JP4197882B2 - 新規な光重合性モノマー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な光重合性モノマーに関し、またこれを利用したネガ型の光架橋システムに関する。用途としては、印刷版、インキ、塗料、接着剤、光学レンズ材料、光ファイバーコーティング、三次元造形、ホログラフィー記録材料、プリント配線板やIC等の電子材料に利用可能な感放射線硬化型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線に感応し、照射部に於いて架橋反応が進行する光架橋システムは、その機構から大別して光ラジカル系と光カチオン系に分けられる。光ラジカル系としては主にアクリレート類を用いた光ラジカル発生剤との組み合わせによる系が主流であり、室温硬化性が良好で、硬化速度が速いことが特徴の一つであるが、一方で、十分な光照射を行っても重合反応率が100%に達せず、残存するアクリレートモノマーによる硬化物物性への悪影響や、硬化物からのアクリレートモノマーのブリード、および強アルカリ条件での硬化物の加水分解による劣化などの種々の問題を抱えている。
【0003】
これに対して光カチオン系においては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系光カチオン発生剤等を利用して、エポキシ系化合物のカチオン開環重合あるいはビニルエーテル類のカチオン重合を利用する等の方法で同様な光架橋システムが構築されている。この場合の最大の利点は酸素による重合阻害を受けない点であり、空気中の硬化反応に利用されている。欠点としては、硬化速度が低い場合が多く、また架橋反応を進行させるために放射線照射後に加熱処理(ポストキュア)が必要であることや、塩基性物質が存在すると重合阻害を受けることなどの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光重合性が高く、高感度である新規な光重合性モノマーを見出すことを課題とし、強アルカリ等に対する耐薬品性が良好でポストキュアを必要としない感放射線硬化型組成物を見出すことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は分子内に重合性不飽和結合と1,3,4−チアジアゾール基を有する一官能性光重合性モノマーであって、下記一般式化4、化5または化6で示される構造を有する光重合性モノマーを用いることで達成された。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。分子内に重合性不飽和結合と1,3,4−チアジアゾール基を有する一官能性光重合性モノマーとしては、下記で示す化4〜化6で示されるモノマーが挙げられる。
【0007】
【化4】
Figure 0004197882
【0008】
化4において、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1は無くても良い連結基を表し、連結基として硫黄原子、アルキレン基またはCH=N基を表す。
【0009】
【化5】
Figure 0004197882
【0010】
化5において、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4水素原子を表す。5は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
【0011】
【化6】
Figure 0004197882
【0012】
化6において、R6は水素原子またはメチル基を表し、R7水素原子を表す。8は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X2CH 2 O基を表す。
【0013】
化4で示されるモノマーの好ましい例を化7および化8に示す。
【0014】
【化7】
Figure 0004197882
【0015】
【化8】
Figure 0004197882
【0016】
化5で示されるモノマーの好ましい例を化9に示す。
【0017】
【化9】
Figure 0004197882
【0018】
化6で示されるモノマーの好ましい例を化10に示す。
【0019】
【化10】
Figure 0004197882
【0020】
上記一般式化4、化5および化6で示されるモノマーはチアジアゾール環を有する一官能性スチレン誘導体であることを特徴とし、こうした構造を有しないスチレン系モノマーと比較して遙かに高い光重合活性を示すことが特徴の一つである。さらには、チアジアゾール環の有する大きな双極子モーメントや分極率、誘電率、屈折率などの特徴を具備したモノマーであり、またスチレン誘導体であることからアルカリなどの耐薬品性に優れたポリマーを与えることも特徴として挙げることが出来る。加えて、一官能性であることから、分子が非対称であり、結晶性が対象性分子に比べ低下しているため、各種バインダー中に添加した場合に於いて相溶性が高く、多量に添加して使用した場合に於いても被膜中での析晶化が起こりにくく均質な被膜を形成することも重要な特徴の一つである。
【0021】
一般式化4〜化6で示される光重合性モノマーは、これらが吸収する光により単独で用いても良好な光重合性を示すが、さらに光重合開始剤として公知の種々の化合物を加えて用いることでも、より高感度な光重
合性を示すことから好ましい。
【0022】
光重合開始剤としては、放射線照射によりラジカルを発生する化合物と酸を発生する化合物の2つに大別出来るが、本発明に関わるモノマーは何れの化合物を使用しても良好な光重合性を示すことが特徴である。
【0023】
本発明に関わるモノマーとともに用いても良い、放射線照射によりラジカルを発生する化合物について説明する。本発明においては以下に例示する種々の化合物以外にも基本的にラジカルを生成するものであれば任意の化合物が使用可能である。例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)有機過酸化物、(c)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(d)ケトオキシムエステル化合物、(e)アジニウム化合物、(f)チタノセン化合物、(g)トリハロアルキル置換化合物および(h)有機ホウ素塩化合物等が挙げられる。
【0024】
ラジカル発生剤としての(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、ベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号、特開昭62−81345号記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号記載のクマリン類を挙げることができる。
【0025】
本発明に関わるラジカル発生剤の他の例である(b)有機過酸化物としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0026】
本発明に関わり用いることが好ましいラジカル発生剤の他の例である(c)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0027】
本発明に関わるラジカル発生剤の他の例である(d)ケトオキシムエステルとしては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0028】
ラジカル発生剤の他の例である(e)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0029】
ラジカル発生剤の他の例である(f)チタノセン化合物の例としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、同63−41484号、特開平2−249号、同2−291号、特開平3−27393号、同3−12403号、特開平6−41170号公報等に記載されている各種チタノセン化合物を好ましく使用することが出来る。具体的なチタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
【0030】
ラジカル発生剤の他の例として(g)トリハロアルキル置換化合物が挙げられる。ここで言うトリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0031】
本発明に係わる好ましいラジカル発生剤として(h)有機ホウ素塩化合物が挙げられ、特に化11で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いることが好ましい。
【0032】
【化11】
Figure 0004197882
【0033】
化11において、R9,R10,R11およびR12は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R9,R10,R11およびR12の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
【0034】
上記の例以外にも、これらのラジカル発生剤を組み合わせた系や、その他、例えば技術情報協会発行「架橋システムの開発と応用技術」(1998年)p.129〜154に記載されるような種々の化合物が利用できる。
【0035】
上記のようなラジカル発生剤と本発明に関わるモノマーとの量的な割合については好ましい範囲が存在し、該モノマー100重量部に対してラジカル発生剤は0.1〜30重量部の範囲で使用されることが好ましく、更には0.2〜20重量部の範囲で使用することが特に好ましい。
【0036】
本発明に関わるモノマーは上記のラジカル発生剤以外にも、放射線照射により酸を発生する化合物を使用した系においても同様に用いることが出来る。こうした酸発生剤の例としては(i)芳香族オニウム塩、(j)活性エステル化合物、(k)鉄−アレーン錯体、(l)ジアゾニウム塩、(m)シラノール−アルミニウム錯体等が好ましく利用できる。
【0037】
(i)芳香族オニウム塩としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩は、特公昭52−14277号、特公昭52−14278号、特公昭52−14279号等に示されている化合物であり、代表的にはジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩などを挙げることができる。
【0038】
(j)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号記載のイミドスルホナート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホナート類を挙げることができる。
【0039】
(k)鉄−アレーン錯体の例としては特開平1−304453号、特開平1−152109号公報などに記載される例を挙げることができる。
【0040】
上記以外の例については、例えば技術情報協会発行「架橋システムの開発と応用技術」(1998年)p.129〜154に記載されるような種々の化合物が利用できる。
【0041】
上記のような酸発生剤と上述した本発明に関わるモノマーとの量的な割合については好ましい範囲が存在し、該モノマー100重量部に対して酸発生剤は0.1〜30重量部の範囲で使用されることが好ましく、更には0.2〜20重量部の範囲で使用することが特に好ましい。
【0042】
本発明に関わるモノマーは単独で使用しても良いが、あるいはこれとともに公知の各種モノマーと併用して用いることも可能である。こうした場合に用いることの出来るモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、或いは多官能性モノマーとして、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマー、或いは、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種重合体としてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして本発明に関わるモノマーとともに使用することが出来る。
【0043】
本発明に関わるモノマーは各種ポリマー中に分散した状態でも使用することが可能であり、任意のポリマーをバインダーとして使用することが可能である。
【0044】
上記のバインダーポリマーとして特に、本発明に関わるモノマーを重合して得られるポリマーを使用した場合には、光重合性が極めて高くなり、高感度である感放射線組成物が得られることから特に好ましい。こうした目的で使用される好ましいポリマーの例を以下に示す。
【0045】
【化12】
Figure 0004197882
【0046】
【化13】
Figure 0004197882
【0047】
【化14】
Figure 0004197882
【0048】
【化15】
Figure 0004197882
【0049】
上記の何れの例においても、共重合可能な任意のモノマーとの共重合体を使用することも好ましく行われ、特にアルカリ水溶液に対する可溶性を付与する目的等で、カルボキシル基含有モノマーを選択することが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のようなモノマーを共重合モノマーとして用いることが好ましく行われる。さらに、共重合体中の他の任意のモノマーの割合は、ポリマー100重量部中に於いて70重量部以下の割合で使用することが好ましい。
【0050】
更には、上記ポリマーの一層好ましい例として、側鎖に重合性不飽和結合を有するポリマーを用いた場合には、光照射による光重合において、本発明に関わるモノマーと側鎖不飽和結合基とが互いに重合することで効率的にポリマー間の架橋が進行し、より高感度である光硬化性組成物を与えることから好ましい。こうした側鎖に重合性不飽和結合を有するポリマーとしては公知の例として、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーにエポキシアクリレート類を付加することで得られるポリマーやアリルメタクリレートの重合で得られるアリル基を側鎖に有するポリマーの例などが挙げられる。
【0051】
側鎖に重合性不飽和結合を有するポリマーの極めて好ましい例として、化4〜化6において、置換基R2、R5、R8がポリマーに結合しており、側鎖に化4〜化6で示される官能基を有するポリマー中に、本発明に関わるモノマーを加えて構成される感放射線組成物において、感度がより一層高く、耐溶剤性に優れた硬化物を与えることから極めて好ましく用いることが出来る。こうした目的で使用される好ましいポリマーの例を化16に示す。
【0052】
【化16】
Figure 0004197882
【0053】
上記化4〜化6で示されるような官能基を側鎖に有するポリマーは、これらの官能基が結合した繰り返し単位のみからなるホモポリマーであっても良いが、これら以外の繰り返し単位として任意の繰り返し単位を併せて含む共重合体ポリマーであっても良い。この場合、他の繰り返し単位を与えるための共重合モノマーとしては、例えば該ポリマーにアルカリ水溶液に対する可溶性を付与する目的等で、カルボキシル基含有モノマーを選択することが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
【0054】
カルボキシル基を有するモノマー以外にも共重合体中に他のモノマー成分を導入して(多元)共重合体として合成、使用することも好ましく行うことが出来る。こうした場合に共重合体中に組み込むことが出来るモノマーとして、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等の各種のモノマーを挙げることが出来る。
【0055】
上記のような共重合体を使用する場合、共重合体組成中に於ける化4〜化6で示される官能基を有する繰り返し単位の割合として好ましい範囲が存在し、トータル組成100重量%中に於いて該繰り返し単位の割合は20重量%以上であることが好ましく、これ以下の割合ではその導入の効果が認められない場合がある。更に好ましくは40重量%以上の割合で該繰り返し単位をポリマー中に含む場合であって、この場合には高感度な架橋系を与えるため好ましい。
【0056】
以上示してきたような構成により、放射線として赤外線、紫外線、遠紫外線、電子線またはX線等を使用することで、照射部に於いて架橋反応が速やかに進行し、照射後にポストキュアなどの後処理を何ら施すことなく十分に硬化した樹脂構造を与えることが出来る。
【0057】
本発明に係わる感放射線硬化性樹脂組成物中に適当な増感剤を添加することで、感度を飛躍的に増加することが可能である。こうした増感剤としてはアルキルアミンをはじめ公知のものが使用される。
【0058】
本発明に係わる感放射線硬化性樹脂組成物中には、暗所での反応を防止するために重合禁止剤や酸化防止剤、その他の安定化剤を添加することが好ましく行われる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩類等が好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、該組成物トータル量100重量部に対して0.01重量部から10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0059】
その他の添加剤として、本発明に係わる感放射線硬化性樹脂組成物中には、液物性、硬化反応性、硬化物の物理的性質(力学的、光学的等)を改善する目的で種々の添加剤が含有されていても良い。液物性を改善する目的で、水、アルコール類、ケトン類、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル類、アミン類、アミド類等の種々の化合物を添加することが好ましく行われる。更にはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂等の種々の疎水性樹脂や、或いはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等の親水性樹脂を添加して使用することも可能である。
【0060】
硬化物の着色を目的として、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、酸化チタン、群青、亜鉛華、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ白等の種々の顔料や公知の各種染料を含むことも好ましく行われる。
【0061】
本発明に係わる感放射線硬化性樹脂組成物を使用したパターン形成方法について述べる。感放射線硬化性樹脂組成物を任意の基板上に層として形成するためには、該樹脂組成物を溶解する溶剤として水、アルコール類、ケトン類、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル類、アミン類、アミド類等の種々の溶剤に適当な濃度で溶解し、スピンコート、バーコート、スプレーコートなどの公知の任意の方法で基板上に塗布乾燥することが好ましく行われる。乾燥温度としては室温から百数十℃の間の条件で乾燥を行うことが出来る。或いは反応性希釈剤として各種アクリレートモノマーを添加し、揮発性有機溶剤を使用しないで塗布を行うことも可能である。基板としてはフィルム、プラスチック、金属および金属張り合わせフィルム、シリコーンウェハー、クロム蒸着板、銅張り積層板その他用途に応じて種々の基板が使用される。
【0062】
上記のように作成されたレジスト層に放射線として、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線或いはX線をパターン状に照射することで、照射部において選択的にレジスト層の架橋が行われる。未照射部のレジスト層はポリマーを溶解する溶剤あるいは水、アルカリ性水溶液を使用することで基板から完全に除去することが行われる。水を現像液として使用する場合には、必要に応じて界面活性剤やアルコール等を数%もしくはこれ以下の割合で添加して使用することも好ましく行われる。アルカリ性水溶液を使用する場合に於いては、使用されるアルカリとしてはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の有機アミン類や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどの無機アルカリが好ましく使用される。この場合に於いても必要に応じて界面活性剤やアルコール等を数%もしくはこれ以下の割合で添加して使用することも好ましく行われる。
【0063】
本発明に係わる感放射線硬化性樹脂組成物は特に水もしくはアルカリ性水溶液を使用してパターン形成を行った場合に、像の膨潤が無く、高い解像度のパターンが得られることから好ましく使用することが出来る。さらに形成されたパターンの耐薬品性(酸、アルカリ、溶剤)が高く、耐熱性にも優れるという利点を有する。
【0064】
(合成例1)化7中化合物C1の合成例
当モルの4−クロロメチルスチレンと2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびトリエチルアミンをエタノール中で50℃において攪拌することで2−(4’−ビニルベンジル)チオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールを得た。ベンゼン中からの再結晶により純品を得た後、メタノール中に当モルの2−(4’−ビニルベンジル)チオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールとトリエチルアミンを加え、氷浴中にて徐々に当モルの沃化メチルを加えた。添加後、さらに室温にて3時間攪拌を行った後、冷却し析出した結晶を濾取した。収率82%で目的とするモノマーを得た。類似化合物であるC2〜C6についても同様の方法で合成した。
【0065】
(合成例2)化8中化合物D2の合成例
当モルの4−クロロメチルスチレンと2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびトリエチルアミンをエタノール中で50℃において攪拌することで2−アミノ−5−(4’−ビニルベンジル)チオ−1,3,4−チアジアゾールを得た。ベンゼン中において当モルの2−アミノ−5−(4’−ビニルベンジル)チオ−1,3,4−チアジアゾールとベンズアルデヒドを加え、更に1gの酢酸を加えて発生する水を留去しながら環流を5時間行った。その後、冷却し析出した結晶を濾取した。収率70%で目的とするモノマーを得た。類似化合物であるD3〜C5も同様の方法で合成した。
【0066】
(合成例3)化10中H2の合成例
当モルの4−クロロメチルスチレンと4−ヒドロキシベンズアルデヒドを1/2等量の炭酸カリウムの存在下エタノール中で6時間環流下攪拌を行うことで4−(4’−ビニルベンジロキシ)ベンズアルデヒドを得た。一方、合成例2と同様に当モルのベンジルクロライドと2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびトリエチルアミンをエタノール中で50℃において攪拌することで2−アミノ−5−ベンジルチオ−1,3,4−チアジアゾールを得た。当モルの4−(4’−ビニルベンジロキシ)ベンズアルデヒドと2−アミノ−5−ベンジルチオ−1,3,4−チアジアゾールをベンゼン中に加え、更に1gの酢酸を加えて発生する水を留去しながら環流を5時間行った。その後、冷却し析出した結晶を濾取した。収率72%で目的とするモノマーを得た。類似化合物であるH1、H3も同様の方法で合成した。
【0067】
(合成例4)化16中PV3の合成例
合成例3で得た4−(4’−ビニルベンジロキシ)ベンズアルデヒドをジオキサン中で重合を行い前駆体ポリマーを得た。メタノール中に析出することで精製を行った前駆体ポリマーをベンゼン中に懸濁させ、繰り返し単位と当モルの2−アミノ−5−(4’−ビニルベンジル)チオ−1,3,4−チアジアゾールを加え、更に1gの酢酸を加えて発生する水を留去しながら環流を7時間行った。その後、溶液全体を多量のメタノール中に注ぎ、析出したポリマーを濾取した。収率90%で目的とするポリマーを得た。
【0068】
その他のポリマーおよび化合物の合成については同様な方法或いは周知の方法で容易に合成することが可能である。
【0069】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明の効果を更に説明する。
(実施例1〜3および比較例1,2)
時間分解FT-IR分光法により、光照射中の重合性不飽和結合基の減少をリアルタイムで測定することで光重合性モノマーの反応性を比較した。即ち、KRS板上に下記配合により、バインダーポリマー、光重合性モノマーおよび光重合開始剤を溶解した溶液を塗布乾燥し、膜厚20ミクロンの感光層をKRS板上に形成した。透過法によりFT-IRにより測定を行う際に、試料の側面から超高圧水銀ランプで発生した紫外線を石英ファイバーにより試料室に導入し、365nmの干渉フィルターを通して4.2mW/cm2の光量が試料表面に照射されるようにした。IR測定開始と同時に光照射を行い、1秒毎の赤外吸収スペクトルを300秒に亘って記録した。不飽和二重結合基による吸収として、スチレン誘導体の場合には990cm-1の吸収の時間変化を追跡し、アクリル酸エステル誘導体の場合には830cm-1の吸収の時間変化を測定することで時間重合率曲線を求めた。
【0070】
配合処方
バインダーポリマー 0.2g
光重合性モノマー 0.1g
光重合開始剤(下記化18) 0.004g
ジオキサン 1.0g
【0071】
本実施例においては、バインダーポリマーとして、化12中PC2で示されるポリマーを使用し、光重合性モノマーとして化7中のC1(実施例1)、C3(実施例2)およびC5(実施例3)を用いた。更に、比較例1として下記化17で示されるモノマーを使用して同様に測定を行った。同じく比較例2としてモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を使用して同様に測定を行った。
【0072】
【化17】
Figure 0004197882
【0073】
【化18】
Figure 0004197882
【0074】
結果を図1に示した。本発明によるC1,C3およびC5のモノマーについては光照射により重合が速やかに進行し、光照射300秒後の到達重合率は90%程度に達するが、一方、比較例1の化17のモノマーは本測定条件に於いては重合性を示さなかった。また、比較例2のTMPTAは光照射直後の重合速度は速いものの、重合率60%程度で重合率が飽和する結果となった。
【0075】
(実施例4〜7)
プリント配線板への適用を想定した実験を行った。即ち、合成例4で得られた化16中PV3で示すポリマーを固形で0.2gとなるよう秤量し、これにラジカル発生剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF製、Lucirin TPO)を0.001g加え、溶剤として1,3−ジオキソランを2g加え、更に光重合性モノマーとして、化7中C2(実施例4)、化8中D1(実施例5)、化9中G1(実施例6)、化10中H1(実施例7)を各々0.1g加えて感放射線硬化性組成物溶液を調製した。これらの液を、50ミクロン厚みのポリイミドフィルム上に18ミクロンの銅を積層した銅箔ポリイミドフィルム上にドクターバーを使用して乾燥膜厚2ミクロンになるように塗布乾燥して試料を作成した。得られた試料を高圧水銀ランプを利用した露光系を使用し、膜面での露光量が2mW/cm2の条件でステップウェッジおよび解像度パターンを形成したフィルムを通して10秒間露光を行った。露光後、アセトン中に試料を浸漬し、未照射部を完全に溶解除去したところ、ステップウェッジで表1に示す段数まで露光部分が残膜した。解像度パターンでは表1に示す線幅のラインアンドスペースのパターンが明瞭に形成されていた。これをさらに塩化第二鉄水溶液に浸漬し、紫外線未照射部において露出している銅部分を完全にエッチング除去した。ついで、50℃に加熱したDMF(ジメチルホルムアミド)を使用して銅箔上に存在する樹脂皮膜を除去した。その結果、ポリイミドフィルム上に何れの実施例においても明瞭に銅薄膜からなる解像度パターンおよびウェッジパターンが形成され、解像度は表1に示す線幅のラインアンドスペースのパターンがそのまま鮮鋭に形成され、またウェッジパターンも表1に示す段数まで形成されていた。
【0076】
【表1】
Figure 0004197882
【0077】
(実施例8〜11)
上記の実施例と同様にしてプリント配線板への適用を想定した実験を行った。即ち、上記実施例4〜7で使用したバインダーポリマーに代えて化12中PC3で示すポリマーを使用し、また、下表2に示す光重合性モノマーを使用し、紫外線露光後の現像液としてアセトンに代えて2%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド)水溶液を使用して現像を行った。更にラジカル発生剤であるアシルフォスフィンオキサイド(TPO)に代えてベンゾインイソプロピルエーテル(AKZO製、Vicure30)を使用した以外は全く同様にして銅箔ポリイミドフィルムを使用して実験を行い、表2に示す結果を得た。
【0078】
【表2】
Figure 0004197882
【0079】
【発明の効果】
放射線に感応して高感度で迅速に重合する系を与える。更には放射線照射後に加熱処理を行わずとも十分に架橋反応が進行する光架橋システムをあたえる。さらにこれを利用した、水またはアルカリ性水溶液による現像でパターン形成が可能な方法を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】時間分解FT−IR分光法による光照射による各種モノマーの時間重合率曲線の比較。

Claims (1)

  1. 分子内に重合性不飽和結合と1,3,4−チアジアゾール基を有する一官能性光重合性モノマーであって、下記一般式化1、化2または化3で示される構造を有する光重合性モノマー。
    Figure 0004197882
    化1において、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1は無くても良い連結基を表し、連結基として硫黄原子、アルキレン基またはCH=N基を表す。
    Figure 0004197882
    化2において、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4水素原子を表す。5は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
    Figure 0004197882
    化3において、R6は水素原子またはメチル基を表し、R7水素原子を表す。8は置換しても良いアルキル基アルキレンオキシ基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X2CH 2 O基を表す。
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