JP4193155B2 - プリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸延伸ポリエステルフイルムをベースとするプリンターリボン等のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムに関し、とくに、印刷速度を向上しつつ、画像の画質の向上とサーマルヘッドへの融着等に起因する印字不良やしわの発生の防止とを達成可能なプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンターの印刷(印字)速度は益々高速化が要求されてきており、同時に、印字画質のより一層の向上が求められている。プリンターの印字の速度向上のためには印加エネルギーを上げる必要があるが、印加エネルギーを上げると、その熱でベースフイルムが一部サーマルヘッドに融着しスティックを発生することがあり、それによって印字不良や印字じわが発生する。したがって、従来のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムでは、印字速度の向上に限界がある。
【0003】
一方で、前記の如く印字画質の向上が求められているが、印字速度を上げると上記のような問題が生じやすくなり、それによって画質が低下したり、トラブルが生じたりするので、印字速度を向上しつつ同時に印字画質を向上することは容易なことではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、上記のような現状に鑑み、サーマルヘッドのエネルギーを増大させて印字速度の向上をはかる場合においても、印字画質の向上とサーマルヘッドへの融着防止、印字じわ低減の両立が可能なプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム、およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムは、A面を形成するA層とB面を形成するB層との少なくとも2層構造を有する厚み1.5〜13μmのポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸ポリエステルフイルムであって、幅方向の引張弾性率が4.5〜8GPaであり、フイルムの片面(A面)の平均粗さRaが20nm以上75nm以下、反対面(B面)の平均粗さRaが105nm以下で、かつ、A面の表面平均粗さより大きく、A面側にインキ層が設けられる態様で用いられることを特徴とするものからなる。
【0007】
すなわち、本発明においては、前記課題を解決するために、二軸延伸ポリエステルフイルムの厚みを最適な範囲として、サーマルヘッドの熱による転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムの変形を防止しつつ高速印字を可能とし、A面側、B面側の表面粗さを最適な範囲に制御しつつその大小関係を規定し、かつ幅方向の弾性率を規定することにより、印字面側とサーマルヘッド側の両面側を最適化して、印字の鮮明化、サーマルヘッドからの熱伝達の効率化による印字感度の向上等を達成し、高速印字と画質向上とを両立させることができるようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明に係るプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム、たとえばプリンターリボンのベースとなるポリエステルフイルムは、ポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸ポリエステルフイルムである。未延伸フイルムや一軸延伸フイルムでは、長手方向および幅方向の両方向において、所望の高い引張弾性率が得られない。
【0012】
本発明における二軸延伸ポリエステルフイルムの厚みは、1.5〜13μmの範囲にあり、好ましくは、2〜6μmの範囲である。厚みが1.5μmよりも薄いと、熱によって転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムが変形し、画質が悪化する。また、13μmよりも厚いと、サーマルヘッドのエネルギーを高くしなければならず、サーマルヘッドの寿命が短くなり、印画時間も長くなる。
【0013】
この二軸延伸ポリエステルフイルムの片面(A面)にインキ層、反対面(B面)に背面コート層を設けることにより、プリンター用転写材が構成される。
【0014】
本発明においては、上記二軸延伸ポリエステルフイルムのA面(インキ層側の面)の平均粗さ(中心線平均粗さ)Raを20〜75nmとすることが必要である。A面の表面粗さRaが20nmよりも小さいと、印字時にインキとの剥離不良が起こり、印字がかすれたり転写材(たとえば、リボン)が切れたり、あるいは剥離音のため印字時の騒音の問題がでる。平均粗さRaが75nmよりも大きいと、印字画面がざらつき、鮮明度が落ちる。
【0015】
また本発明においては、二軸延伸ポリエステルフイルムのB面(サーマルヘッド側の面)の平均粗さ(中心線平均粗さ)Raを105nm以下とすることが必要である。B面の平均粗さRaが105nmよりも大きいと、サーマルヘッドの発熱部分との距離が大きくなるため、熱伝達効率が落ち、印字感度が落ちる。また、印字速度を向上するためには、よりサーマルヘッドのエネルギーを上げる必要が生じ、印加エネルギーの増大によりしわ等の問題が生じやすくなる。
【0016】
さらに本発明においては、二軸延伸ポリエステルフイルムのB面の平均粗さRaがA面の表面平均粗さより大きいことが必要である。B面の平均粗さがA面のそれよりも小さいと、転写材が印字時にサーマルヘッドに融着しやすくなり、印字不良や印字じわの原因となる。
【0017】
このように、二軸延伸ポリエステルフイルムのA面、B面の表面粗さをそれぞれ最適化するとともに、それらの大小関係を特定することで、印字不良や印字じわを生じることなく高速で印字することと、画質の向上との両立が可能となる。各面をそれぞれ最適化するため、本発明では、A面を形成するA層とB面を形成するB層との少なくとも2層構造を有する二軸延伸ポリエステルフイルムとすることが必要である。
【0018】
本発明に係るプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムにおいては、さらに次のような特性を備えていることが好ましい。
【0019】
本発明に係るプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムは、プリンターリボン等の、フイルム長手方向に長く延びる形態で使用されるが、幅方向の寸法は比較的小さいため、とくに幅方向の機械特性が大きいことが好ましい。すなわち、本発明に係るプリンター用転写材に用いる二軸延伸ポリエステルフイルムの幅方向の引張弾性率が4.5〜8GPaの範囲であることが必要である。望ましくは5〜7GPaの範囲にあり、幅方向の引張弾性率が長手方向の引張弾性率よりも大きいことが好ましい。幅方向の引張弾性率が4.5GPa未満では、印字時の張力で転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムが変形し、画質が悪化するおそれがある。また、8GPaを越えると熱収縮率が大きくなり、印字時の熱収縮で転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムが変形し画質が悪化するおそれがある。
【0021】
二軸延伸ポリエステルフイルムの熱的特性としては、たとえば、二軸延伸ポリエステルフイルムの幅方向の150℃、30分の熱収縮率が−1〜1%の範囲に入るように制御することが好ましい。
【0022】
二軸延伸ポリエステルフイルムを少なくとも2層積層構造とする場合、A層とB層の厚みの関係はA<Bであることが好ましい。逆でもよいが、B層の厚みがA層より小さい場合、A層の表面状態にB層中の粒子が影響しやすくなり、平均粗さの制御が難しくなる。したがって、B層側のRaをA層側のRaよりも大きく規定した本発明においては、厚みの関係はA<Bであることが好ましい。
【0023】
また、本発明においては、二軸延伸ポリエステルフイルムのB面側の表面形態を制御するために、この面に粒子を含む層をコーティングしてもよい。コーティング層には、必要に応じて消泡剤、塗布性架橋剤、増粘剤、有機系潤滑剤、無機系粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発砲剤、染料、顔料等、各種粒子や調整剤を含有せしめることができる。
【0024】
二軸延伸ポリエステルフイルムのB面側に設ける背面コート層としては、例えば、ウレタン系、ポリエステル系およびアクリル系の水溶性または水分散性樹脂群の中から選ばれた塗布層を設けることが好ましく、とくにこれらのうち少なくとも2種類が塗布されていることが好ましい。
【0025】
上記のうち、塗布層として用いるウレタン系樹脂は、それを構成する成分として、以下のようなポリオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋剤などを用いることができる。ポリオールとしては、たとえば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、アクリル系ポリオール、ひまし油などを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを用いることができる。鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などを用いることができる。
【0026】
また、塗布層として用いるポリエステル樹脂としては、それを構成する成分として以下のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を用いることができる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソディウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合反応によりポリエステル系樹脂を合成する。また、上記の他、いわゆるアクリルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどのポリエステル成分を有する複合高分子も用いることができる。
【0027】
さらに、塗布層として用いるアクリル系樹脂としては、アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレートを主要な成分とするものが好ましく、当該成分が30〜90モル%であり、共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体成分70〜10モル%を含有する水溶性あるいは水分散性樹脂である。アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレートと共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体は、官能基としてカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)またはアルキロール化されたアミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などを有するビニル単量体である。これらの中でも特に好ましいものはカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、エポキシ基などである。これらの基は樹脂中に二種類以上含有されていてもよい。アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートのアルキル基としては、たとえば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基などを用いることができる。
【0028】
次に本発明におけるプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムおよびそれを用いたプリンター用転写材の製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。
乾燥したポリマーチップを押出機に供給し、該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをスリット状の吐出口を有するTダイから押し出し、冷却ロールに密着固化してキャストフイルムを得る。溶融シートと冷却ロールの密着性を向上させるには、通常、静電印加密着法および/または液面塗布密着法を採用することが好ましい。該キャストフイルムは更に二軸に延伸される。好ましくは、ポリマーのガラス転移温度以上、例えば40〜100℃に加熱したロール群で長手方向(縦方向)に2.3〜7倍延伸し、次いで幅方向(横方向)に好ましくは45〜110℃で3〜7倍に延伸する。なお、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を用いることができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記範囲に入ることが好ましい。また、前記キャストフイルムを、面積倍率が6〜30倍になるように同時二軸延伸することも好ましい。また、二軸延伸ポリエステルフイルムの製造時において、縦延伸温度をA面側とB面側で温度差をつけて延伸することも、本発明におけるA面側とB面側のそれぞれの表面形態を得る上で好ましい方法である。
【0029】
かくして得られたフイルムを熱処理するが、必要に応じ熱処理を行う前または後に再度縦及び/または横方向に延伸してもよい。熱処理温度は150〜240℃、好ましくは200〜235℃であり、熱処理時間は通常1秒〜5分である。この熱処理条件で熱収縮特性を調整することができる。また、熱処理後のフイルムの冷却速度も熱収縮特性に影響する。例えば、熱処理後、フイルムを急冷あるいは徐冷、あるいは中間冷却ゾーンを設けることで加熱収縮応力を調整することができる。また、特に特定の熱収縮特性を付与するために、熱処理時あるいはその後の徐冷ゾーンにおいて縦方向及び/または横方向に弛緩してもよい。
【0030】
フイルムには必要に応じコーティングを施すこともできる。たとえば、フイルムに塗布層を設けることによりインキ層との接着性を向上できる。また、B面側にコーティングを施すことにより、B面の表面形態を容易に所望の形態にできる。塗液には防爆性や環境汚染の点で水溶解、乳化または懸濁したものが用いられる。塗布層は結晶配向完了後の二軸延伸フイルムに塗布する方法あるいは結晶配向完了前のフイルムに塗布した後延伸する方法があるが、後者の方法が特に好ましい。塗布する方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、塗布する前に必要に応じて塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施しておいてもよい。
【0031】
このように製造された二軸延伸ポリエステルフイルムのA面にインキ層、反対面のB面に背面コート層を設けることにより、プリンター用転写材が形成される。
【0032】
〔物性の測定法〕
以下に、本発明の規定、評価に用いた物性の測定法について説明する。
(1)引張弾性率
フイルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分でインストロタイプの引張試験機にて測定した。得られた荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線により計算した。なお、測定は25℃、65%RHにて行った。
【0033】
(2)熱収縮率
測定試料に約30cmの間隔で標線を入れ、加熱オーブン中で張力フリーの状態で一定時間熱処理(150℃、30分)し、該熱処理後の試料長変化から次式により求めた。
(熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)/熱処理前の長さ
なお、熱処理によってフイルムが伸びた場合は、熱収縮率は負の値となる。
【0034】
(3)平均粗さRa
(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差計ET−10を用いて測定した。条件は触芯先端半径0.5μm、針圧5mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmで行った。
平均粗さの定義は例えば奈良治郎著「表面粗さの評価法」(総合技術センター、1983)に示されているものである。
【0035】
転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムの特性は、フイルムを5cm幅のテープスリットとして感熱転写リボンとし、サーマルプリンタにかけて実用評価した。
【0036】
(4)スティック現象
上記感熱転写リボンとサーマルプリンタの加熱ヘッドとの融着の有無を見て、次の基準により判定した。
×・・・融着が生じ、リボンの搬送不良が見られる
△・・・融着する傾向があるが、リボンの搬送不良はなく実用可
○・・・わずかに融着する傾向があるが、良好
◎・・・全く問題なく良好
【0037】
(5)画質
サーマルプリンターに印字・印刷された画像の濃淡およびにじみをみて、次の基準により判定した。
×・・・画像に濃淡の斑があり、にじみも強く実用不可
△・・・わずかに濃淡の差があり、にじみもあるが、実用可
○・・・わずかににじみがみられるが、濃淡はなく良好
◎・・・濃淡もにじみもなく非常に良好
【0038】
【実施例】
実施例1
平均粒径1μmの炭酸カルシウム0.7重量%を含有した固有粘度(オルソクロロフェノール中、25℃で測定)0.65のポリエチレンテレフタレート(ポリマーA)と、平均粒径1.5μmの二酸化ケイ素粒子0.3重量%を含有した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ポリマーB)を二台の押出機を用いてそれぞれ溶融し、2層となるようにポリマーを合流させた後、口金からシート状に溶融押出し、回転冷却ドラムに密着させて冷却固化し、非晶質シートを得た。A層とB層の厚み比はそれぞれの押出機の吐出量比から調整した。
【0039】
この非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1倍、次いで115℃で2.3倍延伸した後、横方向に115℃で4.3倍延伸し、更に225℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観察したところ、A層/B層の厚み比は1.0μm/3.5μmであった。
【0040】
参考例1
ポリマーAとして固有粘度が0.65で平均粒径1μmの炭酸カルシウムを0.7重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用い、ポリマーBとして固有粘度が0.62で平均粒径1.2μmの二酸化ケイ素粒子を0.4重量%含有したポリエチレン−2,6−ナフタレートを用いた。実施例1と同様にして得られた非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に125℃で2.1倍、次いで123℃で1.9倍延伸した後、横方向に125℃で4倍延伸し、更に230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観察したところ、A層/B層の厚み比は1.0μm/3.5μmであった。
【0041】
参考例2
ポリマーとして固有粘度が0.65で平均粒径1.2μmの炭酸カルシウムを0.6重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用いた。実施例1と同様にして得られた非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1倍、次いで115℃で1.9倍延伸した後、B面側にコーティングを行った。
【0042】
コーティング組成は、
・水分散性ポリエステルA(テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/エチレングリコール/ポリエチレングリコール:35/40/25/100モル%、ポリエチレングリコールは樹脂中10重量%)、
・水分散性アクリルB(メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/スチレン/アクリル酸:45/25/20/10モル%)
・水性オキサゾリンC
・シリカ粒子D:平均粒径0.3μm
・固形分比:A/B/C/D=60/40/5/2
・最終塗布厚み:0.1μm
とした。
【0043】
さらに横方向に115℃で4倍延伸し、更に230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0044】
参考例3
ポリマーはそれぞれ参考例2と同様のものを用いた。非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に延伸する際、まずA面およびB面それぞれのロールとも120℃で2.1倍、次いでA面側ロールが105℃、B面側ロールが115℃の温度条件で1.9倍延伸し、更に横方向に115℃で4倍延伸し、更に230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0045】
実施例2
ポリマーAとして固有粘度が0.65で平均粒径1μmの二酸化ケイ素粒子を0.4重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用い、ポリマーBとして固有粘度が0.65で平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム粒子を0.7重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用いた。
【0046】
実施例1と同様にして得られた非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1倍、次いで115℃で2.3倍延伸した後、横方向に115℃で4.3倍延伸し、更に225℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観察したところ、A層/B層の厚み比は3.8μm/0.7μmであった。
【0047】
実施例3
ポリマーは実施例2と同様とし、非晶質シートを同時二軸延伸装置を用い、120℃で縦方向に4.5倍、横方向に4.5倍同時二軸延伸を行い、更に225℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観察したところ、A層/B層の厚み比は3.8μm/0.7μmであった。
【0048】
比較例
単層フイルムとし、ポリマーとして固有粘度が0.65で平均粒径1μmの炭酸カルシウムを0.7重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用いた。非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1倍、次いで115℃で2.3倍延伸した後、横方向に115℃で3.8倍延伸し、更に225℃で熱固定し、その際幅方向に2%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0049】
上記各実施例、比較例、参考例で得られたフイルムの表面に、
カルナウバワックス :30重量%
エステルワックス :35重量%
カーボンブラック :12重量%
ポリテトラヒドロフラン:10重量%
シリコーンオイル : 3重量%
からなる転写インキ層を、加熱ロールによるホットメルトコーティング法により厚み5μmとなるように塗布して転写材を得た。各実施例、比較例、参考例におけるフイルムの特性および転写材の特性を表1、表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルムおよびその製造方法によれば、転写材のベースとなる二軸延伸ポリエステルフイルムの厚みを特定の範囲に規定するとともに、A面、B面の表面粗さを特定の範囲に規定し、かつ、平均粗さの大小関係を特定したので、印字画質の向上とサーマルヘッドへの融着防止、印字じわ低減の両立が可能となり、優れた画質を確保しつつ印刷速度を向上することができる。
Claims (4)
- A面を形成するA層とB面を形成するB層との少なくとも2層構造を有する厚み1.5〜13μmのポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸ポリエステルフイルムであって、幅方向の引張弾性率が4.5〜8GPaであり、フイルムの片面(A面)の平均粗さRaが20nm以上75nm以下、反対面(B面)の平均粗さRaが105nm以下で、かつ、A面の表面平均粗さより大きく、A面側にインキ層が設けられる態様で用いられることを特徴とするプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム。
- 前記二軸延伸ポリエステルフイルムの幅方向の引張弾性率が長手方向の引張弾性率よりも大きい、請求項1記載のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム。
- フイルム長手方向に長く延びる形態で使用される、請求項1または2記載のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム。
- 前記二軸延伸ポリエステルフイルムの幅方向の150℃、30分の熱収縮率が−1〜1%の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載のプリンター用転写材用二軸延伸ポリエステルフイルム。
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JP4897950B2 (ja) * | 2005-12-15 | 2012-03-14 | 三菱樹脂株式会社 | 昇華型感熱転写リボン用ポリエステルフィルム |
-
1998
- 1998-04-30 JP JP13611498A patent/JP4193155B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH11309949A (ja) | 1999-11-09 |
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