JP4193079B2 - 変異型逆転写酵素 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伸長性特に高温域での伸長性に優れた逆転写酵素、該逆転写酵素をコ−ドする遺伝子および該遺伝子を使用する該逆転写酵素の製造方法ならびに該逆転写酵素を利用したcDNAの合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からレトロウイルス、特にモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)やヒト後天性免疫不全ウイルス(HIV)、トリ骨髄芽症ウイルス(AMV)由来の逆転写酵素については多くの研究がなされ、様々な機能、性質が知られてきている。加えて、RNAを鋳型としてこれに相補的なDNA(cDNA)を合成することができるという特徴的な性質により、多くの分子生物学的手法、例えばcDNAライブラリーの構築、RT−PCRなどに用いられている。mRNAの塩基配列は、発現されている蛋白質のアミノ酸配列を反映していることから、その解析の意義は遺伝子産物の機能を知る上で非常に大きい。
【0003】
一方、これまでに報告されているレトロウイルス由来の逆転写酵素の多くが、DNA−RNAハイブリッド2本鎖のRNAを分解する活性、すなわちRNaseH活性を有することが知られている。この活性の存在は、cDNAを合成する際に鋳型−プライマー複合体の鋳型を分解し、その分解位置がプライマーの3’端に近い場合は、鋳型−プライマー複合体が解離されるため伸長性が低下するという結果を招く。このような問題を排除するため、実質的にRNaseH活性を有していない逆転写酵素が開発されてきた。
【0004】
モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)由来の逆転写酵素は、そのアミノ酸配列の相同性および様々な機能解析から、その蛋白質のC末端側約200残基がRNaseH活性を担うドメインであることが知られている(Reversetranscriptase, Cold Spring Habor Monograph 第135〜162頁、1993年)。現在、RNaseH活性を欠失したMMLV由来の逆転写酵素としては、RNaseHドメインのアミノ酸を削除したデリーション型が東洋紡績から、アミノ酸の置換により機能を欠失した点変異型がスーパースクリプトIIという商品名でライフテクノロジー社から入手することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの逆転写酵素をもってしても完全長のcDNAが取得できない場合がある。その理由としては、鋳型RNAの配列に起因する高次構造のため逆転写酵素の結合が阻害される、あるいは合成途上のDNA鎖の3’末端に鋳型RNAと相補的でないヌクレオチドが取り込まれ伸長反応が阻害されるといったことが考えられている。そのため、従来のものよりも、より高い温度域において反応できる伸長性の高い逆転写酵素の開発が待ち望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これまで報告されている逆転写酵素のアミノ酸配列はいくつかの共通の保存領域を有するが、その中でもTyr(タイロシン)−X−Asp(アスパラギン酸)−Asp(アスパラギン酸)で表される配列はほとんどの逆転写酵素に存在する。Xについては様々なバリエーションがあり、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)カリフラワーモザイクウイルス(CAMV)ではバリン、ヒト後天性免疫不全ウイルス(HIV)、ラウスサルコーマウイルス(RSV)ではメチオニンなどである。この領域は結晶構造解析などから2価金属イオンの結合部位として機能することが知られており、酵素活性の発現に重要な役割を果たしている(Structure 第15巻、第879〜892頁、1995年)。
【0007】
さらに最近になって、Xのアミノ酸の種類がHIV由来の逆転写酵素の伸長性に大きく関与しているという報告がなされた。すなわち、HIV由来の逆転写酵素の野生型はXの位置にメチオニンをもつが、これをバリンあるいはスレオニンに変換すると、鋳型に対して誤ったヌクレオチドが取り込まれた(ミスインコーポレーションされた)伸長鎖の3’端を伸長する能力が低下するという現象が報告されている(Nucleic Acids Research 第25巻、第3212〜3217頁、1997年)。
【0008】
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意検討の結果、MMLV由来の逆転写酵素にポイントミューテーションによる改良を加えることにより、野生型の該逆転写酵素に比して伸長性、耐熱性を向上することができることを見出し、本発明に到達した。その具体的な例としてには、MMLV由来の逆転写酵素の584番目のアスパラギン酸をアスパラギンに置換するアミノ酸変異を加え、RNaseH活性を欠失したものに、さらに上述の保存領域のXに相当する224番目のバリンをメチオニンに置換するアミノ酸変異を加えることにより、cDNA合成の伸長性が、従来の反応温度領域である42℃から従来は反応性に乏しかった60℃の間で向上せしめるものである。
【0009】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)野生型に比して伸長性が向上したことを特徴とする変異型逆転写酵素。
(2)伸長性が42〜60℃の範囲で向上した(1)の変異型逆転写酵素。
(3)RNaseH活性を実質的に有していない(1)または(2)の変異型逆転写酵素。
(4)Tyr Met Asp Asp で表されるアミノ酸配列を含む(1)〜(3)のいずれかの変異型逆転写酵素。
(5)モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)に由来する(1)〜(4)のいずれかの変異型逆転写酵素。
(6)配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなる(5)の変異型逆転写酵素。
(7)配列番号1に記載されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有することを特徴とするDNAフラグメント。
(8)配列番号2に記載されるヌクレオチド配列を含む(7)のDNAフラグメント。
(9)(7)または(8)のDNAフラグメントをベクターに挿入したことを特徴とするDNA組換えベクター。
(10)(9)のDNA組換えベクターを用いて形質転換されたことを特徴とする組換え宿主細胞。
(11)宿主細胞がエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)である(10)の組換え宿主細胞。
(12)(10)または(11)の組換え宿主を培養し、培養液から逆転写酵素を採取することを特徴とする変異型逆転写酵素の製造方法。
(13)(1)〜(6)いずれかの変異型逆転写酵素を用い、かつRNAを鋳型とすることを特徴とするcDNAの合成方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における変異型逆転写酵素は、野生型に比してcDNA合成の伸長性が向上したことを特徴とするものである。特に42〜60℃の範囲において、すなわち、従来の反応温度領域である42℃から、従来は反応性に乏しかった60℃までの間で向上したものである。ここで、逆転写酵素の伸長性とは、より長いcDNAを合成する能力のことをいう。また、変異型逆転写酵素とは、野生型逆転写酵素に対しアミノ酸の置換、欠失、挿入等の変異操作を行うことにより得られるものをいう。
【0011】
本発明における変異型逆転写酵素は、好適にはRNaseH活性を実質的に有していない。ここで、RNaseH活性を実質的に有していないとは、逆転写活性1ユニットにつきRNaseH活性10-6ユニット以下のものをいう。
【0012】
本発明における逆転写酵素の好適な例としては、Tyr Met Asp Asp で表されるアミノ酸配列を含んでいる。該アミノ酸配列を有する逆転写酵素は、例えば、MMLV由来の逆転写酵素にアミノ酸変異を導入することにより得ることができる。本発明においてアミノ酸変異の導入は、当業者がなし得る方法であればいかなる方法でもよい。例えば、サイトディレクテッドミュータジェネシス法が挙げられる(Methods Enzymol. 第154巻、第382頁、1987年)。
【0013】
本発明のDNAフラグメントは、伸長性の向上した変異型逆転写酵素をコードするDNAであり、該DNAフラグメントの一例は配列番号1に記載されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有する。また、このようなDNAは配列番号2記載される塩基配列またはその一部分を含有する。
【0014】
さらに本発明のDNA組換えベクターは、上記DNAフラグメントをベクターに挿入することにより得られるものである。該ベクターは、変異型逆転写酵素のクローニング及び発現を可能とするものであればいかなるものでもよく、例えばファージ及びプラスミドが挙げられる。プラスミドとしてはpUC118,pUC18、pBR322、pBluescript、pLED−M1、p73、pGW7、pET3a、pET8cなどが挙げられる。一方、ファージとしては例えばλgt11、λZAPIIなどが挙げられる。
【0015】
また本発明の組換え宿主細胞は、上記DNA組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られるものである。該宿主細胞としては、大腸菌、酵母などが挙げられが、特に大腸菌が好ましい。大腸菌としては、例えばエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α、JM109、HB101、XL1Blue、PR1、HS641(DE3)、BL21(DE3)などが挙げられる。すなわち、本発明においては、上記の伸長性の向上した変異型逆転写酵素をコードする遺伝子を上記ベクターに挿入してDNA組換えベクターとし、さらに該組換え発現ベクターにて宿主細胞を形質転換する。
【0016】
また、本発明における変異型逆転写酵素の製造方法は、上記組換え宿主細胞を培養し、培養液から逆転写酵素を採取することを特徴とする。該組換え宿主細胞の培養に使用する培地ならびに条件は常法に従う。具体例としては、伸長性の向上した変異型逆転写酵素遺伝子を含むプラスミドにより形質転換された大腸菌を、例えばTB培地にて培養することにより、該変異型逆転写酵素を得ることができる。
【0017】
上記変異型逆転写酵素の精製方法としては、例えば、(a)組換え宿主を集めた後、破砕して、細胞抽出物を調製し、(b)宿主細胞由来の不純蛋白質を除去する工程を含む。組換え宿主細胞より産出された伸長性の向上した変異型逆転写酵素は、宿主菌体を培地で培養後、培養液から遠心分離等にて分離・回収する。該菌体を緩衝液に再懸濁した後、超音波処理、ダイノミル・フレンチプレンス等により菌体を破砕する。
【0018】
次いで、カラムクロマトグラフィーを実施し、伸長性の向上した変異型逆転写酵素を回収する。カラムクロマトグラフィーは、陽イオン交換体、例えばフォスフォセルロース、あるいは疎水性吸着体、例えばブチルセファロース、あるいはアフィニティー吸着体ヘパリンセファロースなどが好ましい。
【0019】
上記のようにして取得した伸長性の向上した変異型逆転写酵素の分子量は、好ましくは約74KDaである。
【0020】
本発明における変異型逆転写酵素を用いることにより、RNAを鋳型とし、より長いcDNAを合成することを可能とする。本発明における変異型逆転写酵素を用いて合成可能なcDNAの長さは、その反応条件等によっても異なるが、少なくとも9.4kb以上の伸長が可能であり、条件次第では従来の逆転写酵素を用いては実現出来なかった14kb以上の伸長も可能とする。本発明の変異型逆転写酵素を用いた場合、同一の条件で従来の野性型の逆転写酵素を用いた場合とその伸長性を対比した場合、2倍以上の伸長性を増大することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0022】
実施例1 MMLV逆転写酵素への点突然変異の導入
野生型MMLV逆転写酵素発現プラスミドpRT30−2はコロンビア大学・ゴッフ教授より分譲入手した。
【0023】
点突然変異の導入はトランスフォーマーキット(クロンテック製)を用い、説明書の指示に従って行った。2種の制限酵素選択プライマーおよび2種の変異導入プライマー(配列番号3、4、5、6)を合成した。配列番号3はベータラクタマーゼ遺伝子中のScaI部位をMluIに変換するプライマーである。配列番号4は上記で変換されたベータラクタマーゼ遺伝子中のMluI部位をScaIに変換するプライマーである。配列番号5はMMLV逆転写酵素遺伝子中の670番目のグアニンをアデニンに変換する(すなわち、アミノ酸配列の224番目のバリンをメチオニンに変換する)プライマーである。配列番号6はMMLV逆転写酵素遺伝子中の1750番目のグアニンをアデニンに変換する(すなわち、アミノ酸配列の584番目のアスパラギン酸をアスパラギンに変換する)プライマーである。
【0024】
それぞれのプライマー200pmolを1mM ATP、5ユニット ポリヌクレオチドキナーゼ(東洋紡績製)を含むキナーゼバッファー中、37℃で30分間インキュベートし、5’末端をリン酸化した。その後、75℃で15分間インキュベートしてポリヌクレオチドキナーゼを失活させた。
【0025】
pRT30−2 0.1μg、5’末端をリン酸化した配列番号3および6のプライマーをそれぞれ10pmol、上記キット添付のアニーリングバッファー2μlを含む20μlの溶液を、100℃で3分間インキュベートした後、直ちに5分間氷冷した。
【0026】
これに蒸留水5μl、キット添付のシンセシスバッファー3μl、T4リガーゼ1μl、T4DNAポリメラーゼ1μlを加え、37℃で1時間インキュベートした後、75℃で15分間インキュベートし酵素を失活させた。これにHバッファー3μl、ScaI20ユニットを加え37℃で2時間インキュベートした。
【0027】
このうち1μlをエシェリヒア・コリBMH71−18株コンピテントセル100μlに加え、30分間氷冷した後、42℃で30秒間インキュベートし、900μlのSOC培地を加え37℃で1時間インキュベートした。これに50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地5mlを加え、37℃で一晩インキュベートした。
【0028】
上記のようにして得られた菌体から定法によりプラスミドを抽出し、そのうち50ngにScaI10ユニット、Hバッファー2μlを加え全量を20μlとし,37℃で2時間インキュベートした。この反応液2μlをエシェリヒア・コリDH5αコンピテントセルに加えて、定法に従い形質転換した。
【0029】
上記のようにして得られたコロニーをLB培地2.5mlに懸濁し、一晩培養した後、定法に従いプラスミドを抽出した。このプラスミドがMluIで切断されるものについて塩基配列をサンガー法で確認し、MMLV逆転写酵素遺伝子中の1747番目のグアニンがアデニンに変換されている(すなわち、アミノ酸配列の584番目のアスパラギン酸がアスパラギンに変換されている)プラスミドpD584Nを取得した。
【0030】
上記と同様にして、配列番号5のプライマーを用い、MMLV逆転写酵素遺伝子中の670番目のグアニンがアデニンに変換されている(すなわち、アミノ酸配列の223番目のバリンがメチオニンに変換されている)プラスミドpV224Mを取得した。
【0031】
また、pD584Nをもとに配列番号4および5のプライマーを用い1750番目のグアニンがアデニンに変換され(すなわち、アミノ酸配列の584番目のアスパラギン酸がアスパラギンに変換されている)、かつ670番目のグアニンがアデニンに変換されている(すなわち、アミノ酸配列の224番目のバリンがメチオニンに変換されている)プラスミドpDNVMを取得した。
【0032】
実施例2 形質転換体の作製
実施例1で得られた各プラスミド1ngをエシェリヒア・コリDH5α100μlに加え、30分間氷冷した後、42℃で30秒間インキュベートし、900μlのSOC培地を加え37℃で1時間インキュベートした。これを50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上にて37℃で一晩インキュベートし、形質転換体を得た。
【0033】
実施例3 形質転換体の培養
実施例2で得られた各形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含むTB培地100mlに懸濁し、37℃で一晩インキュベートした。得られた菌体を12,000回転/分で5分間遠心分離することにより回収した。
【0034】
実施例4 MMLV逆転写酵素の精製
実施例3で得られたそれぞれの菌体について以下の操作を行った。菌体10gをバッファー1(20mMトリス−塩酸(pH7.5)、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、100mM塩化ナトリウム)20mlに懸濁した。これを超音波破砕機で破砕し、12000回転/分で10分間遠心分離することにより沈殿を分離した。得られた上清に0.6%ポリエチレンイミン溶液を0.4ml添加し、30分間攪拌した。これを12000回転/分で10分間遠心分離することにより沈殿を分離し、上清を回収した。この液に硫酸アンモニウムを4.56g加え、30分間攪拌した。これを12000回転/分で10分間遠心分離することにより沈殿を分離し回収した。
【0035】
得られた沈殿をバッファー2(20mMトリス−塩酸(pH7.5)、0.1mM EDTA、5mMメルカプトエタノール、50mM塩化ナトリウム、10%グリセロール)5mlに溶解し、100mlのバッファー2に対して透析した。これをDEAEセファロースカラム(5ml)にチャージし、非吸着画分を回収した。これをフォスフォセルロースカラム(5ml)にチャージし、10mlのバッファー2で洗浄後、0〜500mM NaClのグラジェントバッファー2 40mlで溶出した。
【0036】
得られたフラクションのうち、逆転写酵素活性を含みRNaseH活性を有していない画分をプールした。次いで、これをヘパリンセファロースカラム(3ml)に供し、0〜1M NaClのグラジェントバッファー2により溶出し、逆転写酵素活性を含む画分を回収した。以上の操作により、SDS−PAGEにおいてほぼ単一なバンドを示す10mgの蛋白質を得た。pD584Nを有する菌体から得られた蛋白質をD584N、pV224Mを有する菌体から得られた蛋白質をV224M、pDNVMを有する菌体から得られた蛋白質をV224M+D584Nとした。
【0037】
実施例5 cDNA合成伸長能力の比較
下記の組成物を調製した。
蒸留水 12μl
5×1st strand synthesis buffer 2.0μl(LifeTech製)
10mM dNTP 2.0μl
(α−32P)dTTP(370kBq/μl) 1.0μl
RNA Ladder 0.5μl(LifeTech製)
100pmol/μl(dT)30 1.0μl
RNaseインヒビター(20units /μl) 0.5μl
逆転写酵素(10units /μl) 1.0μl
【0038】
比較のため、逆転写酵素は野生型、RNaseH欠失型(東洋紡績製)、SuperscriptII(LifeTech製)および実施例4で得られたV223M+D583Nを用いた。これを42℃,50℃、55℃、60℃で1時間インキュベートした。停止液(20mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA、0.05%BPB、20%グリセロール)を4μl加えて反応終了後、アガロースゲルを用いて電気泳動を行った。ゲルドライヤーにてゲルを乾燥した後、オートラジオグラフィーを行った。その結果、V224M+D584Nで合成を行ったものは42℃から60℃の間で他の酵素に比べ、より長いcDNAの伸長が観察された。
【0039】
実施例6 RT−PCRによるcDNA合成伸長能力の比較
ヒトジストロフィンのmRNAは約14kbの長さを持つことが知られている。配列番号7に示されるオリゴヌクレオチドはこのmRNAの3’端に相補的に結合するように設計されている。このプライマーを用いてcDNA合成反応を行った後、配列番号8および9に示されるプライマーセットを用いPCRを行った。このプライマーセットはmRNAの5’端約400bpを増幅するように設計されており、cDNA合成が5’端まで到達していれば増幅が確認できる。
【0040】
cDNA合成反応は以下の反応液を調製し、42℃で30分インキュベートすることにより行った。
【0041】
蒸留水 11μl
5×1st strand synthesis buffer 4.0μl(東洋紡績製)
10mM dNTP 2.0μl
ヒト骨格筋polyA+RNA(0.1μg/μl)1.0μl(CloneTech 製)
プライマー配列番号7(10pmol/μl) 1.0μl
逆転写酵素(100units /μl) 1.0μl
【0042】
PCRは以下の反応液を調製し、98℃で30秒、68℃で30秒の熱サイクルを30回繰り返すことにより行った。
【0043】
蒸留水 7.0μl
10×KOD dash buffer 2.0μl(東洋紡績製)
cDNA合成反応液 8.0μl
プライマー配列番号8(10pmol/μl) 1.0μl
プライマー配列番号9(10pmol/μl) 1.0μl
KOD dash(2.5units /μl) 1.0μl(東洋紡績製)
【0044】
熱サイクル終了後、反応液5μlをアガロースゲル電気泳動に供し、増幅産物を検出した。その結果、図2に示されるようにV224M+D584NでcDNA合成を行ったものは増幅産物が確認され、約14kbのcDNAが合成されていることが示唆されたが、野生型およびスーパースクリプトIIにおいては増幅産物が観察されなかった。これよりV224M+D584Nはこれらの酵素に比べて、より長いcDNAの伸長が可能であることが示唆された。
【0045】
【発明の効果】
上述したように、本発明における伸長性の向上した変異型逆転写酵素は、42〜60℃の間で野生型および従来のRNaseH欠失型の逆転写酵素に比べて、伸長性が向上しており、完全長cDNAを合成するのに適した酵素である(図1参照)。
【0046】
【配列表】
Figure 0004193079
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【0047】
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【0048】
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【0049】
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【0050】
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【0051】
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【0052】
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【0053】
Figure 0004193079
【0054】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 野生型、従来のRNaseH欠失型、スーパースクリプトIIおよびV224M+D584NのcDNA合成反応における伸長性を示した図である。
【図2】 ジストロフィンmRNAを標的とした、RT−PCR増幅産物の電気泳動図である。

Claims (8)

  1. 配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなる変異型逆転写酵素。
  2. 配列番号1に記載されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有することを特徴とするDNAフラグメント。
  3. 配列番号2に記載されるヌクレオチド配列を含む請求項記載のDNAフラグメント。
  4. 請求項またはに記載のDNAフラグメントをベクターに挿入したことを特徴とするDNA組換えベクター。
  5. 請求項記載のDNA組換えベクターを用いて形質転換されたことを特徴とする組換え宿主細胞。
  6. 宿主細胞がエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)である請求項記載の組換え宿主細胞。
  7. 請求項またはに記載の組換え宿主を培養し、培養液から逆転写酵素を採取することを特徴とする変異型逆転写酵素の製造方法。
  8. 請求項に記載の変異型逆転写酵素を用い、かつRNAを鋳型とすることを特徴とするcDNAの合成方法。
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