JPH11309949A - プリンター用転写材およびその製造方法 - Google Patents

プリンター用転写材およびその製造方法

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JPH11309949A
JPH11309949A JP10136114A JP13611498A JPH11309949A JP H11309949 A JPH11309949 A JP H11309949A JP 10136114 A JP10136114 A JP 10136114A JP 13611498 A JP13611498 A JP 13611498A JP H11309949 A JPH11309949 A JP H11309949A
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俊彦 平岡
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正大 長谷川
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隆 角谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーマルヘッドのエネルギーを増大させて印
字速度の向上をはかる場合においても、印字画質の向上
とサーマルヘッドへの融着防止、印字じわ低減の両立が
可能なプリンター用転写材を提供する。 【解決手段】 厚み1.5〜13μmの二軸延伸ポリエ
ステルフイルムの片面(A面)にインキ層、反対面(B
面)に背面コート層を設けてなるプリンター用転写材で
あって、フイルムのA面の平均粗さRaが20〜100
nm、B面の平均粗さRaが200nm以下で、かつ、
A面の表面平均粗さより大きいことを特徴とするプリン
ター用転写材、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸延伸ポリエス
テルフイルムをベースとするプリンターリボン等のプリ
ンター用転写材に関し、とくに、印刷速度を向上しつ
つ、画像の画質の向上とサーマルヘッドへの融着等に起
因する印字不良やしわの発生の防止とを達成可能なプリ
ンター用転写材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンターの印刷(印字)速度は
益々高速化が要求されてきており、同時に、印字画質の
より一層の向上が求められている。プリンターの印字の
速度向上のためには印加エネルギーを上げる必要がある
が、印加エネルギーを上げると、その熱でベースフイル
ムが一部サーマルヘッドに融着しスティックを発生する
ことがあり、それによって印字不良や印字じわが発生す
る。したがって、従来のプリンター用転写材では、印字
速度の向上に限界がある。
【0003】一方で、前記の如く印字画質の向上が求め
られているが、印字速度を上げると上記のような問題が
生じやすくなり、それによって画質が低下したり、トラ
ブルが生じたりするので、印字速度を向上しつつ同時に
印字画質を向上することは容易なことではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、上記のような現状に鑑み、サーマルヘッドのエネル
ギーを増大させて印字速度の向上をはかる場合において
も、印字画質の向上とサーマルヘッドへの融着防止、印
字じわ低減の両立が可能なプリンター用転写材、および
その製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のプリンター用転写材は、厚み1.5〜13
μmの二軸延伸ポリエステルフイルムの片面(A面)に
インキ層、反対面(B面)に背面コート層を設けてなる
プリンター用転写材であって、フイルムのA面の平均粗
さRaが20〜100nm、B面の平均粗さRaが20
0nm以下で、かつ、A面の表面平均粗さより大きいこ
とを特徴とするものからなる。
【0006】また、本発明に係るプリンター用転写材の
製造方法は、厚み1.5〜13μmの二軸延伸ポリエス
テルフイルムの片面(A面)にインキ層、反対面(B
面)に背面コート層を設けてプリンター用転写材を製造
するに際し、前記フイルムのA面の平均粗さRaを20
〜100nm、B面の平均粗さRaを200nm以下
で、かつ、A面の表面平均粗さより大きくすることを特
徴とする方法からなる。
【0007】すなわち、本発明においては、前記課題を
解決するために、二軸延伸ポリエステルフイルムの厚み
を最適な範囲として、サーマルヘッドの熱による転写材
の変形を防止しつつ高速印字を可能とし、A面側、B面
側の表面粗さを最適な範囲に制御しつつその大小関係を
規定することにより、印字面側とサーマルヘッド側の両
面側を最適化して、印字の鮮明化、サーマルヘッドから
の熱伝達の効率化による印字感度の向上等を達成し、高
速印字と画質向上とを両立させることができるようにし
たものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに、詳細に説明する。本発明に係る
プリンター用転写材、たとえばプリンターリボンのベー
スとなるポリエステルフイルムは、二軸延伸ポリエステ
ルフイルムからなる。未延伸フイルムや一軸延伸フイル
ムでは、長手方向および幅方向の両方向において、所望
の高い引張弾性率が得られない。
【0009】本発明においてポリエステルとは、二塩基
酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、
芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルス
ルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニ
ルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル
酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。
脂環族二塩基酸としては、シクロヘキサンジカルボン
酸、デカリンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸
などを用いることができる。また、脂肪族二塩基酸とし
ては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができ
る。グリコールとしては、脂肪族ジオールとしてエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコールなどを用いることが
でき、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイ
ドロキノン、テトラプロモビスフェノールAなどを用い
ることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサ
ンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いる
ことができる。
【0010】さらに、ポリエステルが実質的に線状であ
る範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えばグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリ
カルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また
単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフト
エ酸等を添加反応させてもよい。またポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエー
テルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエス
テルなどを共重合してもよい。
【0011】ポリエステルは2種以上のものをブレンド
してもよく、例えば50%以上がポリエステルであれ
ば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
【0012】本発明における二軸延伸ポリエステルフイ
ルムの厚みは、1.5〜13μmの範囲にあり、好まし
くは、2〜6μmの範囲である。厚みが1.5μmより
も薄いと、熱によって転写材が変形し、画質が悪化す
る。また、13μmよりも厚いと、サーマルヘッドのエ
ネルギーを高くしなければならず、サーマルヘッドの寿
命が短くなり、印画時間も長くなる。
【0013】この二軸延伸ポリエステルフイルムの片面
(A面)にインキ層、反対面(B面)に背面コート層を
設けることにより、本発明に係るプリンター用転写材が
構成される。
【0014】本発明においては、上記二軸延伸ポリエス
テルフイルムのA面(インキ層側の面)の平均粗さ(中
心線平均粗さ)Raを20〜100nmとすることが必
要であり、好ましくは、40〜90nmの範囲である。
A面の表面粗さRaが20nmよりも小さいと、印字時
にインクとの剥離不良が起こり、印字がかすれたり転写
材(たとえば、リボン)が切れたり、あるいは剥離音の
ため印字時の騒音の問題がでる。表面粗さRaが100
nmよりも大きいと、印字画面がざらつき、鮮明度が落
ちる。
【0015】また本発明においては、二軸延伸ポリエス
テルフイルムのB面(サーマルヘッド側の面)の平均粗
さ(中心線平均粗さ)Raを200nm以下とすること
が必要であり、好ましくは150nm以下である。B面
の表面粗さRaが200nmよりも大きいと、サーマル
ヘッドの発熱部分との距離が大きくなるため、熱伝達効
率が落ち、印字感度が落ちる。また、印字速度を向上す
るためには、よりサーマルヘッドのエネルギーを上げる
必要が生じ、印加エネルギーの増大によりしわ等の問題
が生じやすくなる。
【0016】さらに本発明においては、二軸延伸ポリエ
ステルフイルムのB面の平均粗さRaがA面の表面平均
粗さより大きいことが必要である。B面の平均粗さがA
面のそれよりも小さいと、転写材が印字時にサーマルヘ
ッドに融着しやすくなり、印字不良や印字じわの原因と
なる。
【0017】このように、二軸延伸ポリエステルフイル
ムのA面、B面の表面粗さをそれぞれ最適化するととも
に、それらの大小関係を特定することで、印字不良や印
字じわを生じることなく高速で印字することと、画質の
向上との両立が可能となる。各面をそれぞれ最適化する
ことは、単層のフィルムでも可能ではあるが、A面を形
成するA層とB面を形成するB層との少なくとも2層構
造を有する二軸延伸ポリエステルフイルムとすること
で、容易に達成できる。
【0018】本発明に係るプリンター用転写材において
は、さらに次のような特性を備えていることが好まし
い。
【0019】本発明に係るプリンター用転写材は、プリ
ンターリボン等の、フイルム長手方向に長く延びる形態
で使用されるが、幅方向の寸法は比較的小さいため、と
くに幅方向の機械特性が大きいことが好ましい。すなわ
ち、本発明に係るプリンター用転写材に用いる二軸延伸
ポリエステルフイルムの幅方向の引張弾性率が4.5〜
8GPaの範囲、望ましくは5〜7GPaの範囲にあ
り、幅方向の引張弾性率が長手方向の引張弾性率よりも
大きいことが好ましい。幅方向の引張弾性率が4.5G
Pa未満では、印字時の張力で転写材が変形し、画質が
悪化するおそれがある。また、8GPaを越えると熱収
縮率が大きくなり、印字時の熱収縮で転写材が変形し画
質が悪化するおそれがある。
【0020】また、二軸延伸ポリエステルフイルムの機
械特性を高く保ち、かつ、B層(サーマルヘッド側の
層)の耐熱性を高く保つためには、たとえば、二軸延伸
ポリエステルフイルムにおけるB層側としてポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート系のポリエステルが積層され
ている構成が好ましい。
【0021】二軸延伸ポリエステルフイルムの熱的特性
としては、たとえば、二軸延伸ポリエステルフイルムの
幅方向の150℃、30分の熱収縮率が−1〜1%の範
囲に入るように制御することが好ましい。
【0022】二軸延伸ポリエステルフイルムを少なくと
も2層積層構造とする場合、A層とB層の厚みの関係は
A<Bであることが好ましい。逆でもよいが、B層の厚
みがA層より小さい場合、A層の表面状態にB層中の粒
子が影響しやすくなり、表面粗さの制御が難しくなる。
したがって、B層側のRaをA層側のRaよりも大きく
規定した本発明においては、厚みの関係はA<Bである
ことが好ましい。
【0023】また、本発明においては、二軸延伸ポリエ
ステルフイルムのB面側の表面形態を制御するために、
この面に粒子を含む層をコーティングしてもよい。コー
ティング層には、必要に応じて消泡剤、塗布性架橋剤、
増粘剤、有機系潤滑剤、無機系粒子、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、発砲剤、染料、顔料等、各種粒子や調整剤を
含有せしめることができる。
【0024】二軸延伸ポリエステルフイルムのB面側に
設ける背面コート層としては、例えば、ウレタン系、ポ
リエステル系およびアクリル系の水溶性または水分散性
樹脂群の中から選ばれた塗布層を設けることが好まし
く、とくにこれらのうち少なくとも2種類が塗布されて
いることが好ましい。
【0025】上記のうち、塗布層として用いるウレタン
系樹脂は、それを構成する成分として、以下のようなポ
リオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋剤な
どを用いることができる。ポリオールとしては、たとえ
ば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール
等のポリエーテル類、ポリエチレンアジペート、ポリエ
チレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等の
ポリエステル類、アクリル系ポリオール、ひまし油など
を用いることができる。ポリイソシアネートとしては、
たとえば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを
用いることができる。鎖長延長剤あるいは架橋剤として
は、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’
−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などを用いるこ
とができる。
【0026】また、塗布層として用いるポリエステル樹
脂としては、それを構成する成分として以下のような多
価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を用いること
ができる。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジ
フェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル
酸、5−ソディウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グ
ルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、
無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安
息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらの
エステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒ
ドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−
ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコー
ル、ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド
グリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン
酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなど
を用いることができる。これらの化合物の中から、それ
ぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合反応によりポ
リエステル系樹脂を合成する。また、上記の他、いわゆ
るアクリルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリ
オールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリ
ウレタンなどのポリエステル成分を有する複合高分子も
用いることができる。
【0027】さらに、塗布層として用いるアクリル系樹
脂としては、アルキルアクリレートあるいはアルキルメ
タクリレートを主要な成分とするものが好ましく、当該
成分が30〜90モル%であり、共重合可能でかつ官能
基を有するビニル単量体成分70〜10モル%を含有す
る水溶性あるいは水分散性樹脂である。アルキルアクリ
レートあるいはアルキルメタクリレートと共重合可能で
かつ官能基を有するビニル単量体は、官能基としてカル
ボキシル基またはその塩、酸無水物基、スルホン酸基ま
たはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミ
ド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)またはアルキロ
ール化されたアミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、エ
ポキシ基などを有するビニル単量体である。これらの中
でも特に好ましいものはカルボキシル基またはその塩、
酸無水物基、エポキシ基などである。これらの基は樹脂
中に二種類以上含有されていてもよい。アルキルアクリ
レートおよびアルキルメタクリレートのアルキル基とし
ては、たとえば、メチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキ
シル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基
などを用いることができる。
【0028】次に本発明における二軸延伸ポリエステル
フイルムおよびそれを用いたプリンター用転写材の製造
方法について説明するが、かかる例に限定されるもので
はない。乾燥したポリマーチップを押出機に供給し、該
ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、
溶融したポリマーをスリット状の吐出口を有するTダイ
から押し出し、冷却ロールに密着固化してキャストフイ
ルムを得る。溶融シートと冷却ロールの密着性を向上さ
せるには、通常、静電印加密着法および/または液面塗
布密着法を採用することが好ましい。該キャストフイル
ムは更に二軸に延伸される。好ましくは、ポリマーのガ
ラス転移温度以上、例えば40〜100℃に加熱したロ
ール群で長手方向(縦方向)に2.3〜7倍延伸し、次
いで幅方向(横方向)に好ましくは45〜110℃で3
〜7倍に延伸する。なお、一方向の延伸を2段階以上で
行う方法を用いることができるが、その場合も最終的な
延伸倍率が上記範囲に入ることが好ましい。また、前記
キャストフイルムを、面積倍率が6〜30倍になるよう
に同時二軸延伸することも好ましい。また、二軸延伸ポ
リエステルフイルムの製造時において、縦延伸温度をA
面側とB面側で温度差をつけて延伸することも、本発明
におけるA面側とB面側のそれぞれの表面形態を得る上
で好ましい方法である。
【0029】かくして得られたフイルムを熱処理する
が、必要に応じ熱処理を行う前または後に再度縦及び/
または横方向に延伸してもよい。熱処理温度は150〜
240℃、好ましくは200〜235℃であり、熱処理
時間は通常1秒〜5分である。この熱処理条件で熱収縮
特性を調整することができる。また、熱処理後のフイル
ムの冷却速度も熱収縮特性に影響する。例えば、熱処理
後、フイルムを急冷あるいは徐冷、あるいは中間冷却ゾ
ーンを設けることで加熱収縮応力を調整することができ
る。また、特に特定の熱収縮特性を付与するために、熱
処理時あるいはその後の徐冷ゾーンにおいて縦方向及び
/または横方向に弛緩してもよい。
【0030】フイルムには必要に応じコーティングを施
すこともできる。たとえば、フイルムに塗布層を設ける
ことによりインク層との接着性を向上できる。また、B
面側にコーティングを施すことにより、B面の表面形態
を容易に所望の形態にできる。塗液には防爆性や環境汚
染の点で水溶解、乳化または懸濁したものが用いられ
る。塗布層は結晶配向完了後の二軸延伸フイルムに塗布
する方法あるいは結晶配向完了前のフイルムに塗布した
後延伸する方法があるが、後者の方法が特に好ましい。
塗布する方法は特に限定されないが、ロールコーター、
グラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、
バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、
塗布する前に必要に応じて塗布面に空気中その他種々の
雰囲気中でコロナ放電処理を施しておいてもよい。
【0031】このように製造された二軸延伸ポリエステ
ルフイルムのA面にインキ層、反対面のB面に背面コー
ト層を設けることにより、プリンター用転写材が形成さ
れる。
【0032】〔物性の測定法〕以下に、本発明の規定、
評価に用いた物性の測定法について説明する。(1)引
張弾性率 フイルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分でインス
トロタイプの引張試験機にて測定した。得られた荷重−
伸び曲線の立ち上がり部の接線により計算した。なお、
測定は25℃、65%RHにて行った。
【0033】(2)熱収縮率 測定試料に約30cmの間隔で標線を入れ、加熱オーブ
ン中で張力フリーの状態で一定時間熱処理(150℃、
30分)し、該熱処理後の試料長変化から次式により求
めた。 (熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)/熱処理前の長さ なお、熱処理によってフイルムが伸びた場合は、熱収縮
率は負の値となる。
【0034】(3)平均粗さRa (株)小坂研究所製の高精度薄膜段差計ET−10を用
いて測定した。条件は触芯先端半径0.5μm、針圧5
mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmで行っ
た。平均粗さの定義は例えば奈良治郎著「表面粗さの評
価法」(総合技術センター、1983)に示されている
ものである。
【0035】転写材の特性は、フイルムを5cm幅のテ
ープスリットとして感熱転写リボンとし、サーマルプリ
ンタにかけて実用評価した。
【0036】(4)スティック現象上記感熱転写リボン
とサーマルプリンタの加熱ヘッドとの融着の有無を見
て、次の基準により判定した。 ×・・・融着が生じ、リボンの搬送不良が見られる △・・・融着する傾向があるが、リボンの搬送不良はな
く実用可 ○・・・わずかに融着する傾向があるが、良好 ◎・・・全く問題なく良好
【0037】(5)画質 サーマルプリンターに印字・印刷された画像の濃淡およ
びにじみをみて、次の基準により判定した。 ×・・・画像に濃淡の斑があり、にじみも強く実用不可 △・・・わずかに濃淡の差があり、にじみもあるが、実
用可 ○・・・わずかににじみがみられるが、濃淡はなく良好 ◎・・・濃淡もにじみもなく非常に良好
【0038】
【実施例】実施例1 平均粒径1μmの炭酸カルシウム0.7重量%を含有し
た固有粘度(オルソクロロフェノール中、25℃で測
定)0.65のポリエチレンテレフタレート(ポリマー
A)と、平均粒径1.5μmの二酸化ケイ素粒子0.3
重量%を含有した固有粘度0.65のポリエチレンテレ
フタレート(ポリマーB)を二台の押出機を用いてそれ
ぞれ溶融し、2層となるようにポリマーを合流させた
後、口金からシート状に溶融押出し、回転冷却ドラムに
密着させて冷却固化し、非晶質シートを得た。A層とB
層の厚み比はそれぞれの押出機の吐出量比から調整し
た。
【0039】この非晶質シートを加熱したロールを用い
て縦方向に120℃で2.1倍、次いで115℃で2.
3倍延伸した後、横方向に115℃で4.3倍延伸し、
更に225℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩し
て、厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。得られ
たフイルムの断面を顕微鏡で観察したところ、A層/B
層の厚み比は1.0μm/3.5μmであった。
【0040】実施例2 ポリマーAとして固有粘度が0.65で平均粒径1μm
の炭酸カルシウムを0.7重量%含有したポリエチレン
テレフタレートを用い、ポリマーBとして固有粘度が
0.62で平均粒径1.2μmの二酸化ケイ素粒子を
0.4重量%含有したポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートを用いた。実施例1と同様にして得られた非晶質シ
ートを加熱したロールを用いて縦方向に125℃で2.
1倍、次いで123℃で1.9倍延伸した後、横方向に
125℃で4倍延伸し、更に230℃で熱固定し、その
際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸フ
イルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観察
したところ、A層/B層の厚み比は1.0μm/3.5
μmであった。
【0041】実施例3 ポリマーとして固有粘度が0.65で平均粒径1.2μ
mの炭酸カルシウムを0.6重量%含有したポリエチレ
ンテレフタレートを用いた。実施例1と同様にして得ら
れた非晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に1
20℃で2.1倍、次いで115℃で1.9倍延伸した
後、B面側にコーティングを行った。
【0042】コーティング組成は、 ・水分散性ポリエステルA(テレフタル酸/イソフタル
酸/トリメリット酸/エチレングリコール/ポリエチレ
ングリコール:35/40/25/100モル%、ポリ
エチレングリコールは樹脂中10重量%)、 ・水分散性アクリルB(メチルメタクリレート/n−ブ
チルアクリレート/スチレン/アクリル酸:45/25
/20/10モル%) ・水性オキサゾリンC ・シリカ粒子D:平均粒径0.3μm ・固形分比:A/B/C/D=60/40/5/2 ・最終塗布厚み:0.1μm とした。
【0043】さらに横方向に115℃で4倍延伸し、更
に230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩して、
厚さ4.5μmの二軸延伸フイルムを得た。
【0044】実施例4 ポリマーはそれぞれ実施例3と同様のものを用いた。非
晶質シートを加熱したロールを用いて縦方向に延伸する
際、まずA面およびB面それぞれのロールとも120℃
で2.1倍、次いでA面側ロールが105℃、B面側ロ
ールが115℃の温度条件で1.9倍延伸し、更に横方
向に115℃で4倍延伸し、更に230℃で熱固定し、
その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延
伸フイルムを得た。
【0045】実施例5 ポリマーAとして固有粘度が0.65で平均粒径1μm
の二酸化ケイ素粒子を0.4重量%含有したポリエチレ
ンテレフタレートを用い、ポリマーBとして固有粘度が
0.65で平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム粒子を
0.7重量%含有したポリエチレンテレフタレートを用
いた。
【0046】実施例1と同様にして得られた非晶質シー
トを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1
倍、次いで115℃で2.3倍延伸した後、横方向に1
15℃で4.3倍延伸し、更に225℃で熱固定し、そ
の際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸
フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕微鏡で観
察したところ、A層/B層の厚み比は3.8μm/0.
7μmであった。
【0047】実施例6 ポリマーは実施例5と同様とし、非晶質シートを同時二
軸延伸装置を用い、120℃で縦方向に4.5倍、横方
向に4.5倍同時二軸延伸を行い、更に225℃で熱固
定し、その際幅方向に5%弛緩して、厚さ4.5μmの
二軸延伸フイルムを得た。得られたフイルムの断面を顕
微鏡で観察したところ、A層/B層の厚み比は3.8μ
m/0.7μmであった。
【0048】比較例 単層フイルムとし、ポリマーとして固有粘度が0.65
で平均粒径1μmの炭酸カルシウムを0.7重量%含有
したポリエチレンテレフタレートを用いた。非晶質シー
トを加熱したロールを用いて縦方向に120℃で2.1
倍、次いで115℃で2.3倍延伸した後、横方向に1
15℃で3.8倍延伸し、更に225℃で熱固定し、そ
の際幅方向に2%弛緩して、厚さ4.5μmの二軸延伸
フイルムを得た。
【0049】上記各実施例、比較例で得られたフイルム
の表面に、 カルナウバワックス :30重量% エステルワックス :35重量% カーボンブラック :12重量% ポリテトラヒドロフラン:10重量% シリコーンオイル : 3重量% からなる転写インキ層を、加熱ロールによるホットメル
トコーティング法により厚み5μmとなるように塗布し
て転写材を得た。各実施例、比較例におけるフイルムの
特性および転写材の特性を表1、表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプリンタ
ー用転写材およびその製造方法によれば、転写材のベー
スとなる二軸延伸ポリエステルフイルムの厚みを特定の
範囲に規定するとともに、A面、B面の表面粗さを特定
の範囲に規定し、かつ、表面粗さの大小関係を特定した
ので、印字画質の向上とサーマルヘッドへの融着防止、
印字じわ低減の両立が可能となり、優れた画質を確保し
つつ印刷速度を向上することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み1.5〜13μmの二軸延伸ポリエ
    ステルフイルムの片面(A面)にインキ層、反対面(B
    面)に背面コート層を設けてなるプリンター用転写材で
    あって、フイルムのA面の平均粗さRaが20〜100
    nm、B面の平均粗さRaが200nm以下で、かつ、
    A面の表面平均粗さより大きいことを特徴とするプリン
    ター用転写材。
  2. 【請求項2】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムがA
    面を形成するA層とB面を形成するB層との少なくとも
    2層構造を有する、請求項1記載のプリンター用転写
    材。
  3. 【請求項3】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムの幅
    方向の引張弾性率が4.5〜8GPaであり、幅方向の
    引張弾性率が長手方向の引張弾性率よりも大きい、請求
    項1または2記載のプリンター用転写材。
  4. 【請求項4】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムにお
    けるB層側としてポリエチレン−2,6−ナフタレート
    系のポリエステルが積層されている、請求項2または3
    記載のプリンター用転写材。
  5. 【請求項5】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムの幅
    方向の150℃、30分の熱収縮率が−1〜1%の範囲
    にある、請求項1〜4のいずれかに記載のプリンター用
    転写材。
  6. 【請求項6】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムのB
    面側に粒子を含む層がコーティングされている、請求項
    1〜5のいずれかに記載のプリンター用転写材。
  7. 【請求項7】 厚み1.5〜13μmの二軸延伸ポリエ
    ステルフイルムの片面(A面)にインキ層、反対面(B
    面)に背面コート層を設けてプリンター用転写材を製造
    するに際し、前記フイルムのA面の平均粗さRaを20
    〜100nm、B面の平均粗さRaを200nm以下
    で、かつ、A面の表面平均粗さより大きくすることを特
    徴とするプリンター用転写材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムの製
    造時において、縦延伸温度をA面側とB面側で温度差を
    つけて延伸する、請求項7記載のプリンター用転写材の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記二軸延伸ポリエステルフイルムを同
    時二軸延伸によって製造する、請求項7記載のプリンタ
    ー用転写材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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