JP2010254915A - 硬質ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中のポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームである。
(mは1〜20の整数、nは1〜10の整数、aは10〜50の整数を示す。)
【選択図】なし
Description
硬質ポリウレタンフォーム製吹付け断熱材は、一般にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤などを混合した配合液をミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で施工される。この方法であれば、施工対象物に直接吹き付け施工するという簡単な作業で、良好な硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。
このようなことから、これらのフロン系発泡剤を用いることなく、発泡を行う技術の開発が一つの課題とされ、水とポリイソシアネートとの反応で生成する炭酸ガスを発泡剤として用いる完全水発泡の硬質ポリウレタンフォームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これに対して、水酸基価が100〜700mgKOH/gである特定のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを発泡剤及び触媒の存在下で反応させて、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に開示される硬質ポリウレタンフォームにおいても、実証されている水分含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、5質量部前後であり、発泡倍率は不十分であった。
また、水を多量に使用すると、発泡体が収縮しやすくなるため、寸法変化を抑制すること(以下「寸法安定性」と記す。)も同時に要求される。
このような難燃性を付与し、かつ、上述の寸法安定性を考慮すると、その密度は34〜35kg/m3程度とすることが限界であった。
すなわち、本発明は、(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中の(B)ポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、(C)水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、(E)整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを、それぞれ、ポリオール成分100質量部に対して、0.2質量部以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームである。
((A)ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族および芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
中でも、本発明においては反応性、物性、安全性の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むことが好適である。
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。これらのうち、寸法変化を抑制することができ、かつ成形性に優れたフォームが得られる点から、本発明では、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを用いることを必須とする。これに加えて、発泡体の力学特性を制御する点から、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、難燃性を付与したい場合には、ポリエステルポリオールを加えることが好ましい。これらのポリオールは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
一方、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量が過度に多いと、配合液の安定性が悪くなったり、反応性が低下したりする場合があるので、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量は、70質量%以下であることが好ましい。
以上の観点から、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量は、5〜70質量%の範囲であることが好ましく、10〜70質量%の範囲がより好ましく、15〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
ここで、軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールとは、数平均分子量が3000以上のものをいい、一方、数平均分子量が1000以下のものは、硬質系ポリマーポリオールとして位置付けられる。
特に、無水フタル酸(o−フタル酸)以外のフタル酸、すなわち、m−フタル酸(イソフタル酸)及び/又はp−フタル酸(テレフタル酸)並びにこれらの誘導体を主成分とするフタル酸系ポリエステルポリオールを用いることが、難燃性を向上させ得るとの観点から好ましい。これは、より凝集エネルギーの高いフタル酸(m、p−フタル酸)を用いたポリオールから得られたフォームは燃焼し難いからである。
また、上記ポリエーテルポリオールとしては、上記POの単独重合体、上記EOの単独重合体、及びPOとEOとを共重合して得られたポリエーテルポリオールを用いることができる。なお、共重合は、ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
また、重合開始剤としては、例えばペンタエリスリトール、グリセリン、エチレンジアミン、マンニッヒ、トリレンジアミン、シュークロース等が挙げられる。これら重合開始剤についても1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記粉体成分を構成するエチレン性不飽和ニトリルとしては、メタクリロニトリル、アクリロニトリル等が挙げられ、カルボン酸ビニルエステルモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。なお、カルボン酸ビニル成分は一部けん化して、水酸基を持つ構造とし、反応に取り込むこともできる。
また、このような粉体成分の分散濃度は全ポリオール成分(ポリオール成分と粉体成分との合計)中0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%であることが好ましい。粉体成分の分散濃度が0.1質量%以上であると気泡の連続化に効果を与え、10質量%を超えると、(B)成分のポリオール原料を調製する段階で、粉体成分の分散不良が起こり、不安定となる。
本発明においては、ポリオール成分100質量部に対する水の割合を10〜13質量部とすることを必須とする。水の含有量が10質量部未満であると、十分な発泡倍率が得られず、一方、13質量部を超えるとポリウレタンフォームの十分な寸法安定性が得られない。なお、メチレンクロライド、モノフッ化トリ塩化メタンなどの低沸点の化合物を水と併用することも可能である。
本発明において用いられる触媒としては、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物が好適に用いられる。なお、本発明においては、触媒として鉛を使用しないことが好ましい。鉛を使用しないことにより、ポリエステルポリオールの加水分解を防止して、配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
また、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物と併用し得る他の触媒として、カリウム塩触媒、ピペラジン系触媒などを用いることができる。これらの併用し得る触媒成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用することもできる。
有機酸ビスマス塩の配合量としては特に限定されるものではないが、全ポリオール100質量部に対して通常0.1〜5質量部である。0.1質量部以上であると十分な反応活性があり、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール100質量部に対する有機酸ビスマス塩の配合量は、0.5〜3質量部の範囲がより好ましい。
アミン系化合物の配合量としては、全ポリオール100質量部に対して通常0.5〜5質量部である。0.5質量部以上であると十分な反応速度が得られ、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール100質量部に対するアミン系化合物の配合量は、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは3〜4質量部である。
本発明における配合液には、特定の構造を有する整泡剤を配合することが特徴である。すなわち、用いる整泡剤としては、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンであり、本発明では、この2種の構造のポリエーテル変性シリコーンを併用することが特徴である。両者を併用することで、良好なフォームを成形することができ、かつ良好な寸法安定性が得られる。
なお、ここで、枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン及びペンダント型ポリエーテル変性シリコーンの構造タイプは、それぞれ図1(枝分かれ型)及び図2(ペンダント型)に示すようなものである。
本発明における配合液には、(F)成分として、難燃剤を含有することが好ましい。
難燃剤としては、汎用の難燃剤を使用することができ、例えば非ハロゲン系リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等を挙げることができる。これらのうち、非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とする難燃剤を使用することが、配合液の粘度を低く抑え、攪拌効率の向上や得られる成形体の均質性向上、スプレー工法への適用をより容易に行なう等の観点から好適である。
また、難燃剤の配合量としては、全ポリオール成分100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。
また、本発明においては、配合液の配合直後のpHを9以下、好ましくは8〜9に調整することが好ましい。配合液のpHを9以下、特に8〜9とすることによりポリエステルポリオールの分解を防止して配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
該ポリオール組成物の調製は、水と触媒とをなるべく接触させないとの観点から、上記(B)ポリオール成分に対して、上記(D)触媒を配合し、次いで上記(E)整泡剤、(F)難燃剤、及びその他の成分を配合し、最後に発泡成分である上記(C)水を配合することが好適である。
また、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が10〜65体積%であることが好ましい。独立気泡率が10体積%以上であると、フォームの十分な強度が得られ、JIS A9526に示される規格値を満足することができる。一方、65体積%以下であると、フォームの寸法安定性が損なわれることがなく、収縮が抑制される。
(評価方法)
各実施例及び比較例にて製造された硬質ポリウレタンフォームについて、以下の方法にて評価した。
(1)寸法変化率(%)
コア部分を寸法100mm×100mm×30mmに裁断して採取したものを、JIS A9526に準拠して、高湿熱環境下(温度50℃・湿度RH95%)に24時間投入し、前後の寸法変化率を、縦、横、及び厚さについて、それぞれ測定した。
(2)コア密度(kg/m3)
サンプルを寸法50mm×50mm×30mmに裁断して採取したものについて、JIS A9526に準じて測定した。
(3)圧縮強度(N/cm2)
JIS A9526に準拠して測定した。
(4)独立気泡率(%)
ASTM D2856に準拠して測定した。
(5)フォーム成形性
断面観察により、フォーム中での崩壊による空洞形成の有無について評価した。評価基準は以下の通りである。
○;空洞は見られなかった。
△;小さな空洞が一部に見られた。
×;大きな空洞が見られた。
(6)難燃性
JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法に従って、東洋精機製作所製燃焼性試験機による表面試験を実施した。なお、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による難燃3級規格は次の通りである。また、試験片は縦22cm、横22cmであり、厚さは第1表に記載のものとした。厚さが厚いほど、評価は厳しい方向となる。
排気温度時間≧180sec
発煙係数≦120
温度時間面積≦350(℃・min)
残炎時間≦30sec
第1表に示した配合処方に従って、配合液を調製した。調製に際しては、(A)ポリイソシアネート成分以外の各成分からなるポリオール組成物を調製し、その後(A)ポリイソシアネート成分を配合することで行った。ポリオール組成物は、まず、(B)ポリオール成分と、(D)触媒を混合し、次いで(E)整泡剤、次いで(F)難燃剤を配合して、最後に(C)水を混合して調製した。
得られた配合液を、液温10℃、発泡雰囲気温度25℃の条件下、発泡・硬化させて、硬質ポリウレタンフォームを得た。得られたフォームを上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
*2 ポリオールB;p−フタル酸ベースポリエステルポリオール(日立化成工業(株)製「SV165」、水酸基価200mgKOH/g、粘度820mPa・s(25℃)、p−フタル酸含量;62.5質量%)
*3 ポリオールC;ポリエーテルポリオール(三井化学(株)製「GR−11」、EO/PO=100/0、水酸基価450mgKOH/g、粘度1200mPa・s(25℃))
*4 ポリオールD;エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(旭硝子ポリウレタン(株)製「600ED」、水酸基価650mgKOH/g、粘度7000mPa・s(25℃))
*5 ポリオールE;メラミン系ポリマーポリオール(軟質系ポリマーポリオール、旭硝子ポリウレタン(株)製「M950」、固形分濃度:25質量%、固形分平均粒子径:0.3〜0.5μm、ベースのポリエーテルポリオール:平均官能基数=3、重量平均分子量:5000、水酸基価26mgKOH/g
*7 難燃剤B;トリエチルフォスフェート(大八化学(株)製「TEP」)
*8 触媒A;N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.1」)
*9 触媒B;N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.3」)
*10 触媒C;日本化学産業(株)製「プキャット25」(2−エチルヘキシル酸ビスマス(ビスマス量として25質量%)とオクチル酸ビスマス(ビスマス量として20質量%)の混合物)
*11 触媒D;日本化学産業(株)製「プキャット15G」(オクチル酸カリウムのジエチレングリコール溶液、カリウム濃度;15質量%)
*13 整泡剤B;式(II)で示される枝分かれ型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SF2937」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、m1+m2=30、n1=n2=n3=1、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)=75/25、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;8900、HLB;13)
*14 整泡剤C;下記式(III)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SZ1718」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、R;水素、m=58、n=7、a/b=76/24、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;17200、HLB;12)
*15 整泡剤D;下記式(III)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SZ1642」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、R;メチル基、m=14、n=8、a/b=100/0、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;8900、HLB;11)
*16 MDI;ジフェニルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)「44V20」)
Claims (4)
- (A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中のポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを、それぞれ、ポリオール成分100質量部に対して、0.2質量部以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- (B)ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールが、5〜70質量%である請求項1又は2に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
- 前記(D)触媒が、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォーム。
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