JP4196270B2 - 硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物および硬質ポリウレタンスラブフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物および硬質ポリウレタンスラブフォームの製造方法に関し、さらに詳しくは、連続気泡構造を有し、機械的特性に優れた硬質ポリウレタンスラブフォームを形成するための組成物、およびそのような硬質ポリウレタンスラブフォームの製造方法に関する。
本発明によって得られる硬質ポリウレタンスラブフォームは、各種パネル・ボード・冷蔵庫のような特定の形状に発泡・成型されるものではなく、また、現場発泡のようにスプレー塗布して発泡されるものでもなく、天面開放状態のモールド内に注入された組成物を自由発泡させることにより、または、天面開放状態の連続ラインに連続吐出した組成物を自由発泡させることにより生産される硬質の「スラブフォーム」である。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬質ポリウレタンフォームを形成するための発泡剤として、クロロフルオロカーボン類やハイドロフルオロカーボン類が使用されていた。
しかして、最近における脱フロン化の要請などにより、発泡剤として水を使用する水発泡処方の硬質ポリウレタンフォームが注目されている。
然るに、水発泡処方により形成される硬質フォームは寸法安定性に劣るという問題がある。
そこで、硬質ポリウレタンフォームにおける寸法安定性の向上を図る観点から、連続気泡構造のものが採用されている。
【0003】
例えば、自動車の構成部品(ヘッドライナー)として使用される連続気泡構造の硬質ポリウレタンフォーム(スラブフォーム)を製造する方法として、ジフェニルメタンジイソシアネート70〜90質量%と、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(1分子中にベンゼン環を3個以上有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体)10〜30質量%とを混合してポリイソシアネート成分を調製し;他方、二官能性および/または三官能性のポリエーテルポリオール50〜70質量%と、二官能性のフタル酸ポリエステルポリオール20〜35質量%と、グリセリン2〜10質量%と、水3.5〜7質量%と、第3級アミン触媒0.3〜1質量%と、シリコーンフォーム安定剤0.1〜2質量%とからなるポリオール混合物を調製し;前記ポリイソシアネート成分と前記ポリオール混合物とを反応させる方法が紹介されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−211416号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の方法によって製造される硬質ポリウレタンフォーム(スラブフォーム)は、機械的特性(引張特性・圧縮特性および可撓性)において十分に満足できるものではない。
【0006】
ここに、機械的特性が不十分なスラブフォームを使用して、自動車の構成部品を製造する場合、例えば、当該スラブフォームをスライスして作製される板状体をヘッドライナーの芯材などとして使用する場合、下記のような問題を生じる。
すなわち、当該スラブフォームの引張特性が不十分であると、これを使用して作製された板状体がヘッドライナーに要求される強度を満足するものとならなかったり、作製されたヘッドライナーが天井から脱落しやすくなったりする。また、スラブフォームが脆いものであるために、成形加工時に不要な変形を生じやすい。
また、可撓性(スライスして板状とされたときの可撓性)が不十分であると、ヘッドライナー端部の凹凸や曲面部分において折れが発生するといった不具合を生じやすい。
また、圧縮特性が不十分であると、当該板状体と基材(表面材)との間における平面性(平滑性)が得られなくなり、場合によっては、ヘッドライナーの一部が脱落することもある。
【0007】
上記のような問題を解決するために、ポリオール混合物におけるポリエステル(フタル酸ポリエステルポリオール)の割合を増加させて、硬質フォームの強度の向上を図ることも考えられる。
しかしながら、凝集性の大きいポリエステルを高い割合で含むポリオール混合物を、前記ポリイソシアネート成分と反応させると、膨張過程においてフォームが正常に立ち上がらずに陥没してしまい、所期のスラブフォームを形成することができなくなる、という問題が生じる。
【0008】
一方、例えば、硬質ポリウレタンフォーム(スラブフォーム)をスライスして得られる板状体を基材などに貼り付ける加工法において、当該板状体と基材との間に空気が閉じ込められてエアー溜まりが形成され、得られる製品の機能や外観が損なわれるという問題がある。
このようなエアー溜まりを除去する観点からは、硬質ポリウレタンフォームの通気性を高めることが好ましい。
ここに、通気性の高い硬質ポリウレタンフォームを製造するための手段として、通常の整泡剤(独立気泡率を高める傾向のある整泡剤)とともに、シリコーンオイル(ジメチルシリコーン)などからなる破泡剤を含有してなるフォーム形成用組成物を使用し、形成されるフォームの独立気泡率を低下させることも考えられる。
しかしながら、そのような組成物によって形成される硬質ポリウレタンフォームでは、その通気性を十分に高めることができないのが現状である。
【0009】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、優れた引張特性(高い強度および高い伸び)を有する連続気泡構造の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することのできる組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた可撓性(スライスされた板状体の可撓性)を兼ね備えた連続気泡構造の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することのできる組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた圧縮特性(高い圧縮応力)を兼ね備えた連続気泡構造の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することのできる組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた通気性(高い通気度)を兼ね備えた連続気泡構造の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することのできる組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、引張特性、可撓性および圧縮特性に優れた連続気泡構造の硬質ポリウレタンスラブフォームを製造することのできる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物は、独立気泡率が75%以下の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成するための組成物であって、(A)1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」という。)(A1)45〜69質量%と、1分子中にベンゼン環を3個以上有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(以下、「MDI系多核縮合体」という。)(A2)31〜55質量%とを含むポリイソシアネート成分;(B)フタル酸系ポリエステルポリオール(B1)を40〜70質量%の割合で含むポリオール成分;(C)水からなる発泡剤;(D)整泡剤;および(E)触媒を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の組成物においては下記の形態が好ましい。
(イ)前記フタル酸系ポリエステルポリオールが二官能性のポリオール(フタル酸系ポリエステルジオール)であること。
(ロ)前記ポリオール成分が、分子量300以下の低分子ポリオールを1〜10質量%の割合で含むこと。
(ハ)前記整泡剤として、硬質フォーム連通化用整泡剤(硬質連通フォーム用の整泡剤)を含有すること。
【0012】
本発明の製造方法は、本発明の組成物を使用することを特徴とする。
【0013】
【作用】
〔1〕MDI(A1)とMDI系多核縮合体(A2)とが特定の質量割合(45〜69:55〜31)で混合されてポリイソシアネート成分が構成され、かつ、これと反応するポリオール成分中に特定の質量割合(40〜70質量%)でフタル酸系ポリエステルポリオール(B1)が含まれていることにより、引張特性、可撓性および圧縮特性の全てに優れた硬質ポリウレタンスラブフォームを、陥没現象を起こすことなく確実に形成することができる。
【0014】
〔2〕整泡剤として、硬質フォーム連通化用整泡剤を使用することにより、優れた機械的特性(引張特性、可撓性および圧縮特性)を損なうことなく、通気性の高い硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリイソシアネート成分>
本発明の組成物に含有されるポリイソシアネート成分は、MDI(A1)と、MDI系多核縮合体(A2)とを必須成分とする。
【0016】
ポリイソシアネート成分を構成するMDI(A1)は、ベンゼン環を2個有する二核体である。
MDI(A1)には、4,4′−MDI,2,4′−MDI,2,2′−MDIの異性体が含まれ、MDI(A1)に対する4,4′−MDIの割合は50質量%以上であることが好ましい。
【0017】
ポリイソシアネート成分に対するMDI(A1)の割合としては、通常45〜69質量%とされ、好ましくは45〜65質量%、更に好ましくは55〜65質量%とされる。
【0018】
MDI(A1)の割合が69質量%を超える場合(特許文献1に記載の組成物がこれに該当する。)には、得られる組成物により形成される硬質ポリウレタンスラブフォームが脆性を示し、十分な引張強度および圧縮強度を有するものとならない(後述する比較例7〜8参照)。また、MDI(A1)の割合が69質量%を超えるポリイソシアネート成分を、フタル酸系ポリエステルポリオールを40〜70質量%の割合で含むポリオール成分(本発明における必須のポリオール成分)と反応させると、組成物の膨張過程においてフォームが正常に立ち上がらずに陥没してしまい、スラブフォームを形成することができない(後述する比較例1〜2参照)。
一方、MDI(A1)の割合が45質量%未満であるポリイソシアネート成分を、フタル酸系ポリエステルポリオールを40〜70質量%の割合で含むポリオール成分とを反応させても、引張特性や可撓性の良好なスラブフォームを形成することができない(後述する比較例3参照)。また、高分子体の増加に伴ってポリイソシアネート成分の粘度が過度に上昇するため、フォーム発泡時において、ポリオール成分との混合性に悪影響を及ぼす。
【0019】
ポリイソシアネート成分を構成するMDI系多核縮合体(A2)は、ベンゼン環を3個以上有する多核体である。
ポリイソシアネート成分に対するMDI系多核縮合体(A2)の割合としては、通常31〜55質量%とされ、好ましくは35〜55質量%、更に好ましくは35〜45質量%とされる。
MDI系多核縮合体(A2)の割合が55質量%を超えるポリイソシアネート成分を、フタル酸系ポリエステルポリオールを40〜70質量%の割合で含むポリオール成分とを反応させても、引張特性や可撓性の良好なスラブフォームを形成することができない(後述する比較例3参照)。また、高分子体の増加に伴ってポリイソシアネート成分の粘度が過度に上昇するため、フォーム発泡時において、ポリオール成分との混合性に悪影響を及ぼす。
一方、MDI系多核縮合体(A2)の割合が31質量%未満である場合には、得られる組成物により形成される硬質ポリウレタンスラブフォームが脆性を示し、十分な引張強度および圧縮強度を有するものとならない(後述する比較例7〜8参照)。また、MDI系多核縮合体(A2)の割合が31質量%未満であるポリイソシアネート成分を、フタル酸系ポリエステルポリオールを40〜70質量%の割合で含むポリオール成分と反応させると、組成物の膨張過程においてフォームが正常に立ち上がらずに陥没してしまい、スラブフォームを形成することができない(後述する比較例1〜2参照)。
【0020】
本発明の組成物に含有されるポリイソシアネート成分には、任意成分として、MDI(A1)およびMDI系多核縮合体(A2)以外のポリイソシアネート(以下、「その他のポリイソシアネート(A3)」という。)が含まれていてもよい。
任意成分としてポリイソシアネート成分を構成するその他のポリイソシアネート(A3)としては、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)などの芳香族イソシアネート類、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDIなどの脂環族ジイソシアネートなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
ポリイソシアネート成分におけるNCO含量としては、30〜33質量%であることが好ましく、更に好ましくは31〜32質量%とされる。
ポリイソシアネート成分の平均官能基数としては2.0〜3.0であることが好ましく、更に好ましくは2.0〜2.5とされる。
【0022】
<ポリオール成分>
本発明の組成物に含有されるポリオール成分は、フタル酸系ポリエステルポリオール(B1)(以下、「(B1)成分」ともいう。)40〜70質量%と、その他のポリオール(B2)(以下、「(B2)成分」ともいう。)30〜60質量%とからなる。
【0023】
ポリオール成分を構成する(B1)成分は、フタル酸系の多塩基酸または無水フタル酸と、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)とを公知の方法によってエステル化反応させることにより製造することができる。
【0024】
ここに、「フタル酸系の多塩基酸」には、フタル酸(オルソフタル酸)、イソフタル酸、テレフタル酸およびトリメリット酸が包含される。
また、「2個以上のヒドロキシル基を有する化合物」としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ーペンタンジオール、ビスフェノールAなどの短鎖ジオール;グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどの短鎖トリオール;ペンタエリスリトール(テトラメチロールメタン)、テトラメチロールシクロヘキサンなどの短鎖テトラオールなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
(B1)成分であるフタル酸系ポリエステルポリオールは、フタル酸または無水フタル酸と短鎖ジオールとを反応させて得られる二官能性のポリオール(フタル酸系ポリエステルジオール)であることが好ましい。
(B1)成分としてフタル酸系ポリエステルジオールを使用することによれば、形成される硬質ポリウレタンフォームの機械的特性、特に引張強度を更に向上させることができる。
【0026】
(B1)成分の平均分子量としては、200〜750であることが好ましく、更に好ましくは300〜450とされる。
(B1)成分の水酸基価としては、150〜500mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは250〜350mgKOH/gとされる。
【0027】
ポリオール成分を構成する(B2)成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール〔(B1)成分に属するものを除く。〕、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール、鎖延長剤として機能する分子量300以下の低分子ポリオール(以下、単に「低分子ポリオール」という。)、ポリマーポリオール、ハロゲン含有ポリオール、リン含有ポリオール、フェノールベースポリオールなどを挙げることができる。
【0028】
(B2)成分として用いる「ポリエーテルポリオール」は、2個以上の活性水素を有する化合物を開始剤(出発物質)として、これらに環式エーテルを付加させることにより製造することができる。
ポリエーテルポリオールの製造に供される「2個以上の活性水素を有する化合物」としては、(B1)成分を得るためのエステル化反応に供されるものとして例示した短鎖ジオール、短鎖トリオール、短鎖テトラオールを挙げることができ、さらに、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシルメチル)シクロヘキサノール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、ズルシトール(ガラクチトール)、スークロースなど、5〜8個のOH基を有するポリオール類;ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メタフェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、アニリンなどの低分子ポリアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子アミノアルコールなども使用することができる。
ポリエーテルポリオールの製造に供される「環式エーテル」としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキサイドを例示することができる。
【0029】
(B2)成分として用いる「ポリエステルポリオール」は、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)と、2個以上のカルボキシル基を有する化合物(多塩基酸)とを公知の方法によって反応させることにより製造することができる。
ポリエステルポリオールの製造に供される「2個以上のヒドロキシル基を有する化合物」としては、前記短鎖ジオール、短鎖トリオール、短鎖テトラオール、および5〜8個のOH基を有するポリオール類を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエステルポリオールの製造に供される「2個以上のカルボキシル基を有する化合物」としては、アジピン酸、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、ピメリン酸、セバシン酸、シュウ酸、アゼライン酸、クルタコン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、ヘミメリチン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4’,4”−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ラクトン(ε−カプロラクトン、メチルバレロラクトンなど)の開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオールを(B2)成分として用いてもよい。
【0030】
(B2)成分として用いる「ポリカーボネートポリオール」としては、前記短鎖ジオールおよび/または短鎖トリオールと、低分子カーボネート(例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート)との脱アルコール反応や脱フェノール反応により得られるものを挙げることができる。
【0031】
(B2)成分として用いる「ポリオレフィンポリオール」としては、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどを挙げることができる。
【0032】
(B2)成分として用いる「動植物系ポリオール」としては、例えばヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインなどを挙げることができる。
【0033】
(B2)成分として用いる「低分子ポリオール」としては、ポリエーテルポリオール〔(B1)成分または(B2)成分〕の製造に供されるものとして例示した化合物(短鎖ジオール・短鎖トリオール・短鎖テトラオール・低分子ポリアミン・低分子アミノアルコール)を挙げることができる。
【0034】
(B2)成分として用いる「ポリマーポリオール」としては、ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えばブタジエン、アクリロニトリル、スチレンなど)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールなどを挙げることができる。
【0035】
(B2)成分として用いる「ハロゲン含有ポリオール」としては、エピクロロヒドリン、トリクロロブチレンオキシドを開環重合して得られるもの、多価アルコールを臭素化したものにアルキレンオキシドを付加して臭素化されたものなどを挙げることができる。
【0036】
(B2)成分として用いる「リン含有ポリオール」としては、リン酸、亜リン酸、有機リン酸などにアルキレンオキシドを付加重合したもの、ポリヒドロキシプロピルホスフィンオキシドにアルキレンオキシドを付加したものなどを挙げることができる。
【0037】
(B2)成分として用いる「フェノールベースポリオール」としては、フェノールとホルマリンから得られるノボラック樹脂、レゾール樹脂にアルキレンオキシド類を反応させたポリオール、フェノール類とアルカノールアミンおよびホルマリンとを反応したものにアルキレンオキサイド類を反応させたマンニッヒベースポリオールなどを挙げることができる。
【0038】
本発明の組成物において、(B2)成分として、低分子ポリオールを1〜10質量%の割合(ポリオール成分全体に対する割合)で含むことが好ましい。
これにより、形成される硬質ポリウレタンスラブフォームについての通気性の向上(通気度の上昇)を図ることができる。
【0039】
(B2)成分の平均分子量としては、100〜8,000であることが好まし。
(B2)成分の水酸基価としては、20〜2,000mgKOH/gであることが好ましい。
(B2)成分の平均官能基数としては1〜6であることが好ましく、更に好ましくは2〜4とされる。
【0040】
ポリオール成分に対する(B1)成分と(B2)成分との質量割合〔(B1):(B2)〕は、40:60〜70:30とされ、好ましくは40:60〜65:35とされる。
ポリオール成分に対する(B1)成分の割合を、従来に例のない高い割合(40〜70質量%)とし、かかるポリオール成分を、MDI(A1)とMDI系多核縮合体(A2)とが特定の質量割合(45〜69:55〜31)で混合されたポリイソシアネート成分と反応させることにより、引張特性、可撓性および圧縮特性の全てに優れた硬質ポリウレタンスラブフォームを、陥没現象を起こすことなく確実に形成することができる。
(B1)成分の割合が70質量%を超える場合には、得られる組成物によって形成されるフォームが十分な可撓性および引張特性(引張伸び)を有するものとならない(後述する比較例4参照)。
一方、この割合が40質量%未満である場合には、十分な引張特性(引張強度)を有するものとならない(後述する比較例5〜6参照)。
【0041】
ポリオール成分の平均分子量としては、400〜2,000であることが好ましく、更に好ましくは500〜1,000とされる。
ポリオール成分の水酸基価としては、150〜400mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは200〜300mgKOH/gとされる。
ポリオール成分の平均官能基数としては2〜4であることが好ましく、更に好ましくは2.5〜3.5とされる。
【0042】
<発泡剤(水)>
本発明の組成物は、発泡剤として水を含有する水発泡処方の組成物である。
発泡剤を構成する水の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましく、更に好ましくは3〜7質量部とされる。
この含有量が過大である場合には、形成されるフォームの密度が、所望される密度よりも低下(軽量化)してしまうほか、強度不足や寸法安定性の低下を招き、さらには当該フォームが脆いものとなる。一方、この含有量が過少である場合には、発泡が不十分となって、コストアップになるほか、形成される硬質ポリウレタンスラブフォームが、折れやすくなり、曲げにくくなる。
【0043】
<整泡剤>
良好な気泡構造を有する硬質ポリウレタンスラブフォームを形成する目的から、本発明の組成物には、整泡剤が含有されていることが好ましい。
かかる整泡剤としては、ポリウレタン工業において従来公知の整泡剤を挙げることができ、シリコーン系整泡剤および含フッ素化合物系整泡剤などを例示することができる。
【0044】
本発明の組成物に含有される整泡剤としては、例えば、「L−5420」、「L−5340」、「SZ−1642」、「SZ−1649」(以上、日本ユニカー(株)製)、「SF−2936F」、「SF−2937F」、「SF−2938F」(以上、東レダウシリコーン(株)製)、「B−8444」、「B−8465」、「B−8870」、(以上、ゴールドシュミット社製)などを挙げることができる。
【0045】
本発明においては、整泡剤として、硬質フォーム連通化用整泡剤(硬質連通フォーム用の整泡剤)を使用(併用)することが好ましい。
硬質フォーム連通化用整泡剤は、形成される硬質ポリウレタンスラブフォームの独立気泡率を低下させる(連続気泡化を促進する)ことができる整泡剤であり、硬質フォーム連通化用整泡剤を使用(併用)することにより、優れた機械的特性(引張特性、可撓性および圧縮特性)を実質的に損なうことなく、高い通気度(ジメチルシリコーンなどからなる破泡剤を併用する場合より高い通気度)の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することができる。
【0046】
かかる硬質フォーム連通化用整泡剤の一例として、ポリシロキサンセグメントとポリオキシアルキレンセグメントとからなる線状構造のブロック共重合体を使用することが好ましい。この線状構造ブロック共重合体は、気泡開放作用を有する。
【0047】
硬質フォーム連通化用整泡剤の具体例(市販品)としては、「SZ−1923」、「SZ−1932」(以上、日本ユニカー(株)製));「F−370」、「X−20−1581」(以上、信越化学工業(株)製));「TEGOSTAB B8871」、「TEGOSTAB B8934」、「TEGOSTAB B8935」、(以上、ゴールドシュミット社製)を挙げることができる。
【0048】
<触媒成分>
本発明の組成物に含有される触媒としては、トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)、N−メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートなどのスズ化合物、アセチルアセトン金属塩などの金属錯化合物、反応型アミン触媒〔例えば、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール〕に代表されるウレタン化触媒を挙げることができる。
本発明の組成物における触媒の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して0〜2.5質量部であることが好ましく、更に好ましくは0〜1.0質量部とされる。
【0049】
<助剤>
本発明の組成物には、必要に応じて、さらに助剤として、例えば充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤などが含有されていてもよい。
代表的な難燃剤としてはトリス(クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)を挙げることができる。
また、助剤として、形成される硬質ポリウレタンスラブフォームの独立気泡率を低下させる(連続気泡化を促進する)ものを選択してもよい。
そのような助剤として、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸カルシウムなどの飽和高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩または亜鉛塩などを含有させることもできる。
【0050】
<組成物の使用態様>
本発明の組成物は、例えば、ポリイソシアネート成分からなる第1液と、ポリオール成分、発泡剤(水)、整泡剤および触媒を混合してなる第2液とにより構成される二液硬化性の組成物として使用される。この場合において、任意成分である助剤は、第1液および第2液の何れに含有させてもよい。
本発明の組成物は、また、ポリイソシアネート成分からなる第1液と、ポリオール成分からなる第2液と、発泡剤(水)、整泡剤および触媒からなる第3液とにより構成される三液硬化性の組成物として使用してもよい。この場合において、任意成分である助剤は、第1液、第2液および第3液の何れに含有させてもよい。
【0051】
<硬質ポリウレタンスラブフォーム>
本発明の組成物によって形成される硬質ポリウレタンスラブフォームは、連続気泡構造を有するもの、具体的には、ASTM D2856に準拠して測定される独立気泡率が75%以下のものである。
また、この硬質ポリウレタンスラブフォームの通気度は0.3cm3 /cm2 /s以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜10.0cm3 /cm2 /sとされる。
【0052】
<製造方法>
本発明の製造方法は、本発明の組成物を使用して独立気泡率が75%以下の硬質ポリウレタンスラブフォームを製造する方法である。
具体的な製造方法としては、特に限定されるものではなく、スラブフォームを製造するための従来公知の方法を採用することができる。
ここに、製造方法の一例を示せば、第1液(ポリイソシアネート成分)と、第2液(ポリオール成分、発泡剤(水)、整泡剤、触媒および助剤を含むポリオール混合物)とを、公知の攪拌混合機により混合して、本発明の組成物(発泡性の混合物)を調製し、これを天面開放状態のモールド内に注入して自由発泡させ、スラブ(ブロック)として硬化成形する方法(不連続法)を挙げることができる。
また、製造方法の他の例として、第1液(ポリイソシアネート成分)と、第2液(ポリオール成分、発泡剤(水)、整泡剤、触媒および助剤を含むポリオール混合物)とを、公知の攪拌混合機により混合して、本発明の組成物(発泡性の混合物)を調製し、天面開放状態の連続ラインに該組成物を連続吐出して自由発泡させ、スラブとして硬化成形する方法(連続法)も挙げることができる。
【0053】
<用途>
このようにして製造されるスラブフォームは、種々の用途に使用することができる。
ここに、好適な使用態様として、このスラブフォームを所望の形状(平面形状および厚さ)に裁断/スライスして板状体を作製し、この板状体をライナーとして、自動車屋根の内面(天井)に貼り付ける態様を挙げることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の組成物によれば、優れた引張特性(高い強度および高い伸び)、優れた可撓性、優れた圧縮特性(高い圧縮応力)の全てを兼ね備えた硬質ポリウレタンスラブフォームを、陥没現象を起こすことなく確実に形成することができる。
請求項3および請求項4に係る組成物によれば、優れた機械的特性(引張特性、可撓性および圧縮特性)を損なうことなく、通気性の高い硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することができる。
本発明の製造方法によれば、引張特性、可撓性および圧縮特性のすべてに優れた硬質ポリウレタンスラブフォームを、陥没現象を起こすことなく確実に形成することができる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
<実施例1>
下記表1に示す配合処方に従って調製されたポリオール混合物、および同表に示すポリイソシアネート成分(A−ii)の各々を用意した。
当該ポリオール混合物と、当該ポリイソシアネート成分(A−ii)とを、表1に示す配合質量比で、かつ、両者の合計質量が22kgとなるように低圧発泡機を用いて混合・吐出して本発明の組成物(発泡性の混合物)を調製した。なお、表1における配合量の単位は「質量部」である。また、両者は予め25℃に温調した。
低圧発泡機から吐出した本発明の組成物を、800mm×1000mm×800mmの内部寸法を有する天面開放型の木製モールドに注入し、発泡・硬化成形過程における反応時間(クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイム)を測定した。結果を下記表3に示す。
攪拌混合操作の開始時刻から30分間経過後に脱型操作を行って、硬質ポリウレタンスラブフォームを得た。
【0057】
<実施例2〜6>
下記表1に示すポリオール混合物およびポリイソシアネート成分(A)の各々を用いたこと以外は実施例1と同様にして、両者の攪拌混合操作(本発明の組成物の調製)、組成物の注入操作、反応時間の測定(結果を下記表3に示す)および脱型操作を行って、硬質ポリウレタンスラブフォームを得た。
【0058】
【表1】
【0059】
〔表1の注(下記表2において同じ)〕
*1)(B1−i):オルソフタル酸とジエチレングリコールとから得られる二官能のフタル酸系ポリエステルポリオール(分子量=356,水酸基価=315mgKOH/g)。
*2)(B2−i):グリセリンにエチレンオキサイド(18質量%)・プロピレンオキサイド(82質量%)を付加して得られる三官能のポリエーテルポリオール(分子量=6,000,水酸基価=28mgKOH/g)。
*3)(B2−ii):グリセリンにプロピレンオキサイドを付加して得られる三官能のポリエーテルポリオール(分子量=600,水酸基価=281mgKOH/g)。
【0060】
*4)PUR65:酸化防止剤「IRGASTAB PUR65」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
*5)L−5340:硬質フォーム用のシリコーン整泡剤「L−5340」(日本ユニカー(株)製)
*6)SZ−1923:ポリシロキサンセグメントとポリオキシアルキレンセグメントとからなる線状構造ブロック共重合体(硬質フォーム連通化用整泡剤)「SZ−1923」(日本ユニカー(株)製)
*7)L−5420:硬質フォーム用のシリコーン整泡剤「L−5420」(日本ユニカー(株)製)
*8)RX−20:反応型3級アミン混合触媒(東ソー(株)製)。
【0061】
*9)(A−i):MDI(A1)45質量%と、MDI系多核縮合体(A2)55質量%とからなる本発明用の混合物(NCO含量=31.1質量%)。
*10)(A−ii):MDI(A1)65質量%と、MDI系多核縮合体(A2)35質量%とからなる本発明用の混合物(NCO含量=32.0質量%)。
【0062】
<比較例1>
下記表2に示す配合処方に従って調製されたポリオール混合物、および同表に示すポリイソシアネート成分(a−ii)の各々を用意した。
当該ポリオール混合物と、当該ポリイソシアネート成分(a−ii)とを、表2に示す配合質量比で、かつ、両者の合計質量が22kgとなるように低圧発泡機を用いて混合・吐出して比較用の組成物を調製した。なお、表2における配合量の単位は「質量部」である。また、両者は予め25℃に温調した。
低圧発泡機から吐出した組成物を、800mm×1000mm×800mmの内部寸法を有する天面開放型の木製モールドに注入し、発泡・硬化成形過程における反応時間の測定を試みたが、膨張時(フォーム立ち上がり時)に成型体が陥没してしまい、所期の硬質ポリウレタンスラブフォームを得ることはできなかった。
【0063】
<比較例2>
下記表2に示すポリオール混合物(108.5質量部)およびポリイソシアネート成分(a−ii)(151質量部)の各々を用いたこと以外は比較例1と同様にして、比較用の組成物を調製し、当該組成物の注型操作を行って、発泡・硬化成形過程における反応時間の測定を試みたが、膨張時(フォーム立ち上がり時)に成型体が陥没してしまい、所期の硬質ポリウレタンスラブフォームを得ることはできなかった。
【0064】
<比較例3>
下記表2に示す配合処方に従って調製されたポリオール混合物、および同表に示すポリイソシアネート成分(a−i)の各々を用意した。
当該ポリオール混合物と、当該ポリイソシアネート成分(a−i)とを、表2に示す配合質量比で、かつ、両者の合計質量が22kgとなるように低圧発泡機を用いて混合・吐出して比較用の組成物(発泡性の混合物)を調製した。なお、両者は予め25℃に温調した。
低圧発泡機から吐出した組成物を、800mm×1000mm×800mmの内部寸法を有する天面開放型の木製モールドに注入し、発泡・硬化成形過程における反応時間(クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイム)を測定した。結果を下記表4に示す。
攪拌混合操作の開始時刻から30分間経過後に脱型操作を行って、硬質ポリウレタンスラブフォームを得た。
【0065】
<比較例4〜8>
下記表2に示すポリオール混合物およびポリイソシアネート成分の各々を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較用の組成物の調製、当該組成物の注型操作、反応時間の測定(結果を下記表4に示す)および脱型操作を行って、硬質ポリウレタンスラブフォームを得た。
【0066】
【表2】
【0067】
〔表2の注〕
*11)(B2−iii)トリメチロールプロパンにプロピレンオキサイドを付加して得られる三官能のポリエーテルポリオール(分子量=400,水酸基価=420mgKOH/g)。
*12)(B2−iv):エチレングリコールにエチレンオキサイドを付加して得られる二官能のポリエーテルポリオール(分子量=600,水酸基価=187mgKOH/g)。
【0068】
*13)TSF−451−50:ジメチルシリコーンオイル(東芝シリコーン(株)製)。
*14)(a−i):MDI(A1)40質量%と、MDI系多核縮合体(A2)60質量%とからなる比較用の混合物(NCO含量=30.9質量%)。
*15)(a−ii):MDI(A1)73質量%と、MDI系多核縮合体(A2)27質量%とからなる比較用の混合物(NCO含量=32.3質量%)。
【0069】
<スラブフォームの評価>
実施例1〜6および比較例3〜8により得られた硬質ポリウレタンスラブフォームの各々について、脱型してから室温下に24時間静置した後、下記の項目について測定・評価した。結果を下記表3および下記表4に示す。
【0070】
(1)密度:
JIS A9511に準拠して密度(kg/m3 )を測定した。
【0071】
(2)独立気泡率:
スラブフォームから切り出した試験片〔30mm×30mm×130mm(発泡方向)〕を用い、ASTM D2856に準拠して独立気泡率(%)を測定した。
【0072】
(3)可撓性:
スラブフォームを7mmの厚さにスライスして板状体を作製し、当該板状体の隅部を手指で摘んで折り曲げることにより、下記の基準に従って可撓性を評価した。
【0073】
〔評価基準〕
・「◎」:粘りがあって、よく撓み、折れることがない。
・「○」:粘りがあって、撓むが、最終的に折れてしまう。
・「×」:粘りが殆どなくて、簡単に折れてしまう。
【0074】
(4)引張特性:
JIS K 6400に準拠して、引張強度および伸び(破断時の伸び)を測定した。
【0075】
(5)圧縮特性:
JIS K 7220に準拠して、発泡方向における10%圧縮時の圧縮応力を測定した。
【0076】
(6)通気度(通気性):
JIS K 6400に準拠して、7mm厚の試料についてフラジール型通気度試験機を用いて測定した。
【0077】
(7)体積変化率(寸法安定性):
スラブフォームから切り出した試験片(50mm×50mm×50mm)を下記の雰囲気下に一定時間静置したときの体積変化を測定して寸法安定性を評価した。
・150℃×1時間
・ 90℃×2日間
・ 25℃×2日間
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
上記に示す結果からも明らかなように、実施例1〜6に係る組成物によれば、MDI(A1)とMDI系多核縮合体(A2)とが特定の質量割合で混合されてポリイソシアネート成分〔(A−i)/(A−ii)〕が構成され、かつ、これと反応するポリオール成分中に特定の質量割合でフタル酸系ポリエステルポリオール(B1−i)が含まれていることにより、引張特性、可撓性および圧縮特性の全てに優れた硬質ポリウレタンスラブフォームを、陥没現象を起こすことなく確実に形成することができる。
さらに、特定の線状構造ブロック共重合体(SZ−1923)を整泡剤として使用している実施例1〜5に係る組成物によれば、優れた機械的特性が損なわれることなく、通気度の高い硬質ポリウレタンスラブフォームを形成することができる。
【0081】
これに対して、MDI(A1)の割合が40質量%であるポリイソシアネート成分(a−i)を含有する比較例3に係る組成物によっては、引張特性や可撓性の良好なスラブフォームを形成することができなかった。
また、ポリオール成分に対するフタル酸系ポリエステルポリオール(B1−i)の割合が過大である比較例4に係る組成物によっては、引張特性(引張伸び)や可撓性の良好なスラブフォームを形成することができなかった。
また、ポリオール成分に対するフタル酸系ポリエステルポリオール(B1−i)の割合が過小である比較例5および比較例6に係る組成物によっては、引張特性(引張強度)の良好なスラブフォームを形成することができず、更に、比較例6に係る組成物によって得られたスラブフォームは、可撓性にも劣るものであった。
また、MDI(A1)の割合が73質量%であるポリイソシアネート成分(a−ii)を含有する比較例7および比較例8に係る組成物によっては、引張強度や圧縮特性の良好なスラブフォームを形成することができず、更に、比較例8に係る組成物によって得られたスラブフォームは、可撓性にも劣るものであった。
Claims (5)
- 独立気泡率が75%以下の硬質ポリウレタンスラブフォームを形成するための組成物であって、
(A)1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(A1)45〜69質量%と、1分子中にベンゼン環を3個以上有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(A2)31〜55質量%とを含むポリイソシアネート成分;
(B)フタル酸系ポリエステルポリオール(B1)を40〜70質量%の割合で含むポリオール成分;
(C)水からなる発泡剤;
(D)整泡剤;および
(E)触媒
を含有する硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物。 - 前記フタル酸系ポリエステルポリオールが、二官能性のポリオールである請求項1に記載の硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物。
- 前記ポリオール成分が、分子量300以下の低分子ポリオールを1〜10質量%の割合で含む請求項1または請求項2に記載の硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物。
- 前記整泡剤として、硬質フォーム連通化用整泡剤を含有する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の硬質ポリウレタンスラブフォーム形成用組成物。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の組成物を使用する硬質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
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