JP4192996B1 - 高速回転機器のアンバランス修正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速回転機器の生産ラインにおける生産性の低下を防止することができるとともに、治具に支持されるワークの姿勢のバラツキを低減することや、ワークを治具に対して固定するための部材(クランプ部材)の振動を抑制することができ、アンバランス修正についての精度を向上することができる高速回転機器のアンバランス修正装置を提供すること。
【解決手段】ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプして固定する複数の爪構造体10(クランプ部材)と、爪構造体10を移動させるとともに付勢するシリンダ機構30と、シリンダ機構30による爪構造体10を移動させる移動量および付勢する付勢力を調整するための電磁弁35と、爪構造体10の位置を検出する位置センサ37と、位置センサ37により検出された爪構造体10の位置のズレ量が、許容値よりも小さくなるように、各電磁弁35を制御する姿勢制御手段とを備える構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車エンジンに備えられるターボチャージャ等の、比較的高速で回転する回転部を有する高速回転機器について、その回転部のアンバランスを修正するために用いられる高速回転機器のアンバランス修正装置に関する。
比較的高速で回転する回転部を有する高速回転機器においては、その回転部における残留アンバランス(回転部を構成する部品の加工後や組立後に残存するアンバランス)が大きいと、回転部がその回転にともなって振動過大となり、回転部の周りのハウジングの振動やそれにともなう騒音等の不具合が生じる場合がある。このような高速回転機器の一例として、自動車エンジンに備えられるターボチャージャがある。ターボチャージャにおいては、その回転部の回転数が、例えば15万rpm以上にも及ぶ場合がある。このため、ターボチャージャにおける回転部の残留アンバランスが大きいと、その回転部の振動過大により、前記のような不具合に加え、回転部が支持される軸受部におけるベアリングの焼付き等の現象が発生する場合がある。
ここで、ターボチャージャを例に、高速回転機器におけるアンバランスに起因する不具合の発生メカニズムについて、図17を用いて説明する。図17はターボチャージャにおけるアンバランスに起因する不具合の発生メカニズムについての説明図である。
ターボチャージャ102は、回転部を有する。回転部は、回転軸121と、この回転軸121の一端(図17において左端)に設けられるタービンロータ122と、回転軸121の他端(図17において右端)に設けられるコンプレッサロータ123とを有する。つまり、ターボチャージャ102が有する回転部は、回転軸121とタービンロータ122とコンプレッサロータ123とが組み立てられ一体的に回転する回転体として構成される。
回転軸121は、センターハウジング124に回転自在に支持される。回転軸121は、センターハウジング124に対して、二箇所に設けられる軸受125を介して支持される。つまり、軸受125は、回転軸121とセンターハウジング124との間に介装された状態となる。タービンロータ122は、センターハウジング124の一側(図17において左側)に取り付けられるタービンハウジング126に収容される。なお、図示は省略するが、ターボチャージャ102が実際に製品として使用される場合は、コンプレッサロータ123は、センターハウジング124の他側(図17において右側)に取り付けられるコンプレッサハウジングに収容されることとなる。
このような構成を備えるターボチャージャ102により、エンジンからの排気が、回収されて圧縮され、吸気として再度エンジンに供給される。すなわち、ターボチャージャ102においては、エンジンからの排気により、タービンハウジング126内のタービンロータ122が回転する。タービンロータ122が回転することにより、回転軸121を介してコンプレッサロータ123が回転する。このコンプレッサロータ123の回転により、ターボチャージャ102内に回収されたエンジンからの排気が、圧縮されて吸気として再びエンジンに供給される。
このような構成を備えるターボチャージャ102において、図17(a)に示すように、例えばコンプレッサロータ123にアンバランス部127が存在することにより、回転部の(回転軸121の)回転軸線Cから距離rの位置に、質量mのアンバランスが、回転部に存在する場合を仮定する。かかる場合、回転部(回転軸121、タービンロータ122、およびコンプレッサロータ123からなる回転体)の回転により、軸受125は、回転軸121から遠心力としてmrωの反力を受ける(図17(b)参照)。
軸受125が受けた回転軸121からの反力は、センターハウジング124に伝達される(図17(c)参照)。センターハウジング124においては、軸受125を介して受けた力により、振動が生じる。センターハウジング124の振動は、タービンハウジング126に伝達される(図17(d)参照)。ここで、ターボチャージャ102においては、図17(d)に示すように、センターハウジング124とタービンハウジング126とは、ボルト128が用いられて締結固定される。このため、センターハウジング124とタービンハウジング126との間で良好な振動伝達性が得られ、回転部のアンバランスを起振源として発生した振動は、タービンハウジング126に伝わりやすくなる。なお、ボルト128は、センターハウジング124の端部に形成されるフランジ部124aを介してタービンハウジング126に螺挿される。このようにして、回転部の回転にともなってタービンハウジング126が振動することで、ターボチャージャ102による騒音が発生する。
このように、ターボチャージャ102においては、その回転部のアンバランスに起因して、タービンハウジング126の振動にともなう騒音という不具合が発生する。
タービンハウジング126の振動は、ターボチャージャ102が備えられるエンジンが搭載される自動車等の車両の騒音と相関が高い。このため、タービンハウジング126での振動を低減させることが、ターボチャージャ102による騒音を低減させることについての中間特性とされている。つまり、ターボチャージャ102において、回転部のアンバランスが修正されることにより、タービンハウジング126についての振動が抑制され、ターボチャージャ102で発生する騒音が低減される。
そこで、ターボチャージャ等の高速回転機器においては、その回転部の残留アンバランスに起因する不具合を防止するため、回転部についてのアンバランス修正が行われている(例えば、特許文献1参照。)。アンバランス修正の一例について、高速回転機器が前述したターボチャージャ102である場合を例に図18を用いて説明する。図18はアンバランス修正時におけるターボチャージャの状態を示す図である。
ターボチャージャ102のアンバランス修正に際しては、アンバランス修正装置が用いられる。アンバランス修正装置においては、防振支持等された架台上に、ターボチャージャ102を支持する治具として、タービンハウジング部103が設けられる。タービンハウジング部103は、製品としてのターボチャージャ102におけるタービンハウジング126(図17参照)に相当する部材により構成される。このタービンハウジング部103に対して、ターボチャージャ102の回転部(回転軸121、タービンロータ122、およびコンプレッサロータ123からなる回転体)およびセンターハウジング124を含む構成(以下「ワーク120」とする。)が取り付けられる。ワーク120のタービンハウジング部103に対する取付けに際しては、センターハウジング124が、タービンハウジング部103に固定される。また、アンバランス修正装置における所定の位置(例えばタービンハウジング部103)には、振動検出手段としての加速度ピックアップが設けられる。
そして、ワーク120がタービンハウジング部103に取り付けられた状態において、エンジンからの排気と同様のエア(排気ガス圧に相当する圧力を有する圧縮エア)が、エア源からタービンハウジング部103に対して供給され、タービンロータ122を介してこれを含む回転部が回転させられる。
アンバランス修正に際しては、ワーク120の回転部(以下「ワーク回転部」という。)は、予め定められた所定の回転数(例えば7万rpm、以下「アンバランス修正回転数」という。)で回転させられる。つまり、ワーク回転部がアンバランス修正回転数で回転している状態での振動加速度が、加速度ピックアップによって検出される。この検出された振動加速度の値に基づいて、ワーク回転部のアンバランスが測定される。
そして、測定されたアンバランスの値に基づき、ワーク回転部のアンバランスの修正が行われる。ワーク回転部についてのアンバランスの修正は、例えば、ワーク回転部において、コンプレッサロータ123を回転軸121に固定するために用いられるナットの部分等の、所定の部分が研削機等で削られることにより行われる。
このようにして行われるターボチャージャ102のアンバランス修正においては、ワーク120の(センターハウジング124の)タービンハウジング部103に対する固定に際し、製品としてのターボチャージャ102におけるセンターハウジング124のタービンハウジング126に対する固定と同様に、ボルト固定を用いることが考えられる(図17(d)参照)。
しかし、ターボチャージャ102のアンバランス修正に際してワーク120を治具(タービンハウジング部103)に対してボルト固定することは、ターボチャージャ102の生産ラインにおいて生産性の低下につながる。つまり、ターボチャージャ102の生産ラインにおいて行われるアンバランス修正の都度、ワーク120の治具に対する取付けに際して複数のボルトを締め付けて固定することは、生産性の面から好ましくない。
そこで、ターボチャージャ102のアンバランス修正において、ワーク120の治具に対する固定に際し、クランプ方式を用いることが行われている。具体的には次のとおりである。
図18に示すように、クランプ方式においては、ワーク120のタービンハウジング部103に対する固定に際し、係止爪111が用いられる。係止爪111は、ワーク回転部の回転方向に所定の間隔を隔てて複数(図18では二個図示)設けられる。この係止爪111により、センターハウジング124のフランジ部124aがタービンハウジング部103に対して押え付けられることにより、ワーク120がタービンハウジング部103に対して固定される。すなわち、係止爪111は、センターハウジング124のフランジ部124aをタービンハウジング部103に対して押え付けるための係止部113を有する。この係止部113がフランジ部124aに係止した状態で、係止爪111が、その係止部113によってセンターハウジング124のフランジ部124aを押え付ける方向(図18において左方向)に付勢されることにより、センターハウジング124がタービンハウジング部103に対して固定される。ここで、係止爪111は、その一側(図18において左側)から延出するロッド部112を介して、例えばシリンダ機構によって引っ張られることにより、前記押え付ける方向に付勢される。
このように、ワーク120の治具に対する固定に際してクランプ方式が用いられるアンバランス修正装置においては、次のような問題が生じる。
アンバランス修正に際しては、前記のとおり治具であるタービンハウジング部103は、複数のワーク120に対して共通の治具として用いられる。そして、ワーク120がクランプされることでタービンハウジング部103に対して固定される構成においては、ワーク120のタービンハウジング部103に対してクランプされた状態(以下「クランプ状態」という。)での、ワーク120のタービンハウジング部103に対する姿勢(以下「ワーク姿勢」という。)に、バラツキが生じる場合がある。
すなわち、図18に示すように、ワーク120は、そのワーク回転部の回転軸線の方向が略水平方向(図18における左右方向)となる姿勢で、タービンハウジング部103における略鉛直方向の面部に対して支持される。したがって、タービンハウジング部103に支持された状態のワーク120においては、その自重による重力が、支持される方向(図18において左方向)とは異なる方向(図18において下方向)に作用する。
クランプ状態のワーク120に作用する自重による重力は、図19に誇張して示すように、センターハウジング24のフランジ部24aの下端部が接触した状態でワーク120が傾くように作用することとなる。また、ワーク姿勢が傾くと、係止爪111による係止部113のワーク120(フランジ部124a)に対する係止位置(クランプ位置)も変化することとなる。
このような、クランプ状態のワーク120対する自重による重力の作用や、その他ワーク120の個体差等に起因して、クランプ状態のワーク姿勢が、ワーク120によって異なることとなる。つまり、複数のワーク120のクランプが成り行きまかせで行われると、ワーク120が変わるとワーク姿勢も異なるときがあり、複数のワーク120の間でワーク姿勢にバラツキが生じる場合がある。
このように、ワーク姿勢にバラツキが生じると、係止爪111によるワーク120に対する係止位置(クランプ位置)にもバラツキが生じ、ワーク回転部の回転にともなうワーク120自体の振動や、タービンハウジング部103を介して加速度ピックアップに伝達される振動の大きさ等についてバラツキが生じることとなる。つまり、ワーク姿勢にバラツキが生じることは、ワーク120のアンバランス修正についての精度が低下する原因となる。
また、ワーク120がクランプされることでタービンハウジング部103に対して固定される構成においては、ワーク回転部の回転にともない、ワーク120をクランプする部材(係止爪111)が、タービンハウジング部103に対して(タービンハウジング部103を含む構成とは異なる固有振動数で)振動する(図18矢印X1、X2参照)。ワーク120をクランプする部材が振動することは、その振動の程度によっては、ワーク120のクランプ力、つまりワーク120がタービンハウジング部103に対して押え付けられる力の不安定化を招く。ワーク120のクランプ力が不安定になると、タービンハウジング部103に対して複数箇所でクランプされるワーク120が大きく振動する場合があり(図18矢印X3参照)、場合によってはクランプ状態のワーク120が暴れることもあり得る。
このように、クランプ状態のワーク120が大きく振動すると、アンバランス修正に際して正確な振動測定を行うことができなくなり、アンバランス修正についての精度が低下する。つまり、アンバランス修正に際して精度の向上を図るうえでは、ワーク120をクランプする部材の、ワーク回転部の回転にともなう振動が抑えられることが好ましい。
特開2002−39904号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、高速回転機器の生産ラインにおける生産性の低下を防止することができるとともに、治具に支持されるワークの姿勢のバラツキを低減することや、ワークを治具に対して固定するための部材(クランプ部材)の振動を抑制することができ、アンバランス修正についての精度を向上することができる高速回転機器のアンバランス修正装置を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を前記移動方向に移動させる移動量および前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する付勢力を調整するためのクランプ調整手段と、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記係止状態の前記クランプ部材の前記移動方向における位置を検出する位置検出手段と、前記各位置検出手段からの検出信号に基づいて、前記位置検出手段により検出された前記係止状態の前記クランプ部材の前記移動方向における位置の、予め設定された基準位置に対するズレ量が、該ズレ量について予め設定された所定の許容値よりも小さくなるように、前記各クランプ調整手段を制御する姿勢制御手段と、を備えるものである。
請求項2においては、請求項1に記載の高速回転機器のアンバランス修正装置において、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、該移動付勢手段による前記クランプ部材の前記移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための方向切換手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記方向切換手段により定められた前記クランプ部材の前記移動付勢方向について、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を付勢する付勢力を調整するための付勢力調整手段と、前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力を算出する加振力算出手段と、前記加振力算出手段により算出された前記加振力の方向と反対方向であって該加振力の大きさと同じ大きさの力を、前記クランプ部材に作用させる制振力として算出する制振力算出手段と、前記制振力算出手段により算出された前記制振力が、前記クランプ部材に作用するように、前記方向切換手段および前記付勢力調整手段を制御する制振制御手段と、を備えるものである。
請求項3においては、請求項1に記載の高速回転機器のアンバランス修正装置において、前記移動付勢手段は、磁性流体を作動流体とする流体圧シリンダ機構として構成されるものであり、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記磁性流体に磁場を印加するための磁場印加手段と、予め求められた、前記磁場印加手段によって前記磁性流体に印加される磁場の強さと前記総合減衰との関係に係るデータを記憶するデータ記憶手段と、前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰を算出する減衰算出手段と、前記データ記憶手段により記憶された前記データに基づき、前記磁性流体に印加される磁場の強さが、前記減衰算出手段により算出された前記総合減衰に対応する磁場の強さとなるように、前記磁場印加手段を制御する制振制御手段と、を備えるものである。
請求項4においては、回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、該移動付勢手段による前記クランプ部材の前記移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための方向切換手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記方向切換手段により定められた前記クランプ部材の前記移動付勢方向について、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を付勢する付勢力を調整するための付勢力調整手段と、前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力を算出する加振力算出手段と、前記加振力算出手段により算出された前記加振力の方向と反対方向であって該加振力の大きさと同じ大きさの力を、前記クランプ部材に作用させる制振力として算出する制振力算出手段と、前記制振力算出手段により算出された前記制振力が、前記クランプ部材に作用するように、前記方向切換手段および前記付勢力調整手段を制御する制振制御手段と、を備えるものである。
請求項5においては、回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、前記各クランプ部材に対して設けられ、磁性流体を作動流体とする流体圧シリンダ機構として構成され、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記磁性流体に磁場を印加するための磁場印加手段と、予め求められた、前記磁場印加手段によって前記磁性流体に印加される磁場の強さと前記総合減衰との関係に係るデータを記憶するデータ記憶手段と、前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰を算出する減衰算出手段と、前記データ記憶手段により記憶された前記データに基づき、前記磁性流体に印加される磁場の強さが、前記減衰算出手段により算出された前記総合減衰に対応する磁場の強さとなるように、前記磁場印加手段を制御する制振制御手段と、を備えるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、高速回転機器の生産ラインにおける生産性の低下を防止することができるとともに、治具に支持されるワークの姿勢のバラツキを低減することや、ワークを治具に対して固定するための部材(クランプ部材)の振動を抑制することができ、アンバランス修正についての精度を向上することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る高速回転機器のアンバランス修正装置は、例えば自動車エンジンに備えられるターボチャージャ等の、比較的高速で回転する回転部を有する高速回転機器について、その回転部のアンバランスを修正するために用いられるものである。
すなわち、高速回転機器のアンバランス修正装置においては、高速回転機器の回転部が、所定の回転数で回転させられ、その回転部の回転にともなう振動加速度が測定される。その測定された振動加速度に基づいて、回転部のアンバランスが測定される。そして、測定されたアンバランスの値に基づき、高速回転機器における回転部のアンバランスが修正される。
本発明に係る高速回転機器のアンバランス修正装置(以下単に「アンバランス修正装置」という。)の第一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の第一実施形態に係るアンバランス修正装置の全体構成を示す図、図2は図1におけるA−A断面図である。なお、本実施形態では、アンバランス修正装置が用いられることでアンバランスが修正される高速回転機器を、自動車エンジンに備えられるターボチャージャとする。
図1に示すように、本実施形態のアンバランス修正装置1は、ターボチャージャ2のアンバランス修正を行うために用いられる。
ターボチャージャ2は、回転部を有する。本実施形態では、ターボチャージャ2が有する回転部は、回転軸21と、この回転軸21の一端(図1において左端)に設けられるタービンロータ22と、回転軸21の他端(図1において右端)に設けられるコンプレッサロータ23とを有する。つまり、本実施形態では、ターボチャージャ2が有する回転部は、回転軸21とタービンロータ22とコンプレッサロータ23とが組み立てられ一体的に回転する回転体として構成される。
回転軸21は、全体として略筒状に構成されるセンターハウジング24に回転自在に支持される。回転軸21は、センターハウジング24に対して軸受(図示略)を介して支持される。
ターボチャージャ2が実際に製品として使用される場合は、タービンロータ22は、センターハウジング24の一側(図1において左側)に取り付けられるタービンハウジングに収容されることとなる。同じくターボチャージャ2が実際に製品として使用される場合は、コンプレッサロータ23は、センターハウジング24の他側(図1において右側)に取り付けられるコンプレッサハウジングに収容されることとなる。
このような構成を備えるターボチャージャ2により、エンジンからの排気が、回収されて圧縮され、吸気として再度エンジンに供給される。すなわち、ターボチャージャ2においては、エンジンからの排気により、タービンハウジング内のタービンロータ22が回転する。タービンロータ22が回転することにより、回転軸21を介してコンプレッサハウジング内のコンプレッサロータ23が回転する。このコンプレッサロータ23の回転により、ターボチャージャ2内に回収されたエンジンからの排気が、圧縮されて吸気として再びエンジンに供給される。
ターボチャージャ2については、その回転部およびセンターハウジング24を含む構成が、アンバランス修正装置1におけるワーク20となる。すなわち、本実施形態では、回転軸21とタービンロータ22とコンプレッサロータ23とを有する回転部を回転可能に支持した状態のセンターハウジング24が、アンバランス修正装置1におけるワーク20となる。したがって、ワーク20は、半組立状態のターボチャージャ2となる。そして、ターボチャージャ2のアンバランス修正に際しては、ワーク20の回転部のアンバランスが修正される。
以下では、ターボチャージャ2における回転部、即ち回転軸21、タービンロータ22、およびコンプレッサロータ23からなる回転体を「ワーク回転部」ともいう。
本実施形態のアンバランス修正装置1は、回転部を有するワーク20を支持するとともに振動検出手段としての加速度ピックアップ4を有する治具として、タービンハウジング部3を備える。
タービンハウジング部3は、前記のとおり製品としてのターボチャージャ2においてタービンロータ22を収容することとなるタービンハウジングと同様の部材により構成される。つまり、タービンハウジング部3は、ターボチャージャ2の生産ライン等において、アンバランス修正装置1によりアンバランス修正が行われる複数のワーク20に対して、共通の治具として用いられる。したがって、アンバランス修正装置1においては、センターハウジング24が、タービンハウジング部3に対して支持されることで、ワーク20がタービンハウジング部3に支持される。
タービンハウジング部3は、架台5上において所定の姿勢で設けられる。本実施形態では、タービンハウジング部3は、その支持するワーク20の回転部の回転軸線の方向が略水平方向となる姿勢で設けられる。したがって、タービンハウジング部3に支持された状態のワーク20は、その回転部の回転軸線の方向が、略水平方向(図1における左右方向)となる。タービンハウジング部3は、架台5上に立設される支持壁6に対して所定の姿勢で支持固定されることで、架台5上において所定の姿勢で設けられる。
架台5は、床面7上にゴムマウント8を介して防振支持された状態で設けられる。
加速度ピックアップ4は、タービンハウジング部3における所定の位置に設けられる。加速度ピックアップ4は、例えば加速度センサ等により構成され、タービンハウジング部3の所定の位置についての振動加速度を検出(ピックアップ)する。加速度ピックアップ4により検出された振動加速度の値に基づいて、ワーク回転部のアンバランスが測定される。
すなわち、加速度ピックアップ4は、図示せぬ演算装置に接続され、加速度ピックアップ4から出力される検出信号が演算装置に入力される。そして、演算装置において、ワーク20についてのアンバランスの測定および修正に係る演算が行われる。
アンバランス修正装置1においては、タービンハウジング部3に、ワーク回転部が回転可能な状態でワーク20が固定された状態で、ワーク回転部が所定の回転数で回転させられる。そして、ワーク回転部が前記所定の回転数で回転している状態での加速度ピックアップ4による検出値に基づいて、ワーク回転部のアンバランス修正が行われる。
具体的には、アンバランス修正装置1におけるアンバランス修正は、次のようにして行われる。
アンバランス修正装置1におけるアンバランス修正に際しては、まず、ワーク20がタービンハウジング部3に取り付けられる。タービンハウジング部3に対するワーク20の取付けに際しては、センターハウジング24が、タービンハウジング部3に固定される。
ワーク20がタービンハウジング部3に取り付けられた状態において、エンジンからの排気と同様のエア(排気ガス圧に相当する圧力を有する圧縮エア)が、エア源(図示略)からタービンハウジング部3に対して供給され、タービンロータ22を介してこれを含むワーク回転部が回転させられる。
アンバランス修正に際しては、ワーク回転部は、予め定められた所定の回転数(例えば7万rpm、以下「アンバランス修正回転数」という。)で回転させられる。つまり、ワーク回転部がアンバランス修正回転数で回転している状態での振動加速度が、加速度ピックアップ4によって検出される。この検出された振動加速度の値に基づいて、ワーク回転部のアンバランスが測定される。
そして、測定されたアンバランスの値に基づき、ワーク回転部のアンバランスの修正が行われる。ワーク回転部についてのアンバランスの修正は、例えば、ワーク回転部において、コンプレッサロータ23を回転軸21に固定するために用いられるナットの部分等の、所定の部分が研削機等で削られることにより行われる。
以上のようにして行われるターボチャージャ2についてのアンバランス修正に用いられる本実施形態のアンバランス修正装置1は、アンバランス修正に際し、タービンハウジング部3にワーク20を固定するため、複数の爪構造体10を備える。爪構造体10は、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプして固定するクランプ部材の実施の一形態である。
爪構造体10は、タービンハウジング部3に支持された状態のワーク20に対して係止した状態である係止状態(以下単に「係止状態」という。)で、ワーク20をタービンハウジング部3に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプして固定する。
本実施形態では、図1に示すように、爪構造体10は、爪部11とロッド部12とを有する。
爪部11は、タービンハウジング部3に支持された状態のワーク20に対して係止する係止部13を有する。つまり、本実施形態では、係止部13がワーク20に対して係止した状態が、爪構造体10の係止状態となる。係止部13は、爪部11において、略直方体形状に構成される本体部11aの一端部(先端部)にて突出形成される板状の部分である。
ロッド部12は、爪部11において係止部13が設けられる側(先端側、図1において右側)と反対側(後端側、図1において左側)から延設される。ロッド部12は、爪部11の大きさに対して細径の棒状部分として構成される。
このような構成を有する爪構造体10により、タービンハウジング部3に支持された状態のワーク20が固定される。
タービンハウジング部3は、ワーク回転部の回転軸線に対して略垂直方向の面となる支持面3aを有する。支持面3aは、タービンハウジング部3においてワーク20を支持する側に形成される支持凹部3bの底側(奥側)の面として形成される。このタービンハウジング部3の支持面3aに対して、ワーク20が支持される。ワーク20のセンターハウジング24は、その一側(タービンハウジングが取り付けられる側)に、環状のフランジ部24aを有する。そして、ワーク20は、その支持された状態で、センターハウジング24のフランジ部24aが、タービンハウジング部3の支持面3aに接触した状態となる。つまり、タービンハウジング部3が有する支持凹部3bは、センターハウジング24のフランジ部24aの形状に沿う円形の形状を有し、フランジ部24aの一部が支持凹部3bに嵌合した状態で、フランジ部24aが支持面3aに接触した状態となる。かかる状態において、爪構造体10によってフランジ部24aが支持面3aに対して押え付けられることにより、ワーク20がタービンハウジング部3に対して固定される。
爪構造体10は、その係止部13をセンターハウジング24のフランジ部24aに係止させた状態で、フランジ部24aをタービンハウジング部3の支持面3aに対して押え付ける。つまり、ワーク20におけるセンターハウジング24のフランジ部24aが、爪構造体10の係止部13に対する被係止部となる。
ここで、係止部13によるフランジ部24aの押え付けに際しては、前記のとおり板状の部分である係止部13の一側の面が、フランジ部24aに対する押圧面13aとなる。つまり、係止部13の押圧面13aは、タービンハウジング部3の支持面3aに対して略平行な面となる。そして、ワーク20が爪構造体10によってタービンハウジング部3に固定された状態では、センターハウジング24のフランジ部24aが、タービンハウジング部3の支持面3aと係止部13の押圧面13aとの間に挟まれた状態となる。このように、押圧面13aがフランジ部24aに接触した状態が、爪構造体10の係止状態となる。
したがって、爪構造体10は、アンバランス修正装置1において、係止部13の押圧面13aが、タービンハウジング部3の支持面3aに接触した状態のフランジ部24aに対向した状態となる姿勢で設けられる。本実施形態では、爪構造体10は、アンバランス修正装置1において、ロッド部12の延設方向が、ワーク回転部の回転軸線の方向に対して略平行となる姿勢で設けられる。また、爪構造体10は、爪部11における係止部13の本体部11aからの突出方向が、ワーク回転部の径方向(回転軸21等の径方向)に沿うような(前記突出方向がワーク回転部の回転軸線に向かう方向となるような)姿勢で設けられる。
また、爪構造体10は、その押圧面13aが、フランジ部24aに対して近接・離間する方向(図1における左右方向)に移動可能に設けられる。
そして、爪構造体10は、その移動方向(前記近接・離間する方向)において、押圧面13aがフランジ部24aに接触した状態、即ち係止部13がワーク20に対して係止した状態から、係止部13によってフランジ部24aを押え付ける方向に付勢可能に設けられる。つまり、本実施形態では、爪構造体10は、爪部11に対するロッド部12の延設方向(図1における左方向)に付勢可能に設けられる。
したがって、本実施形態において、爪構造体10について、その付勢される方向である、ワーク20をタービンハウジング部3に固定することとなる所定の方向は、爪構造体10が、その係止部13の押圧面13aによって、フランジ部24aを押え付ける方向となる。以下では、爪構造体10について、その付勢される方向となる前記所定の方向を、「ワーク固定方向」という。また、爪構造体10について、その移動する方向となるワーク固定方向を含む移動方向(前記近接・離間する方向)を、単に「移動方向」という。
爪構造体10のワーク固定方向への付勢は、シリンダ機構30により行われる。シリンダ機構30は、前記のとおりアンバランス修正装置1において複数備えられる爪構造体10それぞれに対して設けられる。つまり、シリンダ機構30は、各爪構造体10に対して設けられ、爪構造体10を移動方向に移動させるとともに、係止状態の爪構造体10をワーク固定方向に付勢する移動付勢手段として機能する。
シリンダ機構30は、油圧シリンダとして構成される。シリンダ機構30は、爪構造体10のロッド部12をシリンダロッドとして移動可能に収容するシリンダケース31を有する。すなわち、ロッド部12は、拡径部分となるピストン部14を有し、このピストン部14を介して、シリンダケース31に内装された状態でシリンダケース31に対して摺動可能に設けられる。ピストン部14は、ロッド部12における爪部11側と反対側(図1における左側)の端部に設けられる。ピストン部14は、シリンダケース31の内壁に対して摺動可能な形状を有する栓状の部分である。
シリンダケース31は、シリンダプレート9に対して固定されることで支持される。シリンダプレート9は、板状の部材であり、その板面が、ワーク回転部の回転軸線の方向に対して略垂直方向の面となるように、タービンハウジング部3における支持面3a側と反対側に固定される。このシリンダプレート9におけるタービンハウジング部3側と反対側の板面部に対して、シリンダケース31が、その内装するロッド部12の摺動方向が前述した爪構造体10の移動方向に対応する方向となる姿勢で支持される。
なお、シリンダプレート9には、ロッド部12を貫通させた状態で爪構造体10の移動を許容するための貫通孔9aが設けられている。
このように構成されるシリンダ機構30において、爪構造体10のワーク固定方向への付勢に際しては、所定の圧力を有する圧油が、オイルタンクからオイルポンプ等を介してシリンダケース31に対して供給される。そして、シリンダケース31内の油圧が調整されることにより、爪構造体10が、ピストン部14を介して所定の付勢力をもってワーク固定方向に引っ張られる。このようにして、シリンダ機構30における推力により、爪構造体10がワーク固定方向に付勢される。このように、爪構造体10がワーク固定方向に付勢されることにより、係止部13の押圧面13aとタービンハウジング部3の支持面3aとにより挟まれた状態のフランジ部24aが、係止部13からの所定の押圧力によって支持面3aに対して圧接した状態となり、ワーク20がタービンハウジング部3に対して固定された状態となる。
ここで、シリンダ機構30は、爪構造体10のロッド部12をシリンダケース31の一側から突出させる片ロッド型の複動シリンダとして構成される。すなわち、シリンダ機構30において、シリンダケース31内のシリンダ室は、爪構造体10が有するロッド部12のピストン部14を介して二つのシリンダ室31a、31bとなる。各シリンダ室31a、31bには、油の出入口が設けられる。そして、各シリンダ室31a、31bの油の出入口が、切換弁等の回路切換によって交互に油の入口または出口となり、爪構造体10の移動方向についての往復動が行われる。
したがって、ロッド部12が突出する側(図1において右側)のシリンダ室31aに圧油が供給されることにより、爪構造体10が引っ張られ、爪構造体10のワーク固定方向への移動および爪構造体10の係止状態からのワーク固定方向への付勢が行われる。一方、ロッド部12が突出する側と反対側(図1において左側)のシリンダ室31bに圧油が供給されることにより、爪構造体10が押し出され、爪構造体10のワーク固定方向と反対方向への移動および爪構造体10の係止状態の解除(ワーク固定方向と反対方向への付勢)が行われる。
以下の説明では、圧油が供給されることで爪構造体10が引っ張られる側(ロッド部12が突出する側)のシリンダ室31aを「第一シリンダ室31a」とし、圧油が供給されることで爪構造体10が押し出される側のシリンダ室31bを「第二シリンダ室31b」とする。
なお、本実施形態のアンバランス修正装置1においては、油圧シリンダとして構成されるシリンダ機構30が備えられるが、各爪構造体10に対して設けられ、爪構造体10を移動方向に移動させるとともに、係止状態の爪構造体10をワーク固定方向に付勢する移動付勢手段は、これに限定されるものではない。つまり、本発明に係るアンバランス修正装置が備える移動付勢手段としては、例えば、エアシリンダ等の他の流体圧シリンダ機構等であってもよい。
このように、本実施形態のアンバランス修正装置1においては、爪構造体10は、爪部11が有する係止部13によって、センターハウジング24のフランジ部24aをタービンハウジング部3の支持面3aに対して押し付けることにより、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプして固定する。したがって、爪構造体10において、係止部13を構成する部分である爪部11は、係止部13によるワーク20の固定に際して十分な(シリンダ機構30による付勢によって破損や変形等が生じることのないような)強度および剛性を備える部分となる。
本実施形態では、ワーク20のタービンハウジング部3に対する固定に際し、三つの爪構造体10が用いられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの爪構造体10を備える。そして、センターハウジング24のフランジ部24aが三箇所で押え付けられることにより、ワーク20がタービンハウジング部3に対して固定される(図2参照)。
本実施形態のアンバランス修正装置1においては、三つの爪構造体10は、次のようにして配設される。
三つの爪構造体10は、環状のフランジ部24aに対して、その周方向に等間隔を隔てて設けられる。したがって、図2に示すように、ワーク回転部の回転軸線方向視(以下単に「回転軸線方向視」という。)において、この回転軸線の位置を中心とする円周に対して、各爪構造体10(の中心位置)同士の角度間隔が120°となる。
そして、図2に示すように、三つの爪構造体10のうちの一つの爪構造体10aは、フランジ部24aの周方向において、前記のとおりワーク回転部の径方向に沿う方向となる、係止部13の本体部11aからの突出方向が、略鉛直方向となる位置に設けられる。つまり、この爪構造体10aは、その係止部13が床面7(図1参照)を基準とするとフランジ部24aの上端部に対して係止することとなる。したがって、前記のとおり周方向に等間隔を隔てて設けられる三つの爪構造体10のうちの他の二つの爪構造体10b、10cは、フランジ部24aの周方向において、図2に示す回転軸線方向視(床面7が下となる回転軸線方向視)で、爪部11の姿勢が略左右対称となるように位置することとなる。
なお、各爪構造体10a、10b、10cに対応して、シリンダ機構30が設けられる。つまり、シリンダプレート9には、各爪構造体10a、10b、10cに対応する三つのシリンダケース31が支持固定される。
以下では、三つの爪構造体10を、その設けられる位置によって区別して指す場合は、前記のとおり係止部13の本体部11aからの突出方向が略鉛直方向となる位置に設けられる爪構造体10aを「第一爪構造体10a」とする。また、三つの爪構造体10のうちの他の二つの爪構造体10b、10cのうち、図2に示す回転軸線方向視で反時計回りで第一爪構造体10aの次に位置する爪構造体10b(図2において左側の爪構造体10b)を、「第二爪構造体10b」とし、残りの爪構造体10c(図2において右側の爪構造体10c)を、「第三爪構造体10c」とする。
同様にして、三つのシリンダ機構30を、その移動付勢可能に支持する爪構造体10によって区別して指す場合は、第一爪構造体10aを移動付勢可能に支持するシリンダ機構30を「第一シリンダ機構30a」とし、第二爪構造体10bを移動付勢可能に支持するシリンダ機構30を「第二シリンダ機構30b」とし、第三爪構造体10cを移動付勢可能に支持するシリンダ機構30を「第三シリンダ機構30c」とする。
また、アンバランス修正装置1においては、各シリンダ機構30に対して電磁弁35が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの電磁弁35を備える。
電磁弁35は、シリンダ機構30に対して、第一シリンダ室31aに圧油を供給するための配管に設けられる。すなわち、オイルポンプによってオイルタンクからシリンダ機構30の第一シリンダ室31aに供給される圧油は、電磁弁35を介して供給される。したがって、電磁弁35の開閉または開度の調整、つまり電磁弁35の開閉制御が行われることにより、爪構造体10のワーク固定方向への移動量および爪構造体10の係止状態でのワーク固定方向の付勢力の調整が行われる。
このように、電磁弁35は、各シリンダ機構30に対して設けられ、シリンダ機構30による爪構造体10を移動方向に移動させる移動量および爪構造体10をワーク固定方向に付勢する付勢力を調整するためのクランプ調整手段として機能する。
以下では、三つの電磁弁35を、その設けられるシリンダ機構30によって区別して指す場合は、第一シリンダ機構30aに対して設けられる電磁弁35を「第一電磁弁35a」とし、第二シリンダ機構30bに対して設けられる電磁弁35を「第二電磁弁35b」とし、第三シリンダ機構30cに対して設けられる電磁弁35を「第三電磁弁35c」とする。
また、アンバランス修正装置1においては、各爪構造体10に対して位置センサ37が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの位置センサ37を備える。
位置センサ37は、係止状態の爪構造体10の移動方向における位置を検出する。位置センサ37は、移動方向についての爪構造体10との間のギャップを検出することにより、被測定物である爪構造体10の移動方向についての位置(変位)を検出する、非接触式のギャップセンサ(変位センサ)として構成される。
本実施形態では、位置センサ37は、爪構造体10の移動方向について一側の端面となる、爪部11の端面である先端面11sを検出対象面とする。すなわち、位置センサ37は、爪構造体10の先端面11sの間のギャップG1(図1参照)を検出することにより、爪構造体10の移動方向についての位置(変位)を検出する。ギャップセンサである位置センサ37としては、例えば、渦電流式や静電容量式のもの、あるいはレーザーセンサや超音波センサ等を用いることができる。
このように、位置センサ37は、各爪構造体10に対して設けられ、係止状態の爪構造体10の移動方向における位置を検出する位置検出手段として機能する。
以下では、三つの位置センサ37を、その設けられる爪構造体10によって区別して指す場合は、第一爪構造体10aに対して設けられる位置センサ37を「第一位置センサ37a」とし、第二爪構造体10bに対して設けられる位置センサ37を「第二位置センサ37b」とし、第三爪構造体10cに対して設けられる位置センサ37を「第三位置センサ37c」とする。
以上のような構成を備える本実施形態のアンバランス修正装置1における、ワーク20の姿勢制御についての制御構成について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、本実施形態のアンバランス修正装置1は、ワーク20の姿勢制御を行うための制御部39を備える。制御部39は、各位置センサ37から出力される検出信号に基づいて、各電磁弁35を制御する。これにより、爪構造体10の移動方向における位置が制御され、ワーク20のタービンハウジング部3に対する姿勢が制御される。
制御部39は、信号線を介する等して各電磁弁35および各位置センサ37と接続される。制御部39は、各電磁弁35に対して、電磁弁35の開閉や開度の調整、つまり電磁弁35の開閉動作をさせるための信号を送信する。これにより、制御部39は、各電磁弁35の開閉制御を行う。また、制御部39は、各位置センサ37により検出された、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置についての信号を受信する。これにより、制御部39は、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置に係る情報を取得する。
制御部39は、各位置センサ37からの検出信号に基づいて、各電磁弁35を独立して制御する。すなわち、第一位置センサ37aからの検出信号に基づいて、第一電磁弁35aを制御し、第二位置センサ37bからの検出信号に基づいて、第二電磁弁35bを制御し、第三位置センサ37cからの検出信号に基づいて、第三電磁弁35cを制御する。これにより、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置が独立して制御され、ワーク20のタービンハウジング部3に対する姿勢が制御される。
制御部39は、プログラム等を格納する格納部、プログラム等を展開する展開部、プログラム等に従って所定の演算を行う演算部、演算部による演算結果等を保管する保管部、位置センサ37から出力される検出信号に基づいて係止状態の爪構造体10の移動方向における位置(変位)等を計測する計測部等を有する。前記格納部に格納されるプログラム等には、後述する姿勢制御プログラムが含まれる。
制御部39としては、具体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成や、ワンチップのLSI等からなる構成が用いられる。また、本実施形態の制御部39は、専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等が格納されたものでも代替可能である。
制御部39は、各位置センサ37からの検出信号に基づいて、位置センサ37により検出された係止状態の爪構造体10の移動方向における位置の、予め設定された基準位置に対するズレ量が、このズレ量について予め設定された所定の許容値よりも小さくなるように、各電磁弁35を制御する。
このような制御部39による電磁弁35の制御は、制御部39がその格納部に格納された姿勢制御プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、ワーク20の姿勢制御においては、制御部39によって、各位置センサ37からの検出信号に基づく各電磁弁35の制御が行われることにより、タービンハウジング部3にクランプされるワーク20の姿勢が制御される。
ワーク20の姿勢制御に際し、位置センサ37により検出された係止状態の爪構造体10の移動方向における位置について、予め設定された基準位置(以下、爪構造体10について単に「基準位置」という。)は、次のようにして定められる。
本実施形態では、位置センサ37は、前記のとおり爪構造体10の先端面11sの間のギャップG1(図1参照)を検出することにより、爪構造体10の移動方向についての位置(変位)を検出する。そこで、各爪構造体10の基準位置は、ギャップG1の大きさにより定められる。つまり、各爪構造体10について、その先端面11sと位置センサ37との間のギャップG1の大きさについて所定の値が予め定められることにより、各爪構造体10の基準位置が設定される。
以下では、第一爪構造体10aの基準位置は、第一位置センサ37aと第一爪構造体10aの先端面11sとの間のギャップG1についての基準値Laとして定まることとする(図3参照)。つまり、移動方向に移動する第一爪構造体10aとこれに対して定位置にある第一位置センサ37aとの間のギャップG1が基準値Laである状態が、第一爪構造体10aが基準位置にある状態となる。同様にして、第二爪構造体10bの基準位置は、第二位置センサ37bと第二爪構造体10bの先端面11sとの間のギャップG1についての基準値Lbとして定まることとし、第三爪構造体10cの基準位置は、第三位置センサ37cと第三爪構造体10cの先端面11sとの間のギャップG1についての基準値Lcとして定まることとする(図3参照)。
各爪構造体10の基準位置、つまり基準値La、Lb、Lcの各値は、ワーク20のタービンハウジング部3に対してクランプされた状態(以下「クランプ状態」という。)での、ワーク20のタービンハウジング部3に対する姿勢(以下「ワーク姿勢」という。)についての所定の基準姿勢に基づいて設定される。つまり、クランプ状態でのワーク姿勢についての所定の基準姿勢が存在し、ワーク姿勢がその所定の基準姿勢となる状態での、各爪構造体10の移動方向における位置(ギャップG1の値)が、各爪構造体10の基準位置(基準値La、Lb、Lc)として設定される。したがって、各爪構造体10が基準位置に位置することにより、ワーク姿勢が前記所定の基準姿勢となる。
各爪構造体10の基準位置は、例えば次のようにして設定される。すなわち、本実施形態のように、ワーク回転部の回転軸線の方向が略水平方向となるようにワーク20がタービンハウジング部3に対して支持される構成において、各爪構造体10の移動方向(ワーク回転部の回転軸線の方向)における位置が、三つの爪構造体10で略同一となるように、各爪構造体10の基準位置が設定される。
また、ワーク20の姿勢制御に際しては、爪構造体10の基準位置に対するズレ量が、予め設定されて所定の許容値よりも小さくなるように、電磁弁35が制御される。爪構造体10の基準位置に対するズレ量は、係止状態の爪構造体10の移動方向についての基準値La、Lb、Lcに対するズレ量(差)となる。そして、この爪構造体10の基準位置に対する移動方向のズレ量(以下、爪構造体10について単に「ズレ量」という。)について、所定の許容値が予め設定される。
つまり、各爪構造体10の基準値La、Lb、Lcに対するズレ量を、それぞれΔLa、ΔLb、ΔLcとすると、各ズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcの値が、前記所定の許容値よりも小さくなるように、各電磁弁35が制御され、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置が制御される。すなわち、ワーク20の姿勢制御においては、各電磁弁35を介して、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置が制御されることにより、三つの爪構造体10によりクランプされるワーク20の姿勢が制御される。
したがって、各爪構造体10のズレ量についての所定の許容値をいずれもΔLxとすると、ワーク20の姿勢制御においては、係止状態の各爪構造体10の移動方向における位置は、それぞれ、基準値La±ΔLx、基準値Lb±ΔLx、基準値Lc±ΔLxの範囲で許容されることとなる。爪構造体10についてのズレ量は、爪構造体10の移動方向の移動範囲に対して十分に小さい値(例えば数μ〜数十μm程度)として設定される。
以上のように、ワーク20の姿勢制御に際して用いられる各値、即ち各爪構造体10の基準位置を定める基準値La、Lb、Lcや、各基準値に対するズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcについての許容値は、制御部39においてその格納部等に予め設定され記憶される。
ワーク20の姿勢制御について、図4に示すワーク20の姿勢制御についてのフロー図を用いて説明する。なお、以下に説明するワーク20の姿勢制御においては、各爪構造体10のズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcについての許容値を、いずれも10μmとする。
ワーク20の姿勢制御に際しては、まず、ワーク20がセットされる(S100)。つまり、ワーク20のセンターハウジング24のフランジ部24aが、タービンハウジング部3において支持面3aを形成する支持凹部3bに嵌合し、ワーク20が支持面3aに対して支持された状態となる。なお、この段階においては、爪構造体10は、ワーク20のタービンハウジング部3に対するセットの妨げとならないように、ワーク固定方向と反対方向に移動した所定の待機位置にある。
ワーク20がセットされた状態から、各シリンダ機構30に対して設けられる電磁弁35が開かれる(S110)。つまり、オイルポンプによってオイルタンクから供給される圧油が、開状態の電磁弁35を介して各シリンダ機構30における第一シリンダ室31aに供給される。これにより、各爪構造体10が、前記所定の待機位置から引っ張られ、ワーク固定方向に移動し、セットされたワーク20に対して係止状態となる。
係止状態となった各爪構造体10は、第一シリンダ室31aに供給される圧油により、ワーク固定方向へ付勢される。これにより、ワーク20はクランプ状態となる(S120)。ワーク20がクランプ状態となることで、各電磁弁35は、必要に応じて一端閉じられる。ここでのワーク20のクランプ状態を、以下では「仮クランプ状態」と称する。
ワーク20の仮クランプ状態において、各位置センサ37からのセンサ出力が行われ、このセンサ出力に基づいて、各爪構造体10についてのズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcの計測が行われる(S130)。つまり、ワーク20が仮クランプ状態になってから、各位置センサ37からの検出信号に基づいて、各爪構造体10についてのギャップG1の大きさの計測が行われる。そして、各爪構造体10についてのギャップG1の大きさの計測値から、各爪構造体10の基準値La、Lb、Lcに対するズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcが計測される。
続いて、ステップS130にて計測された各爪構造体10についてのズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcが、いずれも許容値である10μmよりも小さいか否かの判断が行われる(S140)。つまり、各爪構造体10のズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcについて、ΔLa<10μm、ΔLb<10μm、ΔLc<10μmのいずれもが満たされているか否かの判断が行われる。
ステップS140において、各爪構造体10についてのズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcが、いずれも許容値である10μmよりも小さいと判断された場合、ワーク20のクランプが完了する(S160)。つまりこの場合、係止状態の各爪構造体10についての移動方向における位置が、基準位置に対して許容される誤差範囲内にあり、ワーク姿勢が、前記所定の基準姿勢に対して許容される誤差範囲内の姿勢であることとなるので、ワーク20のクランプが完了する。これにより、ワーク20の姿勢制御が終了する。
一方、ステップS140において、各爪構造体10についてのズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcが、いずれも許容値である10μmよりも小さいと判断されなかった場合、電磁弁35の開閉制御が行われる(S150)。つまり、第一爪構造体10aのズレ量ΔLaが10μmよりも小さいと判断されなかった場合は、第一電磁弁35aの開閉制御が行われることにより、ズレ量ΔLaが小さくなるように、第一爪構造体10aの移動方向における位置の調整が行われる。同様にして、第二爪構造体10bのズレ量ΔLbが10μmよりも小さいと判断されなかった場合は、第二電磁弁35bの開閉制御が行われることにより、ズレ量ΔLbが小さくなるように、第二爪構造体10bの移動方向における位置の調整が行われる。また、第三爪構造体10cのズレ量ΔLcが10μmよりも小さいと判断されなかった場合は、第三電磁弁35cの開閉制御が行われることにより、ズレ量ΔLcが小さくなるように、第三爪構造体10cの移動方向における位置の調整が行われる。
そして、ステップS150において、いずれかの電磁弁35の開閉制御が行われることによりそれに対応する爪構造体10の移動方向における位置の調整が行われることで、他の爪構造体10が変位する場合がある。つまり、電磁弁35の開閉制御による爪構造体10の位置調整が、三つの爪構造体10間において相互に影響する場合がある。このため、ステップS140において、三つの爪構造体10についてのズレ量ΔLa、ΔLb、ΔLcのいずれもが、10μmよりも小さいと判断されるまで、ステップS150における電磁弁35の開閉制御およびステップS140における判断が繰り返される。
このように、制御部39は、各位置センサ37からの検出値に基づいて、位置センサ37により検出された係止状態の爪構造体10の移動方向における位置の基準位置に対するズレ量が、このズレ量について予め設定された所定の許容値よりも小さくなるように、電磁弁35を制御する姿勢制御手段として機能する。具体的には、制御部39は、その格納部に格納された姿勢制御プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記姿勢制御手段として機能する。
このように、ワーク20の姿勢制御を行うことにより、ターボチャージャ2の生産ラインにおける生産性の低下を防止することができるとともに、タービンハウジング部3に支持されるワーク20の姿勢のバラツキを低減することができ、アンバランス修正についての精度を向上することができる。
すなわち、本実施形態のアンバランス修正装置1のように、ワーク20のタービンハウジング部3に対する固定に際し、爪構造体10によるクランプ方式が用いられることにより、ワーク20の固定にボルト固定が用いられる場合と比べて、ターボチャージャ2の生産ラインにおいて生産性が低下することを防止することができる。
また、ワーク20の姿勢制御においては、三つの爪構造体10の移動方向についての移動の誤差が十分に小さい値となるので、タービンハウジング部3が複数のワーク20に対して共通の治具として用いられる構成において、ワーク姿勢のバラツキを低減することができる。これにより、爪構造体10によるワーク20に対する係止位置(クランプ位置)のバラツキを低減することができ、ワーク回転部の回転にともなうワーク20自体の振動や、タービンハウジング部3を介して加速度ピックアップ4に伝達される振動の大きさ等についてのバラツキを低減することができる。結果として、ワーク20のアンバランス修正についての精度を向上することができる。
なお、本実施形態のアンバランス修正装置1は、各シリンダ機構30に対して設けられるクランプ調整手段として、第一シリンダ室31aに圧油を供給するための配管に設けられる電磁弁35を備えるが、前記クランプ調整手段はこれに限定されるものではない。前記クランプ調整手段としては、各シリンダ機構30に対して設けられ、シリンダ機構30による爪構造体10を移動方向に移動させる移動量および爪構造体10をワーク固定方向に付勢する付勢力を調整するための手段であればよい。
前記クランプ調整手段としては、例えば、前記のとおり複動シリンダとして構成されるシリンダ機構30に対し、第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bにそれぞれ圧油を供給するための配管に設けられる二つの電磁弁が用いられてもよい。また、前記クランプ調整手段としては、第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bの少なくともいずれかに供給される圧油について、その供給・停止の切換や流量の調整等を行う他の弁機構等であってもよい。
また、本実施形態のアンバランス修正装置1は、各爪構造体10に対して設けられる位置検出手段として、非接触式のギャップセンサとして構成される位置センサ37を備えるが、前記位置検出手段はこれに限定されるものではない。前記位置検出手段としては、各爪構造体10に対して設けられ、係止状態の爪構造体10の移動方向における位置を検出する手段であればよい。
前記位置検出手段としては、ワーク20の仮クランプ状態における爪構造体10のズレ量が検出できる程度の精度(例えば数μ〜数十μmオーダーの精度)を有するものであれば、例えば、近接スイッチや接触式のギャップセンサ等、他の直線位置センサであってもよい。
ところで、本実施形態のアンバランス修正装置1においては、三つの爪構造体10により、ワーク20がタービンハウジング部3に対してクランプして固定される。
このように、ワーク20のタービンハウジング部3に対する固定に際して爪構造体10によるクランプ方式が用いられる構成を備えるアンバランス修正装置1においては、ワーク回転部の回転にともない、ワーク20をクランプする部材である爪構造体10が、タービンハウジング部3に対して(タービンハウジング部3を含み一体的に構成される装置本体とは異なる固有振動数で)振動する。
すなわち、前記のとおりクランプ方式が用いられる構成を備えるアンバランス修正装置1においては、ワーク回転部の回転にともない、架台5およびこの架台5上に設けられるタービンハウジング部3を含む各部材が一体的に構成される装置本体に対して、爪構造体10が振動する。つまり、アンバランス修正装置1においては、装置本体と爪構造体10とが異なる固有振動数を有することとなる。
爪構造体10においては、爪部11は、前述したように係止部13によるワーク20の固定を行うため、そのワーク20の固定に際して十分な強度および剛性を備える部分であることが必要となる。
このため、図5の模式図に示すように、爪構造体10は、略水平方向(横方向)に配されて一端側がシリンダ機構30に支持される細径(小径)のロッド部12の他端側(先端側)に、重量物となる爪部11が付いている構成となる。かかる構成に起因して、ワーク回転部の回転にともない、ロッド部12を介して爪部11が振動し、アンバランス修正装置1における前記装置本体に含まれるシリンダ機構30に対して、爪構造体10の相対的な振動が生じる(矢印A1参照)。このように、爪構造体10が装置本体とは異なる固有振動数で振動する。
アンバランス修正装置1においてワーク回転部の回転にともなって生じる爪構造体10の振動について、図6および図7を用いて説明する。図6は各爪構造体を装置本体に対する1自由度系にモデル化した図、図7は本発明の一実施形態に係るアンバランス修正装置のモデル化に際しての各マス(質量体)を示す図である。
本実施形態のアンバランス修正装置1においては、爪構造体10は、シリンダ機構30のシリンダケース31内の流体(本実施形態ではエア)によりフローティングしている状態にあるといえる。つまり、爪構造体10は、アンバランス修正装置1の装置本体に対してフローティングしている状態にあると見ることができる。
そこで、アンバランス修正装置1は、マス(質量体)として、一つの大きいマスとなる装置本体としてのマス(以下「本体マス」という。)と、三つの小さいマスとなる爪構造体10としてのマス(以下「爪マス」という。)とを備えることとなる。
すなわち、本実施形態のアンバランス修正装置1において、本体マスは、図7(a)に示すように、架台5と、支持壁6と、タービンハウジング部3と、ワーク20と、シリンダプレート9と、シリンダケース31とを含み、これらがボルト固定等によって一体的に構成された一つのマスとなる。また、爪マスは、図7(b)に示すように、爪部11とロッド部12とを有しこれらが一体的に構成された一つの爪構造体10としてのマスとなる。したがって、アンバランス修正装置1は、第一爪構造体10aとしての爪マス(第一爪マス)と、第二爪構造体10bとしての爪マス(第二爪マス)と、第三爪構造体10cとしての爪マス(第三爪マス)との三つの爪マスを有することとなる。
このように、アンバランス修正装置1が、一つの本体マスと三つの爪マスとを備えるという概念を用いることで、アンバランス修正装置1においては、各爪構造体10を、装置本体に対して1自由度系の振動モデルに置き換えることが可能となる。
すなわち、図6に示すように、前記のとおりモデル化されたアンバランス修正装置1においては、質量m0の本体マス40に対して、質量m1の第一爪マス41と、質量m2の第二爪マス42と、質量m3の第三爪マス43とが存在することとなる。そして、第一爪マス41は、本体マス40に対して、バネ定数k1のバネ41aおよび減衰係数c1のダンパ41bを介して接続された状態となる。同様にして、第二爪マス42は、本体マス40に対して、バネ定数k2のバネ42aおよび減衰係数c2のダンパ42bを介して接続された状態となり、第三爪マス43は、本体マス40に対して、バネ定数k3のバネ43aおよび減衰係数c3のダンパ43bを介して接続された状態となる。なお、本体マス40は、床面7(図1参照)に対して、所定のバネ定数および減衰係数で接続された状態となる。
ここで、第一爪マス41について、バネ定数k1は、質量m1の系の総合剛性を示す。同様にして、第二爪マス42について、バネ定数k2は、質量m2の系の総合剛性を示し、第三爪マス43について、バネ定数k3は、質量m3の系の総合剛性を示す。なお、各爪マス41〜43についての総合剛性には、ワーク20がタービンハウジング部3に固定された状態で、爪構造体10によるクランプに際し、押圧面13a(図1参照)に対して作用する反力に対する剛性(以下「クランプ剛性」という。)が含まれる。クランプ剛性は、爪構造体10がシリンダ機構30により付勢される力(係止部13からの押圧力)の大きさによって異なることとなる。
また、第一爪マス41について、減衰係数c1は、質量m1の系の総合減衰を示す。同様にして、第二爪マス42について、減衰係数c2は、質量m2の系の総合減衰を示し、第三爪マス43について、減衰係数c3は、質量m3の系の総合減衰を示す。
ここで、各爪構造体10についての総合質量、総合剛性、および総合質量について説明する。
図8に示すように、爪構造体10の総合質量とは、爪構造体10が有する爪部11の質量とロッド部12の質量との合計である。つまり、爪構造体10の総合質量をmall、爪部11の質量をm、ロッド部12の質量をmとすると、mall=m+mとなる。
また、爪構造体10の総合剛性(バネ定数)とは、爪構造体10が有する爪部11の剛性とロッド部12の剛性とクランプ剛性(矢印D1参照)とが含まれる。そして、爪構造体10の総合剛性をkall、爪部11の剛性をk、ロッド部12の剛性をk、クランプ剛性をkとすると、次式(1)が成り立つ。
1/kall=(1/k)+(1/k)+(1/k) ・・・(1)
したがって、kall=k/(k+k+k)となる。
また、爪構造体10の総合減衰とは、油圧シリンダとして構成されるシリンダ機構30に対して、移動付勢可能に支持される爪構造体10についての減衰係数である。すなわち、シリンダケース31内の油を介して支持される爪構造体10は、その振動に際し、油との相対運動により生じる粘性抵抗(粘性減衰)を受ける。かかる粘性抵抗は、爪構造体10の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、爪構造体10に対して減衰力(粘性減衰力)を作用させる。この爪構造体10に作用する減衰力は、爪構造体10の振動の速度に比例する。この減衰力についての速度に対する比例定数が、前記のとおり爪部11とロッド部12とを有しこれらが一体的に構成された一つの爪構造体10についての減衰係数(粘性係数)であり、爪構造体10の総合減衰となる。
そして、前述した爪構造体10の振動モデル(図6参照)において、質量m1は第一爪構造体10aの総合質量を、質量m2は第二爪構造体10bの総合質量を、質量m3は第三爪構造体10cの総合質量をそれぞれ示す。また、バネ定数k1は第一爪構造体10aの総合剛性を、バネ定数k2は第二爪構造体10bの総合剛性を、バネ定数k3は第三爪構造体10cの総合剛性をそれぞれ示す。また、減衰係数c1は第一爪構造体10aの総合減衰を、減衰係数c2は第二爪構造体10bの総合減衰を、減衰係数c3は第三爪構造体10cの総合減衰をそれぞれ示す。
以上のように、各爪構造体10についての、ワーク回転部の回転にともなう移動方向の振動は、装置本体に対する、減衰(粘性減衰)をもつ1自由度系の強制振動とみなすことができる。つまり、ワーク回転部の回転にともない、各爪マス41〜43(爪系)により表される各爪構造体10に対して、強制振動力として周期的な外力が作用し、各爪構造体10が、本体マス40(本体系)で表される装置本体に対して、移動方向について減衰をもって振動する。
したがって、爪構造体10の振動方向についての座標(基準位置に対する変位)をxとし、ワーク回転部の回転にともなって爪構造体10に作用する強制振動力である周期的な外力をFsinωt(ω:角振動数、t:時間)とすると、減衰をもつ1自由度系の振動を表す一般的な運動方程式として、次式(2)が成り立つ。
Figure 0004192996
なお、式(2)において、mは、爪構造体10の総合質量に対応し、cは爪構造体10の総合減衰(減衰係数)に対応し、kは爪構造体10の総合剛性(バネ定数)に対応する。
式(2)より、爪構造体10についての総合質量、総合減衰、および総合剛性が、予め測定等により判っている場合、爪構造体10の基準位置からの変位xが求まれば、ワーク回転部の回転にともないその爪構造体10に作用する加振力(大きさ・方向)が導かれる。
すなわち、ワーク回転部の回転にともない各爪構造体10に作用する加振力について、第一爪構造体10aに作用する加振力をF、第二爪構造体10bに作用する加振力をF、第三爪構造体10cに作用する加振力をFとすると、上記式(2)に基づき、次式(3)〜(5)が成り立つ。
Figure 0004192996
Figure 0004192996
Figure 0004192996
このように、ワーク回転部の回転にともなう各爪構造体10の装置本体に対する移動方向の振動については、各爪構造体10に作用する加振力が、上記式(3)〜(5)により導かれる。
そこで、アンバランス修正装置1においては、アンバランス修正に際し、ワーク回転部の回転にともなって各爪構造体10に作用する加振力を打ち消すような力を、各爪構造体10に制振力として作用させることにより、各爪構造体10の装置本体に対する固有の振動(挙動)を抑制するアクティブな制振制御が行われる。本実施形態のアンバランス修正装置1は、各爪構造体10の制振制御を行うに際し、以下のような構成を備える。なお、以下の説明では、各爪構造体10の制振制御において、その制振の対象となる爪構造体10の振動の方向を、爪構造体10の移動方向(図1における左右方向)とし、その方向をx軸の方向とする。つまり、以下の説明において、爪構造体10について「振動」とは、爪構造体10の移動方向(x軸方向)の振動を指す。
図9に示すように、アンバランス修正装置1においては、各爪構造体10に対して変位センサ50が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの変位センサ50を備える。なお、図9においては、説明の便宜上、アンバランス修正装置1における第三シリンダ機構30cの位置を、図2に示す本来の位置からずらして表している。
変位センサ50は、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプした状態の爪構造体10の、ワーク回転部の回転にともなう振動についての変位(変位量および変位方向)を検出する。変位センサ50は、移動方向についての爪構造体10との間のギャップを検出することにより、被測定物である爪構造体10の振動についての変位を検出する、非接触式のギャップセンサとして構成される。
本実施形態では、変位センサ50は、爪構造体10の移動方向について一側の端面となる、爪部11の端面である先端面11sを検出対象面とする。すなわち、変位センサ50は、爪構造体10の先端面11sの間のギャップG2(図9参照)を検出することにより、爪構造体10の振動についての変位を検出する。変位センサ50としては、例えば、渦電流式や静電容量式のもの、あるいはレーザーセンサや超音波センサ等を用いることができる。
変位センサ50は、ワーク回転部の回転にともなう爪構造体10の振動に関し、その装置本体に対する相対的な振動についての変位を検出する。すなわち、変位センサ50は、変位センサ50自体が装置本体と一体的に振動するように設けられたり、変位センサ50による検出値に装置本体の振動が加味されたりすること等により、爪構造体10の装置本体に対する相対的な振動についての変位を検出する。
本実施形態では、変位センサ50は、タービンハウジング部3に基準位置部51を有する。つまり、本実施形態では、変位センサ50は、基準位置部51が設けられるタービンハウジング部3を基準位置として、爪構造体10の振動についての変位を検出する。言い換えると、変位センサ50は、爪構造体10のタービンハウジング部3に対する相対的な振動についての変位を検出する。なお、変位センサ50が基準位置とする位置は、タービンハウジング部3を含み一体的に構成される装置本体におけるいずれかの位置であれば、特に限定されるものではない。
また、変位センサ50による、爪構造体10の振動についての変位の検出に際しての爪構造体10の初期位置(x=0となる基準位置)は、爪構造体10によってワーク20のタービンハウジング部3に対するクランプが完了した時点での、爪構造体10の位置となる。したがって、例えば前述したように、ワーク20の姿勢制御が行われた場合は、そのワーク20の姿勢制御において、ワーク20のクランプが完了した時点での各爪構造体10の位置が、各変位センサ50についての、爪構造体10の初期位置となる。
このように、変位センサ50は、各爪構造体10に対して設けられ、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプした状態の爪構造体10の、ワーク回転部の回転にともなう装置本体に対する振動の変位を検出する変位検出手段として機能する。
以下では、三つの変位センサ50を、その設けられる爪構造体10によって区別して指す場合は、第一爪構造体10aに対して設けられる変位センサ50を「第一変位センサ50a」とし、第二爪構造体10bに対して設けられる変位センサ50を「第二変位センサ50b」とし、第三爪構造体10cに対して設けられる変位センサ50を「第三変位センサ50c」とする。そして、第一変位センサ50aにより検出される第一爪構造体10aについての振動の変位をXとし、第二変位センサ50bにより検出される第二爪構造体10bについての振動の変位をXとし、第三変位センサ50cにより検出される第三爪構造体10cについての振動の変位をXとする。
また、アンバランス修正装置1においては、図9に示すように、各シリンダ機構30に対して電磁切換弁52が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの電磁切換弁52を備える。
電磁切換弁52は、爪構造体10の移動方向についての移動する方向(付勢する方向)の切換えを行う。具体的には、次のとおりである。
すなわち、前述したように、シリンダ機構30は、シリンダケース31内において第一シリンダ室31aと第二シリンダ室31bとを有する複動シリンダとして構成される。そして、図9に示すように、第一シリンダ室31aに対しては、その油の出入口に、第一油路53aが連通接続される。この第一油路53aを介して、第一シリンダ室31aに対する圧油の供給および第一シリンダ室31aからの油の排出(戻し)が行われる。同様に、第二シリンダ室31bに対しては、その油の出入口に、第二油路53bが連通接続される。この第二油路53bを介して、第二シリンダ室31bに対する圧油の供給および第二シリンダ室31bからの油の排出(戻し)が行われる。
各シリンダ機構30に対して配される第一油路53aおよび第二油路53bは、図9に示すように、電磁切換弁52を介して、供給用油路54aおよび戻し用油路54bと接続される。これら供給用油路54aおよび戻し用油路54bは、オイルポンプ55を介してオイルタンク56に接続される。つまり、オイルタンク56内に貯溜されている油は、オイルポンプ55によって、供給用油路54aから電磁切換弁52を介して各シリンダ機構30に供給される。また、各シリンダ機構30から戻される油は、電磁切換弁52を介して戻し用油路54bから、オイルタンク56へと戻される。
ここで、爪構造体10が引っ張られる方向(ワーク固定方向)に移動付勢される場合は、電磁切換弁52を介した圧油が、第一油路53aから第一シリンダ室31a内に供給されるとともに、第二シリンダ室31b内の油が、第二油路53bから電磁切換弁52を介して戻される。逆に、爪構造体10が押し出される方向(ワーク固定方向と反対方向)に移動付勢される場合は、電磁切換弁52を介した圧油が、第二油路53bから第二シリンダ室31b内に供給されるとともに、第一シリンダ室31a内の油が、第一油路53aから電磁切換弁52を介して戻される。
このような各シリンダ機構30に対する油の給排構成において、電磁切換弁52は、第一シリンダ室31aへの圧油の供給(第二シリンダ室31bからの油の戻し)と、第二シリンダ室31bへの圧油の供給(第一シリンダ室31aからの油の戻し)とを切り換える。
電磁切換弁52は、いわゆるソレノイド操作4ポート切換弁として構成される。すなわち、電磁切換弁52においては、所定の制御信号(電気信号)によって、リレーを介してソレノイド(電磁石)が操作され、その力でスプールが動かされ、油圧回路の流路の切換えが行われる。また、電磁切換弁52は、いわゆる3位置弁として構成される。つまり、電磁切換弁52においては、スプールが3位置で切り換えられ、各スプールの位置に対応する流路が形成される。
本実施形態のアンバランス修正装置1における電磁切換弁52による流路の切換えについて、図11を用いて説明する。
前記のとおり3位置弁として構成される電磁切換弁52においては、そのスプールの位置により、油圧回路の流路について、第一油路53aおよび供給用油路54a、ならびに第二油路53bおよび戻し用油路54bの連通接続状態(第一の状態)と、第一油路53aおよび戻し用油路54b、ならびに第二油路53bおよび供給用油路54aの連通接続状態(第二の状態)と、流路の遮断状態(非接続状態)(第三の状態)との三つの状態が切り換えられる。
具体的には、電磁切換弁52は、第一油路53a、第二油路53b、供給用油路54a、および戻し用油路54bがそれぞれ連通接続される4つのポートを有する。ここで、図11に示すように、電磁切換弁52が有する4つのポートについて、第一油路53aが接続されるポートをポートPa1、第二油路53bが接続されるポートをポートPb1、供給用油路54aが接続されるポートをポートPa2、戻し用油路54bが接続されるポートをポートPb2とする。
図11(a)には、電磁切換弁52における前記第一の状態を示す。すなわち、かかる状態の電磁切換弁52においては、各ポートが、ポートPa2→Pa1、ポートPb1→Pb2のように接続される。つまり、供給用油路54aと第一油路53aとが連通接続され、第一シリンダ室31a内に圧油が供給されるとともに、第二油路53bと戻し用油路54bとが連通接続され、第二シリンダ室31b内の油が戻される。これにより、爪構造体10は、引っ張られる方向(ワーク固定方向)に移動付勢される(矢印B1参照)。
図11(b)には、電磁切換弁52における前記第二の状態を示す。すなわち、かかる状態の電磁切換弁52においては、各ポートが、ポートPa2→Pb1、ポートPa1→Pb2のように接続される。つまり、供給用油路54aと第二油路53bとが連通接続され、第二シリンダ室31b内に圧油が供給されるとともに、第一油路53aと戻し用油路54bとが連通接続され、第一シリンダ室31a内の油が戻される。これにより、爪構造体10は、押し出される方向(ワーク固定方向と反対方向)に移動付勢される(矢印B2参照)。
図11(c)には、電磁切換弁52における前記第三の状態を示す。すなわち、かかる状態の電磁切換弁52においては、各ポートが、スプールによって塞がれることで遮断される。つまり、第一油路53a、第二油路53b、供給用油路54a、および戻し用油路54bのいずれもが各ポートにおいて遮断され、シリンダ機構30についての油の給排が遮断される。したがって、この状態では、シリンダ機構30における第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bの油圧が保たれることとなる。
以上のような電磁切換弁52による流路の切換えは、前記のとおりスプールの位置の切換えにより行われることから、以下では、電磁切換弁52による流路の切換えについて、前記第一の状態をポジションP1(図11(a)参照)、前記第二の状態をポジションP2(図11(b)参照)、前記第三の状態をポジションPN(図11(c)参照)とする。つまり、電磁切換弁52がポジションP1、P2、PNのいずれかの状態となることで、電磁切換弁52による流路の切換えが行われる。これにより、爪構造体10の移動方向についての移動付勢方向が切り換えられる。
このように、電磁切換弁52は、各シリンダ機構30に対して設けられ、このシリンダ機構30による爪構造体10の移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための方向切換手段として機能する。
以下では、三つの電磁切換弁52を、その設けられるシリンダ機構30によって区別して指す場合は、第一シリンダ機構30aに対して設けられる電磁切換弁52を「第一電磁切換弁52a」とし、第二シリンダ機構30bに対して設けられる電磁切換弁52を「第二電磁切換弁52b」とし、第三シリンダ機構30cに対して設けられる電磁切換弁52を「第三電磁切換弁52c」とする。
また、アンバランス修正装置1においては、各シリンダ機構30に対して供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置1は、三つの供給用流量制御弁61および三つの戻し用流量制御弁62を備える。
供給用流量制御弁61は、オイルタンク56からオイルポンプ55によってシリンダ機構30に供給される圧油の流量の制御を行う。すなわち、図9に示すように、供給用流量制御弁61は、供給用油路54aに設けられ、オイルポンプ55と電磁切換弁52との間において、シリンダ機構30に供給されることとなる圧油の流量の調整を行う。
戻し用流量制御弁62は、シリンダ機構30からオイルタンク56に戻される油の流量の制御を行う。すなわち、図9に示すように、戻し用流量制御弁62は、戻し用油路54bに設けられ、電磁切換弁52とオイルポンプ55との間において、シリンダ機構30から戻された油の流量の調整を行う。
供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62は、それぞれ、チェック弁を有する一方向絞り弁として構成される。すなわち、供給用流量制御弁61においては、シリンダ機構30に対する供給方向の流れについては制御流れとなり、反対方向については自由流れとなる。逆に、戻し用流量制御弁62においては、シリンダ機構30からの戻し方向の流れについては制御流れとなり、反対方向については自由流れとなる。
以上のように、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62によって、電磁切換弁52を介してシリンダ機構30について給排される油の流量が調整されることにより、シリンダ機構30によって爪構造体10に作用する付勢力の大きさが調整される。すなわち、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62による油の流量の調整により、電磁切換弁52がポジションP1にある状態においては、シリンダ機構30によって爪構造体10に対して引っ張る方向に作用する付勢力の大きさが調整され、電磁切換弁52がポジションP2にある状態においては、シリンダ機構30によって爪構造体10に対して押し出す方向に作用する付勢力の大きさが調整される。
このように、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62は、各シリンダ機構30に対して設けられ、電磁切換弁52により定められた爪構造体10の移動付勢方向について、シリンダ機構30による爪構造体10を付勢する付勢力を調整するための付勢力調整手段として機能する。
以下では、三つの供給用流量制御弁61を、その設けられるシリンダ機構30によって区別して指す場合は、第一シリンダ機構30aに対して設けられる供給用流量制御弁61を「第一供給用流量制御弁61a」とし、第二シリンダ機構30bに対して設けられる供給用流量制御弁61を「第二供給用流量制御弁61b」とし、第三シリンダ機構30cに対して設けられる供給用流量制御弁61を「第三供給用流量制御弁61c」とする。同様に、第一シリンダ機構30aに対して設けられる戻し用流量制御弁62を「第一戻し用流量制御弁62a」とし、第二シリンダ機構30bに対して設けられる戻し用流量制御弁62を「第二戻し用流量制御弁62b」とし、第三シリンダ機構30cに対して設けられる戻し用流量制御弁62を「第三戻し用流量制御弁62c」とする。
また、アンバランス修正装置1においては、クランプ状態のワーク20に対して、そのワーク回転部の回転を検出する回転センサ57が設けられる。回転センサ57としては、例えば、光学式センサや磁気式センサ等の非接触式の回転変位(回転角度)センサが用いられる。
以上のような構成を備える本実施形態のアンバランス修正装置1における、爪構造体10の制振制御についての制御構成について、図10を用いて説明する。
図10に示すように、本実施形態のアンバランス修正装置1は、爪構造体10の制振制御を行うための制御システム70を備える。制御システム70は、各変位センサ50から出力される検出信号に基づいて、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61、および各戻し用流量制御弁62を制御する。これにより、シリンダ機構30によって爪構造体10に作用する付勢力が制御され、爪構造体10の装置本体(タービンハウジング部3)に対する振動が減衰する。
制御システム70は、信号線を介する等して各変位センサ50、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61、および各戻し用流量制御弁62と接続される。制御システム70は、各変位センサ50により検出された、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位についての信号を受信する。これにより、制御システム70は、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位に係る情報を取得する。また、制御システム70は、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61、および各戻し用流量制御弁62に対して、制御信号を送信する。つまり、制御システム70は、各電磁切換弁52に対して、流路(電磁切換弁52についてのポジション)を切り換えるための信号を送信する。これにより、制御システム70は、各電磁切換弁52の切換制御を行う。また、制御システム70は、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62に対して、流量(弁開度)を調整するための信号を送信する。これにより、制御システム70は、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62の調整制御を行う。
制御システム70は、各変位センサ50からの検出信号に基づいて、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62を独立して制御する。すなわち、第一変位センサ50aからの検出信号に基づいて、第一電磁切換弁52a、第一供給用流量制御弁61aおよび第一戻し用流量制御弁62aを制御し、第二変位センサ50bからの検出信号に基づいて、第二電磁切換弁52b、第二供給用流量制御弁61bおよび第二戻し用流量制御弁62bを制御し、第三変位センサ50cからの検出信号に基づいて、第三電磁切換弁52c、第三供給用流量制御弁61cおよび第三戻し用流量制御弁62cを制御する。これにより、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10に付勢力を作用させるシリンダ機構30が独立して制御され、各爪構造体10の装置本体(タービンハウジング部3)に対する振動が減衰させられる。
また、制御システム70は、回転センサ57と接続される。制御システム70は、回転センサ57により検出されたクランプ状態のワーク20のワーク回転部の回転変位(回転角度)についての信号を受信する。これにより、制御システム70は、クランプ状態のワーク20のワーク回転部の回転変位(回転角度)に係る情報を取得する。
制御システム70は、プログラム等を格納する格納部、プログラム等を展開する展開部、プログラム等に従って所定の演算を行う演算部、演算部による演算結果等を保管する保管部、変位センサ50から出力される検出信号に基づいてワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位等を計測する計測部等を有する。前記格納部に格納されるプログラム等には、後述する加振力算出プログラム、制振力算出プログラム、制振制御プログラムが含まれる。
制御システム70としては、具体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成や、ワンチップのLSI等からなる構成が用いられる。また、本実施形態の制御システム70は、専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等が格納されたものでも代替可能である。
制御システム70は、加振力算出部71と、制振力算出部72と、制振制御部73とを有する。
加振力算出部71は、変位センサ50により検出された爪構造体10の変位、ならびに爪構造体10の総合質量、爪構造体10の移動方向における総合減衰、および爪構造体10の移動方向における総合剛性に基づいて、ワーク回転部の回転にともない爪構造体10に作用する移動方向についての加振力を算出する。
このような加振力算出部71による加振力の算出は、制御システム70がその格納部に格納された加振力算出プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、爪構造体10の制振制御においては、加振力算出部71によって、ワーク20をクランプした状態の各爪構造体10に対し、ワーク回転部の回転にともなって作用する加振力が算出される。
加振力算出部71による爪構造体10に作用する加振力の算出に際しては、爪構造体10の振動についての変位、総合質量、総合減衰、および総合剛性の各値が用いられる。
ここで、爪構造体10の振動についての変位は、変位センサ50により検出される。すなわち、爪構造体10の振動についての変位は、前述したように、変位センサ50により検出される、ワーク20のクランプが完了した時点での爪構造体10の位置を初期位置(x=0の基準位置)とする、爪構造体10の振動方向(x軸方向、図9参照)についての変位(xの値)である。言い換えると、変位センサ50により検出される爪構造体10の振動についての変位は、爪構造体10が加振力を受けたときの変位となる。
また、爪構造体10の総合質量は、爪構造体10が有する爪部11の質量とロッド部12の質量との合計(mall)である。また、爪構造体10の総合減衰は、油圧シリンダとして構成されるシリンダ機構30に対して、移動付勢可能に支持される爪構造体10についての振動についての減衰係数である。また、爪構造体10の総合剛性は、爪構造体10が有する爪部11の剛性とロッド部12の剛性とクランプ剛性とにより、上記式(1)から導かれる、振動についてのバネ定数(kall)である。
そして、加振力算出部71は、爪構造体10の振動についての前記各値に基づき、上記式(3)〜(5)によって、ワーク20をクランプした状態の各爪構造体10に作用する加振力を算出する。
すなわち、加振力算出部71は、第一爪構造体10aについては、その総合質量である質量m1、総合減衰である減衰係数c1、総合剛性であるバネ定数k1に基づき、式(3)によって、第一爪構造体10aに作用する加振力Fを算出する。同様にして、加振力算出部71は、第二爪構造体10bについては、質量m2、減衰係数c2、バネ定数k2に基づき、式(4)によって、第二爪構造体10bに作用する加振力Fを算出する。また、加振力算出部71は、第三爪構造体10cについては、質量m3、減衰係数c3、バネ定数k3に基づき、式(5)によって、第三爪構造体10cに作用する加振力Fを算出する。
以上のように、加振力算出部71による、各爪構造体10に作用する加振力の算出に際して用いられる各値、即ち爪構造体10の振動についての変位、総合質量、総合減衰、および総合剛性それぞれの値は、制御システム70においてその格納部等に予め設定され記憶される。
このように、加振力算出部71は、変位センサ50により検出された爪構造体10の変位、ならびに爪構造体10の総合質量、爪構造体10の移動方向における総合減衰、および爪構造体10の移動方向における総合剛性に基づいて、ワーク回転部の回転にともない爪構造体10に作用する移動方向についての加振力を算出する加振力算出手段として機能する。具体的には、制御システム70が、その格納部に格納された加振力算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記加振力算出手段として機能する。
制振力算出部72は、加振力算出部71により算出された加振力の方向と反対方向であってこの加振力の大きさと同じ大きさの力を、爪構造体10に作用させる制振力として算出する。
このような制振力算出部72による制振力の算出は、制御システム70がその格納部に格納された制振力算出プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、爪構造体10の制振制御においては、制振力算出部72によって、ワーク20をクランプした状態でワーク回転部の回転にともなって加振力を受ける各爪構造体10に対して作用させる制振力が算出される。
制振力算出部72による爪構造体10に作用させる制振力の算出に際しては、加振力算出部71によって算出された加振力の値が用いられる。すなわち、制振力算出部72は、加振力算出部71によって算出された加振力を打ち消すような力、つまり算出された加振力の方向と反対方向であってこの加振力の大きさと同じ大きさの力を、爪構造体10に作用させる制振力として算出する。
したがって、加振力算出部71により算出された加振力の値が、例えばFx(N)であった場合、制振力算出部72は、爪構造体10に作用させる制振力を−Fx(N)として算出する。
すなわち、制振力算出部72は、第一爪構造体10aについては、加振力算出部71によって算出された加振力F(式(3)参照)に対する制振力(−F)を算出する。同様にして、制振力算出部72は、第二爪構造体10bについては、加振力F(式(4)参照)に対する制振力(−F)を算出し、第三爪構造体10cについては、加振力F(式(5)参照)に対する制振力(−F)を算出する。
このように、制振力算出部72は、加振力算出部71により算出された加振力の方向と反対方向であってこの加振力の大きさと同じ大きさの力を、爪構造体10に作用させる制振力として算出する制振力算出手段として機能する。具体的には、制御システム70が、その格納部に格納された制振力算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記制振力算出手段として機能する。
制振制御部73は、制振力算出部72により算出された制振力が、爪構造体10に作用するように、電磁切換弁52、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62を制御する。
このような制振制御部73による電磁切換弁52、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62の制御は、制御システム70がその格納部に格納された制振制御プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、爪構造体10の制振制御においては、制振制御部73によって、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62が制御されることにより、制振力算出部72により算出された各爪構造体10についての制振力が各爪構造体10に作用するように、各シリンダ機構30による爪構造体10に対する付勢力の方向と大きさが制御される。
制振制御部73による電磁切換弁52の制御に際しては、シリンダ機構30により爪構造体10に作用する付勢力の方向が、制振力算出部72により算出された制振力の方向(加振力算出部71により算出された加振力の方向と反対方向)となるように、流路(電磁切換弁52についてのポジション)が切り換えられる。
したがって、制振力算出部72により算出された制振力の方向が、爪構造体10を引っ張る方向(x軸における−方向)である場合は、制振制御部73は、電磁切換弁52をポジションP1に切り換える。逆に、制振力算出部72により算出された制振力の方向が、爪構造体10を押し出す方向(x軸における+方向)である場合は、制振制御部73は、電磁切換弁52をポジションP2に切り換える。
制振制御部73による供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62の制御に際しては、シリンダ機構30により爪構造体10に作用する付勢力の大きさが、制振力算出部72により算出された制振力の大きさ(加振力算出部71により算出された加振力の大きさと同じ大きさ)となるように、各流量制御弁61・62の弁開度が調整される。
シリンダ機構30により爪構造体10に作用する付勢力の大きさは、シリンダ機構30における爪構造体10のピストン部14に作用する力の大きさとなる。このピストン部14に作用する力の値は、概略的にはピストン部14に作用する圧力(油圧)と、ピストン部14の有効面積との積から求まる。
したがって、シリンダ機構30による爪構造体10に対する付勢力が、爪構造体10を引っ張る方向に作用する場合、その付勢力の大きさは、第一シリンダ室31aからピストン部14に作用する圧力と、ピストン部14の第一シリンダ室31aを形成する側の面14a(図11(a)参照)の面積(有効面積)との積となる。また、シリンダ機構30による爪構造体10に対する付勢力が、爪構造体10を押し出す方向に作用する場合、その付勢力の大きさは、第二シリンダ室31bからピストン部14に作用する圧力と、ピストン部14の第二シリンダ室31bを形成する側の面14b(図11(a)参照)の面積(有効面積)との積となる。
つまり、シリンダ機構30により爪構造体10に作用する付勢力の大きさが、制振力算出部72により算出された制振力の大きさとなるように、ピストン部14に作用する圧力が調整される。そして、このピストン部14に作用する圧力は、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62における油の流量の調整によって調整される。以下では、ピストン部14に作用する圧力について、シリンダ機構30により爪構造体10に作用する付勢力の大きさが、制振力算出部72により算出された制振力の大きさとなる圧力を「調整圧力」という。
したがって、制振制御部73は、ピストン部14に調整圧力が作用するように、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62の弁開度を調整する。このピストン部14に作用させる調整圧力には、シリンダ機構30におけるピストン部14の摩擦抵抗や、一方のシリンダ室から戻される油が流出するための背圧抵抗等が含まれることとなる。
制振制御部73による供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62の制御(弁開度を調整)に際しては、オイルポンプ55の吐出圧力や、第一油路53a、第二油路53b、供給用油路54a、戻し用油路54bの各油路を形成する配管における圧力損失や、前記各油路を形成する配管の径等が加味される。
つまり、制振制御部73は、ピストン部14の有効面積(前記面14a、14bの面積)や、オイルポンプ55の吐出圧力や、各油路を形成する配管における圧力損失や管径等の各値に基づいて、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62の弁開度を算出し、算出した弁開度となるように、各流量制御弁61・62を制御する。なお、前記ピストン部14の有効面積等の各値は、必要に応じて制御システム70においてその格納部等に予め設定され記憶される。
以上のような制振制御部73による電磁切換弁52、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62の制御は、各シリンダ機構30に設けられる各弁に対して独立に行われる。すなわち、制振制御部73は、第一爪構造体10aの制振制御に際しては、第一シリンダ機構30aに対して設けられる第一電磁切換弁52a、第一供給用流量制御弁61aおよび第一戻し用流量制御弁62aを制御する。同様にして、制振制御部73は、第二爪構造体10bの制振制御に際しては、第二シリンダ機構30bに対して設けられる第二電磁切換弁52b、第二供給用流量制御弁61bおよび第二戻し用流量制御弁62bを制御し、第三爪構造体10cの制振制御に際しては、第三シリンダ機構30cに対して設けられる第三電磁切換弁52c、第三供給用流量制御弁61cおよび第三戻し用流量制御弁62cを制御する。
このように、制振制御部73は、制振力算出部72により算出された制振力が、爪構造体10に作用するように、電磁切換弁52、供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62を制御する制振制御手段として機能する。具体的には、制御システム70が、その格納部に格納された制振制御プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記制振制御手段として機能する。
爪構造体10の制振制御について、図12に示す爪構造体10の制振制御についてのフロー図を用いて説明する。
爪構造体10の制振制御に際しては、まず、ワーク20がセットされる(S200)。つまり、ワーク20のセンターハウジング24のフランジ部24aが、タービンハウジング部3において支持面3aを形成する支持凹部3bに嵌合し、ワーク20が支持面3aに対して支持された状態となる。
ワーク20がセットされた状態から、各爪構造体10により、ワーク20がクランプ状態となる(S210)。つまり、オイルポンプ55によってオイルタンク56から各シリンダ機構30の第一シリンダ室31aに圧油が供給されることで、各爪構造体10が、引っ張られてワーク固定方向に移動し、セットされたワーク20に対して係止状態となるとともに、ワーク固定方向へ付勢される。これにより、ワーク20のクランプが完了する。
なお、ステップS210でのワーク20のクランプは、前述したワーク20の姿勢制御が行われる場合は、図4に示すフロー図におけるステップS160に対応することとなる。この場合、各シリンダ機構30に対して設けられる電磁弁35(図1および図3参照)は、第一シリンダ室31aに圧油を供給するための配管となる第一油路53aまたは供給用油路54aに設けられることとなる。
上記ステップS210において、ワーク20のクランプが完了した状態においては、制御システム70により、各電磁切換弁52は、ポジションPNの状態とされる。つまり、ワーク20のクランプが完了した状態においては、各シリンダ機構30についての油の給排が遮断され、各シリンダ機構30における第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bの油圧が一定に保持される状態となる。
ワーク20のクランプが完了すると、ワーク回転部の回転がスタートする(S220)。つまり、エンジンからの排気と同様の圧縮エアが、タービンハウジング部3に対して供給され、タービンロータ22を介してこれを含むワーク回転部がアンバランス修正回転数で回転させられる。
ワーク回転部がアンバランス修正回転数で回転している状態において、各変位センサ50からのセンサ出力が行われ、このセンサ出力に基づいて、各爪構造体10についての振動の変位X、X、Xの計測が行われる(S230)。つまり、ワーク20がクランプ状態になってから、各変位センサ50からの検出信号に基づいて、各爪構造体10についてのギャップG2の大きさの計測が行われる。そして、各爪構造体10についてのギャップG2の大きさの計測値から、各爪構造体10の振動の変位X、X、Xが計測される。
続いて、ステップS230にて計測された各爪構造体10についての振動の変位X、X、Xから、ワーク回転部の回転にともない各爪構造体10に作用する加振力が算出される(S240)。つまり、加振力算出部71により、各爪構造体10についての振動の変位X、X、X、各爪構造体10の総合質量m1、m2、m3、総合減衰c1、c2、c3、および総合剛性k1、k2、k3から、上記式(3)〜(5)によって、ワーク20をクランプした状態の各爪構造体10に作用する加振力が算出される。ここで、式(3)におけるxには、第一爪構造体10aについての振動の変位Xが対応し、式(4)におけるxには、第二爪構造体10bについての振動の変位Xが対応し、式(5)におけるxには、第三爪構造体10cについての振動の変位Xが対応する。
次に、ステップS240にて算出された加振力から、各爪構造体10に作用させる制振力が算出される(S250)。つまり、制振力算出部72により、各爪構造体10に作用する加振力から、この加振力を打ち消すような力として、各爪構造体10に作用させる制振力が算出される。
次に、ステップS250にて算出された制振力が、各爪構造体10に作用するように、各電磁切換弁52の流路の切換えが行われる(260)。つまり、制振制御部73により、シリンダ機構30によって各爪構造体10に作用する付勢力の方向が、算出された制振力の方向となるように、各電磁切換弁52が、ポジションP1またはポジションP2に切り換えられ、流路の切り換えが行われる。
次に、ステップS250にて算出された制振力が、各爪構造体10に作用するように、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62の弁開度の調整が行われる(270)。つまり、制振制御部73により、シリンダ機構30によって各爪構造体10に作用する付勢力の大きさが、算出された制振力の大きさとなるように(ピストン部14に作用する圧力が前記調整圧力となるように)、各供給用流量制御弁61および各戻し用流量制御弁62の弁開度が調整され、流量の調整が行われる。
そして、このような変位センサ50からの検出信号に基づく、各電磁切換弁52、各供給用流量制御弁61、および各戻し用流量制御弁62の制御(ステップS230〜S270)、つまり各爪構造体10の制振制御が、ワーク回転部の回転が停止するまで行われる(S280)。ここで、ワーク回転部の回転の停止は、回転センサ57により検出される。
このように、各爪構造体10の制振制御を行うことにより、ターボチャージャ2の生産ラインにおける生産性の低下を防止することができるとともに、ワーク20をタービンハウジング部3に対して固定するための部材である各爪構造体10の振動を抑制することができ、アンバランス修正についての精度を向上することができる。
すなわち、前述したように、ワーク20のタービンハウジング部3に対する固定に際して爪構造体10によるクランプ方式が用いられることで、ターボチャージャ2の生産ラインにおいて生産性が低下することを防止することができる。
また、ワーク20をタービンハウジング部3に対して固定するための部材である各爪構造体10の振動を低減することができことにより、ワーク20のクランプ力(ワーク20がタービンハウジング部3に対して押え付けられる力)を安定させることができ、ワーク回転部の回転にともないワーク20が大きく振動することを防止することができる。結果として、ワーク20のアンバランス修正についての精度を向上することができる。
なお、本実施形態のアンバランス修正装置1は、各爪構造体10に対して設けられる変位検出手段として、非接触式のギャップセンサとして構成される変位センサ50を備えるが、前記変位検出手段はこれに限定されるものではない。前記変位検出手段としては、各爪構造体10に対して設けられ、ワーク20をタービンハウジング部3に対してクランプした状態の爪構造体10の、ワーク回転部の回転にともなう装置本体に対する移動方向の振動の変位を検出する手段であればよい。
前記変位検出手段としては、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動の変位が検出できる程度の精度(例えば数μ〜数十μmオーダーの精度)を有するものであれば、例えば、近接スイッチや接触式のギャップセンサ等、他の直線位置センサであってもよい。
また、本実施形態のアンバランス修正装置1は、各シリンダ機構30に対して設けられる方向切換手段として、ソレノイド操作4ポート切換弁として構成される電磁切換弁52を備えるが、前記方向切換手段はこれに限定されるものではない。前記方向切換手段としては、各シリンダ機構30に対して設けられ、このシリンダ機構30による爪構造体10の移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための手段であればよい。
前記方向切換手段としては、例えば、パイロット操作切換弁等、他の構成の切換弁であってもよい。
また、本実施形態のアンバランス修正装置1は、各シリンダ機構30に対して設けられる付勢力調整手段として、チェック弁を有する一方向絞り弁として構成される供給用流量制御弁61および戻し用流量制御弁62を備えるが、前記付勢力調整手段はこれに限定されるものではない。前記付勢力調整手段としては、各クランプ部材30に対して設けられ、電磁切換弁52により定められた爪構造体10の移動付勢方向について、シリンダ機構30による爪構造体10を付勢する付勢力を調整するためのであればよい。
前記付勢力調整手段としては、例えば、流量調整弁等、他の構成の流量制御弁であってもよい。
本発明に係るアンバランス修正装置の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態のアンバランス修正装置1と共通する部分については、同一の符号を用いる等して、適宜説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態に係るアンバランス修正装置81は、前述した第一実施形態のアンバランス修正装置1におけるシリンダ機構30の代わりに、磁性流体を作動流体とする流体圧シリンダ機構として構成される磁性流体シリンダ機構83を備える。つまり、磁性流体シリンダ機構83は、各爪構造体10に対して設けられ、爪構造体10を移動方向に移動させるとともに、係止状態の爪構造体10をワーク固定方向に付勢する移動付勢手段として機能する。
磁性流体シリンダ機構83においては、爪構造体10が有するロッド部12のピストン部14を介して第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bを形成するシリンダケース31内に充填される作動流体として、磁性流体84が用いられる。
ここで、磁性流体とは、液体の特性である流動性と磁性体としての性質との両方を有するものである。具体的には、磁性流体は、マグネタイトやマンガン−亜鉛フェライト等のフェライト、鉄、ニッケル、コバルト等の、直径が10nm程度の磁性微粒子が、界面活性剤の作用により、水や有機溶剤やパラフィン等の溶媒中に拡散したものとなる。
磁性流体シリンダ機構83は、シリンダ機構30と同様に複動シリンダとして構成される。すなわち、図13に示すように、磁性流体シリンダ機構83が有する第一シリンダ室31aに対しては、その磁性流体の出入口に、第一流路82aが連通接続される。この第一流路82aを介して、第一シリンダ室31aに対する磁性流体の供給および第一シリンダ室31aからの磁性流体84の排出(戻し)が行われる。同様に、第二シリンダ室31bに対しては、その磁性流体の出入口に、第二流路82bが連通接続される。この第二流路82bを介して、第二シリンダ室31bに対する磁性流体の供給および第二シリンダ室31bからの磁性流体84の排出(戻し)が行われる。
各磁性流体シリンダ機構83に対して配される第一流路82aおよび第二流路82bは、図13に示すように、ポンプ85を介してタンク86に接続される。つまり、タンク86内には、磁性流体86aが貯溜されており、この貯溜されている磁性流体86aは、ポンプ85によって、第一流路82aまたは第二流路82bを介して各磁性流体シリンダ機構83に供給される。また、磁性流体シリンダ機構83から戻される磁性流体は、第一流路82aまたは第二流路82bを介してタンク86へと戻される。
以下では、三つの磁性流体シリンダ機構83を、その移動付勢可能に支持する爪構造体10によって区別して指す場合は、第一爪構造体10aを移動付勢可能に支持する磁性流体シリンダ機構83を「第一磁性流体シリンダ機構83a」とし、第二爪構造体10bを移動付勢可能に支持する磁性流体シリンダ機構83を「第二磁性流体シリンダ機構83b」とし、第三爪構造体10cを移動付勢可能に支持する磁性流体シリンダ機構83を「第三磁性流体シリンダ機構83c」とする。
このように、爪構造体10を移動付勢可能に支持するための構成として磁性流体シリンダ機構83を備えるアンバランス修正装置81においては、アンバランス修正に際し、ワーク回転部の回転にともなって各爪構造体10に作用する加振力を打ち消すような力として、各爪構造体10に、磁性流体シリンダ機構83における磁性流体の粘性抵抗による減衰力を作用させることにより、各爪構造体10の装置本体に対する固有の振動(挙動)を抑制する制振制御が行われる。これは、次のような原理および磁性流体が有する性質に基づく。
すなわち、磁性流体シリンダ機構83においてシリンダケース31内の磁性流体84を介して支持される爪構造体10は、その振動に際し、磁性流体84との相対運動により生じる粘性抵抗を受ける。かかる粘性抵抗は、爪構造体10の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、爪構造体10に対して減衰力を作用させる。したがって、磁性流体84の粘度が変化することにより、爪構造体10に対する粘性抵抗、つまり爪構造体10に作用する減衰力の大きさが変化する。
一方、磁性流体は、その有する性質として、印加される磁場の強さによって流動性、つまり粘度(見かけ上の粘度)が変化する。これは、流動する磁性流体が磁場の作用を受けると、磁性微粒子が持つ磁気双極子相互作用によって、磁場の方向に粒子が連鎖しようとすることに基づく。
そこで、本実施形態のアンバランス修正装置1は、磁性流体シリンダ機構83におけるシリンダケース31内の磁性流体84に対して、磁場を印加するとともに、その磁場の強さを変化させることにより、磁性流体84の見かけ上の粘度を変化させ、ワーク回転部の回転にともなって各爪構造体10に作用する加振力に対してこれを打ち消すような減衰力を作用させることで、各爪構造体10の振動を抑制する制振制御を行う。本実施形態のアンバランス修正装置81は、各爪構造体10の制振制御を行うに際し、以下のような構成を備える。
図13に示すように、アンバランス修正装置81においては、各爪構造体10に対して変位センサ50が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置81は、三つの変位センサ50を備える。なお、図13においては、説明の便宜上、アンバランス修正装置81における第三磁性流体シリンダ機構83cの位置を、本来の位置(図2参照)からずらして表している。また、本実施形態のアンバランス修正装置81が備える変位センサ50については、第一実施形態のアンバランス修正装置1と共通する部分であるため、説明を省略する。
また、アンバランス修正装置81においては、図13に示すように、各磁性流体シリンダ機構83に対してシリンダコイル87が設けられる。つまり、本実施形態のアンバランス修正装置81は、三つのシリンダコイル87を備える。
シリンダコイル87は、いわゆるソレノイドコイルであり、シリンダケース31に対して巻回された状態で設けられる。すなわち、シリンダコイル87に電流が流れることにより、シリンダケース31内の磁性流体84に対して、シリンダケース31の軸方向(図13における左右方向)に磁場が印加される。
そして、シリンダコイル87に流れる電流の大きさ(電流値)が変化することにより、シリンダケース31内の磁性流体84に対して印加される磁場の強さが変化する。これにともない、シリンダケース31内の磁性流体84の見かけ上の粘度(流動性)が変化し、振動する爪構造体10に作用する減衰力の大きさが変化する。
このように、シリンダコイル87は、各磁性流体シリンダ機構83に対して設けられ、磁性流体84に磁場を印加するための磁場印加手段として機能する。
以下では、三つのシリンダコイル87を、その設けられる磁性流体シリンダ機構83によって区別して指す場合は、第一磁性流体シリンダ機構83aに対して設けられるシリンダコイル87を「第一シリンダコイル87a」とし、第二磁性流体シリンダ機構83bに対して設けられるシリンダコイル87を「第二シリンダコイル87b」とし、第三磁性流体シリンダ機構83cに対して設けられるシリンダコイル87を「第三シリンダコイル87c」とする。
以上のような構成を備える本実施形態のアンバランス修正装置81における、爪構造体10の制振制御についての制御構成について、図14を用いて説明する。
図14に示すように、本実施形態のアンバランス修正装置81は、爪構造体10の制振制御を行うための制御システム90を備える。制御システム90は、各変位センサから出力される検出信号に基づいて、各シリンダコイル87によってシリンダケース31内の磁性流体84に印加される磁場の強さを制御する。実体的には、制御システム90からシリンダコイル87に供給される(入力される)電流の大きさ(電流値)が制御されることにより、各シリンダコイル87によってシリンダケース31内の磁性流体84に印加される磁場の強さが制御される。これにより、磁性流体シリンダ機構83において爪構造体10に作用する減衰力が制御され、爪構造体10の装置本体(タービンハウジング部3)に対する振動が減衰する。
制御システム90は、信号線を介する等して各変位センサ50と接続される。また、制御システム90は、リード線等を介して各シリンダコイル87と接続される。制御システム90は、各変位センサ50により検出された、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位についての信号を受信する。これにより、制御システム90は、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位に係る情報を取得する。また、制御システム90は、各シリンダコイル87に対して、電流を供給するとともに、その電流の大きさを、磁性流体84に印加する磁場の強さに応じて制御する。
制御システム90は、各変位センサ50からの検出信号に基づいて、各シリンダコイル87に供給する電流を独立して制御する。すなわち、第一変位センサ50aからの検出信号に基づいて、第一シリンダコイル87aに供給する電流を制御し、第二変位センサ50bからの検出信号に基づいて、第二シリンダコイル87bに供給する電流を制御し、第三変位センサ50cからの検出信号に基づいて、第三シリンダコイル87cに供給する電流を制御する。これにより、ワーク20をクランプした状態の爪構造体10に対してその振動にともない減衰力を作用させる磁性流体シリンダ機構83が独立して制御され、各爪構造体10の装置本体(タービンハウジング部3)に対する振動が減衰させられる。
また、制御システム90は、回転センサ57と接続される。制御システム90は、回転センサ57により検出されたクランプ状態のワーク20のワーク回転部の回転変位(回転角度)についての信号を受信する。これにより、制御システム90は、クランプ状態のワーク20のワーク回転部の回転変位(回転角度)に係る情報を取得する。
制御システム90は、プログラム等を格納する格納部、プログラム等を展開する展開部、プログラム等に従って所定の演算を行う演算部、演算部による演算結果等を保管する保管部、変位センサ50から出力される検出信号に基づいてワーク20をクランプした状態の爪構造体10の振動についての変位等を計測する計測部、シリンダコイル87に電流を供給する(入力する)ための電源部等を有する。前記格納部に格納されるプログラム等には、後述する減衰算出プログラム、制振制御プログラム、およびシリンダコイル87によって磁性流体84に印加される磁場の強さと爪構造体10の移動方向における総合減衰(減衰係数)との関係に係るデータが含まれる。
制御システム90としては、具体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成や、ワンチップのLSI等からなる構成が用いられる。また、本実施形態の制御システム90は、専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等が格納されたものでも代替可能である。
制御システム90は、データ記憶部91と、減衰算出部92と、制振制御部93とを有する。
データ記憶部91は、予め求められた、シリンダコイル87によって磁性流体84に印加される磁場の強さと総合減衰(減衰係数)との関係に係るデータ(以下「磁場の強さと減衰との関係に係るデータ」という。)を記憶する。
データ記憶部91は、磁場の強さと減衰との関係に係るデータとして、シリンダコイル87に供給する電流値Iと磁性流体84の粘度μとの関係のデータを記憶する。
すなわち、前述したように、シリンダコイル87によって磁性流体84に印加される磁場の強さは、シリンダコイル87に流れる電流の大きさに依存する。また、爪構造体10の振動についての減衰係数は、振動する爪構造体10に作用する減衰力(粘性減衰力)についての振動の速度に対する比例定数であり、振動する爪構造体10に対する粘性抵抗(粘性減衰)、つまり磁性流体84の粘度(粘性係数)μとなる。そこで、データ記憶部91は、各磁性流体シリンダ機構83についての磁場の強さと減衰との関係に係るデータを、各磁性流体シリンダ機構83について、予め求められた、シリンダコイル87に供給する電流値Iと磁性流体84の粘度μとの関係(以下「電流値Iと粘度μとの関係」という。)のデータとして記憶する。
電流値Iと粘度μとの関係は、例えば、図15に示すような関係となる。本例では、電流値Iと粘度μとの関係は比例関係となり、電流値Iと粘度μとの関係を示すグラフは直線状となる。これは、強磁性を示すものではない磁性流体84についての磁場と磁化との関係を示す磁化曲線が、直線状となることに基づく。すなわち、強磁性を示さない磁性体では、磁場と磁化とは比例する。そして、磁場については、シリンダコイル87に対する供給電流(電流値I)に置き換えることができ、磁化については、磁性流体84の粘度μに置き換えることができる。つまり、本実施形態において磁性流体シリンダ機構83において作動流体として用いられる磁性流体84は、強磁性を示すものではなく、電流値Iと粘度μとの関係は、図15に示すように、比例関係となる。このような磁性流体84についての電流値Iと粘度μとの関係が、予め求められ、例えばマップ化されたデータとして、データ記憶部91に記憶される。このように、データ記憶部91には、磁場の強さと減衰との関係に係るデータが、磁性流体84についての電流値Iと粘度μとの関係のデータとして記憶される。
ここで、図15に示すように、電流値Iが0の時の粘度μ0は、各磁性流体シリンダ機構83において磁性流体84に磁場が印加されてない状態(無磁場中)での磁性流体84の粘度である。つまり、粘度μ0は、磁性流体84の粘度μついての初期値となる。
そして、データ記憶部91は、各磁性流体シリンダ機構83について、電流値Iと粘度μとの関係のデータを記憶する。
すなわち、データ記憶部91は、第一磁性流体シリンダ機構83aについては、第一シリンダコイル87aに供給される電流値Iと、第一磁性流体シリンダ機構83aにおけるシリンダケース31内の磁性流体84の粘度μとの関係のデータを記憶する。同様にして、データ記憶部91は、第二磁性流体シリンダ機構83bについては、第二シリンダコイル87bに供給される電流値Iと、第二磁性流体シリンダ機構83bの磁性流体84の粘度μとの関係のデータを記憶し、第三磁性流体シリンダ機構83cについては、第三シリンダコイル87cに供給される電流値Iと、第三磁性流体シリンダ機構83cの磁性流体84の粘度μとの関係のデータを記憶する。
このように、データ記憶部91は、予め求められた、磁場の強さと減衰との関係に係るデータを記憶する記憶手段として機能する。具体的には、制御システム90が、ROM等に磁場の強さと減衰との関係に係るデータを記憶することにより、前記記憶手段として機能する。
減衰算出部92は、変位センサ50により検出された爪構造体10の変位、ならびに爪構造体10の総合質量、および爪構造体10の移動方向における総合剛性に基づいて、ワーク回転部の回転にともない爪構造体10に作用する移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、爪構造体10の移動方向における総合減衰(減衰係数)を算出する。
このような減衰算出部92による減衰係数の算出は、制御システム90がその格納部に格納された減衰算出プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、爪構造体10の制振制御においては、減衰算出部92によって、ワーク回転部の回転にともなってワーク20をクランプした状態の各爪構造体10に対して作用する加振力が打ち消されることとなる総合減衰(減衰係数)が算出される。言い換えると、爪構造体10の減衰係数が、減衰算出部92によって算出された減衰係数となることで、爪構造体10に作用する加振力が打ち消される。
減衰算出部92による減衰係数の算出に際しては、変位センサ50により検出された爪構造体10の振動についての変位、爪構造体10の総合質量および総合剛性の各値が用いられる。すなわち、減衰算出部92は、ワーク回転部の回転にともなって爪構造体10に作用する加振力が打ち消されるような(加振力の値が0となるような)爪構造体10の減衰係数(以下「加振力を打ち消す減衰係数」という。)を算出する。
したがって、減衰算出部92は、各爪構造体10についての加振力を打ち消す減衰係数の算出に際しては、各爪構造体10に作用する加振力を0とした計算、つまり上記式(3)〜(5)それぞれの式において、F=0、F=0、F=0とした計算を行う。すなわち、減衰算出部92は、第一爪構造体10aについての加振力を打ち消す減衰係数をc、第二爪構造体10bについての加振力を打ち消す減衰係数をc、第三爪構造体10cについての加振力を打ち消す減衰係数をcとすると、上記式(3)〜(5)においてF=0、F=0、F=0とすることで導かれる次式(6)〜(8)により、各爪構造体10についての加振力を打ち消す減衰係数を算出する。
Figure 0004192996
Figure 0004192996
Figure 0004192996
ここで、各爪構造体10についての減衰係数c、c、cの値、前記のとおり磁性流体84の粘度(粘性係数)に対応する値であるため、絶対値(正の値)となる。
このように、減衰算出部92は、変位センサ50により検出された爪構造体10の振動についての変位、爪構造体10の総合質量および総合剛性の各値に基づき、上記式(6)〜(8)によって、各爪構造体10についての加振力を打ち消す減衰係数を算出する。
すなわち、減衰算出部92は、第一爪構造体10aについては、変位センサ50により検出された変位X、総合質量である質量m1、総合剛性であるバネ定数k1に基づき、式(6)によって、第一爪構造体10aについての加振力を打ち消す減衰係数cを算出する。同様にして、減衰算出部92は、第二爪構造体10bについては、変位センサ50により検出された変位X、総合質量である質量m2、総合剛性であるバネ定数k2に基づき、式(7)によって、第二爪構造体10bについての加振力を打ち消す減衰係数cを算出する。また、減衰算出部92は、第三爪構造体10cについては、変位センサ50により検出された変位X、総合質量である質量m3、総合剛性であるバネ定数k3に基づき、式(8)によって、第三爪構造体10cについての加振力を打ち消す減衰係数cを算出する。
ワーク回転部の回転にともない加振力が作用する各爪構造体10についての減衰係数が、前述のようにして減衰算出部92により算出された減衰係数となることで、爪構造体10に作用する減衰力が変化し、爪構造体10に作用する加振力が打ち消されることとなる。
このように、減衰算出部92は、変位センサ50により検出された爪構造体10の変位、ならびに爪構造体10の総合質量、および爪構造体10の移動方向における総合剛性に基づいて、ワーク回転部の回転にともない爪構造体10に作用する移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、爪構造体10の移動方向における総合減衰(減衰係数)を算出する減衰算出手段として機能する。具体的には、制御システム90が、その格納部に格納された減衰算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記減衰算出手段として機能する。
制振制御部93は、データ記憶部91により記憶された磁場の強さと減衰との関係に係るデータに基づき、磁性流体84に印加される磁場の強さが、減衰算出部92により算出された総合減衰(減衰係数)に対応する磁場の強さとなるように、シリンダコイル87を制御する。
このような制振制御部93によるシリンダコイル87の制御、具体的にはシリンダコイル87を流れる電流の制御は、制御システム90がその格納部に格納された制振制御プログラムに従って所定の演算等を実行することにより行われる。つまり、爪構造体10の制振制御においては、制振制御部93によって、各シリンダコイル87に供給される電流の大きさが制御されることにより、シリンダケース31内の磁性流体84に印加される磁場の強さが制御される。これにより、磁性流体84の粘度(粘性係数)μ、つまり減衰係数が制御され、加振力の作用を受ける爪構造体10に作用する減衰力(粘性減衰力)の大きさが制御される。
制振制御部93によるシリンダコイル87の制御に際しては、データ記憶部91に記憶されている電流値Iと粘度μとの関係のデータが用いられ、シリンダコイル87に供給する電流値Iが求められる。シリンダコイル87に供給する電流値Iに対応する粘度μ、つまり減衰係数は、前述したように減衰算出部92により算出された減衰係数の値が用いられる。すなわち、図15に示すように、減衰算出部92により算出された減衰係数の値に対応する粘度がμxである場合、データ記憶部91に記憶されている電流値Iと粘度μとの関係に基づき、粘度μxに対応する電流値Ixの電流が、シリンダコイル87に供給される。
そして、シリンダコイル87に、減衰算出部92により算出された減衰係数の値(粘度の値)に対応する電流値の電流が流れることにより、磁性流体84に印加される磁場の強さが、減衰算出部92により算出された総合減衰(減衰係数)に対応する磁場の強さとなる。これにより、磁性流体84の粘度変化によって、爪構造体10に作用する減衰力(粘性減衰力)の値が、爪構造体10に作用する加振力が打ち消されるような値となる。
以上のような制振制御部93によるシリンダコイル87の制御は、各磁性流体シリンダ機構83に設けられるシリンダコイル87に対して独立に行われる。すなわち、制振制御部93は、第一爪構造体10aの制振制御に際しては、第一磁性流体シリンダ機構83aに対して設けられる第一シリンダコイル87a(に供給する電流)を制御する。同様にして、制振制御部93は、第二爪構造体10bの制振制御に際しては、第二磁性流体シリンダ機構83bに対して設けられる第二シリンダコイル87bを制御し、第三爪構造体10cの制振制御に際しては、第三磁性流体シリンダ機構83cに対して設けられる第三シリンダコイル87cを制御する。
このように、制振制御部93は、データ記憶部91により記憶された磁場の強さと減衰との関係に係るデータに基づき、磁性流体84に印加される磁場の強さが、減衰算出部92により算出された総合減衰(減衰係数)に対応する磁場の強さとなるように、シリンダコイル87を制御する制振制御手段として機能する。具体的には、制御システム90が、その格納部に格納された制振制御プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、前記制振制御手段として機能する。
爪構造体10の制振制御について、図16に示す爪構造体10の制振制御についてのフロー図を用いて説明する。
爪構造体10の制振制御に際しては、まず、ワーク20がセットされる(S300)。
ワーク20がセットされた状態から、各爪構造体10により、ワーク20がクランプ状態となる(S310)。つまり、ポンプ85によってタンク86から各磁性流体シリンダ機構83の第一シリンダ室31aに磁性流体が圧送されることで、各爪構造体10が、引っ張られてワーク固定方向に移動し、セットされたワーク20に対して係止状態となるとともに、ワーク固定方向へ付勢される。これにより、ワーク20のクランプが完了する。
なお、ステップS310でのワーク20のクランプは、前述したワーク20の姿勢制御が行われる場合は、図4に示すフロー図におけるステップS160に対応することとなる。この場合、各磁性流体シリンダ機構83に対して設けられることとなる電磁弁35(図1および図3参照)は、第一シリンダ室31aに圧油を供給するための配管となる第一流路82aに設けられることとなる。
上記ステップS310において、ワーク20のクランプが完了した状態においては、図示せぬ弁機構等により、各磁性流体シリンダ機構83についての磁性流体の給排が遮断され、各磁性流体シリンダ機構83における第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bの磁性流体の圧力が一定に保持される状態となる。
ワーク20のクランプが完了すると、ワーク回転部の回転がスタートする(S320)。
ワーク回転部がアンバランス修正回転数で回転している状態において、各変位センサ50からのセンサ出力が行われ、このセンサ出力に基づいて、各爪構造体10についての振動の変位X、X、Xの計測が行われる(S330)。
続いて、ステップS330にて計測された各爪構造体10についての振動の変位X、X、Xから、加振力を打ち消す減衰係数が算出される(S340)。つまり、減衰算出部92により、変位センサ50により検出された爪構造体10についての振動の変位X、X、X、各爪構造体10の総合質量m1、m2、m3、および総合剛性k1、k2、k3から、上記式(6)〜(8)によって、各爪構造体10についての加振力を打ち消す減衰係数c、c、cが算出される。
次に、ステップS340にて算出された減衰係数から、各シリンダコイル87に供給される電流の大きさが決定される(S350)。つまり、制振制御部93により、データ記憶部91に記憶されている電流値Iと粘度μとの関係のデータから、減衰算出部92により算出された減衰係数の値(粘度の値)に対応する電流値I、I、Iが決定される。ここで、電流値Iは、第一シリンダコイル87aについての電流値であり、電流値Iは第二シリンダコイル87bについての電流値であり、電流値Iは第三シリンダコイル87cについての電流値である。
次に、ステップS350にて決定された電流値の電流が、各シリンダコイル87に供給される(S360)。つまり、制御システム90が有する電源部から、第一シリンダコイル87aに対して電流値Iの電流が、第二シリンダコイル87bに対して電流値Iの電流が、第三シリンダコイル87cに対して電流値Iの電流が、それぞれ供給される。
これにより、各磁性流体シリンダ機構83における磁性流体84に磁場が印加され、磁性流体84の粘度が上昇し、各爪構造体10に対して減衰力(粘性減衰力)が作用する。ここで、磁性流体84に印加される磁場の強さは、減衰算出部92により算出された総合減衰(減衰係数)に対応する磁場の強さとなり、各爪構造体10に作用する減衰力は、爪構造体10に作用する加振力を打ち消す大きさとなる。
そして、このような変位センサ50からの検出信号等に基づく、各シリンダコイル87(に供給する電流)の制御(ステップS330〜S360)、つまり各爪構造体10の制振制御が、ワーク回転部の回転が停止するまで行われる(S370)。ここで、ワーク回転部の回転の停止は、回転センサ57により検出される。
以上のような各爪構造体10についての制振制御が行われる本実施形態のアンバランス修正装置81においては、第一実施形態の場合に得られる効果に加え、装置構成をシンプルにすることができるという効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態における各爪構造体10の制振制御は、各磁性流体シリンダ機構83に対する磁性流体の給排が停止された状態で、各シリンダコイル87に対する電気的な制御のみで行われる。このため、各爪構造体10の制振制御に際して、磁性流体シリンダ機構83に対する磁性流体の給排の切換えや流量の調整を行うための切換弁や流量制御弁等の弁機構が不要となる。これにより、装置構成をシンプルにすることができるという効果が得られる。
なお、本実施形態のアンバランス修正装置81は、各磁性流体シリンダ機構83に設けられる磁場印加手段として、シリンダケース31に対して巻回された状態で設けられるシリンダコイル87を備えるが、前記磁場印加手段はこれに限定されるものではない。磁場印加手段としては、各磁性流体シリンダ機構83に対して設けられ、シリンダケース31内の磁性流体84に磁場を印加するための手段であればよい。
前記磁場印加手段としては、例えば、シリンダケース31の内部においてシリンダコイルが内蔵される構成や、シリンダケース31において第一シリンダ室31aおよび第二シリンダ室31bの少なくともいずれかに連通して磁性流体を流通させる管路がシリンダケース31の本体とは別途に設けられ、この管路に対してシリンダコイルが巻回された状態で設けられる構成等であってもよい。また、本実施形態では、シリンダコイル87によってシリンダケース31内の磁性流体84に対して印加される磁場の方向は、シリンダケース31の軸方向(図13における左右方向)であるが、磁性流体84に対して印加される磁場の方向は特に限定されるものではない。
本発明の第一実施形態に係るアンバランス修正装置の全体構成を示す図。 図1におけるA−A断面図。 本発明の第一実施形態に係るアンバランス修正装置におけるワークの姿勢制御についての制御構成を示す図。 ワークの姿勢制御についてのフロー図。 爪構造体の構成を模式的に示す図。 各爪構造体を装置本体に対する1自由度系にモデル化した図。 本発明の一実施形態に係るアンバランス修正装置のモデル化に際しての各マス(質量体)を示す図。 爪構造体を示す図。 本発明の第一実施形態に係るアンバランス修正装置の爪構造体の制振制御のための装置構成を示す図。 本発明の第一実施形態に係るアンバランス修正装置における爪構造体の制振制御についての制御構成を示す図。 電磁切換弁による流路の切換えについての説明図。 第一実施形態における爪構造体の制振制御についてのフロー図。 本発明の第二実施形態に係るアンバランス修正装置における爪構造体の制振制御のための装置構成を示す図。 本発明の第二実施形態に係るアンバランス修正装置における爪構造体の制振制御についての制御構成を示す図。 シリンダコイルに供給する電流値Iと磁性流体の粘度μとの関係の一例を示す図。 第二実施形態における爪構造体の制振制御のフロー図。 ターボチャージャにおけるアンバランスに起因する不具合の発生メカニズムについての説明図。 アンバランス修正時におけるターボチャージャの状態を示す図。 ワーク姿勢の傾きを示す図。
符号の説明
1 アンバランス修正装置(高速回転機器のアンバランス修正装置)
2 ターボチャージャ(高速回転機器)
3 タービンハウジング部(治具)
4 加速度ピックアップ(振動検出手段)
10 爪構造体(クランプ部材)
20 ワーク
21 回転軸
22 タービンロータ
23 コンプレッサロータ
24 センターハウジング
30 シリンダ機構(移動付勢手段)
35 電磁弁(クランプ調整手段)
37 位置センサ(位置検出手段)
39 制御部(姿勢制御手段)
50 変位センサ(変位検出手段)
52 電磁切換弁(方向切換手段)
61 供給用流量制御弁(付勢力調整手段)
62 戻し用流量制御弁(付勢力調整手段)
70 制御システム
71 加振力算出部
72 制振力算出部
73 制振制御部
81 アンバランス修正装置(高速回転機器のアンバランス修正装置)
83 磁性流体シリンダ機構(移動付勢手段)
84 磁性流体
87 シリンダコイル(磁場印加手段)
90 制御システム
91 データ記憶部
92 減衰算出部
93 制振制御部

Claims (5)

  1. 回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、
    前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を前記移動方向に移動させる移動量および前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する付勢力を調整するためのクランプ調整手段と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記係止状態の前記クランプ部材の前記移動方向における位置を検出する位置検出手段と、
    前記各位置検出手段からの検出信号に基づいて、前記位置検出手段により検出された前記係止状態の前記クランプ部材の前記移動方向における位置の、予め設定された基準位置に対するズレ量が、該ズレ量について予め設定された所定の許容値よりも小さくなるように、前記各クランプ調整手段を制御する姿勢制御手段と、
    を備えることを特徴とする高速回転機器のアンバランス修正装置。
  2. 前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、該移動付勢手段による前記クランプ部材の前記移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための方向切換手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記方向切換手段により定められた前記クランプ部材の前記移動付勢方向について、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を付勢する付勢力を調整するための付勢力調整手段と、
    前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力を算出する加振力算出手段と、
    前記加振力算出手段により算出された前記加振力の方向と反対方向であって該加振力の大きさと同じ大きさの力を、前記クランプ部材に作用させる制振力として算出する制振力算出手段と、
    前記制振力算出手段により算出された前記制振力が、前記クランプ部材に作用するように、前記方向切換手段および前記付勢力調整手段を制御する制振制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の高速回転機器のアンバランス修正装置。
  3. 前記移動付勢手段は、磁性流体を作動流体とする流体圧シリンダ機構として構成されるものであり、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記磁性流体に磁場を印加するための磁場印加手段と、
    予め求められた、前記磁場印加手段によって前記磁性流体に印加される磁場の強さと前記総合減衰との関係に係るデータを記憶するデータ記憶手段と、
    前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰を算出する減衰算出手段と、
    前記データ記憶手段により記憶された前記データに基づき、前記磁性流体に印加される磁場の強さが、前記減衰算出手段により算出された前記総合減衰に対応する磁場の強さとなるように、前記磁場印加手段を制御する制振制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の高速回転機器のアンバランス修正装置。
  4. 回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、
    前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、該移動付勢手段による前記クランプ部材の前記移動方向についての移動付勢方向を切り換えるための方向切換手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記方向切換手段により定められた前記クランプ部材の前記移動付勢方向について、前記移動付勢手段による前記クランプ部材を付勢する付勢力を調整するための付勢力調整手段と、
    前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力を算出する加振力算出手段と、
    前記加振力算出手段により算出された前記加振力の方向と反対方向であって該加振力の大きさと同じ大きさの力を、前記クランプ部材に作用させる制振力として算出する制振力算出手段と、
    前記制振力算出手段により算出された前記制振力が、前記クランプ部材に作用するように、前記方向切換手段および前記付勢力調整手段を制御する制振制御手段と、
    を備えることを特徴とする高速回転機器のアンバランス修正装置。
  5. 回転部を有するワークを支持するとともに振動検出手段を有する治具を備え、該治具に、前記回転部が回転可能な状態で前記ワークを固定した状態で、前記回転部を所定の回転数で回転させ、前記回転部が前記所定の回転数で回転している状態での前記振動検出手段による検出値に基づいて、前記回転部のアンバランス修正を行うための高速回転機器のアンバランス修正装置であって、
    前記治具に支持された状態の前記ワークに対して係止した状態である係止状態で、前記ワークを前記治具に固定することとなる所定の方向に付勢されることにより、前記ワークを前記治具に対してクランプして固定する複数のクランプ部材と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、磁性流体を作動流体とする流体圧シリンダ機構として構成され、前記クランプ部材を前記所定の方向を含む移動方向に移動させるとともに、前記係止状態の前記クランプ部材を前記所定の方向に付勢する移動付勢手段と、
    前記各クランプ部材に対して設けられ、前記ワークを前記治具に対してクランプした状態の前記クランプ部材の、前記回転部の回転にともなう前記治具を含み一体的に構成される装置本体に対する前記移動方向の振動の変位を検出する変位検出手段と、
    前記各移動付勢手段に対して設けられ、前記磁性流体に磁場を印加するための磁場印加手段と、
    予め求められた、前記磁場印加手段によって前記磁性流体に印加される磁場の強さと前記総合減衰との関係に係るデータを記憶するデータ記憶手段と、
    前記変位検出手段により検出された前記クランプ部材の前記変位、ならびに前記クランプ部材の総合質量、および前記クランプ部材の前記移動方向における総合剛性に基づいて、前記回転部の回転にともない前記クランプ部材に作用する前記移動方向についての加振力が打ち消されることとなる、前記クランプ部材の前記移動方向における総合減衰を算出する減衰算出手段と、
    前記データ記憶手段により記憶された前記データに基づき、前記磁性流体に印加される磁場の強さが、前記減衰算出手段により算出された前記総合減衰に対応する磁場の強さとなるように、前記磁場印加手段を制御する制振制御手段と、
    を備えることを特徴とする高速回転機器のアンバランス修正装置。
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