JP2010254915A - 硬質ポリウレタンフォーム - Google Patents

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Abstract

【課題】環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームを提供すること。
【解決手段】(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中のポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームである。
Figure 2010254915

(mは1〜20の整数、nは1〜10の整数、aは10〜50の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、水、触媒、及び整泡剤を含有する配合液を混合し、ポリイソシアネートと水との反応で発生する炭酸ガスを発泡剤として発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームに関する。
住宅、冷蔵庫等の吹付け断熱材として、断熱性及び自己接着性に優れる硬質ポリウレタンフォームが広く利用されている。
硬質ポリウレタンフォーム製吹付け断熱材は、一般にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤などを混合した配合液をミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で施工される。この方法であれば、施工対象物に直接吹き付け施工するという簡単な作業で、良好な硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。
硬質ポリウレタンフォームにおいて、これまで主たる発泡剤として用いられてきたジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)には、オゾン層破壊の問題がある。これに代る次世代の発泡剤として、オゾン層を破壊することのないハイドロフルオロカーボン(HFC)が候補に挙げられているが、該材料は強い地球温暖化作用が問題となる。
このようなことから、これらのフロン系発泡剤を用いることなく、発泡を行う技術の開発が一つの課題とされ、水とポリイソシアネートとの反応で生成する炭酸ガスを発泡剤として用いる完全水発泡の硬質ポリウレタンフォームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、水発泡の硬質ポリウレタンフォームは、フロンを発泡剤として得られた硬質ポリウレタンフォームに比較して、軽量化という点で問題がある。そこで、発泡倍率を上げて低密度の硬質ポリウレタンフォームを得ることが行われているが、そのためには、水を多量に使用する必要がある。一方で水を多量に使用すると、ポリオール化合物と水との相溶性は、一般的にそれほど高くないため、水がポリオール化合物に十分分散せず、水とポリイソシアネート化合物の反応が十分に進行しない。その結果、製造された硬質ポリウレタンフォームは、密度の高いものとなる。
これに対して、水酸基価が100〜700mgKOH/gである特定のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを発泡剤及び触媒の存在下で反応させて、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に開示される硬質ポリウレタンフォームにおいても、実証されている水分含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、5質量部前後であり、発泡倍率は不十分であった。
また、水を多量に使用すると、発泡体が収縮しやすくなるため、寸法変化を抑制すること(以下「寸法安定性」と記す。)も同時に要求される。
ところで、集合住宅用のウレタン断熱材に用いられる硬質ポリウレタンフォームに求められる重要な性能の一つとして、難燃性が挙げられる。従来、硬質ポリウレタンフォームの難燃性を高め、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級以上の難燃性を得るために、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるフタル酸系ポリエステルポリオールが用いられていた。
このような難燃性を付与し、かつ、上述の寸法安定性を考慮すると、その密度は34〜35kg/m3程度とすることが限界であった。
特開2000−256434号公報 特開2004−137493号公報
本発明の課題は、環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームを提供することにある。
本発明者は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、水、触媒、及び整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、ポリオール成分として、軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを少なくとも含み、水の含有量を一定の範囲とし、かつ特定の構造を有する整泡剤を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中の(B)ポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、(C)水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、(E)整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを、それぞれ、ポリオール成分100質量部に対して、0.2質量部以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームである。
Figure 2010254915
(mは1〜20の整数、nは1〜10の整数、aは10〜50の整数を示す。)
本発明によれば、環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーンの構造タイプを示す模式図である。 ペンダント型ポリエーテル変性シリコーンの構造タイプを示す模式図である。
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる。以下、成分ごとに詳細に説明する。
((A)ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族および芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
中でも、本発明においては反応性、物性、安全性の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むことが好適である。
ここで、(A)成分の配合量は特に制限されるものではないが、全ポリオール成分100質量部に対して、90〜120質量部であることが好ましい。(A)成分の配合量が、90質量部以上であると、強度不足や発泡不良という問題がなく、また寸法安定性も良好となる。一方、120質量部以下であると、低密度のポリウレタンフォームが得られ、低温下での脆性が良好となる上に、冬期低温下での施工性に対して有利である。以上の観点から、(A)成分の配合量は全ポリオール成分100質量部に対して、100〜115質量部の範囲がさらに好ましい。
また、上記(A)成分が、配合液中に占める割合(2種以上のイソシアネートを併用する場合には、その総量が配合液中に占める割合)としては、イソシアネート当量(配合液中の活性水素量(モル)を100とした時の、配合液中のイソシアネ−ト基のモル比)値として、25〜250の範囲が好ましい。イソシアネート当量が25以上であると、発泡及び硬化が行われ、250以下であると低密度化が実現できる。以上の観点から、イソシアネート当量は、50〜120の範囲がより好ましい。
((B)ポリオール成分)
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。これらのうち、寸法変化を抑制することができ、かつ成形性に優れたフォームが得られる点から、本発明では、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを用いることを必須とする。これに加えて、発泡体の力学特性を制御する点から、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、難燃性を付与したい場合には、ポリエステルポリオールを加えることが好ましい。これらのポリオールは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
本発明においては、ポリオール成分中に軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有することが特徴である。軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有することで、上述のように、寸法変化を抑制することができ、かつ成形性に優れたフォームが得られる。以上の観点より、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量は、10質量%以上が好ましい。
一方、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量が過度に多いと、配合液の安定性が悪くなったり、反応性が低下したりする場合があるので、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量は、70質量%以下であることが好ましい。
以上の観点から、ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールの含有量は、5〜70質量%の範囲であることが好ましく、10〜70質量%の範囲がより好ましく、15〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
ここで、軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールとは、数平均分子量が3000以上のものをいい、一方、数平均分子量が1000以下のものは、硬質系ポリマーポリオールとして位置付けられる。
また、ポリマーポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオールにポリスチレン、ポリアクリロニトリル、又はアクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。ここで用いるポリエーテルポリオール(ポリアルキレンオキシド)の原料となるアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシドを含むことが好ましく、プロピレンオキシド単独のもの、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを共に含むものであることが特に好ましい。また、上記ポリマーポリオール中に占める上記のようなグラフトポリマー成分の割合としては通常5〜50質量%である。
次に、上記ポリエステルポリオールとしては、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などを酸成分とし、エチレングリコール等の炭素数1〜6の脂肪族ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテルグリコールなどをポリオール成分(アルコール成分)とするポリエステルポリオールを挙げることができる。
特に、無水フタル酸(o−フタル酸)以外のフタル酸、すなわち、m−フタル酸(イソフタル酸)及び/又はp−フタル酸(テレフタル酸)並びにこれらの誘導体を主成分とするフタル酸系ポリエステルポリオールを用いることが、難燃性を向上させ得るとの観点から好ましい。これは、より凝集エネルギーの高いフタル酸(m、p−フタル酸)を用いたポリオールから得られたフォームは燃焼し難いからである。
このようなフタル酸系ポリエステルポリオール、好ましくはm,p−フタル酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は、100〜400mgKOH/gであり、粘度は500〜1500mPa・sである。このフタル酸系ポリエステルポリオールは、p−フタル酸含量が40〜80質量%であることが好ましい。フタル酸系ポリエステルポリオール中のp−フタル酸含量が40質量%以上であると十分な難燃性が得られ、80質量%以下であると十分なポットライフが得られる。
次に、ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、反応性の観点からアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリエーテルポリオールとしては、上記POの単独重合体、上記EOの単独重合体、及びPOとEOとを共重合して得られたポリエーテルポリオールを用いることができる。なお、共重合は、ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
また、重合開始剤としては、例えばペンタエリスリトール、グリセリン、エチレンジアミン、マンニッヒ、トリレンジアミン、シュークロース等が挙げられる。これら重合開始剤についても1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、ポリエーテルポリオールとして、フェノール及び/又はその誘導体をマンニッヒ変性して得られたポリエーテルポリオール(以下「マンニッヒ変性ポリオール」と称す。)、すなわち、フェノール、或いはノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体をホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等を用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオールを好適に用いることができる。このようなマンニッヒ変性ポリオールは、自己反応活性が高く、かつ難燃性も比較的高いため、マンニッヒ変性ポリオールを用いることにより、例えば、エアレススプレー発泡型硬質ポリウレタンフォームにおいて、吹き付け発泡時に難燃性能を著しく損なうことなく、速やかに反応を進めることができる。
本発明におけるポリオール成分としては、ウレタン発泡の反応速度、及び発泡体の力学特性の両立の観点から、全ポリオール成分における水酸基価が20〜1000、好ましくは100〜700であり、かつ全ポリオール成分における数平均分子量が200〜12000、好ましくは200〜1000であるポリオールを含むことが好適である。なお、本発明において数平均分子量とはGPC法によりポリスチレン換算値として算出した値であり、水酸基価とはJIS K1557に準拠して測定した値である。
また、上記ポリオール成分に、エチレン性不飽和ニトリルとカルボン酸ビニルエステルモノマーを共重合させて得られる粉体成分を分散させることが好ましい。スプレー発泡で要求される高い反応活性下において効率的に気泡の一部連続化を図ることができ、フォームの収縮が抑えられるからである。
上記粉体成分を構成するエチレン性不飽和ニトリルとしては、メタクリロニトリル、アクリロニトリル等が挙げられ、カルボン酸ビニルエステルモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。なお、カルボン酸ビニル成分は一部けん化して、水酸基を持つ構造とし、反応に取り込むこともできる。
また、このような粉体成分の分散濃度は全ポリオール成分(ポリオール成分と粉体成分との合計)中0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%であることが好ましい。粉体成分の分散濃度が0.1質量%以上であると気泡の連続化に効果を与え、10質量%を超えると、(B)成分のポリオール原料を調製する段階で、粉体成分の分散不良が起こり、不安定となる。
((C)水)
本発明においては、ポリオール成分100質量部に対する水の割合を10〜13質量部とすることを必須とする。水の含有量が10質量部未満であると、十分な発泡倍率が得られず、一方、13質量部を超えるとポリウレタンフォームの十分な寸法安定性が得られない。なお、メチレンクロライド、モノフッ化トリ塩化メタンなどの低沸点の化合物を水と併用することも可能である。
((D)触媒)
本発明において用いられる触媒としては、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物が好適に用いられる。なお、本発明においては、触媒として鉛を使用しないことが好ましい。鉛を使用しないことにより、ポリエステルポリオールの加水分解を防止して、配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
また、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物と併用し得る他の触媒として、カリウム塩触媒、ピペラジン系触媒などを用いることができる。これらの併用し得る触媒成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用することもできる。
上記有機酸ビスマス塩としては、例えばアビエチン酸、ネオアビエチン酸,d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸などの脂環族系有機酸のビスマス塩;安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸などの芳香族系有機酸のビスマス塩;オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸などの炭素原子数8〜20の脂肪酸ビスマス塩、等が挙げられる。中でも反応性維持の観点からオクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸が好適に用いられる。なお、これら有機酸ビスマス塩は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
有機酸ビスマス塩の配合量としては特に限定されるものではないが、全ポリオール100質量部に対して通常0.1〜5質量部である。0.1質量部以上であると十分な反応活性があり、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール100質量部に対する有機酸ビスマス塩の配合量は、0.5〜3質量部の範囲がより好ましい。
次に、上記アミン系化合物としては、例えばビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N,N'−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、等が挙げられる。中でも反応活性(樹脂化と泡化とのバランス)の観点から、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミンなどが好適に用いられる。なお、これらアミン系化合物は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
アミン系化合物の配合量としては、全ポリオール100質量部に対して通常0.5〜5質量部である。0.5質量部以上であると十分な反応速度が得られ、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール100質量部に対するアミン系化合物の配合量は、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは3〜4質量部である。
次に、上記ピペラジン系触媒としては、ピペラジン、N,N,N−トリメチルアミノエチルピペラジン(TOYOCAT−NP,カオーライザーNo.8)等を用いることができる。カリウム塩触媒としては、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム等を用いることができる。これらの触媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
((E)整泡剤)
本発明における配合液には、特定の構造を有する整泡剤を配合することが特徴である。すなわち、用いる整泡剤としては、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンであり、本発明では、この2種の構造のポリエーテル変性シリコーンを併用することが特徴である。両者を併用することで、良好なフォームを成形することができ、かつ良好な寸法安定性が得られる。
なお、ここで、枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン及びペンダント型ポリエーテル変性シリコーンの構造タイプは、それぞれ図1(枝分かれ型)及び図2(ペンダント型)に示すようなものである。
Figure 2010254915
ここで、mは1〜20の整数、好ましくは5〜15の整数である。また、nは1〜10の整数、好ましくは、2〜5の整数である。mとnの比(m/n)は1〜10の範囲、好ましくは2〜6の範囲である。aは10〜50の整数、好ましくは20〜40の整数である。
さらに、前記(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーンが、下記一般式(II)で示される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 2010254915
ここで、m1+m2は10〜50の整数、好ましくは20〜40の整数である。また、n1、n2及びn3はそれぞれ1〜10の整数であり、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)は50/50〜90/10である。さらに、ポリエーテル鎖の末端であるRは、水素又はメチル基である。なお、複数あるRは、同一でも異なっていてもよい。
上記(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、全ポリオール成分100質量部に対して、それぞれ、0.2質量部以上含有することを必須とする。0.2質量部以上であると、十分な整泡力が得られるとともに、低密度の硬質ポリウレタンウレタンフォームを得ることができる。該配合量の上限値については、本発明の効果を阻害しない範囲で、特に制限はないが、通常10質量部以下であることが好ましい。10質量部以下であると、整泡剤が他の成分に対して占める割合が多くなりすぎず、ポリウレタンフォームを形成時の反応性の低下を防ぐことができる。以上の観点から、(E−1)及び(E−2)のポリエーテル変性シリコーンは、全ポリオール成分100質量部に対して、それぞれ、0.2〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.3〜5質量部の範囲であることがさらに好ましい。
((F)難燃剤)
本発明における配合液には、(F)成分として、難燃剤を含有することが好ましい。
難燃剤としては、汎用の難燃剤を使用することができ、例えば非ハロゲン系リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等を挙げることができる。これらのうち、非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とする難燃剤を使用することが、配合液の粘度を低く抑え、攪拌効率の向上や得られる成形体の均質性向上、スプレー工法への適用をより容易に行なう等の観点から好適である。
上記非ハロゲン系リン酸エステルとしては、例えばトリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリイソブチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルフォスフェート等が挙げられる。また、上記含ハロゲンリン酸エステルとしては、例えばトリス(クロロプロピル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
また、難燃剤の配合量としては、全ポリオール成分100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。
また、本発明の配合液には、必要に応じて、架橋剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを適宜配合することができる。
本発明の配合液の溶液粘度としては、JIS K1557に準拠して測定した粘度(液温20℃)として通常100〜500mPa・s、好ましくは150〜450mPa・sである。溶液粘度が上記範囲を逸脱すると、従来のポリウレタン配合液をスプレー工法に用いる際に用いていた装置をそのまま転用できない場合がある。また、粘度が高すぎることは作業性の悪化、攪拌効率の悪化、ひいては得られる発泡成形体の均質性の低下につながる傾向となり好ましくない。
また、本発明においては、配合液の配合直後のpHを9以下、好ましくは8〜9に調整することが好ましい。配合液のpHを9以下、特に8〜9とすることによりポリエステルポリオールの分解を防止して配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
本発明における配合液の配合方法としては、特に限定されるものではないが、上記(A)ポリイソシアネート成分以外の各成分よりなるポリオール組成物を調製し、その後(A)成分と混合する。
該ポリオール組成物の調製は、水と触媒とをなるべく接触させないとの観点から、上記(B)ポリオール成分に対して、上記(D)触媒を配合し、次いで上記(E)整泡剤、(F)難燃剤、及びその他の成分を配合し、最後に発泡成分である上記(C)水を配合することが好適である。
本発明の配合液を、吹付け断熱材として、ミキシングヘッドを用いたエアレススプレー発泡にて、硬質ポリウレタンフォームを製造する場合、上記(A)ポリイソシアネート成分と、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤、及びその他の助剤を混合したポリオール組成物とを、30〜50℃でミキシングヘッドを用いて混合し、施工対象面に吐出圧力3.9〜7.8MPaで吹き付け、所定の厚さとなるまで吹き付けを繰り返して発泡させることにより製造することができる。なお、発泡雰囲気温度としては通常0〜35℃とすることができる。
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームを、吹付け断熱材として使用する場合、特に成型された層厚30〜50mmの吹付け断熱材は、ポリウレタンフォームのコア密度が、JIS A9526に規定される方法において、15〜45kg/m3であることが好ましい。コア密度(心密度)が15kg/m3以上であると強度が著しく低下することがなく、収縮も抑制される。一方、コア密度(心密度)が45kg/m3を超えると、高密度化のために吹付け断熱材の燃焼量が増えて難燃性が著しく低下する。従って、コア密度は15〜45kg/m3の範囲が好ましく、20〜40kg/m3の範囲がさらに好ましい。
本発明の硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材は、好ましくは難燃性能がJIS A1321に規定される難燃3級以上、及び/又は、建築基準法施行令第一条第六号で示される難燃材料である。
また、本発明の硬質ポリウレタンフォームを吹付け断熱材として用いる場合に、雰囲気温度及び躯体面の温度0〜10℃において成型された吹付け断熱材の自己接着強度が、JIS A9526に規定される方法において10N/cm2以上であることが好ましい。
また、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が10〜65体積%であることが好ましい。独立気泡率が10体積%以上であると、フォームの十分な強度が得られ、JIS A9526に示される規格値を満足することができる。一方、65体積%以下であると、フォームの寸法安定性が損なわれることがなく、収縮が抑制される。
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、断熱材として有用であり、戸建家屋用の断熱材として従来用いられていたグラスウールやスチレンボードの代替品として非常に好適である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例にて製造された硬質ポリウレタンフォームについて、以下の方法にて評価した。
(1)寸法変化率(%)
コア部分を寸法100mm×100mm×30mmに裁断して採取したものを、JIS A9526に準拠して、高湿熱環境下(温度50℃・湿度RH95%)に24時間投入し、前後の寸法変化率を、縦、横、及び厚さについて、それぞれ測定した。
(2)コア密度(kg/m3
サンプルを寸法50mm×50mm×30mmに裁断して採取したものについて、JIS A9526に準じて測定した。
(3)圧縮強度(N/cm2
JIS A9526に準拠して測定した。
(4)独立気泡率(%)
ASTM D2856に準拠して測定した。
(5)フォーム成形性
断面観察により、フォーム中での崩壊による空洞形成の有無について評価した。評価基準は以下の通りである。
○;空洞は見られなかった。
△;小さな空洞が一部に見られた。
×;大きな空洞が見られた。
(6)難燃性
JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法に従って、東洋精機製作所製燃焼性試験機による表面試験を実施した。なお、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による難燃3級規格は次の通りである。また、試験片は縦22cm、横22cmであり、厚さは第1表に記載のものとした。厚さが厚いほど、評価は厳しい方向となる。
排気温度時間≧180sec
発煙係数≦120
温度時間面積≦350(℃・min)
残炎時間≦30sec
実施例1〜5及び比較例1〜11
第1表に示した配合処方に従って、配合液を調製した。調製に際しては、(A)ポリイソシアネート成分以外の各成分からなるポリオール組成物を調製し、その後(A)ポリイソシアネート成分を配合することで行った。ポリオール組成物は、まず、(B)ポリオール成分と、(D)触媒を混合し、次いで(E)整泡剤、次いで(F)難燃剤を配合して、最後に(C)水を混合して調製した。
得られた配合液を、液温10℃、発泡雰囲気温度25℃の条件下、発泡・硬化させて、硬質ポリウレタンフォームを得た。得られたフォームを上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2010254915
Figure 2010254915
*1 ポリオールA;マンニッヒ変性ポリマーポリオール(硬質系ポリマーポリオール、旭硝子ポリウレタン(株)製「XR7202」、水酸基価380mgKOH/g、粘度1400mPa・s(25℃)、アクリロニトリルと酢酸ビニルとを共重合させて得られる粉体成分を1.4質量%含む、アクリロニトリルと酢酸ビニルの構成比率は1:3)
*2 ポリオールB;p−フタル酸ベースポリエステルポリオール(日立化成工業(株)製「SV165」、水酸基価200mgKOH/g、粘度820mPa・s(25℃)、p−フタル酸含量;62.5質量%)
*3 ポリオールC;ポリエーテルポリオール(三井化学(株)製「GR−11」、EO/PO=100/0、水酸基価450mgKOH/g、粘度1200mPa・s(25℃))
*4 ポリオールD;エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(旭硝子ポリウレタン(株)製「600ED」、水酸基価650mgKOH/g、粘度7000mPa・s(25℃))
*5 ポリオールE;メラミン系ポリマーポリオール(軟質系ポリマーポリオール、旭硝子ポリウレタン(株)製「M950」、固形分濃度:25質量%、固形分平均粒子径:0.3〜0.5μm、ベースのポリエーテルポリオール:平均官能基数=3、重量平均分子量:5000、水酸基価26mgKOH/g
*6 難燃剤A;トリスモノクロロプロピルフォスフェート(大八化学(株)製「TMCPP」)
*7 難燃剤B;トリエチルフォスフェート(大八化学(株)製「TEP」)
*8 触媒A;N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.1」)
*9 触媒B;N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.3」)
*10 触媒C;日本化学産業(株)製「プキャット25」(2−エチルヘキシル酸ビスマス(ビスマス量として25質量%)とオクチル酸ビスマス(ビスマス量として20質量%)の混合物)
*11 触媒D;日本化学産業(株)製「プキャット15G」(オクチル酸カリウムのジエチレングリコール溶液、カリウム濃度;15質量%)
*12 整泡剤A;式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SH193」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、m=11、n=3、a=29、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;5100、HLB;19)
*13 整泡剤B;式(II)で示される枝分かれ型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SF2937」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、m1+m2=30、n1=n2=n3=1、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)=75/25、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;8900、HLB;13)
*14 整泡剤C;下記式(III)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SZ1718」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、R;水素、m=58、n=7、a/b=76/24、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;17200、HLB;12)
*15 整泡剤D;下記式(III)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SZ1642」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、R;メチル基、m=14、n=8、a/b=100/0、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量;8900、HLB;11)
*16 MDI;ジフェニルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)「44V20」)
Figure 2010254915
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、発泡剤として水を使用することから、環境への負荷を低減したものであり、ノンフロン断熱材として好適である。しかも、高発泡倍率であり、低密度であるにも関わらず、寸法安定性に優れる。また、難燃性にも優れ、建築現場で施工される吹き付け断熱材として有用である。

Claims (4)

  1. (A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、配合液中のポリオール成分として、少なくとも軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールを5質量%以上含有し、水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10〜13質量部であり、整泡剤として、(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーン、及び(E−2)下記式(I)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンを、それぞれ、ポリオール成分100質量部に対して、0.2質量部以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
    Figure 2010254915
    (mは1〜20の整数、nは1〜10の整数、aは10〜50の整数を示す。)
  2. 前記(E−1)枝分かれ型のポリエーテル変性シリコーンが、下記一般式(II)で示される請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
    Figure 2010254915
    (m1+m2は10〜50の整数、n1、n2及びn3はそれぞれ1〜10の整数、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)は50/50〜90/10、Rは水素又はメチル基である。)
  3. (B)ポリオール成分中の軟質系又は半硬質系ポリマーポリオールが、5〜70質量%である請求項1又は2に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
  4. 前記(D)触媒が、有機酸ビスマス塩及び/又はアミン系化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の硬質ポリウレタンフォーム。
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