JP4195307B2 - 難燃光ファイバ用被覆材料および難燃光ファイバケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバの被覆に使用される難燃光ファイバ用被覆材料および之を用いた難燃光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
データ通信やセンサー用途で実用化されている光ファイバは、光路となる光ファイバ素線のみで使用されることは少なく、その外周を被覆層で保護した光ファイバケーブルとして用いられることが多い。
図1に、光ファイバケーブルの一例の断面図を示す。光ファイバケーブル1は、芯材(コア)2と、芯材2の外側の鞘材(クラッド)3とからなる光ファイバ素線4の外周部に被覆層5a,5bが形成されたものである。
光ファイバケーブルは、例えば、自動車内や工場内などの屋内でも使用されるが、工場などの屋内では夏期に高温となること、自動車内ではエンジン等の高温体の近傍は高温になること、オイル、電解液、ガソリン等の引火性の物質が存在する環境下であることから、被覆層の材料に難燃性が求められる。しかも、近年では、燃焼時に発生する有毒ガスを低減するため、ハロゲンを含まないで、UL94規格のV−0、V−1及びDIN72551−5等に準拠する難燃性試験に合格するレベルの被覆材料が要求されている。
【0003】
ところで、被覆層の材質として、光ファイバケーブルに耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性等を付与できることからポリプロピレン樹脂を使用することが、例えば、特許文献1〜4等で提案されている。
また、ポリプロピレン樹脂などポリオレフィン系樹脂を難燃化する技術が、特許文献5や特許文献6などで提案されている。この技術では、金属水酸化物、特に水酸化マグネシウムと、赤リンとをポリプロピレン樹脂に対して合計10〜70質量%の割合で混合する。
したがって、これらの技術を組み合わせれば、難燃性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性を有する被覆層を得ることができると思われた。
【0004】
【特許文献1】
特開平6-102442号公報
【特許文献2】
特開平11-323041号公報
【特許文献3】
特開2000-039542号公報
【特許文献4】
特開2002−48923号公報
【特許文献5】
特許第2838895号公報
【特許文献6】
特許第2882703号公報
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、ポリプロピレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂に、難燃剤として金属水酸化物、特に水酸化マグネシウム等を配合した材料を成形して、比較的厚みが薄い光ファイバの被覆層を形成させる場合には、十分な難燃効果を発現させるために金属水酸化物の配合量を一般的用途よりも多くする必要があった。具体的には、一般的用途での金属水酸化物の配合量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して50〜200質量部程度であるのに対し、被覆層用途では、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して金属水酸化物を100質量部以上、より好ましくは150質量部以上添加する必要があった。
ここで、金属水酸化物、特に水酸化マグネシウム等が多量に配合された材料は、耐摩耗性や耐衝撃性が低くなるおそれがあり、光ファイバケーブルの被覆材料として使用した場合には、耐摩耗性が低いことにより、被覆層の表面に傷がつきやすくなることがあった。また、耐衝撃性が低いことにより、光ファイバケーブルに衝撃力が付与された時に、光ファイバケーブルの性能が著しく低くなることがあり、その結果、加工時の取扱性が低く、しかも、歩留まりが低かった。
また、金属水酸化物をポリプロピレン樹脂に混合する際には、粉末である金属水酸化物を多量に使用するので、その周囲に粉末が飛び散ったりして作業性が低いという問題もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、製造時の作業性に優れると共に、耐摩耗性や耐衝撃性が低下することなく、高い難燃性を発現する難燃光ファイバ用被覆材料およびこれを用いた難燃性光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃光ファイバ用被覆材料は、ポリプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物100質量部と、リン酸エステル系難燃剤0 .5 質量部以上と、アルコキシル基(−OR)を有するN−アルコキシ型ヒンダードアミン系安定剤0 .4質量部以上とが含まれていることを特徴とする。
本発明の難燃光ファイバ用被覆材料においては、ポリテトラフルオロエチレンが0.02質量部以上含まれていてもよい。
また、N−アルコキシ型ヒンダードアミン系安定剤のアルコキシル基のアルキル部Rが、炭素数5 〜12のシクロアルキル基であることが好ましい。
また、前記リン酸エステル系難燃剤は、芳香族系ポリホスフェート、脂肪族ポリホスフェートからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、前記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂100質量部と、少なくとも1個のビニル芳香族化合物からなるビニル芳香族化合物ブロック(A)と少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる共役ジエン化合物ブロック(B)とからなるブロック共重合体および/またはこのブロック共重合体に水素が添加された水添ブロック共重合体が5〜40質量部とが含まれたものであることが好ましい。
【0008】
本発明の難燃光ファイバケーブルは、芯材と芯材の外側に位置する少なくとも一層の鞘材とからなる光ファイバ素線の外周部に、上述した難燃光ファイバ用被覆材料からなる層を有する被覆層が形成されていることを特徴とする。
本発明の難燃光ファイバケーブルにおいては、前記光ファイバ素線は、
芯材が、ポリメタクリル酸メチル、1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体、ポリカーボネート系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂のいずれか1種を含有し、
鞘材の最外層が、アッベ屈折率計を用いて23℃で測定した屈折率が1.30〜1.41の範囲にあり、フッ素含有量が59質量%以上である含フッ素オレフィン系共重合体からなることが好ましい。
また、前記被覆層が二層構造を有し、内側に位置する一次被覆層は酸素指数20以上の熱可塑性樹脂からなり、外側に位置する二次被覆層は上述した難燃光ファイバ用被覆材料からなってもよい。
その際、前記酸素指数20以上の熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、およびフッ素樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなることが好ましい。
また、本発明の難燃光ファイバケーブルは、DIN72551−5に準拠して難燃性試験をした際に、30秒以内に炎が消えた試験体が10本中8本以上であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の難燃光ファイバ用被覆材料は、ポリプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物100質量部と、リン酸エステル系難燃剤0.5質量部以上と、アルコキシル基(−OR)を有するN−アルコキシ型ヒンダードアミン系安定剤(以下、「NOR型HALS系安定剤」という)0.4質量部以上とが含まれているものである。
以下、難燃光ファイバ用被覆材料の各構成成分について説明する。
【0010】
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有するものである。
ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンの単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、市販品を用いることもできる。
ここで、ポリプロピレン系樹脂は、耐屈曲性、寸法安定性(熱収縮性)、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性に優れている。しかも、溶融温度が180℃以下と低いものが多いため、加工性に優れており、光ファイバに被覆層を設ける工程を比較的低温で行うことができ、光ファイバ素線がプラスチック光ファイバ素線である場合にも、これに熱損傷を与えにくい。したがって、難燃光ファイバ用被覆材料に適している。
【0011】
樹脂組成物には、上記ポリプロピレン系樹脂の他に、少なくとも1個のビニル芳香族化合物からなるビニル芳香族化合物ブロック(A)と少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる共役ジエン化合物ブロック(B)とからなるブロック共重合体および/またはこのブロック共重合体に水素が添加された水添ブロック共重合体を含有させてもよい。
このようなブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体を含有させると、光ファイバケーブルに適度な柔軟性を付与することができる上に、熱収縮性を容易にコントロールできるようになる。
また、上記のブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体を配合することで、より柔軟になり、耐屈曲性や耐摩耗性がより向上するため、光ファイバケーブルが変形した場合の光ファイバ素線に加わる外力などの力学的作用を緩和したり、高温環境下での光ファイバ素線の収縮をより抑制したりすることができる。
【0012】
また、一般的には、ポリプロピレン系樹脂単体を被覆層に用いた場合には、ケーブル形成後にポリプロピレン系樹脂の結晶化が進行して光ファイバケーブルが徐々に硬くなる傾向があるが、上記のブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体を配合すれば、PMMAを芯材に使用した光ファイバ素線の通常の使用上限である80℃程度の温度においても、結晶化の進行が遅延するため、光ファイバケーブルが硬化しにくくなる。
【0013】
ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどが使用される。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの内から1種又は2種以上が使用される。また、水添ブロック共重合体においては、共役ジエン化合物が水素添加されている。
このようなブロック共重合体、水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン共重合体(CEBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。これらは市販されており容易に入手することができる。
さらに、これらブロック共重合体、水添ブロック共重合体をポリプロピレンに混合したものが、Adflex、Hifax(Montell社製、Catalloy TPOシリーズ)、ミラストマー(三井石油化学社製)、MKレジン(大日本プラスチックス社製)等の名称で市販されており容易に入手することができる。
これらのブロック共重合体、水添ブロック共重合体の中でも、上述した効果を特に発揮することから、ビニル芳香族化合物ブロック(A)を二つ以上有し、共役ジエン化合物ブロック(B)を一つ以上有するブロック共重合体を水添した水添ブロック共重合体が好ましい。
【0014】
ブロック共重合体および/または水添ブロック共重合体の配合量としては、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましい。その配合量が5質量部未満では、光ファイバケーブルの弾性率を十分に低くできず、ケーブル取扱性が低くなったり、高温環境下で光ファイバケーブルの熱収縮が大きくなったりすることがある。一方、40質量部を超えると耐傷つき性および柔軟性が低下する傾向にある。
【0015】
[難燃剤]
樹脂組成物に配合されるリン酸エステル系難燃剤としては、250℃程度の高温でも分解したり変性したりすることがなく、ポリプロピレン系樹脂に練り込むことができるリン酸エステル類であれば特に限定されず、具体的には、芳香族系ポリホスフェート、脂肪族ポリホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、少量で十分な難燃性能を示すことから、芳香族系ポリホスフェートが好ましい。特に、以下の化学式(1)や化学式(2)で示される構造の芳香族系ポリホスフェートを用いれば、より少量でも十分な難燃性能を示す。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
樹脂組成物中のリン酸エステル系難燃剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0.5質量部以上であり、0.5〜3.0質量部であることが好ましい。リン酸エステル系難燃剤の含有量が0.5質量部未満である場合には、NOR型HALS系安定剤との相乗効果が発揮されず難燃性能が不十分になる。また、含有量が3.0質量部を超える場合には、難燃光ファイバ用被覆材料の強度が低下するおそれがある。
【0019】
NOR型のHALS系安定剤としては、230℃以上で分解したり変性したりすることがなく、ポリプロピレン系樹脂に練り込むことができれば特に限定されるものではないが、アルコキシル基(−OR)のアルキル部Rが炭素数5〜12のシクロアルキル基であるものが好ましい。さらに好ましくは、以下の化学式(3)で示される構造のNOR型のHALS系安定剤である。
【0020】
【化3】
【0021】
NOR型HALS系安定剤は、以下のような理由で難燃性能を発揮する。すなわち、ポリプロピレン系樹脂の燃焼過程においては、固相中でポリマー主鎖が切れてアルキルラジカル(R・)が発生し、これが酸素と反応して燃焼するが、このとき、NOR型HALS系安定剤はポリマーから発生するアルキルラジカルを補足して酸素との反応を抑制して燃焼を抑える。
なお、従来のNH型やNCH3 型のヒンダードアミン系安定剤は、NOR型のHALS系安定剤に比べてアルキルラジカルとの反応速度が遅いため、十分な難燃性能が発揮しない。
【0022】
NOR型HALS系安定剤は耐光安定剤としても機能するため、経時的に死活する傾向にある。したがって、光ファイバケーブル中のNOR型HALS系安定剤の含有量が最も多い使用初期で難燃性能が最も高い。なお、NOR型HALS系安定剤による難燃効果が経時的に低減しても、リン酸エステル系難燃剤によって十分な難燃性能を確保することができる。
【0023】
樹脂組成物中のNOR型HALS系安定剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0.4質量部以上であり、0.5〜2.0質量部であることが好ましい。NOR型HALS系安定剤の含有量が0.4質量部未満である場合には、十分な難燃性能を得るためにリン酸エステル系難燃剤の含有量を多くしなければならないため、光ファイバケーブルの強度が低くなる。また、NOR型HALS系安定剤の含有量が2.0質量部を超える場合には、含有量に比してリン酸エステル系難燃剤の難燃性能を向上させることができず、むしろ加工安定性を損なうといった不都合が生じることがある上に、製造コストも高くなる。
【0024】
[難燃光ファイバ用被覆材料]
ポリプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物と、リン酸エステル系難燃剤と、NOR型HALS安定剤とを必須成分とする難燃光ファイバ用被覆材料には、難燃性をより向上させるために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を樹脂組成物100質量部に対して0.02質量部以上含有させることができる。含有量が0.02質量部未満では、難燃性を十分に向上させることができないことがある。PTFEの含有量の上限は特に限定されないが、10質量部を超えると流動性が低下する傾向にある。そのため、PTFEの含有量は0.1〜0.5質量部の範囲がより好ましい。なお、PTFEの種類としては、ポリプロピレン系樹脂に配合できるものであれば特に制限はない。
【0025】
難燃光ファイバ用被覆材料は、JIS K7210(試験温度230℃、試験荷重2.16Kg)に基づいて測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜200g/分の範囲にあるものが成形安定性の点で好ましい。MFR値が5g/10分未満では、プラスチック光ファイバに被覆をする際に十分な被覆安定性を確保するためにケーブル被覆温度を高く設定する必要があるが、ケーブル被覆温度を高くした場合には、樹脂組成物に添加する着色用顔料や難燃剤等が変質して着色または変色することがある。一方、MFR値が200g/10分を超えると、機械的強度や耐熱性が低下することがある。
【0026】
また、難燃光ファイバ用被覆材料は、JIS K7202に基づいて測定したロックウェル硬さ(Rスケール)が80以上であるものが好ましい。ロックウェル硬さ(Rスケール)が80未満では、光ファイバケーブルの被覆層上にプラグをかしめ固定し、プラグ付き光ファイバケーブルとして使用する場合に、プラグが外れ易くなったり、光ファイバケーブルの表面に傷がつきやすくなって難燃光ファイバケーブルの外観を損ねたりするおそれがある。
【0027】
また、難燃光ファイバ用被覆材料は、JIS K7191に基づいて測定した荷重たわみ温度が70℃以上であることが好ましい。荷重たわみ温度が70℃以上であれば、家庭内や工場、オフィス等のような、夏場に高温になり、温度差が激しい環境においても適用できる。また、荷重たわみ温度が90℃以上であれば、自動車内のようなエンジンルームやルーフ付近のように高温(高湿)環境にも適用できる。
【0028】
この難燃光ファイバ用被覆材料には、染料、顔料などの着色剤、あるいは成形助剤、酸化防止剤など一般的に添加される添加剤が含まれていてもよい。
【0029】
難燃光ファイバ用被覆材料の製造方法としては特に制限されないが、ポリプロピレン系樹脂にNOR型HALS系安定剤、リン酸エステル系難燃剤、その他の添加剤を添加した後に溶融混練する方法が挙げられる。または、難燃剤の分散性を高めることを目的として、予め、NOR型HALS系安定剤、リン酸エステル系難燃剤及び着色剤や酸化防止剤をそれぞれ高濃度でポリプロピレン系樹脂に添加したマスターバッチ(以下、「MB」と記す)を作製し、溶融混練直前にポリプロピレン系樹脂のペレットに、HALS系安定剤含有MB及びリン酸エステル系難燃剤含有MBを、所定の含有量となるようにブレンドした後に、溶融混練する方法を採用することもできる。
その際、MB中のNOR型HALS系安定剤またはリン酸エステル系難燃剤の添加量は1.5〜60質量部であることが好ましい。MBにおける安定剤や難燃剤の添加量が60質量部を超えるとMBの作製が難しくなり、MBの粒径が不揃いになって光ファイバへのケーブル被覆工程で問題が発生するおそれがある。
【0030】
以上説明した難燃光ファイバ用被覆材料は、ポリプロピレン系樹脂に、難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤とNOR型HALS系安定剤とが配合されており、これら難燃剤は相乗効果を発揮するため、十分な難燃性能を確保しつつリン酸エステル系難燃剤の含有量を極めて少なくできる。そして、リン酸エステル系難燃剤の含有量を少なくした結果、光ファイバケーブルの耐摩擦性および耐衝撃性を十分に高くできる上に、外観を良好にできる。また、この難燃光ファイバ用被覆材料は、難燃剤は相乗効果によって、長期間にわたって高い難燃性能を維持できる。
【0031】
[難燃光ファイバケーブル]
本発明の難燃光ファイバケーブルは、図1に示すように、光ファイバ素線4の外周部に、上述の光ファイバ被覆材料からなる層を有する被覆層5a,5bが形成されたものである。つまり、この光ファイバケーブルの断面構造は、従来のものと同様である。
この難燃光ファイバケーブル1の光ファイバ素線4としては、石英光ファイバ素線やプラスチック光ファイバ素線などの公知のものを使用できる。また、その構造としては、例えば、糸状の芯材と、芯材の外側の鞘材とを有し、芯材と鞘材の界面で屈折率が急激に変化するSI型光ファイバ構造等が挙げられる。
芯材2としては、公知の材質を使用することができるが、中でも、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体、ポリカーボネート系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂のいずれか1種を含有することが好ましい。これらの中でも、透光性・耐久性に優れると共に安価なことから、PMMAを主成分として含有するものがより好ましい。また、耐熱性が要求される場合には、ポリカーボネート系樹脂や脂環式ポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
【0032】
鞘材3は単層構造であってもよいし、二層以上の複層構造であってもよいが、いずれの場合においても、鞘材3の最外層が、アッベ屈折率計を用いて23℃で測定した屈折率が1.30〜1.41の範囲にあり、フッ素含有量が59%以上である含フッ素オレフィン系共重合体からなることが好ましい。なお、鞘材3が単層の場合はその層が最外層である
鞘材3の最外層が、含フッ素オレフィン系共重合体であり、その屈折率が1.30〜1.41の範囲にあれば、芯材2がPMMAやポリカーボネート系樹脂である場合に、光ファイバの開口角数を十分大きくすることができ、難燃光ファイバケーブル1が屈曲した時でも曲げ光量損失を小さくできる。また、含フッ素オレフィン系共重合体のフッ素原子の含有率が59質量%以上であれば、含フッ素オレフィン系共重合体の難燃性が高くなるため、難燃性の被覆材料との相乗的な効果により光ファイバケーブルの難燃性をより向上させることできる。
【0033】
ここで、含フッ素オレフィン系共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの2元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロアセトンとの2元共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの2元共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの2元共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの3元共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロアセトンとの3元共重合体、エチレンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの3元共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの2元共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンと(フルオロ)アルキルビニルエーテルとの3元共重合体等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
光ファイバ素線4を被覆する被覆層は単層構造であってもよいし、二層以上の複層構造であってもよいが、複層構造であれば、各層に耐薬品性、難燃性、着色による識別・外光遮断機能を分担して担わすことができる。複層構造の中でも、製造コストや成形安定性の点から二層構造が好ましい。
そして、図示例のように、被覆層が二層構造の場合、内側に位置する一次被覆層5aが酸素指数20以上、好ましくは25以上、より好ましくは27以上の熱可塑性樹脂からなり、外側に位置する二次被覆層5bが上述した難燃光ファイバ用被覆材料からなることが好ましい。被覆層がこのような二層構造であれば、難燃性をより高めることができる。例えば、このような二重構造の被覆層を形成させれば、酸素指数の小さいポリメタクリル酸メチルを芯材としたプラスチック光ファイバ素線を用いても、光ファイバケーブル1の難燃性は十分に高くなる。
一方、一次被覆層5aを構成する熱可塑性樹脂の酸素指数が20未満であると光ファイバケーブルの難燃性が十分でなく、例えば、バーナー等の火源で燃焼した場合には燃焼することがある。
【0035】
一次被覆層5aを構成する酸素指数が20以上の熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。また、公知の難燃剤を添加して酸素指数20以上とした難燃性樹脂を用いることもできる。
これらの中でも、光ファイバケーブルを自動車内通信配線に用いる場合は、ガソリンやバッテリー液、ウィンドウオッシャー液等に対する耐薬品性を要するため、一次被覆層5aの成分がポリアミド樹脂からなることが好ましい。
【0036】
また、被覆層が二重構造の場合には、一次被覆層5aの厚みが100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることが特に好ましい。一次被覆層5aの厚みが100μm未満であるとエンジンオイル等のオイルが存在する環境下で光ファイバケーブルは十分な耐久性が発揮されず、特に、オイル存在下かつ高温下で使用された場合にはプラスチック光ファイバの折損や収縮等の形状変化が生じ易くなる。
【0037】
さらに、一次被覆層5aの平均外径(d1)と二次被覆層5bの厚み(t2)の比が下記式を満足することが好ましい。
0.1≦t2/d1≦1.6
より好ましくは、0.2≦t2/d1≦1.2
特に好ましくは、0.25≦t2/d1≦1.0
これらの比(t2/d1)が0.1未満であると、可燃性の材料からなるプラスチック光ファイバおよび一次被覆層5aに対して二次被覆層5bを設けても十分に難燃性が発現しないおそれがある。一方、これらの比(t2/d1)が1.6より大きいと光ファイバケーブルの外径が太くなりすぎて、柔軟性が損なわれ配線敷設時に非常に扱い難くなる。
【0038】
一次被覆層5aおよび二次被覆層5bの少なくとも一方は、光ファイバケーブル1内外からの光の透過を防止するために適宜の色、好ましくは黒色に着色されていることが好ましい。あるいは、一次被覆層5aおよび二次被覆層5bを要望に応じて任意の色に着色してもよい。
【0039】
光ファイバ素線4の外周部に被覆層を形成させる方法としては、例えば、押出機を具備するクロスヘッド型被覆装置を用いるなどの公知の押出被覆方法を採用できる。また、被覆層が複層構造を有する場合には、一層ずつ順に形成してもよいし、同時に複数の層を形成してもよい。
光ファイバ素線4の外周部に被覆層を形成させる際に、押出機を具備するクロスヘッド型被覆装置を用いる場合には、押出機温度が190〜250℃の範囲であることが好ましい。押出機温度が190℃未満では、ペレットを均一に溶解できなかったり、押出安定性が不十分になったりすることがある。一方、押出機温度が250℃より高いと、着色用顔料や難燃剤等が変質して着色または変色するおそれがある。また、クロスヘッドダイ温度は180〜230℃の範囲であることが好ましい。クロスヘッドダイ温度が180℃未満では、メルトフローレート値が50g/10分以上の流動性の高いポリプロピレン樹脂を使用しても低強度の光ファイバケーブルしか得られないことがある。一方、クロスヘッドダイ温度が230℃を超えると、特に光ファイバ素線がプラスチック光ファイバ素線である場合において、熱劣化して性能が低下するおそれがある。
【0040】
また、本発明の難燃光ファイバケーブルにおいては、DIN72551−5に準拠した難燃性試験をした際に、30秒以内に炎が消えたものが10本中8本以上であるものが好ましい。ここで、DIN72551−5に準拠した難燃性試験とは、10本の光ファイバケーブル試料について、ミクロバーナーの炎を7秒間あてて着火した後、炎を試料から遠ざけ、30秒以内に炎が消えたかどうかを調べる試験のことである。このような試験を合格したものは、UL94規格のV−0およびV−1も合格するレベルにあり、特に難燃性が優れたものである。
【0041】
また、難燃光ファイバケーブル1は、ASTM D638に基づく引張り降伏点強度が60N以上であることが好ましい。難燃光ファイバケーブル1は電線等と一緒に束ねて屋内や自動車内に配設されることがあるが、引張り降伏点強度が60N未満であると、難燃光ファイバケーブル1に過度の荷重がかかった場合に光ファイバ素線4が損傷するおそれがある。
さらに、難燃光ファイバケーブル1の曲げ弾性率が6〜16Nであることが好ましい。難燃光ファイバケーブル1の曲げ弾性率がこの範囲内にあれば、適度な柔軟性を有するため取扱性が良好であり、長期間ボビンに巻き取った状態で保管しても、難燃光ファイバケーブルに巻き癖がつきにくい。
【0042】
以上説明した難燃光ファイバケーブル1は、光ファイバ素線4に、上述した難燃光ファイバ用被覆材料からなる層を有する被覆層(一次被覆層5a、二次被覆層5b)が形成されているので、極めて難燃性が高い。また、この難燃光ファイバケーブル1の被覆層に含まれるリン酸エステル系難燃剤量が少ないので、ケーブル強度および耐摩擦性が低下することがなく、しかも、ケーブル表面の凹凸が少なく平滑であるため光ファイバケーブルの外観が良好である。そのため、光ファイバケーブルを製造する際に、ケーブル表面の凸凹による引っかかりや摩擦抵抗を低減でき、ケーブル本体に付与する力を低減させることができる。その結果、製造時の性能低下を抑制できるため、製造段階での歩留まりを向上させることができる。
【0043】
このような難燃光ファイバケーブル1は、光信号伝送の配線、高速光通信のためのコンピュータ接続配線、交換機回りの配線、工場自動機械制御の配線、自動車などの移動体用データ伝送用配線、光センサー用配線などの各種の用途に使用する場合にも容易に取り扱うことができ、また、特に、自動車内や工場内など、高温状態あるいは引火性の物質が存在する環境下にも適用できる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更できる。
【0045】
(実施例1)
光ファイバ素線として、芯材がPMMAからなり、芯材上の第1鞘材が2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=51/31/17/1(質量部)の共重合体からなり、第1鞘材上の第2鞘材がビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(屈折率1.374)の共重合体からなるものプラスチック光ファイバ素線(POF素線)を使用した。
次いで、クロスヘッド型被覆装置を用い、POF素線にポリアミド樹脂組成物を被覆して、厚みが250μmの一次被覆層を形成し、外径1.5mmのケーブルを得た。その際、ポリアミド樹脂組成物としては、ナイロン12(商品名:ダイアミド−L1640、ダイセルヒュルス社製)100質量部に無水マレイン酸1質量部を混合したものを用い、クロスヘッド型被覆装置のクロスヘッドダイの温度を220℃に設定した。
次いで、このケーブルの外周部に難燃光ファイバ用被覆材料を、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆し、厚み350μmの二次被覆層を形成させて、二層被覆構造を有する外径2.2mmのPOFケーブルを得た。ここで、難燃光ファイバ用被覆材料は、ポリプロピレン樹脂(商品名:Y-3000GV、出光石油化学社製)とスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)とを80/20の質量比で混合した樹脂組成物100質量部に、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のNOR型HALS系安定剤(商品名:Ciba Flamestab NOR−116)1.2質量部、旭電化工業株式会社製の芳香族系ポリホスフェート系難燃剤(商品名:FP−500)2.4質量部を配合したものである。
このようにして得られた光ファイバケーブルについて、以下の難燃性試験を行った。
【0046】
(難燃性試験)
難燃性試験は、DIN72551−5に準拠した。なお、この試験では、電線用の難燃性測定法であるDIN72551−5を、光ファイバケーブルの難燃性を測定するために、次のように若干変更している。
すなわち、電線を測定する場合には、燃焼時または燃焼後の電線を斜め45°に維持することが必要とされている。しかし、光ファイバケーブルは電線と異なり、燃焼した場合に光ファイバケーブルを斜め45°に維持することが困難である。そのため、光ファイバケーブルを測定する場合には、光ファイバケーブルを燃焼時または燃焼後に斜め45°に維持するために、光ファイバケーブルの外周面上に螺旋状に一対の銅線を、互いが交差するように巻き付けた状態で難燃性を測定した。この際に使用した銅線は直径0.7mmφのものであり、螺旋周期は光ファイバケーブルの長手方向に20mm周期とした。
この難燃性試験における合否の判定基準は、光ファイバケーブルにバーナーの炎を7秒間あてて着火した後、炎を試料から遠ざけ、30秒以内に炎が消えたものを○とし、消えなかったものを×とした。そして、このような試験を、10本のサンプルに対して行って、○のものが8本以上であった場合に合格とし、○のものが8本未満であった場合を不合格とした。その結果を表1に示す。なお、表1には、5秒以内に炎が消えたものの本数も合わせて記載した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1中の略語について以下に示す。
PP:ポリプロピレン樹脂、出光石油化学社製、Y-3000GV(商標名)。
SEBS:スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(日本合成ゴム社製、ダイナロン8600P)。
PA12:ナイロン12、ダイセルヒュルス社製、ダイアミド−L1640(商標名)。
HALS NOR-116:NOR型HALS系安定剤、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Ciba Flamestab NOR−116(商標名)。
FP−500:リン酸エステル系難燃剤、旭電化工業株式会社製、芳香族系ポリホスフェート系難燃剤 FP−500(商標名) 〔1 ,3 −フェニレンビス(2 ,6−ジメチルフェニルホスフェート)〕。
FP−2000:リン酸エステル系難燃剤、旭電化工業株式会社製、芳香族系ポリホスフェート系難燃剤 FP−2000(商標名)
【0049】
[実施例2〜4、実施例7、比較例1〜2]
難燃光ファイバ用被覆材料を表1または表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして光ファイバケーブルを作製した。得られた光ファイバケーブルの難燃性について表1または表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
[実施例5〜6、比較例3]
一次被覆層に表1または表2に示す樹脂組成物を用い、二次被覆層を省略したこと以外は実施例1と同様にして、厚みが600μmの一次被覆層を形成し、外径2.2mmのPOFケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの難燃性について表1または表2に示す。
【0052】
樹脂組成物100質量部に対してNOR型HALS 系安定剤が0.4質量部以上、リン酸エステル系難燃剤が0.5質量部以上の範囲で配合された光ファイバ被覆材料からなる被覆層が形成された実施例1〜6の光ファイバケーブルは、難燃性が優れていた上に、被覆層表面は凹凸が少なく滑らかであり外観が良好であった。ただし、難燃剤の配合量がやや多い実施例7の光ファイバケーブルは難燃性には優れているものの、被覆層表面の凹凸が多く、光ファイバケーブルの表面は傷が付きやすい傾向にあった。
一方、NOR型HALS系安定剤およびリン酸エステル系難燃剤の配合量が少ないあるいは配合されていない比較例1〜3の光ファイバケーブルは難燃性が低かった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ被覆材料によれば、リン酸エステル系難燃剤の配合量を少なくできるので、耐摩擦性および耐衝撃性を低下させることがなく、しかも、UL94規格のV−0、V−1及びDIN72551−5に準拠する難燃性試験に合格する程度の難燃性を有している。
また、本発明の光ファイバケーブルによれば、十分に高い難燃性を有しているだけでなく、表面の凹凸が少なく平滑であるため、ケーブルの外観が良好である上に、加工時などの取扱性にも非常に優れている。したがって、各種配線や加工が容易であり、また、自動車内や工場内など、高温の環境下あるいは引火性の物質が存在する環境下にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 難燃光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 難燃光ファイバケーブル
2 芯材
3 鞘材
4 光ファイバ素線
5a 一次被覆層
5b 二次被覆層
Claims (4)
- ポリプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物100質量部と、リン酸エステル系難燃剤0.5質量部以上と、アルコキシル基(−OR)を有するN−アルコキシ型ヒンダードアミン系安定剤0.4質量部以上とが含まれ、
前記樹脂組成物は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物からなるビニル芳香族化合物ブロック(A)と少なくとも1個の共役ジエン化合物からなる共役ジエン化合物ブロック(B)とからなるブロック共重合体および/またはこのブロック共重合体に水素が添加された水添ブロック共重合体を、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5〜40質量部含有することを特徴とする難燃光ファイバ用被覆材料。 - 芯材と芯材の外側に位置する少なくとも一層の鞘材とからなる光ファイバ素線の外周部に、請求項1に記載の難燃光ファイバ用被覆材料からなる層を有する被覆層が形成されていることを特徴とする難燃光ファイバケーブル。
- 前記光ファイバ素線は、 芯材が、ポリメタクリル酸メチル、1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体、ポリカーボネート系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂のいずれか1種を含有し、 鞘材の最外層が、アッベ屈折率計を用いて23℃で測定した屈折率が1.30〜1.41の範囲にあり、フッ素含有量が59質量%以上である含フッ素オレフィン系共重合体からなることを特徴とする請求項2に記載の難燃光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が二層構造を有し、内側に位置する一次被覆層は酸素指数20以上の熱可塑性樹脂からなり、外側に位置する二次被覆層は請求項1に記載された難燃光ファイバ用被覆材料からなることを特徴とする請求項2または3に記載の難燃光ファイバケーブル。
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