている場合に、アナログ回路からの出力信号には各種のノイズが含まれる。出力信号に含まれるノイズのうちの一部は、そのアナログ回路に供給される電力の大きさに依存する。つまり、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズの大きさはRFアンプ部21等への供給電力の大きさによって変化する。一方で、チューナ2から出力された信号Siを復調器3が復調する際に信号Siに含まれるノイズの大きさがある限度を上回っていると、信号Siが正確に復調されない場合がある。このため、RFアンプ部21等への供給電力は、信号Siが正確に復調される程度に十分な大きさとなるように調整されていなければならない。
したがって、通常電力記憶部102に記憶されている通常電力の大きさは、最終的にチューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズの大きさが信号Siを正確に復調できる範囲に収まるような電力の大きさにあらかじめ設定されている。
以下は、アナログ回路からの出力信号に含まれるノイズについての説明である。
<出力信号に含まれるノイズ>
アナログ回路からの出力信号に発生するノイズには主に2種類のノイズがある。一方のノイズは、アナログ回路の熱雑音等に起因して発生する雑音ノイズである。雑音ノイズは、アナログ回路に含まれる抵抗素子、トランジスタのベース抵抗、エミッタ抵抗等から発生する熱によって発生するノイズを含んでいる。また、アナログ回路がpn(positive-negative)接合を含んでいる場合のようにエネルギー障壁にまたがって電荷が移動する際
に発生するいわゆるショットノイズや、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)の酸化物とシリコンとの界面に電荷がトラップされる際に発生す
るいわゆるフリッカノイズも雑音ノイズに含まれる。
出力信号に発生する他方のノイズは、携帯通話装置1000に信号Srが受信される際に、送信元から送信された本来の信号に相当する所望波以外の妨害波が信号Srに混入することに起因して発生する妨害波ノイズである。妨害波ノイズは以下のようなものである。アナログ回路からの出力信号には、入力信号に対して線形な成分のみならず入力信号に対して非線形な歪みの成分が含まれる。所望波以外の妨害波が入力信号に混入している場合には、所望波と妨害波との両方に対する非線形な歪み成分が出力信号に表れる。このような非線形成分のうちの出力信号における所望波の線形成分に影響を与えるものが妨害波ノイズである。以下は、妨害波ノイズについての定量的な説明である。
あるアナログ回路において入力信号x(t)に対して出力信号y(t)が得られる場合
、これらの関係は下記の数式4によって表現される。なお、αn(n=0,1,2,…)はn次成分の係数であり、当該アナログ回路の回路特性を示すものである。α1はアナログ回路のゲインを示し一般にα1>0であり、α3<0である。
数式4において、1次及び3次以外の歪みの影響は一般的に小さい。数式5は、簡単のため入出力の関係が1次と3次の項のみで近似されたものである。
入力信号が2つの正弦波で表されるとする。なお、一方の正弦波の大きさ及び角速度のそれぞれがA1及びω1と表され、他方の正弦波の大きさ及び角速度がA2及びω2で表されるとする。数式6は、このときの入力信号を示している。なお、角速度ωと周波数fとの関係はω=2πfと表される。角速度と周波数との違いは2πのみであり、簡単のため以下において角速度と周波数とが同様のものとして取り扱われる。
数式6が数式5に代入されると出力信号における各周波数成分が以下のように得られる。まず、数式7は数式5に数式6が代入されたものを表す。
数式8は、数式7が展開された結果である。
さらに数式8が展開されると、数式8において周波数がω1およびω2である成分は数式9で表されるものになる。
また、周波数が2ω1±ω2である成分は数式10で、周波数がω1±2ω2である成分は数式11で表されるものになる。
ここで、大きさA1及びA2で表される2つの正弦波の両方が妨害波であるとする。このとき、出力信号のスペクトルには、周波数が2ω1−ω2及びω1−2ω2の成分として数式10及び数式11で表される成分が含まれることになる。これらの成分は相互変調歪と呼ばれる。数式10及び数式11に示されているように、相互変調歪の大きさはそれぞれ3/4|α3|A12A2及び3/4|α3|A1A22である。図4(a)には、出力信号のスペクトルに含まれるこのような相互変調歪が示されている。所望波の周波数帯域に相互変調歪の周波数が接近すると、このような相互変調歪が所望波の受信を妨げるノイズとなる。
次に、数式6において大きさA1で示される正弦波が所望波であり、大きさA2で示される正弦波が妨害波であるとする。このとき、出力信号のスペクトルには、所望波自体の周波数であるω1の成分として数式9で表される成分が含まれることになる。この成分は混変調歪と呼ばれる。数式9に示されているように、混変調波の大きさは3/2|α3|A1A22である。図4(b)にはこのような混変調歪が示されている。所望波の他に妨害波が入力信号に含まれる場合には、所望波自身の周波数成分として混変調歪によるノイズが必ず発生する。
このように、所望波以外に妨害波が入力信号に含まれる場合には、チューナを構成するRFアンプ部21等の非線形性と妨害波とに起因して、所望波の周波数帯域に妨害波ノイズが発生する。このため、チューナから出力されるIF信号Siには妨害波ノイズが含まれることになる。
回路部品群の3次の非線形性を現す指標としてIIP3(3rd order Input Intercept Point)がよく用いられる。以下はIIP3についての説明である。図5はIIP3を説
明するための図である。
上記のとおり、2つの妨害波が入力される場合には相互変調歪が生じる。図5(a)は、回路部品群において、大きさが共にAinであり周波数がそれぞれω1及びω2(ω1≠ω2)の2つの正弦波からなる信号が入力された場合の出力信号のスペクトルを示している。出力信号において周波数がω1及びω2の成分はα1倍に増幅されて出力されている。これらは、入力信号に対する1次の成分である。さらに回路部品群における非線形の3次の成分、すなわち相互変調歪(IM3)による成分が出力されている。
図5(b)には、入力信号の大きさに対する所望波の大きさのグラフと入力信号の大きさに対する相互変調歪によるノイズの大きさのグラフとが示されている。所望波の大きさは入力信号の大きさに比例し、相互変調歪(IM3)は入力信号の大きさの3乗に比例す
る。入力信号に対して1次に比例する所望波の大きさと3次に比例する相互変調歪(IM
3)による成分の大きさとが一致する入力信号の大きさはIIP3、出力信号の大きさはOIP3(3rd order Output Intercept Point)と定義され、回路部品群の非線形性を表す指標として使われている。出力信号における所望波の大きさはα1Ainであり、相互変調歪による成分の大きさは3/4|α3|Ain3であるので、IIP3は以下のように求められる。
よって、大きさが共にAinの2つの妨害波が入力された場合の相互変調によって生じる歪みの大きさは、IIP3を用いて以下のように求められる。
さらに大きさがA1の所望波と大きさがA2の妨害波が入力された場合の混変調によって生じる所望波の周波数に発生する歪みの大きさは、IIP3を用いて以下のように求められる。
なお、数式13及び数式14に示されているとおり、相互変調歪は妨害波の大きさの3乗に比例し、混変調歪は妨害波の大きさの2乗に比例する。したがって、妨害波ノイズが問題となるほど妨害波が大きいときには、混変調歪の影響よりも相互変調歪の影響の方が大きい。したがって、相互変調歪が所望波の周波数帯に接近している場合には主に相互変調歪の影響のみが考慮され、相互変調歪が所望波の周波数帯に接近していない場合には混変調歪の影響のみが考慮されるように、デジタル復調装置1が構成されていてもよい。
あるアナログ回路からの出力信号に含まれるノイズには、そのアナログ回路自身から発生する妨害波ノイズ及び雑音ノイズと、そのアナログ回路への入力信号に含まれるノイズとが含まれる。例えばIFアンプ部25への入力信号には、RFアンプ部21、ミキサ部22及びフィルタ部24において発生したノイズやチューナ2に入力された信号のノイズも含まれる。したがって、あるアナログ回路からの出力信号には、(1)そのアナログ回路において発生した妨害波ノイズ、(2)そのアナログ回路において発生した雑音ノイズ、(3)他のアナログ回路において発生したノイズ、及び、(4)チューナに入力される前に発生していたノイズが含まれることになる。なお、(3)の他のアナログ回路で発生したノイズは、そのアナログ回路で発生した妨害波ノイズと雑音ノイズからなる。各アナログ回路において入力信号が増幅される場合には入力信号に含まれるノイズも増幅されるため、(3)及び(4)のノイズは増幅されて出力される。
<ノイズと供給電力との関係>
チューナ2から出力された信号Siに含まれるノイズがある大きさを超えると、復調器3によって信号Siが正確に復調されなくなる。信号Siが正確に復調されないと、復調器3から出力されるTS信号から、文字や音声等のデータが正確に取得されなくなる。このような事態を防止するため、チューナ2の各回路部品において、出力信号に含まれるノイズが所定の大きさを超えないように供給電力の大きさが制御されなければならない。
図6(a)及び図6(c)は、RFアンプ部21、ミキサ部22、フィルタ部24及びIFアンプ部25のうちのいずれかのアナログ回路からの出力信号に含まれているノイズの大きさと、そのアナログ回路への供給電力との関係の一例を示す概略的なグラフである。図6(a)のグラフにおいて、横軸は供給電力の大きさを示し、縦軸はノイズの大きさを示している。一方、図6(b)はアナログ回路への供給電力の大きさとそのアナログ回路のIIP3との関係を示す概略的なグラフである。図6(a)〜図6(c)のグラフはいずれも概略的なものであるが、縦軸のスケールの目安としていずれも対数目盛りで示されているものとする。
図6(a)において曲線Cfは妨害波ノイズが存在しない場合の曲線の一例であり、曲線Cmは妨害波ノイズのみが存在する場合の曲線の一例である。数式13及び数式14に示されているように妨害波ノイズはIIP3の2乗に反比例する。そして、図6(b)に示されているように供給電力が大きくなるほどIIP3は極端に大きくなる。したがって、曲線Cmに示されているように、妨害波ノイズの大きさは電力が小さくなると急激に大きくなる。一方で、電力の変化に対する妨害波ノイズの変化と比べて電力の変化に対する妨害波ノイズ以外のノイズの変化は極めて小さい。このため、曲線Cfに示されているように妨害波ノイズ以外のノイズの大きさは電力の大きさに対してほぼ一定であると取り扱われる。
なお、曲線Cfに示されているような妨害波ノイズ以外のノイズには、上記の(1)〜(4)のノイズのうち、(2)そのアナログ回路において発生した雑音ノイズ、(3)他のアナログ回路において発生したノイズ、及び(4)チューナに入力される前に発生していたノイズが含まれている。
曲線C1は妨害波ノイズ及び雑音ノイズの合計のノイズの大きさと電力の大きさとの関係を示す曲線である。曲線Cm及び曲線Cfが上記のような特性を有することから、曲線C1において電力が大きいときにはノイズの大きさはほぼ一定である。そして、曲線C1において電力がある大きさP0よりも小さくなるとき、ノイズは急激に上昇する。Nfは、曲線C1において妨害波ノイズの影響がほとんど表れないP0(臨界電力)以上の大きさの電力が供給された際に回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさを示す。回路部品への供給電力がP0を下回ると妨害波ノイズの影響が表れるため、回路部品への供給電力がP0を下回らないように制御されなければならない。
しかし、妨害波の大きさが変化すると、ノイズの大きさと電力の大きさとの関係を示す曲線も変化する。例えば相互変調歪による妨害波ノイズが生じている場合に、妨害波の大きさAinが2倍になると妨害波ノイズの大きさは数式13より8倍となる。携帯通話装置1000自身が信号を送信する際にその信号が直接アンテナから受信される等の場合を除いて、通常、チューナ2に入力される信号Srにどのくらいの大きさの妨害波が混入するかを正確に予測するのは不可能である。
したがって、例えば妨害波の大きさがある程度の範囲で変化するとの想定に基づいて、アナログ回路への供給電力の大きさが制御されなければならない。妨害波の大きさが変化することで、ノイズの大きさと電力の大きさとの関係を示す曲線が曲線C1、曲線C2及び曲線C3の間で変化する場合に、供給電力の大きさがP0に保持されていると、出力信号に妨害波ノイズの影響が表れる場合がある。このように妨害波が変化しても復調器3が信号Siを復調できるように、アナログ回路への供給電力は十分に余裕のある大きさに設定されていなければならない。したがって、供給電力は曲線C1〜C3の間で妨害波ノイズが変化しても、出力信号に妨害波の影響が表れない値、例えば図6(a)のP2に保持される。つまり、妨害波の大きさが変化したり回路部品の動作状況が変動したりしても、回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがほとんどNfから変化しないように通常電力の大きさが保持される。
このように、RFアンプ部21等の回路部品への供給電力は妨害波の変化を考慮して設定されなければならない。またその他にも、回路部品のそれぞれには製造上のばらつきが存在する。さらに、チューナ2の動作状況によって回路部品への供給電力に不測の変動が生じたり、気温等の動作環境に応じて各回路部品の回路特性に変動が生じたりする場合もある。
したがって、RFアンプ部21等への供給電力の大きさは、通常、妨害波の変化、製造上のばらつき、供給電力の変動、動作環境の変動等を考慮して設定される。具体的には、通常電力記憶部102に記憶されている通常電力の大きさが十分に余裕のある大きさに設定される。つまり、通常電力記憶部102には、RFアンプ部21等の各アナログ回路について、妨害波が変化したり動作環境が変化したりする場合にも復調器3が正確に信号Siを復調できるように十分に余裕のある電力の大きさが記憶されている。これによって、例えば妨害波の大きさが変化し、ノイズと供給電力との関係が曲線C1〜C3の間で変化する場合にも、復調可能な範囲の十分な電力がRFアンプ部21等の回路部品に供給され得る。
なお、回路部品への供給電力の変化に対する妨害波ノイズ以外のノイズの変化が無視できない図6(c)のような場合には、回路部品からの出力信号に含まれることとなるノイズの大きさがノイズ許容値Np以下となるように、通常電力の大きさがP3以上の大きさに設定される。このようなノイズ許容値Npは、復調器3が正確に信号Siを復調できるようなノイズの大きさである。そして、通常電力は、妨害波の変化、製造上のばらつき、供給電力の変動、動作環境の変動等が考慮された上で、復調処理に支障がないようにNpよりも十分大きく設定される。
<復調器>
以下は、復調器3についての説明である。図7(a)は復調器3の構成を示すブロック図である。図7(a)に示されているように、復調器3は、下記に示されるADC部31等の複数の部品から構成されている。なお、下記の各部品は、それぞれの機能を果たすように特化された回路を有する部品であってもよいし、汎用のCPU、RAM等と下記の各機能を果たすようにCPUを機能させるプログラムとからなるものでもよい。後者の場合には、CPU等のハードウェア及びプログラムが組み合わされることによって、以下に説明するFFT部33等が構築される。
復調器3は、ADC部31、AFC・シンボル同期部32、FFT部33、フレーム同期部34、検波部35、波形等化部37及び誤り訂正部36を有している。復調器3は、IF信号に復調処理及び誤り訂正処理を施す。
チューナ2から出力されたIF信号SiはADC部31に入力される。ADC部31は、アナログ信号である入力された信号Siをデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をAFC・シンボル同期部32へと出力する。AFC・シンボル同期部32は、ADC部からのデジタル信号に対してフィルタ処理などの補正処理等を行う。そして、AFC・シンボル同期部32は、後述のFFT部33によるフーリエ変換の開始点、つまり、シンボル同期点を決定してシンボル同期を取ると共に、デジタル信号をFFT部33へと出力する。これと共に、AFC・シンボル同期部32は制御部4へと、シンボル同期点に係る情報を送信する。さらに、AFC・シンボル同期部32は、有効シンボル長を示すモードに係る情報を導出し、その情報をチューナ制御部4へと送信する。なお、有効シンボル長を示すモードには、モード1(有効シンボル長252μs)、モード2(有効シンボル長504μs)及びモード3(有効シンボル長1008μs)がある。
なお、シンボル同期点の決定においては、遅延して到達する遅延波等の影響が最も少ない最適な受信が可能な点が同期点として設定される。このような同期点の決定方法として、信号の相関を参照する方法や、パイロット信号を用いて位相のずれを補正する方法等が用いられる。
FFT(Fast Fourier Transform)部33は、AFC・シンボル同期部32からのデジタル信号をフーリエ(時間−周波数)変換する。このフーリエ変換には、いわゆる高速フーリエ変換(FFT)が一般的に用いられる。つまり、このデジタル信号はOFDM信号なので、逆フーリエ変換された波形、すなわち、データ値に応じて変調された複数の搬送波が重ね合わされた波形を有している。FFT部33は、このように重ね合わされた波形から、データ値に従って変調された複数の搬送波をフーリエ変換によって取り出す。そして、FFT部33は、各搬送波に振り分けられた各データ値に対応するデジタル信号を、データの元の配列順で時間的に並ぶように並べ替えて、OFDM信号が生成される前のデータに対応するデジタル信号を再現する。そして、FFT部33はこのデジタル信号をフレーム同期部34へと出力する。
フレーム同期部34は、FFT部33から送られたデジタル信号におけるフレーム単位での同期をとる。1フレームは例えば204のシンボルからなり、1フレームの信号から1まとまりのTMCC情報が取得される。フレーム同期部34によって同期が取られたデジタル信号は波形等化部37へと出力すると共に、検波部35へも出力される。
波形等化部37は、デジタル信号に含まれるスキャッタードパイロット信号等に基づき、フレーム同期部34によって同期が取られたデジタル信号に対して波形等化を行う。そして、波形等化によって信号補正を施した後、データ値に相当するデジタル信号に復調し、復調したデジタル信号を誤り訂正部36へと出力する。一方で、波形等化部37はCN(Carrier-Noise)比を測定する(通常時ノイズ測定手段、試験時ノイズ測定手段)。具体的には波形等化部37は、デジタル信号に対して波形等化を行う際に、デジタル信号に含まれるスキャッタードパイロット信号等に基づいて波形等化が施された各搬送波のコンスタレーションと規定値との差を導出する。そして、波形等化部37は、CN比に係る情報として、コンスタレーションと規定値との差から受信信号のMER(Modulation Error Ratio)を算出すると共に、算出したMERを制御部4へと送信する。
一方、検波部35はデジタル信号に含まれるTMCC情報を取り出す。そして、TMCCに係る情報とを制御部4へと送信する。TMCC情報には、64QAM、16QAM、QPSK等のキャリア変調方式、畳み込み符号化率(1/2、2/3、3/4、5/6、7/8)等の伝送方式に係る情報が含まれる。また、ガードインターバル長として、有効シンボルの1/4,1/8,1/16及び1/32の長さが採用される。
誤り訂正部36は波形等化部37からのデジタル信号に誤り訂正処理を施す。誤り訂正処理はデインターリーブ処理及び復号処理からなる。誤り訂正部36は、図7(a)に示されているように、デインターリーブ部41、復号部42及びエネルギー逆拡散部43を有している。
デインターリーブ部41は波形等化部37からのデジタル信号にデインターリーブ処理を施す。デインターリーブ部41は、図7(b)に示されているように、周波数デインターリーブ部51、時間デインターリーブ部52、ビットデインターリーブ部53及バイトデインターリーブ部54を有している。これらのデインターリーブ部51〜54は、それぞれ上述のような種々のインターリーブに対応する、周波数デインターリーブ、時間デインターリーブ、ビットデインターリーブ、及び、バイトデインターリーブを行う。種々のインターリーブ処理が施されたデジタル信号が、これらのデインターリーブ処理によりインターリーブ前のデジタル信号に戻される。
復号部42は、波形等化部37からのデジタル信号に復号処理を施す。復号部42は、図7(c)に示されているように、ビタビ復号部61及びRS復号部62を有している。これらの復号部61及び62は、それぞれ上記のようなビタビ復号及びRS復号を行う。これらの復号によってデジタル信号に含まれている信号の誤りが訂正されると共に、ビタビ符号化及びRS符号化が施されたデジタル信号が符号化前のデジタル信号に戻される。
エネルギー逆拡散部43は、波形等化部37からのデジタル信号をエネルギー拡散される前のデジタル信号に戻す。
これら種々のデインターリーブ、復号及びエネルギー逆拡散は、送信側で行われた種々のインターリーブ、符号化及びエネルギー拡散の順番に対応する順番で行われる。ISDB−Tの復調の場合には、周波数デインターリーブ、時間デインターリーブ、ビットデインターリーブ、ビタビ復号、バイトデインターリーブ、エネルギー逆拡散及びRS復号の順に行われる。
このように復調器3によって復調処理が施されたデジタル信号がTS信号として復調器3から出力される。
ところで、チューナ2からの信号Siに含まれているノイズは信号Siに誤りが発生する主要な原因である。誤り訂正部36は信号Siに誤り訂正処理を施すことによりこのような誤りを訂正する。しかし、波形等化部37からのデジタル信号に含まれる信号の誤りがある量を超えると、誤り訂正部36がデジタル信号に含まれる誤りを十分には訂正できなくなる。このように誤り訂正部36が誤りを十分に訂正できない場合には、復調器3が信号Siを復調して出力したTS信号から文字や音声等に係る情報が正確に取り出されない。つまり、チューナ2からの信号Siに含まれるノイズが大きいと信号Siに含まれる誤りが多くなり、復調器3による復調処理が正確になされない原因となる。
一方で、誤り訂正処理にはデインターリーブ処理が含まれている。デインターリーブ処理によってデジタル信号に含まれる誤りは分散される。例えば時間デインターリーブの場合、1つのシンボルに含まれる信号は時間インターリーブ長の範囲に分散される。図8は、時間デインターリーブによって1つのシンボルに含まれる誤りが分散される様子を示している。図8(a)において曲線91a及び92aのそれぞれは、時間デインターリーブ前に信号Sに含まれる誤りの量及び時間デインターリーブ後に信号Sに含まれる誤りの量を示している。曲線91aにはデインターリーブ処理前の信号SのあるシンボルSbに誤りのピーク81aが生じている様子が示されている。曲線92aには時間デインターリーブによって時間インターリーブ長Liの範囲に誤りが分散されている様子が示されている。
このように時間デインターリーブによって分散された誤りは、信号Sが復号されることにより訂正される。曲線92aに示されているように、復号処理によって訂正可能な誤り量の限界である閾値を分散後の誤りの量が下回る場合には信号Sに含まれる誤りは十分に訂正され得る。
一方で、図8(b)には信号Sに含まれる誤りが十分には訂正されない場合が示されている。図8(b)において曲線91b及び92bのそれぞれは時間デインターリーブ前の信号Sに含まれる誤りの量及び時間デインターリーブ後の信号Sに含まれる誤りの量を示している。誤りのピーク81bが時間デインターリーブによって分散された後の誤り量は、曲線92bに示されているように閾値を超えており、このような場合、信号Sに含まれている誤りは十分には訂正されない。
なお、図8(c)には2つのシンボルに亘って誤りのピークが発生している場合が示されている。曲線91cには2つのシンボルに亘って時間デインターリーブ前の信号Sに含まれる誤りのピーク81cが示されており、曲線92cには時間デインターリーブ後の誤り量が示されている。誤りのピーク81cにおいて前半のシンボルに含まれている部分が分散される範囲と後半のシンボルに含まれる部分が分散される範囲とは1シンボル分だけずれている。曲線92cにはそれぞれのシンボルに含まれる部分が分散された範囲が重なり合っている様子が示されている。時間デインターリーブ後の信号Sに含まれる誤りは複数のシンボルに含まれる誤りが分散されたものが重なり合ったものとなる。
<通常電力の制御>
上記の通り、チューナ2の各回路部品に供給される電力は復調器3による復調処理が可能な範囲になるような十分に余裕のある大きさに設定されている。例えば図6において、妨害波の変化に応じて供給電力の大きさに対する妨害波ノイズの大きさの曲線が曲線C1〜C3の間で変化する場合には、通常電力記憶部102にP2以上の大きさが記憶される。しかし、携帯通話装置1000の受信状況によってはあまり大きな妨害波が存在しない場合もある。例えば、妨害波の大きさがせいぜい曲線C2で表されるものに過ぎない場合等、回路部品に供給すべき電力の大きさもP2より小さいP1程度でよい場合もある。このような場合にも回路部品への供給電力がP2以上に保持されていると、電力が無駄に消費されることになる。
制御部4は、妨害波の大きさのみならず、各回路部品の製造上のばらつきや、供給電力の変動、動作環境に対する回路特性の変動等に応じて適切な大きさの電力が各回路部品に供給されるように、以下のような制御を行う。
アンテナから混入する妨害波の大きさを予測するのは不可能であるため、妨害波ノイズの大きさは通常未知である。そこで、制御部4は妨害波ノイズの大きさを評価するためにノイズの測定を行うと共に、その測定の結果に基づいて通常電力記憶部102の電力を更新する。制御部4が行うノイズの測定及び電力の更新の概略は以下の通りである。
まず、制御部4は通常電力記憶部102に記憶されている通常電力が回路部品に供給されている期間A(第2の期間)に亘って測定されたノイズの大きさの時間的な平均値を導出する。平均値の導出には、復調器3から送信されるMERの値が用いられる。次に、制御部4は、通常電力記憶部102に記憶されている通常電力より小さい試験電力を期間B(第1の期間)に亘って回路部品に供給させると共に、この期間に測定されたノイズの大きさの平均値を導出する。
図9は、通常電力が供給された期間A及び試験電力が供給された期間Bのそれぞれにおいて測定されたノイズの平均値を示している。チューナ2に妨害波が含まれている場合には、期間Aにおいて測定されたノイズ(通常時ノイズ)の大きさよりも期間Bにおいて測定されたノイズ(試験時ノイズ)が妨害波ノイズの大きさΔNだけ大きくなる。したがって、妨害波ノイズの大きさが導出される。一方、IIP3と供給電力の大きさとの関係は各回路部品の回路特性に依存しており、既知のものである。したがって、期間Bにおいて供給された電力に対するIIP3の大きさも既知である。
このように妨害波ノイズの大きさが導出され、IIP3の大きさも既知であることから、数式13及び数式14から妨害波の大きさが導出される。その結果、妨害波ノイズの大きさと供給電力の大きさとの関係が導出される。制御部4は、このような妨害波ノイズの大きさと供給電力の大きさとの関係を用いて通常電力記憶部102に記憶されている通常電力の大きさを更新する。
以下は、制御部4の具体的な構成を有している。図10は制御部4の構成を示すブロック図である。制御部4は、回路特性記憶部201、測定条件決定部210、測定平均値算出部220、測定結果評価部230、臨界電力試験部240及び電力供給制御部250を有している。
回路特性記憶部201は、回路部品のゲインを示す係数であるα1(数式5参照)及び非線形成分の3次の係数であるα3をRFアンプ部21等のそれぞれについて回路部品への供給電力の大きさに関連付けて記憶している。なお、これらの係数は厳密には回路部品の動作状況、動作環境等にも依存するため、回路特性記憶部201はこれらの係数と動作状況や動作環境との関係を示す情報を記憶していることが好ましい。これによって実際の状況により適応した供給電力の制御がなされ得る。
測定条件決定部210は妨害波ノイズの測定に係る測定条件を決定する。まず、測定条件決定部210は測定の対象となる回路部品を決定する。本実施形態において妨害波ノイズの測定のためにRFアンプ部21、ミキサ部22、VCO・PLL部23、フィルタ部24及びIFアンプ部25のそれぞれに1つずつ試験電力が供給される。そして、測定条件決定部210は、回路部品に供給される試験電力の大きさと試験電力が供給される期間Bとを決定する。試験電力の大きさと期間Bとは、復調器3による誤り訂正処理が可能となるように決定される。つまり、妨害波が存在する場合に通常電力より小さい試験電力が回路部品に供給されると、回路部品からの出力信号に含まれるノイズが大きくなる。その結果、チューナ2から出力される信号Siに含まれることとなる誤りが増大する。このとき信号Siにおいて誤りを含むこととなるシンボルとその誤り量とは、試験電力が供給される期間Bによって異なる。また、誤り量は試験電力の大きさにも依存する。
したがって、測定条件決定部210は、期間Bが1つのシンボルの期間内に収まるように決定する。これによって誤りが発生するシンボルが1つに限られるため、試験電力の供給によって増大するノイズの影響が最小限の範囲に抑えられる。またこのとき、1つのシンボルに含まれることとなる誤りは図8(a)に示されるように時間デインターリーブによって分散される。したがって、測定条件決定部210は、時間デインターリーブによって分散された後の誤り量が誤り訂正処理によって訂正可能な閾値以下となるように、試験電力の大きさを決定する。また、あるシンボルが誤ると全体として誤りを訂正することができなくなる場合には、そのシンボルから一定の時間だけ後の時刻から試験電力が供給され始めるように期間Bが決定されてもよい。例えば、そのシンボルから時間インターリーブ長以上経過した時刻が開始時刻となるように期間Bが決定されてもよい。
あるいは、期間Bが複数のシンボルに跨ってもよい。ただし、この場合には図8(c)に示されているように2つのシンボルに含まれる誤りが分散された範囲が重なり合う。このため、これらの範囲が重なり合った部分において時間デインターリーブ後の信号に含まれることになる誤りが訂正可能な閾値以下となるように、期間Bの開始時刻と試験電力の大きさとが決定される。
以上のように、復調器3による誤り訂正処理において訂正できる範囲内で試験電力の大きさ及び試験電力が供給される期間Bが決定される。このため、妨害波ノイズの測定が復調器3による復調処理を妨げることがない。
測定平均値算出部220は、復調器3から送信されるMERの値に基づいてチューナ2から復調器3へと出力される信号Siに含まれるノイズのCN比を導出し、その時間的な平均値及び分散を算出する。測定平均値算出部220が算出する平均値及び分散は2種類ある。一方は、回路部品に通常電力が供給されている期間Aにおいて測定されるMER(通常時ノイズに対応する)に基づくCN比の時間的な平均値及び分散である。期間Aはあらかじめ決定されたものであってもよいし、ある時刻から現在までの総期間であってもよい。他方は、回路部品に試験電力が供給されている期間Bにおいて測定されるMER(試験時ノイズに対応する)に基づくCN比の平均値及び分散である。期間Aにおける平均値及び分散及び期間Bにおける平均値及び分散のいずれも、期間A又はB内のいずれかの期間における時間的な平均値及び分散であればよいが、可能な限り長い期間に亘って測定された値の平均値及び分散であることが好ましい。
測定結果評価部230は、測定平均値算出部220が算出したCN比の平均値と回路特性記憶部201が記憶している回路特性に係る情報とに基づいて測定結果を評価すると共に、通常電力の更新値を決定する。図11の曲線C10及びC11は、測定の対象となった回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさの一例を示すグラフである。図11の横軸は回路部品に供給される電力の大きさを示し、縦軸はノイズの大きさを示している。
測定平均値算出部220が算出した2つの平均値のうちの期間Aにおける平均値は、現行の通常電力が回路部品に供給された際に測定されたCN比の平均値である。なお、CN比は復調器3において測定されたMERに基づいて算出されているため、チューナ2からの信号Siに含まれるノイズの大きさを示すものである。つまりCN比には、通常電力の更新に係る当該回路部品より信号の流れについて下流に位置する他の回路部品において発生するノイズも含まれる。
例えば、ある回路部品への供給電力が変化した場合には、その回路部品において発生する妨害波ノイズの大きさが変化すると共に、その回路部品から出力される信号に含まれる妨害波自身の大きさも変化する。したがって、ある回路部品に試験電力を供給した場合に復調器3において測定される試験時ノイズと通常時ノイズとの差には、その回路部品において発生する妨害波ノイズの変化がその回路部品の下流の回路部品において増幅された影響と、その回路部品の下流の回路部品において発生する妨害波ノイズの変化の影響との2つが表れることになる。したがって、ある回路部品から発生する妨害波ノイズの大きさを特定するためには、その回路部品の下流に位置する全ての回路部品のゲインとIIP3とが把握されていなければならない。下記においては、回路特性記憶部201に記憶されている情報に基づいて各回路部品のゲインとIIP3とが導出され、下流に位置する回路部品の影響が考慮された上で、各回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさが特定されているものとする。
なお、下記においては、説明を簡単にするため、期間Aや期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさとノイズ許容値等との比較によって供給電力の制御がなされているように説明されている。しかし、具体的には測定平均値算出部220が算出した平均値や分散と各種のノイズ基準値との比較によって供給電力の制御が行われてよい。すなわち、下記の記載において、期間A又はBにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさと各種のノイズ基準値との比較がなされているのは、通常時ノイズ又は試験時ノイズとノイズ許容値等との比較がなされているのと同等である。
現行の通常電力の大きさが図11(a)に示されているPuである場合、期間Aにおける平均値から妨害波ノイズ以外のノイズの大きさNfが導出される。Nfには、上記の通り、(2)そのアナログ回路において発生した雑音ノイズ、(3)他のアナログ回路において発生したノイズ、及び、(4)チューナに入力される前に発生していたノイズが含まれている。なお、妨害波ノイズ以外のノイズの大きさNfは上記の通りほぼ一定であり、Nfはノイズ許容値に相当する。つまり、通常電力の大きさは、回路部品からの出力電力に含まれることとなるノイズの大きさがNfを超えないように下記のように制御される。
測定平均値算出部220が算出した2つの平均値のうちの期間Bにおける平均値は、回路部品に試験電力が供給された際に測定されたCN比の平均値である。回路部品に供給された試験電力の大きさが図11のPt1であったとすると、ノイズの大きさは期間Aにおいて測定される値と同じNfである。つまり、測定平均値算出部220が算出した期間Bにおける平均値は期間Aにおける平均値とほぼ一致する。試験電力Pt1を供給した際の回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfであるため、試験電力Pt1まで通常電力を小さくしても回路部品からの出力信号に含まれることとなるノイズに妨害波ノイズの影響が生じていない。したがって、測定結果評価部230は通常電力の更新値をPt1に決定する。
一方で、期間Bにおいて回路部品に供給された試験電力の大きさがPt2であったとすると、期間Bにおける試験時ノイズの大きさはN1となり、妨害波のノイズの大きさだけNfより大きい。このようにNfより大きいノイズが測定されたという事実から、まず妨害波ノイズが発生していることが検知される。そして、NfとN1との差から妨害波ノイズの大きさが導出される。一方で、数式13及び数式14はIIP3及び妨害波の大きさと妨害波ノイズの大きさとの関係を示している。また、供給電力の大きさと関連付けて回路特性記憶部201が記憶しているα1及びα3と数式12とから、IIP3と供給電力の大きさとの関係が導出される。測定結果評価部230は、このようなNfとN1との差、IIP3と供給電力の大きさとの関係及び数式12〜11から、チューナ2に入力される信号Srに含まれている妨害波の大きさを評価する。その評価結果から、測定結果評価部230は、数式13及び11に基づいて供給電力の大きさとノイズの大きさとの関係を示す曲線C10を特定する。そして、測定結果評価部230は、曲線C10において妨害波ノイズの影響が表れる境界である臨界電力P10を特定する。
測定結果評価部230は、回路部品の製造ばらつきや動作状況等の変動を考慮した上で、通常電力の更新値を臨界電力P10より大きい値に設定する。例えば回路部品の動作状況の変動や妨害波の変化が十分小さいと予測される場合には、臨界電力P10に近い値に更新値が決定されてもよい。また、これらの変動が大きいと予測される場合には臨界電力P10よりもずっと大きい値に更新値が決定されてもよい。回路部品の動作状況等の変動はあらかじめ設定された設定値に基づいて予測されてもよいし、復調器3において測定されるMER等の実際の測定値に基づくCN比の分散を用いて予測されてもよい。また、臨界電力P10のノイズの大きさは、許容ノイズNpよりも充分に小さい場合がほとんどである。このため、臨界電力P10よりも小さい電力であってノイズ許容値Npの大きさのノイズを発生させるような電力よりも大きい電力に更新値の設定が行われてもよい。
図11(b)に示されるように供給電力の変化に対する妨害波ノイズ以外のノイズの変化が無視できない場合には臨界電力を特定するのは図11(a)と比べて困難である。つまり、図11(a)のように妨害波ノイズ以外のノイズがほぼ一定である場合には妨害波ノイズが表れる境界となる電力は明確である。しかし、図11(b)のように妨害波ノイズ以外のノイズが供給電力に応じて変化する場合には、妨害波ノイズが表れる境界となる電力は不明確である。
そこで、供給電力の変化に対する妨害波ノイズ以外のノイズの変化が無視できない場合にはノイズの大きさがノイズ許容値Npとなる場合に該当する電力の大きさP11が臨界電力であるとして、測定結果評価部230が更新値を決定する。まず、回路部品に供給される試験電力の大きさがPt3であるとき、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさはN2である。N2が、ノイズ許容値Np以下の場合には、測定結果評価部230は更新値をPt3に決定する。
次に、回路部品に供給された試験電力の大きさがPt4であるとき、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさはN3となる。このように平均値がNpを超える場合には、測定結果評価部230は臨界電力P10を以下のように導出する。回路特性記憶部201には妨害波ノイズ以外のノイズと供給電力の大きさとの関係を示す情報が記憶されていることが好ましい。また、回路部品への供給電力の大きさと妨害波ノイズの大きさとの関係は、数式12〜数式14に示されているとおりである。したがって、妨害波ノイズ以外のノイズと供給電力の大きさとの関係、回路部品への供給電力の大きさと妨害波ノイズの大きさとの関係、並びに、試験電力の大きさPt4及びノイズの大きさの平均値N3から、供給電力の大きさとノイズの大きさとの関係が導出される。そして、このような供給電力の大きさとノイズの大きさとの関係から、ノイズ許容値Npに該当する臨界電力の大きさP10が導出される。測定結果評価部230は、P10以上であって現行の通常電力Puより小さい値に更新値を決定する。
臨界電力試験部240は、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfを上回っていた場合に、測定結果評価部230が特定した臨界電力を電力供給部100に実際に回路部品へと供給させる。そして、臨界電力試験部240は、復調器3において測定されたMERの大きさから、回路部品に臨界電力を供給した場合に回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNf(ノイズ許容値)を大きく超えていないか否かを判断する。
電力供給制御部250は、測定条件決定部部210が決定した試験電力の大きさを試験電力記憶部103に記憶させると共に、測定条件決定部210が決定した期間Bに亘って通常電力の代わりに試験電力を供給するよう電力供給部100に指示する。
また、電力供給制御部250は、測定平均値算出部220が算出した平均値に基づいて、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfを上回っていない場合には、測定結果評価部230が決定した更新値を通常電力記憶部102に記憶させる。一方で、電力供給制御部250は、測定平均値算出部220が算出した平均値に基づいて、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfを上回っている場合には、回路部品に臨界電力を供給した場合に回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfを大きく超えていないと臨界電力試験部240が判断した場合にのみ、測定結果評価部230が決定した更新値を通常電力記憶部102に記憶させる。
これによって、回路部品の通常動作の際に、更新前の通常電力よりも小さい電力が回路部品に供給される。したがって、回路部品の電力の消費が更新前より削減されると共に、妨害波の影響が考慮された上で通常電力の更新値が決定されているため、復調器3による復調処理が正確になされる。また、電力供給制御部250は、臨界電力を供給した際に回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがNfを大きく超えていないか否かを実際に測定してから通常電力を更新する。このため、復調器3による正確な復調処理がより確実になる。
なお、試験電力の測定は期間Bのいずれかの期間において1回のみ行われる。したがって、1回のみの試験電力の測定によって、妨害波が存在するか否か、妨害波の大きさがどのくらいかが測定され、通常電力が適切に更新され得る。一方で、試験電力の測定は、互いに重複しない複数の期間のそれぞれにおいて行われてもよい。つまり、測定平均値算出部220が、複数の期間において測定されたMERからそれぞれの期間についての時間的なCN比の平均値を算出すると共に、算出した複数の平均値のさらに平均を算出する。そして、測定結果評価部230が、測定平均値算出部220が算出した複数の期間における測定結果の平均に基づいて通常電力の更新値を決定してもよい。この場合には、1回の測定だけで通常電力の更新値が決定される場合よりも実際の受信状況を正確に捉えた上でのより適切な更新値が決定され得る。
ところで、以下は、ビタビ符号等の畳み込み符号化された信号に含まれるデータの誤り訂正の一例である。畳み込み符号化においては、符号化前の信号に含まれる各データについて、そのデータに先行する1つ以上のデータの並び方に応じて所定のルールで符号化データが生成される。一方、入力された信号において、ノイズのパワーが一定で入力信号よりも小さいと仮定すると、入力パワーの大きいデータにおいては信頼性が高く、入力パワーの小さいデータにおいては信頼性が低いと推定される。このように、所定数のデータが連なったデータ列において、各データの大きさなどに対応する重み(信頼度)がデータごとにデータの大きさなどに基づいて計算される。ビタビ符号化において、符号化後のデータの一部が誤って本来のデータ列とは異なるデータ列になる場合に、そのデータ列が元のデータ列とどのくらい異なっているかに応じてその異なるデータ列が発生する確率が異なる。ビタビ復号化において、各データ自身の上記の重みと、誤りが生じて本来のデータの並び方にならない確率とに基づいて、誤りが生じる前の正しい並び方に近いデータ列([確率的に]最も確からしい並び方のデータ列)に訂正される。
上記のようなビタビ復号において、制御部4及び誤り訂正部36は以下のような制御を行う。つまり、電力供給制御部250によって試験電力を供給する指示がなされた場合には電力供給部100は試験電力を回路部品に供給する。このとき、試験電力は現行の通常電力より小さいため、上記の通り、回路部品からの出力信号に含まれるノイズが一時的に増加する場合がある。回路部品からの出力信号に含まれるノイズが増加すると、チューナからの信号Siに含まれる誤りが増加する。したがって、信号Siにおいて誤りが増加した部分に含まれる情報の信頼性が低下する。この場合、通常電力による信頼性と試験電力による信頼性は異なるため、上記のように信号Siの各データの入力パワーで設定された重みではもはや正確なデータの並びが再現され得ない。
そこで制御部4は、試験電力が供給される期間Bに係る情報を誤り訂正部36に送信する。制御部4からの情報に基づいて、誤り訂正部36は、ビタビ復号の際に期間Bに相当する位置の信頼性が低くなるように、期間Bに相当するデータを含むデータ列の重みを変更する。そして変更後の重みに基づいてビタビ復号を行う。これによって、試験電力の供給によって低下した信頼性に基づくより正確な誤り訂正がなされる。
<第1の実施形態の通常電力の更新における全体の流れ>
以下は、第1の実施形態において通常電力が更新される際の制御の流れについての説明である。図12は制御の流れを示すフローチャートである。
まず、電力供給部100が、期間Aに亘って現行の通常電力をRFアンプ部21等に供給する(S1)。そして、通常電力が供給されている場合のチューナ2から出力される信号Siに含まれているノイズの大きさを波形等化部37が測定する(S2)。具体的には波形等化部37は期間AのMERを算出して制御部4へと送信する。測定平均値算出部220は、復調器3からのMERから、期間AにおけるCN比の時間的な平均値を算出する。
次に、測定条件決定部210が、試験電力が供給される回路部品、試験電力の大きさ及び試験電力が供給される期間Bを決定する(S3)。そして、電力供給制御部250が電力供給部100に回路部品へと試験電力を期間Bに亘って供給させる(S4)。波形等化部37は、期間BのMERを算出して制御部4へと送信し、測定平均値算出部220は復調器3からのMERから、期間BにおけるCN比の時間的な平均値を算出する(S5)。
測定結果評価部230は、測定平均値算出部220が算出した平均値から、通常電力の更新値を決定する(S6、S7、S10)。その際に、S5において算出された期間BにおけるCN比の平均値に基づいて、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがノイズ許容値を上回っているか否かを判断し、上回っている場合には(S6、Yes)、測定結果評価部230は臨界電力を特定した上で更新値を決定する(S10、S7)。期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがノイズ許容値以下である場合には(S6、No)、試験電力を更新値に決定する(S7)。
次に、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがノイズ許容値を上回っている場合には(S8、Yes)、臨界電力試験部240は、S10において特定された臨界電力を電力供給部100に実際に回路部品へと供給させる(S11)。そして、その際に復調器3において測定されたMERから導出されるCN比がノイズ許容値を超える場合には(S12、Yes)、S3に戻って再び臨界電力の特定及び更新値の決定が行われる。一方で、復調器3において測定されたMERから導出されるCN比から、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがノイズ許容値以下である場合には(S12、No)、S9の処理が実行される。
S8において、期間Bにおいて回路部品からの出力信号に含まれるノイズの大きさがノイズ許容値以下の場合には(S8、No)、S9の処理が実行される。S9において、電力供給制御部250は、S7で決定された更新値に通常電力を更新する。
[第2の実施形態]
以下は、本発明における第1の実施形態とは異なる第2の実施形態に係る説明である。なお、第2の実施形態と第1の実施形態とは多くの共通な構成を有しており、以下においては主にこれらの相違点のみが説明される。
図13は、第1の実施形態における制御部4に相当する第2の実施形態の制御部304の構成を示すブロック図である。制御部304は、回路特性記憶部310、測定条件決定部320、測定平均値算出部330、電力削減部340、ノイズ改善部350及び電力供給制御部360を有している。
回路特性記憶部310は、チューナ2が有するRFアンプ部21等の各回路部品の回路特性に係る情報を記憶している。このような情報は、測定条件決定部320による測定条件の決定などに用いられる。
測定条件決定部320は、各回路部品における試験時ノイズを測定する際の測定条件を決定する。測定条件決定部320が決定する測定条件には、第1の実施形態と同様に、測定の対象となる回路部品、試験電力の大きさ、試験電力を供給する期間が含まれる。そして、測定条件決定部320は、復調器3による誤り訂正処理が可能となるように、これらの測定条件を決定する。その測定条件の決定における詳細な内容は第1の実施形態と同様である。例えば、試験電力を供給する期間は1シンボル内に収まるように決定され、試験電力の大きさは復調器3による誤り訂正処理が可能な範囲に設定される。
電力供給制御部360は、測定条件決定部210が決定した試験電力の大きさを試験電力記憶部103に記憶させると共に、測定条件決定部210が決定した測定条件に従って通常電力の代わりに試験電力を供給するよう電力供給部100に指示する。
測定平均値算出部330は、復調器3から送信されるMERの値に基づいてチューナ2から復調器3へと出力される信号Siに含まれるノイズのCN比を導出し、その時間的な平均値及び分散を算出する。これによって、回路部品に通常電力が供給された際のチューナ2から出力される信号Siに含まれる通常時ノイズの大きさ、及び、試験電力が供給された際の試験時ノイズの大きさのそれぞれに対応するCN比の平均値及び分散が算出される。測定の詳細は第1の実施形態と同様である。
電力削減部340及びノイズ改善部350は、測定平均値算出部330が算出した試験時ノイズに対応するCN比の平均値に基づいて、通常電力の更新値を決定する(電力削減更新手段、ノイズ改善更新手段)。電力削減部340は現行の通常電力よりも小さい値に通常電力の更新値を決定する。ノイズ改善部350は、通常電力を更新することによってチューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズが小さくなるように、通常電力の更新値を決定する。
通常電力の大きさの更新に当たっては、ノイズの大きさの安定領域が参照される。ノイズの大きさの安定領域とは、チューナ2から出力される信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲に収まり、なおかつ、回路部品に供給される電力が過大にならないようなノイズの範囲である。信号Siに含まれるノイズが大きくなりすぎると、ノイズに起因して信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲を超えてしまう。このような訂正可能な範囲は、誤り訂正部36の誤り訂正処理の能力に応じており、既知のものである。一方で、信号Siに含まれるノイズが小さくなると、信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲となる。したがって、誤りが訂正可能な範囲内であれば、それ以上ノイズを小さくする必要はない。
そこで、本実施形態においては、ノイズの安定領域を規定するノイズの大きさの上限値及び下限値(ノイズ基準値)が、ノイズに起因して信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲となるようにあらかじめ設定されている。制御部304は、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズの大きさが安定領域内に収まるように回路部品への供給電力を制御する。
具体的には、制御部304は、測定平均値算出部330が算出した通常時ノイズに対応する平均値に基づいて、通常時ノイズが安定領域の上限値以上であった場合には、ノイズ改善部350に通常電力の更新値を決定させる。一方で、通常時ノイズが安定領域の下限値以下であった場合には電力削減部340に通常電力の更新値を決定させる。そして、電力削減部340及びノイズ改善部350は、試験時ノイズの大きさと安定領域の上限値及び下限値とを比較して(比較手段)、試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内か否かを判断する。試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内であった場合には、電力削減部340及びノイズ改善部350は、通常電力の更新値を試験電力の大きさに決定する。そして、電力供給制御部360は、電力削減部340又はノイズ改善部350が決定した更新値を通常電力記憶部102に記憶させる。
第一の実施形態と同様に、ノイズに対応する時間的な平均値算出の際に、分散を求め、その平均回数と分散から、信頼性の高い、変動に対するマージンを持ったノイズ値を求め、通常時ノイズおよび試験時ノイズの代わりに用いても良い。
<第2の実施形態の通常電力の更新における全体の流れ>
以下は、第2の実施形態において通常電力が更新される際の制御の流れについての説明である。図14〜図16は制御の流れを示すフローチャートである。なお、図14〜図16は、制御部304によって回路部品への供給電力が1回更新される場合の一連のステップを示している。
まず、電力供給部100が、所定の期間(第2の期間)に亘って現行の通常電力をRFアンプ部21等に供給する(S101)。そして、通常電力が供給されている場合のチューナ2から出力される信号Siに含まれているノイズの大きさを、波形等化部37が測定する(S102)。測定平均値算出部330は、波形等化部37が測定したMERから、通常時ノイズに対応するCN比の平均値を算出する。
次に、制御部304は、測定平均値算出部330が算出した平均値に基づいて、通常時ノイズが所定のリセット値以上であるか否かを判断する(S103)。リセット値は、ノイズの安定領域の上限値よりも大きい値に設定されている。通常時ノイズがリセット値以上であると判断した場合には(S103、Yes)、制御部304は、全ての回路部品において通常電力の大きさをデフォルト値に更新する(S106)。そして、一連のステップが完了する。なお、デフォルト値は、チューナ2から出力される信号Siに含まれることとなる誤りが確実に訂正可能な範囲内におさまるように十分大きい値に設定されている。つまり、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズの大きさが上記の安定領域の上限値よりも十分に小さい値になるような大きさに設定されている。例えば、ノイズの大きさが安定領域の下限値よりも小さくなるような大きさにデフォルト値が設定されていてもよい。
S103において、通常時ノイズがリセット値より小さいと判断した場合には(S103、No)、制御部304は、通常時ノイズが安定領域の上限値以上であるか否かを判断する(S104)。通常時ノイズが安定領域の上限値以上であると判断した場合には(S104、Yes)、制御部304は、ノイズ改善部350にノイズ改善ルーチン(図15)の一連のステップを実行させる(S107)。
S104において、通常時ノイズが安定領域の上限値より小さいと判断した場合には(S104、No)、制御部304は、通常時ノイズが安定領域の下限値以下であるか否かを判断する(S105)。通常時ノイズが安定領域の下限値以下であると判断した場合には(S105、Yes)、制御部304は、電力削減部340に電力削減ルーチン(図16)の一連のステップを実行させる(S108)。通常時ノイズが安定領域の下限値より大きいと制御部304が判断した場合には(S105、No)、一連のステップが完了する。
以下は、図15に示されているノイズ改善ルーチンについての説明である。ノイズ改善ルーチンにおいては、ノイズ改善部350が、チューナ2のRFアンプ部21、ミキサ部22等について順に、これらの回路部品で発生するノイズが改善されるように通常電力の更新値の決定を行う。まず、ノイズ改善部350は、現行の通常電力が回路部品への供給電力の上限以上であるか否かを判断する(S109)。
つまり、各回路部品が安定に動作するためには、回路部品の供給電力が過大であってはいけない。そこで、回路特性記憶部310は各回路部品が安定に動作するための供給電力の上限値を回路部品ごとに記憶しており、ノイズ改善部350は回路特性記憶部310が記憶している上限値と通常電力とを比較する。
通常電力が回路部品への供給電力の上限以上であると判断した場合には(S109、Yes)、ノイズ改善部350は、S116からのステップを実行する。つまり、次の回路部品においてノイズが改善されるような通常電力の更新値を決定する。
通常電力が回路部品への供給電力の上限未満であると判断した場合には(S109、No)、ノイズ改善部350は、試験時ノイズを測定するための測定条件を決定する(S110)。このとき、ノイズ改善部350は、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズが小さくなるように、例えば現行の通常電力より大きいものに試験電力を決定する。
ところで、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズを小さくするために、回路部品への供給電力を大きくすればよいか小さくすればよいかは、その回路部品によって、あるいは妨害波の有無などの受信状態によって異なる。一般的に回路部品への供給電力を大きくすれば回路部品で発生するノイズは減少し妨害波に強くなるが、回路構成によっては、供給電力を小さくすることにより、ノイズが減少したり、妨害波に強くなったりする場合がある。
回路特性記憶部310は、ノイズを減少させるためには供給電力を大きくすればよいか小さくすればよいかの情報を回路部品ごとに記憶している。そして、ノイズ改善部350は、回路特性記憶部310が記憶している情報に基づいて、ある回路部品については試験電力を通常電力より大きいものに決定し、他の回路部品については通常電力より小さいものに決定する。
そして、ノイズ改善部350が決定した測定条件に従って、電力供給制御部360が電力供給部100に試験電力を供給させる(S111)。波形等化部37は、回路部品に試験電力が供給された際の試験時ノイズの大きさを測定し、測定平均値算出部330は、試験時ノイズに対応するCN比の平均値等を算出する(S112)。
次に、ノイズ改善部350は、測定平均値算出部330が算出した平均値に基づいて、試験時ノイズの大きさと通常時ノイズの大きさとを比較する(S113)。試験時ノイズの大きさが通常時ノイズの大きさ以上であると判断した場合には(S113、No)、ノイズ改善部350は、S116からのステップを実行する。
このように、S113において、試験時ノイズが通常時ノイズよりも小さいか否か、つまり、通常電力の更新によって実際にノイズが改善するか否かが判断される。そして、ノイズが改善しない場合には、次の回路部品においてノイズが改善されるような通常電力の更新値が決定される。したがって、通常電力を更新してもノイズが改善されないような回路部品においてはS114及びS115のステップが省かれるため、無駄な制御がなされずに済む。
試験時ノイズの大きさが通常時ノイズの大きさより小さいと判断した場合には(S113)、ノイズ改善部350は、試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内に収まっているか否かを判断する(S114)。つまり、試験時ノイズの大きさが安定領域の上限値を下回っており、且つ、安定領域の下限値を上回っているか否かを判断する。試験時ノイズの大きさが安定領域の安定領域の範囲内に収まっていないと判断した場合には(S114、No)、ノイズ改善部350は、試験電力の供給による試験時ノイズの測定をもう一度行うためにS109からのステップを実行する。このとき、S109からのステップにおいては、測定条件の決定(S110)に当たって、以前の試験電力よりも安定領域に収まりやすい値に試験電力の大きさが決定される。
試験時ノイズの大きさが安定領域の安定領域の範囲内に収まっていると判断した場合には(S114、Yes)、ノイズ改善部350は、通常電力の更新値を試験電力の大きさに決定すると共に、電力供給制御部360が、ノイズ改善部350が決定した更新値を通常電力記憶部102に記憶させる(S115)。
ノイズ改善部350は、通常電力の更新値を決定するための一連のステップを回路部品ごとに繰り返す(S116、Yes)。更新値を決定すべき回路部品の全てについて更新値が決定された場合には(S116、No)、ノイズ改善ルーチンの呼び出し元(図14のS107)へと処理を返還する。そして、一連のステップが完了する。
以下は、図16に示されている電力削減ルーチンについての説明である。電力削減ルーチンにおいては、電力削減部340が、チューナ2のRFアンプ部21、ミキサ部22等について順に、これらの回路部品で発生する電力が削減されるように通常電力の更新値の決定を行う。まず、電力削減部340は、現行の通常電力が回路部品への供給電力の下限以下であるか否かを判断する(S117)。
つまり、各回路部品が安定に動作するためには、回路部品の供給電力が過小であってはいけない。そこで、回路特性記憶部310は各回路部品が安定に動作するための供給電力の下限値を回路部品ごとに記憶しており、電力削減部340は回路特性記憶部310が記憶している下限値と通常電力とを比較する。
通常電力が回路部品への供給電力の下限以下であると判断した場合には(S117、Yes)、電力削減部340は、S123からのステップを実行する。つまり、次の回路部品において電力が削減されるような通常電力の更新値を決定する。
通常電力が回路部品への供給電力の下限を上回っていると判断した場合には(S117、No)、電力削減部340は、試験時ノイズを測定するための測定条件を決定する(S118)。このとき、電力削減部340は現行の通常電力より小さい値に試験電力の大きさを決定する。
そして、電力削減部340が決定した測定条件に従って、電力供給制御部360が電力供給部100に試験電力を供給させる(S119)。波形等化部37は、回路部品に試験電力が供給された際の試験時ノイズの大きさを測定し、測定平均値算出部330は、試験時ノイズに対応するCN比の平均値等を算出する(S120)。
次に、電力削減部340は、試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内に収まっているか否かを判断する(S121)。つまり、試験時ノイズの大きさが安定領域の上限値を下回っており、且つ、安定領域の下限値を上回っているか否かを判断する。試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内に収まっていないと判断した場合には(S121、No)、電力削減部340は、試験電力の供給による試験時ノイズの測定をもう一度行うためにS117からのステップを実行する。このとき、S117からのステップにおいては、測定条件の決定(S118)に当たって、以前の試験電力よりも安定領域に収まりやすい値に試験電力の大きさが決定される。
試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲内に収まっていると判断した場合には(S121、Yes)、電力削減部340は、通常電力の更新値を試験電力の大きさに決定すると共に、電力供給制御部360が、電力削減部340が決定した更新値を通常電力記憶部102に記憶させる(S122)。
電力削減部340は、通常電力の更新値を決定するための一連のステップを回路部品ごとに繰り返す(S123、Yes)。更新値を決定すべき回路部品の全てについて更新値が決定された場合には(S123、No)、電力削減ルーチンの呼び出し元(図14のS108)へと処理を返還する。そして、一連のステップが完了する。
以上のとおりに通常電力が更新されることにより、チューナ2から出力される信号Siに含まれるノイズの大きさが安定領域の範囲内に収まるように通常電力が更新される。つまり、信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲に収まりつつ、必要以上に過大にならないように、回路部品への供給電力が制御される。なお、安定領域の下限値が上限値に近すぎると、安定領域の範囲が狭すぎて通常電力の更新の回数が多くなり、デジタル復調装置1の全体の制御が不安定になる。一方で、安定領域の下限値が小さすぎると供給電力の削減の効果が十分に発揮されない。このため、安定領域の下限値は、デジタル復調装置1の全体の制御が安定な範囲に収まりつつ、供給電力の削減の効果が十分に発揮されるように調整されていることが好ましい。
また、試験電力を回路部品に実際に供給してチューナ2からの信号Siに含まれる試験時ノイズが測定され、試験時ノイズの大きさが安定領域の範囲に収まっているか否かが判断された上で、通常電力の大きさが試験電力の大きさに更新される。つまり、安定領域の範囲内に収まっているかをノイズの実測によって判断した上で通常電力を更新するため、ノイズの大きさが安定領域内により確実に収まるような供給電力の制御がなされる。
また、通常時ノイズが安定領域の上限値以上であるか否か、あるいは、通常時ノイズが安定領域の下限値以下であるか否かに基づいて、ノイズを改善させるような通常電力の更新を行うか否か、あるいは、供給電力を削減するような通常電力の更新を行うか否かが決定される。したがって、チューナ2からの信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な範囲内ではない場合には、かかる誤りが訂正可能な範囲内に収まるような通常電力の更新が確保される。これと同時に、チューナ2からの信号Siに含まれることとなる誤りが訂正可能な限界よりも十分小さい場合には、供給電力が削減されるような通常電力の更新が確保される。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は本発明の構成がチューナ単体で実現されたものである。図17は、第3の実施形態に係るチューナ400の構成を示すブロック図である。チューナ400は、図17(a)に示されているように第1及び第2の実施形態に係るチューナ2と同様に、RFアンプ部21、ミキサ部22、VCO・PLL部23、フィルタ部24、IFアンプ部25等の回路部品を有している。また、チューナ400は第1の実施形態と同様の電力供給部100を有している。
また、チューナ400は電力供給制御部410を有している。電力供給制御部410は、図17(b)に示されているように、第1の実施形態の復調器3が有する制御部4に類似した機能を有している。電力供給制御部410は、試験電力や通常電力を電力供給部100に各回路部品へと供給させる。具体的には、電力供給制御部410は、回路特性記憶部411、測定条件決定部412及び測定結果評価部413を有している。そして、第1の実施形態と同様に、回路特性記憶部411は各回路部品の回路特性に係る情報を有し、測定条件決定部は試験電力の大きさ等の測定条件を決定し、測定結果評価部413は臨界電力の特定や通常電力の更新値を決定する。電力供給制御部410は、測定条件決定部412が決定した測定条件に基づいて電力供給部100に試験電力の供給を行わせる。また、電力供給部100の通常電力記憶部102に記憶されている値を測定結果評価部413が決定した更新値に更新する。
一方で、チューナ400は、IFアンプ部25からの信号Siが電力供給制御部410にも入力されるように構成されている。また、電力供給制御部410は、制御部4とは異なり、ノイズ測定部414を有している。ノイズ測定部414は、IFアンプ部25からの信号Siに含まれる所望波の周波数帯域の電力を測定する。そして、ノイズ測定部414は、通常電力が供給されている場合と比べて試験電力が供給された場合に当該周波数帯域の電力が急激に増大したか否かを検出する。上記の通り妨害波ノイズ以外のノイズの変化は小さいため、試験電力の供給によって所望波の周波数帯域の増大した電力は、妨害波ノイズによって増大した電力に相当する。したがって、ノイズ測定部414は、増大した電力を測定し、その大きさに基づいてノイズの大きさを検出する。測定結果評価部413は、ノイズ測定部414が検出したノイズの大きさに基づいて通常電力の更新値を決定する。
以上のように第2の実施形態は、チューナから出力される選局処理後の信号に含まれるノイズの大きさを測定し、通常電力の更新を行う。このため、復調器3と組み合わせて本発明の構成を実現する必要がなく、簡単な構成で本発明が実現する。また、特定の復調器3と組み合わせた前提でチューナを構成する必要がないため、種々の復調器との組み合わせに応じた適当な設定を選択できるようにチューナ2が構成されていてもよい。これによって、種々の用途に適応したチューナが実現する。
また、測定結果評価部413の代わりに、第3の実施形態に係る電力削減部340及びノイズ改善部350が設けられてもよい。そして、図14〜16に示されているような第3の実施形態に係る電力供給の制御がなされてもよい。この場合、チューナ単体では通常時ノイズの測定がなされ得ないので、試験時ノイズの測定のみに係る制御がチューナ単体で行われる。
[第4の実施形態]
以下は、上述の第1及び第2の実施形態のいずれかにおいてその構成が変更され、あるいは新たな構成が追加された、第4の実施形態に係る説明である。なお、第4の実施形態において第1又は第2の実施形態と同じ構成には第1又は第2の実施形態における符号と同じ符号が付され、これらの同じ構成についての説明は適宜省略される。図18は、第4の実施形態に係るデジタル復調装置501及び601の構成を示す機能ブロック図である。図18(a)に示されているように、本実施形態のチューナ502は制御部504へと後述の電力リセット信号を送信する。なお、図18(b)に示されているように、制御部604が復調器603内に構築されていてもよい。この場合には制御部604からの制御信号に基づいてチューナ602が制御される。
図19は、チューナ502の構成を示す機能ブロック図である。チューナ502は、第1の実施形態又は第2の実施形態におけるチューナの構成に加えて、妨害波検出部526を有してる。妨害波検出部526はRFアンプ部21からの信号に妨害波が含まれているか否かを解析する。例えば妨害波検出部526は、RFアンプ部21からの信号の強度が所定の期間内にどのくらい増加したかを測定する。そして、信号の強度の増加分が所定の閾値を超えたと判定した場合に、RFアンプ部21からの信号に妨害波が含まれていると判断する。強い妨害波がチューナ502の受信信号に含まれると、受信信号の強度が急激に増加する。したがって、所定の期間内に受信信号の強度が閾値を超えるほど増加したか否かを判定することにより、妨害波の混入によって受信状況が急激に変動したことを判断することが可能である。
RFアンプ部21からの信号に妨害波が含まれていると判断すると、妨害波検出部526は、妨害波が含まれていることを示す電力リセット信号(妨害波有り信号)を制御部504へと送信する。RFアンプ部21からの信号に妨害波が含まれていないと判断すると、妨害波検出部526は、妨害波が含まれていないことを示す電力リセット信号(妨害波無し信号)を制御部504へと送信する。妨害波検出部526は、常時妨害波が含まれているか否かを監視している。つまり、電力リセット信号は、常に制御部504へと送信され続けている。なお、妨害波が含まれていると判断すると何らかの信号を制御部504へと送信し、妨害波が含まれていないと判断すると何も信号を送信しない、という構成であってもよい。
図20は、制御部504の構成を示す機能ブロック図である。制御部504は、電力更新制御部504a、設定電力供給制御部504b、及び、割り込み制御部521を有している。
電力更新制御部504aは、図10に示されている第1の実施形態の制御部4の構成又は図13に示されている第2の実施形態の制御部304の構成と同じ構成を有している。設定電力供給制御部504bは、設定値記憶部511、設定電力供給部512及びデフォルト更新部513を有している。設定値記憶部511は電力の設定値を記憶している。かかる設定値は、チューナ502からの信号に含まれることとなるノイズを低減させることを最優先に調整された電力である。設定電力供給部512は、設定値記憶部511が記憶している設定値の大きさの電力を所定の回路部品に供給するように指示する指示信号を電力供給部100へと送信する。電力供給部100は、かかる指示信号に基づいて、設定値の大きさの大きさの電力を所定の回路部品へと供給する。
ここで、所定の回路部品として、設定値の大きさの電力が供給されることによってチューナ502からの信号に含まれることとなるノイズが低減するようなものがあらかじめ選択されている。所定の回路部品に設定値の大きさの電力が供給されることにより、例えばチャンネル変更後の同調処理に使用するような電力が増加される。なお、設定値記憶部511が複数の回路部品に関連付けて複数の設定値を記憶しており、設定値記憶部511が記憶している複数の設定値の電力を、これらの設定値に関連付けて設定値記憶部511が記憶している複数の回路部品のそれぞれへと供給する、という構成を設定電力供給部512が有していてもよい。
デフォルト更新部513は、電力供給部100が保持している通常電力の大きさを、所定のデフォルト値に更新する。なお、このときのデフォルト値は、設定値記憶部511が記憶している設定値と同じであってもよい。
割り込み制御部521は、妨害波検出部526からの電力リセット信号に基づいて、電力更新制御部504a等が実行している処理を中断して、設定電力供給制御部504bの処理を割り込ませる。割り込み制御部521は、所定の期間を挟みつつ、電力リセット信号がチューナ502の受信信号に妨害波が含まれていることを示しているか電力リセット信号が受信信号に妨害波が含まれていないことを示しているかを検査している。そして、所定の回数検査すると、これらの検査の全てにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示していたか否かを判定する(検査判定手段)。
割り込み制御部521は、上記所定の回数の検査の全てにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示したと判定すると、電力更新制御部504a等の処理を中断して設定電力供給制御部504bの処理を割り込ませる。例えば制御部504がCPUやRAM等のハードウェアから構築されている場合には、かかるハードウェアが電力更新制御部504aとして機能するようにCPUがプログラムに基づいて作業する。割り込み制御部521は、検査の全てにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示していたと判定すると、CPUに作業を一時的に中断させ、設定電力供給制御部504bとして機能するようなプログラムに基づいて作業させる。そして、設定電力供給制御部504bは、妨害波が含まれていないことを電力リセット信号が示したと判定すると、割り込み制御部521へと作業を再開するように指示する。かかる指示を受け取ると、割り込み制御部521は、一時的に中断していた作業をCPUに再開させる。
なお、上記所定の回数の検査の全てにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示した場合にのみ割り込みを行う、という構成の替わりに以下のような構成を割り込み制御部521が有していてもよい。つまり、上記の所定の回数の検査において、少なくともいずれかの検査で妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示した場合に設定電力供給制御部504bの処理を割り込ませる、という構成を割り込み制御部521が有していてもよい。
図21は、制御部504が実行する処理の流れを示す図である。図21において左側には電力更新制御部504a等が実行する通常の処理が、右側には設定電力供給制御部504bによる設定電力供給ルーチンのフローチャートが示されている。割り込み制御部521は、妨害波検出部526からの電力リセット信号に基づいて、制御部504を構成するCPUが実行する通常の処理を中断すると共に、設定電力供給制御部504bとして機能するよう設定電力供給ルーチンをCPUに実行させる。このとき、通常の処理として電力更新制御部504aの処理が実行されていた場合には、電力更新制御部504aによる電力を更新する処理が一旦中止される。
設定電力供給ルーチンにおいて設定電力供給制御部504bは、まず、電力供給部100による回路部品への供給電力を、設定値記憶部511が記憶している設定値の大きさに設定する(S201)。次に、電力供給部100が保持している通常電力の大きさを所定のデフォルト値に更新する(S202)。そして、妨害波が含まれていることを妨害波検出部526からの電力リセット信号が示したか否かを判定する(S203)。妨害波が含まれていると判定した場合(S203、Yes)には、S203の処理を実行する。妨害波が含まれていないと判定した場合(S203、No)には、電力更新制御部504a等が実行する通常の処理を再開させるように、割り込み制御部521に指示する。
ここで、設定電力供給ルーチンが実行される直前(割り込み前)に図12におけるいずれかのステップが実行されていた場合には、割り込み後の処理として図12のS1からの処理が再開される。あるいは、図14〜16におけるいずれかのステップが割り込み前に実行されていた場合には、割り込み後に図14のS101からの処理が再開される。
<第4の実施形態の効果>
上述の第1〜第3の実施形態は、必要以上に供給電力が大きくならないように受信状況に応じて供給電力の大きさを調整するものである。しかし、供給電力の調整が間に合わない程に急激な受信状況の悪化が生じる場合もある。これに対して第4の実施形態の構成によると、妨害波が検出された場合には割り込み処理により速やかに回路部品の電力が再設定される。そして、その設定値は、チューナ502からの信号に含まれることとなるノイズを低減させることを最優先に調整された大きさであるので、消費電力の増大とひきかえにすばやくノイズを低減させることができる。これによって、妨害波が急激に入力されても復調器3が復調可能なレベルのIF出力を維持することができ、受信の中断などを避けることが可能になる。
また、割り込み処理において通常電力がデフォルト値に設定され、割り込み処理後においてかかるデフォルト値からあらためて、図12等に示されている電力の更新処理が始めから実行される。つまり、妨害波がなくなった後は妨害波が入力される前の低消費電力の状態に戻るのではなく、デフォルトの電力からあらためて電力を削減する処理が開始される。妨害波がなくなった直後にチューナを妨害波が入力される前の低消費電力の状態に設定すると、受信環境によってはIF出力が復調不可能な状態となり、受信の中断を引き起こすおそれがある。しかし、電力の更新をデフォルトの電力から再開することで、上記のような問題を回避することが可能となる。
ところで、受信の中断を極力防ぐ観点から、妨害波を検出したときにはできるだけ速やかに回路部品への供給電力を増加させ、ノイズが低減された状態に移ることが望ましい。このため電力リセット信号がチューナの受信信号に妨害波が含まれていることを示すようになった時には速やかに割り込み処理に移行する目的で、通常の処理に対して割り込み処理の優先順位を高く設定しておくことが有効である。
しかし、受信環境によっては妨害波検出部526からの電力リセット信号が、妨害波が含まれていることを示す状態と妨害波が含まれていないことを示す状態との間で頻繁に切り替わることがある。電力リセット信号が頻繁に変化すると、割り込み制御部521が割り込みを頻繁に繰り返すこととなる。これによって、設定電力供給制御部504bが回路部品への供給電力を設定することと電力更新制御部504aが回路部品への供給電力を設定することとが頻繁に繰り返されることになる。このような場合、制御部504の動作頻度が増加することにより消費電力が増加するおそれが生じる。
しかし、上記の構成によると割り込み制御部521は、妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示しているか否かの検査を所定の期間を挟んで複数回行い、その複数回の検査の結果に基づいて割り込みを行うか否かを判定する。したがって、1回の検査ごとに割り込みを行うか否かを判定する場合よりも割り込みが発生する頻度を抑制することが可能である。なお、上記のとおり、複数回の検査の全てにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示している場合に割り込みを行う構成と、複数回の検査の少なくともいずれかにおいて妨害波が含まれていることを電力リセット信号が示している場合に割り込みを行う構成と、2つの構成があり得る。いずれの構成を選択するべきかは、電力リセット信号の波形や変化サイクルなど、個々のシステム固有の条件を考慮して決定されることが望ましい。
[第5の実施形態]
以下は、第4の実施形態をチューナ単体で実現した第5の実施形態に係る説明である。第5の実施形態は、第3の実施形態に第4の実施形態における特徴的な構成を追加したものである。第5の実施形態において第3及び第4の実施形態と同じ構成には第3及び第4の実施形態における符号と同じ符号が付され、これらの同じ構成についての説明は適宜省略される。図22は、第5の実施形態に係るチューナ700の構成を示す機能ブロック図である。
チューナ700は、図22(a)に示されているように、妨害波検出部701、割り込み制御部702及び設定電力供給制御部710を有している。これらの各部は、第4の実施形態の妨害波検出部526、割り込み制御部521及び設定電力供給制御部504bの機能と同じ機能を有している。つまり、妨害波検出部701は、RFアンプ部21からの信号に妨害波が含まれているか否かを判定し、電力リセット信号を割り込み制御部702へと出力する。割り込み制御部702は、電力リセット信号に基づいて電力供給制御部410等の処理を中断させ、設定電力供給制御部710の処理を割り込ませる。
設定電力供給制御部710は、図22(b)に示されているように、設定値記憶部711、設定電力供給部712及びデフォルト更新部713を有している。これらの各部は、第4の実施形態の設定値記憶部511、設定電力供給部512及びデフォルト更新部513に対応している。つまり、割り込み処理において設定電力供給部712が、設定値記憶部711が記憶している設定値の大きさの電力を回路部品へと供給するよう指示する信号を電力供給部100へと送信する。そして、デフォルト更新部713が、電力供給部100の保持している通常電力の大きさを所定のデフォルト値に設定する。さらに、設定電力供給制御部710は、妨害波が含まれていないことを電力リセット信号が示すまで待機した後に、割り込み処理を終了して通常の処理を再開させるように、割り込み制御部521に指示する。
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。