JP4194318B2 - ネジ構造を備えるブロー成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端部に雌ネジが形成されたブロー成形体と、その雌ネジに螺合する雄ネジが形成されたブロー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば口部に雄ネジを形成したブロー成形体容器の蓋を、同じくブロー成形により成形する場合、図7に示すように、ブロー成形金型1の内周に螺旋状の突起2を形成し、ブロー成形によりパリソンをこの突起に沿わせ、ブロー成形体(蓋)の内側に雌ネジ3を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブロー成形体に形成した雌ネジには次のような問題がある。
▲1▼ブロー成形体は肉厚が変動しやすいうえ、ブロー成形金型1はブロー成形体の外表面しか規制できないため、雌ネジ3の山の幅a、谷の幅b、山の高さcなどがその肉厚に影響され(パリソンが二重に折り込まれてネジが形成されるため、肉厚の変動が2倍に効いてくる)、雌ネジ3の寸法精度が出にくい。
▲2▼雌ネジ3の寸法が安定しないと、これをブロー成形体容器に形成した雄ネジに螺合するときネジが固すぎて入らなかったり、逆にガタが大きく空回りするというトラブルが起きる。また、ネジの締り深さ(ネジを一杯に締めたときのネジの前進距離)が変化し、容器の高さが変化するという問題もある。
▲3▼雌ネジ3の外側に溝状のネジ形状が出て、ブロー成形体の外観が悪い。
【0004】
本発明は、ブロー成形体に雌ネジを形成した場合の上記問題点に鑑みてなされたもので、寸法精度の高い雌ネジを形成することを主たる目的とする。そのほか、雌ネジの外側にネジ形状が出ないようにしてブロー成形体の外観をよくすること、また、雄ネジ側を改良してネジの締り深さを一定にすることを他の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つは、端部に雌ネジが形成されたブロー成形体に関し、筒状の周壁からほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれた壁部(折り込まれた第1壁部)が段差部(第1段差部)を介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなしているブロー成形体において、前記折り込まれた第1壁部の内周側が円形に切除されて残部が雌ネジの山部を構成し、かつ前記第1段差部のうち前記雌ネジの谷部に相当する箇所が切除されていることを特徴とする。雌ネジが1条ネジの場合、段差部は1つであり、多条ネジの場合、条数に等しい数の段差部が形成される。
【0006】
また、本発明の別の1つは、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成されたブロー成形体に関し、筒状の周壁からほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれた壁部(折り込まれた第2壁部)の内周端に連なる筒状部に前記雄ネジが形成され、前記折り込まれた第2壁部が前記雌ネジのリードと同じリードで段差部(第2段差部)を介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなし、かつその第2段差部が前記雄ネジの終端部に形成されていることを特徴とする。雌ネジを雄ネジに螺合していくと、雌ネジ側の第2段差部が雄ネジ側の第1段差部に当接し、これによりネジの締り深さが規定される。
なお、本願明細書(特許請求の範囲を含む)において、雌ネジが形成されたブロー成形体と雄ネジが形成されたブロー成形体の折り込まれた壁部及び段差部に、それぞれ第1,第2という序数詞を付与したのは、雌ネジが形成されたブロー成形体の折り込まれた壁部及び段差部と、雄ネジが形成されたブロー成形体の折り込まれた壁部及び段差部を、単に区別するために過ぎない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係るブロー成形体について具体的に説明する。この例は、容器と蓋をブロー成形により同時に成形するとともに、容器の口部に雄ネジ、蓋側に雌ネジを形成するものである。このブロー成形体(容器、蓋)について、ブロー成形の工程順に説明する。
【0008】
(1)図1及び図5に示すように、容器11と蓋12を1つのパリソンから同時にブロー成形する。
容器11側は、その口部において円筒状の周壁13がほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれ(折り込まれた壁部(折り込まれた第2壁部)を14で示す)、その内周端に連なる円筒状部に雄ネジ15が形成されている。折り込まれた第2壁部14はその縦方向の段差部(第2段差部)14Aを介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなしている。第2段差部14Aは雄ネジ15の終端部に形成されている。雄ネジ15が形成された円筒状部の上は再びほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれ、その上に円筒状部16を介して蓋12が一体的に連なっている。
蓋12側は、その下端部において円筒状の周壁17がほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれ、その折り込まれた壁部(折り込まれた第1壁部)18が縦方向の段差部(第1段差部)18Aを介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなしている。
【0009】
(2)図2に示すように、円筒状部16を水平に切り離す(切り離し部位を図5にrで示
す)。これにより雄ネジ15が形成された容器11が完成する。さらに、図2(b)に仮想線sで示すように(図5にもsの位置を示している)、折り込まれた第1壁部18を円形に切抜き、内周側を切除する。この切抜き箇所は、円筒状の周壁17の外周と同心円をなす。切除されずに残った壁部18aが雌ネジ19の山となる(図4参照)。
(3)続いて図3にハッチングで示す箇所を切除する。この箇所は、第1段差部18Aのうち雌ネジ19の谷に相当する箇所である。この箇所は、残った第1段差部18Aのうち、1周した螺旋状の壁部18aの隙間に当たる部分ということもできる。
(4)これにより、図4(a)に示す蓋12が完成する。この蓋12において、雌ネジ19は、1周のみの壁部18aがネジの山であり、そのリードはLである。なお、雄ネジ15のリードも同じくLに設定されている。
(5)容器11を蓋12で閉鎖するとき、雌ネジ19は雄ネジ15と螺合し、図4(c)に示すように、一杯に締めたとき第1段差部18Aが第2段差部14Aに当接して停止する。折り込まれた第2壁部14のリードがLに設定され、かつ折り込まれた第2壁部14が雄ネジ15の山の螺旋の延長上に位置していれば、図4(c)に示すように折り込まれた第2壁部14と壁部18aが当接する。断面図を図6に示す。
【0010】
上記蓋12において、雌ネジ19の山は壁部18aからなり、これはプラスチックの肉が一重であるため、仮に壁部18aの肉厚が変動しても、その影響は従来の1/2に過ぎず、従って、図4(b)に示す山の幅a及び谷の幅bの寸法精度が向上する。山の高さcは折り込まれた第1壁部18の切除位置(図2の仮想線s)で決まり、高い寸法精度を出すことが可能である。従って、容器11の雄ネジ15に程良く螺合する雌ネジ19を安定的に形成することができる。
また、雌ネジ19の外側に溝状のネジ形状が出ないので、外観が優れる。
さらに、雌ネジ19を一杯に締めたとき、第1段差部18Aが第2段差部14Aに当接するので、ネジの締り深さが一定となり、蓋12を取り付けた容器11の高さが安定する。蓋12を締めた多数の容器11を同時に取り扱うようなとき、その高さが揃っていれば、全体としての外観が優れる。また、第2壁部14のリードがLに設定され、かつ折り込まれた第2壁部14が雄ネジ15の山の螺旋の延長上に位置していれば、図4(b)のように容器11と蓋12がぴったり重なり、さらに優れた外観となる。
【0011】
なお、上記の例では、容器11の側に雄ネジ15を形成し、蓋12の側に雌ネジ19を形成したが、これは逆であってもよい。また、容器11と蓋12を一体的にブロー成形し、その後分離したが、始めから別体にて成形することもできる。そのほか、上記の例では、1条ネジとしたが、2条ネジ、3条ネジなどの多条ネジにすることもできる。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、ブロー成形体に形成された雌ネジの寸法精度が高く、ネジが固すぎて入らなかったり、ガタが大きく空回りするというトラブルが防止できる。また、ネジ形状が表面に現れない外観のよい雌ネジを形成することができる。さらに、この雌ネジが形成されたブロー成形体と本発明に係る雄ネジが形成されたブロー成形体を組み合わせることにより、ネジの締り深さが安定し、ブロー成形体の高さを一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るブロー成形体(容器側と蓋側を一体成形したもの)の要部斜視図である。
【図2】 そのブロー成形体を円筒状部で切り離したときの容器側(a)及び蓋側(b)の斜視図である。
【図3】 折り込まれた第1壁部の内周側を切除した蓋の斜視図である。
【図4】 完成した蓋の斜視図(a)、その要部拡大図(b)及び容器に蓋を取り付けた状態の斜視図(c)である。
【図5】 一体成形したブロー成形体の要部断面図である。
【図6】 容器に蓋を取り付けた状態の要部断面図である。
【図7】 従来の雌ネジについて説明する断面図である。
【符号の説明】
11 ブロー成形体(容器)
12 ブロー成形体(蓋)
14 折り込まれた第2壁部
14A 第2段差部
15 雄ネジ
18 折り込まれた第1壁部
18a 切除されずに残った壁部
18A 第1段差部
19 雌ネジ

Claims (2)

  1. 筒状の周壁(17)からほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれた壁部以下、折り込まれた第1壁部という)(18)が段差部(以下、第1段差部という)(18A)を介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなしているブロー成形体(12)において、前記折り込まれた第1壁部(18)の内周側が円形に切除されて残部(18a)が雌ネジ(19)の山部を構成し、かつ前記第1段差部(18A)のうち前記雌ネジ(19)の谷部に相当する箇所が切除されていることを特徴とする端部に雌ネジが形成されたブロー成形体(12)
  2. 筒状の周壁(13)からほぼ垂直に内側に所定距離折り込まれた壁部(以下、折り込まれた第2壁部という)(14)の内周端に連なる筒状部に請求項1に記載されたブロー成形体の雌ネジ(19)が螺合する雄ネジ(15)が形成されたブロー成形体(11)において、前記折り込まれた第2壁部(14)が前記雌ネジ(19)のリードと同じリードで段差部(以下、第2段差部という)(14A)を介して螺旋状に一周し、平面視円形のリング状をなし、かつ前記第2段差部(14A)が前記雄ネジ(15)の終端部に形成されていることを特徴とする雄ネジが形成されたブロー成形体(11)
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