JP2006348099A - ポリウレタン発泡原液及び低密度ポリウレタン断熱材 - Google Patents

ポリウレタン発泡原液及び低密度ポリウレタン断熱材 Download PDF

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Mitsuhiko Watanabe
光彦 渡辺
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Abstract

【課題】 環境や人体への負荷を低減しつつ、しかも断熱材に求められる種々の要求特性をバランスよく満たし得る低密度ポリウレタン断熱材、及び、当該低密度ポリウレタン断熱材を実現し得るポリウレタン発泡原液を提供する。
【解決手段】 イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、ヒドロキシル基を供給するポリオール、硬化触媒、及び発泡剤を含むポリウレタン発泡原液において、前記硬化触媒が有機酸ビスマス塩及びアミン系化合物を含むものであり、前記発泡剤が水を主成分とするものであることを特徴とするポリウレタン発泡原液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特に戸建て家屋の壁面向け部材等として好適な低密度ポリウレタン断熱材、及び、そのような低密度ポリウレタン断熱材を実現し得るポリウレタン発泡原液に関する。
従来、断熱材としてポリウレタン発泡成形体(低密度ポリウレタン)が用いられている。このような低密度ポリウレタンは通常、ポリイソシアネート、ポリオール、硬化触媒、及び発泡剤を含むポリウレタン発泡原液を発泡硬化させて形成されるが、反応活性の観点や作業性の観点、断熱材に対する要求特性をバランス良く満たす観点から、断熱材を形成するためのポリウレタン発泡原液には発泡剤としてフロン系化合物が主に用いられてきた。しかし、近年の環境問題に対する意識の高まりからフロン系化合物を使用しない技術の開発が各産業分野で急務である。ポリウレタン発泡原液における発泡剤としては水も周知であったが、水は一般にフロン系化合物に比して反応活性等に劣り、単純に代替した場合には実用に耐える低密度ポリウレタン断熱材とならない場合が多い。断熱性を向上させるべく成形体の密度を低減するためにはより多量の発泡剤(水)を使用することとなるが、かかる場合には実用に耐える成形体を得ることがますます困難となる。
発泡剤として水を使用する系において、ポリウレタン発泡原液の反応性を向上させる方法としては、例えばアミン系化合物を触媒としてポリウレタン発泡原液に配合する方法が知られている。しかし、当該方法においては一般にアミン系化合物を多量に配合する必要が生じ、かかる状況は人体への影響の観点から好ましくない。高活性な特定のアミン系化合物を用いる方法(特許文献1:特開平6−228260号公報や特許文献2:特開平9−087352号公報)や、アミン系化合物の使用量を低減させる観点から鉛系化合物や錫系化合物をアミン系化合物と併用してポリウレタン発泡原液に配合する方法も提案されているが、特殊なアミン化合物の使用は汎用性の観点から改善の余地を有するものであり、また、鉛系化合物や錫系化合物についても人体や環境への負荷に鑑みれば使用しない方が望ましい。
一方、特許文献3:特開2003−040961号公報や特許文献4:特開2003−040967号公報には、発泡剤を配合しないポリウレタン原液からウレタンゴムを形成する技術分野において、人体に有害な鉛系化合物の代わりに有機酸ビスマス塩と脂肪酸バリウム塩等とを併用してポリウレタン原液に配合する、乃至、有機酸ビスマス塩と脂肪酸カルシウム塩とを併用してポリウレタン原液に配合する技術が記載されている。しかし、当該技術はあくまで靴底ゴムなどとして好適なウレタンゴムに関する技術分野に関するものであり、発泡硬化させてなる低密度ポリウレタン断熱材は念頭になく、断熱材としての要求特性を満たす点に着目するものでもない。
特に戸建て向けの断熱部材には、断熱性能に優れることはもちろんのこと、壁材や床材等の一部を構成する部材として一定の圧縮強度を有すること、材質の均質性や作業性が良好であること、スプレー工法[ポリイソシアネート成分と、ポリオール組成物(ポリオール成分と、発泡剤、触媒、難燃剤、整泡剤、その他の助剤とを混合した配合液)とを、ミキシングヘッド内で50〜200kg/cm2の圧力にて高圧混合して発泡させるエアレススプレー発泡法。この方法によれば、施行対象物に直接吹き付け施行するという簡単な作業で、良好でシームレスな硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。]が使用可能であること、フロン系化合物を配合した系において用いられていたスプレー装置がそのまま転用可能であること、更には、硬化反応が速やかに生じること等が複合的に要求される。
環境や人体への負荷を低減することと併せ、これらの要求特性をバランスよく満たす低密度ポリウレタン断熱材、乃至ポリウレタン発泡原液の開発が求められていた。
特開平6−228260号公報 特開平9−087352号公報 特開2003−040961号公報 特開2003−040967号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、環境や人体への負荷を低減しつつ、しかも断熱材に求められる種々の要求特性をバランスよく満たし得る低密度ポリウレタン断熱材、及び、当該低密度ポリウレタン断熱材を実現し得るポリウレタン発泡原液を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、環境への負荷を低減する観点から水を主な発泡剤として用いたポリウレタン発泡原液を構成するに際し、人体への悪影響の少ない有機酸ビスマス塩、及びアミン系化合物を含む硬化触媒を配合することにより、人体に有害な鉛系化合物や錫系化合物を用いず、またアミン化合物の使用量を比較的少量に抑えつつも、実用的なポリウレタン発泡成形体が得られることを見出した。しかも、得られたポリウレタン発泡成形体の熱伝導率は鉛系化合物や錫系化合物を用いた場合に比してより小さく、断熱材としての特性に優れることを知見するに至り、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下のポリウレタン発泡原液、及び低密度ポリウレタン断熱材を提供する。
請求項1:
次の(A)〜(D)の各成分、
(A)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
(B)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
(C)硬化触媒、
(D)発泡剤、
を含むポリウレタン発泡原液において、前記(C)成分が有機酸ビスマス塩及びアミン系化合物を含むものであり、前記(D)成分が水を主成分とするものであることを特徴とするポリウレタン発泡原液。
請求項2:
前記(C)成分が、更に有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩を含む請求項1記載のポリウレタン発泡原液。
請求項3:
前記ポリウレタン発泡原液が、更に、次の(E)成分、
(E)難燃剤、
を含むと共に、該(E)成分が非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とするものである請求項1又は2記載のポリウレタン発泡原液。
請求項4:
前記(A)成分が、水酸基価が20〜1000であり、かつ数平均分子量が200〜12000であるポリオールを含む請求項1,2又は3記載のポリウレタン発泡原液。
請求項5:
請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタン発泡原液を発泡硬化させてなる低密度ポリウレタン断熱材。
本発明の低密度ポリウレタン断熱材は、環境や人体への負荷を低減しつつ、しかも断熱材に求められる種々の要求特性をバランスよく満たし得る。当該低密度ポリウレタン断熱材は、本発明のポリウレタン発泡原液にて形成される。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明のポリウレタン発泡原液は、次の(A)〜(D)の各成分、
(A)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
(B)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
(C)硬化触媒、
(D)発泡剤、
を含むポリウレタン発泡原液において、前記(C)成分が有機酸ビスマス塩及びアミン系化合物を含むものであり、前記(D)成分が水を主成分とするものであることを特徴とするポリウレタン発泡原液である。ここで、本発明において「主成分」とは、特定成分が、当該特定成分を含むマトリックス中に占める割合が通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよいことを意味する。
上記(A)ヒドロキシル基を供給するポリオール成分としては、例えばポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオール)、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。中でも発泡体の力学特性を制御できる観点から、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、ポリエーテルポリオールを用いることが特に好ましい。これらのポリオールは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、反応性の観点からアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリエーテルポリオールとしては、上記POの単独重合体、上記EOの単独重合体を用いても良いが、中でも原料活性の観点から上記POと上記EOとを共重合して得られたポリエーテルポリオールであることが好適である。重合開始剤としては、例えばペンタエリスリトール、グリセリン、エチレンジアミン、マンニッヒ、トリレンジアミン、シュークロース等が挙げられる。これら重合開始剤についても1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
なお、このようなポリエーテルポリオールとしては市販品を用いることができ、例えば商品名エクセノール600ED(旭硝子(株)製)、GR−07(三井武田ケミカル(株)製)、ND240(三洋化成工業(株)製)等を使用することができる。所望により2種以上を併用してもよい。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ブラシリン酸等の炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを酸成分とし、エチレングリコール等の炭素数1〜6の脂肪族ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテルグリコールなどをポリオール成分(アルコール成分)とするポリエステルポリオールを挙げることができる。
このようなポリエステルポリオールとしては市販品を用いることができ、例えば商品名JP733(東邦理化(株)製)、SV165(東邦理化(株)製)、PL305(東邦理化(株)製)等を使用することができる。所望により2種以上を併用してもよい。
上記ポリマーポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオールにポリスチレン、ポリアクリロニトリル、又はアクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール(ポリアルキレンオキシド)の原料となるアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシドを含むことが好ましく、プロピレンオキシド単独のもの、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを共に含むものであることが特に好ましい。また、上記ポリマーポリオール中に占める上記のようなグラフトポリマー成分の割合としては通常5〜50質量%である。
このようなポリマーポリオールとしては市販品を用いることができ、例えば商品名WB722(旭硝子(株)製)、WB502(旭硝子(株)製)等を使用することができる。所望により2種以上を併用してもよい。
本発明における上記(A)成分としてはウレタン発泡の反応速度、及び発泡体の力学特性の両立の観点から、水酸基価が20〜1000、好ましくは300〜1000であり、かつ数平均分子量が200〜12000、好ましくは200〜1000であるポリオールを含むことが好適である。なお、本発明において数平均分子量とはGPC法によりポリスチレン換算値として算出した値であり、水酸基価とはJIS K1557に準拠して測定した値である。
上記(B)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族および芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
中でも、本発明においては反応性、物性、安全性の観点から、上記イソシアネートとしてはジフェニルメタンジイソシアネートを含むことが好適である。
このような(B)成分としては市販品を使用することができ、例えば商品名コロネートC−1155(日本ポリウレタン(株)製)、G467(住化バイエルウレタン社製)、M−12S(BASF社製)等を使用することができる。
ここで、上記(B)成分の配合量は特に制限されるものではないが、全ポリオール100質量部に対して通常90〜120質量部、好ましくは100〜115質量部である。(B)成分の配合量が少なすぎると強度不足となったり発泡しなかったりする場合があり、一方多すぎると、密度が低くならなかったり低温下で脆性が悪化したりする場合がある。
また、上記(B)成分が上記ポリウレタン発泡原液中に占める割合(2種以上のイソシアネートを併用する場合には、その総量が上記ポリウレタン発泡原液中に占める割合)としては、その目安としてのイソシアネート当量(ポリウレタン発泡原液中の活性水素量(モル)を100とした時の、ポリウレタン発泡原液中のイソシアネ−ト基のモル比)値として通常25〜250、好ましくは50〜120である。イソシアネート当量が小さすぎると発泡しなかったり硬化しなかったりする場合があり、一方、大きすぎると密度が高くなってしまう場合がある。
本発明において、上記(C)硬化触媒成分としては、(C−1)有機酸ビスマス塩、及び(C−2)アミン系化合物を含むものが用いられる。本発明の目的をより好ましく達成する観点から、上記(C)成分としては鉛系化合物や錫系化合物を含まないものであることが好ましい。
上記(C−1)成分としては、例えばアビエチン酸、ネオアビエチン酸,d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸などの脂環族系有機酸のビスマス塩;安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸などの芳香族系有機酸のビスマス塩;オクチル酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸などの炭素原子数8〜20の脂肪酸ビスマス塩、等が挙げられる。中でも反応性維持の観点からオクチル酸、ネオデカン酸が好適に用いられる。なお、これら有機酸ビスマス塩は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
上記(C−1)成分の配合量としては特に限定されるものではないが、全ポリオール100質量部に対して通常0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜3.0質量部である。(C−1)成分の配合量が少なすぎると反応活性が落ち込み発泡しない、又はスプレー発泡ができない場合があり、一方多すぎると反応が早くなりすぎてスプレー発泡ができない場合がある。
上記(C−2)成分としては、例えばビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、等が挙げられる。中でも反応活性(樹脂化と泡化とのバランス)の観点からビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミンが好適に用いられる。なお、これらアミン系化合物は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
(C−2)成分の配合量としては、全ポリオール100質量部に対して通常0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは3〜4質量部である。(C−2)成分の配合量が少なすぎると反応が遅くスプレー発泡できない場合があり、一方多すぎると反応が速すぎてスプレー発泡できない場合がある。
上記(C)成分としては、有機酸ビスマス塩の触媒活性をより高める観点、乃至得られる発泡成形体の力学的特性(圧縮強度など)をより向上させる観点から、更に有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩を含むことが好適である。ここで、有機酸カルシウム塩や有機酸バリウム塩を併用すると、有機酸ビスマス塩を単独で用いた場合に比して相乗的に作用し、触媒活性がより向上する点で好適である。
このような有機酸カルシウム塩又は有機酸バリウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素原子数が通常1〜20、好ましくは5〜18、より好ましくは8〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の脂肪酸のカルシウム塩又はバリウム塩が挙げられる。より具体的には、ギ酸、酢酸、オクチル酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸等のカルシウム塩又はバリウム塩等が挙げられ、これらはそれぞれ1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記(C)成分として有機酸ビスマス塩に有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩を併用する場合、有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩の総量が上記有機酸ビスマス塩と有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩との総量中に占める割合としては通常0.5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩の総量が大きすぎると反応性が下がりスプレー発泡ができない場合がある。
上記(D)発泡剤成分としては水を主成分とするものである。本発明の目的をより好ましく達成する観点からは、フロン系化合物を含まないものであることが好ましい。なお、メチレンクロライド、モノフッ化トリ塩化メタンなどの低沸点の化合物を水と併用することも可能である。
上記(D)成分の配合量としては特に限定されるものではないが、全ポリオール100質量部に対して通常0.5〜50質量部、好ましくは3〜25質量部である。(D)成分の配合量が少なすぎると発泡が少なく密度が大きくなる場合があり、一方多すぎると反応が低下したり、発泡かさが上がりすぎる反面樹脂強度がないためコラップス(発泡体がつぶれる現象)が発生したりする場合がある。
本発明のポリウレタン発泡原液には、必要に応じて(E)難燃剤、(F)整泡剤の各成分、更には架橋剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを適宜配合することができる。
上記(E)成分としては汎用の難燃剤を使用することができ、例えば非ハロゲン系リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等を挙げることができるが、中でも非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とする難燃剤を使用することが、ポリウレタン発泡原液の粘度を低く抑え、攪拌効率の向上や得られる成形体の均質性向上、スプレー工法への適用をより容易に行なう等の観点から好適である。
上記非ハロゲン系リン酸エステルとしては、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート等が挙げられる。また、上記含ハロゲンリン酸エステルとしては、例えばトリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
なお、(E)成分の配合量としては、全ポリオール100質量部に対して通常5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。
上記(F)成分としては、例えばオルガノポリシロキサン、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。中でも整泡力の観点から、オルガノポリシロキサンが好適に用いられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。(F)成分の配合量としては、全ポリオール100質量部に対して通常0.5〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
本発明のポリウレタン発泡原液の溶液粘度としては、JIS K1557に準拠して測定した粘度(液温20℃)として通常100〜500mPa・s、好ましくは150〜450mPa・sである。溶液粘度が上記範囲を逸脱すると、従来のポリウレタン発泡原液をスプレー工法に用いる際に用いていた装置をそのまま転用できない場合がある。また、粘度が高すぎることは作業性の悪化、攪拌効率の悪化、ひいては得られる発泡成形体の均質性の低下につながる傾向となり好ましくない。
本発明の低密度ポリウレタン断熱材は、上述したポリウレタン発泡原液を発泡硬化させて得られるものである。発泡原液の配合方法としては特に限定されるものではないが、上記(B)成分以外の各成分よりなるポリオール組成物を調製するに際しては、水と触媒とをなるべく接触させない観点から、上記(A)成分に対して上記(C)成分を配合し、次いで必要に応じて上記(E),(F)その他の成分を配合し、最後に上記(D)成分を配合することが好適である。このような配合方法を採用することにより、水、触媒、エステル系難燃剤の三者が共存することによりエステル系難燃剤が分解してしまうことを抑制し得る。
なお、発泡硬化時の硬化条件としては適宜設定し得るが、発泡液温としては通常10〜50℃、発泡雰囲気温度としては通常0〜35℃とすることができる。
本発明の低密度ポリウレタン断熱材は、戸建家屋用の断熱材として従来用いられていたグラスウールやスチレンボードの代替品として非常に好適である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜6,比較例1〜3]
下表1に示す配合にてポリウレタン発泡原液を調製した。調製に際しては、まず(B)成分以外の各成分からなるポリオール組成物を調製し、その後(B)成分を配合することでおこなった。ポリオール組成物の調製は、まず(A)成分と(C)成分を混合し、次いで(F)成分を混合し、ついで(E)成分を混合し、最後に(D)成分を混合して調製した。
得られたポリウレタン発泡原液を発泡液温10℃,発泡雰囲気温度25〜35℃の条件下、発泡・硬化させてポリウレタンフォーム成形品を得た。得られたポリウレタンフォーム成形品の諸物性を評価した。結果を下表1に併記した。
Figure 2006348099
ポリオールA
アクトコールNF−04(三井武田ケミカル社製)。PO/EO共重合体。水酸基価360。
ポリオールB
エクセノール600ED(旭硝子社製)。PO/EO共重合体。水酸基価600、数平均分子量373。
難燃剤A
TEP(大八化学社製)、非ハロゲン系リン酸エステル。
難燃剤B
TMCPP(大八化学社製)、含ハロゲンリン酸エステル。
整泡剤A
SF2937F(東レダウコーニングシリコーン社製)、オルガノポリシロキサン。
整泡剤B
SH193(東レダウコーニングシリコーン社製)、オルガノポリシロキサン。
アミン系化合物A
TEA(トリエタノールアミン)。
アミン系化合物B
Polycat 9(エアプロダクツ社製)。ビス(3−ジメチルアミノ)プロパンアミン。
アミン系化合物C
TOYOCAT−ET(東ソー社製)。ビスジメチルアミノエチルエーテル。
鉛系化合物
ニッカオクチック鉛(日本化学産業社製)。オクチル酸鉛。
錫系化合物
ニッカオクチック錫28%(日本化学産業社製)。オクチル酸錫。
有機酸ビスマス塩
プキャット25(日本化学産業社製)。2−エチルヘキシル酸ビスマス(ビスマス含量25質量%)。
有機酸カルシウム塩
プキャットCa−5B(日本化学産業社製)。脂肪酸カルシウム(カルシウム含量5質量%)。
有機酸バリウム塩
オクチックBa15%(日本化学産業社製)オクチル酸バリウム(バリウム含量15質量%)。
フロン系化合物
HCFC141b(ダイキン社製)。
イソシアネート
コロネートC−1155(日本ポリウレタン工業社製)。
クリームタイム,ライズタイム
上記ポリオール組成物とイソシアネートとの攪拌混合開始後、攪拌した原料が白色化し発泡が始まった時間を泡化開始時間(クリームタイム)として記録した。また、外観上発泡が終了した時間を発泡終了時間(ライズタイム)とした。
なお、「加熱試験後」とは、「上記ポリオール組成物を調製して60℃×72時間の条件で加熱後」であることを意味する。
フリーフォーム密度
JIS 9526に準拠して測定した。
粘度
JIS K1557に準拠して測定した。
圧縮強度
JIS 9526に準拠して測定した。
熱伝導率
JIS 9526に準拠して測定した。
上表1の結果から、以下の内容を読みとることができる。
(1)上記実施例1〜6はいずれもフロン系化合物、鉛系化合物、錫系化合物を含まないポリウレタン発泡原液にて形成される成形体であり、環境への負荷及び人体への負荷を軽減したものである。また、比較例2,3に比し、より熱伝導率の低い成形体、より圧縮強度に優れた成形体が得られており、当該成形体は低密度ポリウレタン断熱材として好適である。
(2)(C)成分として有機酸カルシウム塩、有機酸バリウム塩を有機酸ビスマス塩と併用する実施例3,4は、有機酸ビスマス塩単独配合系の実施例2に比し、得られる成形体の熱伝導率について遜色なく、しかも圧縮強度により優れている。
(3)(E)成分として非ハロゲン系リン酸エステルを配合した実施例1〜4は、非ハロゲン系リン酸エステルを配合しない実施例5に比し、ポリウレタン発泡原液の粘度がより低く、攪拌効率(作業性)やスプレー工法への適性に優れる。
(4)(A)成分として水酸基価が600であり、かつ数平均分子量が374であるポリオールを用いた実施例1〜4は、そのようなポリオールを配合しない実施例6に比し、クリームタイムやライズタイムが早く、作業効率に優れる。得られる成形体の圧縮強度の点からも実施例6に比して優位である。
なお、実施例1〜4,6にて調製したポリウレタン発泡原液については、従来スプレー工法に用いられていた装置にそのまま適用することが可能であった。

Claims (5)

  1. 次の(A)〜(D)の各成分、
    (A)ヒドロキシル基を供給するポリオール、
    (B)イソシアネート基を供給するポリイソシアネート、
    (C)硬化触媒、
    (D)発泡剤、
    を含むポリウレタン発泡原液において、前記(C)成分が有機酸ビスマス塩及びアミン系化合物を含むものであり、前記(D)成分が水を主成分とするものであることを特徴とするポリウレタン発泡原液。
  2. 前記(C)成分が、更に有機酸カルシウム塩及び/又は有機酸バリウム塩を含む請求項1記載のポリウレタン発泡原液。
  3. 前記ポリウレタン発泡原液が、更に、次の(E)成分、
    (E)難燃剤、
    を含むと共に、該(E)成分が非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とするものである請求項1又は2記載のポリウレタン発泡原液。
  4. 前記(A)成分が、水酸基価が20〜1000であり、かつ数平均分子量が200〜12000であるポリオールを含む請求項1,2又は3記載のポリウレタン発泡原液。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のポリウレタン発泡原液を発泡硬化させてなる低密度ポリウレタン断熱材。
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